JP2926156B2 - 膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法 - Google Patents

膨張黒鉛製リング状シール材およびその製造方法

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JP2926156B2
JP2926156B2 JP7023032A JP2303295A JP2926156B2 JP 2926156 B2 JP2926156 B2 JP 2926156B2 JP 7023032 A JP7023032 A JP 7023032A JP 2303295 A JP2303295 A JP 2303295A JP 2926156 B2 JP2926156 B2 JP 2926156B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば高温かつ高圧
下で使用される各種流体機器のシールに適した膨張黒鉛
製リング状シール材およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種のリング状シール材として、従来
より、図23に示すように、膨張黒鉛テープ101を渦
巻き状に巻き重ね、この巻重体をテープ101の幅方向
から加圧成形してなるダイモールドパッキン102単体
のもの(従来品1)(実開昭61−186866号公報
参照)、図24に示すように、上記ダイモールドパッキ
ン102のテープ幅方向の両端面にそれぞれラミネート
パッキン103,103を配設したもの(従来品2)
(実開昭61−186866号公報参照)、図25に示
すように、ダイモールドパッキン102のテープ幅方向
の両端面にそれぞれ金属線交絡体(ニットメッシュ)1
04,104を配置接合したもの(従来品3)(実開昭
58−189856号公報参照)、図26に示すよう
に、上記ダイモールドパッキン102の両端面に編組パ
ッキン105、105を配置してパッキンリングセット
を構成したもの(従来品4)、あるいは、図27に示す
ように、上記ダイモールドパッキン102の角部に切り
欠き106aを有する断面L形の補強用金属帯106を
一体化したもの(従来品5)(実開昭61−11062
号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の
従来のシール材のうち、図23に示すような膨張黒鉛テ
ープ101の巻重体をテープ幅方向から加圧成形しただ
けのダイモールドパッキン102単体(従来品1)の場
合は、パッキン押えにより変形して、隙間へのはみ出し
が発生するのみならず、テープ101間に形成される微
少な隙間からの流体の浸透漏れも発生するといったよう
に、シール性能の面で十分でない。このようなダイモー
ルドパッキン102単体の場合のシール性能の不十分さ
を補うために、ダイモールドパッキン102の両端面に
ラミネートパッキン103,103を配置してなる図2
4に示す従来品2の場合は、図28に示すように、たと
えば弁棒107に外嵌してパッキン押え(図示せず)で
締め付けた際、締付方向の加圧力V2の変換によって発
生する径方向の加圧力V2aが小さい上に、ラミネート
パッキン103,103自体の径方向への変形挙動が小
さくて弁棒107の外周面に対する密着力が弱いため
に、弁棒107の外周面との間にすき間108が発生す
ることは避けられず、そのすき間108にダイモールド
パッキン102がはみ出すことになり、十分なシール性
能が得られない。
【0004】また、図25〜図27に示す他の従来品3
〜5の場合は、ダイモールドパッキン102とは別に、
金属線交絡体104、編組パッキン105、あるいは、
金属帯106を併用するものであるから、組み付け時な
どに弁棒107などを傷付けるおそれがあるとともに、
従来品1に比べては多少改善されるものの、流体の浸透
漏れの発生は避けられず、さらに、従来品2〜5では、
ダイモールドパッキン102と他の部材との組み合せが
煩雑で製造工数も多く、コスト的に高価なものになりや
すい。また、ダイモールドパッキン102と編組パッキ
ン105,105とを組み合せ使用する従来品4の場合
は、耐熱性の低下が発生するという問題を有している。
これら従来品1〜5それぞれのもつ問題点を一覧表に纏
めてみると、図29のようになる。同図において、菱形
の印を記入したところが各従来品がもつ問題点である。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、膨張黒鉛テープからなるリング状成形体のはみ出し
だけでなく、内部層間のすき間を通しての浸透漏れを有
効に防止でき、しかも製造が容易で安価に製作でき、ま
た、相手部材の傷付けも防止することができる膨張黒鉛
製リング状シール材およびその製造方法を提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明に係る膨張黒鉛製リング状シール材
は、膨張黒鉛テープを渦巻き状に巻き重ね、この巻重体
をテープ幅方向から加圧成形してリング状成形体を構成
させてなる膨張黒鉛製リング状シール材であって、上記
成形体の内周側および外周側における、テープ幅方向
端角部のうち、少なくとも一箇所において、その周
面側テープ層の幅方向の端部を上記成形体のテープ幅方
向の端面に平行な状態に折曲形成したものである。
【0007】上記構成の膨張黒鉛製リング状シール材に
おいて、上記折曲部を形成する角部としては、使用機器
の構造等に応じて請求項2〜で示す箇所を適宜に選択
することが好ましい。
【0008】また、上記構成の膨張黒鉛製リング状シー
ル材において、請求項のように、上記リング状成形体
におけるテープ幅方向の少なくとも一方の端面を径方向
で傾斜させた構成としてもよい。
【0009】また、上記構成の膨張黒鉛製リング状シー
ル材を請求項のように、膨張黒鉛テープからなるダイ
モールドパッキンの両側に重合させてパッキンリングセ
ットを構成してもよい。
【0010】さらに、上記構成の膨張黒鉛製リング状シ
ール材において、請求項のように、上記成形体におけ
る同一端面側の内周側折曲部と外周側折曲部とを互いに
連結させる構成とすることが好ましい。
【0011】また、上記成形体の角部に形成される折曲
部は、請求項10のように、該成形体における最内層ま
たは最外層のテープを含む複数層のテープで構成するの
が好ましい。
【0012】上記膨張黒鉛テープとしては、請求項11
のように、膨張黒鉛単体あるいは膨張黒鉛単体にメッシ
ュ、箔、フィルムもしくは織物などを複合したもので構
成することが好ましい。
【0013】また、請求項12の発明に係る膨張黒鉛製
リング状シール材の製造方法は、膨張黒鉛テープを渦巻
き状に巻き重ねて巻重体を形成する工程と、上記巻重体
を成形金型内に挿入した状態で該巻重体の内周側および
外周側のうちの所定の周側のテープ層の幅方向の端部
を、加圧面に傾斜面を有する第1の押し型で加圧して上
記巻周体側に向うように斜めに折り曲げる工程と、加圧
面に平坦面を有する第2の押し型で上記巻重体をテープ
幅方向から加圧してリング状成形体を形成するととも
に、上記斜めに折り曲げられた上記端部を上記成形体の
端面に平行状態になるまで折り曲げる工程とを具備した
ものである。
【0014】
【作用】請求項1〜の発明によれば、膨張黒鉛テープ
の渦巻状の巻重体をテープ幅方向から加圧成形してなる
リング状成形体の所定の角部に、テープの幅方向の端部
を該成形体の端面と平行状態に折り曲げた折曲部を形成
したので、この折曲部によって内部層間のすき間を通し
ての浸透漏れを極力抑制することができるうえ、該折曲
部が補強作用として働いて、上記成形体が相手部材との
間に形成されるすき間からはみ出すことが防止され、優
れたシール性能を発揮する。また、上記膨張黒鉛テープ
からリング状成形体を形成しているので、耐熱性も十分
に確保できるとともに、折曲部は膨張黒鉛テープの一部
であり、金属交絡体などを使用するような組み合せの煩
雑さもなくなり、かつ、シール材の組付け時などに相手
部材を傷めるおそれもない。
【0015】また、請求項のように、上記成形体の同
一端面側の折曲部同士を互いに連結する構成とする場合
は、上記内部層間のすき間を通しての浸透漏れなどを一
層確実に防止させることができる。さらに、請求項10
のように、上記折曲部を複数層のテープで構成する場合
は、該折曲部による補強作用が一層有効に発揮される。
さらにまた、請求項11のように、膨張黒鉛以外のもの
を複合する場合は、摺動面の強度を向上させたり、摩擦
係数を低下させることができる。
【0016】また、請求項12の発明によれば、膨張黒
鉛テープの渦巻状の巻重体を形成しておけば、成形金型
と第1および第2の押し型を用いて、容易に上記リング
状成形体の角部に折曲部を形成することができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を図面にもとづいて説明する。 実施例1: 図1は本発明の実施例1による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、同図において、1は所
定幅の膨張黒鉛単体のテープ2を渦巻き状に巻き重ねた
巻重体2W(図11)をテープ幅方向から加圧成形して
なるリング状成形体(ダイモールド体)であり、この成
形体1の内周側のテープ幅方向の両端角部1a,1bお
よび外周側のテープ幅方向の両端角部1c,1dのう
ち、上記内周側の一端角部1bには、最内層を含む内周
側の複数層のテープ2の幅方向の他端部2bが該成形体
1のテープ幅方向の他方の端面1Bに平行な状態に折り
曲げられており、また、上記外周側の他端角部1cに
も、最外層を含む外周側の複数層のテープ2の幅方向の
一端部2cが該成形体1のテープ幅方向の一方の端面1
Aに平行な状態に折り曲げられたものである。
【0018】実施例2: 図2は本発明の実施例2による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例2における
リング状成形体1には、内周側の他端角部1aに、上記
最内層を含む内周側の複数層のテープ2の幅方向の一端
部2aが該成形体1の一方の端面1Aに重合する状態に
折り曲げられている一方、上記外周側の他端角部1cに
も、最外層を含む外周側の複数層のテープ2の幅方向の
一端部2cが該成形体1のテープ幅方向の一方の端面1
Aに平行な状態に折り曲げられたものである。
【0019】実施例3: 図3は実施例3による膨張黒鉛製リング状シール材を示
す一部の斜視図であり、この実施例3におけるリング状
成形体1には、上記外周側の他端角部1cにのみ、最外
層を含む外周側の複数層のテープ2の幅方向の一端部2
cが該成形体1の一方の端面1Aに平行な状態に折り曲
げられたものである。
【0020】実施例4: 図4は本発明の実施例4による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例4における
リング状成形体1には、上記内周側の他端角部1aおよ
び外周側の他端角部1cにそれぞれ、上記テープ2の幅
方向の各一端部2a,2cが該成形体1の一方の端面1
Aに平行な状態に折り曲げられている一方、上記外周側
の一端角部1dに、最外層を含む外周側の複数層のテー
プ2の幅方向の他端部2dが該成形体1のテープ幅方向
の他方の端面1Bに平行な状態に折り曲げられたもので
ある。
【0021】実施例5: 図5は本発明の実施例5による膨張黒鉛製リング状シー
ル材をブッシュ状パッキンに適用して示す一部の斜視図
であり、この実施例5におけるリング状成形体1には、
上記内周側の両端角部1a,1bにそれぞれ、上記テー
プ2の幅方向の両端部2a,2bが該成形体1の両端面
1A,1Bにそれぞれ平行な状態に折り曲げらている一
方、上記外周側の他端角部1cに、上記テープ2の幅方
向の一端部2cが該成形体1の端面1Bに平行な状態に
折り曲げられたものである。
【0022】実施例6: 図6は本発明の実施例6による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例6では、上
記実施例1と同様に、内周側の一端角部1bおよび外周
側の他端角部1cにそれぞれ、テープ2の折曲部2b,
2cが形成されており、さらに、上記リング状成形体1
の両端面1A,1Bが径方向で一定角度θだけ傾斜する
ように構成したものである。
【0023】実施例7: 図7は本発明の実施例7による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す半分断面図であり、この実施例7において
は、膨張黒鉛テープからなるダイモールドパッキン10
2,102のテープ幅方向の両端に上記実施例2に示し
た構成のシール材11,11を配置してパッキンリング
セット21を構成させたものである。
【0024】実施例8: 図8は本発明の実施例8による膨張黒鉛製リング状シー
ル材を示す一部の斜視図であり、この実施例8において
は、内周側のテープ2の一端折曲部2aと外周側のテー
プ2の一端折曲部2cとを互いに係止連結することによ
り、リング状成形体1の一方の端面1Aを被覆し、さら
に、内周側のテープ2の他端折曲部2bと外周側のテー
プ2の他端折曲部2dとを互いに係止連結することによ
り、上記成形体1の他方の端面1Bを被覆したものであ
る。このリング状成形体1には、図9に示すように、長
手方向の両端部2e,2fが他の部位2gよりも幅広に
形成された膨張黒鉛テープ2が使用されており、上記幅
広部分2e,2fの幅方向寸法は、上記成形体1の両端
面1A,1Bをそれぞれ被覆できる程度に設定されてい
る。なお、上記テープ2には、その表面にコルゲート加
工によるしわ部2hが形成されており、該テープ2の巻
き重ね時の変形性の向上を図っている。また、図9に示
すように、内周部を形成する部分2eの表面をPTFE
フィルム2iで巻回する構成とすれば、リング状シール
材としたとき、内周面およびリング端面の一部にPTF
Eフィルムが露出するために、摺動面の強化と摺動特性
の向上を図ることが可能である。
【0025】実施例9: 図10は本発明の実施例9による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図であり、この実施例9におけ
るリング状成形体1のテープ幅方向の一端面1Aは、外
周側のテープ2の一端折曲部2cによって全域が被覆さ
れる一方、他端面1Bは、内周側のテープ2の他端折曲
部2bによって全域が被覆されている。
【0026】つぎに、本発明による膨張黒鉛製リング状
シール材の製造方法について、図2に示した実施例2の
リング状シール材を例にして説明する。まず、厚さが
0.38mm、幅が16mmの膨張黒鉛テープ2を用意し、
このテープ2の所定量を図11に示すように、渦巻き状
に重ねる。この巻重体2Wを、芯型Ma、外型Mb,底
型Mcを有する成形金型M内に挿入する。そして、加圧
面に下方側に向うにつれて径大となる外周および内周側
傾斜面Na,Nbを有する第1の押し型N1を上記成形
金型Mにセットする。
【0027】この状態で、図12に示すように、上記第
1の押し型N1を油圧プレスを使用して上記巻重体2W
をテープ幅方向から加圧させると、この巻重体2Wの内
周側の複数層のテープ2の一方の端部2aが第1の押し
型N1の内周側傾斜面Naで押圧されて外周側に向って
押圧されて斜めに折り曲げられる一方、巻重体2Wの外
周側の複数層のテープ2の一方の端部2cが第1の押し
型N1の外周側傾斜面Nbで押圧されて内周側に押圧さ
れて斜めに折り曲げられる。
【0028】ついで、上記第1の押し型N1に代えて、
図13に示すように、加圧面に平坦面Ncを有する第2
の押し型N2を上記成形金型M内にセットした後、この
押し型N2を油圧プレスを使用して上記巻重体2Wを加
圧すると、リング状成形体1が形成されるとともに、上
記両端部2a,2bが該成形体1の一方の端面1Aにそ
れぞれ平行状態に折り曲げられる。上記のような加圧成
形により、内径が32mm、外径が48mm、厚さが8mmの
リング状シール材が製作される。
【0029】上記のようにして製作されたリング状シー
ル材は、リング状成形体1の角部1a〜1dのうちの少
なくとも一箇所に折曲部2a(2b)(2c)(2d)
を形成したことにより、該成形体1の内部層間のすき間
を通しての浸透漏れが抑制される。さらに、図14に示
すように、弁棒のような相手部材Xに組み込んで使用し
た時に、テープ幅方向の加圧力V1によって発生する径
方向の加圧力V1aが上記V1とほぼ同等の大きさとな
り、相手部材Xに良好に密着するとともに、上記折曲部
2aの補強作用により、上記成形体1の一部がはみ出す
ことが有効に防止され、これらによって、シール性能の
向上を図ることができる。なお、上記折曲部2a〜2d
はテープ2の単層のみで成形したものであってもよい
が、複数層のテープ2から成形することにより、補強性
が高められる。
【0030】特に、図8に示した実施例8のように、上
記成形体1の一方の端面1A側の折曲部2a,2c同士
ならびに他方の端面1B側の折曲部2b,2d同士をそ
れぞれ係止連結した構成とする場合は、上記浸透漏れお
よび成形体1のはみ出しを一層確実に防止することがで
き、また、図7に示した実施例7のように、ダイモール
ドパッキン102と併用してパッキンリングセット21
を構成する場合には、ダイモールドパッキン102のは
み出しなどが有効に防止される。
【0031】また、上記膨張黒鉛テープ2による成形体
1であるので、耐熱性が十分に確保されるうえ、金属線
交絡体や金属帯などを使用しないので、組付け時などに
相手部材Xを傷付けるおそれもなくなる。さらに、上記
金属線交絡体などを組み付けるような煩雑さから解放さ
れ、単一パッキンとして手軽に使用すること可能とな
る。
【0032】また、上記膨張黒鉛テープ2を渦巻状に巻
き重ね、この巻重体2Wをテープ幅方向から加圧成形す
るだけで、上記リング状成形体1と共に折曲部2a(2
b)(2c)(2d)を形成できるので、製造工数が少
なくなり、製作コストの低減を図ることができる。な
お、上記折曲部2a〜2dの形成箇所は、使用機器の構
造に応じて適宜に選択すればよい。上記実施例1〜7の
膨張黒鉛製リング状シール材それぞれについての効果を
一覧表に纏めてみると、図15のようになることが確認
できた。
【0033】なお、上記各実施例では、膨張黒鉛テープ
2として、膨張黒鉛単体テープから構成されたものにつ
いて使用したが、膨張黒鉛単体テープの表面もしくは内
部に、メッシュ、箔、フィルム、織物などを選択してラ
ミネート、ヨロイ巻きなどの形態で複合化したものであ
ってもよい。メッシュ、箔、フィルム、織物に使用する
繊維材料としては、アルミ、ステンレス、銅、インコネ
ル、モネル等の金属、アラミド、PTFE、ポリイミ
ド、フェノール等の有機物、炭素、セラミック等の無機
物が使用される。また、膨張黒鉛テープ2の巻重体2W
の内周部、中間部および外周部で材質が異なるようにし
たもの、あるいは、異なるテープ幅の複数の膨張黒鉛テ
ープを使用して渦巻状に巻き重ねたものであってもよ
い。
【0034】また、上記リング状成形体1の表面もしく
は内部に、潤滑油あるいはPTFE、二硫化モリブデン
などの固体潤滑材を少量添加するようにしてもよい。
【0035】図16は本発明のリング状シール材のはみ
出し量の試験装置を示すものであり、上記シール材とし
ての供試パッキンPを型Q内に挿入し、押し型Nで上記
パッキンPを押圧するように構成されている。供試パッ
キンPとして、実施例1のシール材を使用し、内径の半
径すき間δが0.15mm、0.25mm、0.5mm
の3種の押し型Nにより、上記供試パッキンPを500
kg/cm2 、750kg/cm2 、1000kg/c
2 でそれぞれ加圧した。従来品1,2についても、同
様の試験を行なった。その試験結果を図17に示す。こ
の試験結果から明らかなように、実施例1のものは、従
来品1,2に比して、はみ出し量が著しく小さくなるこ
とが判った。
【0036】図18〜20は本発明による膨張黒鉛製リ
ング状シール材をバルブ用シールに使用した例を示す。
図18は、パッキンボックス31と弁棒32との間の環
状空間33内に、実施例1のシール材11および実施例
2のシール材12を嵌入し、これらシール材11,12
をパッキン押え34を介して締付ボルト35とナット3
6とにより締め付けたものであり、また図19は、上記
環状空間33内に、実施例5のシール材15を嵌入した
ものである。さらに図20は、上記環状空間33内に、
実施例1,2の各シール材11,12および一般的なダ
イモールドパッキン102を挿入したものである。これ
らいずれの使用例においても、パッキンボックス31と
弁棒32との間のすき間37からシール材11,12、
15がはみ出すことを十分に抑制することが可能であっ
た。
【0037】図21は本発明による膨張黒鉛製リング状
シール材をバルブボンネット部のプレッシャーシールリ
ングとして使用した例を示す。同図において、弁棒41
の外周側に配設され、かつ弁箱42側のフランジ43に
ボルト44を介して固定された蓋体45の外周側と上記
弁箱42の内周側との間の環状空間46に、上記実施例
4のシール材14と一般的なダイモールドパッキン10
2とを嵌入し、上記ボルト44により、上記シール材1
4と上記パッキン102とを弁箱42の内周側の割りリ
ング47に締め付けるようにしたものである。48,4
9は上記フランジ43を弁箱42に固定するためのボル
トおよびナットである。この場合も、上記弁箱42の内
周側と蓋体45の外周側との間のすき間50に上記シー
ル材14がはみ出すことはなく、有効なシール性が確保
されていた。
【0038】図22は本発明による膨張黒鉛製リング状
シール材をフランジガスケットとして使用した例を示
す。同図において、下側フランジ61における上側フラ
ンジ62との対向面に形成された環状凹所63に実施例
2のシール材12を嵌入し、両フランジ61,62をボ
ルト64およびナット65で締付固定して、上側フラン
ジ62側の環状突部62aで上記シール材12を押圧す
るようにしてある。この場合も、上記凹所63の内周面
と突部62aの外周面との間のすき間66から上記シー
ル材12がはみ出すおそれもなく、有効なシール性を確
保した状態で使用することができた。
【0039】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜の発明によ
れば、膨張黒鉛テープの渦巻状の巻重体をテープ幅方向
から加圧してなるリング状成形体の内周側および外周側
における、テープ幅方向の両端角部のうち、少なくとも
一箇所に、周面側テープ層の幅方向の端部を該成形体
のテープ幅方向の端面に平行な状態に折り曲げた折曲部
を形成したので、上記成形体の内部層間のすき間を通し
ての浸透漏洩を抑止することができるだけでなく、上記
折曲部の補強作用によって上記成形体のすき間へのはみ
出す現象も有効に防止することができる。したがって、
締付け力の大小に関係なく、非常に優れたシール性能を
確実に発揮させることができる。また、膨張黒鉛テープ
から上記成形体および折曲部を形成しているので、耐熱
性も十分に確保でき、さらに、金属線交絡体や金属帯な
どを付設したもののように、組付け時などにおいて弁棒
などの相手部材を傷付けるおそれもなく、取り扱い性も
容易となる。
【0040】特に、請求項のように、上記成形体の同
一端面側に位置する内周側折曲部と外周側折曲部とを互
いに連結すれば、上記浸透漏れおよびすき間へのはみ出
し防止効果を一層有効にすることができ、さらに、請求
10のように、上記折曲部を複数層のテープから構成
すれば、該折曲部の強度を高めてすき間へのはみ出し防
止効果をより向上することができる。さらにまた、請求
11のように、膨張黒鉛に加えて他のテープ状材を複
合する構成とすれば、角部や摺動面の強度を高めてはみ
出し防止効果をより向上させたり、摩擦係数を低下させ
てシール寿命を向上することができる。
【0041】また、請求項12の発明によれば、膨張黒
鉛テープの渦巻状の巻重体を、成型金型と第1および第
2の押し型を用いて、上記成形体に折曲部を容易に形成
することができ、シール性能に優れたリング状シール材
を安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図2】本発明の実施例2による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図3】実施例3による膨張黒鉛製リング状シール材を
示す一部の斜視図である。
【図4】本発明の実施例4による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図5】本発明の実施例5による膨張黒鉛製リング状シ
ール材をブッシュ状パッキンに適用した例を示す一部の
斜視図である。
【図6】本発明の実施例6による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図7】本発明の実施例7による膨張黒鉛製リング状シ
ール材をダイモールドパッキンと併用したパッキンリン
グセットを示す半分縦断面図である。
【図8】本発明の実施例8による膨張黒鉛製リング状シ
ール材を示す一部の斜視図である。
【図9】実施例8のシール材に使用される膨張黒鉛テー
プを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例9による膨張黒鉛製リング状
シール材を示す一部の斜視図である。
【図11】本発明の膨張黒鉛製リング状シール材の製造
方法に適用される成形金型内に膨張黒鉛テープの巻重体
を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図12】同上巻重体を第1の押し型で加圧した状態を
示す縦断面図である。
【図13】図12で加圧された巻重体を第2の押し型で
加圧した状態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の膨張黒鉛製リング状シール材の要部
の作用説明図である。
【図15】本発明の各実施例のシール材の効果を示す図
表である。
【図16】同上シール材のはみ出し量の試験装置の概要
を示す縦断面図である。
【図17】図16によるはみ出し量の試験結果を従来品
と対比して示す図表である。
【図18】本発明の実施例1および2のシール材をバル
ブ用パッキンとして使用した例を示す縦断面図である。
【図19】本発明の実施例5のシール材をバルブ用パッ
キンとして使用した例を示す縦断面図である。
【図20】本発明の実施例1および2のシール材をバル
ブ用パッキンとして使用した例を示す縦断面図である。
【図21】本発明の実施例4のシール材をバルブボンネ
ット部におけるプレッシャーシールリングとして使用し
た例を示す縦断面図である。
【図22】本発明の実施例2のシール材をフランジガス
ケットとして使用した例を示す縦断面図である。
【図23】従来の膨張黒鉛製リング状シール材の一例を
示す一部の斜視図である。
【図24】従来の膨張黒鉛製リング状シール材をラミネ
ートパッキンとの併用状態で示す縦断面図である。
【図25】従来の膨張黒鉛製リング状シール材の他の例
を示す一部の斜視図である。
【図26】従来の膨張黒鉛製リング状シール材を編組パ
ッキンとの併用状態で示す縦断面図である。
【図27】従来の膨張黒鉛製リング状シール材のさらに
他の例を示す一部の斜視図である。
【図28】従来のシール材の要部の作用説明図である。
【図29】従来の各シール材の問題点を示す図表であ
る。
【符号の説明】
1 成形体 1A,1B 成形体の端面 1a〜1d 成形体の角部 2 膨張黒鉛テープ 2a〜2d 折曲部 2W 巻重体 21 パッキンリングセット M 成形金型 N1 第1の押し型 N2 第2の押し型 Na,Nb 傾斜面 Nc 平坦面
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 15/00 F16J 15/10 F16J 15/22 F16J 15/24

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨張黒鉛テープを渦巻き状に巻き重ね、
    この巻重体をテープ幅方向から加圧成形してリング状成
    形体を構成させてなる膨張黒鉛製リング状シール材であ
    って、上記成形体の内周側および外周側における、テ
    プ幅方向の両端角部のうち、少なくとも一箇所におい
    て、その周面側テープ層の幅方向の端部を上記成形体の
    テープ幅方向の端面に平行な状態に折曲形成したことを
    特徴とする膨張黒鉛製リング状シール材。
  2. 【請求項2】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側ではテープ幅方向の一端角部に形成され、かつ、外周
    側ではテープ幅方向の他端角部に形成されている請求項
    1の膨張黒鉛製リング状シール材。
  3. 【請求項3】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側および外周側のテープ幅方向で同一の一端角部にそれ
    ぞれ形成されている請求項1の膨張黒鉛製リング状シー
    ル材。
  4. 【請求項4】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側ではテープ幅方向の一端角部に形成され、かつ、外周
    側ではテープ幅方向の両端角部にそれぞれ形成されてい
    る請求項1の膨張黒鉛製リング状シール材。
  5. 【請求項5】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側ではテープ幅方向の両端角部にそれぞれ形成され、か
    つ、外周側ではテープ幅方向の一端角部に形成されてい
    る請求項1の膨張黒鉛製リング状シール材。
  6. 【請求項6】 上記折曲部が、上記成形体における内周
    側および外周側でともにテープ幅方向の両端角部にそれ
    ぞれ形成されている請求項1の膨張黒鉛製リング状シー
    ル材。
  7. 【請求項7】 上記成形体におけるテープ幅方向の少な
    くとも一方の端面を径方向で傾斜させてなる請求項1の
    膨張黒鉛製リング状シール材。
  8. 【請求項8】 膨張黒鉛テープからなるダイモールドパ
    ッキンの両側に重合させることでパッキンリングセット
    を構成するようにした請求項1の膨張黒鉛製リング状シ
    ール材。
  9. 【請求項9】 上記成形体におけるテープ幅方向の同一
    端面側に位置する内周側折曲部と外周側折曲部とを互い
    に連結させてなる請求項1の膨張黒鉛製リング状シール
    材。
  10. 【請求項10】 上記成形体の角部に形成される折曲部
    が、該成形体における最内層または最外層のテープを含
    む複数層のテープからなる請求項1の膨張黒鉛製リング
    状シール材。
  11. 【請求項11】 上記膨張黒鉛テープが、膨張黒鉛単体
    あるいは膨張黒鉛単体にメッシュ、箔、フィルムもしく
    は織物などを複合したもので構成されてなる請求項1の
    膨張黒鉛製リング状シール材。
  12. 【請求項12】 膨張黒鉛テープを渦巻き状に巻き重ね
    て巻重体を形成する工程と、上記巻重体を成形金型内に
    挿入した状態で該巻重体の内周側および外周側のうちの
    所定の周側のテープ層の幅方向の端部を、加圧面に傾斜
    面を有する第1の押し型で加圧して上記巻周体側に向う
    ように斜めに折り曲げる工程と、加圧面に平坦面を有す
    る第2の押し型で上記巻重体をテープ幅方向から加圧し
    てリング状成形体を形成するとともに、上記斜めに折り
    曲げられた上記端部を上記成形体の端面に平行状態にな
    るまで折り曲げる工程とを具備したことを特徴とする膨
    張黒鉛製リング状シール材の製造方法。
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