JP2893827B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、半導体レーザ、特にいわゆるAlGaInP系可
視光半導体レーザに係わる。
〔発明の概要〕
本発明は、半導体レーザに係わり、活性層を挟んでn
型のクラッド層と、p型のクラッド層とが配置されるダ
ブルヘテロ接合型構造を採り、そのp型のクラッド層
が、活性層側に配された(AlxGa1-x)InP系の第1クラ
ッド層と、これとは反対側に配された(AlyGa1-y)As系
の第2のクラッド層との積層構造を有し、更に上記第1
のクラッド層中に(AlzGa1-z)As系の劣化防止層が上記
第2のクラッド層より所要の厚さだけ隔てた位置に介在
され、上記第2のクラッド層の一部が除去されて、この
除去部に電流狭搾層が形成されて成るものであり、この
ような構成とすることによって信頼性の高い半導体レー
ザを確実に得ることができるようにする。
〔従来の技術〕
可視光半導体レーザであるAlGaInP系半導体レーザ
は、光情報処理用光源として近年注目を浴びており、そ
の実用代に向けて低しきい値化や横モード制御などを目
指した構造が種々提案されている。
一方、AlGaInP系半導体レーザにおいて、そのヘッダ
ーないしはヒートシンクに取着される側のp型のクラッ
ド層を、AlGaInP層と、これに対し熱伝導度が高いAlGaA
s層との2層構造(以下DSC型構造と略記する)として、
放熱効果を高めるようにした半導体レーザが本出願人の
出願に係る特開昭62−26885号公開公報に開示されてい
る。
また、半導体レーザにおいて低しきい値化をはかるた
めに、活性層上のp型のクラッド層側の半導体層を、そ
の中央の一部をストライプ状に残して両側をエッチング
によって除去し、この除去部にn型の電流狭搾層をエピ
タキシャル成長させるリッジ型構造が考えられている。
この種のリッジ型構成による半導体レーザにおいて上
述したDSC型構造を適用するときは、リッジ型構造部を
作製する上で利点を有する。
すなわち、上述のDSC型構造の半導体レーザは、第4
図にその1例の断面図を示すように、高不純物濃度のn
型の例えばGaAsよりなる(100)結晶面を主面とする半
導体基体(1)上に、順次例えばn型のGaAsバッファ層
(2)と、n型のAlGaInP系クラッド層(3)と、例え
ばノンドープの活性層(4)と、p型のクラッド層
(5)と、キャップ層(6)とを有し、更に、そのp型
のクラッド層(5)が、活性層(4)側に配された(Al
xGa1-x)InP系の第1クラッド層(51)と、これとは反
対側に配された(AlyGa1-y)As系の第2のクラッド層
(52)との積層構造を有する。
このDSC型構造半導体レーザにおいて、リッジ型構成
を採る場合、第5図にその一製造工程の略線的断面図を
示すように、そのキャップ層(6)上の中央部にストラ
イプ状に例えばSiNxによるマスク(7)を被着し、これ
をエッチングマスクとしてキャップ層(6)側から硫酸
系のエッチング液によってエッチングを行なう。このよ
うにすると、この硫酸系エッチング液に対するエッチン
グ速度が格段に低いAlGaInP系の第1のクラッド層(5
1)が外部に露出する位置までエッチングが進行した時
点で見掛け上エッチングが停止するのでこの時点でエッ
チングをやめれば、キャップ層(6)と、p型のクラッ
ド層(5)の第2のクラッド層(52)のみが選択的に、
マスク(7)によって覆われていないその両側において
エッチングされる。このときそのエッチングは、マスク
(7)の両側縁下に入り込んで生じるが、このときこの
エッチングによって生じた側面(8)は、(111)A結
晶面すなわちAsが存在する面となる。
次に第6図にその略線的断面図(同図においては後述
する電流狭搾層(10)の形成後のマスク(7)を排除し
た後の状態を示す)を示すように、このようにしてエッ
チングによって除去された除去部(9)にマスク(7)
をマスクにして選択的MOCVD(有機金属化学的気相成長
法)によるエピタキシャル成長によってn型のGaAsの電
流狭搾層(10)を形成する。ところがこのエピタキシャ
ル成長は、側面(8)においてはAsが存在し、エッチン
グによって生じた第1のクラッド層(51)の表面は(10
0)結晶面でりんPが存在することから両面に関して良
好に再現性良く選択的にエピタキシャル成長を行なうこ
とは困難である。また、このエピタキシャル成長に当っ
て、例えば720℃程度の加熱がなされるが、このとき、
第1のクラッド層(51)のりんPが蒸発して活性層
(4)に対する屈折率差による本来の閉じ込め効果が低
下し、特性に変動を来たすとか、活性層(4)との界面
に結晶の転位を生じるなど特性劣化を来たすなどの信頼
性に課題がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、上述したDSC型構造を採り、しかもリッジ
型構成による半導体レーザにおいて、再現性および信頼
性の高い半導体レーザを提供する。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、第1図にその1例の略線的断面図を示すよ
うに、活性層(4)を挟んでn型のクラッド層(3)
と、p型のクラッド層(5)とが配置されるダブルヘテ
ロ接合型構造を採る。
そして、そのp型のクラッド層(5)が、活性層
(4)側に配された(AlxGa1-x)InP系の第1クラッド
層(51)と、これとは反対側に配された(AlyGa1-y)As
系の第2のクラッド層(52)との積層構造を有し、更に
その第1のクラッド層(51)中に(AlzGa1-z)As系の劣
化防止層(11)が、第2のクラッド層(52)より所要の
主なる厚さtだけ隔てた位置に介在される。すなわち、
第1のクラッド層(51)においては、活性層(4)に接
する主たる第1のクラッド層(51a)と、劣化防止層(1
1)と、薄膜第1のクラッド層(51b)とが積層された構
造とする。
そして、第2のクラッド層(52)の一部が除去され
て、この除去部(8)に電流狭搾層(10)が形成され
る。
尚、上記x,y,zはそれぞれ原子比で、0.5≦x≦1,0.6
≦y≦1,0.6≦z≦1とされる。
〔作 用〕
上述の本発明構成によれば、DSC型構造をとって、p
型のクラッド層(5)に熱伝導度の高いAlGaAs系の第2
のクラッド層(52)を設けたことにより、この半導体レ
ーザをp型のクラッド層側でヘッダーないしはヒートシ
ンクに取着することによって良好な放熱効果が得られ、
しかも電流狭搾層(10)の形成における選択的エッチン
グにおいては、AlGaInP系の第1のクラッド層(51)が
選択的エッチングのストッパーとしての作用を保持でき
ることから所定位置までのエッチングの制御を確実に行
なうことができる。
更に、この第1のクラッド層(51)中には、(AlzGa
1-z)As系の劣化防止層(11)を配するものであり、こ
の(AlzGa1-z)Asは、りんPを遮断する効果を有するこ
とから、第1のクラッド層(51)の特に活性層(4)側
の主たる第1のクラッド層(51a)からのりんPの蒸発
を阻止することができるものであり、これによりそのク
ラッド層としての特性の低下、結晶性の劣化を回避でき
る。
尚、上述の本発明構成によれば、電流狭搾層(10)の
形成のための除去部(9)に、エッチングのストッパー
として作用させたりんPを含む第1のクラッド層(51)
の表面が臨むことになるが、この場合、劣化防止層(1
1)の存在によってその厚さが充分薄い薄膜層(51b)と
されていることにより、電流狭搾層(10)の形成におけ
るエピタキシャル成長時の加熱温度によってこの薄膜層
(51b)のりんPは殆ど蒸発もしくはAsP化してしまうこ
とから冒頭に述べたような除去部(9)におけるPが表
面に存在することによる良好なエピタキシャル成長を阻
害する不都合は回避される。
したがって本発明構成によれば、信頼性の高い低しき
い値の半導体レーザを再現性良く得ることができるもの
である。
〔実施例〕
本発明の1実施例を、第1図を参照して説明するが、
その理解を容易にするために、第2図および第3図を参
照してその製造方法の1例とともに説明する。
先ず第2図にその略線的断面図を示すように、高不純
物濃度のn型の例えばGaAsよりなる(100)結晶面を主
面とする半導体基体(1)上に、順次例えば厚さ0.3μ
mのn型のGaAsバッファ層(2)と、例えば厚さ1.5μ
mのn型のAlGaInP系のクラッド層(3)と、例えば700
ÅのノンドープのGaInP系の活性層(4)と、p型のク
ラッド層(5)と、例えば厚さ0.8μmのキャップ層
(6)とを順次連続的MOCVDによってエピタキシャル成
長するものであるが、特にそのp型のクラッド層(5)
として、活性層(4)側に配された(AlxGa1-x)InP系
で厚さが例えば0.3μmの第1のクラッド層(51)と、
これとは反対側に配された厚さが例えば0.8μmの(Aly
Ga1-y)As系の第2のクラッド層(52)との積層構造を
有し、更にその第1のクラッド層(51)中に(AlzG
a1-z)As系の劣化防止層(11)が、第2のクラッド層
(52)より所要の小さな厚さtだけ隔てた位置に介在さ
れる。すなわち、第1のクラッド層(51)においては、
活性層(4)に接する主たる第1クラッド層(51a)
と、劣化防止層(11)と、厚さtの薄膜第1クラッド層
(51b)とが積層された構造とする。
ここに、n型のクラッド層(3)は、n型の(AlxGa
1-x)InP(0.5≦x≦1)の例えば(Al0.5Ga0.50.5In
0.5P系よりなり、活性層(4)は、例えばノンドープ
のGa0.5In0.5Pよりなり、p型のクラッド層(5)の第
1のクラッド層(51)の主たる第1クラッド層(51a)
および薄膜第1クラッド層(51b)は、それぞれp型の
(AlxGa1-x)InP(0.5<x<1)の例えば(Al0.5G
a0.50.5In0.5P系よりなり、劣化防止層(11)および
第2のクラッド層(52)は、p型の(AlzGa1-z)As系及
び(AlyGa1-y)As系(0.6≦z≦1,0.6≦y≦1)の例え
ば(Al0.6Ga0.4)Asよりなる。
尚各層のMOCVDにおいてn型の不純物源としてH2Se
を、p型の不純物源としてジメチルZnを用い得る。
そして、劣化防止層(11)は、その厚さを400Å〜100
0Åに選定する。これは、400Å未満では主たる第1のク
ラッド層(51a)よりのりんPの蒸発を阻止する効果が
充分に生じにくくなり、1000Åを越えると活性層(4)
に対する本来の閉じ込め機能を阻害してくることによ
る。
また、第1のクラッド層(51)の、薄膜第1クラッド
層(51b)の厚さtは、50Å〜100Åに選定する。これ
は、50Å未満ではエッチングのストッパーとしての機能
が不充分となり、100Åを越えると電流狭搾層(10)の
エピタキシャル成長時にその表面にりんPが残って電流
狭搾層(10)の良好なエピタキシャル成長を阻害するこ
とによる。
次に、第3図にその略線的断面図を示すように、その
キャップ層(6)上の中央部にストライプ状に例えばSi
Nxによるマスク(7)を被着し、これをエッチングマス
クとしてキャップ層(6)側から例えば硫酸系のエッチ
ング液によってエッチングを行なう。このようにする
と、この硫酸系エッチング液に対するエッチング速度が
格段に低いAlGaInP系の第1のクラッド層(51)が外部
に露出する位置までエッチングが進行した時点で見掛け
上エッチングが停止するのでこの時点でエッチングをや
めれば、キャップ層(6)と、p型のクラッド層(5)
の第2のクラッド層(52)のみが選択的に、マスク
(7)によって覆われていないその両側においてエッチ
ングされる。このときそのエッチングは、マスク(7)
の両側縁下に入り込んで生じ、このエッチングによって
生じた側面(8)は、(111)A結晶面すなわちAsが存
在する面となる。
次に第1図にその略線的断面図を示すように、このよ
うにしてエッチングによって除去された除去部(9)に
マスク(7)をマスクにして選択的MOCVDによるエピタ
キシャル成長によってn型のGaAsの電流狭搾層(10)を
形成する。尚、第1図においてはマスク(7)を排除し
た後の状態を示す。
尚、上述した例では、n型不純物がSe,p型不純物がZn
としたものであるが、Si,Mg等によることもできるなど
上述の例に限らず種々の変更をなし得る。
〔発明の効果〕
上述の本発明構成によれば、DSC型構造をとって、p
型のクラッド層(5)に熱伝導度の高いAlGaAs系の第2
のクラッド層(52)を設けたことにより、この半導体レ
ーザをp型のクラッド層側でヘッダーないしはヒートシ
ンクに取着することによって良好な放熱効果が得られ、
しかも電流狭搾層(10)の形成における選択的エッチン
グにおいては、(AlxGa1-x)InP系(0.5≦x≦1)の第
1のクラッド層(51)が選択的エッチングのストッパー
としての作用を保持できることから所定位置までのエッ
チングの制御を確実に行なうことができる。
更に、この第1のクラッド層(51)中には、(AlzGa
1-z)As系の劣化防止層(11)を配するものであり、こ
の(AlzGa1-z)Asは、リンPを遮断する効果を有するこ
とから、第1のクラッド層(51)の特に活性層(4)側
に主たる第1のクラッド層(51)からりんPの蒸発を阻
止することができるものであり、これによりそのクラッ
ド層としての特性すなわち閉じ込め効果の低下、結晶性
の劣化を回避できる。
そして、本発明構成によれば、電流狭搾層(10)の形
成のための除去部(9)に、エッチングストッパーとし
て作用させたりんPを含む第1のクラッド層(51)の表
面が臨むことになるが、この層は、その厚さtが充分薄
い薄膜層(51b)とし得るので、電流狭搾層(10)の形
成におけるエピタキシャル成長時の加熱温度によってこ
の薄膜層中のりんPは殆ど蒸発もしくはAsP化してしま
うことから冒頭に述べたような除去部(9)におけるP
が表面に存在することによる良好なエピタキシャル成長
を阻害する不都合は回避される。
したがって、本発明構成によれば、信頼性の高い半導
体レーザを再現性良く得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による半導体レーザの1例の略線的断面
図、第2図および第3図はそれぞれその製造工程図、第
4図〜第6図は従来の半導体レーザの製造工程図であ
る。 (1)は半導体基体、(3)はn型のクラッド層、
(4)は活性層、(5)はp型のクラッド層、(51)は
第1のクラッド層、(51a)はその主たる第1クラッド
層、(51b)は薄膜第1クラッド層、(52)は第2のク
ラッド層、(10)は電流狭搾層、(11)は劣化防止層で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−26885(JP,A) 1990年(平成2年)春季第37回応物学 会予稿集29a−SA−6 p.931 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性層を挟んでn型のクラッド層と、p型
    のクラッド層とが配置されるダブルヘテロ接合型構造を
    採り、 上記p型のクラッド層が、上記活性層側に配された(Al
    xGa1-x)InP系の第1クラッド層と、これとは反対側に
    配された(AlyGa1-y)As系の第2のクラッド層との積層
    構造を有し、 上記第1のクラッド層中に(AlzGa1-z)As系の劣化防止
    層が上記第2のクラッド層より所要の厚さだけ隔てた位
    置に介在され、 上記第2のクラッド層の一部が除去されて、該除去部に
    電流狭搾層が形成されて成ることを特徴とする半導体レ
    ーザ。
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