JP2867034B2 - 高鮮鋭性を有した高感度ハロゲン化銀感光材料 - Google Patents

高鮮鋭性を有した高感度ハロゲン化銀感光材料

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JP2867034B2 JP1135336A JP13533689A JP2867034B2 JP 2867034 B2 JP2867034 B2 JP 2867034B2 JP 1135336 A JP1135336 A JP 1135336A JP 13533689 A JP13533689 A JP 13533689A JP 2867034 B2 JP2867034 B2 JP 2867034B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関するもの
で、詳しくは鮮鋭性が優れ、かつ高感度のハロゲン化銀
写真感光材料に関するものである。
〔発明の背景〕
ハロゲン化銀写真感光材料の感度および画質の向上改
良は、関係技術者にとって永遠の研究課題とされてい
る。そのため従来より数多くの提案が成されており、例
えば米国特許第4,439,520号では厚さ0.6μm以上の平板
状ハロゲン化銀粒子を分光増感することにより感度およ
び鮮鋭性を改良することが報告されている。
一般にハロゲン化銀乳剤は、分光増感することにより
ハロゲン化銀の固有感度に比し色増感部の感度が相対的
に高くなり、その傾向は増感色素の使用量を増すに従っ
て著しい。
レントゲン写真のオルソシステムにおいては、平板状
粒子に充分な量の分光増感を施すことにより増感色素の
吸光係数がハロゲン化銀間接遷移の吸光係数より大きい
ためにクロスオーバー光を顕著に減少させることがで
き、その結果画質の劣化を防止することが知られてい
る。
しかしながら、画質優先での色素量の増加は、感度の
減少を招く結果となり、感度を考慮しての感光材料設計
上からは使用する色素量には限界があった。
そのため特開昭64-18140号或は特願昭63-22051号など
では、分光増感性をより効率化する目的からハロゲン化
銀乳剤の物理熟成段階で増感色素を添加したり、色素の
吸着性を高めたりする方法が提案されている。
しかし、これら従来技術をしても鮮鋭性と感度の両方
を満足する段階には至っていないのが現状であった。
〔発明の目的〕
従って、本発明の目的は高鮮鋭性で、かつ高感度のハ
ロゲン化銀写真感光材料を提供することである。その他
の目的は以下の明細から明らかとなる。
〔発明の構成〕
上記の目的に対して、本発明者は鋭意検討の結果、支
持体の少なくとも一方の側に、少なくとも一層のハロゲ
ン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料におい
て、該ハロゲン化銀乳剤層のいずれかの少なくとも一層
は、ハロゲン化銀粒子形成のための粒子成長が完全に終
了した時点直後から脱塩工程開始前までの工程中に、チ
オシアン酸塩、沃化カリウム及び後記一般式〔I〕又は
〔II〕で表される分光増感色素を添加して得られた粒子
であるハロゲン化銀写真感光材料によって達成されるこ
とを見いだし、本発明を成すに至った。
以下、本発明を詳述する。
本発明で言う、核形成時とは、ハロゲン化銀結晶の生
成から成長段階の製造工程を指し、いわゆる物理熟成時
を言う。
次に本発明でいう脱塩工程とは、ハロゲン化銀粒子調
製時における銀塩溶液とハライド溶液との反応から、粒
子成長のための物理熟成を経て、水可溶性塩類を除去す
るための工程を脱塩工程と言う。
前記した本発明に係る増感色素の添加時期は、核形成
時から上記脱塩工程終了までの間であれば、いずれの時
期でもよい。
脱塩方法としては、当業界で行われているいずれの方
法であってもよく、例えばリサーチ・ディスクローヂャ
ー(Research Disclosure)17643・23頁左欄II・1978年
に記載の凝集法或はヌードル水洗法などであってよい。
本発明に係る核形成から脱塩終了までの工程中に用い
られるチオシアン酸塩としては、具体的にはチオシアン
酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン
カリウムなどが挙げられる。このうち好ましく用いられ
るチオシアン酸塩としては、チオシアン酸アンモニウム
又はカリウム塩である。
上記の工程中に用いられるチオシアン酸塩の添加量
は、ハロゲン化銀1モル当り1.0×10-6〜1.0×10-1モル
でよく、より好ましくは2.0×10-55.0×10-2モルであ
る。
添加時期は、核形成のための銀ハライド混合工程中及
び脱塩工程終了のいづれの時期でもよいが、好ましくは
混合工程中で、より好ましくは混合工程後の脱塩工程前
である。
本発明に係る核形成から脱塩終了までの工程中に用い
られる沃化カリウムは、ハロゲン化銀1モル当り5.0×1
0-5〜5.0×10-3モルでよく、より好ましくは4.0×10-4
〜1.0×10-3モルである。
添加の時期は、前記のチオシアン酸塩と同様で好まし
くは混合工程後の脱塩工程前である。
これらのチオシアン酸塩及び沃化カリウムの添加に際
しては、通常は適度な濃度の水溶液にして、乳剤中に直
接添加される。
なお、添加順序としては、チオシアン酸塩を添加した
後に沃化カリウムを添加し、次いで後述する分光増感色
素を添加するのがより好ましい。
次に、本発明の核形成から脱塩終了までの工程中に用
いられる分光増感色素としては公知のシアニン色素を用
いることができる。
本発明に好ましく用いられるシアニン色素としては、
モノメチンシアニン、カルボシアニン及びジカルボシア
ニン、トリカルボシアニンなどのシアニン色素であっ
て、特に好ましく用いられるシアニン色素としては、カ
ルボシアニン色素である。
以下、本発明に好ましく用いられる分光増感色素を一
般式〔I〕及び〔II〕で表示した。
一般式〔I〕 式中、Z1及びZ2は非置換又はそれぞれハロゲン原子、
低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはフェニル基
で置換されたピロリン環、チアゾリン環、チアゾール
基、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、セレナ
ゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール
環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオ
キサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環
又はピリジン環を形成するに必要な非金属原子群を表
し、R1及びR2は低級アルキル基、ヒドロキシアルキル
基、カルボキシルアルキル基又はスルホアルキル基を表
し、R3はn3が1のときに低級アルキル基又は水素原子で
あると共に、n3が0のときに水素原子を表し、n1及びn2
は0又は1を表し、n3は0又は1を表し、X はアニオ
ンを表し、mは1又は2を表す。
前記一般式〔I〕におけるZ1及びZ2の非金属原子群
は、相互に同じか又は異なってアゾール環などを完成で
きるものであればよく、例えばベンゾチアゾール環とし
ては、ベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾー
ル、5−メチルベンゾチアゾール、5−メトオキシベン
ゾチアゾール、5−ヒドロオキシベンゾチアゾール、5
−ヒドロオキシ−6−メチルベンゾチアゾール、5,6−
ジメチルベンゾチアゾール、5−エトオキシ−6−メチ
ルベンゾチアゾール、5−ヘニルベンゾチアゾール、5
−カルボキシベンゾチアゾール、5−エトオキシカルボ
ニルベンゾチアゾール、5,6−ジメチルアミノベンゾチ
アゾール、5−アセチルアミノベンゾチアゾールなどが
挙げられる。。そしてベンゾセレナゾール環としては、
例えばベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾ
ール、5−メチルベンゾセレナゾール、5−メトオキシ
ベンゾセレナゾール、5−ヒドロオキシベンゾセレナゾ
ール、5,6−ジメチルベンゾセレナゾール、5,6−ジメト
オキシベンゾセレナゾール、5−エトオキシ−6−メチ
ルベンゾセレナゾール、5−ヒドロオキシ−6−メチル
ベンゾセレナゾール、5−ヘニルベンゾセレナゾールな
どが挙げられ、更にナフトチアゾール環としては、例え
ばβ−ナフトチアゾール、β,β−ナフトチアゾールな
どが挙げられ、更に又ナフトセレナゾール環としては、
例えばβ−ナフトセレナゾールなどが挙げられる。
更にベンゾオキサゾール環としては、例えばベンゾオ
キサゾール、5−クロロ−ベンゾオキサゾール、5−ヘ
ニルベンゾオキサゾール、6−メトキシ−ベンゾオキサ
ゾール、5−メチル−ベンゾオキサゾール、β,β−ナ
フトオキサゾールなどが挙げられる。
又、ベンゾイミダゾール環としては、例えばベンゾイ
ミダゾール、5−クロロ−ベンゾイミダゾール、5,6−
ジクロロベンゾイミダゾール、5−メトオキシカルボニ
ルベンゾイミダゾール、5−エトオキシカルボニルベン
ゾイミダゾール、5−ブトオキシカルボニルベンゾイミ
ダゾール、5−フルオロ−ベンゾイミダゾールなどが挙
げられる。
上記R1及びR2の具体例としては、例えばメチル基、エ
チル基、n−プロピル基などのアルキル基、β−カルボ
キシエチル基、γ−カルボキシプロピル基、γ−スルホ
プロピル基、γ−スルホブチル基、δ−スルホブチル
基、スルホエトオキシエチル基などの置換アルキル基を
挙げることができる。又、上記R3の具体例としては、水
素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を挙げること
ができる。
上記Xで示されるアニオンの具体例としては、例えば
ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオ
ン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン
酸イオン、メチル硫酸イオンなどを挙げることができ
る。
次に、本発明に有効に用いられる前記一般式〔I〕で
表される代表的な化合物例を挙げるが本発明は、これら
によって限定されるものではない。
上記の増感色素は、例えば、F.M.Hamer著“Heterocyl
ic Compounds cyanine dYes and related Compounds"Jo
hn wiley & sons(New York,London)社1964年刊に合
成法も含めて記載されているシアニン色素類である。
一般式〔II〕 式中、Z1、Z3は置換基を有してもよいベンゾチアゾー
ル核、ベンゾオキサゾール核、ナフトチアゾール核、ナ
フトオキサゾール核を形成するに必要な非金属原子郡を
表し、R1、R2はそれぞれ飽和または不飽和脂肪族基を表
す。
Z2は5員ないし6員の炭素原子環を表し、AはZ2が6
員の場合は水素原子を表す。5員環の場合は一般式〔II
-a〕で表される。
一般式〔II-a〕 式中、Aは を表す。
R3、R4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル
基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を表
し、R5、R6はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、アル
コキシカルボニルアルキル基、置換基を有してもよいア
リル基を表し、R7は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数
6〜10のアリル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を持つ
アルコキシカルボニル基を表す。
Z2が6員環の場合は一般式〔II-b〕で表される。
一般式〔II-b〕 式中、R8は水素原子或いはメチル基、R9は水素原子、
炭素数1〜4のアルキル基、単環のアリル基を表す。X
はアニオンを表し、nは1また2(分子内塩を形成す
るときはnは1である)を表す。
一般式〔II〕中、Z1、Z3は置換基を有してもよいベン
ゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、ナフトチアゾ
ール核、ナフトオキサゾール核を形成するに必要な非金
属原子群を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基等が
ある。
R1、R2はそれぞれ飽和または不飽和脂肪族基(例えば
メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メ
トキシエチル基、2−アセトキシエチル基、カルボキシ
メチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプ
ロピル基、4−カルボキシブチル基、2−スルホエチル
基、3−スルホプロピル基、3−スルホブチル基、4−
スルホブチル基、ビニルメチル基、ベンジル基、フェネ
チル基、p−スルホフェネチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基等)である。
Z2は5員ないし6員の炭素原子環を表し、AはZ2が6
員の場合は水素原子を表す。5員環の場合は一般式〔II
-a〕で表される。
一般式〔II-a〕中、R3、R4はそれぞれ水素原子、炭素
数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜4の
アルコキシ基を表し、R5、R6はそれぞれ炭素数II〜II2
のアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基(例え
ばメトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエ
チル基等)、置換基を有してもよいアリル基(例えばフ
ェニル基、m−トリル基、p−トリル基、m−クロロフ
ェニル基、p−クロロフェニル基、炭素数1〜4のアル
コキシ基を持つm−、p−アルコキシフェニル基等)を
表し、R7は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10の
アリル基、炭素数3〜4のアルコキシ基を持つアルコキ
シカルボニル基を表す。
Z2が6員の場合は一般式〔II-b〕で表される。
一般式〔II-b〕中、R8は水素原子或いはメチル基、R9
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、単環のアリル
基を表す。X はアニオンを表す。(例えば塩素イオ
ン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸、ベンゼンス
ルホネート、p−トルエンスルホネート、メチルサルフ
ェート、エチルサルフェート、テトラフロロホウ酸
等)。
nは1または2(分子内塩を形成するときはnは1で
ある)を表す。
次に、一般式〔II〕で表される化合物の代表的具体例
を挙げる。
一般式〔II〕の具体例 これら本発明の色素は、米国特許2,734,900号、同3,4
82,978号、同3,758,461号等の記載の方法に準じて容易
に合成できる。
上記した、これらの分光増感色素は、それぞれ単一も
しくは組み合わせて所望の分光感度を得るために本発明
に係る方法により添加される。
これら一般式〔I〕または一般式〔II〕の色素の添加
量は色素の種類や乳剤条件などによって一様ではない
が、ハロゲン化銀1モル当たり3〜1500mgが好ましく特
に60〜1000mgが好ましい。
またこれらの分光増感色素は、本発明に係る核形成時
から脱塩終了までの工程時に添加することによって、は
じめて分光増感効率の優れた高感度ハロゲン化銀乳剤を
得られるが、さらに脱塩工程終了後から化学熟成工程を
経て塗布工程直前までのいずれかの時期に前記の工程
(核形成時から脱塩終了まで)に添加した色素と同一も
しくは別種の本発明に係る分光増感色素をさらに追加し
て添加することにより本発明の効果をより良好に奏する
ことができる。
斯かる場合の最も好ましい添加時期としては、化学熟
成開始時もしくは終了時であって、好ましい添加量とし
ては、ハロゲン化銀1モル当たり3〜1500mgでより好ま
しくは60〜1000mgである。
本発明のハロゲン化銀核形成時から脱塩終了までの工
程中にチオシアン酸、沃化カリウム及び分光増感色素を
添加して成る乳剤は、常法通り化学熟成を施して本発明
に係るハロゲン化銀写真感光材料を得られる。
その場合の化学熟成は、通常当業界で用いられる化学
増感法及び分光増感法が成され最高感度を得るための工
程が含まれる。
該化学増感法としては、公知のもので例えば硫黄増感
法、セレン増感法、還元増感法、金その他の貴金属化合
物を用いる貴金属増感法などを単独又は組み合わせ用い
ることができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる乳剤
は、沃臭化銀、沃塩化銀、沃塩臭化銀などいずれのハロ
ゲン化銀であってもよいが特に高感度のものが得られる
という点では、沃臭化銀であることが好ましい。
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、8面体、
14面体のような全て等方的に成長したもの、あるいは球
形のよう多面的な結晶型のもの、面欠陥を有した双晶か
ら成るものあるいはそれらの混合型または複合型であっ
てもよい。これらハロゲン化銀粒子の粒径は、0.1μm
以下の微粒子から20μmに至る大粒子であってももよ
い。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる乳剤
は、公知の方法で製造できる。例えば、リサーチ・デイ
スクロージヤー(RD)No.17643(1978年12月)・22〜23
頁の1・乳剤製造法(Emulsion Preparaition and type
s)及び同(RD)No.18716(1979年11月)・648頁に記載
の方法で調製することができる。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料の乳剤は、例
えば、T.H.James著“The theory of the photographic
process"第4版、Macmillan社刊(1977年)38〜104頁に
記載の方法、G.F.Dauffin著「写真乳剤化学」“Photogr
aphic emulsion Chemistry"、Focal press社刊(1966
年)、P.Glafkides著「写真の物理と化学“Chimie et p
hysique photograhique"Paul Montel社刊(1967年)、
V.L.Zelikman他著「写真乳剤の製造と塗布」“Making a
nd coating photographic emulsion"Focla press社刊
(1964年)などに記載の方法により調製される。
即ち、中性法、酸性法、アンモニア法などの溶液条
件、順混合法、逆混合法、ダブルジエツト法、コントロ
ールド・ダブルジエツト法などの混合条件、コンバージ
ヨン法、コア/シェル法などの粒子調製条件及びこれら
の組合わせ法を用いて製造することができる。
本発明の好ましい実施態様としては、沃化銀を粒子内
部に局在させた単分散乳剤が挙げられる。ここでいう単
分散乳剤とは、常法により、例えば平均粒子直径を測定
したとき、粒子数または重量で少なくとも95%の粒子
が、平均粒子径の±40%以内、好ましくは±30%以内に
あるハロゲン化銀粒子である。ハロゲン化銀の粒径分布
は、狭い分布を有した単分散乳剤或は広い分布の多分散
乳剤のいずれであってもよい。
ハロゲン化銀の結晶構造は、内部と外部が異なったハ
ロゲン化銀組成からなっていてもよい。
本発明の好ましい態様としての乳剤は、高沃度のコア
部分に低沃度のシェル層からなる明確な二層構造を有し
たコア/シェル型単分散乳剤である。
本発明の高沃度部の沃化銀含量は20〜40モル%で特に
好ましくは20〜30モル%である。
かかる単分散乳剤の製法は公知であり、例えばJ.Pho
t.Sic.12.242〜251頁(1963)、特開昭48-36890号、同5
2-16364号、同55-142329号、同58-49938号、英国特許1,
413,748号、米国特許3,574,628号、同3,655,394号など
の公報に記載されている。
上記の単分散乳剤としては、種晶を用い、この種晶を
成長核として銀イオン及びハライドイオンを供給するこ
とにより、粒子を成長させた乳剤が特に好ましい。な
お、コア/シェル乳剤を得る方法としては、例えば英国
特許1.027.146号、米国特許3,505,068号、同4,444,877
号、特開昭60-14331号などの公報に詳しく述べられてい
る。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、アスペクト
比が5以上の平板状粒子であってもよい。
かかる平板状粒子の利点は、分光増感効率の向上、画
像の粒状性及び鮮鋭性の改良などが得られるとして例え
ば、英国特許2,112,157号、米国特許4,439,520号、同4,
433,048号、同4.414,310号、同4,434,226号などの公報
に記載の方法により調製することができる。
上述した乳剤は、粒子表面に潜像を形成する表面潜像
型あるいは粒子内部に潜像を形成する内部潜像型、表面
と内部に潜像を形成する型のいずれの乳剤で有ってもよ
い。これらの乳剤は、物理熟成あるいは粒子調製の段階
でカドミウム塩、鉛塩、亜鉛塩、タリウム塩、イリジウ
ム塩又はその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩又
はその錯塩などを用いてもよい。乳剤は可溶性塩類を除
去するためにヌーデル水洗法、フロキュレーシヨン沈降
法あるいは限外濾過法などの水洗方法がなされてよい。
好ましい水洗法としては、例えば特公昭35-16086号記載
のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アルデヒド樹脂を用
いる方法、又は特開昭63-158644号記載の凝集高分子剤
例示G3,G8などを用いる方法が特に好ましい脱塩法とし
て挙げられる。
本発明に係る乳剤は、物理熟成または化学熟成前後の
工程において、各種の写真用添加剤を用いることができ
る。公知の添加剤としては、例えばリサーチ・デイスク
ロージャーNo-17643(1978年12月)及び同No-18716(19
79年11月)に記載された化合物が挙げられる。これら二
つのリサーチ・デイスクロージャーに示されている化合
物種類と記載箇所を次表に掲載した。
添加剤 RD-17643 Rd-18716 頁 分類 頁 分類 化学増感剤 23 III 648−右上 増感色素 23 IV 648右−649左 現像促進剤 29 XXI 648−右上 カブリ防止剤 24 VI 649−右下 安定剤 〃 〃 色汚染防止剤 25 VII 650左−右 画像安定剤 25 VII 紫外線吸収剤 25〜26 VIII649右−650左 フィルター染料 〃 〃 増白剤 24 V 硬化剤 26 X 651右 塗布助剤 26〜27 XI 650右 界面活性剤 26〜27 XI 650右 可塑剤 27 XII 〃 スベリ剤 〃 スタチック防止剤 27 XII 〃 マット剤 28 X VI 650右 バインダー 26 IX 651右 本発明に係る感光材料に用いることのできる支持体と
しては、例えば前述のRD-17643の28頁及びRD-18716の64
7頁左欄に記載されているものが挙げられる。
適当な支持体としては、プラスチックフィルムなどで
これら支持体の表面は一般に、塗布層の接着をよくする
ために、下塗層を設けたり、コロナ放電、紫外線照射な
どを施してもよい。そして、このように処理された支持
体上の片面あるいは両面に本発明に係る乳剤を塗布する
ことができる。
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料のすべてに適用
可能であるが、特に高感度の黒白用あるいはカラー用感
光材料に適している。
医療用X線ラジオグラフィーに本発明を適用する場
合、例えば透過性放射線曝射によって近紫外光ないし可
視光を発生する蛍光体を主成分とする蛍光増感紙が用い
られる。これを本発明の乳剤を両面塗布してなる感光材
料両面に密着し露光することが望ましい。
ここで言う透過性放射線とは、高エネルギーの電磁波
であって、X線及びガンマー線を意味する。
また蛍光増感紙とは、例えばタングステン酸カルシウ
ムを主とした蛍光成分とする増感紙、或はテルビウムで
活性化された稀土類化合物を主成分とする蛍光増感紙な
どをいう。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により例証するが、これによっ
て本発明の実施態様が限定されるものではない。
実施例−1 反応釜の条件として60℃、pAg=8、そしてpH=2に
保ちつつ、ダブルジェット法により平均粒径0.3μmの
沃化銀2モル%を含むヨウ臭化銀の単分散立方晶乳剤を
得た。電子顕微鏡観察によれば双晶の発生率は個数で1
%以下であった。
この乳剤を種晶として、更に以下のように成長させ
た。
反応釜内にゼラチン水溶液を40℃に保ち上記種晶を溶
解し、更にアンモニア水と酢酸を加えてpH=9.5に調整
した。
アンモニア性銀イオン液にてpAgを7.3に調整後、pH及
びpAgを一定に保ちつつ、アンモニア性銀イオンと、ヨ
ウ化カリウムと臭化カリウムを含む溶液をダブルジェッ
ト法で添加し、ヨウ化銀30モル%を含むヨウ臭化銀層を
形成せしめた。
(工程−1) 酢酸と臭化銀を用いてpH=9、pAg=9.0に調整した後
にアンモニア性銀イオン液と臭化カリウムを同時に添加
し、成長後粒径の90%にあたるまで成長させた。この時
pHは9.0から8.20まで徐々に下げた(工程−2)。
臭化カリウム液を加えpAg=11とした後に、更にアン
モニア性銀イオン液と臭化カリウムを加えてpHを徐々に
8まで下げながら成長せしめ、平均粒径0.7μm、ヨウ
化銀2モル%を含むヨウ臭化銀乳剤を得た(工程−
3)。
得られた乳剤を40℃に保ち、その中へナフタレンスル
ホン酸ナトリウムのホルマリン樹脂(平均重合度4〜
6)の適量を加えて、ハロゲン化銀粒子を沈降せしめ、
上澄液を排出後、40℃の純水を加えたのち、硫酸マグネ
シウムを添加し、再度ハロゲン化銀粒子を沈降させ、上
澄液を排除した。
これを再度繰りかえしてからゼラチンを添加し、pH=
6.0,pAg=8.5の乳剤を得た。(工程−4)。
工程4で得られた乳剤をチオシアン酸アンモニウム塩
化金酸及びハイポを加え、最高感度が得られる条件での
化学熟成を行った。
次いで安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラザインデンの適量を加えて乳剤を得た。
(工程−5) 以上のように工程1〜5の全工程を経て本発明に係る
乳剤が調製され、その各工程の段階で、本発明に係るチ
オシアン酸塩、沃度塩及び分光増感色素を後記表1に示
したように添加した。
尚、表中の添加工程欄での“前”と示した試料は、本
発明に係るチオシアン酸塩、沃度塩及び分光増感色素を
それぞれその数字の工程前に添加したことを意味する。
このようにして得られた化学熟成後の乳剤は、通常用
いられている公知のカブリ防止剤、塗布助剤を添加後、
乳剤塗布液とした。
上記のようにして得られた各乳剤をポリエチレンテレ
フタレートフイルムの両面に銀量として4.0g/m2となる
よう塗布した。また同時に保護層としてマット剤、塗布
助剤、帯電防止剤および硬膜剤を含むゼラチン溶液を塗
布して表1に示す試料1〜32を得た。
次に試料をJIS法にもとずきKS-1型センシトメーター
(コニカ〔株〕製)で白色露光後、KX-500自動現像機
(コニカ〔株〕製)を用いてXD-90(現像液)、XF(定
着液)にて90秒の処理を行った。
このようにして得られた試料についてセンシトメトリ
ーを行った。なお表中の感度は試料(No1)の感度を100
として表した相対感度で示した。
MTFの測定 0.5〜10ライン/mmの鉛製の矩形波の入ったMTFチャー
トを蛍光スクリーン(KO-125〔コニカ株製)のフロット
側の裏面に密着させ、フィルム面が鉛のチャートで遮蔽
されていない部分の濃度が両面で約1.0になるようにX
線を照射した。
照射後のフィルム試料を前記と同様に現像処理してか
ら矩形波のパターンをコニカマイクロデンシトメーター
M-5型(コニカ〔株〕)を用い測定した。
なお、このときのアパーチャーサイズは矩形波の平行
方向に300μ、直角方向に25μであり、拡大倍率は20倍
であった。
得られたMTF値を代表し、空間周波数2.0ライン/mmのM
TF値で表示した。数値が大きいほど鮮鋭性が優れること
を表す。
得られた結果を表1に示した。
表1から明らかなように、本発明に係るチオシアン酸
塩、沃化カリウム及び増感色素の併用による試料のいず
れもが、比較試料に比して高感度で、かつMTF値が高く
鮮鋭性が優れていることが判る。
さらに、本発明の方法において添加工程及び添加順序
に関しても有意性があり、最も好ましい実施態様として
は粒子形成後の脱塩工程前(工程4)にチオシアン酸
塩、沃化カリウム、分光増感色素の順で添加したものが
優れた特性を示すことを表している。
実施例2 工程1、2まで実施例1と同様の方法で粒子形成を行
った。その後pHを9.0から8.0へ変化させてpAgを9.0にコ
ントロールしつつ臭化銀の層を形成させた。(工程3) 得られた粒子は平均粒径0.65μmで粒子全体の沃化銀
含有率は約2モル%であった。また乳剤粒子は電子顕微
鏡観察から立方晶状をなしていた。
次いで実施例1と同様に脱塩して乳剤を得た。(工程
4) 得られた乳剤を実施例1と同様に化学増感したものを
(工程5)とした。
上記の各工程にて、下記表2に示した添加工程時にチ
オシアン酸塩、沃化カリウム及び分光増感色素をそれぞ
れ表2にしめした如く添加した以外は実施例1と全く同
様に処理して試料No.33〜51を作成した。
得られた試料の感度及びMTF値を表2に示す。但し表
中の感度は実施例1の試料No1を100とした相対感度で表
示した。
表2で明らかなように、本発明に係る試料が高感度で
高鮮鋭性を有し、かつハロゲン化銀粒子を立方晶にする
ことによって、鮮鋭性がさらに向上していることを表し
ている。
〔発明の効果〕
本発明により、高感度で高鮮鋭性を有したハロゲン化
銀写真感光材料を得られた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の少なくとも一方の側に、少なくと
    も一層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真
    感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層のいずれかの
    少なくとも一層は、ハロゲン化銀粒子形成のための粒子
    成長が完全に終了した時点直後から脱塩工程開始前まで
    の工程中に、チオシアン酸塩、沃化カリウム及び下記一
    般式〔I〕又は〔II〕で表される分光増感色素を添加し
    て得られた乳剤であることを特徴とするハロゲン化銀写
    真感光材料。 一般式〔I〕 式中、Z1、Z2は5〜6員の複素環を形成するに必要な非
    金属原子群を表し、R1、R2は低級アルキル基、ヒドロキ
    シアルキル基、カルボキシアルキル基、スルホアルキル
    基を表す。n1、n2、n3は0または1を表し、n3が1のと
    き、R3は水素原子または低級アルキル基を表し、n3が0
    のとき、R3は水素原子を表す。X はアニオンを表し、
    mは1または2を表す。 一般式〔II〕 式中、Z3、Z5は置換基を有してもよいベンゾチアゾー
    ル、ベンゾオキサゾール、ナフトチアゾール、ナフトセ
    レナゾール、ナフトオキサゾール環を形成するに必要な
    非金属原子群を表し、Z4は5〜6員の炭素原子環を表
    す。R4、R5は低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、
    カルボキシアルキル基、スルホアルキル基を表し、Aは
    Z4が6員の場合は水素原子を表し、5員の場合は Aは を表す。R6、R7は置換または無置換のアルキル基または
    アリール基を表し、R8はアルキル基、アリール基、アル
    コキシカルボニル基を表す。X はアニオンを表し、n
    は1または2を表す。
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