JP2002021696A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

Info

Publication number
JP2002021696A
JP2002021696A JP2000201557A JP2000201557A JP2002021696A JP 2002021696 A JP2002021696 A JP 2002021696A JP 2000201557 A JP2000201557 A JP 2000201557A JP 2000201557 A JP2000201557 A JP 2000201557A JP 2002021696 A JP2002021696 A JP 2002021696A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ignition
discharge
internal combustion
combustion engine
insulator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000201557A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Suzuki
隆博 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2000201557A priority Critical patent/JP2002021696A/ja
Publication of JP2002021696A publication Critical patent/JP2002021696A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 点火プラグ部と点火コイル部とをケーシング
部を介して直接一体化した点火装置において、主体金具
の加締め部と絶縁体の外周部との間にて発生するコロナ
放電を有効に抑制することが可能な内燃機関用点火装置
を提供する。 【解決手段】 点火コイル部70を内部に収容するケー
シング部71が、点火プラグ部40の主体金具44の加
締め部44bを内部に収容する形で、点火プラグ部40
の主体金具44に対して直接一体化されている。そし
て、このような構造を図った内燃機関用点火装置1で
は、ケーシング部71の内部にて、少なくとも主体金具
44の加締め部44bの後端部44dと、絶縁体42の
内でこの加締め部44bの後端部44dと対向する外周
部との間に形成される隙間を埋めるように、絶縁性材料
(シリコンゴム)77が充填されてなる。これにより、
主体金具44の加締め部44bと絶縁体42の外周部と
の間に形成される隙間に気体が介在することがなくな
り、コロナ放電の発生を有効に抑制ないし防止すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火コイル部にて
発生する放電用高電圧を点火プラグ部に供給すること
で、点火プラグ部にて火花放電を発生させる内燃機関用
点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジン等の内燃機関に装着され
る点火プラグ部に対して、放電用高電圧を点火コイル部
から供給することで、点火プラグ部にて火花放電を発生
させる内燃機関用点火装置が知られている。ところで、
近年、自動車の高性能化に伴いエンジンルーム内に多く
の部品(電装品)が収容される関係上、内燃機関の設置
スペースの縮小化が求められている。そのため従来のよ
うに、点火プラグ部と点火コイル部とを各々別体にした
形態で内燃機関に取付け、両者の導通をハイテンション
コードやディストリビュータ等にて図る方式では、エン
ジンルーム内のスペース確保の妨げとなってしまう。
【0003】そこで、内燃機関に装着される個々の点火
プラグ部に対し、一対一に対応する形で点火コイル部を
ダイレクトに接続する点火装置が提案されている。そし
て、この種の点火装置の中でも、シリンダーヘッドのプ
ラグホール内に収容できるような形態に形成されたケー
シング部の内部に点火コイル部を収容させ、このケーシ
ング部を点火プラグ部に直接一体化させた点火装置が提
案されている(例えば、特開昭58−5984号や特開
平8−236261号など)。このような点火装置によ
れば、プラグホール内のスペースを有効活用することが
でき、ひいてはエンジンルーム内のスペースを有効に確
保することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した公報技術のよ
うに、点火コイル部を収容したケーシング部が点火プラ
グ部に直接一体化された構造の点火装置では、点火コイ
ル部から点火プラグ部に放電用高電圧を供給する際に放
電用高電圧が点火プラグ部の主体金具にリークするのを
抑制すべく、ケーシング部の内部に絶縁性材料が充填
(注入)される。つまり、ケーシング部の内部に絶縁性
材料を注入することで、点火コイル部と点火プラグ部と
の間の絶縁性を高めるのである。
【0005】ところで、点火プラグ部の構造を詳細にみ
ると、主体金具の後端部周縁を、中心電極を保持する絶
縁体の外周部に向けて加締めることにより、絶縁体を保
持する構造が一般的に採用されている。但し、このよう
な構造の点火プラグ部では、主体金具の加締め部近傍に
おいてコロナ放電が発生することがある。このコロナ放
電が発生する要因としては、点火プラグ部に供給される
放電用高電圧が、主体金具と中心電極との間にもかかる
ために、主体金具の加締め部と絶縁体の内でこの加締め
部の後端部と対向する外周部との間に形成される隙間に
存在する気体が絶縁破壊するものと考えられる。なお、
このように主体金具の加締め部と絶縁体の外周部との間
に隙間を形成するのは、主体金具の後端部周縁を絶縁体
の外周部に向けて加締めた時に、加締め部の後端部が絶
縁体の外周部に接触することで、クラックを生じさせな
いようにするため等が挙げられる。
【0006】それより、点火コイル部を収容したケーシ
ング部が点火プラグ部に直接一体化された点火装置で
は、上述したようにケーシング部の内部に絶縁性材料が
充填されていたとしても、みかけ上の充填だけでは実使
用時に主体金具の加締め部と絶縁体の外周部との間にて
コロナ放電が発生することが考えられる。そして、この
コロナ放電が発生すると、加締め部近傍に位置する絶縁
性材料が劣化し易く、長期にわたり点火コイル部と点火
プラグ部との間の絶縁性を維持できなくなる。
【0007】そこで、本発明では、点火プラグ部と点火
コイル部とをケーシング部を介して直接一体化した点火
装置において、主体金具の加締め部と絶縁体の外周部と
の間にて発生するコロナ放電を有効に抑制することが可
能な内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】上記の
課題を解決するために為された本発明の内燃機関用点火
装置は、軸方向に貫通孔が形成された絶縁体と、絶縁体
の貫通孔の先端側に配置される中心電極と、絶縁体の径
方向周囲を取り囲むとともに、自身の後端部周縁が当該
絶縁体の外周部に向けて加締められて加締め部を形成し
てなる主体金具と、中心電極と火花放電ギャップを隔て
て対向する1又は複数の接地電極とを有する点火プラグ
部と、コイルコアの周囲に巻装される一次巻線、及び二
次巻線を有し、点火プラグ部に放電用高電圧を供給する
点火コイル部と、点火コイル部を内部に収容するケーシ
ング部とを備え、ケーシング部は、自身の内部に主体金
具の加締め部が位置するように当該主体金具と軸方向に
対して回転不能に一体化されており、そのケーシングの
内部において、少なくとも加締め部の後端部と、絶縁体
のうち当該加締部の後端部と対向する外周部との間に形
成される隙間を埋めるように絶縁性材料が充填されてい
ることを特徴とする。
【0009】かかる構成では、点火コイル部を内部に収
容するケーシング部が、点火プラグ部の主体金具の加締
め部を内部に収容する形で、点火プラグ部に対して直接
一体化されている。そして、このような構造を図った上
で、ケーシング部の内部にて、少なくとも主体金具の加
締め部の後端部と、絶縁体のうちこの加締め部の後端部
と対向する外周部との間に形成される隙間を埋めるよう
に絶縁性材料が充填されている点が注目すべき点であ
る。
【0010】このように、主体金具の加締め部と絶縁体
の外周部との間に形成される隙間を埋めるようにして、
絶縁性材料をケーシング部の内部に充填させることによ
り、主体金具の加締め部と絶縁体の外周部との間に形成
される隙間に気体が介在することがなくなり、コロナ放
電の発生を有効に抑制ないし防止することができる。そ
の結果、ケーシング部の内部に充填される絶縁性材料
は、コロナ放電により劣化することがなく、点火コイル
部と点火プラグ部との間の絶縁性は長期にわたって維持
され、信頼性の高い点火コイル部と点火プラグ部とを直
接一体化した構造の内燃機関用点火装置を提供すること
ができる。
【0011】なお、上記絶縁性材料としては、絶縁耐力
が大きく、電離し難い材料であれば特には限定されない
が、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂といった
絶縁性樹脂材料や、シリコンゴムといった絶縁性ゴム材
等が挙げられ、その中でも耐熱性に優れるシリコン樹
脂、シリコンゴムが好ましい。
【0012】また、点火プラグ部と点火コイル部との電
気的な接続については、絶縁体の貫通孔の後端側に設け
られるとともに、中心電極と電気的に接続する端子電極
に対し、点火コイル部に設けらる出力端子を接続するこ
とにより行うことができる。なお、端子電極と出力端子
との具体的な接続については、出力端子をバネ状に形成
し、その出力端子を端子電極(端子電極の頭部)に対し
て圧接させてもよく、また出力端子と端子電極との両者
をロー付、溶接、加締めといった手法にて固着させるよ
うにしてもよい。
【0013】とりわけ、出力端子と端子電極とを固着さ
せて両者の電気的接続を図った際には、内燃機関の運転
状態や路面状況(路面の凹凸)等により内燃機関に振動
が及ぶことがあっても、出力端子と端子電極とが離れ、
再度接触するといった接触不良を生じることがない。そ
の結果、内燃機関の振動時にも、点火コイル部にて発生
する放電用高電圧を確実に点火プラグ部に供給すること
ができ、正常な火花放電を確実に発生させることができ
る。
【0014】ついで、本発明の内燃機関用点火装置は、
点火コイル部にて発生する放電用高電圧とは逆極性の検
出用高電圧を、点火コイル部の二次巻線を介して点火プ
ラグ部に供給する検出用高電圧発生手段と、その検出用
電圧の供給により、点火プラグ部の火花放電ギャップを
流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段とを組
み合せることによって、より効果を発揮することにな
る。
【0015】内燃機関においては、点火プラグによる火
花放電により混合気が燃焼すると、その燃焼に伴ってイ
オンが発生することから、火花放電後に火花放電ギャッ
プに電圧(検出用高電圧)を印加すると、イオン電流が
流れる。そして、イオンの発生量は混合気の燃焼状態に
よって変化することから、混合への点火を行うための点
火装置に対してイオン電流検出手段を付加することでイ
オン電流を検出し、さらに解析処理を行うことにより内
燃機関の失火やノッキング等の燃焼状態を検出すること
ができるのである。
【0016】ところで、このイオン電流は、上述したよ
うに点火プラグ部による火花放電後に、検出用高電圧を
この点火プラグ部に印加することにより流れるものであ
るが、点火プラグ部に供給される検出用高電圧は、主体
金具と中心電極との間にもかかることになる。そのため
に、点火プラグ部にて主体金具の加締め部と絶縁体の外
周部との間に隙間が存在すると、上記放電用高電圧の印
加時と同様に、検出用高電圧の印加時にコロナ放電が発
生することがある。そして、イオン電流検出時にこのコ
ロナ放電が発生すると、図8に模式的に示すように、イ
オン電流波形にノイズが重畳して、イオン電流の検出精
度を低下させるおそれがある。
【0017】これに対して本発明の内燃機関用点火装置
では、上述したように、ケーシング部の内部にて、少な
くとも主体金具の加締め部の後端部と、絶縁体のうちこ
の加締め部の後端部と対向する外周部との間に形成され
る隙間を埋めるように絶縁性材料が充填されることによ
り、コロナ放電の発生を有効に抑制してなるものであ
る。つまり、コロナ放電の発生を防止した本発明の点火
装置に対してイオン電流検出手段を付加することによ
り、イオン電流波形にコロナ放電によるノイズが重畳す
ることを有効に抑制することができるのである。したが
って、イオン電流の検出精度を向上させることができ、
イオン電流波形を用いてのノッキングや失火といった燃
焼状態の検出を精度良く行うことが可能となる。
【0018】さらに、本発明の内燃機関用点火装置は、
点火コイル部からの放電用高電圧の供給により、点火プ
ラグ部の火花放電ギャップを流れる放電電流を検出する
放電電流検出手段と組み合せることによっても効果を発
揮することができる。
【0019】ところで、点火プラグ部にあっては、気筒
内に濃混合気が誘導された場合に、燃料の霧化が十分で
ない等の要因から燃料が完全燃焼されずにカーボンを発
生し、このカーボンが絶縁体の外周部に付着(堆積)す
る、所謂“くすぶり”を生じることがある。そして、絶
縁体の外周部におけるカーボンの付着量が多くなると、
換言すればくすぶりの度合がひどくなると、点火プラグ
部の電極間の絶縁抵抗が低下し、点火コイル部から放電
用高電圧が印加されると、カーボンを介してリーク電流
(漏洩電流)が流れ、失火を招いてしまう。
【0020】点火プラグ部による火花放電には、正規の
火花放電ギャップにて発生する火花放電する(以下、
「正常放電」という)場合と、図9を援用して示すよう
に、絶縁体42の外周部に付着しているカーボンCを導
通して(放電経路として)、カーボンCの端部と主体金
具44の内周面との間で火花放電する、所謂“奥飛び”
が発生する場合とが考えられている。そして、この奥飛
びが発生しうる状態は、点火プラグの電極間が短絡する
前の状態にあるくすぶりを表すことになる。
【0021】ここで、この奥飛び時は、その放電経路と
して絶縁体の外周部に付着した比較的抵抗の大きなカー
ボンを通過する。そのために、奥飛び時に流れる放電電
流(二次電流)については、正常放電時のそれと比較し
て電流値が異なるものとなる。それより、点火コイル部
からの放電用高電圧印加時の放電電流をモニタすること
で、正常放電が発生したか奥飛びが発生したかを検知す
ることができる。そして、上記奥飛びは、上述したよう
に点火プラグ部のくすぶりが進行する前の段階にて発生
するものであることから、奥飛びを検出することで点火
プラグ部の電極間がカーボンの付着により短絡される前
のくすぶりの状態を検出することが可能となる。
【0022】そして、本発明の内燃機関用点火装置で
は、上述したようにケーシング部の内部にて、少なくと
も主体金具の加締め部の後端部と、絶縁体のうちこの加
締め部の後端部と対向する外周部との間に形成される隙
間を埋めるように絶縁性材料が充填されており、コロナ
放電の発生を有効に抑制してなるものである。つまり、
コロナ放電の発生を防止した本発明の点火装置に対して
放電電流検出手段を付加することで、放電電流波形にコ
ロナ放電によるノイズが重畳することを有効に抑制する
ことができる。したがって、放電電流の検出精度を向上
させることができ、放電電流に基づいて奥飛びの発生
を、ひいては点火プラグ部の電極間が短絡されるよりも
前の状態にあるくすぶりを精度良く検出することが可能
となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面と
共に説明する。図1は、本実施形態の内燃機関用点火装
置1の構成を表す電気回路図である。図1に示すよう
に、内燃機関の各気筒毎に取付けられる内燃機関用点火
装置1は、電源供給する電源装置(バッテリ)BTと接
続され、外部からの点火信号IGにしたがって点火プラ
グ部40に火花放電を発生させるものである。また、こ
の内燃機関点火装置1には、火花放電後に点火プラグ部
40の火花放電ギャップ近傍に発生するイオンを、イオ
ン電流Iioとして検出するためのイオン電流検出部1
3が付加されている。さらに、内燃機関用点火装置1に
点火信号IGを出力する内燃機関制御用の電子制御装置
(以下、ECUという)15と、イオン電流検出部13
の出力をAD変換してECU15の入力に適した信号と
する変換回路17とが接続されている。なお、ECU1
5以外の構成は、内燃機関の各気筒毎に設けられるもの
であるが、ここでは、図面を見易くするために1気筒分
のみを表している。
【0024】また、内燃機関用点火装置1の詳細な構成
は後述するが、内燃機関の各気筒(図では1気筒のみを
表す)毎に設けられる点火プラグ部40と、点火プラグ
部40に放電用高電圧を印加する点火コイル部70とを
備えてなる。そして、点火コイル部70の一次巻線L1
は、一端に電源電圧Vbが印加され、他端が点火信号I
Gに応じてスイッチング駆動されるパワートランジスタ
25を介して接地されている。また、点火コイル部70
の二次巻線L2は、一端が点火プラグ部40の中心電極
41に電気的に接続され、他端がイオン電流検出部13
に電気的に接続されている。さらに、この内燃機関用点
火装置1には、一端が二次巻線L2に接続(詳細には、
後述するツェナーダイオード34を介して二次巻線L2
に接続)され、他端が接地された放電電流検出抵抗35
が付加されており、放電電流検出抵抗35における二次
巻線L2との接続端の電位VrがECU15に入力され
るようになっている。
【0025】このように構成された内燃機関用点火装置
1は、点火信号IGがハイレベルであるときにパワート
ランジスタ25がオン状態とされ、点火コイル23の一
次巻線L1に電流(一次電流)i1が流れる。その後、
点火信号IGがローレベルになり、パワートランジスタ
25がターンオフすると、点火コイル23の二次巻線L
2に放電用高電圧が発生して、この放電用高電圧が出力
端子(図示せず)、点火プラグ部40の端子電極(図示
せず)を通して中心電極41に供給され、火花放電ギャ
ップにて火花放電が発生する。なお、火花放電時に点火
プラグ部40の中心電極41は負極性となるようにされ
ており、従って、この火花放電により流れる放電電流
(二次電流)i2は、点火プラグ部40から二次巻線L
2に向けて流れる。
【0026】ここで、本実施形態の内燃機関用点火装置
1では、点火コイル部70がケーシング部71の内部に
収容されており、このケーシング部71が点火プラグ部
40と軸O方向に対して回転不能に一体化されている。
この構造については、本実施例の内燃機関用点火装置1
の全体構成を示した図2の部分破断断面図を用いて詳細
に説明する。
【0027】まず、本実施形態の内燃機関用点火装置1
を構成する点火プラグ部40については、図2及び図3
に示すように、軸状の中心電極41と、この径方向周囲
を取り囲む絶縁体42と、この絶縁体42を保持する主
体金具44とから構成される。絶縁体42は耐電圧特
性、耐熱性等に優れるアルミナ、或いは窒化アルミニウ
ム等を主体に形成されており、自身の先端部及び後端部
が主体金具44から突出した状態で、主体金具44に保
持されている。主体金具44は例えば炭素鋼からなり、
先端側に接地電極43の一端43aが溶接により結合さ
れている。そして、接地電極43の他端側が、中心電極
41の先端面に向かって延び、火花放電ギャップgを隔
てて中心電極41と対向している。なお、本明細書で
は、軸O方向において、火花放電ギャップgの形成され
る側を前方側(先端側)、これと反対側を後方側(後端
側)として説明する。
【0028】絶縁体42には、自身の軸O方向に貫通孔
46が形成されている。そして、絶縁体42の貫通孔4
6の後方側に端子電極47が挿入・固定され、同じく先
端側に中心電極41が挿入・固定されている。また、こ
の貫通孔46において端子電極47と中心電極41との
間には、セラミック抵抗体48が配置されている。この
セラミック抵抗体48の両端部は、導電性ガラスシール
層49、50を介して中心電極41と端子電極47にそ
れぞれ電気的に接続されている。なお、このセラミック
抵抗体48を省略し、一層の導電性ガラスシール層によ
り中心電極41と端子電極47とを一体化した構成とし
てもよい。
【0029】さらに、絶縁体42は、図3に示すように
絶縁体42の軸O方向略中間には、周方向外向きに突出
する突出部42eが形成されている。そして、絶縁体4
2には、突出部42eよりも後方側がこれよりも小径に
形成された本体部42bとされている。一方、突出部4
2eの前方側には、これよりも小径の中胴部42gと、
中胴部42gよりも小径の脚長部42iが隣接して形成
されている。なお、本体部42bの外周部には釉薬42
dが施され、当該外周部の後方側にはコルゲーション4
2cが形成されている。絶縁体42の軸Oの方向におい
て最も前方側に位置する脚長部42iは、先端に向かう
ほど縮径する略円錐状とされている。
【0030】ついで、絶縁体42の貫通孔46は中心電
極41を挿通させる略円筒状の第一部分46aと、その
第一部分46aの後方側においてこれよりも大径に形成
される略円筒状の第二部分46bとを有する。図3に示
すように、端子電極47とセラミック抵抗体48は第二
部分46b内に収容され、中心電極41は第一部分46
a内に挿通される。中心電極41の後端部には、その外
周部から外向きに突出して凸状部41bが形成されてい
る。そして、この貫通孔46の第一部分46aと第二部
分46bとは、中胴部42g内において互いに接続し、
その接続位置には中心電極41の凸状部41bを受ける
ための凸部受け面46cがテーパ面、或いはR面状に形
成されている。
【0031】また、中胴部42gと脚長部42iとの接
続部42hの外周面は段付面状とされ、この面が主体金
具44の内周面に内向きに突出して形成された金具側係
合部44cに対し、環状の板パッキン51を介して係合
することで、絶縁体42の軸O方向前方側への抜き止め
がなされている。他方、主体金具44の内周面後方側と
絶縁体42の外周部との間には、突出部42eの後方側
と係合する環状の線パッキン52、滑石粉末53等が配
置されている。そして、絶縁体42を主体金具44に向
けて前方側に押し込み、その状態で主体金具44の後端
部周縁を絶縁体42の外周部に向けて加締めることによ
り、加締め部44bが形成され、絶縁体42が主体金具
44に対して保持される。なお、本実施例の内燃機関用
点火装置1では、主体金具44の外周部にシリンダーヘ
ッドSHにねじ込み固定するためのネジ部(雄ネジ部)
が形成されておらず、シリンダーヘッドSHには後述す
るケーシング部71に設けられる固定部78により固定
されることになる。
【0032】ついで、本実施形態の内燃機関用点火装置
1を構成する点火コイル部70について、図2を用いて
説明する。図2に示すように、点火コイル部70は、金
属製のケーシング部71の内部に、コイルコア72と、
一次巻線L1及び二次巻線L2と、二次巻線L2にて発
生する放電用高電圧を点火プラグ部40の端子電極47
に供給するための出力端子73が収容された形態で構成
されている。コイルコア72の周囲には二次巻線L2が
巻かれた二次ボビンが配置され、更に二次ボビンの周囲
には一次巻線L1が巻かれた一次ボビンが同心状に配置
されている。このとき、二次巻線L2を一次巻線L1よ
りも内側に配置させることで、放電用高電圧を発生させ
る二次巻線L2とシリンダーヘッドSHとの間の絶縁距
離を確保している。なお、一次ボビン及び二次ボビンは
絶縁性樹脂(例えば、ノリル等)にて形成されている。
【0033】二次巻線L2から延長されたリード線から
なる出力端子73は、点火プラグ部40の端子電極47
に対しロー付により固着され、電気的な接続を図ってい
る。なお、この出力端子73は、導電材を用いて構成さ
れていればよく、リード線に限らず、例えば導電材から
なるバネ状のものや、それらを絶縁材にて被覆したもの
であってもよい。また、出力端子73と端子電極47と
の固着については、端子電極47の頭部(図中上方)に
平板状の金属プレートを接合した形態で設け、この金属
プレートに対して出力端子73を固着させるようにして
もよく、或いは端子電極47の外周部に金や銀などの導
電性の高い金属によるメッキを施し、この端子電極47
に対して出力端子73を固着させるようにしてもよい。
【0034】ついで、点火コイル部70を内部に収容す
るとともに、点火プラグ部40の主体金具44と軸O方
向に回転不能に一体化されるケーシング部71について
は、図2に示すように、軸O方向に隣接配置される前方
側の第1ケーシング部材71aと後方側の第2ケーシン
グ部材71bを含む二重構造を呈している。
【0035】第1ケーシング部材71aは、レーザ溶接
により点火プラグ部40の主体金具44に接合して一体
化されている。このとき、第1ケーシング部材71a
は、自身の内部に主体金具44の加締め部44bが位置
するように接合される。また、この第1ケーシング部材
71aには、内外部を貫通する注入穴76が設けられて
いる。この注入穴76は、後述する第2ケーシング部材
71bと第1ケーシング部材71aとを一体化した後、
第1ケーシング部材71a(ケーシング部71)の内部
に絶縁性材料77を充填(注入)するための注入口とし
て用いられる。
【0036】一方、第2ケーシング部材71bは、レー
ザ溶接により第1ケーシング部材71aの後端側に接合
して一体化されている。なお、第1ケーシング部材71
aと主体金具44との接合手段、及び第1ケーシング部
材71aと第2ケーシング部材71bとの接合手段につ
いては、レーザ溶接に限定されることなく、環状抵抗溶
接、電子ビーム溶接などを用いてもよい。
【0037】第2ケーシング部材71bの所定部位に
は、シリンダーヘッドSHに着脱自在に取付け可能な固
定部78が形成されている。図4に示すように、この固
定部78は、第2ケーシング部材71bの外周部(外周
側面)から等間隔にて複数個(本実施形態では3個)外
向きに突出した形態で設けられている。なお、各々の固
定部78は、第1板面78aと第2板面78bとを有
し、両者は一体に構成されている。第1板面78aにつ
いては、シリンダーヘッドSHに予め設けられた断面形
状が略L字型である複数個(本実施例では3個)の取付
け部90に嵌合される部分にあたる。また第2板面は、
第1板面78aに対して略垂直に立設しており、第一板
面78aによるシリンダーヘッドSHの取付け部90へ
の嵌合時に、取付け部90に当接して第一板面78aの
移動を制限する役目を果たす。
【0038】さらに、第1板面78aのうち、第2板面
78bが立設される側の略半分に位置する板面78cに
ついては、他方の略半分の板面との境界部分を境にして
僅かに図中上方向に反った形態で構成され、第1板面7
8aがシリンダーヘッドSHの取付け部90に嵌合され
る際に、シリンダーヘッドSHに対して押圧作用を発揮
する弾性部分として機能する。なお、この固定部78に
よる内燃機関用点火装置1のシリンダーヘッドSHへの
取付けについては後述する。
【0039】図2に戻り、第2ケーシング部材71bの
後方側(図中上方)には、電源装置BTやECU15等
の外部機器や、イオン電流検出部13と接続するための
コネクタ部81、及び点火ユニット82が備えられてい
る。点火ユニット82には、図1にて示すパワートラン
ジスタ25等が内蔵されている。なお、この点火ユニッ
ト82はコネクタ部81に接続されると共に、点火コイ
ル部70の一次巻線L1の両端、及び二次巻線L2の一
端に電気的に接続されている。
【0040】ついで、本実施形態にかかる点火プラグ部
40と点火コイル部70とを一体化させることについて
説明する。まず、自身の内部に、コイルコア72に巻装
された一次巻線L1及び二次巻線L2、出力端子73と
を収容するとともに、それらを絶縁性樹脂であるエポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂(図示せず)によりモールドさ
せた形態の第2ケーシング部材71bを準備する。この
とき、出力端子73の一部は、点火プラグ部40の端子
電極47との接続を図るために、エポキシ樹脂によりモ
ールドせずに露出させた状態にしておく。なお、第2ケ
ーシング部材71bには予め固定部78が一体に形成さ
れている。
【0041】そして、別途形成された図3に示す点火プ
ラグ部40の端子電極47に対して、上記第2ケーシン
グ部材71bの内部に収容された点火コイル部70の出
力端子73の一端をロー付により固着させる。
【0042】ついで、注入口76が形成された第1ケー
シング部材71aを準備し、図5(a)に示すように、
この第1ケーシング部材71aを点火プラグ部40の前
方側(図中下方)から軸O方向に挿入する。そして、第
1ケーシング部材71aを、その前端部が点火プラグ部
40の主体金具44の外周部の所定位置にて重なるよう
に配置するとともに、その後端部が第2ケーシング部材
71bの所定位置にて重ねるように配置する。
【0043】第1ケーシング部材71aと主体金具44
との重なり部分、及び第1ケーシング部材71aと第2
ケーシング部材71bとの重なり部分において、図5
(b)に示すようにレーザ溶接(図中LBに相当)を行
う。これにより、第1ケーシング部材71aを、主体金
具44及び第2ケーシング部材71bと軸O方向に対し
て回転不能に一体化させる。なお、このとき、第2ケー
シング部材71bに形成される固定部78の形成位置に
対して、点火プラグ部40の接地電極43の方向(接地
電極43の主体金具44への結合位置)が予め所定の位
置関係を有するように調整しつつ、第1ケーシング部材
71aを、主体金具44及び第2ケーシング部材71b
に対して一体化させるようにした。
【0044】ついで、第1ケーシング部材71aの注入
穴76から絶縁性材料であるシリコンゴム77を液化し
た状態で注入し、固化させる。なお、本実施形態におい
ては、絶縁性材料であるシリコンゴム77をケーシング
部71の内部に充填させるとともに、第1ケーシング部
材71aの外周部に第2ケーシング部材71bの外周部
と厚さが略等しい層が同じシリコンゴム77により形成
されるように、当該シリコンゴム77による成形を行っ
ている。
【0045】シリコンゴム77の注入量に関しては、固
化させた後に、主体金具44の加締め部44bの後端部
と、絶縁体42の内でこの加締め部44bの後端部と対
向する外周部との間に形成される隙間がシリコンゴム7
7により充填されるような量を注入するように調整され
ている。このようにすることで、図2に示すように、主
体金具44の加締め部44bの後端部44dと、絶縁体
の内でこの加締め部44bの後端部44dと対向する外
周部との間にシリコンゴム77が確実に充填されること
になるのである。なお、絶縁性材料として本実施形態で
はシリコンゴムを用いたが、シリコン樹脂等を使用する
こともできる。
【0046】そして、コネクタ部81と点火ユニット8
2を、ケーシング部71(第2ケーシング部材71b)
の後方側に装着することで、内燃機関用点火装置1が完
成する。
【0047】このように点火プラグ部40と点火コイル
部70とが一体化された内燃機関用点火装置1のシリン
ダーヘッドSHへの固定は、ケーシング部71に形成さ
れた固定部78を、シリンダーヘッドSHに設けられた
取付け部90に嵌合させることにより行う。詳細に説明
すると、内燃機関用点火装置1をシリンダーヘッドSH
のプラグホールHに対して、ガスケットGを介した状態
で遊嵌状に挿入しつつ、軸O周りに回転させる(図2参
照)。すると、図4に示すように、固定部78の第一板
面78aがシリンダーヘッドSHの取付け部90に嵌合
し始め、第二板面78bにて嵌合が制限されるまで、軸
O周りに内燃機関用点火装置1を回転させ続ける。この
とき、第一板面78aの略半分に位置する板面78c
は、上述したように弾性部分として機能する部分であ
り、この部分を含む第一板面78aは取付け部90に嵌
合されることで燃焼室Kの方向に付勢され(換言すれ
ば、軸O方向に荷重を加え)、ひいては内燃機関用点火
装置1全体が燃焼室Kの方向(軸O方向)に付勢される
ので、シリンダーヘッドSHへの固定が強固に、かつ安
定して維持されることになる(図2参照)。
【0048】また、本実施形態では、主体金具44にネ
ジ部が形成されていないことから、プラグホールH内に
遊嵌状に内燃機関用点火装置1を挿入することができ、
内燃機関用点火装置1をねじ込むといった作業が不要と
なり、シリンダーヘッドSHへの取付けが容易となる。
さらに、本実施形態では、上述したように、ケーシング
部71(第2ケーシング部材71b)の固定部78の形
成位置に対して、点火プラグ部40の接地電極45の方
向(接地電極43の主体金具44への結合位置)が予め
所定の位置関係となるように、点火コイル部70と点火
プラグ部40とを一体化させている。その結果、シリン
ダーヘッドSHに設けられた取付け部90に内燃機関用
点火装置1を取付けるだけで、気筒やエンジン毎に応じ
て、点火プラグ部40の接地電極43の方向位置を適切
な位置に揃うように(換言すれば、スワールの流れ方向
に対して接地電極43の方向が最適な位置に揃うよう
に)調節することができる。
【0049】ここで、第1ケーシング部材71aと第2
ケーシング部材71bの材質ついては上述したように金
属材料であることが、ケーシング部70の内部に収納さ
れるコイルコア31や一次コイルL1、二次コイルL2
等に欠けや錆等の腐食といった欠陥を生じさせない上で
好ましい。
【0050】具体的には、第1ケーシング部材71aを
ステンレス等の常磁性材料にて、第2ケーシング部材7
1bを鉄等の強磁性材料にて形成することが望ましい。
その理由としては、以下の通りである。第2ケーシング
部材71bについては、自身の内部にコイルコア72
(点火コイル部70)を収容するものであるが、近年で
は点火コイル部70(点火装置1自体)についても小型
化が要求される都合、点火コイル部70は開磁路を形成
するコイルコア72を配することが多い。しかし、開磁
路型の点火コイル部70にあっては、一次巻線L1への
通電時に磁束がコイルコア72外部(大気中)を経由す
るために、磁気抵抗が大きくなりがちで、磁気の洩れが
生じ易く、点火プラグ部40へ供給される放電用高電圧
に損失を生じるおそれがある。これに対して、コイルコ
ア72を収容する第2ケーシング部材71bを強磁性材
料により構成することで、磁束はコイルコア72外部に
位置する第2ケーシング部材71bを経由することにな
る(換言すれば、閉磁路を形成することになる)。その
結果、磁束抵抗を小さくすることができ、磁気洩れを抑
えることができる。
【0051】但し、第1ケーシング部材71aまでが強
磁性材料にて構成されると、磁路はコイルコア72、第
2ケーシング部材71b及び第1ケーシング部材71a
の三部材にて形成されることになるが、第1ケーシング
部材71a−コイルコア72間の距離は、第2ケーシン
グ部材71b−コイルコア72間の距離に比べて長くな
るために、磁束が大気中を経由する距離が若干長くな
り、磁束の洩れを効率良く抑えることができない可能性
がある。それより、上述したように第2ケーシング部材
71bを強磁性材料にて、第1ケーシング部材71aを
常磁性材料にて構成した二重構造のケーシング部71を
呈することで、効率の良い磁路が形成され、点火コイル
部70から点火プラグ部40へ供給される放電用高電圧
の損失を抑制することができる。
【0052】ついで、図1に戻り、イオン電流検出部1
3は、一端が接地されたイオン電流検出抵抗31と、こ
の抵抗31に並列接続されカソードが接地されたダイオ
ード32と、イオン電流検出抵抗31及びダイオード3
2の接地側とは反対側に直列接続されたコンデンサ33
を備え、これらイオン電流検出抵抗31,ダイオード3
2及びコンデンサ33が、点火コイル部70の二次巻線
L2及び点火プラグ部40とともに閉ループを形成して
いる。また、カソードがコンデンサ33と二次巻線L2
との接続点に接続され、アノードが接地されたツェナー
ダイオード34が備えられている。
【0053】このように構成されたイオン電流検出部1
3では、点火コイル部70から点火プラグ部40に放電
用高電圧が供給され、点火プラグ部40にて火花放電が
発生すると、点火プラグ部40、点火コイル部70の二
次巻線L2、ダイオード32の接地端に向けて放電電流
(二次電流)i2が流れることになる。このとき、ツェ
ナーダイオード34には、ツェナー電圧Vzを発生させ
る方向に電流が流れる。このため、コンデンサ33は、
ツェナーダイオード34のツェナー電圧Vzから充電用
ダイオード35およびダイオード32の各順方向電圧V
fだけ小さい電圧Vc(=Vz−2×Vf)で充電され
ることになる。
【0054】そして、点火プラグ部の火花放電が終了す
ると、コンデンサ33に充電された電圧Vcが放電さ
れ、イオン電流検出抵抗31の接地端側から二次巻線L
2、点火プラグ部40に向けて電流(イオン電流)Ii
oを流すことが可能となる。このとき、イオン電流Ii
oが流れると、イオン電流検出抵抗31の両端電圧Vi
oは、この電流Iioの大きさに比例したものとなる
(イオン電流値×検出抵抗値(固定値))。
【0055】なお、このときの点火プラグ部40への印
加電圧(検出用高電圧)Vdは、コンデンサ33の充電
電圧Vcからイオン電流検出抵抗31での電圧降下分だ
け差し引いたもの(Vd=Vc−R×Iio;但し、R
はイオン電流検出抵抗31の抵抗値)となる。そして、
この検出用高電圧Vdは、点火プラグ部40にて再度火
花放電が発生しない程度(例えば100〜300V程
度)とする必要があり、即ち、ツェナーダイオード34
のツェナー電圧Vzは、この検出用高電圧Vdに基づい
て設定する必要がある。
【0056】さらに、本実施形態の内燃機関用点火装置
1では、図1に示すように、一端が二次巻線L2に接続
され(詳細には、ツェナーダイオード34のアノードに
接続され)、他端が接地された放電電流検出抵抗35が
付加されている。そして、点火コイル部70から点火プ
ラグ部40に放電用高電圧が供給され、点火プラグ部4
0にて火花放電が発生すると、上述したように点火プラ
グ部40、点火コイル部70の二次巻線L2、ダイオー
ド32の接地端に向けて放電電流(二次電流)i2が流
れると同時に、放電電流検出抵抗35の接地側に向けて
放電電流i2を流すことが可能となる。このとき、放電
電流i2が流れると、放電電流検出抵抗35の両端電圧
Vrは、この電流i2の大きさに比例したものとなる
(放電電流値×検出抵抗値(固定値))。なお、放電電
流i2の大きさは、点火プラグ部40におけるくすぶり
の状態により異なるものとなる。
【0057】ここで、点火プラグ部40のくすぶりの状
態により放電電流i2がどのように変化するかを確認す
るため、火花放電の形態の違い((a)正常放電、
(b)点火プラグ部40の電極間が短絡される前の段階
にあるくすぶり時)による放電電流i2の変化を測定し
た結果を以下に示す。
【0058】なお、(a)正常放電とは、点火プラグ部
40の絶縁体42の外表面にカーボンがほとんど付着し
ていない状態で、正規の火花放電ギャップgにて発生す
る火花放電のことを表す。また、(b)のくすぶり時と
は、図10を援用して示すように、絶縁体42の外表面
における中心電極41側の先端部(即ち脚長部)から、
絶縁体42の外表面と主体金具44の内周面との接触点
a(実際には板パッキンを介して接触している)までの
略中間位置までカーボンCが付着している状態で、カー
ボンCの端部と主体金具44の内周面との間で発生する
火花放電、即ち奥飛びのことを指す。
【0059】そして、測定結果として、図1に示す回路
図におけるIG信号、点火プラグ部40の中心電極41
の電位Vp、放電電流検出抵抗35における二次巻線L
2との接続点の電位Vrの各状態を表すタイムチャート
を図6に示す。なお、図6において、(a)、(b)は
上述の(a)正常放電、(b)くすぶり時のそれぞれの
測定結果を表している。また、図6において、電位Vp
を放電電圧波形と称して、電位Vrを放電電流波形と称
する。
【0060】まず、図6(a)において、時刻t1で
は、IG信号をローからハイレベルに切り換え、点火コ
イル部70の一次巻線L1を通電する。その後、予め設
定された通電時間が経過した時刻t2にて、IG信号を
ハイからローレベルに切り換え、一次巻線L1への通電
を遮断する。すると、二次巻線L2側に放電用高電圧が
誘起され、点火プラグ部40の中心電極41に放電用高
電圧が印加され、中心電極41の電位Vpが急峻に低下
してピーク値を示し、点火プラグ部40にて火花放電が
発生して、放電電流i2が流れ始める。
【0061】そして、火花放電発生直後における放電電
圧(Vp)のグランドレベル(0〔V〕)に対する電位
差は、ピーク値から電位差Vとなるまで急激に減少
し、その後この電位差は徐々に大きくなる方向に変化す
る。このとき、放電電流i2は徐々に値が減少してい
き、時刻t3になったときに0〔A〕となり火花放電が
終了する。
【0062】次に、図6(b)において、時刻t1から
時刻t2までの推移は、図6(a)と同様である。そし
て、火花放電発生直後における放電電圧(電位Vp)の
グランドレベル(0〔V〕)に対する電位差は、ピーク
値から電位差Vとなるまで急激に減少し、その後この
電位差は徐々に小さくなる方向に変化する。ここで、図
6(b)における電位差Vの値は、図6(a)におけ
る電位差Vの値よりも大きくなっている。このとき、
放電電流i2は徐々に値が減少していき、時刻t3より
も早い時刻t4となったときに、0〔A〕となり火花放
電が終了する。
【0063】これらのことから、放電電流波形から算出
される面積、即ち放電電流i2の積分値に関して比較す
ると、(a)正常放電の方が(b)くすぶり時よりも大
きくなることが判る。つまり、放電電流i2の積分値を
用いることにより、そのときに発生した火花放電が正常
放電か、奥飛びであるかを判定することができる。そし
て、奥飛びが検出可能であることより、点火プラグ部4
0の電極間がカーボンの付着によって短絡される前のく
すぶりの状態を検出することができるのである。なお、
放電電流i2に基づいて、正常放電か奥飛びであるかを
判定する処理、ひいてはくすぶりの有無を判定する処理
については、ECU15内にて実行されることになる。
【0064】なお、ECU15は、内燃機関の点火時
期、燃料噴射量、アイドル回転数等を総合的に制御する
ためのものであり、イオン電流検出処理及びくすぶりの
有無判定処理以外に、内燃機関の吸気管圧力(又は吸入
空気量)、回転速度、冷却水温度など各種運転状態を検
出する状態検出処理や、検出された運転状態に応じて点
火信号IG等、機関制御のための各種信号を出力する信
号出力処理等を行うものである。
【0065】ここで、本実施形態の内燃機関用点火装置
1の各部の状態を表すタイムチャートを図7に示す。図
7では、点火信号IG、点火プラグ部40の中心電極4
1の電位、放電電流i2、イオン電流Iioのそれぞれ
の波形の状態を表しており、時刻t11が、火花放電の
発生時期にあたる。なお、検出電圧Vioによりイオン
電流Iioの存在を、電位Vrにより放電電流i2の存
在を確認することができる。
【0066】本実施形態においては、ECU15からの
信号出力処理により点火信号IGがハイレベルからロー
レベルに切り換わる(時刻t11)と、パワートランジ
スタ25がターンオフする。すると、点火コイル部70
の一次巻線L1に流れる電流(一次電流)i1がカット
オフされ、点火コイル部70の二次巻線L2に誘起され
る放電用高電圧が点火プラグ部40の中心電極41に印
加されて火花放電が発生する。この火花放電の発生する
と、放電電流i2が流れ始めて、イオン電流検出部13
のコンデンサ33が充電されるとともに、放電電流i2
が流れる放電電流検出抵抗35の電位VrをECU15
にて読み込む(時刻t11から時刻t12の期間)。
【0067】そして、火花放電が終了した後、コンデン
サ33からの放電が許容され、点火プラグ部40には点
火コイル部70の二次巻線L2を介して検出用高電圧が
印加されると、点火プラグ部40の火花放電ギャップに
てイオン量に応じたイオン電流Iioが流れる。そし
て、火花放電が終了してから所定時間経過後に、変換回
路17にて、イオン電流Iioが流れるイオン電流検出
抵抗31の両端電圧Vioを検出し(時刻t13)、そ
の変換回路17にてAD変換して保存し、検出値Dio
としてECU15に出力する。なお、図7に示すよう
に、時刻t11から時刻t12の期間では、電位Vrの
変化により、放電電流i2(放電電流波形)が検出され
ている。
【0068】なお、ECU15に取り込んだイオン電流
Iioの検出値Dioは、例えば、内燃機関の失火やノ
ッキングの発生を判定するため等に用いられる。ここ
で、図7に示すように、時刻t13から時刻t14の期
間では、検出電圧Vioの変化により、イオン電流Ii
o(イオン電流波形)が検出されている。そして、本実
施形態の内燃機関用点火装置1では、主体金具44の加
締め部44bの後端部と、絶縁体42の内でこの加締め
部44bの後端部と対向する外周部との間に形成される
隙間を埋めるように、シリコンゴム77といった絶縁性
材料が充填されていることによって、図8に模式的に示
すように、コロナ放電の発生に伴うノイズがイオン電流
波形に重畳することなく、検出精度の高いイオン電流I
ioを検出することができる(図7参照)。
【0069】以上、本発明を上記実施形態に沿って説明
したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではな
く、種々の態様を採ることができる。例えば、イオン電
流検出部13又は/及び放電電流検出抵抗35を、点火
コイル部70とともにケーシング部71の内部に収納さ
せることにより、付加機能を備えたコンパクトな内燃機
関用点火装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の内燃機関用点火装置の構成を表す電
気回路図である。
【図2】 本発明の内燃機関用点火装置の外形、及び一
部切欠断面を示す全体図である。
【図3】 本発明の内燃機関用点火装置の点火プラグ部
を示す全体正面断面図である。
【図4】 本発明の内燃機関用点火装置の点火コイル部
を構成するケーシングに形成された固定部を中心として
拡大した部分斜視図と、その固定部を用いてのシリンダ
ーヘッドへの固定方法を示す説明図である。
【図5】 本発明の内燃機関用点火装置の組み付け状態
(手法)を、一部切欠断面図を用いて示した説明図であ
る。
【図6】 (a)正常放電、(b)点火プラグ部の電極
間が短絡される前の段階にあるくすぶり時の各々の場合
における各部の状態を表すタイムチャートである。
【図7】 本発明の内燃機関用点火装置と、イオン電流
検出部とを組み合せたときの各部の状態を表すタイムチ
ャートである。
【図8】 イオン電流にコロナ放電によるノイズが重畳
した場合の検出波形を模式的に示したグラフである。
【図9】 絶縁体の外周部にカーボンが付着した状態の
点火プラグ部における奥飛びの発生を模式的に示した説
明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、13…イオン電流検出部、1
5…ECU、17…変換回路、31…イオン電流検出抵
抗、33…コンデンサ、34…ツェナーダイオード、3
5…放電電流検出抵抗、40…点火プラグ部、41…中
心電極、42…絶縁体、43…接地電極、44…主体金
具、44b…加締め部、47…端子電極、70…点火コ
イル部、71…ケーシング部、71a…第1ケーシング
部材、71b…第2ケーシング部材、72…コイルコ
ア、73…出力端子、76…注入口、77…絶縁性材
料、78…固定部、81…コネクタ部、82…点火ユニ
ット、90…取付け部、L1…一次巻線、L2…二次巻
線、SH…シリンダーヘッド。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に貫通孔が形成された絶縁体と、
    該絶縁体の貫通孔の先端側に配置される中心電極と、前
    記絶縁体の径方向周囲を取り囲むとともに、自身の後端
    部周縁が当該絶縁体の外周部に向けて加締められて加締
    め部を形成してなる主体金具と、前記中心電極と火花放
    電ギャップを隔てて対向する1又は複数の接地電極とを
    有する点火プラグ部と、 コイルコアの周囲に巻装される一次巻線、及び二次巻線
    を有し、前記点火プラグ部に放電用高電圧を供給する点
    火コイル部と、 前記点火コイル部を内部に収容するケーシング部とを備
    え、 前記ケーシング部は、自身の内部に前記主体金具の加締
    め部が位置するように当該主体金具と軸方向に対して回
    転不能に一体化されており、そのケーシングの内部にお
    いて、少なくとも前記加締め部の後端部と、前記絶縁体
    のうち当該加締部の後端部と対向する外周部との間に形
    成される隙間を埋めるように絶縁性材料が充填されてい
    ることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記点火プラグ部は、前記絶縁体の貫通
    孔の後端側に前記中心電極と電気的に接続する端子電極
    を有するとともに、前記点火コイル部は、前記端子金具
    と電気的に接続し、前記放電用高電圧を前記端子金具に
    供給するための出力端子を有することを特徴とする請求
    項1記載の内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の内燃機関用点
    火装置であって、 前記放電用高電圧とは逆極性の検出用高電圧を、前記点
    火コイル部の二次巻線を介して前記点火プラグ部に供給
    する検出用高電圧発生手段と、 前記検出用電圧の供給により、前記点火プラグ部の前記
    火花放電ギャップを流れるイオン電流を検出するイオン
    電流検出手段とを備えることを特徴とする内燃機関用点
    火装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の内
    燃機関用点火装置であって、 前記放電用高電圧の供給により、前記点火プラグ部の前
    記火花放電ギャップを流れる放電電流を検出する放電電
    流検出手段を備えることを特徴とする内燃機関用点火装
    置。
JP2000201557A 2000-07-03 2000-07-03 内燃機関用点火装置 Pending JP2002021696A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000201557A JP2002021696A (ja) 2000-07-03 2000-07-03 内燃機関用点火装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000201557A JP2002021696A (ja) 2000-07-03 2000-07-03 内燃機関用点火装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002021696A true JP2002021696A (ja) 2002-01-23

Family

ID=18699228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000201557A Pending JP2002021696A (ja) 2000-07-03 2000-07-03 内燃機関用点火装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002021696A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016519833A (ja) * 2013-03-15 2016-07-07 フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニーFederal−Mogul Ignition Company コロナ点火コイルのための高電圧接続封止方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63248974A (ja) * 1987-04-06 1988-10-17 Nippon Denso Co Ltd 内燃機関用点火装置
JPH10125444A (ja) * 1996-08-29 1998-05-15 Denso Corp イオン電流検出用スパークプラグおよびイオン電流検出装置
JP2000133411A (ja) * 1998-10-26 2000-05-12 Ngk Spark Plug Co Ltd コイル一体型点火プラグ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63248974A (ja) * 1987-04-06 1988-10-17 Nippon Denso Co Ltd 内燃機関用点火装置
JPH10125444A (ja) * 1996-08-29 1998-05-15 Denso Corp イオン電流検出用スパークプラグおよびイオン電流検出装置
JP2000133411A (ja) * 1998-10-26 2000-05-12 Ngk Spark Plug Co Ltd コイル一体型点火プラグ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016519833A (ja) * 2013-03-15 2016-07-07 フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニーFederal−Mogul Ignition Company コロナ点火コイルのための高電圧接続封止方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4316474B2 (ja) 燃焼室圧力検出装置
JP2007287665A (ja) プラズマジェット点火プラグおよびその点火システム
US4337408A (en) Plasma jet ignition plug
US6923042B2 (en) Ignition apparatus for internal combustion engine
US6062185A (en) Glow sensor and engine component combination
US6880540B2 (en) Ignition coil, and internal combustion engine ignition device
JP2006112418A (ja) 点火コイル
JP5802117B2 (ja) 点火装置及び点火システム
JP3918610B2 (ja) 内燃機関用点火装置
US6817350B2 (en) Ignition device for an internal combustion engine
JP4463389B2 (ja) 内燃機関用点火装置の製造方法
JP2002021696A (ja) 内燃機関用点火装置
JP3864871B2 (ja) 内燃機関用点火装置の検査方法およびその検査装置
US6698411B2 (en) Ignition device for internal combustion engine
JP3838138B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP2002081360A (ja) 内燃機関用点火装置
JPH08334077A (ja) 燃料噴射装置
JP4019766B2 (ja) 内燃機関用点火装置およびその組み付け方法
JP4431266B2 (ja) 圧力センサ内蔵型スパークプラグユニット
JP3849617B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP4659287B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP4445107B2 (ja) コイル一体型点火プラグの取付構造およびコイル一体型点火プラグ
JP4678981B2 (ja) スパークプラグユニット
JPH09260023A (ja) イオンプローブ付スパークプラグ
JP2001006843A (ja) 内燃機関用点火装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090828

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100608