JP3611473B2 - 鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、梁鉄骨と柱鉄骨とを交差させて柱鉄筋を配置した柱梁接合部の周囲をリング状に補強筋を配筋してコンクリートを打設する鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱は、主にH型鋼を組み合わせた柱鉄骨の周囲に鉄筋(柱鉄筋及びせん断補強筋)を配筋してコンクリートを打設する構造である。すなわち、図4に示す鉄骨鉄筋コンクリート構造の中柱において、柱鉄骨20は平板10,11を交差させて十字状に構成し、その四方に突出した先端部に夫々平板のフランジ12を一体に設けて形成する。そして、この柱鉄骨20の周囲に鉄筋を配置する。
【0003】
この鉄筋は、柱鉄骨20の長手方向に平行に配置した柱鉄筋(以下、主筋という)14と、この主筋14に直交するように配筋したせん断補強筋(以下、補強筋という)13からなっている。主筋14の数はコンクリート柱の規模によって異なるが、図示例では12本であり、一方、補強筋13は柱のせん断補強のために、特定間隔、例えば10cmおきに1セットずつリング状に配筋してある。
【0004】
また、柱鉄骨20を貫通して交差するように梁鉄骨30が配置された柱梁接合部においては、梁鉄骨30のウエッブ鋼板15に穿孔部16を設けてこの穿孔部16に補強筋13を通して柱鉄骨20を包含するように配筋する。
【0005】
そのため、従来の方法では、図5の平面断面図に示すように、リング状の補強筋13をL字型に4分割(13a,13b,13c,13d)にし、梁鉄骨30のウエッブ鋼板15に設けた穿孔部16に補強筋13a〜13dを通して柱梁接合部をリング状に包含する。そして、図5に示す補強筋13a〜13dが分離状態では柱のせん断補強の役割を果たさないので、補強筋13a〜13d同士のオーバーラップした継手部分を相互に現場溶接して一体にしていた。
【0006】
また、別の例として側柱の柱梁接合部の場合(図6の平面図参照)は、リング状の補強筋13をL字型またはコ字型に3分割(13e,13f,13g)にし、穿孔部16に補強筋13e〜13gを通して柱梁接合部をリング状に包含した後、補強筋13e〜13gの継手部分を相互に現場溶接して配筋していた。
【0007】
そして、中柱や側柱において、鉄骨の周囲に鉄筋を配筋した後、外周を型枠(図示しない)で覆い型枠の内部にコンクリート40を打設する構造である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、柱のせん断補強のために、補強筋13の継手部分を現場溶接する従来の工法では、1セットの補強筋13を配筋するために、3〜4カ所の現場溶接作業(図5及び図6参照)が必要となり、柱鉄骨の数が多い場合には、多くの手間と時間を必要とする。
【0009】
また、柱梁接合部の位置は作業床より最も高い位置にあるため、溶接設備の準備に加えて、溶接作業用の仮設足場の準備も必要とする。
更に、現場溶接の品質は、工場溶接に比較して溶接条件が悪くなるから、溶接の品質にバラツキが生じるおそれがある。
【0010】
以上のように、溶接作業を必要とする場合は、仮設足場を組む必要がある他、溶接部分の品質管理や作業工程を溶接作業を前提として決定するために作業に手間がかかり、コストアップの要因となる。さらに、配筋量が多くて、鉄筋や鋼材が混雑している個所では、溶接作業自体が不可能となる。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みて創案されたものであり、補強筋の継手部分の溶接作業が省略できて補強筋の配筋・組立工程も簡素化できるようにした鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0013】
すなわち、ウエッブ鋼板の上下端部をフランジ鋼板で挟着させて成る複数の梁鉄骨と柱鉄骨とを交差させ、その周囲に柱鉄筋を配置して柱梁接合部を形成し、前記梁鉄骨のウエッブ鋼板に穿孔部を形成し、この穿孔部に補強筋を挿通させて前記柱梁接合部の周囲をリング状に配筋し、前記柱梁接合部および前記配筋した補強筋の外周部にコンクリートを打設する鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法において、
前記補強筋として表面に凹凸を形成した異形鉄筋を用い、前記穿孔部の孔径を前記補強筋の直径の2.5倍から3倍に形成し、前記補強筋を少なくとも2カ所の前記穿孔部に亘って挿通させると共に前記補強筋同士を前記穿孔部の双方向から互いに重なり合うように挿通させ、前記ウエッブ鋼板を越えた補強筋先端の定着長さを前記補強筋の直径の5倍から10倍の長さに設定することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、夫々の補強筋を複数の穿孔部に亘って挿通するとともに、梁鉄骨のウエッブ鋼板を挟んで穿孔部の双方から補強筋の先端を互いに重なり合うように挿通して規定の長さだけ定着させることにより、コンクリート打設後、ウエッブ鋼板に挿入した補強筋先端の定着部が、ウエッブ鋼板の上下端部にある2枚以上のフランジ鋼板によって拘束されているコンクリート中に定着される。その結果、補強筋先端の定着部が大きな定着耐力を有し、せん断補強性能を発揮する。
【0015】
すなわち、ウエッブ鋼板を挿通して越えた補強筋先端の定着部に引張応力が伝達されると、補強筋周囲のコンクリートにはせん断力と同時に、ウエッブ鋼板及びフランジ鋼板との間に圧縮力が発生する。この圧縮力は、コンクリートがウエッブ鋼板及びフランジ鋼板により拘束されていることにより発生し、この圧縮力が補強筋周囲のコンクリートを補強筋に押し付けてコンクリートの骨材と異形鉄筋の凹凸とをかみ合わせるように作用するため、補強筋の定着耐力(強度)を大幅に高める。
【0016】
本願発明者は異形鉄筋の補強筋同士を溶接せずに異形鉄筋の直径の5倍の定着長さで定着強度の実験を行った。その結果、補強筋はコンクリート強度600kg/cm2の場合、鉄筋強度8000kg/cm2まで定着可能であった。
【0017】
なお、梁鉄骨の断面形状としては、フランジ鋼板の形成位置によってH型、I型、キ型などの形鋼が例示できる。また、フランジ鋼板はウエッブ鋼板の端部に設けてもよいのは勿論、途中に設けても良く、また対向するだけではなく四方に設ければ更に強力な鉄筋定着効果が期待できる。
【0018】
以上から本発明の柱梁接合部補強方法は、補強筋を複数の穿孔部に亘って挿通させるとともに、穿孔部を越えた補強筋先端を規定の長さだけ互いに重なり合うように挿通させる作業により配筋作業ができ、従来行われていた補強筋の溶接作業を省略できるため、施工性を大幅に改良できる。
【0019】
またこの方法は、補強筋をウエッブ鋼板の穿孔部に挿入するだけであり、挿入長さも短いため配筋・組立工程を簡素化できる。
さらにこの方法は、配筋・組立が容易なため、補強筋の数を増やしたり、径を大きくして補強筋量を多くして柱梁接合部の構造性能を高めることができる。
【0020】
さらにまた、この方法は補強筋を予めL字型あるいはコ字型に成形することにより、配筋・組立がいっそう容易にでき好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態にかかる鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法を図1及び図2に基づき説明する。
【0022】
まず、この実施の形態の柱梁接合部の構造について説明する。
この実施の形態は、鉄骨鉄筋コンクリート構造の中柱に適用したもので、図1は柱と梁が交差した柱梁接合部の横断面図を示している。
【0023】
図において、柱梁接合部は、床に対し垂直に立設した柱鉄骨20に対し、4本の梁鉄骨30,30,30,30を四方向から交差させて形成したものである。
柱鉄骨20は、従来の技術において図4で説明したように、平板10,11を交差させて十字状に構成し、その四方に突出した先端部に夫々平板のフランジ鋼板12を一体に設けて形成したものである。
【0024】
また、梁鉄骨30の夫々は、上下に対向する2枚のフランジ鋼板17,17がウエッブ鋼板15の上下端部を挟着するように設けて形成したものである。
前記柱梁接合部は、その周囲に鉄筋が配筋された後、柱梁接合部および鉄筋の外周に型枠(図示せず)を配置してコンクリート40を打設し、鉄筋鉄骨コンクリート構造としたものである。
【0025】
前記柱梁接合部に配筋する鉄筋は、図1に示すように、柱鉄骨20の長手方向に平行に配置した柱鉄筋(以下、主筋という)14と、この主筋14に直交するように配筋したせん断補強筋(以下、補強筋という)3a,3b,3c,3dとで構成される。
【0026】
主筋14は、柱の応力に応じ、中柱の四隅に3本ずつ計12本配筋されている。
一方、補強筋3a,3b,3c,3dは、それぞれL字型に成形され、後述するように、中柱のせん断補強のため、同一高さに4本をリング状に組み合わせて1セットの補強筋となる。なお、図示しないが、補強筋は1セットずつ10cm間隔で複数配筋されている。補強筋3a〜3dは、表面に凹凸が形成された異形鉄筋を用いる。
【0027】
四方向より柱鉄骨20と接続する梁鉄骨30のウエッブ鋼板15には、補強筋3a〜3dを挿通してリング状に配筋するための穿孔部16a,16b,16c,16dが同一高さ位置に形成されている。この穿孔部16a〜16dの孔径は、補強筋3a〜3dの直径の2.7倍に穿設されている。なお、この穿孔部は図示してはいないが、10cmの高さ毎にウエッブ鋼板15に穿設されている。
【0028】
補強筋3a〜3dは、隣接するウエッブ鋼板15の同一高さの穿孔部16a〜16dに亘って挿通し配設されている。すなわち、補強筋3aは、3本の主筋14の外側から2つの穿孔部16a,16bに亘って挿通し配設されている。同様に、補強筋3bは穿孔部16b,16cに亘って挿通し、補強筋3cは穿孔部16c,16dに亘って挿通し、補強筋3dは穿孔部16d,16aに亘って挿通し配設されている。
【0029】
また、補強筋3a〜3dは、夫々、ウエッブ鋼板15を挟んで穿孔部16a〜16dの双方から補強筋3a〜3dの先端を互いに重なり合うように挿通して所謂継手構造を形成している。すなわち、穿孔部16aには、補強筋3aと補強筋3dがウエッブ鋼板15を挟んで穿孔部16aの双方から互いに重なり合うように挿通している。同様に、穿孔部16bには、補強筋3bと補強筋3cが互いに重なり合うように挿通し、穿孔部16cには、補強筋3cと補強筋3dが互いに重なり合うように挿通し、穿孔部16dには、補強筋3dと補強筋3aが互いに重なり合うように挿通している。
【0030】
そして、ウエッブ鋼板15を越えて挿通した補強筋3a〜3dの先端部αは、補強筋3a〜3dの直径の5倍の長さとなるように設定されている。なお、補強筋3a〜3dの直径の5倍の長さに設定された前記先端部αは、打設したコンクリート40によって定着されている。
【0031】
次に、この実施の形態にかかる中柱の柱梁接合部の施工手順を説明する。
まず、床に立設する柱鉄骨20と複数の梁鉄骨30とを交差させると共に溶接結合させて柱梁接合部を形成する。なお、梁鉄骨30のウエッブ鋼板15には予め穿孔部16a〜16dが穿設されている。
【0032】
L字型に成形した補強筋3a〜3dを複数の穿孔部3a〜3dに亘って挿通すると共に補強筋同士を穿孔部の双方向から互いに重なり合うように挿通し、ウエッブ鋼板15を越えた補強筋先端部αの定着長さを補強筋の直径の5倍の長さに設定する。この配筋作業を全ての補強筋において行って柱梁接合部の周囲をリング状に配筋する。次に、柱梁接合部および鉄筋の外周に型枠(図示せず)を配置してコンクリート40を打設し、鉄筋鉄骨コンクリート構造とする。
【0033】
次に、実施の形態の柱梁接合部におけるコンクリート打設後の補強筋の定着強度について説明する。
ウエッブ鋼板15を越えた先端部(定着部分)αでは、図2の梁鉄骨の断面図に示すように、補強筋3dに引張応力(A)が加わった場合、補強筋周囲のコンクリートにはせん断力(B)と同時に、コンクリートがウエッブ鋼板15とフランジ鋼板17,17との間に拘束されていることにより圧縮力(C)が発生する。ところが、この圧縮力(C)は力のベクトルの分解によってウエッブ鋼板15に平行な力(D)として作用し、フランジ鋼板17,17を押すこととなる。
【0034】
しかし、フランジ鋼板17,17は固定されているため、コンクリートの移動は抑制されると共にコンクリートを押し戻す反作用が働き、コンクリートの骨材41と補強筋3dの凹凸がかみ合い、コンクリートと補強筋の定着性を向上させる。これによって、せん断強度が上昇し、短い定着長さであっても高い定着強度が得られ、補強筋3dの抜けが防止される。
【0035】
本願発明者は図2に示す定着強度の実験を異形鉄筋の直径の5倍の定着長さで行った。その結果、この異形鉄筋はコンクリート強度600kg/cm2の場合、鉄筋強度8000kg/cm2まで定着可能であった。
【0036】
また、補強筋3dに重なり合うように挿通した補強筋3aは、穿孔部16aから見て補強筋3dと点対称となっているため、可逆的な動作(他方の鉄筋に応力がかかった場合など)が可能である。従って、補強筋3aの定着強度についての説明は省略する。
【0037】
なお、圧縮力Cは、ウエッブ鋼板15に対し斜めに作用するため、ウエッブ鋼板面に平行な分力を生じ、コンクリートは、ウエッブ鋼板表面で滑ろうとする。このため、ウエッブ鋼板15から突出したフランジ鋼板17,17が無い場合には、発生する圧縮力は非常に小さくなり、本発明の効果は得られない。
【0038】
この実施の形態の構成によれば、コンクリート打設後、ウエッブ鋼板15に挿入した補強筋先端部αの定着部分が、ウエッブ鋼板15の上下端部にある2枚以上のフランジ鋼板17,17によって拘束されているコンクリート中に定着される。その結果、補強筋先端部αの定着部分が大きな定着耐力を有し、せん断補強性能を発揮するので、溶接作業が省略でき、補強筋の配筋・組立工程も簡略化できる。
【0039】
[別の実施の形態]
本発明の柱梁結合部補強方法を適用した別の実施の形態を図3に基づき説明する。なお、この別の実施の形態は、リング状に柱鉄骨20を包含する1セットの補強筋を2重に配筋して柱梁接合部のせん断補強強化を図る場合を示す。また、図3に付された符号が図1の符号と同一であるものは、同一機能を有するものなので、その説明を省略する。
【0040】
図3の柱梁接合部では、リング状の1セットの補強筋がコ字型に成形された補強筋4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを8本組み合わせて構成される。補強筋4a〜4hは、表面に凹凸が形成された異形鉄筋を用いる。
【0041】
四方向より柱鉄骨20と接続する梁鉄骨30のウエッブ鋼板15には、リング状に配筋される補強筋4a〜4hが通過する位置に、それぞれ穿孔部16a,16b,16c,16dが形成されている。また、柱鉄骨20の平板10,10,11,11には、リング状に配筋される補強筋4a〜4hが通過する位置に、それぞれ穿孔部18a,18b,18c,18dが形成されている。この穿孔部16a〜16dおよび穿孔部18a〜18dの孔径は、補強筋4a〜4hの直径の2.7倍である。
【0042】
補強筋4a〜4hは、隣接する平板10,11およびウエッブ鋼板15の穿孔部に亘って挿入されている。例えば、補強筋4aは、3本の主筋14の外側から穿孔部16aと穿孔部18aに亘って両方に挿入されている。また、コ型鉄筋4hは、3本の主筋14の外側から穿孔部16aと穿孔部18aに亘って両方に挿入されている。
【0043】
また、補強筋4a,4hは、平板10及びウエッブ鋼板15を挟んで穿孔部16a,18aの双方から補強筋4a,4hの先端部を互いに重なり合うように挿通されている。
【0044】
そして、平板10及びウエッブ鋼板15を越えて挿通した補強筋4a,4hの先端部の定着長さは、補強筋4a,4hの直径の5倍の長さに設定する。
なお、別の実施の形態の施工手順及び補強筋の定着強度についての説明は、前述の実施の形態と同様なので省略する。
【0045】
以上、別の実施の形態の構成によれば、図1に示す実施の形態の作用効果に加えて、補強筋を2重に配筋できるから、図1の実施の形態より補強量を多くでき、柱梁接合部の性能を高めることができる。
【0046】
上述の実施の形態では、穿孔部の孔径を補強筋の直径の2.7倍に設定した場合で説明したが、穿孔部の孔径は補強筋をウエッブ鋼板の両側から挿通する作業性を考慮して補強筋の直径の2.5倍から3倍の範囲内で適切に設定することができる。また、上述の実施の形態では、補強筋先端部の定着長さを補強筋の直径の5倍に設定した場合で説明したが、補強筋先端部の定着長さは使用する補強筋強度とコンクリート強度に応じて補強筋の直径の5倍から10倍の範囲内で適切に設定することができる。なお、定着長さが補強筋の直径の10倍を越えると、補強筋の先端部が構造物内に収まらなくなるおそれがあり、収まらない先端部分を折り曲げる等余分な工程が生じて組立・配筋工程の簡略化に逆行するので、定着長さは補強筋の直径の10倍を越えない範囲で設定する。
【0047】
さらに、上述の実施の形態では、梁鉄骨の断面形状として、H型の形鋼を用いた場合を説明したが、梁鉄骨の断面形状はフランジの形成位置によってI型であってもキ型であってもよい。さらにまた、上述の実施の形態では、フランジ部をウエッブ鋼板の端部に設けた場合を説明したが、フランジ部をウエッブ鋼板の途中に設けても良く、また対向ではなく四方に設ければ更に強力な鉄筋定着効果が期待できる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、補強筋を複数の穿孔部に亘って挿通させるとともに、穿孔部を越えた補強筋先端を規定の長さだけ互いに重なり合うように挿通させる作業により配筋作業ができ、従来行われていた補強筋の溶接作業を省略できるため、施工性を大幅に改良できる。
【0049】
また本発明によれば、補強筋をウエッブ鋼板の穿孔部に挿入するだけであり、挿入長さも短いため補強筋の配筋・組立工程を簡略化できる。
さらに本発明によれば、配筋・組立が容易なため、補強筋の数を増やしたり、径を大きくして補強筋量を多くして柱梁接合部の構造性能を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る方法で施工した柱梁接合部の内部構造を示す横断面図である。
【図2】本実施の形態に係る方法で施工した補強筋の定着原理を示す部分的な縦断面図である。
【図3】別の実施の形態に係る方法で施工した柱梁接合部の内部構造を示す横断面図である。
【図4】従来の方法で施工した鉄骨鉄筋コンクリート造柱梁接合部を示す斜視図である。
【図5】従来の方法で施工した鉄骨鉄筋コンクリート造柱梁接合部を示す横断面図である。
【図6】従来の方法で施工した鉄骨鉄筋コンクリート造柱梁接合部を示す横断面図である。
【符号の説明】
3a〜3d…補強筋
4a〜4h…補強筋
10,11…平板
12…フランジ鋼板
13…補強筋
14…主筋
15…ウエッブ鋼板
17…フランジ鋼板
20…柱鉄骨
30…梁鉄骨
16a〜16d…穿孔部
18a〜18d…穿孔部
40…コンクリート
41…骨材
α…定着長さ
Claims (2)
- ウエッブ鋼板の上下端部をフランジ鋼板で挟着させて成る複数の梁鉄骨と柱鉄骨とを交差させ、その周囲に柱鉄筋を配置して柱梁接合部を形成し、前記梁鉄骨のウエッブ鋼板に穿孔部を形成し、この穿孔部に補強筋を挿通させて前記柱梁接合部の周囲をリング状に配筋し、前記柱梁接合部および前記配筋した補強筋の外周部にコンクリートを打設する鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法において、
前記補強筋として表面に凹凸を形成した異形鉄筋を用い、
前記穿孔部の孔径を前記補強筋の直径の2.5倍から3倍に形成し、
前記補強筋を少なくとも2カ所の前記穿孔部に亘って挿通させると共に、前記補強筋の先端同士を前記穿孔部の左右から各1つの前記穿孔部において互いに重なり合うように挿通させ、
前記ウエッブ鋼板を越えた補強筋先端の定着長さを前記補強筋の直径の5倍から10倍の長さに設定し、
前記コンクリート打設後、前記ウエッブ鋼板に挿入した前記補強筋先端の定着部が、前記ウエッブ鋼板の上下端部にあるフランジ鋼板によって拘束されているコンクリート中に定着される
ことを特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法。 - 前記穿孔部に亘って挿通させる補強筋をL字型あるいはコ字型に成形した請求項1記載の鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱梁接合部補強方法。
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