JP2906305B2 - ロール状ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ロール状ハロゲン化銀写真感光材料

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JP2906305B2
JP2906305B2 JP4208632A JP20863292A JP2906305B2 JP 2906305 B2 JP2906305 B2 JP 2906305B2 JP 4208632 A JP4208632 A JP 4208632A JP 20863292 A JP20863292 A JP 20863292A JP 2906305 B2 JP2906305 B2 JP 2906305B2
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真感光材料に関する
ものであり、特に加熱処理をされたポリエステルフィル
ムを支持体とし、直径10mm以下3mm以上のスプールに
巻きとられた、巻ぐせの付きにくいロール状ハロゲン化
銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料は一般的に、プラスチック
フィルム支持体上に少なくとも1層の写真感光性層を塗
布することによって製造される。このプラスチックフィ
ルムとしては一般的にトリアセチルセルロース(以下
「TAC」という)に代表される繊維系のポリマーとポ
リエチレンテレフタレート(以下「PET」という)に
代表されるポリエステル系のポリマーが使用されてい
る。一般に写真感光材料としては、Xレイ用フィルム、
製版用フィルム及びカットフィルムの如くシート状の形
態のものと、ロールフィルムの代表的なものは、35m
/m巾又はそれ以下の巾でパトローネ内に収められてお
り、一般のカメラに装填して撮影に用いるカラー又は黒
白ネガフィルムである。ロールフィルム用支持体として
は主にTACが用いられているがこの最大の特徴は、光
学的に異方性が無く透明度が高いことである。さらにも
う一点優れた特徴があり、それは現像処理後のカール解
消性についても優れた特質を有している点である。即
ち、TACフィルムはその分子構造からくる特徴として
比較的プラスチックフィルムとしては吸水性が高い為、
ロールフィルムとして巻かれた状況で経時されることに
よって生じる巻きぐせカールが現像処理における吸水で
分子鎖が流動し、巻き経時で固定化された分子鎖が再配
列を起こす。その結果一旦形成された巻きぐせカールが
解消するという優れた性質を有している。この様なTA
Cのごとき巻きぐせカール回復性を有さないフィルムを
用いた写真感光材料では、ロール状態で用いられた際
に、例えば現像後写真印画紙に画像を形成させる焼き付
け工程等で、スリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャミ
ング等の問題が生じてしまう。一方、PETフィルムは
優れた生産性、機械的強度、ならびに寸度安定性を有す
るためTACに代替するものと考えられてきたが、写真
感光材料として広範囲に用いられているロール形態では
巻きぐせカールが強く残留するため現像処理後の取り扱
い性が悪く、上記の優れた性質がありながらその使用範
囲が限定されてきた。
【0003】ところで、近年写真感光材料の、用途は多
様化しており撮影時のフィルム搬送の高速化、撮影倍率
の高倍率化、ならびに撮影装置の小型化が著しく進んで
いる。その際には、写真感光材料用の支持体としては、
強度、寸度安定性、薄膜化等の性質が要求される。さら
に、撮影装置の小型化に伴い、パトローネの小型化の要
求が強くなっている。従来、135システムでは、直径
25mmのパトローネが用いられてきたが、このスプール
(巻芯)を、10mm以下にし、同時に、現行135シス
テムで用いているTAC支持体厚みの122μmから9
0μmに薄手化すれば、パトローネを直径20mm以下に
小型化することができる。一方スプールの直径を3mm以
上にすると感材に圧力カブリが発生しこれ以上は小型化
することは不可能である。このようなパトローネの小型
化を行うためには2つの課題が存在する。第1の課題
は、フィルムの薄手化に伴う力学強度の低下である。特
に、曲げ弾性は厚みの3乗に比例して小さくなる。ハロ
ゲン化銀写真感材は、一般にゼラチンに分散した感光層
を塗設しており、この層が低湿化で収縮を引き起こしト
イ状カールを発生する。この収縮応力に抗するだけの曲
げ弾性が、支持体に必要となる。第2の課題は、スプー
ルの小型化に伴う経時保存中に発生する強い巻ぐせであ
る。従来の135システムでは、パトローネ内部で最も
巻径の小さくなる36枚撮フィルムでも、巻径は14mm
である。これを10mm以下に小型化しようとすると著し
い巻ぐせが付き、これにより、種々のトラブルが発生す
る。例えば、ミニラボ自現機で現像処理を行うと、一端
がリーダーに固定されているだけでもう一端は固定され
ないため、フィルムが巻上り、ここに処理液の供給が遅
れ「処理ムラ」の発生原因となる。また、このフィルム
の巻上りは、ミニラボ中のローラーで押しつぶされ、
「折れ」が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、秀れた力学特性を有し、つか巻ぐせの少い写真感光
材料を提供することである。
【0005】本発明は、ポリエステルフィルム支持体上
に少くとも1層の感光層を有してなるロール状ハロゲン
化銀写真感光材料において、該ポリエステルがナフタレ
ンジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とするガ
ラス転移点が90℃以上200℃以下のポリエステルで
あり、該フィルム支持体が50℃以上ポリエステルのガ
ラス転移点以下の温度で0.1〜1500時間熱処理さ
れ、該ロール状ハロゲン化銀写真感光材料が直径3mm
以上10mm以下のスプールに巻取られていることを特
徴とするロール状ハロゲン化銀写真感光材料により達成
された。
【0006】まず最初に、以降に用いる巻ぐせ測定法お
よびそれに関する用語等について説明を加える。 (1)コアセット フィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせを付けること。 (2)コアセットカール コアセットにより付けた長さ方向の巻ぐせ。巻ぐせの程
度は、ANSI/ASC PH1.29−1985の T
est MethodAに従って測定し、1/R〔m〕(Rはカー
ルの半径)で表示した。 (3)絶対コアセットカール 巻ぐせ改良を行う前の写真フィルムのコアセットカー
ル。 (4)コントロールドコアセットカール 巻ぐせ改良を行った後の写真フィルムのコアセットカー
ル。 (5)真のコアセットカール (絶対コアセットカール)−(コントロールドコアセッ
トカール) (6)カール低減率 (真のコアセットカール/絶対コアセットカール)×1
00 (7)ガラス転移温度(Tg) 示差熱分析計(DSC)を用い、サンプルフィルム10
mgをヘリウムチッ素気流中、20℃/分で昇温していっ
た時、ベースラインから偏奇しはじめる温度と新たなベ
ースラインに戻る温度の算術平均温度もしくは、Tgに
吸熱ピークが現われた時はこの吸熱ピークの最大値を示
す温度をTgとして定義する。
【0007】上述の2つの課題、即ち強い力学強度と少
い巻ぐせを達成するためには、2つの方法が存在する。
第1の方法は、巻ぐせ回復性を有するTACを変性し、
力学強度の向上を狙う方法である。第2の方法は、力学
強度に優れる、PETに代表されるポリエステル支持体
に、巻ぐせが付きにくいように変性する方法である。前
者の方法でこの課題を達成することは、非常に困難であ
ると予想される。現行カラーネガ写真材料で用いている
TAC支持体の厚みは122μmあり、これを90μm
にまで低下させると、曲弾性率は、厚みの3乗に比例す
るため、122μm支持体の4割にまで低下する。即
ち、2.5倍強い弾性率を持つ支持体を達成する必要が
ある。また、スプール径を10mm以下にまで低下させる
と、巻ぐせ回復性を有するTACですら現像処理中に充
分に回復しきれず、前述の「処理ムラ」や「折れ」が発
生する。このように、「弾性率の2.5倍向上」と「巻
ぐせ回復性の向上」という2つの課題を同時に解決する
ことはかなり困難であると考えられる。
【0008】一方、後者の方法で達成しようとする場
合、例えば、PETを用いた場合本来有する強い弾性率
のため、TAC122μm相当の曲げ弾性を90μmで
達成できる。さらに、ポリエチレンナフタレート(PE
N)を用いると、PETよりさらに弾性率が高く80μ
m近くまで薄くすることができる。従って後者の場合、
これらの支持体の巻ぐせ改良のみを行えば良いわけであ
り、検討の結果、本発明に至った。
【0009】ポリエステルフィルムの巻ぐせを低減させ
る方法として、特開昭51−16358に記載されてい
る方法、即ち、ガラス転移温度を30℃ないし5℃下回
る温度で加熱処理する方法が知られている。しかし、こ
の手法を従来の135パトローネのような大きな直径
(14mm)に巻いた場合と、本発明で記載したような小
さな直径(10mm)に巻いた場合に、適応してみたとこ
ろ、驚くべきことに、直径10mmで巻いた時のカール低
減率が14mmに巻いた時より予想を越えた大きな値を示
すことを新たに見出した。このカール低減率は巻径が小
さくなるほど大きく、減少していった。この効果は、な
るべく高温で熱処理する方が短時間で達成でき望ましい
が、Tgを越えるとこの効果は消失する。この効果は実
質的に50℃以上から顕著になる。従って50℃からT
gの間の温度で熱処理することが望ましい。また、処理
時間は、0.1時間以上から効果が現われる。長いほど
効果は増大するが、1500時間以上では効果は飽和す
る。またTg以上の温度にさらされると効果が消失する
ことから、この熱処理を行うのは下塗り、バック層の塗
布と乳剤塗布の間に実施するのが望ましい。これは、通
常これらの塗布では180℃以上の高温で処理される
が、多くの汎用ポリエステルのTgはこれ以下であるた
めである。またこの熱処理は、50℃以上の高温に長時
間行うため、乳剤塗布後に行うと、乳剤層の性能を低下
させる原因となり易い。従って乳剤層塗布前に行うこと
が望ましい。
【0010】上述のようにこの効果は、Tgを越えた温
度にさらされると消失する。従って、夏季日照下の車中
の温度は90℃近くまで昇温するため、このようなユー
ザーの使用実態まで考慮すると、90℃以上のTgを有
している必要がある。一方、汎用性があり、透明なポリ
エステルでTgが200℃を越えるものは、まだ存在し
ない。従ってTgは90℃以上200℃以下である必要
がある。本発明のガラス転移温度が90℃以上のポリエ
ステルはジオールとジカルボン酸から形成されるが使用
可能な二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、無水フタル酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、セバシン酸、無水コハク酸、マレイン酸、
フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水シトラコ
ン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ジフェニレンp,
p′−ジカルボン酸、テトラクロロ無水フタル酸、3,
6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、
【0011】
【化1】
【0012】
【0013】等を挙げることができる。使用可能なジオ
ールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパン
ジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−
ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロ
ヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,4
−ベンゼンジメタノール、
【0014】
【0015】
【0016】等を挙げることができる。また、必要に応
じて、単官能または、3以上の多官能の水酸基含有化合
物あるいは、酸含有化合物が共重合されていても構わな
い。また、本発明のポリエステルには、分子内に水酸基
とカルボキシル基(あるいはそのエステル)を同時に有
する化合物が共重合されていても構わない。
【0017】
【0018】これらのジオール、ジカルボン酸から成る
ポリエステルの中で、さらに好ましいものとしては、ポ
リエチレン−2,6−ジナフタレート(PEN)およ
び、ジカルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン
酸(NDCA)、ジオールとして、エチレングリコール
(EG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、
ネオペンチルグリコール(NPG)、ビスフェノールA
(BPA)、ビフェノール(BP)また、ヒドロキシカ
ルボン酸としてパラヒドロキシ安息香酸(PHBA)、
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(HNC
A)を共重合させたものが挙げられる。これらの中でさ
らに好ましいものとして、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、テレフタール酸とエチレングリコールのコポリマ
ー(ナフタレンジカルボン酸とテレフタール酸の混合モ
ル比は0.3:0.7〜1.0:0の間が好ましく、
0.5:0.5〜0.8:0.2が更に好ましい。)、
ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコールとエ
チレングリコールのコポリマー(ネオペンチルグリコー
ルとエチレングリコールのモル比は1:0〜0.7:
0.3が好ましく、より好ましくは0.9:0.1〜
0.6:0.4)等の共重合体およびPENとPET
(組成比0.3:0.7〜1.0:0が好ましく、0.
5:0.5〜0.8:0.2が更に好ましい))等のポ
リマーブレンドでも良い。
【0019】PENは、これらのポリエステルの中で最
もバランスが取れており、力学強度、特に高い弾性率を
有し、かつガラス転移温度も120℃付近と充分高い。
しかし螢光を発するという欠点を有している。一方、P
CTは力学強度も高く、ガラス転移温度も110℃付近
と高いが結晶化速度が極めて高く、透明なフィルムを得
にくい欠点を有している。PArはこれらのポリマーの
中で、最も高いガラス転移温度(190℃)を有する
が、力学強度がPETに比べて弱い欠点を有する。従っ
て、これらの欠点を補うためこれらのポリマーをブレン
ドもしくはこれらを形成するモノマーを共重合したもの
を用いることができる。これらのホモポリマーおよびコ
ポリマーは、従来公知のポリエステルの製造方法に従っ
て合成できる。例えば酸成分をグリコール成分と直接エ
ステル化反応するか、または酸成分としてジアルキルエ
ステルを用いる場合は、まず、グリコール成分とエステ
ル交換反応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコ
ール成分を除去することにより、合成することができ
る。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、グリコ
ールと反応させてもよい。この際、必要に応じて、エス
テル交換反応、触媒あるいは重合反応触媒を用いたり、
耐熱安定化剤を添加してもよい。これらのポリエステル
合成法については、例えば、高分子実験学第5巻「重縮
合と重付加」(共立出版、1980年)第103頁〜第
136頁、“合成高分子V”(朝倉書店、1971年)
第187頁〜第286頁の記載を参考に行うことができ
る。これらのポリエステルの好ましい平均分子量の範囲
は約10,000ないし500,000である。
【0020】また、このようにして得られたポリマーの
ポリマーブレンドは、特開昭49−5482、同64−
4325、特開平3−192718、リサーチ・ディス
クロージャー283,739−41、同284,779
−82、同294,807−14に記載した方法に従っ
て、容易に形成することができる。
【0021】次に本発明に用いるポリエステルの好まし
い具体的化合物例を示すが、本発明がこれに限定される
ものではない。 ポリエステル化合物例 ・ホモポリマー PEN:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコー ル(EG)(100/100)〕 Tg=119℃ ・共重合体(( )内はモル比を表わす。) PBC−1 2,6−NDCA/TPA/EG(50/50/100) Tg=92℃ PBC−2 2,6−NDCA/TPA/EG(75/25/100) Tg=102℃ PBC−3 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA(50/50/75/ 25) Tg=112℃ PBC−8 NDCA/NPG/EG(100/70/30) Tg=105℃ ・ポリマーブレンド(( )内は重量比を表わす。) PBB−1 PEN/PET(60/40) Tg=95℃ PBB−2 PEN/PET(80/20) Tg=104℃ PBB−3 PAr/PEN(50/50) Tg=142℃ PBB−6 PEN/PET/PAr(50/25/25)Tg=108℃
【0022】以上のようなポリエステルは全てTACよ
りも強い曲弾性率を有し当初の目的であるフィルムの薄
手化は実現可能である。しかし、これらの中で最も強い
曲弾性を有していたのがPENであり、これを用いると
TACで122μm必要だった膜厚を80μmにまで薄
くすることが可能である。また、これらのポリマーフィ
ルムの厚みは50μm以上300μm以下である。50
μm以下で感光層の収縮応力に耐えられる曲げ弾性を有
す透明ポリマーフィルムはまだ存在しておらず、また3
00μm以上では、細巻きスプールを用いる意味が無
い。
【0023】また、これらのポリマーフィルム中に蛍光
防止および経時安定性付与の目的で紫外線吸収剤を、練
り込んでも良い。紫外線吸収剤としては、可視領域に吸
収を持たないものが望ましく、かつその添加量はポリマ
ーフィルムの重量に対して通常0.5重量%ないし20
重量%、好ましくは1重量%ないし10重量%程度であ
る。0.5重量%未満では紫外線劣化を抑える効果が期
待できない。紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベン
ゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベン
ゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベ
ンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジ
メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2
(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2(2′−ヒドロキシ3′,5′−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒド
ロキシ−3′−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サ
リチル酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系
紫外線吸収剤が挙げられる。
【0024】また、ポリエステルフィルムを写真感光材
料用支持体として使用する際に問題となる性質の一つに
支持体が高屈折率であるために発生するふちかぶりの問
題があげられる。ポリエステル特に芳香族系ポリエステ
ルの屈折率は1.6〜1.7と高いのに対し、この上に
塗設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は1.
50〜1.55とこの値より小さい。従って、光がフィ
ルムエッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面で反
射しやすい。従って、ポリエステル系のフィルムはいわ
ゆるライトパイピング現象(ふちかぶり)を起こす。こ
の様なライトパイピング現象を回避する方法としてはフ
ィルムに不活性無機粒子等を含有させる方法ならびに染
料を添加する方法等が知られている。本発明において好
ましいライトパイピング防止方法はフィルムヘイズを著
しく増加させない染料添加による方法である。フィルム
染色に使用する染料については特に限定を加えるもので
は無いが色調は感光材料の一般的な性質上グレー染色が
好ましく、また染料はポリエステルフィルムの製膜温度
域での耐熱性に優れ、かつポリエステルとの相溶性に優
れたものが好ましい。染料としては、上記観点から三菱
化成製の Diaresin 、日本化薬製の Kayaset等ポリエス
テル用として市販されている染料を混合することにより
目的を達成することが可能である。染色濃度に関して
は、マクベス社製の色濃度計にて可視光域での色濃度を
測定し少なくとも0.01以上であることが必要であ
る。更に好ましくは0.03以上である。
【0025】本発明によるポリエステルフィルムは、用
途に応じて易滑性を付与することも可能であり、易滑性
付与手段としては特に限定を加えるところでは無いが、
不活性無機化合物の練り込み、あるいは界面活性剤の塗
布等が一般的手法として用いられる。かかる不活性無機
粒子としては、SiO2 、TiO2 、BaSO4 、Ca
CO3 、タルク、カオリン等が例示される。また、上記
のポリエステル合成反応系に不活性な粒子を添加する外
部粒子系による易滑性付与以外にポリエステルの重合反
応時に添加する触媒等を析出させる内部粒子系による易
滑性付与方法も採用可能である。これら易滑性付与手段
には特に限定を加えるものでは無いが、写真感光材料用
支持体としては透明性が重要な要件となるため、上記易
滑性付与方法手段では外部粒子系としてはポリエステル
フィルムと比較的近い屈折率をもつSiO2 、あるいは
析出する粒子径を比較的小さくすることが可能な内部粒
子系を選択することが望ましい。更には、練り込みによ
る易滑性付与を行う場合、よりフィルムの透明性を得る
ために機能付与した層を積層する方法も好ましい。この
手段としては具体的には複数の押し出し機ならびにフィ
ードブロック、あるいはマルチマニフォールドダイによ
る共押出し法が例示される。
【0026】これらのポリマーフィルムを支持体に使用
する場合、これらポリマーフィルムがいずれも疎水性の
表面を有するため、支持体上にゼラチンを主とした保護
コロイドからなる写真層(例えば感光性ハロゲン化銀乳
剤層、中間層、フィルター層等)を強固に接着させる事
は非常に困難である。この様な難点を克服するために試
みられた従来技術としては、(1) 薬品処理、機械的処
理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処
理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処
理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理
をしたのち、直接写真乳剤を塗布して接着力を得る方法
と、(2) 一旦これらの表面処理をした後、あるいは表面
処理なしで、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を塗布す
る方法との二法がある。(例えば米国特許第2,69
8,241号、同2,764,520号、同2,86
4,755号、同3,462,335号、同3,47
5,193号、同3,143,421号、同3,50
1,301号、同3,460,944号、同3,67
4,531号、英国特許第788,365号、同80
4,005号、同891,469号、特公昭48−43
122号、同51−446号等)。
【0027】
【0028】
【0029】次に(2) の下塗法について述べると、これ
らの方法はいずれもよく研究されており、重層法におけ
る下塗第1層では、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン
酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発
原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミ
ン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロ
ースなど数多くのポリマーについて、下塗第2層では主
としてゼラチンについてその特性が検討されてきた。単
層法においては、多くは支持体を膨潤させ、親水性下塗
ポリマーと界面混合させる事によって良好な接着性を達
成している場合が多い。本発明に使用する親水性下塗ポ
リマーとしては水溶性ポリマー、セルロースエステル、
ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示さ
れる。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘
導体、ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、
ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無
水マレイン酸共重合体などであり、セルロースエステル
としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロースなどである。ラテックスポリマーとしては
塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合
体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有
共重合体、ブタジエン含有共重合体などである。この中
でも最も好ましいのはゼラチンである。本発明に使用さ
れる支持体を膨潤させる化合物として、レゾルシン、ク
ロルレゾルシン、メチルレゾルシン、o−クレゾール、
m−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、o−ク
ロルフェノール、p−クロルフェノール、ジクロルフェ
ノール、トリクロルフェノール、モノクロル酢酸、ジク
ロル酢酸、トリフルオロ酢酸、抱水クロラールなどがあ
げられる。この中で好ましいのは、レゾルシンとp−ク
ロルフェノールである。
【0030】本発明の下びき層には種々のゼラチン硬化
剤を用いることができる。ゼラチン硬化剤としてはクロ
ム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアル
デヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート
類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒド
ロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹
脂などを挙げることができる。本発明の下びき層にはS
iO2 、TiO2 、マット剤の如き無機物微粒子又はポ
リメチルメタクリレート共重合体微粒子(1〜10μ
m)を含有することができる。これ以外にも、下塗液に
は、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができ
る。例えば界面活性剤、帯電防止剤、アンチハレーショ
ン剤、着色用染料、顔料、塗布助剤、カブリ防止剤等で
ある。本発明において、下塗第1層用の下塗液を使用す
る場合には、レゾルシン、抱水クロラール、クロロフェ
ノールなどの如きエッチング剤を下塗液中に含有させる
必要は全くない。しかし所望により前記の如きエッチン
グ剤を下塗中に含有させることは差し支えない。
【0031】本発明に係わる下塗液は、一般によく知ら
れた塗布方法、例えばティップコート法、エアーナイフ
コート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイ
ヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは米国特許
第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用
するエクストルージョンコート法により塗布することが
出来る。所望により、米国特許第2,761,791
号、同3,508,947号、同2,941,898
号、及び同3,526,528号明細書、原崎勇次著、
「コーティング工学」253頁(1973年、朝倉書店
発行)などに記載された方法により2層以上の層を同時
に塗布することが出来る。
【0032】バック層のバインダーとしては、疎水性ポ
リマーでもよく、下びき層に用いる如き親水性ポリマー
であってもよい。本発明の感光材料のバック層には、帯
電防止剤、易滑剤、マット剤、界面活性剤、染料等を含
有することができる。本発明のバック層で用いられる帯
電防止剤としては、特に制限はなく、たとえばアニオン
性高分子電解質としてはカルボン酸及びカルボン酸塩、
スルホン酸塩を含む高分子で例えば特開昭48−220
17号、特公昭46−24159号、特開昭51−30
725号、特開昭51−129216号、特開昭55−
95942号に記載されているような高分子である。カ
チオン性高分子としては例えば特開昭49−12152
3号、特開昭48−91165号、特公昭49−245
82号に記載されているようなものがある。またイオン
性界面活性剤もアニオン性とカチオン性とがあり、例え
ば特開昭49−85826号、特開昭49−33630
号、US2,992,108、US3,206,31
2、特開昭48−87826号、特公昭49−1156
7号、特公昭49−11568号、特開昭55−708
37号などに記載されているような化合物を挙げること
ができる。本発明のバック層の帯電防止剤として最も好
ましいものは、ZnO、TiO3、SnO2 、Al2
3 、In2 3 、SiO2 、MgO、BaO、MoO3
の中から選ばれた少くとも1種の結晶性の金属酸化物あ
るいはこれらの複合酸化物の微粒子である。本発明に使
用される導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物の微
粒子はその体積抵抗率が107 Ωcm以下、より好ましく
は105 Ωcm以下である。またその粒子サイズは0.0
1〜0.7μ、特に0.02〜0.5μですることが望
ましい。
【0033】本発明に使用される導電性の結晶性金属酸
化物あるいは複合酸化物の微粒子の製造方法については
特開昭56−143430号及び同60−258541
号の明細書に詳細に記載されている。第1に金属酸化物
微粒子を焼成により作製し、導電性を向上させる異種原
子の存在下で熱処理する方法、第2に焼成により金属酸
化物微粒子を製造するときに導電性を向上させる為の異
種原子を共存させる方法、第3に焼成により金属微粒子
を製造する際に雰囲気中の酸素濃度を下げて、酸素欠陥
を導入する方法等が容易である。異種原子を含む例とし
てはZnOに対してAl、In等、TiO2 に対しては
Nb、Ta等、SnO2 に対してはSb、Nb、ハロゲ
ン元素等が挙げられる。異種原子の添加量は0.01〜
30mol%の範囲が好ましいが0.1〜10mol %であ
れば特に好ましい。
【0034】次に本発明の写真感光材料の写真層につい
て記載する。ハロゲン化銀乳剤層としては黒白用カラー
用何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写真感光
材料について説明する。本発明の感光材料は、支持体上
に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀
乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロ
ゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特
に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質
的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲ
ン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有する
ハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色
光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単
位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材
料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側
から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置
される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であって
も、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたよ
うな設置順をもとりえる。上記、ハロゲン化銀感光性層
の間および最上層、最下層には各層の中間層等の非感光
性層を設けてもよい。該中間層には、特開昭61−43
748号、同59−113438号、同59−1134
40号、同61−20037号、同61−20038号
明細書に記載されているようなカプラー、DIR化合物
等が含まれていてもよく、通常用いられるように混色防
止剤を含んでいてもよい。各単位感光性層を構成する複
数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,4
70号あるいは英国特許第923,045号、特開昭5
7−112751号、同62−200350号、同62
−206541号、同62−206543号、同56−
25738号、同62−63936号、同59−202
464号、特公昭55−34932号、同49−154
95号明細書に記載されている。ハロゲン化銀粒子は、
立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有す
るもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するも
の、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれ
らの複合形でもよい。
【0035】
【0036】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャーN
o. 17643および同No. 18716に記載されてお
り、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明に使用
できる公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・デ
ィスクロージャーに記載されており、下記の表に関連す
る記載箇所を示した。
【0037】 (添加剤種類) (RD17643) (RD18716) 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄〜 6 光吸収剤、フィルター染料、 紫外線吸収剤 25〜26頁 649頁右欄〜 650頁左欄 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 650頁右欄 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号、や同第
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No. 17643の28〜29頁、および同N
o. 18716の615左欄〜右欄に記載された通常の
方法によって現像処理することができる。本発明のハロ
ゲン化銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の
目的で発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するために
は、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ま
しい。例えば米国特許第3,342,597号のインド
アニリン系化合物、同第3,342,599号、リサー
チ・ディスクロージャー14,850号および同15,
159号記載のシッフ塩基型化合物、同第13,924
号に記載されている。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 1)支持体の作成 以下に述べる方法によって、下記支持体A〜Cを作成し
た。 支持体A(ポリエチレンナフタレート(PEN):厚み
40μm、80μm、122μm) 支持体B(ポリエチレンテレフタレート(PET):厚
み90μm) 支持体C(トリアセチルセルロース(TAC):厚み1
22μm) 支持体A:市販のポリエチレン−2,6−ナフタレート
ポリマー100重量部と紫外線吸収剤として Tinuvin
P.326(ガイギー社製)を2重量部と常法により乾
燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し
140℃で3.3倍の縦延伸を行いつづいて130℃で
3.3倍の横延伸を行いさらに250℃で6秒間熱固定
し、厚み40、80、122μmのフィルムを得た。 支持体B:市販のポリエチレンテレフタレートポリマー
を通法に従い2軸延伸、熱固定を行い、厚み90μmの
フィルムを得た。 支持体C:トリアセチルセルロースを通常の溶液流延法
によりメチレンクロライド/メタノール=82/8wt
比、TAC濃度13%可塑剤TPP/BDP=2/1
(ここでTPP;トリフェニルフォスフェート、BD
P:ビフェニルジフェニルフォスフェート)の15wt
%のバンド法にて作成した。
【0044】2)下塗層の塗設 支持体A、Bは、その各々の両面にコロナ放電処理をし
た後、下記組成の下塗層を設けた。コロナ放電処理はピ
ラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデル
を用い、30cm幅支持体を20m/分で処理する。この
とき、電流、電圧の読み取り値より被処理物は、0.3
75KV・A ・分/m2の処理がなされた。処理時の放電周
波数は9.6KHz 、電極と誘電体ロールのギャップクリ
アランスは、1.6mmであった。 ゼラチン 3g 蒸留水 250cc ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート 0.05g ホルムアルデヒド 0.02g また、支持体Cに対しては下記組成の下塗層を設けた。 ゼラチン 0.2g サリチル酸 0.1g メタノール 15cc アセトン 85cc ホルムアルデヒド 0.01g
【0045】3)バック層の塗設 下塗後の支持体A〜Cの下塗層を設けた側とは反対側の
面に下記組成のバック層を塗設した。 3−1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチモ
ン複合物分散液)の調製:塩化第二スズ水和物230重
量部と三塩化アンチモン23重量部をエタノール300
0重量部に溶解し均一溶液を得た。この溶液に1Nの水
酸化ナトリウム水溶液を前記溶液のpHが3になるまで滴
下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈
澱を得た。得られた共沈澱を50℃に24時間放置し、
赤褐色のコロイド状沈澱を得た。赤褐色コロイド状沈澱
を遠心分離により分離した。過剰なイオンを除くため沈
澱に水を加え遠心分離によって水洗した。この操作を3
回繰り返し過剰イオンを除去した。過剰イオンを除去し
たコロイド状沈澱200重量部を水1500重量部に再
分散し、600℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青味がか
った平均粒径0.2μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の微粒子粉末を得た。この微粒子粉末の比抵抗は2
5Ω・cmであった。上記微粒子粉末40重量部と水60
重量部の混合液をpH7.0に調製し、攪拌機で粗分散の
後、横型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA. BACH
OFENAG製)で滞留時間が30分になるまで分散して調製
した。
【0046】3−2)バック層の調製:下記処方〔A〕
を乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布し、130℃
で30秒間乾燥した。この上に更に下記の被覆層用塗布
液(B)を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、
130℃で2分間乾燥した。 〔処方A〕 上記導電性微粒子分散液 10重量部 ゼラチン 1重量部 水 27重量部 メタノール 60重量部 レゾルシン 2重量部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 〔被覆層用塗布液(B)〕 セルローストリアセテート 1重量部 アセトン 70重量部 メタノール 15重量部 ジクロルメチレン 10重量部 p−クロルフェノール 4重量部
【0047】4)支持体の熱処理 上記方法にて、下塗り層、バック層を塗設した後、表
1、2に示す条件にて、熱処理を実施した。熱処理は全
て直径30cmの巻芯に、下塗面を外巻にして実施した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】また比較例として熱処理を施さないものも
用意した。これらの支持体の力学強度の中で、支持体の
薄手化に伴い最も重要な曲げ弾性について測定を行っ
た。曲弾性率の測定は円環法と呼ばれる方法を用いて行
った。即ち、幅35mmで、長さ方向に平行にスリットし
たサンプルで円周10cmの円環を作りこれを水平に置
き、これを12mm、変形する時の荷重を測定し、曲げ弾
性率の目安とした。今回の測定では、いづれも下塗り層
が円環の内周になるようにして測定し、また測定環境は
25℃60%RHで行った。これらで測定した結果を表
1に示した。PENは80μmでまたPETは90μm
でほぼTAC122μmに相当する曲弾性率を示してい
る。また、この値は本発明の熱処理を行っても変化しな
かった。PENの厚みをTAC同様122μmまで厚く
するとA−14、15に示すようにTACの3倍以上の
曲げ弾性を有することが判った。
【0051】5)感光層の塗設 上記方法で得た支持体上に下記に示すような組成の各層
を重層塗布し、多層カラー感光材料A−1〜17、B−
1〜2、C−1を作成した。 (感光層組成)各層に使用する素材の主なものは下記の
ように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収
剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機
溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬
化剤 ExS:増感色素 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を
示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0052】(試料101) 第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.18 ゼラチン 1.40 ExM−1 0.18 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.20
【0053】
【0054】第3層(低感度赤感乳剤層) 乳剤A 銀 0.25 乳剤B 銀 0.25 ExS−1 6.9×10-5 ExS−2 1.8×10-5 ExS−3 3.1×10-4 ExC−1 0.17 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−7 0.0050 ExC−8 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0055】第4層(中感度赤感乳剤層) 乳剤D 銀 0.70 ExS−1 3.5×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.1×10-4 ExC−1 0.13 ExC−2 0.060 ExC−3 0.0070 ExC−4 0.090 ExC−5 0.025 ExC−7 0.0010 ExC−8 0.0070 Cpd−2 0.023 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0056】第5層(高感度赤感乳剤層) 乳剤E 銀 1.40 ExS−1 2.4×10-4 ExS−2 1.0×10-4 ExS−3 3.4×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.045 ExC−6 0.020 ExC−8 0.025 Cpd−2 0.050 HBS−1 0.22 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.20
【0057】第6層(中間層) Cpd−1 0.10 HBS−1 0.50 ゼラチン 1.10
【0058】第7層(低感度緑感乳剤層) 乳剤C 銀 0.35 ExS−4 3.0×10-5 ExS−5 2.1×10-4 ExS−6 8.0×10-4 ExM−1 0.010 ExM−2 0.33 ExM−3 0.086 ExY−1 0.015 HBS−1 0.30 HBS−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0059】第8層(中感度緑感乳剤層) 乳剤D 銀 0.80 ExS−4 3.2×10-5 ExS−5 2.2×10-4 ExS−6 8.4×10-4 ExM−2 0.13 ExM−3 0.030 ExY−1 0.018 HBS−1 0.16 HBS−3 8.0×10-3 ゼラチン 0.90
【0060】第9層(高感度緑感乳剤層) 乳剤E 銀 1.25 ExS−4 3.7×10-5 ExS−5 8.1×10-5 ExS−6 3.2×10-4 ExC−1 0.010 ExM−1 0.030 ExM−4 0.040 ExM−5 0.019 Cpd−3 0.040 HBS−1 0.25 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.44
【0061】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.030 Cpd−1 0.16 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0062】第11層(低感度青感乳剤層) 乳剤C 銀 0.18 ExS−7 8.6×10-4 ExY−1 0.020 ExY−2 0.22 ExY−3 0.50 ExY−4 0.020 HBS−1 0.28 ゼラチン 1.10
【0063】第12層(中感度青感乳剤層) 乳剤D 銀 0.40 ExS−7 7.4×10-4 ExC−7 7.0×10-3 ExY−2 0.050 ExY−3 0.10 HBS−1 0.050 ゼラチン 0.78
【0064】第13層(高感度青感乳剤層) 乳剤F 銀 1.00 ExS−7 4.0×10-4 ExY−2 0.10 ExY−3 0.10 HBS−1 0.070 ゼラチン 0.86
【0065】第14層(第1保護層) 乳剤G 銀 0.20 UV−4 0.11 UV−5 0.17 HBS−1 5.0×10-2 ゼラチン 1.00
【0066】第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径 1.7 μm) 5.0×10-2 B−2(直径 1.7 μm) 0.10 B−3 0.10 S−1 0.20 ゼラチン 1.20
【0067】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0068】
【表3】
【0069】表2において、 (1)乳剤A〜Fは特開平2-191938号の実施例に従い、
二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時
に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Fは特開平3-237450号の実施例に従い、
各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウ
ムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されて
いる。 (3)平板状粒子の調製には特開平1-158426号の実施例
に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子および粒子構造を有する正常晶粒子に
は特開平3-237450号に記載されているような転位線が高
圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
【化10】
【0075】
【化11】
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】
【化14】
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】
【化17】
【0082】
【化18】
【0083】
【化19】
【0084】
【化20】
【0085】6)サンプル評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルA−1〜
15、B−1〜2、C−1について、巻ぐせの評価を実
施した。評価は下記手順に従って行った。 6−1)コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにスリ
ットした。これを25℃60%RHで1晩調湿後、感光
層を内巻にし、表1に示したように6〜14mmのスプー
ルに巻きつけた。これを密封容器中に入れ、80℃で2
hr加熱して巻ぐせを付けた。この温度条件は夏季に車中
にフィルムを置いていたことを想定した条件である。 6−2)現像処理、カール測定 上記条件で巻きぐせを付けたフィルムを、一晩25℃の
部屋の中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルム
を取出し、これを自動現像機(ミニラボFP−550
B:富士写真フイルム製)で現像処理し、直ちに25℃
60%RH下にて、カール板を用いてカール測定を行っ
た。なお、現像処理条件は下記のとおりである。
【0086】 処理工程 温 度 時間 発色現像 38℃ 3分 停 止 38℃ 1分 水 洗 38℃ 1分 漂 白 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 定 着 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 安定浴 38℃ 1分 用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β− ヒドロキシエチル)アニリン・モノサルフェート) 4g 水を加えて 全量 1リットル 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 30ミリリットル 酢酸 30ミリリットル 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III)ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量 1リットル 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ミリリットル カリ明ばん 20g 水を加えて 全量 1リットル 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル
【0087】6−3)結果 これらの結果を表1に示した。熱処理を実施しなかった
A−1〜5と実施したA−6〜10を比べると明らかに
後者のカール値は小さく、熱処理の効果が現われてい
る。しかしこの効果は、コアセットスプール径が10mm
以下のA−6〜8に於て著しく大きく、いづれもカール
回復率が54%〜66%と高い。この効果の結果、現像
処理中に発生する“処理ムラ”、“折れ”は3〜10mm
という細いスプールを用いても発生せず、問題はない。
しかし、3mm以下のスプールを用いると、“折れ”“処
理ムラ”共に発生し、かつ、感材の圧力カブリも発生す
る。一方、スプール径が10mmを越えると、A−9〜1
0の様に、カール回復率が48%と低くなる。即ち、1
0mm以下3mm以上のスプールで本発明が有効に働くこと
が、確認された。しかし、この熱処理は1500時間以
降は効果が飽和し、1600hr110℃で熱処理したも
の(A−17)と24hr熱処理したもの(A−7)はほ
とんど変らない。また、50℃以下の熱処理ではA−1
1に示した様にカール回復率は低かった。Tg以上の温
度即ち125℃の熱処理ではA−16に示すように、カ
ール回復率は著しく小さい。支持体の厚みではA−1
2、13に示すように巻ぐせは小さいものの、ミニラボ
の乾燥ゾーンでの感光層の収縮に伴うカールにより折れ
が発生しており、50μm以上の厚みが必要であること
が判る。一方、Tgが90℃以下のPETでは、80℃
2hrのコアセット条件では、熱処理の効果はほとんど無
くなり、わずか2%のカール低減率しか得られなかっ
た。これに伴い、現像処理トラブルが発生している。C
−1のTACでも巻ぐせはある程度回復するものの現像
処理トラブルは発生している。このようにA−6〜8の
結果から明らかなように、90℃以上のTgでかつ、5
0℃〜Tgの間の温度で0.1〜1500時間加熱処理
を行い、かつ、直径10mm以下のスプールに巻きつける
ことにより、パトローネの著しい小型化を達成し、同時
に巻ぐせにより発生するトラブルを解決することができ
た。
【0088】 実施例2 1)感材の作成 支持体に用いるポリエステルは、PEN、PETのペレ
ットをあらかじめ150℃で4時間真空下で乾燥した後
表3に示す様な混合比で2軸混練押出し機を用い280
℃で混練押出した後ペレット化し調製した。このポリエ
ステルを実施例1と同じ方法で製膜した。これをさらに
実施例1に従い下塗り層の塗設、バック層の塗設、熱処
理を行った。これを実施例1と同様にして円環法を用
い、曲弾性率を評価した。これにさらに実施例1に従い
感光層の塗設を行い、サンプルD−1〜11を作成し
た。
【0089】 2)サンプルの評価 このようにして作成した写真フィルムD−1〜11につ
いて、実施例1と同様にして巻ぐせの評価を行った。さ
らに同時に常法に従いセンシトメトリー評価を行い支持
体から発する蛍光の評価も行った。 3)結果 結果を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】PENとPETをブレンドしてD−1〜1
0を調製した。D−1〜8はTgが90℃を越えてお
り、これにさらに10mm以下のスプールを組合せると
(D−5、6)そのカール回復率は大きなものとなりミ
ニラボ内でのトラブルも発生しなくなっている。一方、
D−9、10はTgが、90℃以下であるため非常に強
く巻ぐせが付いてしまい、10mm以下のスプールと組
み合せてもカール低減率はわずかしか得られない。従っ
て、このポリマーブレンド系に於てもTgが90℃以上
でかつ10mm以下のスプールに巻くことで本発明の効
果が得られる。一方、純料なPEN(D−11)は実施
例1でも示したように、十分な効果が得られるが、わず
かに螢光を発し、これが、写真感度曲線にわずかに影響
する。一方、D−5〜8のようにPETを加えてやると
わずかに曲弾性率は低下するものの、螢光の影響を抑え
ることができる。
【0093】 実施例3 1)感材の作成 ガラス転移温度90℃以上のポリエステルはステンレス
鋼製のオートクレーブを用い、ジカルボン酸としてテレ
フタル酸ジメタノールと2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメタノール、ジオールとしてエチレングリコール
(EG)、ビスフェノールA(BPA)、シクロヘキサ
ンジメタノール(CHDM)を表4に示す組成で混合
し、触媒として3酸化アンチモン0.025モル(酸成
分に対して)を用いエステル交換法によって重縮合し
た。このようにして合成したポリエステルを実施例1と
同じ方法で製膜した。これをさらに実施例1に従い、下
塗り層の塗設、バック層の塗設、熱処理を行った。これ
を実施例1と同様にして円環法にて曲弾性率を評価し
た。これに感光層の塗設を実施例1に従い実施し、写真
フィルムサンプルE−1〜18を得た。
【0094】 2)サンプル評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルE−1〜
18について実施例1と同様の方法で巻ぐせの評価を行
った。
【0095】3)結果 結果を表6に示した。
【0096】
【表6】
【0097】
【表7】
【0098】NDCA/TPA/EG共重合体の例をE
−1〜10に示した。E−1〜8はTgが92℃であ
り、これに熱処理を加えたものがE−1〜8、さらにこ
れを10mm以下のスプールに巻いた本発明がE−5、
6でありこれらのサンプルは大きなカール低減率を示
す。またこれらの組成ではNDCAとTPAを1:1で
混合しナフタレン環の濃度を下げているため、いづれも
蛍光に伴う写真感度曲線への影響は少い。またNDCA
/TPAの比率を25/75にするとTgが77℃と9
0℃を下回るため、強く巻ぐせが付きこれらの本発明の
効果は得られない。
【0099】
【発明の効果】ガラス転移温度90℃以上のポリエステ
ルを、50℃以上、そのガラス転移温度以下で、0.1
〜1500時間加熱処理したものを支持体としかつ3mm
以上、10mm以下のスプールに巻きつけることにより、
大きなカール低減率が得られ、その結果ミニラボ内で処
理ムラや折れ等のトラブルの発生しにくく、ハンドリン
グ性に秀れたロール状ハロゲン化銀写真感光材料を作る
ことができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルム支持体上に少くと
    も1層の感光層を有してなるロール状ハロゲン化銀写真
    感光材料において、該ポリエステルがナフタレンジカル
    ボン酸とエチレングリコールを主成分とするガラス転移
    点が90℃以上200℃以下のポリエステルであり、該
    フィルム支持体が50℃以上ポリエステルのガラス転移
    点以下の温度で0.1〜1500時間熱処理され、該ロ
    ール状ハロゲン化銀写真感光材料が直径3mm以上10
    mm以下のスプールに巻取られていることを特徴とする
    ロール状ハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 該ポリエステルフィルム支持体の厚みが
    50μm以上300μm以下であることを特徴とする請
    求項1記載のロール状ハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 該熱処理が、下塗り層、バック層塗設後
    実施されることを特徴とする請求項2に記載のロール状
    ハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 該ポリエステルがポリエチレン−2,6
    −ナフタレートであることを特徴とする請求項1ないし
    3に記載のロール状ハロゲン化銀写真感光材料。
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