JP2916780B2 - 時間差の高分解測定装置 - Google Patents

時間差の高分解測定装置

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JP2916780B2 JP1165656A JP16565689A JP2916780B2 JP 2916780 B2 JP2916780 B2 JP 2916780B2 JP 1165656 A JP1165656 A JP 1165656A JP 16565689 A JP16565689 A JP 16565689A JP 2916780 B2 JP2916780 B2 JP 2916780B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、時間間隔の高分解測定に係わり、特に光の
反射往復時間を測定し、装置本体と目標物との間の距離
を計算するための光測距装置に好適な時間差の高分解測
定装置に関するものである。
「従来の技術」 従来の時間間隔の測定装置は、スタート信号とストッ
プ信号との時間間隔を、これらの信号と比較してはるか
に高い周波数の基準信号をクロック信号とし、このクロ
ック信号をカウントすることにより測定していた。この
従来型の時間間隔の測定装置は、基準信号の周波数を高
くすれば高分解の時間測定が可能になるが、電気部品や
回路構成上の制約から、基準信号の周波数には限界が存
在していた。そこで、スタート信号、ストップ信号に同
期していない基準信号を用いて、これらの信号間の時間
間隔を複数回測定していた。即ち、第11図に示す様に複
数回のスタート信号、ストップ信号を固定した状態で検
討すると、毎回のクロック信号は、同期ずれの分だけず
れている。そこで、N回の測定を行い、スタート信号と
ストップ信号との間のクロック信号(CL1−CL5)をカウ
ンタで計算すると、その合計ΣCLは、N倍の周波数のク
ロック信号で1回計数した値と等価となる。従って、N
倍分解能を上げたことを意味する。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、従来型の時間間隔測定装置は、分解能
をN倍に向上させるにはN回測定を繰り返す必要があっ
た。即ち、測定時間が、測定信号の繰り返し時間のN倍
必要であることを意味し、例えば、スタート信号及びス
トップ信号の周波数が1.5KHzの場合において、クロック
信号の6000倍の分解能で測定しようとすると、 の時間を要するという問題点があった。また、ストップ
信号のタイミングが、測定装置内部で発生するノイズ
や、計測環境等の外的要因によって変動する場合があ
り、これらの変動に対しては測定回数を増加して平均処
理を行う必要がある。しかしながら従来の測定装置にお
いては測定のための時間的制約から平均化効果を十分高
めることができないという問題点があった。特に、従来
の時間間隔測定装置を光測距に採用した場合には、スト
ップ信号は、目標物から反射してきた光線によって発生
する様に構成されているが、このストップ信号は、装置
内部のノイズや空気の屈折率等の変化により変動する場
合があった。ところで、第11図に示す様に、このストッ
プ信号がΔt変動したと仮定すると、CL4とCL5は上記平
均化効果に寄与するクロック信号であるが、他のCL1か
らCL3のクロック信号は、平均化効果に寄与しないクロ
ック信号である。従って、ストップ信号が変動している
場合には、平均化効果に寄与するクロック信号と寄与し
ないクロック信号とがあり、寄与しないクロック信号
は、ΣCLに何等変化を与えないので、全体的に平均化効
果が低くなるという問題点があった。特に、光測距装置
の光源にパルスレーザダイオードを採用した場合には、
デューティ比が0.01%程度であり、平均化効果を期待す
ることができないという問題点があった。
「課題を解決するための手段」 本発明は上記課題に鑑み案出されたもので、連続した
パルスの時間差を測定する測定装置において、この測定
装置は、概算測定手段と精密測定手段とからなってお
り、前記概算測定手段は、パルス間の時間差を測定する
構成を備えており、前記精密測定手段は、この測定信号
Mに対して同期のずれた関係を有する基準信号Sを発生
させるための信号発生手段と、前記測定信号Mのパルス
で基準信号Sをサンプリングするためのサンプルング手
段と、このサンプリング手段で形成されたサンプリング
信号の位相差を検出するための位相検出手段とから構成
されており、この位相検出手段で検出された位相差を時
間差に換算すると共に、前記概算測定手段の測定値と前
記精密測定手段の測定値とから、パルス間の時間差を演
算するための演算処理手段とを備えたことを特徴として
いる。
また本発明は、連続したパルスの時間差を測定する測
定装置において、測定信号Mに相当する第1信号と、こ
の測定信号Mに対して同期のずれた関係を有する基準信
号Sを発生させるための信号発生手段と、第1信号に対
応した連続する光パルスを目標物へ発射させるための発
光部と、この目標物から反射された光パルスを受光し測
定信号Mを形成するための受光部と、この受光部で形成
された測定信号Mで基準信号Sをサンプリングするため
のサンプルング手段と、このサンプリング手段で形成さ
れたサンプリング信号の位相差を検出するための位相検
出手段と、この位相検出手段で検出された位相差を時間
差に換算するための演算処理手段とを備えたことを特徴
としている。
そして本発明の信号発生手段が発生させる、測定信号
Mに対して同期のずれた関係を有する基準信号Sは、完
全に同期のずれた関係、或いは、周期が異なり複数回に
一度位相が同期する関係の何れかであってもよい。
更に本発明の位相検出手段は、サンプリング信号がゼ
ロ値を横切る座標のズレを計測することによりサンプリ
ング信号の位相を検出するか、又は、サンプリング信号
を積算し正弦成分と余弦成分を用いることによりサンプ
リング信号の位相を検出するか、或いは、クロックパル
スの計数により、サンプリング信号の位相を検出する
か、の何れか1つでサンプリング信号の位相を検出する
こともできる。
そして本発明は、更に、サンプリング手段のサンプル
値を記憶するメモリ部を有し、前記位相検出手段は、メ
モリ部で記憶されたサンプル値に基づき、サンプリング
信号の位相を検出する構成にすることもできる。
また本発明の基準信号発生手段は、測定信号Mの周波
数fMと基準信号Sの周波数fSとをn/(m(n+1))の
関係となる様に形成し、サンプリング信号の周波数fL
測定信号Mの周波数fMとが、fM/fL=nとなる様に構成
することもできる。
「発明の実施の形態」 以上の様に構成された本発明は、連続したパルスの時
間差を測定する測定装置であって、概算測定手段と精密
測定手段とからなり、概算測定手段は、パルス間の時間
差を測定する構成を備えており、精密測定手段は、信号
発生手段が、測定信号Mに対して同期のずれた関係を有
する基準信号Sを発生させ、サンプリング手段が、測定
信号Mのパルスで基準信号Sをサンプリングし、位相検
出手段が、サンプリング手段で形成されたサンプリング
信号の位相差を検出し、演算処理手段が、位相検出手段
で検出された位相差を時間差に換算すると共に、概算測
定手段の測定値と精密測定手段の測定値とから、パルス
間の時間差を演算する様になっている。
また本発明は、信号発生手段が、測定信号Mに相当す
る第1信号と、この測定信号Mに対して同期のずれた関
係を有する基準信号Sを発生させ、発光部が、第1信号
に対応した連続する光パルスを目標物へ発射させ、受光
部が、目標物から反射された光パルスを受光し測定信号
Mを形成し、サンプルング手段が、受光部で形成された
測定信号Mで基準信号Sをサンプリングし、位相検出手
段が、サンプリング手段で形成されたサンプリング信号
の位相差を検出し、演算処理手段が、位相検出手段で検
出された位相差を時間差に換算する様になっている。
そして本発明の信号発生手段が発生させる、測定信号
Mに対して同期のずれた関係を有する基準信号Sは、完
全に同期のずれた関係、或いは、周期が異なり複数回に
一度位相が同期する関係の何れかであってもよい。
更に本発明の位相検出手段は、サンプリング信号がゼ
ロ値を横切る座標のズレを計測することによりサンプリ
ング信号の位相を検出するか、又は、サンプリング信号
を積算し正弦成分と余弦成分を用いることによりサンプ
リング信号の位相を検出するか、或いは、クロックパル
スの計数により、サンプリング信号の位相を検出する
か、の何れか1つでサンプリング信号の位相を検出する
こともできる。
そして本発明は、更にメモリ部が、サンプリング手段
のサンプル値を記憶し、位相検出手段は、メモリ部で記
憶されたサンプル値に基づき、サンプリング信号の位相
を検出することもできる。
また本発明の基準信号発生手段は、測定信号Mの周波
数fMと基準信号Sの周波数fSとをn/(m(n+1))の
関係となる様に形成し、サンプリング信号の周波数fL
測定信号Mの周波数fMとが、fM/fL=nとすることもで
きる。
「実施例」 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、本
実施例の時間差の高分解測定の原理を第1図に基いて説
明すると、Mは測定信号であって、スタート信号(又は
ストップ信号)を意味する。Sは基準信号であって、本
実施例では正弦波が採用されているが、サンプリング点
で連続波であれば何れの波形でも採用することができ
る。この測定信号Mと基準信号Sとは、僅かに同期がず
れる様になっている。この同期は完全にずれていてもよ
いが、構成及び演算処理の簡素化のために、本実施例で
は測定信号Mのパルス数が何回目かに1度、測定信号S
と同期する構成のもので説明することにする。
本実施例では、第1図(b)に示す様に測定信号Mが
8回目に基準信号と同期する様に構成されている。ここ
で、測定信号Mと基準信号Sとの関係を第1図(a)に
基いて説明すると、測定信号MのパルスM0,M1,M2・・・
が現れる時の基準信号SをS0,S1,S2・・・とすれば、測
定信号Mと基準信号Sとが僅かに同期が異なっているの
で、M0,M1,M2・・・に対して,S0,S1,S2・・・はそれぞ
れの位相が少しずつ異なっている。そこで、測定信号M
のパルスM0,M1,M2・・・が現れるたびの基準信号Sは、
第1図(b)の様になっており、8回に1回同期するこ
とが示されている。更に、測定信号Mのパルスで基準信
号Sの波形をサンプリングした場合、このサンプリング
で現れる波形Hは、第1図(c)に示す様になってい
る。このサンプリング波形Hは、測定信号Mの8倍の周
期を有しており、その波形は基準信号Sの波形に基いて
いる。
次に、測定信号Mのパルスが、時間的に移動して第1
図(b)のM′に移動したとすると(この場合は、基準
信号のπ/2分の移動である。)基準信号Sでサンプリン
グして得られるサンプリング波形H′は、第1図(C)
のH′のような波形となる。このH′の波形から明かな
様に、測定信号Mのパルスが、基準信号のπ/2分移動す
るとサンプリング波形も同様にπ/2の位相変化を生じる
様になる。従って、測定信号Mの時間的移動は、基準信
号Sをサンプリングして得られる波形Hの位相を変化さ
せ、その位相変化量は、測定信号Mの時間的移動量を基
準信号の位相に換算したものに相当する。
この結果、サンプリングで得られる波形の位相変化量
Ψ(Ψ=2πu+Ψここで uは整数、Ψは0≦Ψ
≦2π)を測ることにより、測定信号Mの移動量tmから求めることができる。但し、tcは基準信号の周期で
ある。ここで、測定信号の変化が連続的である場合に
は、位相の変化を連続的に監視することでuの値を知る
ことができるが、測定信号の変化が不連続の場合や、2
つの信号の時間差を測定する場合には、uの値を知るこ
とができない。そこで、基準信号の周期以下の部分に関
する時間差tを から求め、utcについては、別途の測定方法で求めるこ
とが必要となる。但し、utcの測定は高精度である必要
がないので、従来の粗測定により計測することが可能で
ある。従って、本実施例は測定信号の時間差を、基準信
号の周期以下の部分の時間差はサンプリング波形の位相
差から求め、utcについては、従来からの粗測定によっ
て計測し、これらを合成することにより測定信号の時間
差を高精度に測定することができる。
次に、本実施例の高分解測定原理の内、周波数に関す
る説明を詳細に行うと、第2図は測定信号Mと基準信号
Sとの関係を示すものである。ここで、測定信号Mの周
波数をfM、基準信号Sの周波数をfSとし、測定信号Mの
fMを基準信号SのfSのおよそ1/m0に設定することにす
る。そして、基準信号Sの周期をn分割してサンプリン
グするとすれば、測定信号Mの周期(1/fM)は、 であり、測定信号Mの周波数fMは、上式の逆数となり、 で表される。
なお、第2図は正負の符号がマイナスの場合を示した
図となっている。
また、この処理を行う回路構成は、基準信号の周波数
fSに分周してn倍することにより演算することができる
が、基準信号の周波数fSは比較的高い周波数であり、m0
n−1(或はm0n+1)を実行する分周器は高速性を要求
されるので、このまま演算することは適当でない。そこ
で、適切な式に変形する必要がある。まず、m0=m±
m′として第4式を表すと、 となる。そして、m=m′n+1を満足する様なm,m′,
nを選択すると と表される。従って、分周器構成はm分周とn−1(或
はn+1)とに分割構成され、m分の1又は(n±1)
分の1分周器のうち初段に構成する分周器のみに高速性
が要求される。例えば、m分周のみが高速性が要求され
る。そして、一般にm分周は、何れかの数値で割り切れ
る様な値に設定することが容易であり、更に分周器を分
割して構成することができるので、高速性が要求される
分周器を少なくすることができる効果がある。
また、測定信号Mで基準信号Sをサンプリングして得
られる信号の基本波成分の周波数fLで表される。従って、(7)式に(6)式を代入すれ
ば、 となる。上記(6)式と(8)式とは、本実施例の回路
構成に必要な分周器と、n倍器とが必要となることを示
しており、分周器は整数分の一、逓倍器は整数倍の動作
を行うので、m、nはそれぞれ整数であることが要求さ
れる。これに対してm′は必ずしも整数である必要はな
い。m′が整数の場合には、サンプリングで得られる信
号が、順序よく基準信号Sの波形を出力するが、m′が
整数でない場合には、その順序が崩れてしまうことにな
る。なお、上記(6)式と(8)式とは、正負何れの符
号を採用することもできるが、測定信号Mの時間変化に
対して、サンプリングされて得られた信号の位相変化
が、符号により逆方向に変化することに注意する必要が
ある。
更に、(8)式より、測定信号Mの周波数fMと、サン
プリングで得られた周波数fLとの関係は、 となり、測定信号Mと基準信号Sとは、測定信号Mのn
回に一度同期することになる。なぜならば、サンプリン
グによって得られたfLはfMとfSとの両方に同期している
からである。
次に、基準信号Sの周期以下の部分の位相差の測定方
法について説明する。なお基準信号Sについては、説明
の便宜上、正弦波を例に説明するが、正弦波に限ること
なく三角波等であってもよい。即ち、基準信号Sは、サ
ンプリングを行う区間が連続している波形であれば足り
る。
[クロックによる位相の計測方法] この計測方法は基準信号Sを、測定信号Mのパルスで
サンプリングし、得られた波形をバンドパスフィルタを
通して平滑化し、位相をクロックで計数する方法であ
る。この位相測定は、従来光波測距計で採用されている
方法と同様な方法である。この方法の分解能は、基準信
号Sの周波数fS、クロック信号の周波数fC、サンプリン
グ出力信号の周波数fLで決定される。例えば、クロック
信号の周波数fCを1.5MHz、基準信号Sの周波数fSを15MH
zとして、m=m′n+1を満足する様なm=10000、
m′=303、n=33を選択すると、サンプリング出力の
周波数fLは、 となり、分解の能力は、 となる。従って、基準信号の周波数fSの32000倍の分解
能を得ることができる。なお、時間分解では、 となる。
更に、バンドパスフィルタにより、n(=33)個のサ
ンプル値が平滑化されるので、全ての測定信号が平均化
効果に寄与することになる。従って、数回の測定を繰り
返し、これらの結果を平均することにより、従来型の測
定装置以上の平均効果を発揮させることができる。例え
ば、10回の測定を行った場合には、その測定時間は、
(1/fL)*10≒0.2secと処理演算に必要な0.1secとを合
計した0.3sec程度となる。この結果、0.3sec程度の測定
時間で、基準信号Sの周波数fSの32000倍の分解能を得
ることができる上、100から300回程度の平均効果を得る
ことができる。
[データ処理による方法] この計測方法は基準信号Sを、測定信号Mのパルスで
サンプリングし、得られたデータをデータ処理すること
により位相を計測する方法である。
(A)ゼロクロス検出方法 このゼロクロス検出方法は、正弦波がゼロ値を区切る
座標のずれを計測することにより、位相を検出するもの
である。第3図(a)に示す様に、Ψ又はΨを測定
するか、或はΨとΨの平均値に採用してもよい。な
お、この方法の分解能は、使用するA/Dコンバータの性
能で殆ど決定されてしまう。例えば、12ビットのA/Dコ
ンバータを採用すれば、約4000レベルの分解能力を有す
る。従って、ゼロクロスの近傍の位相分解は であり、1周期に対する分解は となる。従って、基準信号Sの周波数fSの12560倍の分
解能を有することになる。
第3図(b)は、第3図(a)のゼロクロス付近を拡
大した図であり、Ψの測定は、先ず、位相差0から順
次スキャンし、データが負から正に変化する位相差Ψ
を求める。更に、Ψの時のデータl2と、その一つ前の
データl1を直線で結び、この直線のゼロクロス点とΨ
の差Ψαを求める。そして、前記ΨからΨαを減ずる
ことにより、Ψを求めることができる。Ψの計測も
同様に行うことができ、この場合には、データのスキャ
ンを行う際に正から負に符号が転じる点を検出する必要
がある。なお本方法では、第3図(c)様に、ゼロクロ
ス点付近のデータに最小自乗法を適用させて直線を決定
してもよい。この場合には平均効果が生じるという効果
がある。更に、ゼロクロス近傍のデータにスムージング
処理を行い、平均効果を高めてからゼロクロスを行うの
も効果的である。
以上の様に構成したゼロクロス法による位相検出は、
n=101(m=10000、m′=99)を採用すれば、基準信
号Sの周波数fSの12560倍程度の分解能を実現でき、平
均効果も30回程度が期待できる。
(B)正弦、余弦成分の検出による方法 この正弦、余弦成分による方法は、第3図(d)に示
す様に、正弦波と余弦波の成分を積算することにより位
相を計測する方法であって、平均効果の高い検出方法で
ある。サンプリングで得られた1周期分の波形を、4分
の1にそれぞれ分割し、領域A、B、C、Dと定義す
る。そして、それぞれの領域のデータを積算したものを
Σ、Σ、Σ、Σとし、位相差ψを求めると となる。この原理を説明すると、基準信号Sを測定信号
Mのパルスでサンプリングして得られたデータをyとす
れば、一般的にyは と表すことができる。ここで、xはサンプリング出力の
カウント(x番目)を意味し、αは直流レベル、βは振
幅である。そして、第10式の右辺は、 これを解けば、 となることから、位相Ψを積算値から求めることが可能
となる。
この様にして得られた位相データは、全てのデータを
積算して使用しているので、平均効果が極めて高く、更
に、この積算による平均効果は、サンプリングの量子化
誤差も平均化されるので、分解能も極めて高くなるとい
う卓越した効果がある。なお、この正弦波と余弦波の成
分を積算化する位相検出方法は、n=101の場合で比較
した場合でも、前記ゼロクロス検出方法より高分解能で
あると共に平均効果の高い測定を行えることができる。
以上説明したデータ処理による位相検出方法は、サン
プリング数がn回、即ちサンプリング出力波形の1周期
分であった。このサンプリング数を増加させ、何周期も
取ることにより、更に平均効果を高めることができる。
この場合には、n個ごとのデータを平均し、その結果を
用いてデータ処理を行えばよい。例えば、10周期分(即
ち、10回分のサンプリング波形の平均)のデータを使用
すれば、平均効果が300回以上のものを得ることがで
き、分解能は基準信号Sの周波数の10000倍以上であ
る。また、この時のサンプリング周波数fLは、(8)式
より となる。更に、サンプリングに要する時間は、 であり、測定時間は、およそ0.8secである。
次に、本実施例の時間差の高分解測定装置を光測距装
置に適用した場合について説明する。第4図は光測距装
置の光学系を示すものであり、この図面に基づいて光測
距装置の光路を説明する。この光学系は、レーザダイオ
ード1と、受光素子2と、シャッタ3と、レンズ4と、
プリズム5と、ミラー6とから構成されている。コーナ
キューブ7は、光測距装置本体から離れた位置に設置さ
れる目標物であり、光線を反射する機能を有している。
レーザダイオード1は、パルスレーザダイオードであ
って、比較的大きなピークパワーを持ち、デューティ比
が0.01%程度のパルス波を発生することができる。受光
素子2は、レーザダイオード1から発射されたパルス光
線を受光できる素子であれば足りる。シャッタ3は、測
距光路と内部光路を切り替えるための切り替え器であ
る。
以上の様に構成された本光学系において、レーザダイ
オード1から出射された光パルスは、プリズム5、レン
ズ4を経由して本体から発射され、目標物として置かれ
たコーナキューブ7で反射される。このコーナキューブ
7で反射された光パルスは、レンズ4、プリズム5を経
由して受光素子2に入射される。これらの光路が、測定
の対象となる本体と目標物との距離を含む測距光路を形
成する。
これに対して、レーザダイオード1から出射した光パ
ルスが、ミラー6を経由して受光素子2に入る光路があ
る。この光路は本体内部で生じる不安定要素を除去する
目的で形成された内部光路である。
一般に光測距装置は多数の電子部品を使用しており、
この電子部品の遅延時間が温度変化等の影響を受けやす
いので、本体内で不安定状態が発生する可能性がある。
そこで、測距光路と内部光路とで測定を行い、その測定
値の差を取ることにより、前記両光路に共通して含まれ
る測距装置本体内部の不安定要素を除去することができ
る。
次に、本実施例の電気系の構成について、第5図、第
6図、第7図、第8図、第9図に基づいて説明する。
[クロック計数による位相測定] 先ず、第5図は、基準信号Sの周期以下の時間差(以
下、精測定という)の計測を、クロック計数による位相
測定によって行うものである。なお、この実施例では、
u=33、m=10000、m′=303を採用している。このク
ロック計数による位相測定装置は、基準信号発生器100
と、バンドパスフィルタ110、210と、分周期120、130
と、シンセサイザ140と、パルス検出器170と、カウンタ
180、220と、処理演算部190と、サンプルホールド200等
からなっている。基準信号発生器OSC100は基準信号源で
あり、15MHzの基準信号を発生している。この基準信号
は第1のバンドパスフィルタBF110に送出され、この第
1のバンドパスフィルタBF110は、基準信号の正弦波を
出力する様に構成されている。また、第1の分周器DVA1
20は、基準信号発生器OSC100で発生している15MHzを1/1
0に分周して1.5MHzを出力する様になっている。更に第
2の分周器DVB130が、この1.5MHzを1/32000に分周して
約47Hzが出力される様になっている。更に、この47Hzの
信号をシンセサイザSY140が33倍に逓倍し、約1.547KHz
の信号を出力する様になっている。ここで、第1の分周
器DVA120、第2の分周器DVB130、シンセサイザSY140の
出力信号は、2値化の信号である。また、ドライバDR15
0は、シンセサイザSY140の出力信号に従って、レーザダ
イオード1をパルス的に駆動する。従って、レーザダイ
オード1は、周期が1/1.547KHzのパルス状の光線を発射
する。この発射された光パルスは、測距光路を進行して
受光素子2に入射され、受光素子2によって電気信号に
変換される。受光素子2で変換された電気信号は、アン
プAM160で増幅され、パルス検出器PD170に送出される。
このパルス検出器PD170は、アンプAM160の出力信号に従
った2値化のパルス信号を発生させる。そして、第1の
カウンタ部CTC180は、処理演算部CON190の指令に従い、
シンセサイザSY140の出力信号を計数スタート信号に、
更にパルス検出器PD170の出力信号を計数ストップ信号
として、スタート信号とストップ信号との時間間隔を計
測する。なお、この第1のカウンタCTC部180は、クロッ
ク信号として基準信号発生器OSC100の15MHzを使用して
いる。サンプルホールドSH200は、パルス検出器PD170の
出力信号に従い、第1のバンドパスフィルタBF110の出
力信号をサンプルホールドする。従って、サンプルホー
ルドSH200の出力側には、第1図(C)のHに示す様な
波形が現れる。(なお、第1図(C)のMが33個で1サ
イクルに相当する波形) そして、第2のバンドパスィルタBFL210は、サンプル
ホールドSH200の出力信号の基本波である47Hzを抽出す
るためのものであり、47Hzの正弦波が出力される。また
波形整形器WF230は、第2のバンドパスファルタBFL210
の出力信号の正弦波を2値化して矩形信号に変換して出
力する。また、第2のカウンタ部CTF220は、処理制御部
CON190の指令に従って、第2の分周器DVB130の出力信号
を計数スタート信号に、波形整形器WF230の出力信号を
計数ストップ信号として、スタート信号とストップ信号
との時間間隔を測定するものである。なお、第2のカウ
ンタ部CTF220のクロック信号は、第1の分周器DVA120の
出力信号である1.5MHzを使用している。また、処理演算
部CON190は、第1のカウンタ部CTC180と第2のカウンタ
部CTF220で得られる測定信号を合成し、表示部(図示せ
ず)にデータを送出する。
ここで、第1のカウンタ部CTC180と第2のカウンタ部
CTF220の分解能について説明する。第1のカウンタ部CT
C180は、時間分解が1/(33*15MHz)であり、距離に換
算すれば光速との関係、及び、光が目標物までの距離を
往復することから、10m/33である。また、第2のカウン
タ部CTFの時間分解は、測定処理の説明で述べた様に基
準信号Sの周波数で分解した時の32000(1.5MHz/47Hz)
倍の分解能を有し、距離分解に換算すると10m/32000と
なる。
次に、本実施例である電気系の構成の動作を説明する
と、まず、処理演算部CON190は、シャッタ3を切り替え
て光路を測距光路を選択し、第1のカウンタ部CTC180と
第2のカウンタ部CTF220との測定開始の指令を送信す
る。第1のカウンタ部CTC180と第2のカウンタ部CTF220
とは、処理演算部CON190の指令に従い計数動作を行い、
計数動作が終了すると処理演算部CON190に対して終了信
号を送出する。処理演算部CON190は、計数終了信号を受
信すると、第1のカウンタ部CTC180と第2のカウンタ部
CTF220とから計数結果信号データを受け取る様になって
いる。更に、処理演算部CON190は、第1のカウンタ部CT
Cで得られた計数値を距離値に換算して粗測定値を求め
る。また、第2のカウンタ部CTF220で得られた計数値を
同様に距離値に換算して精測定値を求める。ここで、粗
測定値のメータ単位と精測定値のメータ単位が一致する
様に、粗測定値を多少修正して両者を組み合わせる演算
を行う。即ち、メータ単位以上の上位桁に対しては、修
正後の粗測定値を採用し、メータ単位以下の下位桁に対
しては、精測定値を採用して、組み合わせるものであ
る。
この測定動作を10回行い、その平均値を測距光路での
距離値とする。
次に、シャッタ3を内部光路に切り替えて上記と同様
の計測を行い、内部光路での距離値を得る。そして、測
距光路での距離値から内部光路での距離値を減じて最終
結果を得ることにより、装置内部の不安定を除去するこ
とができる。従って、この最終結果を表示部(図示せ
ず)に送出して表示等を行う様になっている。
[データ処理による位相測定] 次に、第6図は、基準信号Sの周期以下の時間差の計
測を、データ処理による位相測定によって行うものであ
る。なお、この実施例では、n=101、m=10000、m′
=99を採用している。このデータ処理による位相測定装
置は、基準信号発生器100と、バンドパスフィルタ110
と、分周器240、250と、シンセサイザ260と、パルス検
出器170と、カウンタ部180と、演算処理部190と、サン
プルホールド200と、ADコンバータ270と、加算器AC280
と、メモリー部290と、アドレスカウンタ300等からなっ
ている。なお、カウンタ部CTC180の計数スタート信号、
計数ストップ信号として入力される信号は、1.515KHzと
なっており、ドライバーDR150、レーザダイオード1、
受光素子2、パルス検出器PD170も同様に1.515KHzで動
作する様になっている。基準信号発生器CSC100で発生し
た15MHzは第1の分周器DVC240で1/10000に分周されて1.
5KHzとなり、更に第2の分周器250で1/100に分周され、
15Hzの信号を出力する。そして、シンセサイザSYH260
は、この15Hzを101倍に逓倍して1.515KHzを出力する様
になっている。そして、ADコンバータAD270は、パルス
検出器PD170の信号に従い、サンプルホールドSH200がホ
ールドに入った時の値をデジタル値に変換する。サンプ
ルホールドSH200は、パルス検出器PD170の出力側にパル
スが発生している間、バンドパスフィルタBF110の出力
波形をサンプリングする。そして、加算器AC280は、AD
コンバータAD270からのデータと、メモリ部MR290からの
データとを加えて、メモリ部MR290に送出させる。メモ
リ部MR290は、n(101)以上のメモリが用意されてお
り、ADコンバータからの変換終了の信号を受信すること
により、アドレスカウンタACT300の示すメモリに加算器
AC280の出力データを記憶する様になっている。アドレ
スカウンタACT300は、n進(101進)カウンタで構成さ
れており、変換終了の信号である1.515KHzを計数する。
また、アドレスカウンタACT300の計数動作は、処理制御
部COS190から動作開始信号を受信した後、第2の分周器
250の出力信号である15Hzと同期して計数を開始し、変
換終了の信号をn(101)回計数するごとに、処理演算
部COS190に対してキャリー信号を送出する様になってい
る。
次に、ADコンバータAD270、加算器AC280、メモリ部MR
290、アドレスカウンタACT300の動作を説明する。先ず
初めに、処理演算部COS190によりメモリ部MR290の内容
は全てリセットされており、更にアドレスカウンタACT3
00も0となっている。この状態で測定を開始し、パルス
検出器PD170に対する信号出力が終了すると、ADコンバ
ータAD270は、AD変換を開始する。メモリ部MR290は、ア
ドレスカウンタACT300に示されるメモリの内容(初めは
リセットされており0となっている)が、加算器AC280
に対して送出される。AD変換が終了すると、ADコンバー
タAD270から加算器AC280に対してデータが送られ、加算
器AC280は、メモリ部MR290のデータとADコンバータAD27
0のデータとを加算して、加算データをメモリ部MR290に
送出する。また、AD変換が終了するとADコンバータAD27
0は、メモリ部MR290とアドレスカウンタACT300とに対し
て変換終了信号を送信し、この変換終了信号により、メ
モリ部MR290は書き込み動作を行うと共に、アドレスカ
ウンタACT300が1個の計数を行う様になっている。即
ち、アドレスカウンタACT300が示すメモリのデータと、
ADコンバータAD270の出力データを加算し、この加算さ
れたデータを新たなデータとしてメモリを書き換えるる
と共に、アドレスカウンタACT300のデータを+1インク
リメントして、次のアドレスの書換えの準備を行う様に
構成されている。従って、パルス検出器PD170にデータ
が現れるたびにアドレスカウンタACT300の示すアドレス
のメモリ内容が書き換えられ、更に、アドレスカウンタ
ACT300が+1インクリメントされる様になっている。ま
た、アドレスカウンタACT300が、n(101)回計数する
と、アドレスカウンタACT300は0となり、アドレスカウ
ンタACT300は、処理演算部COS190に対して、サンプリン
グ波形1周期分のデータを取り込んだことを示すキャリ
ー信号を出力する。この結果、メモリ部MR290には、サ
ンプリング波形の1周期分が記憶されたことになる。ま
たメモリの書換え動作中、処理演算部COS190は、アドレ
スカウンタACT300が発生するキャリー信号を監視してお
り、キャリー信号が10回(サンプリング波形の平均を取
る回数)現れるまで測定を続行する。この結果、10回の
キャリー信号を認識すると、メモリ部MR290には1周期
分加算されたデータが記憶されることになる。なお、処
理演算部COS190は、前述のクロック信号による位相測定
装置(第5図)の処理演算部と同様の動作を行うが、上
記したサンプリング中の諸動作と、データ処理の方法に
よる位相差測定の演算を行うことが追加されている。な
お精測定のデータ処理を行うために処理演算部COS190
は、アドレスを指定してメモリ部MR290の内容を読み取
ることができる。
この様にして読み取られたデータを第3図(a)に対
応させて説明すると、第3図(a)の横軸がメモリのア
ドレスであり、その1個1個のデータは10回の計測値の
加算値となっている。従って、この加算値を10で除せば
平均値を得ることができる。そして、メモリのアドレス
と位相の関係は、n(101)のアドレスが2πの位相に
対応する。ここで、位相による時間の精測定について説
明するが、データ処理による計測方法の内、ゼロクロス
検出法を例に説明すると、アドレス0のメモリから順次
スキャンしていき、データ値が負から正に変化するアド
レスを検索する。(第3図(b)におけるΨに相当す
る)そして、この検索されたアドレスのデータ値と、そ
の前のデータとを利用して、ゼロクロス点とデータが正
に変化した時のアドレスとのアドレス差(第3図(b)
のΨαに対応する)を演算する。即ち、1アドレス以下
の仮想の微少アドレスを求め、正に変化した時のアドレ
スからそのアドレス差を減ずることにより、ゼロクロス
のアドレスを算出することができる。この様に計算され
たゼロクロスのアドレス値と1/(101*15MHz)との積を
計算すれば,精測定の時間を求めることができ、更に、
このアドレス値と10m/101との積を計算すれば、精測定
の距離を求めることができる。なお、ここでカウンタ部
CTC180の時間分解は、1/(101*15MHz)であり、距離分
解は、10m/101となる。そして、処理演算部COS190は、
カウンタ部CTC180で得られた計数値を距離に換算して粗
測定値を求め、更に、ゼロクロスのアドレス値を距離に
換算して精測定値を求め、この粗測定値と精測定値とを
合成することにより、目的の距離を算出することができ
る。なお、シャッタ3の動作は、第5図のクロックによ
る位相測定法と同一であるので説明を省略する。
[データ処理による位相測定の変形例] 次に、データ処理による位相検出法の変形例を説明す
る。前述の第6図に示すデータ処理の電気系において
は、シンセサイザSYH260の入力周波数が15Hzと比較的低
い周波数となっている。一般的にシンセサイザSYH260は
フェーズロックループで構成されているめ、入力信号が
低いと動作が安定するまでに時間がかかる。本実施例は
この問題点に鑑み改良されたもので、第7図に示す様に
第2の分周器DVD250とシンセサイザSYH260の位置を逆に
接続し、更に、第2の分周器DVD250の出力でも基準信号
S(バンドパスフィルタBF110の出力)の波形をサンプ
リングすることにより、基準のサンプリング波形を得よ
うとするものである。
メモリMRは、n*2以上のメモリを有し、最上位のア
ドレスはフリップフロップFF400によって示される。即
ち、最上位のアドレスが“0"であるn個のメモリには、
基準のサンプリング波形のデータが記憶され、最上位の
アドレスが“1"であるn個のメモリには、測定信号のサ
ンプリング波形が記憶されている。なお、このフリップ
フロップFF400は、第2の分周器DVD250の出力信号をリ
セット信号に、パルス検出器PD170の出力信号をセット
信号として用いている。
次に第8図に示す第2実施例に基づいて、本実施例の
作用を説明すると、基準信号発生器OSC100で発生した15
MHzは、第1の分周器DVC240で1/100に分周されて150KHz
となり、シンセサイザSYH260で101倍に逓倍されて15.15
MHzとなった後、更に第2の分周器DVD250で1/10000に分
周されて、1.515KHzの信号となる。そして、この1.515K
HzをドライバDR150等に出力し、テーザダイオード1等
を駆動させることができる。
ここで、シンセサイザSYH260の構成を第9図に基づい
て詳細に説明する。シンセサイザSYH260は、位相比較器
261とローパスフィルタLPF262と電圧制御発振器VCXO263
とミキサ264とから構成されている。電圧制御発振器VCX
O263の出力信号は、ミキサ264に送出され、基準信号発
生器OSC100の基準信号と混合検波される様になってい
る。ミキサ264は、例えばD−F/Fフリップフロップ回路
から構成することも可能である。そして電圧制御発振器
VCXO263の出力信号である15.15MHzをフリップフロップ
回路のデータ端子に入力し、基準信号発生器CSC100の基
準信号である15MHzをフリップフロップ回路のクロック
端子に入力すれば、基準信号の15MHzのトリガによっ
て、ビート信号を取り出すことができる。従ってミキサ
264は、電圧制御発振器VCXO263の出力信号である15.15M
Hzと、基準信号発生器OCS100の出力信号である15MHzを
混合検波して、これらの差の周波数に相当する150KHzの
信号を取り出すことができる。更に、第1の分周器DVC2
40で分周された150KHzと、ミキサ264の出力信号とを位
相比較器261で位相比較し、この出力信号を、ローパス
フィルタLPF262を介して電圧制御発振器VCXO263の周波
数制御端子側に出力する様になっている。これらのフェ
ーズロックループにより、第1の分周器240の出力信号
と、ミキサ264の出力信号を同期させることができる。
そして、第2の分周器DVD250にパルス信号が発生する
と、ドライバDR150がレーザダイオード1を駆動し、光
を放射させると共に、アドレスカウンタACT300が+1イ
ンクリメントされ、フリップフロップFF400がリセット
される。従って、最上位アドレスが“0"であり、下位ア
ドレスがアドレスカウンタACT300に示されるメモリのデ
ータが、メモリ部MR290から加算器AC280に転送される。
そして、サンプルホールドSH200とADコンバータAD270に
も第2の分周器DVD250の信号が送出されており、この第
2の分周器DVD250の出力側にパルスが発生している間、
サンプルホールドSH200はサンプリング状態となる。そ
して、第2の分周器DVD250のパルスの出力が終了する
と、サンプルホールド200はホールド状態となり、ADコ
ンバータAD270がAD変換を開始する。このAD変換が終了
すると、加算器AC280によって、AD変換によってデジタ
ル化されたデータとメモリのデータとが加算され、メモ
リのデータは、加算されたデータに書き換えられる。や
がて光パルスが受光素子に入射し、パルス検出器PDの出
力側にパルスが発生すると、フリップフロップFF400は
セットされ、最上位アドレスが“1"であり、下位アドレ
スがアドレスカウンタACT300で示されるアドレスのデー
タが、メモリ部MR290から加算器AC280に転送される。そ
して、第2の分周器DVD250の出力パルスの動作時と同様
に、パルス検出器PD170のパルス出力が完了すると、メ
モリMR290の内容が書き換えられる。この様に、第2の
分周器DVD250とパルス検出器PD170とにパルスが現れる
たびに、メモリ部MR290のアドレスを指定する最上位が
切り替えられ、更に、第2の分周器DVD250のパルス出力
により、アドレスカウンタACT300が+1インクリメント
される。この結果、メモリ部MR290の最上位アドレス
“0"のメモリ群には、第2の分周器DVD250の出力でサン
プリングした波形が記憶され、最上位アドレスが“1"の
メモリ群には、パルス検出器PD170の出力でサンプリン
グした波形が記憶される。従って、第10図に示す様に、
最上位のアドレスが“0"のデータはPの様に表され、最
上位のアドレスが“1"のデータはQの様に表される。従
って、処理制御部COD190が、PとQとの位相差を演算す
れば、時間差を高精度に計測することができる。なお、
P,Qの位相の検出方法は、従前に説明したデータ処理に
よる位相の測定法を利用すればよいので説明を省略す
る。
以上の様に構成された位相測定装置にはシンセサイザ
が使用されているが、第5図に示す位相測定装置ではシ
ンセサイザSYH140が、第2の分周器DVB130の後段側に接
続されている。同様に第6図に示す位相測定装置でもシ
ンセサイザSYH260が、第2の分周器DVD250の後段側に接
続されている。即ち、第5図及び第6図のシンセサイザ
は、信号が低周波となる最終段の分周器に接続されるの
に対して、第7図に示す位相測定装置ではシンセサイザ
SYH260が、第1の分周器DVC240と第2の分周器DVD250の
間に挿入されている。2個の分周器に対するシンセサイ
ザの接続位置は、設計上適宜設定されるもので、限定さ
れるものではない。
なお、処理演算部190はメモリ手段を備えたマイクロ
コンピュータで構成することが望ましい。特に、ワンチ
ップマイコンで構成すれば、極めて小型軽量の時間差測
定装置を提供することができる。また本実施例は時間差
の測定で説明したが、光速を利用して距離や速度等の計
測に適用できることは言うまでもない。
「効果」 以上の様に構成された本発明は、連続したパルスの時
間差を測定する測定装置において、この測定装置は、概
算測定手段と精密測定手段とからなっており、前記概算
測定手段は、パルス間の時間差を測定する構成を備えて
おり、前記精密測定手段は、この測定信号Mに対して同
期のずれた関係を有する基準信号Sを発生させるための
信号発生手段と、前記測定信号Mのパルスで基準信号S
をサンプリングするためのサンプルング手段と、このサ
ンプリング手段で形成されたサンプリング信号の位相差
を検出するための位相検出手段とから構成されており、
この位相検出手段で検出された位相差を時間差に換算す
ると共に、前記概算測定手段の測定値と前記精密測定手
段の測定値とから、パルス間の時間差を演算するための
演算処理手段とを備えているので、連続パルスで生じた
時間差に対応した高い周波数の信号の位相差を、その位
相差を保存した状態で、より低い周波数の信号に変換
し、その低い周波数の位相差を測定することにより、時
間差の高分解測定を行うことができるという特有な効果
がある。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施例を示すもので、第1図と第2図と
は、測定信号Mの基準信号Sとの関係を説明する図であ
り、第3図はデータ処理による位相差検出方法を説明す
る図、第4図は光測距装置の光路を説明する図、第5図
はクロック計数による位相差検出装置の構成を示す図、
第6図はゼロクロスによる位相差検出装置の構成を示す
図、第7図はデータ処理による位相検出装置の変形例を
示す図、第8図は位相検出装置の第2実施例を示す図、
第9図はシンセサイザSYH260の構成を示す図、第10図は
メモリに記憶されたデータを示す図であり、第11図は従
来の時間差測定を説明する図である。 M……測定信号、S……基準信号 Ψ……位相変化量 100……基準信号発生器 120、130、240、250……分周器 140、260……シンセサイザ 170……パルス検出器 180、220……カウンタ部 190……処理演算部 200……サンプルホールド 280……加算器 290……メモリ部 300……アドレスカウンタ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 7/00 - 17/95 G04F 10/04 G01R 25/08 G01D 5/245

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続したパルスの時間差を測定する測定装
    置において、この測定装置は、概算測定手段と精密測定
    手段とからなっており、前記概算測定手段は、パルス間
    の時間差を測定する構成を備えており、前記精密測定手
    段は、この測定信号Mに対して同期のずれた関係を有す
    る基準信号Sを発生させるための信号発生手段と、前記
    測定信号Mのパルスで基準信号Sをサンプリングするた
    めのサンプルング手段と、このサンプリング手段で形成
    されたサンプリング信号の位相差を検出するための位相
    検出手段とから構成されており、この位相検出手段で検
    出された位相差を時間差に換算すると共に、前記概算測
    定手段の測定値と前記精密測定手段の測定値とから、パ
    ルス間の時間差を演算するための演算処理手段とを備え
    たことを特徴とする時間差の高分解測定装置。
  2. 【請求項2】連続したパルスの時間差を測定する測定装
    置において、測定信号Mに相当する第1信号と、この測
    定信号Mに対して同期のずれた関係を有する基準信号S
    を発生させるための信号発生手段と、第1信号に対応し
    た連続する光パルスを目標物へ発射させるための発光部
    と、この目標物から反射された光パルスを受光し測定信
    号Mを形成するための受光部と、この受光部で形成され
    た測定信号Mで基準信号Sをサンプリングするためのサ
    ンプルング手段と、このサンプリング手段で形成された
    サンプリング信号の位相差を検出するための位相検出手
    段と、この位相検出手段で検出された位相差を時間差に
    換算するための演算処理手段とを備えたことを特徴とす
    る時間差の高分解測定装置。
  3. 【請求項3】信号発生手段が発生させる、測定信号Mに
    対して同期のずれた関係を有する基準信号Sは、完全に
    同期のずれた関係、或いは、周期が異なり複数回に一度
    位相が同期する関係の何れかである請求項1又は2記載
    の何れか1つの時間差の高分解測定装置。
  4. 【請求項4】位相検出手段は、サンプリング信号がゼロ
    値を横切る座標のズレを計測することによりサンプリン
    グ信号の位相を検出するか、又は、サンプリング信号を
    積算し正弦成分と余弦成分を用いることによりサンプリ
    ング信号の位相を検出するか、或いは、クロックパルス
    の計数により、サンプリング信号の位相を検出するか、
    の何れか1つでサンプリング信号の位相を検出する請求
    項1〜3記載の何れか1つの時間差の高分解測定装置。
  5. 【請求項5】更に、サンプリング手段のサンプル値を記
    憶するメモリ部を有し、前記位相検出手段は、メモリ部
    で記憶されたサンプル値に基づき、サンプリング信号の
    位相を検出する請求項1〜4記載の何れか1つの時間差
    の高分解測定装置。
  6. 【請求項6】基準信号発生手段は、測定信号Mの周波数
    fMと基準信号Sの周波数fSとをn/(m(n+1))の関
    係となる様に形成し、サンプリング信号の周波数fLと測
    定信号Mの周波数fMとが、fM/fL=nとなる様に構成さ
    れている請求項1又は2記載の何れか1つの時間差の高
    分解測定装置。
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