JP2852777B2 - シクロヘキサン環を含む光学活性ポリエステル - Google Patents

シクロヘキサン環を含む光学活性ポリエステル

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は溶融成形が可能な光学活性な液晶ポリエステ
ルに関する。
〔従来の技術〕
シクロヘキシレンを含むポリエステルは近年文献に記
載され始めている。ここでシクロヘキシレン単位は、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸又は、1,4−シクロヘキ
サンジオールに存在し、これと他のジオール類又はジカ
ルボン酸との組合せによるポリエステル中に導入され
る。
たとえば、米国特許第4,342,862号には、ポリエステ
ルがトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およ
びその他の芳香族ジカルボン酸の酸性混合物と、メチ
ル、フェニルまたはクロロ−ヒドロキノンのような置換
ヒドロキノンとの重縮合により得られることが記載され
ている。
トランス−シクロヘキサンジカルボン酸のみと上記置
換ヒドロキノンのあるものとの重縮合によるサーモトロ
ピック液晶ポリエステル類の製造が“マクロモレキュー
ルズ(Macromolecules)”、19巻、1824頁(1986年)に
記載されている。そして、トランス−1,4−シクロヘキ
サンジオールと置換芳香族ジカルボン酸のポリエステル
類または1,4−シクロヘキサンジオールのシスおよびト
ランス体混合物と、芳香族または脂環族ジカルボン酸の
ポリエステル類も上記文献に記載されている。
シクロヘキサン単位を含有する他のサーモトロピック
液晶ポリマー類としては“マクロモレキュールズ”、14
巻、1626頁(1981年)に記載のブロックコポリエステル
類があり、例えばポリオキシ−トランス−1,4−シクロ
ヘキシレンオキシカルボニル−トランス−1,4−シクロ
ヘキシレンカルボニル−オキシ−1,4−フェニレンオキ
シフタロイルであり、また“マクロモレクラーレヘミィ
ー(Macromoleculare Chemie)"187巻、1145頁、(1986
年)に記載のコポリマー類があり、これは剛直性構造の
トランス−1,4−シクロヘキサンジベンゾアートのα、
ω−アルカンジカルボン酸を重合させて得たものであ
る。
特開昭64−40,519号公報では4,4′−ビシクロヘキサ
ンジオールとアルカンジカルボン酸を重合してポリエス
テルを得ている。
一方、特開昭64−65124号公報には光学活性な2−メ
チルブチル基を組み込んだものが、特開昭64−79230号
公報には光学活性な4,4′−ビフェニレンビスオキシビ
スプロピオン酸を含む高分子化合物が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
一般に液晶ポリマーは芳香族化合物のものが多く知ら
れている。最近シクロヘキサン環又はビシクロヘキサン
環を含むポリマーが見出されてきているがまだ物性的要
求にたえられるものが少ない。
全シクロヘキサンポリエステル化合物は融点がなく、
分解してしまうため、熱可塑性成形することは困難であ
る。
本発明の目的は融点が150〜300℃で光学活性液晶相を
示し、成形可能なポリエステル化合物、ないしは不融な
光学活性液晶性ポリエステル化合物を提供することであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、 (上式中*は不斉炭素を示し、 p−またはm−置換を示し、l,m,x,yは正の数であっ
て、l+m=x+y=1である。)で表わされるシクロ
ヘキサン環を含む光学活性ポリエステルである。
本発明の光学活性ポリエステルは従来の重縮合法に準
じて製造できる。代表的な製造法としては次の如くであ
る。
(上式中x,y,l,m,*及び 前記と同じ意味を表わす。) すなわち(R)−(+)−3−メチルアジピン酸から
製造した(R)−(+)−3−メチルアジピン酸クロリ
ドとテレフタル酸クロリド又はイソフタル酸クロリド
と、トランス,トランス−4,4′−ビシクロヘキサンジ
オールとトランス−1,4−シクロヘキサンジオールを1,
2,4−トリクロロベンゼン中で反応を行ない本発明のポ
リマーを得ることができる。
本発明のポリマーは、公知のポリマーと混合して、溶
融温度を調節したり、又、液晶ポリマーであるから機械
的強度を増すことができる。
前記公知のポリマーとしては例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリビニルクロリド、ポリスチレン類、
ポリメチルメタクリレート、ABS、ポリアミド類、ポリ
カーボネート類、ポリアクリレート類、ポリエチレンテ
レフタレートやポリブチレンテレフタレートのようなポ
リエステル類、及びポリフェニレンオキシド類などがあ
る。
このように本発明の化合物は公知のポリマーの耐熱
性、耐薬品性、機械的強度の改善に有用なものである。
又、低分子液晶と混合して液晶表示装置用の液晶組成物
をつくることができる。
〔実施例〕
以下に実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何等限定される
ものではない。
実施例で使用した原料は次のようにして製造した。
(i)トランス−1,4−シクロヘキサンジオールの製
造: オルバーグ他、ジャーナル オブ ジ アメリカン
ケミカル ソサイエティー、66巻、1097ページ(1944)
に記載の方法で、トランス、シス混合1,4−シクロヘキ
サンジオールを無水酢酸と反応させ、アセタートとし、
再結晶によってトランス−1,4−シクロヘキサンジアセ
タートを製造した。このトランス体を水酸化バリウム水
で加水分解してトランス−1,4−シクロヘキサンジオー
ルを製造した。融点140.7〜141.6℃。
(ii)トランス,トランス−4,4′−ビシクロヘキサン
ジオールの製造: ワイルズ他、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケ
ミカル ソサイエティ、76巻、1735ページ(1954)に記
載の方法で、トランス、シス混合4,4′−ビシクロヘキ
サンジオールをジオキサン中ピリジン存在下、塩化ベン
ゾイルと反応を行い、ジベンゾアートとした。再結晶に
より、トランス,トランス−4,4′−ビシクロヘキサン
ジベンゾアートを製造した。水酸化カリウム水溶液で加
水分解した後再結晶を行い、目的のトランス,トランス
−4,4′−ビシクロヘキサンジオールを製造した。融点2
15.5〜216.3℃。
(iii)テレフタル酸クロリドは市販品(東京化成工業
社製)をn−ヘキサンで再結晶した融点81.1〜81.9℃の
ものを使用した。又、イソフタル酸クロリドは市販品
(東京化成工業社製)をn−ヘキサンで再結晶した融点
43.4〜43.9℃のものを使用した。
(iv)(R)−(+)−3−メチルアジピン酸クロリド
の製造 (R)−(+)−3−メチルアジピン酸を塩化チオニ
ルとピリジン触媒を用いて反応を行なった。塩化チオニ
ルを留去し、減圧蒸留(沸点109〜112℃/9mmHg)したも
のを反応に使用した。
熱分析はセイコー電子工業社製TG/DTA−200型で毎分1
0℃の昇温速度で測定し、液晶転移温度、等方相転移温
度は偏光顕微鏡にホットステージ(メトラー社製FP−8
2)を装着して毎分3℃の昇温速度で測定した。又、対
数粘度数はp−クロロフェノールを溶媒として50℃、5g
/の濃度で測定した。
実施例1 ポリ(トランス,トランス−4,4′−ビシクロヘキシレ
ン−トランス−1,4−シクロヘキシレン−テレフタラー
ト−(R)−(+)−3−メチルアジパート)の製造
(I式でl=0.8、m=0.2、x=0.1、y=0.9の場合) 攪拌機、冷却器、窒素導入管をつけた100mlの3つ口
フラスコに(R)−(+)−3−メチルアジピン酸クロ
リド0.7882g(4mmol)、テレフタル酸クロリド0.2033g
(1mmol)、トランス,トランス−4,4′−ビシクロヘキ
サンジオール0.0992g(0.5mmol)、トランス−1,4−シ
クロヘキサンジオール0.5227g(4.5mmol)、および1,2,
4−トリクロロベンゼン20mlの反応混合物を入れて窒素
気流下、室温で15分間反応を行ない、ついでマントルヒ
ータを220℃にして該3つ口フラスコ中の反応混合物に
つき3時間還流を行なった。この反応液を放冷して50℃
にした後、メタノール300mlに注いで析出した沈澱物を
過した。この沈澱物を少量のメタノールで洗浄した後
メタノールで煮沸して熱時過(3回)し乾燥した。収
量0.95g(収率76.3%)。
このポリマーは固有粘度0.30、液晶転移温度170〜186
℃、等方相転移温度205〜210℃で、熱分析測定の結果分
解温度は316℃であった。
実施例2〜10 酸塩化物成分として(R)−(+)−3−メチルアジ
ピン酸クロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸
クロリドをジオール成分としてトランス,トランス−4,
4′−ビシクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シク
ロヘキサンジオールを種々の割合で用い実施例1と同様
の方法に従って種々のポリエステルを製造した。
これらの結果を第1表に示す。
〔発明の効果〕 本発明によれば単独で又は他の熱可塑性樹脂との組成
物として150〜300℃で光学活性液晶相を示し、溶融成形
可能なシクロヘキサン環を含む光学活性ポリエステルで
公知の熱可塑性ポリマーと任意の割合で混合可能なポリ
マーが提供される。従って、本発明のポリマーは、これ
を公知のポリマーと任意の割合で混合することにより、
光学活性液晶ポリマーとすることができ、従って、成形
品の機械的強度を向上させることができる。又、低成分
の液晶組成物に加えることにより、液晶表示装置用の液
晶組成物をつくることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (上式中*は不斉炭素を示し、 p−またはm−置換を示し、l、m,x,yは正の数であっ
    て、l+m=x+y=1である。)で表わされるシクロ
    ヘキサン環を含む光学活性ポリエステル。
JP1323093A 1989-12-13 1989-12-13 シクロヘキサン環を含む光学活性ポリエステル Expired - Lifetime JP2852777B2 (ja)

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