JP2867642B2 - 不飽和基を含有する含フッ素ブロック共重合体及びその製造方法並びに活性エネルギー線硬化型樹脂用表面改質剤 - Google Patents

不飽和基を含有する含フッ素ブロック共重合体及びその製造方法並びに活性エネルギー線硬化型樹脂用表面改質剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は特に紫外線や電子線等の活性エネルギー線に
対して感応性を有し、活性エネルギー線硬化型樹脂の表
面改質剤やレジスト材料等として有用な、不飽和基を含
有する含フッ素ブロック共重合体及びその製造方法並び
に活性エネルギー線硬化型樹脂用表面改質剤に関するも
のである。
〔従来の技術〕
本発明者らは先に、含フッ素ブロック共重合体が高分
子材料の表面改質剤として有用であることを提案した。
例えば特開昭60−22410号公報では、含フッ素ブロック
共重合体を高分子材料に添加すると、含フッ素ブロック
共重合体が表面に配向し、材料表面にパーフルオロアル
キル基の持つ撥水撥油性や防汚性等の優れた特性が付与
でき、その改質効果の持続性に優れていることが示され
ている。また、ブロッキング防止剤として(特開平2−
4877号公報)及び防湿性付与剤として(特開平2−4812
号公報)有用なことが知られている。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂だけに限らず、活性エネ
ルギー線硬化型樹脂においても撥水撥油性、ブロッキン
グ防止性、防湿性等の特性の付与が求められる場合が多
い。例えばプラスチックボトル等の印刷に使用されるUV
硬化型インキには耐水性が求められており、またソルダ
ーレジスト材料等には防湿性が求められている。本発明
者らは、このような材料に対する改質剤としても含フッ
素ブロック共重合体が有用であることを提案してきた
(特開平2−4812公報)。
活性エネルギー線に対して感応性を有する材料につい
ては極めて数多い提案があるが、その中で、レジスト材
料やコーティング材料として使用することを目的とし
た、活性エネルギー線感応型の含フッ素ブロック共重合
体に関する提案も行われている。例えば、特開昭58−21
5411号公報では、側鎖に光二量化反応性を有する単量体
と含フッ素単量体とのラジカル共重合反応により含フッ
素感応性材料が得られることを提案している。
また、特開昭62−25104号、同63−301268号公報で
は、水酸基含有ビニルエーテルとフルオロオレフィンの
共重合によって得られる含フッ素重合体と、イソシアネ
ート基と不飽和基とを有する化合物との反応により活性
エネルギー線で硬化のできる重合体の得られることを報
告している。さらに特開昭62−190264号公報では、OH基
を有する含フッ素ブロック共重合体と、イソシアネート
化合物と、OH基と不飽和基とを有する化合物との3成分
間の反応より得られる重合物を含有する塗料組成物が開
示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述したように、表面配向性に優れた含フッ素ブロッ
ク共重合体によって活性エネルギー線硬化型樹脂の表面
改質が可能である。この場合、含フッ素ブロック共重合
体の一方のポリマー鎖であるフッ素を含有しない重合体
部分による改質の対象となる樹脂との高分子のからみあ
い効果により、改質効果の良好な持続性が付与される
が、この両者を共有結合させることができれば、さらに
持続性が改善される。
また、含フッ素ブロック共重合体を単独でコーティン
グ材料として使用する場合、含フッ素重合体部分が高密
度に空気側表面に配向し、フッ素を含有しない重合体部
分が基材側に高密度に配向するため、良好な密着性を維
持しながら含フッ素重合体部分に由来する機能を膜表面
側に付与することが出来る。この特性を生かした上で、
さらに活性エネルギー線に対する感応性が発現できれ
ば、フッ素の機能を持つ各種のレジスト材料としての応
用も期待できる。
このような目的を達成するために特開昭62−190264号
公報において、すでに不飽和基を含有する含フッ素ブロ
ック共重合体に関する提案がなされているが、この提案
においては、イソシアネート化合物を用いた反応により
不飽和基を導入する方法を採用しているため、反応時に
ゲル化が生じやすいという問題点がある。含フッ素ブロ
ック共重合体と不飽和基含有化合物に対して、多量のイ
ソシアネート化合物を用いることによってゲル化が抑制
できる傾向を示すものの、このように多量のイソシアネ
ート化合物を用いて合成した場合、含フッ素ブロック共
重合体の多量化が進行して分子量が増大し、しかも含フ
ッ素重合体部分の比率が減じるため表面性能が低下する
傾向を示す。
この提案のように特定の用途に利用する場合には、含
フッ素ブロック共重合体の機能が発現されても、広く活
性エネルギー線硬化型樹脂の表面改質剤として用いるに
は、表面活性能の点で問題があり、さらに改善が望まれ
る段階にあった。また、この方法によって得られる重合
体をレジスト材料等に利用する場合、含フッ素重合体部
分の表面配向性が低い傾向を示すこと、活性エネルギー
線未照射部分も網目的な高分子量化が進んでいるため各
種の現像剤に対して現像性が必ずしも良好でない等の問
題点がある。
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので
あって、その目的は活性エネルギー線に対する感応性、
現像性、基材に対する密着性等の機能に加え、撥水撥油
性等の機能を発揮でき、その結果活性エネルギー線硬化
型樹脂の表面改質剤やフッ素の機能を兼ね備えたレジス
ト材料等として利用できる、不飽和基を含有する含フッ
素ブロック共重合体及びその製造方法並びに活性エネル
ギー線硬化型樹脂用表面改質剤を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明における第1の発明では、下記一般式(I)か
ら誘導される構造単位(A)と、下記一般式(II)から
誘導される重合体部分及び下記一般式(III)を単位と
する重合体部分からなる構造単位(B)からなり、構造
単位(A)/構造単位(B)の割合が重量比で80/20〜1
0/90であり、構造単位(B)の良溶剤である非フッ素系
有機溶剤に溶解又は分散させて20重量%に調整した溶液
の粘度が25℃において0.05〜10ポイズであるという手段
を採用している。
CH2=CR1COOR2Rf ……(I) 式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CPH2P−,
−C(CPH2P+1)H−,−CH2C(CPH2P+1)H−又は−CH
2CH2O−、RfはCnF2n+1,(CF2nH,(CF2POCmH2mClF
2l+1,(CF2POCmH2mClF2lH, である。但し、pは1〜10,nは1〜16,mは0〜10,lは0
〜16の整数である。
CH2=CR3R4 ……(II) 式中、R3は水素原子又はメチル基又はCH2COOH、R4はC
OOR5(式中、R5は水素原子、 ,−CH2CH2N(CSH2S+1,)−CH2CH=CH2,直鎖状又は分岐状のCnH2n+1,直鎖状又は
分岐状のCPH2P+1OH,−CH2CH(OH)CH3,(C2H4O)rCSH
2S+1,〔CH2CH(CH3)O〕rCSH2S+1である。但し、Pは
1〜10,nは1〜16,rは2〜20,sは0〜8の整数であ
る。)、−CONR6R7(式中、R6は水素原子又はCPH2P+1,R
7は水素原子,直線状又は分岐状のCPH2P+1、又はCH2OH
である。但し、pは1〜10の整数である。)、 −CONHC(CH32CH2COCH3、−CONHC(CH32CH2SO3H、 −CN又は−OCOCnH2n+1(式中、nは1〜16の整数であ
り、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。) 式中、R8は水素原子又はメチル基、R9はCH2=CH−,CH
2=C(CH3)−, である。
また、第2の発明では、上記第1の発明において前記
構造単位(A)が一般式(I)から誘導される重合体部
分40重量%以上及び一般式(II)から誘導される重合体
部分60重量%以下からなるという手段を採用している。
第3の発明の活性エネルギー線硬化型樹脂用表面改質
剤では、下記一般式(I)から誘導される構造単位
(A)と、下記一般式(II)から誘導される重合体部分
及び下記一般式(III)を単位とする重合体部分からな
る構造単位(B)からなり、構造単位(B)に占める前
記一般式(III)を単位とする重合体部分の割合が1〜9
8重量%であり、構造単位(A)/構造単位(B)の割
合が重量比で80/20〜10/90である不飽和基を含有する含
フッ素ブロック共重合体よりなるという手段を採用して
いる。
CH2=CR1COOR2Rf ……(I) 式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CpH2p−,
−C(CpH2p+1)H−,−CH2C(CpH2p+1)H−又は−CH
2CH2O−、RfはCnF2n+1,(CF2nH,(CF2pOCmH2mClF
2l+1,(CF2pOCmH2mClF2lH, である。
但し、pは1〜10,nは1〜16,mは0〜10,lは0〜16の
整数である。
CH2=CR3R4 ……(II) 式中、R3は水素原子,メチル基又はCH2COOH、R4はCOO
R5(式中、R5は水素原子, −CH2CH2N(CsH2s+12, −CH2CH=CH2,直鎖状又は分岐状のCnH2n+1,直鎖状又は
分岐状のCpH2p+1OH,−CH2CH(OH)CH3,(C2H4O)rCsH
2s+1,〔CH2CH(CH3)O〕rCsH2s+1である。
但し、pは1〜10,nは1〜16,rは2〜20,sは0〜8の
整数である。)、−CONR6R7(式中、R6は水素原子又はC
pH2p+1,R7は水素原子,直鎖状又は分岐状のCpH2p+1,又
はCH2OHである。但し、pは1〜10の整数である。)、 −CONHC(CH32CH2COCH3、−CONHC(CH32CH2SO3H、 −CN又は−OCOCnH2n+1(式中、nは1〜16の整数であ
り、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。) 式中、R8は水素原子又はメチル基、R9はCH2=CH−、C
H2=C(CH3)−、 である。
第4の発明の活性エネルギー線硬化型樹脂用表面改質
剤は、第3の発明において、前記構造単位(A)が一般
式(I)から誘導される重合体部分40重量%以上及び一
般式(II)から誘導される重合体部分60重量%以下から
なるという手段を採用している。
さらに、第5の発明では、前記第1又は第2の発明に
おいて、前記一般式(I)から誘導される構造単位
(A)と、前記一般式(II)から誘導される重合体部分
及び下記一般式(IV)から誘導される重合体部分からな
る構造単位(B′)からなる含フッ素ブロック共重合
体、又は前記一般式(I)から誘導される重合体部分40
重量%以上及び前記一般式(II)から誘導される重合体
部分60重量%以下からなる構造単位(A)と、前記一般
式(II)から誘導される重合体部分及び下記一般式(I
V)から誘導される重合体部分からなる構造単位
(B′)からなる含フッ素ブロック共重合体と、下記一
般式(V)で示される化合物とを反応させて、不飽和基
を含有する含フッ素ブロック共重合体を製造するという
手段を採用している。
式中、R8は水素原子又はメチル基である。
R9−COOH ……(V) 式中R9は、CH2=CH−,CH2=C(CH3)−, である。
次に、本発明の各構成要件について説明する。
まず本発明のブロック共重合体における構造単位
(A)について説明する。ブロック共重合体が充分に表
面活性であり、含フッ素重合体としての機能を発現させ
るために、この構造単位は第1、第3及び第5の発明で
は前記一般式(I)から誘導される重合体であり、第
2、第4及び第5の発明では前記一般式(I)から誘導
される重合体部分40重量%以上及び前記一般式(II)か
ら誘導される重合体部分60重量%以下からなっている。
構造単位(A)が前記一般式(I)から誘導される重合
体部分40重量%未満から構成されると、表面活性能が低
下して表面改質剤としての機能が不足する上に、本発明
のブロック共重合体単独から膜を形成し、レジスト材料
として使用した場合にも、その機能が低下する。
前記一般式(I)において、p、mが10を越えるとパ
ーフルオロアルキル基に由来する特性が減じるため好ま
しくない。また、n,lが16を越えると、製造が容易でな
く、しかもパーフルオロアルキル基に由来する特性が必
ずしも良好とはいえないため好ましくない。pは1〜
4、mは0〜4、n及びlは1〜10で、かつパーフルオ
ロアルキル基の末端は−CF3であることがさらに好まし
い。
前記一般式(I)で示される単量体としては、特に製
造の容易性の点から次のようなものが好適に使用でき
る。
CF3(CF27CH2CH2OCO −CH=CH2 CF3CH2OCOCH=CH2、 CF3(CF24CH2CH2OCOC −(CH3)=CH2 C7F15CON(C2H5)CH2OCO −C(CH3)=CH2 CF3(CF27SO2N(CH3) −CH2CH2OCOCH=CH2 C2F5SO2N(C3H7)CH2CH2 −OCOC(CH3)=CH2 C6F13SO2N(C2H5)CH2CH2OC −OC(CH3)=CH2 上記の単量体以外に、以下のような単量体を使用する
こともできる。
(CF32CF(CF2(CH2 −OCOCH=CH2 (CF32CF(CF210(CH2 −OCOC(CH3)=CH2 CF3(CF24CH(CH3) −OCOC(CH3)=CH2 CF3CH2OCH2CH2OCOCH=CH2 C2F5(CH2CH2O)2CH2OCO −CH=CH2 (CF32CFO(CH25OCO −CH=CH2 CF3(CF24OCH2CH2OCOC −(CH3)=CH2 C2F5CON(C2H5)CH2OCO −CH=CH2 CF3(CF22CON(CH3)CH −(CH3)CH2OCOCH=CH2 H(CF26C(C2H5)OCOC −(CH3)=CH2 H(CF28CH2OCOCH=CH2 H(CF24CH2OCOCH=CH2 H(CF26CH2OCOC− (CH3)=CH2 CF3(CF27SO2N(CH3)CH2 −CH2OCOC(CH3)=CH2 CF3(CF27SO2N(CH3) −(CH210OCOCH=CH2 C2F5SO2N(C2H5)CH2CH2 −OCOC(CH3)=CH2 CF3(CF27SO2N(CH3) −(CH24OCOCH=CH2 C2F5SO2N(C2H5)C(C2H5) −HCH2OCOCH=CH2 これらの単量体は1種又は2種以上が適宜選択して使
用される。
次に、一般式(II)で表される単量体は、第2、第4
及び第5の発明では構造単位(A)を構成するのに使用
され、第1〜第5の発明では構造単位(B)を構成する
不可欠のものである。一般式(II)で表される単量体と
して具体的には、アクリル酸メチル及び/又はメタクリ
ル酸メチル〔以下(メタ)アクリル酸メチルと総称す
る。以下同様〕、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロ
ピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メ
タ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチル
アミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル
酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−クロ
ル−2−ヒドロキシプロピルのような(メタ)アクリル
酸のヒドロキシエステル、(メタ)アクリル酸トリエチ
レングリコールエステル、(メタ)アクリル酸ジプロピ
レングリコールエステルのような(メタ)アクリル酸の
ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの
エステルを好適に使用することができる。
これら単量体以外に、スチレン、ビニルトルエン、α
−メチルスチレン等の芳香族ビニル型単量体、ギ酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル
アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アク
リロイルモルホリン、2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸等のアミド基含有ビニル系単量体、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸等を使用することがで
きる。これらの単量体は、1種又は2種以上が適宜選択
して使用される。
次に、本発明のブロック共重合体における構造単位
(B)について説明する。
構造単位(B)は、活性エネルギー線に対する感応性
を発現するために前記一般式(III)を構成成分とする
ことが不可欠である。構造単位(B)に占める割合は、
好ましくは1〜98重量%の範囲内において、本発明のブ
ロック共重合体の使用目的及び不飽和基の種類によって
適宜決定される。いずれの不飽和基の場合も一般式(II
I)の占める割合が1重量%に達しない場合、感応性が
不足する傾向がある。
また、不飽和基として を選択した場合、一般式(III)の存在割合が高い領域
において適切な感応性が発現される場合があるが、この
場合においても98重量%を越えると基材に対する密着性
や現像性等が低下する傾向がある。また、この不飽和基
においては、充分な感応性を発現させるために、20重量
%以上存在することがより適切である。
不飽和基がCH2=CH−,CH2=C(CH3)−の場合は一般
式(III)の占める割合が、3〜70重量%の範囲がより
適切である。
また、構造単位(B)は、前記一般式(II)を不可欠
の成分として構成されることにより、基材に対する良好
な密着性、成膜性及び現象性が付与される。また、活性
エネルギー線硬化型樹脂の表面改質剤として使用した場
合、樹脂との良好な混和性を発現させることに寄与す
る。
次に、本発明のブロック共重合体における構造単位
(A)と構造単位(B)の重量比率は80/20〜10/90であ
る。構造単位(A)の比率が80重量%を越えると、活性
エネルギー線に対する感応性が低下したり、基材に対す
る密着性が低下したり、また、活性エネルギー線硬化型
樹脂の表面改質剤として使用した場合、樹脂との混和性
に問題が生じる場合がある。一方、構造単位(A)の比
率が10重量%に満たない場合、構造単位(A)に由来す
るフッ素の機能を充分に発現することができない。特に
活性エネルギー線硬化型樹脂の表面改質剤として使用し
た場合に表面配向性が不足する。
本発明の含フッ素ブロック共重合体の分子量は、構造
単位(A)、構造単位(B)の共通良溶剤の選択が難し
く、従って真の値を測定することが困難であるが、適切
な範囲を重合体溶液粘度で設定することができる。即
ち、構造単位(B)の良溶剤である非フッ素系有機溶剤
例えばジメチルホルムアミド(DMF)又はメチルエチル
ケトン(MEK)に溶解又は分散させて20重量%に調整し
た溶液の粘度が25℃において0.05〜10ポイズであること
が必要である。0.05ポイズ未満ではブロック共重合体を
レジスト材料等に使用する際、成膜性及び現像性が低下
する。また、10ポイズを越えると、特に活性エネルギー
線硬化型樹脂の表面改質剤として使用した場合には表面
配向性が不足する。この重合体溶液粘度は、0.1〜5ポ
イズであることが好ましい。
次に、本発明の不飽和基を含有する含フッ素重合体部
分の製造方法について説明する。
まず、従来公知の方法に従って、前記の構造単位
(B′)と構造単位(A)とを有する含フッ素ブロック
共重合体を合成する。この方法としては、特に工業的な
生産性の容易さ、多義にわたる性能的な面より、1分子
中に2個以上のペルオキシ結合を持つポリメリックペル
オキシド、1分子中に2個以上のアゾ結合を持つポリア
ゾ化合物を重合開始剤とししたラジカル重合により製造
することが好ましい。重合方法としては、通常の塊状重
合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法等が採用さ
れる。
ポリメリックペルオキシドを重合開始剤とした場合の
製造方法を具体的に説明すると以下の通りである。まず
ポリメリックペルオキシドを用いて、構造単位(B′)
を形成する前記一般式(II)で示される単量体及び前記
一般式(IV)で示される単量体の共重合反応を行うこと
により、連鎖中にペルオキシ結合が導入されたペルオキ
シ結合含有ビニル重合体が得られる。これに、構造単位
(A)を形成する前記一般式(I)で示される単量体を
加えて重合を行うか又は前記一般式(I)で示される単
量体と前記一般式(II)で示される単量体の混合物を加
えて重合を行うと、ペルオキシ結合がその含有するペル
オキシ結合において開裂し、効率よくブロック共重合体
が得られる。
次いで、構造単位(B′)と構造単位(A)とを有す
るブロック共重合体と、前記一般式(V)で示される化
合物との反応により、不飽和基が導入された含フッ素ブ
ロック共重合体が得られる。反応条件としては、ブロッ
ク共重合体中の構造単位(B′)に含有されるグリシジ
ル基量と化合物(V)との比率がモル換算で、1/0.4〜1
/1.3であることが好ましい。1/0.4未満の場合、良好な
反応率を達成できない傾向を示す。化合物(V)の比率
が高いほど不飽和基導入量は増大するが、1/1.3を越え
ると過剰仕込み量の化合物(V)の除去工程が煩雑にな
ったり、不純物として残存したりするので好ましくな
い。
また、充分な反応性が達成でき、しかも不飽和基の重
合によるブロック共重合体の高分子量化を防止するため
に、反応系内にペルオキシ結合が存在しないように留意
する必要がある。また、公知の重合禁止剤を併用し、反
応温度を50〜100℃とすることが適切である。さらに、
反応を円滑に進行させるために、公知の触媒として知ら
れているアミン化合物、第四級アンモニウム塩化合物等
を使用することが好ましい。
なお、化合物(V)は、市販品として入手して使用す
ることが出来、また、公知の方法に従って合成して使用
することも出来る。
本発明の不飽和基を含有する含フッ素ブロック共重合
体の組成分析は、NMR、IR、元素分析等の公知の手段で
行うことが出来る。
〔実施例〕
以下に本発明を具体化した実施例について比較例と対
比して説明する。なお、各実施例、比較例、参考例にお
いて、%は重量%を表す。
(実施例1) (1)ペルオキシ結合含有重合体の合成 温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた反応器に、ME
K200gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱
し、MEK232g、メタクリル酸メチル(以下MMAという)80
g、メタクリル酸グリシジル(以下GMAという)120g、−
[CO(CH24COO(C2H4O)3CO(CH24COOO]10−18gか
らなる混合液を2時間かけて仕込み、更に5時間重合反
応を行ってペルオキシ結合含有重合体の溶液を得た。
MMA,GMAの重合転化率は、ガスクロマトグラム(以下G
Cという)により残存単量体量を測定した結果、いずれ
も97%以上であった。この重合体溶液をMEKで4倍量に
希釈し、次いで大過剰のメタノール中に撹拌しながら投
入して、重合体の再沈を行った。沈澱した重合体を充分
に乾燥して粉末状の重合体を得た。GC分析の結果、単量
体が残存しないことが確認された。この粉末状の重合体
の活性酸素量は0.12%であり、ゲルパーミエーションク
ロマトグラム(GPC)で測定したポリスチレン換算の数
平均分子量は13000であった。
(2)ブロック共重合体の合成 前記(1)で得られた粉末状の重合体28g、CF3(C
F27CH2CH2OCOCH=CH2 12g、MEK60gの混合溶液を、温
度計、撹拌機及び還流冷却器を備えた反応器に仕込み、
窒素ガスを吹き込みながら70℃で15時間重合反応を行っ
た。フッ素単量体の重合転化率は99%であった。活性酸
素量を測定した結果、ペルオキシ結合はほぼ完全に消失
していることがわかった。
得られた重合体溶液をMEKで4倍量に希釈して大過剰
のメタノール中に撹拌しながら投入し、重合体の再沈を
行った。沈澱した重合体を充分に乾燥して粉末状の重合
体を得た。
この重合体の微粉末30gをメタノール150g、酢酸ブチ
ル450gからなる混合溶剤に投入し、50℃で8時間撹拌し
て、副生した一方の成分であるフッ素を含有しないアク
リル系重合体の抽出を行った。次に、残った重合体をト
リクロロトリフルオロエタン600gに投入し、40℃で48時
間撹拌して含フッ素重合体の抽出を行った。
その結果、上記粉末はブロック共重合体/フッ素を含
有しないアクリル系重合体/含フッ素重合体の構成比率
が6.9/2.4/0.7から構成されていることがわかった。従
って、ブロック共重合体における含フッ素重合体部分
〔構成単位(A)〕とフッ素を含有しない重合体部分
〔構成単位(B′)〕の重量比率は34/66であることが
わかった。また、ブロック共重合体を重水素置換アセト
ンを用いてNMR分析を行った結果、フッ素を含有しない
重合体部分の構成成分は仕込み通りMMA/GMAが40/60であ
ることがわかった。
(3)ブロック共重合体への不飽和基の導入反応 温度計、撹拌機及び還流冷却器を備えた反応器中に、
前記(2)で得たブロック共重合体5g(グリシジル基の
量が0.014mol)、 (カルボキシル基の量が0.017mol)、トリメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド0.25g、、DMF32.25gを仕込ん
で反応溶液を調製した。次いで、窒素ガスを吹き込みな
がら100℃に昇温して同温度で6時間反応を行った。反
応終了後、重合体溶液約2gをジオキサン20g中に測り取
り、KOHの0.1N溶液(重量比が水/メタノール=1/1の混
合溶液)で滴定して未反応の を定量した結果、75%の が反応に消費されたことがわかった。
さらに、重合体溶液をDMFで3倍量に希釈して大過剰
の水/メタノール(1/1の混合溶液)中に撹拌しながら
投入し、重合体の再沈・精製を行った。重合体の粉末を
充分に乾燥した後、DMFを溶離液としたGPC分析を行った
ところ、 の低分子化合物がほぼ完全に除去されていることがわか
った。
重合体にDMFを加えて20%溶液を調製して、KBrの透明
板上に成膜後充分に乾燥してIR測定を行った結果、1640
cm-1付近にCH2=CH−基に由来する特性吸収が見られ、
不飽和基の導入されていることが確認された。
また、重水素置換DMFを用いてNMR分析を行った結果、
CH2=CH−基に由来するプロトンピークが新たに生じ、
グリシジル基に由来するプロトンピークが減じているこ
とがわかった。MMA成分のメチルエステルプロトンのピ
ークも考慮したピーク面積比から、反応前のグリシジル
基の90%が に置き変わっていることが明らかとなった。
この結果、本反応で得られた重合体は、構造単位
(B)に占める一般式(III)を単位とする重合体部分
の割合が71%であり、構造単位(A)/構造単位(B)
の割合が重量比で29/71であることが示された。
また、この重合体の粉末にMEKを加えて作成した20%
に調整した溶液は青白色の分散液の外観を呈し、粘度は
25℃において0.6ポイズであった。
(実施例2〜5) 次に、前記実施例1の(3)の場合と同じ反応器を用
い、実施例1の(2)で得たブロック共重合体と、表−
1に示した不飽和基含有カルボン酸との反応により、ブ
ロック共重合体への不飽和基の導入反応を行った。
表−1に示した反応溶液を調製後、実施例1と同じ条
件で反応を行った。精製法及び得られた重合体の分析方
法は、実施例1の(3)と同じである。重合体の分析結
果、重合体のMEK溶液の粘度を表−2に示す。
化合物(3):CH2=C(CH3)COOH (実施例6、7) (1)ブロック共重合体の合成 実施例1で使用したのと同じ反応器を用い、反応器中
にDMF150gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃に
加熱し、DMF204g、MMA100g、HEMA50g、GMA50g、−(CO
(CH24COO(C2H4O)3CO(CH24COOO)10−17gからな
る混合溶液を2時間かけて仕込み、さらに4.5時間重合
反応を行ってペルオキシ結合含有重合体を得た。GCによ
る残存単量体量を測定した結果、重合転化率は98%以上
であった。
引き続いて、DMF160gと、C6F13SO2N(C2H5)C2H4OCOC
(CH3)=CH286gとの混合溶液を30分かけて滴下し、さ
らに70℃で3時間、その後77℃で10時間重合反応を行っ
た。GC分析の結果、単量体の重合転化率は98%以上であ
った。また、活性酸素量を測定した結果、ペルオキシ結
合はほぼ完全に消失していることがわかった。
(2)不飽和基の導入反応 前記(1)で合成した重合体溶液をDMFで希釈して、
有効成分濃度が30%になるように調整した。次いで、表
−3に示した不飽和基含有カルボン酸との反応により、
ブロック共重合体への不飽和基の導入反応を行った。
表−3に示した反応溶液を調製後、実施例1と同じ条
件で反応を行った。その後、アセトンで3倍量に希釈し
て大過剰の水/メタノール混合溶剤(重量比で1/1)中
に撹拌しながら投入して重合体の再沈、精製を行った。
充分に乾燥した重合体の粉末を実施例1と同じ方法で
GPC分析を行ったところ、いずれの重合体にも低分子化
合物が含有されていないことがわかった、また、IR分析
及びNMR分析により不飽和基の導入されていることがわ
かった。
この各重合体の粉末100gを各々メタノール300g、トル
エン1700gからなる混合溶剤に投入し、50℃で8時間撹
拌して、副生した一方の成分であるフッ素を含有しない
アクリル系重合体(不飽和基は含有する)の抽出を行っ
た。次いで、残った重合体をトリクロロトリフルオロエ
タン2000gに投入し、40℃で24時間撹拌して含フッ素重
合体の抽出を行った。抽出物の重量を測定し、粉末中
の、ブロック共重合体/フッ素を含有しないアクリル系
重合体/含フッ素重合体の構成比率を求めた。NMR分析
による不飽和基の導入率と照合しながらブロック共重合
体における含フッ素重合体部分〔構造単位(A)〕とフ
ッ素を含有しない重合体部分〔構造単位(B)〕の重量
比率を算出した。
さらに、副生物抽出後のブロック共重合体を重水素置
換アセトンに溶解、分散させてNMR分析を行って、実施
例1と同様の方法により構造単位(B)に占める一般式
(III)を単位とする重合体部分の割合を求めた。ま
た、ブロック共重合体の粉末にMEKを加えて作成した20
%溶液の25℃における粘度を測定した。これらの結果を
表−4に示す。
(実施例8、9) ブロック共重合体を合成する際の、第1段重合時にMM
A60g、メタクリル酸n−ブチル(以下n−BMAという)6
0g、GMA80g、−(CO(CH24COO(C2H4O)3CO(CH24C
OOO)10− 23gを用い、第2段重合時にDMF557g、CF
3(CF27CH2CH2OCOCH=CH2300gの混合溶液を用いた以
外は、実施例6と全て同じ条件でブロック共重合体を合
成した。
さらに、不飽和基の導入反応とブロック共重合体の精
製及び分析を実施例6、7と同じ条件で行った。不飽和
基の導入反応時の反応溶液の組成と、得られた結果を表
−3及び表−4に併せて示す。
(比較例1、2) 前記実施例6、7と対比するために、実施例6の
(1)と同じブロック共重合体と、イソシアネート化合
物、HEMA(比較例1)又はHEA(比較例2)を反応させ
ることにより、不飽和基の導入を行った。
実施例6と同じ反応器中で、実施例6の(2)で使用
したものと同じ重合体溶液を120g仕込み、さらにヘキサ
メチレンジイソシアネートのビューレット体(旭化成工
業株式会社製商品名ジュラネート24A)52gとジブチル錫
ジラウレート200ppmを仕込んで、70℃に加温して反応さ
せた。次に、反応液を室温まで冷却させた後にHEMA54g
(比較例1)、又はHEA48g(比較例2)、ハイドロキノ
ンジメチルエーテル50ppmを加えて65℃に加温して4時
間反応させた。反応終了後、アセトンで2倍量に希釈し
て大過剰のメタノール中に撹拌しながら投入し重合体の
再沈、精製を行った。
充分に乾燥した比較例1の重合体粉末にMEKを加えて2
0%溶液を調製したが、溶解、分散がしにくく、実施例
6の場合と比較して長時間を要した。25℃における粘度
を測定したところ、11ポイズであった。比較例2の化合
物は、乾燥時にゲルが生じ、再溶解が不可能であった。
(比較例3、4) 実施例8、9と対比するために、MMA、n−BMA、GM
A、CF3(CF27CH2CH2OCOCH=CH2との四元重合反応によ
りランダム共重合体を合成した。次いで、実施例7と同
様に不飽和基の導入反応を行い、不飽和基を含有する含
フッ素ランダム共重合体を得た。
このランダム共重合体は、実施例7と同じ反応器にDM
F239gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加温
し、MMA36g、n−BMA36g、GMA48g、CF3(CF27CH2CH2O
COCH=CH2180g、CH3(CH23CH(C2H5)COOOC(CH331
1g、DMF200gの混合溶液を2時間かけて滴下し、さらに
同温度で10時間反応することにより得た。GC分析による
各単量体の転化率は97%以上であった。得られた重合体
溶液をDMFで希釈して30%溶液とした。
不飽和基の導入反応は次のように行った。比較例3で
は、実施例8と同じ条件、同じ方法によりアクリル酸と
の反応を行った。アクリル酸の反応率は約60%であり、
実施例8と比べ12%程低い値を示した。精製後、GPC分
析から低分子化合物が含有されていないこと、IR分析か
ら不飽和基の導入されていることがわかった。また、NM
R分析を行ったところ重合体のグリシジル基の約60%が
消失して不飽和基が導入されていることが明らかとなっ
た。導入率は実施例7と比較して12%程低い値であっ
た。また、DMFの20%溶液を調製したところ、溶液の状
態が不安定であり、静置後まもなく重合体の沈澱がみら
れたため、粘度の測定が出来なかった。DMFで15%まで
希釈してはじめて安定な重合体溶液となった。
比較例4では、実施例9と同じ条件、同じ方法により
メタクリル酸との反応を行った。メタクリル酸の反応
率、重合体への不飽和基の導入率は比較例3とほぼ同一
であった。また、DMFの20%溶液を調製したところ、溶
液の状態が不安定であり、静置後まもなく重合体の沈澱
が見られたため、粘度の測定ができなかった。DMFで15
%まで希釈してはじめて安定な重合体溶液となった。
(実施例10〜18及び比較例5〜7) 実施例1〜9、比較例1、3、4で得た不飽和基を有
する含フッ素重合体の紫外線(UV)に対する感応性を評
価し、合わせて各種の試験を行った。
各実施例、比較例の粘度測定に用いた20%溶液に光重
合開始剤(メルク社製ダロキュアー1173)又は増感剤
(5−ニトロアセナフテン)を重合体100gに対し4g加え
て試験溶液を用意した。次いで、アルミニウム板(日本
テストパネル社製A1100)又は軟質塩ビフィルム(DOP50
%含有)上に乾燥膜厚が10μmになるようにバーコータ
ーで塗布後、基材がアルミニウムの場合は120℃で5
分、軟質塩ビフィルムの場合は、70℃で1時間加熱乾燥
させて試験板を作成した。この試験板に対し、2kwの高
圧水銀灯を20cmの距離から所定時間を照射した。
照射後の試験板に対し、下記の評価を行った。
(1)耐溶剤性 この試験でUV硬化が進行したかどうかを判定した。試
験板塗工時の成膜溶剤を用いて、基材がアルミ板の場合
は、常温で24時間の浸漬試験を行った。塩ビフィルムの
場合は、溶剤を漬した木綿布で表面を20往復擦った。表
記基準は次の通りである。
◎:外観に全く変化がない。
○:膜がやや膨潤したが劣化には到らない。
△:膜が膨潤し、一部劣化がみられた。
×:膜が溶解した。
(2)接触角 水とドテカンに対する接触角を測定し、表面の撥水撥
油性を評価した。
(3)密着性 塗膜を形成した基材に対して、90度の折曲げを30回繰
り返した後の塗膜の剥離度合いを評価した。
◎:膜のひび割れがなく剥離も全くない。
○:膜は一部ひび割れたが、剥離がない。
△:折曲げた線に沿って、一部剥離がみられた。
×:折曲げた線から離れたところまで剥離がみられた。
照射時間と測定結果を表−5及び表−6に示す。
上記表−5及び表−6の結果から、本発明の実施例1
〜9における不飽和基を有する含フッ素ブロック共重合
体が、UVに感応して硬化反応をしていることが明らかと
なった。また、基材に対する密着性と、表面における撥
水撥油性がきわめて良好であることがわかった。さら
に、UVを照射していない場合は、溶剤に対し良好な溶解
性を示し、塗膜が不溶となるUVが照射された場合に比べ
著しい差がみられた。これらの結果から、レジスト材料
としても、充分に応用出来ることがわかる。
一方、比較例1の重合体の場合、密着性は良好に発現
されたが、実施例8等の重合体と比べ、表面の撥水撥油
性が不足した。また、UVに対する感応性も実施例8の場
合よりも鈍い傾向を示した。アルミニウムに塗布した試
験板において、UV照射前後の膜の、溶剤に対する溶解性
の差があまり大きくないことがわかった。また、比較例
3、4のランダム共重合体の場合、実施例8、9の重合
体と比べ、基材に対する密着性が不足し、感応性も低い
傾向を示した。
(実施例19〜25及び比較例8〜10) 実施例4〜9の重合体、実施例1の(2)及び比較例
1、3、4の重合体の表面改質剤としての性能を評価し
た。
前記の重合体の粉末をジアクリル酸ネオペンチルグリ
コールで重合体の濃度が20%になるように希釈した。
エポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製商品名
SP−1506)30g、ウレタンアクルレート(東亜合成化学
工業株式会社製商品名M−1100)30g、エチレングリコ
ールジアクリレート35g、ベンゾインイソブチルエーテ
ル5gからなる溶液を調製し、この溶液100gに対して前記
の20%溶液を各々10g添加した。次に、参考例1で使用
したアルミ板にアプリケーターを用いて膜厚が35μmと
なるように塗布した。
これを、参考例1と同じ高圧水銀灯を用いて、10cmの
距離から10秒間照射して硬化膜を作成した。この硬化膜
をアセトン、10%硫酸水に48時間浸漬し、浸漬前後の表
面の撥水撥油性を評価した。この結果を表−7及び表−
8に示す。
上記表−7及び表−8の結果から、本発明のブロック
共重合体を活性エネルギー線硬化型樹脂に添加した場
合、表面にフッ素の持つ機能である撥水撥油性が付与で
きることがわかった。特に、アセトン浸漬後も、撥水撥
油性はほとんど低下せず、マトリックスポリマーと化学
結合して、改質効果の持続性が非常に優れていることが
わかった。
これに対し、不飽和基を持たないブロック共重合体で
は、硫酸水浸漬後の性能低下は少ないものの、アセトン
浸漬後撥水撥油性が低下する傾向を示した。また、比較
例1、3、4の重合体では、初期改質効果が不足する傾
向を示した。
(実施例26〜29) 実施例6〜9の重合体の表面改質剤としての性能を評
価した。
ウレタンアクリレート(前記M−1100)をMEKに溶解
して20%溶液とし、光重合開始剤(前記ダロキュア−11
73)を重合体100gに対し4g加えて試験溶液を調製した。
この溶液に実施例15〜18で調製した溶液を各々3g加えた
後、実施例10と同様の方法でアルミ板上に成膜、乾燥し
て試験板を作成した。
この試験板に対し、実施例19と同じ条件でUVを照射し
た。その後実施例19と同じ10%硫酸水浸漬試験を行っ
た。幅5cmの積水化学工業株式会社製の粘着テープ上に2
kgのローラーを2往復させて、粘着テープを硬化膜上に
圧着した。この状態で50℃に3日間放置後テープを引き
剥がして、テープ表面をESCA分析(X線光電子分析装置
による分析)して、フッ素成分の転写がないかどうかを
評価した。その結果を表−9に示す。
上記表−9の結果から、実施例6〜9の重合体を使用
した場合、硫酸水浸漬によっても表面の性能に低下が見
られず、また、被着体に対してもフッ素成分の転写がな
いことがわかった。
〔発明の効果〕
本発明の第1の発明によれば、ブロック共重合体にお
ける不飽和基が導入された重合体部分によって活性エネ
ルギー線硬化型樹脂に対する混和性、活性エネルギー線
に対する感応性と現像性、基材に対する密着性等の特性
が発揮されるとともに、含フッ素重合体部分によってフ
ッ素の有する撥水撥油性等の特性が発揮され、従って各
種の活性エネルギー線硬化型樹脂の表面改質剤、レジス
ト材料等として有用であるという優れた効果を奏する。
また、第2の発明によれば、ブロック共重合体中の構
造単位(A)が一般式(II)から誘導される重合体部分
を所定量有するものであっても、上記第1の発明の効果
が有効に発揮されるという効果を奏する。
第3の発明によれば、活性エネルギー線硬化型樹脂に
対する混和性、活性エネルギー線に対する感応性と現像
性、基材に対する密着性等の特性が良好に発揮されると
ともに、撥水撥油性等の特性が良好に発揮されるという
優れた効果を奏する。
第4の発明によれば、前記第3の発明の効果が有効に
発揮される。
さらに、第5の発明によれば、構造単位(A)と、一
般式(II)から誘導される重合体部分及び一般式(IV)
から誘導される重合体部分からなる構造単位(B′)か
らなる含フッ素ブロック共重合体に対し、一般式(V)
で示される化合物を反応させることにより、エポキシ基
とカルボキシル基との反応に基づいて不飽和基の熱重合
が抑制された状態で目的とするブロック共重合体が容易
に得られるという優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−39317(JP,A) 特開 昭64−51418(JP,A) 特開 平2−4877(JP,A) 特開 昭60−36517(JP,A) 特開 昭62−25104(JP,A) 特開 昭63−68604(JP,A) 特開 昭58−215411(JP,A) 特開 平1−62318(JP,A) 特開 昭61−103959(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 8/00 - 8/50 C08F 293/00 - 299/08 C08F 290/00 - 290/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)から誘導される構造単位
    (A)と、下記一般式(II)から誘導される重合体部分
    及び下記一般式(III)を単位とする重合体部分からな
    る構造単位(B)からなり、構造単位(A)/構造単位
    (B)の割合が重量比で80/20〜10/90であり、構造単位
    (B)の良溶剤である非フッ素系有機溶剤に溶解又は分
    散させて20重量%に調整した溶液の粘度が25℃において
    0.05〜10ポイズであることを特徴とする不飽和基を含有
    する含フッ素ブロック共重合体。 CH2=CR1COOR2Rf ……(I) 式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CpH2p−,−
    C(CpH2p+1)H−,−CH2C(CpH2p+1)H−又は−CH2C
    H2O−、RfはCnF2n+1,(CF2nH,(CF2pOCmH2mC
    lF2l+1,(CF2pOCmH2mClF2lH, である。 但し、pは1〜10,nは1〜16,mは0〜10,lは0〜16の整
    数である。 CH2=CR3R4 ……(II) 式中、R3は水素原子,メチル基又はCH2COOH、R4はCOOR5
    (式中、R5は水素原子, −CH2CH2N(CsH2s+12, −CH2CH=CH2,直鎖状又は分岐状のCnH2n+1,直鎖状又は
    分岐状のCpH2p+1OH,−CH2CH(OH)CH3,(C2H4O)rCsH
    2s+1,〔CH2CH(CH3)O〕rCsH2s+1である。 但し、pは1〜10,nは1〜16,rは2〜20,sは0〜8の整
    数である。)、−CONR6R7(式中、R6は水素原子又はCpH
    2p+1,R7は水素原子,直鎖状又は分岐状のCpH2p+1、又は
    CH2OHである。但し、pは1〜10の整数である。)、 −CONHC(CH32CH2COCH3、−CONHC(CH32CH2SO3H、 −CN又は−OCOCnH2n+1(式中、nは1〜16の整数であ
    り、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。) 式中、R8は水素原子又はメチル基、R9はCH2=CH−、CH2
    =C(CH3)−、 である。
  2. 【請求項2】前記構造単位(A)が一般式(I)から誘
    導される重合体部分40重量%以上及び一般式(II)から
    誘導される重合体部分60重量%以下からなることを特徴
    とする請求項1に記載の不飽和基を含有する含フッ素ブ
    ロック共重合体。
  3. 【請求項3】下記一般式(I)から誘導される構造単位
    (A)と、下記一般式(II)から誘導される重合体部分
    及び下記一般式(III)を単位とする重合体部分からな
    る構造単位(B)からなり、構造単位(B)に占める前
    記一般式(III)を単位とする重合体部分の割合が1〜9
    8重量%であり、構造単位(A)/構造単位(B)の割
    合が重量比で80/20〜10/90である不飽和基を含有する含
    フッ素ブロック共重合体よりなる活性エネルギー線硬化
    型樹脂用表面改質剤。 CH2=CR1COOR2Rf ……(I) 式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CpH2p−,−
    C(CpH2p+1)H−,−CH2C(CpH2p+1)H−又は−CH2C
    H2O−、RfはCnF2n+1,(CF2nH,(CF2pOCmH2mC
    lF2l+1,(CF2pOCmH2mClF2lH, である。 但し、pは1〜10,nは1〜16,mは0〜10,lは0〜16の整
    数である。 CH2=CR3R4 ……(II) 式中、R3は水素原子,メチル基又はCH2COOH、R4はCOOR5
    (式中、R5は水素原子, −CH2CH2N(CsH2s+12, −CH2CH=CH2,直鎖状又は分岐状のCnH2n+1,直鎖状又は
    分岐状のCpH2p+1OH,−CH2CH(OH)CH3,(C2H4O)rCsH
    2s+1,〔CH2CH(CH3)O〕rCsH2s+1である。 但し、pは1〜10,nは1〜16,rは2〜20,sは0〜8の整
    数である。)、−CONR6R7(式中、R6は水素原子又はCpH
    2p+1,R7は水素原子,直鎖状又は分岐状のCpH2p+1,又はC
    H2OHである。但し、pは1〜10の整数である。)、 −CONHC(CH32CH2COCH3、−CONHC(CH32CH2SO3H、 −CN又は−OCOCnH2n+1(式中、nは1〜16の整数であ
    り、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。) 式中、R8は水素原子又はメチル基、R9はCH2=CH−、CH2
    =C(CH3)−、 である。
  4. 【請求項4】前記構造単位(A)が一般式(I)から誘
    導される重合体部分40重量%以上及び一般式(II)から
    誘導される重合体部分60重量%以下からなることを特徴
    とする請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂用
    表面改質剤。
  5. 【請求項5】前記一般式(I)から誘導される構造単位
    (A)と、前記一般式(II)から誘導される重合体部分
    及び下記一般式(IV)から誘導される重合体部分からな
    る構造単位(B′)からなる含フッ素ブロック共重合
    体、又は前記一般式(I)から誘導される重合体部分40
    重量%以上及び前記一般式(II)から誘導される重合体
    部分60重量%以下からなる構造単位(A)と、前記一般
    式(II)から誘導される重合体部分及び下記一般式(I
    V)から誘導される重合体部分からなる構造単位
    (B′)からなる含フッ素ブロック共重合体と、下記一
    般式(V)で示される化合物とを反応させて、不飽和基
    を含有する含フッ素ブロック共重合体を製造することを
    特徴とする請求項1又は2に記載の不飽和基を含有する
    含フッ素ブロック共重合体の製造方法。 式中、R8は水素原子又はメチル基である。 R9−COOH ……(V) 式中、R9はCH2=CH−、CH2=C(CH3)−、 である。
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