JP2928942B2 - 柱梁の仕口とその施工方法 - Google Patents

柱梁の仕口とその施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、建築物における柱と梁の仕口及びその施工
方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造りの柱と梁の
仕口においては、第20図に示すように柱を構成するI形
鋼aのウェブbに穴cをあけ、この穴に梁主筋dを貫通
させて定着するようにしている。この左右の梁と直交方
向の梁においても同様である。
また、RC(鉄筋コンクリート)造りの柱と梁の仕口に
おいては、従来第21図〜第23図に示すように種々の施工
方法が行われているが、第21図の場合には左右の梁主筋
eとこれと直交方向の梁主筋fとが接合部で交錯して施
工性が悪く、第22図の場合には左右の梁主筋gの端部を
屈曲させて筒状部材hにそれぞれ挿入しているが、左右
の梁主筋gで力が十分伝達されないこと、及び直交方向
の梁主筋には利用出来ないこと等に難点がある。一方、
第23図の場合には左右の梁主筋iを溶接しているが、接
合部内は柱主筋jやフープ筋k等が混在しており、梁主
筋iの溶接作業がし難いものである。
このような不具合を防止するために、例えば第24図に
示すように接合部に丸型の鋼管lを配設し、この鋼管に
端部を屈曲させた梁主筋mを挿入して定着させたり、或
は第25図に示すように角型の鋼管nを配設して、この鋼
管に端部を屈曲させた梁主筋pを挿入して定着すること
も従来行われている。
尚、PC(プレキャストコンクリート)造りの場合に
は、図示は省略したが前記RCの場合における第21図に示
す方法、又は第23図に示す溶接方法が主として採られて
いる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記丸型鋼管lによる場合には梁主筋
mの収まりが良くなく、また梁主筋mの屈曲部を梁幅方
向の中央へ集中させなければならず、柱芯と梁芯とをず
らすことが出来ない。前記角型鋼管nによる場合は、剛
性が低くて曲げ変形を起こし易く、このため内部にリブ
を取り付けることが考えられるが、そのリブ溶接は非常
に手間の掛かる作業となって好ましくない。
本発明は、このような従来の問題点を解決するために
なされ、柱梁接合部の梁主筋を現場で簡単に定着出来る
ようにした、柱と梁の仕口及びその施工方法を提供する
ことを課題としたものである。
[課題を解決するための手段] 前記の課題を技術的に解決するための手段として、本
発明は柱と梁の接合部内に、梁主筋の端部を屈曲させて
内側に挿し込むための板状部材を前記柱の形鋼のフラン
ジから張り出して設け又は鋼材を組み合わせて形成した
構造体を配設したことを要旨とするものである。
また、本発明はSRC造りにおける柱と梁の接合部内
に、柱を構成する形鋼のフランジの側縁に張出部を設
け、この張出部に前記梁主筋の端部を屈曲させて内側に
挿し込むようにした柱梁の仕口の施工方法を要旨とす
る。
更に、本発明はRC又はPC造りにおける柱と梁の接合部
内に、所要の長さを有する複数の形鋼をそのウェブが直
交するようにして合体させて形成された鋼材ブロックを
配設し、梁主筋の端部を屈曲させて前記鋼材ブロックの
フランジに上下又は左右から内側に挿し込むようにした
梁柱の仕口の施工方法を要旨とするものである。
[作用] 柱と梁の接合部において、梁主筋の端部を屈曲させて
内側に押し込むための板状部材が、柱を構成する形鋼の
フランジから張り出して設けられ、又はH形鋼等の鋼材
を組み合わせた構造体が配設されているので、現場での
梁主筋の定着が極めて簡単であって作業性に富み、かつ
強度的に強くて剛性に優れ、曲げ等の変形を来すことが
ない。
[実施例] 以下、図面を参照しながら本発明の実施例について具
体的に説明する。
第1図は、本発明をSRC造りに適用した実施例であ
り、1は鉄骨柱であって十字型に交差したウェブ1aの両
端部にフランジ1bがそれぞれ直角方向に形成された断面
形状を呈しており、鉄骨梁2との接合部には、前記フラ
ンジ1bの両側縁に板状部1cがそれぞれ張り出して設けら
れている。3は前記鉄骨梁2に沿って配筋された梁主筋
であり、第2図に示すようにその端部3aは鉄骨梁2の端
部に取り付けられた補強プレート2aの穴2bに貫通させる
と共に、上向きに湾曲させて前記板状部1cの内側にそれ
ぞれ挿し込んである。このような要領で左右の鉄骨梁2
の梁主筋3、及びそれと直角方向の鉄骨梁2′の梁主筋
3′の端部を屈曲させてそれぞれ鉄骨柱1の板状部1cの
内側に挿し込む。尚、第4図に示すように梁の上端主筋
3Uもこれと同様に前記補強プレート2aの穴2bを貫通させ
ると共に、板状部1cの内側に挿し込むようにする。但
し、この場合には上端主筋3Uの端部3Uaを下向きに屈曲
させることは言う迄もない。更に、梁主筋と上端主筋は
板状部の上下からではなく、左右(横)から挿し込むこ
ともある。
このようにして、鉄骨柱1と鉄骨梁2、2′との接合
部において、梁主筋3、3′を現場で簡単に定着するこ
とが出来、鉄骨柱1の十字型のウェブ1aがリブとしての
作用を十分発揮するので、前記従来の角型鋼管による場
合よりも強度が遥かに強く、このため変形を起こしたり
剛性が低下することはない。
第5図は、本発明をRC造りに適用した実施例であり、
この場合は柱11と梁12との接合部に梁主筋13を定着する
ための鋼材ブロック14を配設し、この鋼材ブロック14の
内側に梁主筋13の端部を屈曲させて挿し込むようになっ
ている。前記鋼材ブロック14は、十字型に交差したウェ
ブ14aの両端部にフランジ14bがそれぞれ直角方向に形成
された断面形状を呈しており、これを形成するには例え
ば第7図に示すようにH形鋼14Hのウェブ14Haに切欠き1
4Hcを設けたものを二つ用意して、その切欠き14Hcを利
用しウェブ14Ha同士が直交するように嵌め合わせて溶接
により一体化するか、又は第8図に示すようにH形鋼14
Hのウェブ14Haの中央部に、これを挟むようにして2つ
のT形鋼14Tをそれぞれ直交方向に溶接することにより
形成することが出来る。この際、H形鋼T形鋼とする部
材自体が鉄板を組み合わせて形成されたものであっても
良い。
前記鋼材ブロック14を用いて施工するには、第9図
(イ)に示すように先ず梁主筋13をセットして端部13a
を上向きに屈曲させ、次いで同図(ロ)のように鋼材ブ
ロック14を、前記梁主筋13の屈曲端部13aがフランジ14b
の内側に挿入されるようにして落し込み、この後同図
(ハ)に示すように上端主筋13Uの端部13Uaを下向きに
屈曲させ、前記フランジ14bの内側に挿入して完了す
る。尚、上端主筋13Uは第10図に示すように、左右で分
離させずに連続したものを用いても良い。更に、第11図
に示すように梁主筋13の屈曲端部13aの内側にこれと直
交方向に補助鉄筋13′を通すようにしても良い。
このようにして、柱11と梁12との接合部において、梁
主筋13及び上端主筋13Uを現場で簡単に定着することが
出来、鋼材ブロック14の十字型のウェブ14aがリブとし
て機能するので、前記と同様に従来の角型鋼管による場
合よりも強度が遥かに強く、このため変形を起こしたり
剛性が低下することはない。この場合、第12図に示すよ
うに右の梁主筋13RにA方向の力が加わると、その梁主
筋13Rからコンクリートへ支圧力Bが作用し、鋼材ブロ
ック14はフランジ14b部で受けたその支圧力Bをウェブ1
4aで引張力Cとして他端へ伝達し、左のフランジに到達
した引張力Cはコンクリート支圧力Dを介して左側の梁
主筋13Lへ引張力Eとして十分伝達されることになる。
第13図は、本発明をPC造りに適用した実施例であり、
前記RCの場合と同じく鋼材ブロック24を介して梁主筋を
定着するものである。即ち、PC柱21とPC梁22との接合部
に鋼材ブロック24を配設し、この鋼材ブロック24の内側
に梁主筋23の端部23aを屈曲させて挿し込むようになっ
ている。鋼材ブロック24は、前記と同様に十字型に交差
したウェブ24aの両端部にフランジ24bがそれぞれ直交方
向に形成された断面形状を呈しており、これは前記のよ
うに二つのH形鋼から形成するか、またはH形鋼とT形
鋼との組み合わせにより形成することが出来る。
この場合の施工方法としては、第15図(イ)に示すよ
うに先ずPC柱21の上端部に左右のPC梁22をセットし、次
に同図(ロ)のように鋼材ブロック24を、前記梁主筋23
の屈曲端部23aがフランジ24bの内側に挿入されるように
して落し込み、かつPC柱21の柱主筋25にフープ筋26を巻
き付けて配筋し、この後、同図(ハ)に示すようにスラ
ブ筋27をPC梁22の上部にセットしてその端部27aは下向
きに屈曲させて前記鋼材ブロック内に挿入し、最後に同
図(ニ)のようにコンクリート28を打設して完了する。
この実施例においても、PC柱21とPC梁22との接合部に
おいて、梁主筋23及びスラブ筋27も現場で簡単に定着す
ることが出来、鋼材ブロック24の十字型のウェブ24aが
リブとして機能するので強度の強い構造になっており、
このため変形を起こしたり剛性が低下することはない。
一方、第16図はPCの場合の他の実施例を示すもので、
鉄板を加工して中央にリブ34aを有する角筒体34を形成
し、この角筒体34に対してPC梁32の梁主筋33の屈曲端部
33aを挿入したものである。第18図は、PCの場合の更に
他の実施例を示すもので、鉄筋又はウェルドメッシュで
方形の籠体44を形成し、この籠体44に対してPC梁42の梁
主筋43の屈曲端部43aを挿入したものである。これらの
角筒体34及び籠体44は、従来の角型鋼管による場合より
も強度が遥かに強く、このため変形を起こしたり剛性が
低下することはない。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、柱と梁の接合
部内に、梁主筋の端部を屈曲させて内側に挿し込むため
の板状部材が、柱の形鋼のフランジから張り出して設け
られ、又は鋼材を組み合わせた構造体が配設されたの
で、梁主筋の定着を現場で容易に行えると共に、その作
業性は極めて良好であり、単なる丸型や角型の鋼管とは
異なって強度が強くて剛性に優れ、曲げ等の変形を来す
ことがない等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明をSRCに適用した実施例を示す要部の横
断面図、第2図は同要部の縦断面図、第3図は鉄骨柱の
一部の斜視図、第4図は上端主筋の定着を示す説明図、
第5図は本発明をRCに適用した実施例を示す要部の横断
面図、第6図は同要部の縦断面図、第7図及び第8図は
いずれも鋼材ブロックの形成例を示す説明図、第9図
(イ)〜(ハ)は施工例を工程順に示す説明図、第10図
は上端主筋の他の配筋例を示す説明図、第11図は補助鉄
筋を使用した例の説明図、第12図は力の作用状態を示す
説明図、第13図は本発明をPCに適用した実施例を示す要
部の横断面図、第14図は同要部の縦断面図、第15図
(イ)〜(ニ)は施工例を工程順に示す説明図、第16図
はPCの他の実施例を示す要部の横断面図、第17図は同要
部の縦断面図、第18図はPCの更に他の実施例を示す要部
の横断面図、第19図は同要部の縦断面図、第20図はSRC
の場合の従来例を示す説明図、第21図〜第25図はいずれ
もRCの場合の従来例を示すもので、それぞれ(イ)は要
部の横断面図、(ロ)は同要部の縦断面図である。 1……鉄骨柱、1a……ウェブ 1b……フランジ、1c……板状部 2……鉄骨梁、2a……補助プレート 2b……穴、3……梁主筋 3a……端部、3U……上端主筋 11……柱、12……梁 13……梁主筋、13a……端部 13U……上端主筋、13′……補助鉄筋 14……鋼材ブロック、14a……ウェブ 14b……フランジ、14H……H形鋼 14Ha……ウェブ、14T……T形鋼 21……PC柱、22……PC梁 23……梁主筋、23a……端部 24……鋼材ブロック、24a……ウェブ 24b……フランジ、25……柱主筋 26……フープ筋、27……スラブ筋 27a……端部、28……コンクリート 32……PC梁、33……梁主筋 33a……端部、34……角筒体 34a……リブ、42……PC梁 43……梁主筋、43a……端部 44……篭体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神野 靖夫 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/16 E04B 1/30 E04B 1/21 E04B 1/58 508

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】柱と梁の接合部内に、梁主筋の端部を屈曲
    させて内側に挿し込むための板状部材を前記柱の形鋼の
    フランジから張り出して設け又は鋼材を組み合わせて形
    成した構造体を配設したことを特徴とする柱梁の仕口。
  2. 【請求項2】SRC造りにおける柱と梁の接合部内に、柱
    を構成する形鋼のフランジの側縁に張出部を設け、この
    張出部に前記梁主筋の端部を屈曲させて内側に挿し込む
    ことを特徴とする柱梁の仕口の施工方法。
  3. 【請求項3】RC又はPC造りにおける柱と梁の接合部内
    に、所要の長さを有する複数の形鋼をそのウェブが直交
    するようにして合体させて形成された鋼材ブロックを配
    設し、梁主筋の端部を屈曲させて前記鋼材ブロックのフ
    ランジに上下又は左右から内側に挿し込むことを特徴と
    する梁柱の仕口の施工方法。
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