JP2926157B2 - 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法 - Google Patents

膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法

Info

Publication number
JP2926157B2
JP2926157B2 JP7023033A JP2303395A JP2926157B2 JP 2926157 B2 JP2926157 B2 JP 2926157B2 JP 7023033 A JP7023033 A JP 7023033A JP 2303395 A JP2303395 A JP 2303395A JP 2926157 B2 JP2926157 B2 JP 2926157B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
expanded graphite
tape
sealing material
width direction
molded body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP7023033A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08219287A (ja
Inventor
隆久 上田
優 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Pillar Packing Co Ltd
Original Assignee
Nippon Pillar Packing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Pillar Packing Co Ltd filed Critical Nippon Pillar Packing Co Ltd
Priority to JP7023033A priority Critical patent/JP2926157B2/ja
Publication of JPH08219287A publication Critical patent/JPH08219287A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2926157B2 publication Critical patent/JP2926157B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)
  • Sealing Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば高温かつ高圧
下で使用される各種流体機器のシールに適した膨張黒鉛
製リング状シール材およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種のリング状シール材として、従来
より、図22に示すように、膨張黒鉛テープ101を渦
巻き状に巻き重ね、この巻重体をテープ101の幅方向
から加圧成形してなるダイモールドパッキン102単体
のもの(従来品1)(実開昭61−186866号公報
参照)、図23に示すように、上記ダイモールドパッキ
ン102のテープ幅方向の両端面にそれぞれラミネート
パッキン103,103を配設したもの(従来品2)
(実開昭61−186866号公報参照)、図24に示
すように、ダイモールドパッキン102のテープ幅方向
の両端面にそれぞれ金属線交絡体(ニットメッシュ)1
04,104を配置接合したもの(従来品3)(実開昭
58−189856号公報参照)、図25に示すよう
に、上記ダイモールドパッキン102の両端面に編組パ
ッキン105、105を配置してパッキンリングセット
を構成したもの(従来品4)、あるいは、図26に示す
ように、上記ダイモールドパッキン102の角部に切り
欠き106aを有する断面L形の補強用金属帯106を
一体化したもの(従来品5)(実開昭61−11062
号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の
従来のシール材のうち、図22に示すような膨張黒鉛テ
ープ101の巻重体をテープ幅方向から加圧成形しただ
けのダイモールドパッキン102単体(従来品1)の場
合は、パッキン押えにより変形して、隙間へのはみ出し
が発生するのみならず、テープ101間に形成される微
少な隙間からの流体の浸透漏れも発生するといったよう
に、シール性能の面で十分でない。このようなダイモー
ルドパッキン102単体の場合のシール性能の不十分さ
を補うために、ダイモールドパッキン102の両端面に
ラミネートパッキン103,103を配置してなる図2
3に示す従来品2の場合は、図27に示すように、たと
えば弁棒107に外嵌してパッキン押え(図示せず)で
締め付けた際、締付方向の加圧力V2の変換によって発
生する径方向の加圧力V2aが小さい上に、ラミネート
パッキン103,103自体の径方向への変形挙動が小
さくて弁棒107の外周面に対する密着力・親和力(な
じみ力)が弱いために、弁棒107の外周面との間にす
き間108が発生することは避けられず、そのすき間1
08にダイモールドパッキン102がはみ出すことにな
り、十分なシール性能が得られない。
【0004】また、図24〜図26に示す他の従来品3
〜5の場合は、ダイモールドパッキン102とは別に、
金属線交絡体104、編組パッキン105、あるいは、
金属帯106を併用するものであるから、組み付け時な
どに弁棒107などを傷付けるおそれがあるとともに、
従来品1に比べては多少改善されるものの、流体の浸透
漏れの発生は避けられず、さらに、従来品2〜5では、
ダイモールドパッキン102と他の部材との組み合せが
煩雑で製造工数も多く、コスト的に高価なものになりや
すい。また、ダイモールドパッキン102と編組パッキ
ン105,105とを組み合せ使用する従来品4の場合
は、耐熱性の低下が発生するという問題を有している。
これら従来品1〜5それぞれのもつ問題点を一覧表に纏
めてみると、図28のようになる。同図において、菱形
の印を記入したところが各従来品がもつ問題点である
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、膨張黒鉛テープからなるリング状成形体のはみ出し
だけでなく、内部層間のすき間を通しての浸透漏れを有
効に防止でき、しかも製造が容易で安価に製作でき、ま
た、相手部材の傷付けも防止することができ、さらに相
手部材との密着力・親和力(なじみ力)もよい膨張黒鉛
製リング状シール材およびその製造方法を提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明に係る膨張黒鉛製リング状シール材
は、膨張黒鉛テープを渦巻き状に巻き重ね、この巻重体
をテープ幅方向から加圧成形してリング状成形体を構成
させてなる膨張黒鉛製リング状シール材であって、上記
成形体の内周側および外周側における、テープ幅方向
両端角部のうち、少なくとも一箇所において、その周
面側テープ層の幅方向の端部を上記成形体のテープ幅方
向の端面側に向って傾斜状態に折曲形成したことを特徴
とするものである。
【0007】上記構成の膨張黒鉛製リング状シール材に
おいて、上記折曲部としては、使用機器の構造等に応じ
て請求項2〜で示す構成のものを適宜選択すればよ
い。
【0008】また、上記リング状成形体は、請求項
ようにテープ幅方向の少なくとも一方の端面を径方向で
傾斜させたものであってもよい。
【0009】さらに、請求項のように、膨張黒鉛テー
プからなるダイモールドパッキンとでパッキンリングセ
ットを構成させるようにしてもよい。
【0010】さらにまた、請求項のように、上記成形
体における同一端面側の内周側折曲部と外周側折曲部と
を互いに連結させてもよい。
【0011】また、上記成形体の角部に形成される折曲
部は、請求項10のように、該成形体における最内層ま
たは最外層のテープを含む複数層のテープで構成するの
が好ましい。
【0012】上記膨張黒鉛テープとしては、請求項11
のように、膨張黒鉛単体で構成したものの他に、膨張黒
鉛単体にメッシュ、箔、フィルムもしくは織物などを複
合したもので構成してもよい。
【0013】また、請求項12の発明に係る膨張黒鉛製
リング状シール材の製造方法は、膨張黒鉛テープを渦巻
き状に巻き重ねて巻重体を形成する工程と、上記巻重体
を成形金型内に挿入した状態で該巻重体を、加圧面に傾
斜面を有する押し型でテープ幅方向から加圧してリング
状成形体を形成するとともに、上記巻重体の内周側およ
び外周側のうち所定の周側のテープ層の幅方向の端部を
上記押し型の傾斜面により上記成形体の端面に向って傾
斜状態に折り曲げる工程とを具備したものである。
【0014】
【作用】請求項1〜の発明によれば、膨張黒鉛テープ
の渦巻状の巻重体をテープ幅方向から加圧成形してなる
リング状成形体の所定の角部において、テープの幅方向
の端部を該成形体の端面側に向って傾斜状態に折り曲げ
たので、パッキン押えの押圧力によって傾斜状態の折曲
部がより傾くように変形したり平に変形したりし、これ
によってシール材の相手部材側への変形が促進されて、
相手部材との密着力・親和力(なじみ力)を良好にする
ことができる。また、この折曲部によって内部層間漏洩
を極力抑制することができるうえ、折曲部が補強作用と
して働くので、上記成形体が相手部材との間のすき間か
らはみ出すのが防止され、優れたシール効果が発揮され
る。また、上記膨張黒鉛テープからリング状成形体を形
成しているので、耐熱性も十分に確保されるとともに、
折曲部は膨張黒鉛テープの一部であり、金属交絡体など
を使用するような組み合せの煩雑さもなくなるうえ、シ
ール材の組付時などに相手部材を傷めるおそれも解消さ
れる。さらに、請求項の発明のように、上記成形体の
同一端面側の折曲部同志を連結してあると、上記内部層
間漏洩などを一層確実に防止させることができる。ま
た、請求項10の発明のように、上記折曲部を複数層の
テープで構成してあると、該折曲部による補強作用が一
層有効に発揮される。さらに、請求項11の発明のよう
に、膨張黒鉛以外のものを複合することで、摺動面の強
度を向上させたり、摩擦係数を低下させることができ
る。
【0015】また、請求項12の発明によれば、膨張黒
鉛テープの渦巻状に巻き重ね、この巻重体を成形金型に
挿入して押し型で加圧するだけで、容易に上記リング状
成形体の角部に傾斜状態の折曲部を形成することができ
る。
【0016】
【実施例】以下、実施例を図面にもとづいて説明する。 実施例1: 図1は本発明の実施例1による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、同図において、1は所
定幅の膨張黒鉛単体のテープ2を渦巻き状に巻き重ねた
巻重体2W(図11)をテープ幅方向から加圧成形して
なるリング状成形体(ダイモールド体)であり、この成
形体1の内周側のテープ幅方向の両端角部1a,1bお
よび外周側のテープ幅方向の両端角部1c,1dのう
ち、上記内周側の一端角部1bには、最内層を含む内周
側の複数層のテープ2の幅方向の他端部2bが該成形体
1のテープ幅方向の他方の端面1B側に向って傾斜状態
に折り曲げられており、また、上記外周側の他端角部1
cにも、最外層を含む外周側の複数層のテープ2の幅方
向の一端部2cが該成形体1のテープ幅方向の一方の端
面1A側に向って傾斜状態に折り曲げられたものであ
る。
【0017】実施例2: 図2は本発明の実施例2による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例2における
リング状成形体1には、内周側の他端角部1aに、上記
最内層を含む内周側の複数層のテープ2の幅方向の一端
部2aが該成形体1の一方の端面1A側に向って傾斜状
態に折り曲げられている一方、上記外周側の他端角部1
cにも、最外層を含む外周側の複数層のテープ2の幅方
向の一端部2cが該成形体1のテープ幅方向の一方の端
面1A側に向って傾斜状態に折り曲げられたものであ
る。
【0018】実施例3: 図3は実施例3による膨張黒鉛製リング状シール材を示
す一部の斜視図であり、この実施例3におけるリング状
成形体1には、上記外周側の他端角部1cにのみ、最外
層を含む外周側の複数層のテープ2の幅方向の一端部2
cが該成形体1の一方の端面1A側に向って傾斜状態に
折り曲げられたものである。
【0019】実施例4: 図4は本発明の実施例4による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例4における
リング状成形体1には、上記内周側の他端角部1aおよ
び外周側の他端角部1cにそれぞれ、上記テープ2の幅
方向の各一端部2a,2cが該成形体1の一方の端面1
A側に向って傾斜状態に折り曲げられている一方、上記
外周側の一端角部1dに、最外層を含む外周側の複数層
のテープ2の幅方向の他端部2dが該成形体1のテープ
幅方向の他方の端面1B側に向って傾斜状態に折り曲げ
られたものである。
【0020】実施例5: 図5は本発明の実施例5による膨張黒鉛製リング状シー
ル材をブッシュ状パッキンに適用して示す一部の斜視図
であり、この実施例5におけるリング状成形体1には、
上記内周側の両端角部1a,1bにそれぞれ、上記テー
プ2の幅方向の両端部2a,2bが該成形体1の両端面
1A,1B側に向ってそれぞれ傾斜状態に折り曲げらて
いる一方、上記外周側の他端角部1cに、上記テープ2
の幅方向の一端部2cが該成形体1の端面1B側に向っ
て傾斜状態に折り曲げられたものである。
【0021】実施例6: 図6は本発明の実施例6による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例6では、上
記実施例1と同様に、内周側の一端角部1bおよび外周
側の他端角部1cにそれぞれ、テープ2の傾斜折曲部2
b,2cが形成されており、さらに、上記リング状成形
体1の両端面1A,1Bが径方向で一定角度θだけ傾斜
するように構成したものである。
【0022】実施例7: 図7は本発明の実施例7による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す半分断面図であり、この実施例7において
は、膨張黒鉛テープからなるダイモールドパッキン10
2,102のテープ幅方向の両端に上記実施例2に示し
た構成のシール材11,11を配置してパッキンリング
セット21を構成させたものである。
【0023】実施例8: 図8は本発明の実施例8による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例8において
は、内周側のテープ2の一端傾斜折曲部2aと外周側の
テープ2の一端傾斜折曲部2cとを互いに係止連結する
ことにより、リング状成形体1の一方の端面1Aを被覆
し、さらに、内周側のテープ2の他端傾斜折曲部2bと
外周側のテープ2の他端傾斜折曲部2dとを互いに係止
連結することにより、上記成形体1の他方の端面1Bを
被覆したものである。このリング状成形体1には、図9
に示すように、長手方向の両端部2e,2fが他の部位
2gよりも幅広に形成された膨張黒鉛テープ2が使用さ
れており、上記幅広部分2e,2fの幅方向寸法は、上
記成形体1の両端面1A,1Bをそれぞれ被覆できる程
度に設定されている。なお、上記テープ2には、その表
面にコルゲート加工によるしわ部2hが形成されてお
り、該テープ2の巻き重ね時の変形性の向上を図ってい
る。また、図9のように、内周部を形成する部分のテー
プ2eはその表面にPTFEフィルム2iをラミネート
しており、これによりリング状シール材を構成した場
合、内周面およびリング端面の一部にPTFEフィルム
が露出することで摺動面の強化と摺動特性の向上を図る
ことができる。
【0024】実施例9: 図10は本発明の実施例9による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図であり、この実施例9におけ
るリング状成形体1のテープ幅方向の一端面1Aは、外
周側のテープ2の一端傾斜折曲部2cによって全域が被
覆される一方、他端面1Bは、内周側のテープ2の他端
傾斜折曲部2bによって全域が被覆されている。
【0025】つぎに、本発明による膨張黒鉛製リング状
シール材の製造方法について、図2に示した実施例2の
リング状シール材を例にして説明する。まず、厚さが
0.38mm、幅が16mmの膨張黒鉛テープ2を用意し、
このテープ2の所定量を図11に示すように、渦巻き状
に重ねる。この巻重体2Wを、芯型Ma、外型Mb,底
型Mcを有する成形金型M内に挿入する。そして、加圧
面に下方側に向うにつれて径大となる外周および内周側
傾斜面Na,Nbを有する押し型N1を上記成形金型M
にセットする。
【0026】この状態で、図12に示すように、上記押
し型N1を油圧プレスを使用して上記巻重体2Wをテー
プ幅方向から加圧させると、この巻重体2Wの全体がリ
ング状成形体1として成形されるとともに、その内周側
の複数層のテープ2の一方の端部2aが上記押し型N1
の内周側傾斜面Naで押圧されて外周側に向って斜めに
折り曲げられる一方、巻重体2Wの外周側の複数層のテ
ープ2の一方の端部2cが上記押し型N1の外周側傾斜
面Nbで押圧されて外周側に向って斜めに折り曲げられ
る。これによって、内径が32mm、外径が48mm、厚さ
が8mmのリング状シール材が製作される。
【0027】上記のようにして製作されたリング状シー
ル材は、リング状成形体1の角部1a〜1dのうちの少
なくとも一箇所に傾斜折曲部2a(2b)(2c)(2
d)を形成したことにより、該成形体1の内部層間のす
き間を通しての浸透漏れが抑制される。さらに、図13
に示すように、弁棒のような相手部材Xに組み込んで使
用した時に、例えば傾斜折曲部2aが平に変形するほど
のテープ幅方向の加圧力V1を加えたとき、これよって
発生する径方向の加圧力V1aは上記V1とほぼ同等の
大きさとなり、相手部材Xに良好に密着し、相手部材X
とのなじみが非常によいとともに、上記傾斜折曲部2a
の補強作用により、上記成形体1の一部がはみ出すこと
が有効に防止され、これらによって、シール性能の向上
を図ることができる。なお、上記傾斜折曲部2a〜2d
はテープ2の単層のみで成形したものであってもよい
が、複数層のテープ2から成形することにより、補強性
が高められる。
【0028】特に、図8に示した実施例8のように、上
記成形体1の一方の端面1A側の傾斜折曲部2a,2c
同士ならびに他方の端面1B側の傾斜折曲部2b,2d
同士をそれぞれ係止連結した構成とする場合は、上記浸
透漏れおよび成形体1のはみ出しを一層確実に防止する
ことができ、また、図7に示した実施例7のように、ダ
イモールドパッキン102と併用してパッキンリングセ
ット21を構成する場合には、ダイモールドパッキン1
02のはみ出しなどが有効に防止される。
【0029】また、上記膨張黒鉛テープ2による成形体
1であるので、耐熱性が十分に確保されるうえ、金属線
交絡体や金属帯などを使用しないので、組付け時などに
相手部材Xを傷付けるおそれもなくなる。さらに、上記
金属線交絡体などを組み付けるような煩雑さから解放さ
れ、単一パッキンとして手軽に使用すること可能とな
る。
【0030】また、上記膨張黒鉛テープ2を渦巻状に巻
き重ね、この巻重体2Wをテープ幅方向から加圧成形す
るだけで、上記リング状成形体1とともに傾斜折曲部2
a(2b)(2c)(2d)を形成できるので、製造工
数が少なくなり、製作コストの低減を図ることができ
る。なお、上記傾斜折曲部2a〜2dの形成箇所は、使
用機器の構造に応じて適宜に選択すればよい。上記実施
例1〜7の膨張黒鉛製リング状シール材それぞれについ
ての効果を一覧表に纏めてみると、図14のようになる
ことが確認できた。
【0031】なお、上記各実施例では、膨張黒鉛テープ
2として、膨張黒鉛単体テープから構成されたものにつ
いて使用したが、膨張黒鉛単体テープの表面もしくは内
部に、メッシュ、箔、フィルム、織物などを選択してラ
ミネート、ヨロイ巻き等の形態で複合化したものであっ
てもよい。メッシュ、箔、フィルム、織物に使用する繊
維材料としては、ステンレス、銅、インコネル、モネ
ル、アルミ等の金属、アラミド、PTFE、ポリイミ
ド、フェノール等の有機物、炭素、セラミック等の無機
物が使用される。また、膨張黒鉛テープ2の巻重体2W
の内周部、中間部および外周部で材質が異なるようにし
たもの、あるいは、異なるテープ幅の複数の膨張黒鉛テ
ープを使用して渦巻状に巻き重ねたものであってもよ
い。
【0032】また、上記リング状成形体1の表面もしく
は内部に、潤滑油あるいはPTFE、二硫化モリブデン
などの固体潤滑材を少量添加するようにしてもよい。
【0033】図15は本発明のリング状シール材のはみ
出し量の試験装置を示すものであり、上記シール材とし
ての供試パッキンPを型Q内に挿入し、押し型Nで上記
パッキンPをその傾斜状態の折曲部が平に変形するまで
押圧するように構成されている。供試パッキンPとし
て、実施例1のシール材を使用し、内径の半径すき間δ
が0.15mm、0.25mm、0.5mmの3種の押
し型Nにより、上記供試パッキンPを500kg/cm
2 、750kg/cm2 、1000kg/cm2 でそれ
ぞれ加圧した。従来品1,2についても、同様の試験を
行なった。その試験結果を図16に示す。この試験結果
から明らかなように、実施例1のものは、従来品1,2
に比して、はみ出し量が著しく小さくなることが判っ
た。
【0034】図17〜19は本発明による膨張黒鉛製リ
ング状シール材をバルブ用シールに使用した例を示す。
図17は、パッキンボックス31と弁棒32との間の環
状空間33内に、実施例1のシール材11および実施例
2のシール材12を嵌入し、これらシール材11,12
をパッキン押え34を介して締付ボルト35とナット3
6とにより締め付けたものであり、また図18は、上記
環状空間33内に、実施例5のシール材15を嵌入した
ものである。さらに図19は、上記環状空間33内に、
実施例1,2の各シール材11,12および一般的なダ
イモールドパッキン102を挿入したものである。これ
らいずれの使用例においても、パッキンボックス31と
弁棒32との間のすき間37からシール材11,12、
15がはみ出すことを十分に抑制することが可能であっ
た。また、パッキンボックス31の内周面と弁棒32の
外周面との密着力・親和力も良好であった。
【0035】図20は本発明による膨張黒鉛製リング状
シール材をバルブボンネット部のプレッシャーシールリ
ングとして使用した例を示す。同図において、弁棒41
の外周側に配設され、かつ弁箱42側のフランジ43に
ボルト44を介して固定された蓋体45の外周側と上記
弁箱42の内周側との間の環状空間46に、上記実施例
4のシール材14と一般的なダイモールドパッキン10
2とを嵌入し、上記ボルト44により、上記シール材1
4と上記パッキン102とを弁箱42の内周側の割りリ
ング47に締め付けるようにしたものである。48,4
9は上記フランジ43を弁箱42に固定するためのボル
トおよびナットである。この場合も、上記弁箱42の内
周側と蓋体45の外周側との間のすき間50に上記シー
ル材14がはみ出すことはなく、また、弁箱42の内周
と蓋体45の外周との密着力・親和力もよく、有効なシ
ール性が確保されていた。
【0036】図21は本発明による膨張黒鉛製リング状
シール材をフランジガスケットとして使用した例を示
す。同図において、下側フランジ61における上側フラ
ンジ62との対向面に形成された環状凹所63に実施例
2のシール材12を嵌入し、両フランジ61,62をボ
ルト64およびナット65で締付固定して、上側フラン
ジ62側の環状突部62aで上記シール材12を押圧す
るようにしてある。この場合も、上記凹所63の内周面
と突部62aの外周面との間のすき間66から上記シー
ル材12がはみ出すおそれもなく、また、凹所63の内
面と突部62aの外周面との密着力・親和力もよく、有
効なシール性を確保した状態で使用することができた。
【0037】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜の発明によ
れば、膨張黒鉛テープの渦巻状の巻重体をテープ幅方向
から加圧してなるリング状成形体の内周側および外周側
における、テープ幅方向の両端角部のうち少なくとも
一箇所に、周面側テープ層の幅方向の端部を該成形体
のテープ幅方向の端面に向って傾斜状態に折り曲げた折
曲部を形成したので、パッキン押えの押圧力によって傾
斜状態の折曲部をより傾くように変形したり或いは平に
変形したりし、これによってシール材の相手部材側への
変形が促進されて、相手部材との密着力・親和力(なじ
み力)を良好にすることができる上、上記成形体の内部
層間のすき間を通しての浸透漏洩を抑止することがで
き、さらに、上記傾斜折曲部の補強作用によって上記成
形体のすき間へのはみ出す現象も有効に防止することが
できる。したがって、締付け力の大小に関係なく、非常
に優れたシール性能を確実に発揮させることができる。
また、膨張黒鉛テープから上記成形体および傾斜折曲部
を形成しているので、耐熱性も十分に確保でき、さら
に、金属線交絡体や金属帯などを付設したもののよう
に、組付け時などにおいて弁棒などの相手部材を傷付け
るおそれもなく、取り扱い性も容易となる。特に、請求
のように、上記成形体の同一端面側に位置する内周
側の傾斜折曲部と外周側の傾斜折曲部とを互いに連結す
れば、上記浸透漏れおよびすき間へのはみ出し防止効果
を一層有効にすることができ、さらに、請求項10のよ
うに、上記傾斜折曲部を複数層のテープから構成すれ
ば、該折曲部の強度を高めてすき間へのはみ出し防止効
果をより向上することができる。さらにまた、請求項
のように、膨張黒鉛に加えて他のテープ材料を複合す
ることにより、角部や摺動面の強度を高め、はみ出し防
止効果をより向上させたり、摩擦係数を下げてシール寿
命を向上させることができる。
【0038】また、請求項12の発明によれば、膨張黒
鉛テープの渦巻状の巻重体を用意し、この巻重体を成形
金型および押し型を用いて加圧成形するだけで、リング
状成形体および傾斜折曲部を容易に形成することがで
き、シール性能に優れたリング状シール材を安価に製作
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図2】本発明の実施例2による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図3】実施例3による膨張黒鉛製リング状シール材を
示す一部の斜視図である。
【図4】本発明の実施例4による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図5】本発明の実施例5による膨張黒鉛製リング状シ
ール材をブッシュ状パッキンに適用した例を示す一部の
斜視図である。
【図6】本発明の実施例6による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図7】本発明の実施例7による膨張黒鉛製リング状シ
ール材をダイモールドパッキンと併用したパッキンリン
グセットを示す半分縦断面図である。
【図8】本発明の実施例8による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図9】実施例8のシール材に使用される膨張黒鉛テー
プを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例9による膨張黒鉛製リング状
シール材を示す一部の斜視図である。
【図11】本発明の膨張黒鉛製リング状シール材の製造
方法に適用される成形金型内に膨張黒鉛テープの巻重体
を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図12】同上巻重体を押し型で加圧した状態を示す縦
断面図である。
【図13】本発明の膨張黒鉛製リング状シール材の要部
の作用説明図である。
【図14】本発明の各実施例のシール材の効果を示す図
表である。
【図15】同上シール材のはみ出し量の試験装置の概要
を示す縦断面図である。
【図16】図15によるはみ出し量の試験結果を従来品
と対比して示す図表である。
【図17】本発明の実施例1および2のシール材をバル
ブ用パッキンとして使用した例を示す縦断面図である。
【図18】本発明の実施例5のシール材をバルブ用パッ
キンとして使用した例を示す縦断面図である。
【図19】本発明の実施例1および2のシール材をバル
ブ用パッキンとして使用した例を示す縦断面図である。
【図20】本発明の実施例4のシール材をバルブボンネ
ット部におけるプレッシャーシールリングとして使用し
た例を示す縦断面図である。
【図21】本発明の実施例2のシール材をフランジガス
ケットとして使用した例を示す縦断面図である。
【図22】従来の膨張黒鉛製リング状シール材の一例を
示す一部の斜視図である。
【図23】従来の膨張黒鉛製リング状シール材をラミネ
ートパッキンとの併用状態で示す縦断面図である。
【図24】従来の膨張黒鉛製リング状シール材の他の例
を示す一部の斜視図である。
【図25】従来の膨張黒鉛製リング状シール材を編組パ
ッキンとの併用状態で示す縦断面図である。
【図26】従来の膨張黒鉛製リング状シール材のさらに
他の例を示す一部の斜視図である。
【図27】従来のシール材の要部の作用説明図である。
【図28】従来の各シール材の問題点を示す図表であ
る。
【符号の説明】
1 成形体 1A,1B 成形体の端面 1a〜1d 成形体の角部 2 膨張黒鉛テープ 2a〜2d 傾斜折曲部 2W 巻重体 21 パッキンリングセット 102 ダイモールドパッキン M 成形金型 N1 押し型 Na,Nb 傾斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 15/00 F16J 15/10 F16J 15/22 F16J 15/24

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨張黒鉛テープを渦巻き状に巻き重ね、
    この巻重体をテープ幅方向から加圧成形してリング状成
    形体を構成させてなる膨張黒鉛製リング状シール材であ
    って、上記成形体の内周側および外周側における、テー
    プ幅方向両端角部のうち、少なくとも一箇所におい
    て、その周面側テープ層の幅方向の端部を上記成形体の
    テープ幅方向の端面側に向って傾斜状態に折曲形成した
    ことを特徴とする膨張黒鉛製リング状シール材。
  2. 【請求項2】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側ではテープ幅方向の一端角部に形成され、かつ、外周
    側ではテープ幅方向の他端角部に形成されている請求項
    1の膨張黒鉛製リング状シール材。
  3. 【請求項3】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側および外周側のテープ幅方向で同一の一端角部にそれ
    ぞれ形成されている請求項1の膨張黒鉛製リング状シー
    ル材。
  4. 【請求項4】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側ではテープ幅方向の一端角部に形成され、かつ、外周
    側ではテープ幅方向の両端角部にそれぞれ形成されてい
    る請求項1の膨張黒鉛製リング状シール材。
  5. 【請求項5】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側ではテープ幅方向の両端角部にそれぞれ形成され、か
    つ、外周側ではテープ幅方向の一端角部に形成されてい
    る請求項1の膨張黒鉛製リング状シール材。
  6. 【請求項6】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側および外周側でともにテープ幅方向の両端角部にそれ
    ぞれ形成されている請求項1の膨張黒鉛製リング状シー
    ル材。
  7. 【請求項7】 上記成形体におけるテープ幅方向の少な
    くとも一方の端面を径方向で傾斜させてなる請求項1の
    膨張黒鉛製リング状シール材。
  8. 【請求項8】 膨張黒鉛テープからなるダイモールドパ
    ッキンの両側に重合させることでパッキンリングセット
    を構成するようにした請求項1の膨張黒鉛製リング状シ
    ール材。
  9. 【請求項9】 上記成形体におけるテープ幅方向の同一
    端面側に位置する内周側折曲部と外周側折曲部とを互い
    に連結させてなる請求項1の膨張黒鉛製リング状シール
    材。
  10. 【請求項10】 上記成形体の角部に形成される折曲部
    が、該成形体における最内層または最外層のテープを含
    む複数層のテープからなる請求項1の膨張黒鉛製リング
    状シール材。
  11. 【請求項11】 上記膨張黒鉛テープが、膨張黒鉛単体
    あるいは膨張黒鉛単体にメッシュ、箔、フィルムもしく
    は織物などを複合したもので構成されてなる請求項1の
    膨張黒鉛製リング状シール材。
  12. 【請求項12】 膨張黒鉛テープを渦巻き状に巻き重ね
    て巻重体を形成する工程と、上記巻重体を成形金型内に
    挿入した状態で該巻重体を、加圧面に傾斜面を有する押
    し型でテープ幅方向から加圧してリング状成形体を形成
    するとともに、上記巻重体の内周側および外周側のうち
    所定の周側のテープ層の幅方向の端部を上記押し型の傾
    斜面により上記成形体の端面に向って傾斜状態に折り曲
    げる工程とを具備したことを特徴とする膨張黒鉛製リン
    グ状シール材の製造方法。
JP7023033A 1995-02-10 1995-02-10 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2926157B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7023033A JP2926157B2 (ja) 1995-02-10 1995-02-10 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7023033A JP2926157B2 (ja) 1995-02-10 1995-02-10 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08219287A JPH08219287A (ja) 1996-08-27
JP2926157B2 true JP2926157B2 (ja) 1999-07-28

Family

ID=12099168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7023033A Expired - Fee Related JP2926157B2 (ja) 1995-02-10 1995-02-10 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2926157B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10408350B2 (en) 2015-04-10 2019-09-10 Nippon Pillar Packing Co., Ltd. Gland packing and gland packing manufacturing method
JP7093290B2 (ja) * 2018-11-15 2022-06-29 日本ピラー工業株式会社 グランドパッキン及びパッキン構造

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4607851A (en) * 1977-11-30 1986-08-26 Metex Corporation Method of making composite wire mesh seal
JPH0129315Y2 (ja) * 1985-05-13 1989-09-06
JP2603104B2 (ja) * 1988-05-24 1997-04-23 オイレス工業株式会社 球帯状シール体ならびにその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08219287A (ja) 1996-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5605341A (en) Knitting yarn for gland packing and gland packing made from the knitting yarn
US5188376A (en) Gland packing and method of producing same
KR100190439B1 (ko) 그랜드패킹
US5823542A (en) Spiral wound gasket
JP3439934B2 (ja) うず巻形ガスケットおよびその製造方法ならびに製造方法に用いる巻型
JP2926157B2 (ja) 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法
JP2926156B2 (ja) 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法
US5964468A (en) Anti-buckling spiral wound gasket
JPH0219286B2 (ja)
JPH0811992B2 (ja) フランジ継手構造
JP3163562B2 (ja) うず巻形ガスケットの製造方法
JP3290079B2 (ja) 渦巻形ガスケット
JPH02125907A (ja) 排気管継手
JP2620837B2 (ja) ガスケット
JPH073088Y2 (ja) ブッシュ状パッキン
JPH086813B2 (ja) リング状パッキン
JPH0425670A (ja) リング状パッキンおよびその製造方法
JPH0633964A (ja) 防振装置
JP3335267B2 (ja) うず巻形ガスケットの製造方法
RU2177092C1 (ru) Способ изготовления уплотнения из расширенного графита
JPS624581B2 (ja)
JPH04107363A (ja) パッキン
JPH0330575Y2 (ja)
JP2002039395A (ja) 膨張黒鉛製リングパッキン
JPH10220583A (ja) うず巻形ガスケット

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees