JP2902653B2 - 直流電源装置 - Google Patents

直流電源装置

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JP2902653B2
JP2902653B2 JP63262743A JP26274388A JP2902653B2 JP 2902653 B2 JP2902653 B2 JP 2902653B2 JP 63262743 A JP63262743 A JP 63262743A JP 26274388 A JP26274388 A JP 26274388A JP 2902653 B2 JP2902653 B2 JP 2902653B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電流制限回路を備える直流電源回路に関す
る。
(従来の技術) 第2図は従来の直流電源装置の回路構成図、第3図は
その負荷特性を示す図である。
第2図に示す装置は、一般的なDC−DCコンバータ回路
を構成するスイッチ回路1および制御部2と、この装置
から出力される電流を検出する電流検出部3とを含む。
ここで、スイッチ回路1は、スイッチング素子である
PNPトランジスタ4により構成されている。このPNPトラ
ンジスタ4は、そのエミッタが直流電源5の正極側に接
続され、そのコレクタがコイル6を介して正極側の出力
端子7に接続され、そのベースが制御部2の出力端子2a
に接続されている。
そして、制御部2は、三角波発振器8と、正極側の出
力端子7の電圧と三角波発振器8の出力電圧とを比較す
る誤差アンプ9と、三角波発振器8の制御端子Cに供給
される駆動電圧を制御するNPNトランジスタ10とから成
る。即ち、誤差アンプ9の反転入力端子は三角波発振器
8の出力端子に接続され、非反転入力端子は出力端子7
側に接続され、誤差アンプ9の出力端子は制御部2の出
力端子2aに接続されている。そして、NPNトランジスタ1
0のコレクタは三角波発振器8の制御端子Cに接続され
ており、この制御端子Cおよびトランジスタ10のコレク
タには抵抗11を介して内部電圧源12が接続されている。
三角波発振器は、この電源電圧が制御端子Cに接続され
ている間、誤差アンプ9に対し、三角波を出力する。ま
た、NPNトランジスタ10のベースとエミッタとは、電流
検出部3の制御端子3a,3bに接続されている。
一方、電流検出部3は、出力端子19と直流電源5との
間に挿入された電流検出用抵抗13と、電流検出用抵抗13
の両端の電圧を分圧する分圧回路網と、この分圧回路網
の中間タップ20に接続される制御端子3aと、この分圧回
路網の一端に接続される制御端子3bとから成る。ここ
で、分圧回路網は、電流検出用抵抗13に並列に接続され
た分圧用抵抗14,15から成る。そして、分圧用抵抗14,15
の接続点が分圧回路網の中間タップ20とされている。
また、スイッチ回路1のトランジスタ4のコレクタと
コイル6との間にはトランジスタ4の保護用のダイオー
ド21のカソードが接続されており、このダイオード21の
アノードは直流電源5の負極側に接続されている。そし
て、コイル6と出力端子7との間にはコンデンサ22の正
極端子が接続されており、このコンデンサ22の負極端子
は直流電源5の負極側に接続されている。
以上の構成を有する直流電源装置において、制御部2
の誤差アンプ9は出力端子7の出力電圧VOUTと、三角波
発振器8からの三角波電圧とを比較し、三角波電圧のレ
ベルが高い時間だけロウレベル「L」の信号を出力して
PNPトランジスタ4を導通させる。従って、導通期間に
おいてはPNPトランジスタ4のコレクタ電圧が出力端子
7に出力されるとともにコイル6を介してコンデンサ22
に充電される。
また、誤差アンプ9がハイレベル「H」の信号を出力
している間においてはPNPトランジスタ4は非導通状態
に保持されているが、コンデンサ22に充電された電流が
放電されて出力端子7に出力電圧VOUTが連続的に現われ
る。
出力電圧VOUTが所定レベルより高い場合には誤差アン
プ9のロウレベル「L」の期間が短くなるので、PNPト
ランジスタ4の導通期間も短くなる。これに対して、出
力電圧VOUTが所定レベルより低い場合には誤差アンプ9
のロウレベル「L」の期間が長くなるので、PNPトラン
ジスタ4の導通期間も長くなる。従って、PNPトランジ
スタ4の導通期間の制御により出力電圧VOUTを所定レベ
ルに保持することができる。
一方、電流検出部3において、電流検出用抵抗13に負
荷電流Iが流れると、両端に電位差が生じ、この電位差
は分圧用抵抗14,15にて分圧される。負荷電流Iが設定
した制限電流値ILIMIT(第3図参照)以下の場合、分圧
用抵抗14,15にて分圧された電圧は制御部2のNPNトラン
ジスタ10のベース・エミッタ間飽和電圧VBEより小さい
値になるので、該トランジスタ10は動作しない。従っ
て、三角波発振器8の制御端子Cの電圧が内部電圧源12
にてハイレベル「H」に保持されて、該発振器8より三
角波電圧が出力され、上述したようにスイッチング素子
としてのPNPトランジスタ4が断続的に導通制御され
る。
これに対して、負荷電流Iが制限電流値ILIMITより大
きくなると、分圧用抵抗14、15にて分圧された電圧がNP
Nトランジスタ10のベース・エミッタ間飽和電圧VBEより
も大きい値になるので、該トランジスタ10が動作を開始
し、コレクタ電圧が低下する。従って、三角波発振器8
の制御端子Cがロウレベル「L」に変化するので、該発
振器8の動作が停止し、三角波電圧が誤差アンプ9に供
給されなくなっている。よって、PNPトランジスタ4が
非導通状態に保持され、第3図に示すように、制限電流
値ILIMIT位置で出力電圧VOUTが低下し、負荷電流Iが遮
断される。
尚、NPNトランジスタ10のベース・エミッタ間飽和電
圧VBEと制限電流値ILIMITとは、電流検出用抵抗13の抵
抗値をR13、分圧用抵抗14,15の抵抗値をR14,R15とする
と、次式(1)のように表わすことができる。
Vbe=R13×I×R14/(R14+R15) ……(1) (発明が解決しようとする課題) しかし、上記した従来の直流電源装置では、電動機や
コンデンサの如くある短い期間であっても大きな電流を
必要とする負荷を接続した場合に、スイッチング素子で
あるPNPトランジスタ4の定格を大きくして電流制限値
を大きく設定しなければならなかった。従って、この場
合には電源装置の大きさおよびコストの増大が生じてし
まった。一方、PNPトランジスタ4の定格および電流制
限値を小さいままとした、コストの低い電源装置を使用
した場合には、負荷の通電期間中に電圧のドロップが生
じ、電圧変動率が大きくなってしまった。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、短期間
のみ大きな電流を必要とする負荷を接続した場合に、定
格を大きくする必要がなく、装置の小型化およびコスト
の低減を図るとともに、電圧ドロップを生じることがな
い直流電源装置を提供することを目的とするものであ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明の直流電源装置は、直流電源の出力に直列に挿
入されたスイッチ回路と、該スイッチ回路の開閉を制御
する制御部と、出力電流を検出する電流検出部とを備え
る直流電源装置であって、前記電流検出部は、電流検出
用抵抗と、該電流検出用抵抗の両端の電圧を周波数特性
を有するインピーダンスによって分圧する分圧回路網
と、該分圧回路網の中間タップに接続される制御端子と
から成り、該制御端子の出力に応じて前記制御部が前記
スイッチ回路の開閉を制御することを特徴とするもので
ある。
(作用) 以上の直流電源装置では、電源からの電流の供給が開
始されると、電流検出部において、周波数特性を有する
インピーダンスによって分圧回路網の制御端子に生じる
出力が時間特性をもって変化する。そして、第7図に示
すように、電流の連続時間が短い間は、制御部が制御す
る電流の制限値が大きくされ、電流の連続時間が長くな
るに従って、この制限値がより小さくされる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。
第1図は本発明に係る直流電源装置の回路構成図であ
る。
第1図に示す装置は、一般的なDC−DCコンバータ回路
を構成するスイッチ回路1および制御部2と、出力電流
を検出する電流検出部3とを含む。
ここで、スイッチ回路1は、スイッチング素子である
PNPトランジスタ4により構成されている。このPNPトラ
ンジスタ4は、そのエミッタが直流電源5の正極側に接
続され、そのコレクタがコイル6を介して正極側の出力
端子7に接続され、そのベースが制御部2の出力端子2a
に接続されている。
そして、制御部2は、三角波発振器8と、正極側の出
力端子7の電圧と三角波発振器8の出力電圧とを比較す
る誤差アンプ9と、三角波発振器8の制御端子Cに供給
される信号を制御するNPNトランジスタ10とから成る。
即ち、誤差アンプ9の反転入力端子は三角波発振器8の
出力端子に接続され、非反転入力端子は出力端子7側に
接続され、誤差アンプ9の出力端子は出力端子2aに接続
されている。そして、NPNトランジスタ10のコレクタは
三角波発振器8の制御端子Cに接続されており、この制
御端子Cおよびトランジスタ10のコレクタにはバイアス
抵抗11を介して内部電圧源12が接続されている。また、
NPNトランジスタ10のベースとエミッタとは、電流検出
部3の制御端子3a,3bに接続されている。
以上の構成は第2図に示す従来の直流電源装置と同一
構成である。
一方、電流検出部3は、出力端子19と直流電源5との
間に挿入された電流検出用抵抗13と、電流検出用抵抗13
の両端の電圧を分圧する分圧回路網と、この分圧回路網
の中間タップ20に接続される制御端子3aと、この分圧回
路網の一端に接続される制御端子3bとから成る。ここ
で、分圧回路網は、電流検出用抵抗13に並列に接続され
た分圧用抵抗14,15と、分圧用抵抗14に並列に接続され
た抵抗16およびリアクタンス素子の一つであるコンデン
サ17の直列回路と、分圧用抵抗15に並列に接続された放
電用ダイオード18とから成る。そして、分圧用抵抗14と
分圧用抵抗15とコンデンサ17と放電用ダイオード18との
接続点が分圧回路網の中間タップ20とされている。ま
た、放電用ダイオード18は、そのカソード側が出力端子
19側に接続され、そのアノード側が中間タップ20側に接
続されている。
また、このほか第1図の回路には、従来と同様に、ト
ランジスタ4のコレクタとコイル6との間にトランジス
タ4の保護用のダイオード21のカソードが接続されてお
り、このダイオード21のアノードは直流電源5の負極側
に接続されている。そして、コイル6と出力端子7との
間にはコンデンサ22の正極端子が接続されており、この
コンデンサ22の負極端子は直流電源5の負極側に接続さ
れている。
第4図は第1図の直流電源装置の電流検出部の分圧回
路網の構成図である。
即ち、上述した分圧回路網だけを取り出すと、第4図
のような積分回路、即ちローパスフィルタとなってい
る。そして、この積分回路の抵抗16の抵抗値R16と、コ
ンデンサ17の容量C17は、この直流電源装置を電動機に
対して接続する場合には、次のようにして決定される。
まず、この積分回路のゲイン特性式は次式(2)のよう
になる。
G(ω)=R14[{(R14+R15) +ω2C17 2R16(R15R16+R14R15+R14R16)} +ω2C17 2R15 21/2/ {(R14+R15+ω2C17 2 ・(R15R16+R14R15+R14R16} …(2) また、このゲイン特性を図示すると、第5図のように
なる。
第5図は第4図の分圧回路網のゲイン特性図である。
即ち、負荷電流Iのうち低い周波数成分については、
コンデンサ17のインピーダンスが高いので、ゲインが大
きくなる。一方、負荷電流Iのうち高い周波数成分につ
いては、コンデンサ17のインピーダンスが低いので、ゲ
インが小さくなる。
一方、電動機の負荷電流特性は、第6図(a)に示す
ようになる。
第6図は第1図の直流電源装置に接続される電動機負
荷の電流−時間特性と、電流検出部の分圧回路網の中間
タップの出力電圧−時間特性との相関図であり、第6図
(a)は電動機負荷の電流−時間特性図である。
即ち、第6図(a)に示すように動作期間T1において
は、軽負荷期間t1に電流値I1の電流が流れ、重負荷期間
t2に電流値I2の電流が流れ、また、無負荷期間t3は電流
値が0となる。そして、動作期間T1に亘る平均電流はI
avとなっている。また、停止期間T2においては、電流値
が0となる。
ところで、直流電源装置の制限電流値ILIMITは第1図
のスイッチ回路1のトランジスタ4の定格により決定さ
れるが、このような定格はトランジスタ4の損失により
発生する熱の放散度により決まる。そして、トランジス
タ4の温度が低いうちは、温度が上昇したときよりも、
通電量を大きくすることができるので、制限電流値I
LIMITも大きくすることができる。即ち、第6図(a)
に示すように、無負荷期間t3の後であれば、この無負荷
期間t3においてトランジスタ4が冷却されており、電動
機の重負荷期間t2が短い場合は、制限電流値ILIMITは通
常よりも大きくすることができる。即ち、トランジスタ
4を小型のものとしても、電流値I2を大きくすることが
できる。
第6図(b)は第1図の装置の電流検出部の分圧回路
網の中間タップの出力電圧−時間特性、即ち第4図の積
分回路の出力電圧−時間特性を示す図である。
即ち、電動機に対し、第6図(a)に示すようなパル
ス状の負荷電流が流れると、第4図の積分回路の入力に
は、この負荷電流に対応したパルス電圧v1が印加され、
第6図(b)に示すような積分波形が出力される。
ここで、電流検出部3が決定する制限電流値I
LIMITは、分圧回路網のゲインG(ω)によって次式
(3)のように表わされる。
ILIMIT=VBE/{R13・G(ω)} …(3) ここに、VBEは制御部2のトランジスタ10のベース・
エミッタ間飽和電圧、R13は電流検出用抵抗の抵抗値で
ある。
そして、第6図(a)の動作期間T1のうちの軽負荷期
間t1において平均電流Iavが制限電流値ILIMITを超えな
いようにするため、ゲイン特性G(ω)は次式(4)を
満たすようにする。
G(π/t1)≦VBE/(R13・Iav) …(4) また、重負荷期間t2において負荷電流I2が制限電流値
ILIMITを超えないようにするため、ゲイン特性G(ω)
は次式(5)を満たすようにする。
G(π/t2)≦VBE/(R13・I2) …(5) 即ち、これらの式(4)および(5)を満たすように
するため、抵抗16の抵抗値R16およびコンデンサ17の容
量C17を決定する。
第7図は第1図の直流電源装置の制限電流値I
LIMITと、電動機の負荷電流の連続時間との関係を示す
図である。
即ち、この図は上述のようにして抵抗16の抵抗値R16
およびコンデンサ17の容量C17が決定された場合の前記
式(3)を表わすグラフである。この図に示すように、
第1図の直流電源装置によれば、上述のように決定され
たゲイン特性G(ω)により、負荷電流の連続時間が短
い間は、制限電流値ILIMITは大きく設定され、負荷電流
の連続時間が長くなるに従って、制限電流値ILIMITはよ
り小さく設定される。
次に、本発明に係る直流電源装置の動作を説明する。
第1図に示す直流電源装置を接続した電動機の起動ス
イッチ(共に図示省略)を投入すると、起動時は制御部
2が作動していないので、出力端子2aのレベルはロウレ
ベル「L」であり、スイッチ回路1のPNPトランジスタ
4は導通状態となっており、直流電源5から電動機に電
流が流れる。そして、この電動機は第6図に示すよう
に、動作期間T1のうち軽負荷期間t1に亘る軽負荷運転お
よび重負荷期間t2に亘る重負荷運転を断続的に行なう。
ここで、説明で軽負荷期間t1と無負荷期間t3の組及び重
負荷期間t1及び無負荷期間t3の組は厳密な意味では周期
信号ではないが、説明(特に式による説明)を簡単にす
るためこれらを周期信号として取り扱い、期間t1、期間
t2、期間t3をそれぞれ半周期として計算を行うこととす
る。即ち、まず、電動機の起動直後に軽負荷期間t1に亘
って軽負荷運転が行われると、軽負荷期間t1からなる連
続時間(半周期)t1で大きさI1のパルス電流が流れる。
すると、電流検出部3の制御端子3a,3b間に生じる電
圧、即ち第4図の積分回路の出力電圧v2は第6図(b)
に示すように徐々に増加する(時点τ〜τ)。この
出力電圧v2は制御部2のトランジスタ10のベース・エミ
ッタ間飽和電圧VBEを上回ることはなく、従って、トラ
ンジスタ10は非導通状態を維持し、内部電圧源12からバ
イアス抵抗11を介して三角波発振器8の制御端子Cに加
わる信号レベルがハイレベル「H」となる。この結果、
三角波発振器8から誤差アンプ9の反転入力端子に三角
波電圧が入力され、誤差アンプ9の非反転入力端子に入
力される出力電圧VOUTがこの三角波電圧を上回るときの
み、誤差アンプ9の出力レベルが「H」レベルになり、
PNPトランジスタ4が非導通状態にされるようにして、
従来と同様の電圧制御が行なわれる。
次に、無負荷期間t3に亘って無負荷運転が行なわれる
と、コンデンサ17に蓄積された電荷は放電用ダイオード
18を介して放電されるので、積分回路の出力電圧v2は即
座に0に低下する(時点τ〜τ)。そして、この無
負荷期間t3においてトランジスタ4の放熱が進み、当該
トランジスタ4の温度が低下する。
さらに、軽負荷運転(時点τ〜τ)および無負荷
運転(時点τ〜τ)を繰り返した後、重負荷期間t2
に亘って重負荷運転が行われると、重負荷期間t2からな
る連続時間(半周期)t2で大きさI2のパルス電流が流れ
る。すると、積分回路の出力電圧v2は第6図(b)に示
すように徐々に増加する(時点τ〜τ)。この出力
電圧v2は制御部2のNPNトランジスタ10のベース・エミ
ッタ間飽和電圧VBEを上回ることはなく、従って、上述
したのと同じように、スイッチ回路1を制御する制御部
2によって従来と同様の電圧制御が行なわれる。この場
合、重負荷運転時の電流I2が軽負荷運転時の電流I1より
大きくても、PNPトランジスタ4の温度が最高許容温度
に達するまでの時間が期間t2より長いため、電流I2の通
電が定格を上回るものとはならず、当該PNPトランジス
タ4の劣化を早めることが防止される。また、期間t2
間では、大きな電流I2を電動機に供給できるため、この
間における電圧のドロップが防止される。
ところが、電動機の重負荷運転が重負荷期間t2を超え
て行なわれるときや、電動機の軽負荷運転が長期間に亘
って行なわれるとき、あるいは負荷短絡やハーフショー
トが生じたときは、積分回路の出力電圧v2は第6図
(b)に示すようにさらに増加する。即ち、時点τ
τには電動機の重負荷運転が期間t2を超えて行なわれ
る場合を示す。そして、この出力電圧v2は制御部2のト
ランジスタ10のベース・エミッタ間飽和電圧VBEを上回
り(時点τ〜τ)、従って、トランジスタ10は導通
状態となり、内部電圧源12からバイアス抵抗11を介して
三角波発振器8の制御端子Cに加わる信号レベルがロウ
レベル「L」となる。この結果、三角波発振器8から誤
差アンプ9の反転入力端子に三角波電圧が入力されなく
なり、誤差アンプ9の出力レベルが「H」レベルに維持
され、PNPトランジスタ4が非導通状態にされて、電流
の供給が停止される。従って、負荷短絡やハーフショー
トが生じたような場合にも、PNPトランジスタ4の劣化
や破損が防止される。
また、以上の作動を換言すれば、以下のようなことに
なる。即ち、動作期間T1に亘って流れる電流のω=2π
/2t1の周波数成分は、制限電流値VBE/{R13・G(π/
t1)}により制限される。この場合、ゲイン特性が第5
図に示すような特性なので、制限電流値VBE/{R13・G
(π/t1)}は第7図に示すように比較的小さい値、即
ちPNPトランジスタ4に連続的に流すことができる電流
値に対応した電流値となる。そして、この制限電流値V
BE/{R13・G(π/t1)}は前記式(4)により電動機
の平均電流Iav以上になっているので、電動機の動作の
妨げとはならない。即ち、電流検出部3の制御端子3a,3
bに生じる電圧は、制御部2のNPNトランジスタ10のベー
ス・エミッタ間飽和電圧VBE以下であるので、NPNトラン
ジスタ10は非導通状態となり。従って、スイッチ回路1
を制御する制御部2によって従来と同様の電圧制御が行
なわれる。
しかし、電動機が軽負荷期間t1以内で運転される場合
にも、電動機の稼働率が通常より高くなると、電動機に
流れる電流のω=2π/2t1の周波数成分が制限電流値V
BE/{R13・G(π/t1)}を上回るようになる。する
と、電流検出部3の制御端子3a,3bに生じる電圧は、制
御部2のNPNトランジスタ10のベース・エミッタ間飽和
電圧VBE以上となり、NPNトランジスタ10は導通状態とな
り、内部電圧源12からバイアス抵抗11を介して三角波発
振器8の制御端子Cに加わる信号レベルがロウレベル
「L」となる。この結果、三角波発振器8から三角波電
圧が出力されなくなり、誤差アンプ9の出力レベルはハ
イレベル「H」に維持され、PNPトランジスタ4が非導
通状態にされる。従って、PNPトランジスタ4に定格を
超える電流が流れることがない。
ところで、負荷短絡やハーフショートが生じた場合に
は、電動機の動作期間T1より長い期間T=∞に亘って電
流が流れる。この期間T=∞に流れる電流のω=2π/
∞の周波数成分は、制限電流値VBE/{R13・G(2π/
∞)}により制限される。ここで、G(2π/∞)は次
式(6)により与えられる。
G(2π/∞)=R14/(R14+R15) …(6) このため、ω=2π/∞の周波数成分の電流に対する
制限電流値ILIMIT(∞)は、次式(7)により与えられ
る極小値になる。
ILIMIT(∞)={(R14+R15)/R13R14}・VBE…(7) そして、この制限電流値{(R14+R15)/R13R14}・V
BEは、PNPトランジスタ4の定格電流より十分に小さ
い。従って、負荷短絡やハーフショートが生じた場合に
は、電流検出部3の制御端子3a,3bに生じる電圧は、制
御部2のNPNトランジスタ10のベース・エミッタ間飽和
電圧VBE以上となり、NPNトランジスタ10は導通状態とな
り、制御部2の出力レベルはハイレベル「H」に維持さ
れ、PNPトランジスタ4が非導通状態にされる。このた
め、PNPトランジスタ4の定格が小さい場合にも、当該P
NPトランジスタ4に定格電流を超える電流が流れること
がなく、PNPトランジスタ4の特性劣化や破壊が確実に
防止される。
また、電動機が動作期間t2以内で運転される場合に
は、この動作期間t2に亘って流れる電流のω=2π/2t2
の周波数成分は、制限電流値、VBE/{R13・G(π/
t2)}により制限される。この場合、ゲイン特性が第4
図に示すような特性なので制限電流値VBE/{R13・G
(π/t2)}は第2図に示すように比較的大きい値、即
ちPNPトランジスタ4に通電初期に期間t2内で流すこと
ができる電流値に対応した電流値となる。そして、この
制限電流値VBE/{R13・G(π/t2)}は前記式(4)に
より電動機の重負荷時の電流I2以上になっているので、
電動機の重負荷運転の妨げとはならない。即ち、電流検
出部3の制御端子3a,3bに生じる電圧は、制御部2のNPN
トランジスタ10のベース・エミッタ間飽和電圧VBE以下
であるので、NPNトランジスタ10は非導通状態となる。
従って、スイッチ回路1を制御する制御部2によって従
来と同様の電圧制御が行なわれる。このため、電動機の
重負荷運転時にも電圧ドロップが生じることがない。
尚、本発明の直流電源装置は、以上の実施例に限定さ
れない。
即ち、電流検出用抵抗13の両端の電圧を分圧する分圧
回路網は、電流検出用抵抗13に並列に接続された分圧用
抵抗14,15と、分圧用抵抗14に並列に接続された抵抗16
およびコンデンサ17と、分圧用抵抗15に並列に接続され
た放電用ダイオード18とにより構成したが、本発明はこ
れに限るものではなく、分圧用抵抗14に並列に接続され
た抵抗16およびコンデンサ17を設けるかわりに、分圧用
抵抗15に直列に接続されたリアクタンス素子の他の一つ
の例であるコイルおよびダイオードの並列回路を設ける
ようにしても差し支え無い。また、本発明の直流電源装
置に接続される負荷は、上記実施例のような電動機負荷
に限らず、コンデンサ負荷等の短期間のみ大きな電流を
必要とする負荷であれば、同様の効果を奏することがで
きることはいうまでもない。
(発明の効果) 以上の構成の本発明の直流電源装置は、出力電流の連
続時間に応じて出力電流の制限値を制御するようにした
ので、次のような効果がある。
即ち、電動機やコンデンサ等の負荷に対し、短期間の
大電流を供給する場合は、負荷電流の連続時間が短いこ
とにより、この間だけ制限電流値が大きくなるので、電
圧のドロップを防止でき、従って、電圧変動率が大きく
なることを防止することができる。このため、スイッチ
ング回路を定格の小さい小型で低コストのものとするこ
とができ、もって、直流電源装置の小型化およびコスト
の低減を図ることができる。
また、負荷短絡やハーフショートが生じた場合は、負
荷電流の連続時間が長くなり、制限電流値が小さくなる
ので、スイッチング回路の定格が小さい場合にも当該ス
イッチング回路の破損を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る直流電源装置の回路構成図、第2
図は従来の直流電源装置の回路構成図、第3図は従来の
直流電源装置の負荷特性図、第4図は本発明に係る直流
電源装置の電流検出部の要部構成図、第5図および第6
図はこの電流検出部の特性を示す図、第7図は本発明に
係る直流電源装置の出力電流特性を示す図である。 1……スイッチ回路、2……制御部、 3……電流検出部、3a,3b……制御端子、 13……電流検出用抵抗、20……中間タップ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−112819(JP,A) 特開 昭56−153975(JP,A) 実開 昭55−109386(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流電源の出力に直列に挿入されたスイッ
    チ回路と、該スイッチ回路の開閉を制御する制御部と、
    出力電流を検出する電流検出部とを備える直流電源装置
    において、 前記電流検出部は、電流検出用抵抗と、 該電流検出用抵抗の両端に発生する電圧を分圧する第1
    及び第2のインピーダンス回路を有するとともに、該イ
    ンピーダンス回路の少なくとも一方が前記電圧検出用抵
    抗の両端に発生する電圧の周波数によって抵抗値を変化
    させるリアクタンス素子、該リアクタンス素子に直列に
    接続された第1の抵抗素子、及び該リアクタンス素子と
    該第1の抵抗素子からなるインピーダンス素子に並列に
    接続された第2の抵抗素子とから構成され、前記電流検
    出用抵抗の両端に発生する電圧の連続時間によって該電
    圧の分圧比率が変化する分圧回路網と、 該分圧回路網の前記第1のインピーダンス回路と第2の
    インピーダンス回路との接続部に接続される制御端子と
    から成り、該制御端子の出力電圧に応じて前記制御部が
    前記スイッチ回路の開閉を制御することを特徴とする直
    流電源装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の直流電源装置において、 前記インピーダンス回路の他方は、前記電流検出用抵抗
    に電圧が発生していないときに前記リアクタンス素子に
    蓄積された電気エネルギーを放電する放電用素子が並列
    に接続されたことを特徴とする直流電源装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の直流電源装置において、 前記放電用素子はダイオードであることを特徴とする直
    流電源装置。
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