JP2827203B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は内燃機関の点火装置に関し、より詳しくは、
エンジンの各気筒毎に取り付けられた各スパークプラグ
に直接点火コイルを接続した形式の点火装置に関するも
のである。 （従来の技術） 特開昭59−226274号公報には、複数のスパークプラグ
の各々に点火コイルが直接接続され、点火コイルで発生
した高電圧をスパークプラグに分配供給するためのディ
ストリビータを必要としない内燃機関用点火装置が開示
されている。 この従来技術によれば、点火コイルを収納した点火コ
イルケースをボルトによりエンジンブロックに固定し、
点火コイルの１次巻線を巻回した樹脂製の１次点火スプ
ールの下端突出部に高圧金具を設け、該高圧金具を介し
て各気筒に取り付けたスパークプラグと点火コイルを直
接接続し、スパークプラグと点火コイルの結合部に合成
ゴム製のプラグキャップを被せて高電圧のリークを防止
し、下端突出部の外周にはプラグキャップの抜け止め防
止用の突起を一体成型した構造となっている。 （発明が解決しようとする問題点） 上記した従来の点火装置では、点火コイルとスパーク
プラグを各々、別個にエンジンに組み付けなければなら
ず、またスパークプラグと点火コイルの結合部にはプラ
グキャップを装着するなど、組付け作業が煩雑であり、
プラグキャップを必要とする結合部の構造は装置を小型
化するうえで障害となっていた。 （問題点を解決するための手段） 本発明は上記問題点に鑑み、組付作業が容易で、点火
コイルとスパークプラグの高圧接続部の信頼性にも優
れ、かつ小型の内燃機関用点火装置を提供することを目
的とする。 本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手
段を採用する。 すなわち、本発明では、点火コイル収納ケース（11）
と、この点火コイル収納ケース（11）に一体に結合され
たスパークプラグケース部材（31）とを有し、 前記点火コイル収納ケース（11）内には、点火コイル
部（12〜16、20）が収納されているとともに、前記点火
コイル部（12〜16、20）のうち、２次巻線（16）および
出力端子（20）周囲の空間に絶縁材（17）が注入されて
おり、 前記スパークプラグケース部材（31）内にはインシュ
レータ（35′）が装着されており、 前記インシュレータ（35′）には中心電極（36′）が
貫装されており、 前記インシュレータ（35′）には前記出力端子（20）
に対向する端部に凹陥部（35′ａ）が形成され、 前記凹陥部（35′ａ）には、前記凹陥部（35′ａ）の
内部の側壁とは隙間を介して中継電極（40）が挿入さ
れ、 前記中心電極（36）と前記出力端子（20）との間が前
記中継電極（40）と弾性部材（41）とにより電気接続さ
れており、 前記点火コイル収納ケース（11）と前記スパークプラ
グケース部材（31）との間に前記凹陥部（35′ａ）と前
記中継電極（40）と前記弾性部材（41）とを収容する収
容空間（19）が区画されており、 この収容空間（19）に絶縁材（38）が注入されてお
り、この絶縁材（38）中に前記凹陥部（35′ａ）と前記
中継電極（40）と前記弾性部材（41）とが埋設されてい
ることを特徴とする内燃機関用点火装置を特徴としてい
る。 なお、上記各手段の符号は、後述する実施例記載の具
体的手段との対応関係を示す。 （作用） 上記構成によれば、点火コイルとスパークプラグが完
全一体化され、弾性部材の収容空間に注入した絶縁体に
よりスパークプラグと点火コイルとの高圧接続部の絶縁
性が確保される。 また、インシュレータ端部には凹陥部が設けられ、凹
陥部の内部にその側壁と隙間を介して高圧接続部が挿入
されている。そのため、高圧接続部とスパークプラグと
のインシュレータに沿った沿面距離は、凹陥部の内壁と
インシュレータの外壁に沿ったものとなり、距離が大き
くなるので、絶縁性を一層向上させることができる。 （実施例） 以下に本発明の実施例を図面に従って詳述する。第１
図は本発明の第１実施例を示す断面図である。第１図に
おいて、全体を参照番号10で示す点火コイル部は合成樹
脂製の点火コイル収納ケース11を備え、この点火コイル
収納ケース11内には周知のように、コア12に冠着したス
プール13に巻回した１次巻線14と、１次巻線の外側に遊
冠したスプール15に巻回した２次巻線16が収納され、残
余の空間には絶縁材として、液状の合成樹脂17を注入し
固化させてある。点火コイル収納ケース11の底面には小
孔18が貫設され、この小孔18を囲むようにして筒部19が
一体成型により垂設されている。そして、スプール15の
下端に設けた点火コイルの出力端子20が小孔18内に突出
している。前記筒部19には金属性の第１フランジ21が嵌
着されている。この第１フランジ21は点火コイル収納ケ
ースの底面に一体成型により固着されている。また第１
フランジ21は筒部19によりも長く、筒部19の先端から伸
張する先端筒部22を有し、該先端筒部22の内周面には雌
ねじ23が刻設されている。ここで、本例では、上記筒部
19により、後述するスプリング37を収容する収容空間を
区画している。 次に、全体を参照番号30で示すスパークプラグ部が上
記点火コイル部10に一体的に取り付けられている。スパ
ークプラグ部30は金属性の筒状第２フランジ31を備えて
おり、該第２フランジ31はスパークプラグケース部材を
構成する。該第２フランジの上部外周には前記雌ねじ23
に螺合する雄ねじ32が刻設されており、前記第１フラン
ジに螺着した後、かしめて固定されている。また下部外
周にはエンジンボデイのプラグ取付孔に刻設された雌ね
じに螺合する雄ねじ33が刻設され、下端には外側電極34
が形成されている。第２フランジ31にはインシュレータ
35が嵌着され、インシュレータ35の上端は筒部19内に突
出している。更にインシュレータ35には中心電極36が貫
装されている。中心電極36の下端は前記外側電極に近接
して対向し、上端はスプリング37を介して出力端子20に
接続されている。中心電極36の上端、スプリング37及び
出力端子20が配設される筒部19の内部空間には絶縁材と
して、液状の合成樹脂38を注入し固化させてある。この
合成樹脂38には例えば絶縁性に優れたシリコン樹脂を使
うと良い。尚、39はエンジンボディを模式的に図示した
ものである。 次に第２図に第１実施例の外観を示す。点火コイル収
納ケース11の上面には電源と接続するためのコネクタ部
24及びエンジンボディ39に組付けるとき、レンチ棒を挿
入するための嵌合孔25,26が形成されている。 本実施例は以上の構成よりなり、第１フランジに第２
フランジを螺着して、点火コイル部10とスパークプラグ
部30を一体的に結合しているので、嵌合孔25,26にレン
チ棒を差し込み、スパークプラグ部30をエンジンボディ
のプラグ取付孔に締着すれば、同時に点火プラグ部10も
組付けら、従来のようにスパークプラグと点火コイルを
別々に組付ける必要がない。 また、点火コイルの出力端子20と中心電極36の接続部
となる筒部19に、液状の合成樹脂を絶縁材として注入
し、固化させているので、インシュレータ35の表面や筒
部19の内周面に空気が残留することなく、隅々にまで合
成樹脂が充填され、電気的絶縁性が確保される。そのた
め、絶縁空間が狭くて済み、装置の小型化が可能とな
る。 次に本発明の第２実施例を第３図に示す。 本実施例では第２フランジ31に嵌着したインシュレータ
35′の、出力端子20に対向する端部に凹陥部35′ａを形
成している。そしてインシュレータ35′に貫装させた中
心電極36′の上端を凹陥部35′ａの底面に露出され、凹
陥部35′ａに、該凹陥部35′ａの内径に比べ細径の中継
電極40を凹陥部35′ａの内部の側壁と隙間を介して挿入
し、この中継電極40及びスプリング41を介して出力端子
20と中心電極36′を接続している。そして第４図に示す
ように、第２フランジ31にインシュレータ35′と中心電
極36′と中継電極40を組付けた状態で、凹陥部35′ａ内
に液状の合成樹脂を注入、固化させ、ついで筒部19にも
液状の合成樹脂を注入して、第２フランジ31を第１フラ
ンジ22に締着する。本実施例の他の構成は第１実施例と
同じであるので、同一の構成要素にはど同一の符号を付
して説明を省略する。 本実施例によれば、凹陥部35′ａを設け、ここに細径
の中継電極を配設したので、中心電極36′と第１フラン
ジ22及び第２フランジ31間の沿面距離を大きくとること
ができ、点火コイル部30とスパークプラグ部10の高圧接
続部における絶縁性を一層、向上させることができる。 尚、上述した第１及び第２実施例では、点火コイル収
納ケース11の上面にコネクタ部24及び組付け用の嵌合孔
25,26を形成したが、第５図ないし第８図に示す第３実
施例では、これに代えて、六角ナット状の金属製組付け
部50を設け、その中心孔51内にコネクタ部24′を配置し
た。この組付け部50は、内部に中心孔51と、これに連設
した嵌合段部53が形成され、底面にはＵ字溝54と切欠部
55が刻設されている。 一方、コネクタ部24′は断面コ字形の絶縁物よりなる
コネクタボディ56と、これに植立したコネクタピン57か
らなる。そしてコネクタボディ56を組付け部50の嵌合段
部53に嵌着した後、切欠部55を鉄心コア12に嵌め込、組
付け部50の中心軸線と前記スパークプラグ部30の中心軸
線とが一致するように位置決めし、ついで溶着すること
により組付け部50を鉄心コア12に固定する。点火コイル
の１次巻線14とコネクタピン57は、Ｕ字溝54にリード線
58を通して接続する。また鉄心コア12に組付け部を固着
したあと合成樹脂17をポッティングしてる。 本実施例によれば、六角穴レンチを使って点火装置を
エンジンボデイ組み付けることができるので、組付け作
業が一層、容易になり、またコネクタ部の配線を簡便に
できる。 （発明の効果） 本発明によれば、点火コイルとスパークプラグが完全
一体化できるので、エンジンボデイに組付ける作業が簡
単になり、作業効率が向上する。 また点火コイルとスパークプラグの高圧接続部には、
絶縁材を注入、固化させているので、残留空気による絶
縁性の劣化もなく、狭い絶縁空間で絶縁性が確保でき、
装置の小型化が可能となる。 さらに、インシュレータ端部には凹陥部が設けられ、
凹陥部の内部にその側壁と隙間を介して高圧接続部が挿
入されている。そのため、高圧接続部とスパークプラグ
とのインシュレータに沿った沿面距離は、凹陥部の内壁
とインシュレータの外壁に沿ったものとなり、距離が大
きくなるので、絶縁性を一層向上させることができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の第１実施例を示す断面図、第２図は第
１実施例の外観を示す全体斜視図、第３図は本発明の第
２実施例を示す断面図、第４図は第２実施例の要部断面
図、第５図と第６図は第３実施例の点火コイル収納ケー
ス上部を示す斜視図と断面図、第７図は第３実施例の組
付け部の断面図、第８図は第３実施例のコネクタ部の断
面図である。 11……点火コイル収納ケース、18……小孔、19……筒
部、21……第１フランジ、22……先端筒部、31……第２
フランジ、33……雄ねじ、34……外側電極、35,35′…
…インシュレータ、36,36′……中心電極、37……（弾
性部材たる）スプリング、38……合成樹脂

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝田 浩幸 刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電装株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−5984（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−279273（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−104521（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F02P 13/00 303 F02P 7/03

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．点火コイル収納ケース（11）と、この点火コイル収
   納ケース（11）に一体に結合されたスパークプラグケー
   ス部材（31）とを有し、 前記点火コイル収納ケース（11）内には、点火コイル部
   （12〜16、20）が収納されているとともに、前記点火コ
   イル部（12〜16、20）のうち、２次巻線（16）および出
   力端子（20）周囲の空間に絶縁材（17）が注入されてお
   り、 前記スパークプラグケース部材（31）内にはインシュレ
   ータ（35′）が装着されており、 前記インシュレータ（35′）には中心電極（36′）が貫
   装されており、前記インシュレータ（35′）には前記出
   力端子（20）に対向する端部に凹陥部（35′ａ）が形成
   され、 前記凹陥部（35′ａ）には、前記凹陥部（35′ａ）内部
   の側壁とは隙間を介して中継電極（40）が挿入され、 前記中心電極（36）と前記出力端子（20）との間が前記
   中継電極（40）と弾性部材（41）とにより電気接続され
   ており、 前記点火コイル収納ケース（11）と前記スパークプラグ
   ケース部材（31）との間に前記凹陥部（35′ａ）と前記
   中継電極（40）と前記弾性部材（41）とを収容する収容
   空間（19）が区画されており、 この収容空間（19）に絶縁材（38）が注入されており、
   この絶縁材（38）中に前記凹陥部（35′ａ）と前記中継
   電極（40）と前記弾性部材（41）とが埋設されているこ
   とを特徴とする内燃機関用点火装置。 ２．前記点火コイル収納ケース（11）と前記スパークプ
   ラグケース部材（31）が、ねじの螺合構造により結合さ
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   内燃機関用点火装置。 ３．前記凹陥部（35′ａ）と前記中継電極（40）と前記
   弾性部材（41）とを収容する収容空間が、前記点火コイ
   ル収納ケース（11）に一体成形された筒部（19）により
   区画されていることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   または第２項記載の内燃機関用点火装置。 ４．前記点火コイル収納ケース（11）の前記スパークプ
   ラグケース部材（31）と反対側の端面には、内燃機関へ
   の取付け用工具の挿入穴（25、26）が形成されているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項から第３項のいず
   れか１つに記載の内燃機関用点火装置。 ５．前記点火コイル収納ケース（11）の前記スパークプ
   ラグケース部材（31）と反対側の端面には、内燃機関へ
   の取付け用工具の嵌合突起（50）が形成されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項から第３項のいずれ
   か１つに記載の内燃機関用点火装置。