JP4659287B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の気筒毎に装着された点火プラグと点火用高電圧を発生する点火コイルとを備えて、混合気への着火を行うための火花放電を点火プラグで発生する内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車エンジン等に使用される内燃機関において混合気への着火(点火)を行う内燃機関用点火装置は、点火用高電圧を発生する点火コイルと、点火用高電圧が印加されることで火花放電を発生する点火プラグとを備えている。
【0003】
そして、点火プラグは、一般的に、絶縁体の軸孔の先端側に挿設された中心電極と、絶縁体の外側に設けられた主体金具と、一端が主体金具に結合されて他端が中心電極と火花放電ギャップを隔てて対向する接地電極と、絶縁体の軸孔の後端側に挿設されると共に該中心電極に電気的に接続される端子電極とを備えて構成されている。また、主体金具の外周表面には固定用ネジ溝が形成されて、この固定用ネジ溝を用いて螺合によりシリンダヘッドに固定される構造の点火プラグが知られている。
【0004】
また、点火コイルは、一般的に、一次巻線、二次巻線およびコイルコアからなるコイル本体部を備えて構成され、一次巻線に流れる電流の通電・遮断によりコイルコアの磁束密度が変化することで、二次巻線の両端に点火用高電圧が発生するように構成されている。そして、点火コイルは、ハイテンションケーブル等の配線ケーブル(通電経路)を介して点火プラグと電気的に接続されることにより、点火用高電圧を点火プラグに印加する。
【0005】
ところで、点火プラグが固定されるシリンダヘッドの上部とシリンダヘッドカバーとの間に形成される内部空間には、吸気弁および排気弁を駆動するためのカムシャフト等からなる吸排気弁駆動機構が備えられ、この吸排気弁駆動機構を円滑に動作させるための潤滑油が循環されている。
【0006】
これに対し、点火プラグは、高電圧の印加により火花放電を発生する構造であるため、潤滑油が付着した場合には、漏電などの影響により正常に火花放電が発生できない虞がある。このため、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間に形成される内部空間に、点火プラグを挿通可能な内径に形成された円筒形状のプラグホールパイプを備えることで、点火プラグの設置スペースを確保して点火プラグを潤滑油から隔離している。なお、プラグホールパイプは、その軸方向が点火プラグの軸方向と同一方向となる状態でシリンダヘッドに固定されている。
【0007】
そして、プラグホールパイプにより形成された設置スペースに点火プラグを装着した後、点火コイルと点火プラグとの間に前述した配線ケーブルを配線することで、点火コイルと点火プラグとが電気的に接続される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、点火コイルと点火プラグとをハイテンションケーブル等の配線ケーブルを介して接続する場合、点火コイルと点火プラグとの距離が長くなるほど配線ケーブルの抵抗値が大きくなる等の影響により、配線ケーブルでの損失が大きくなるという問題がある。このように配線ケーブルでの損失が大きくなると、点火用高電圧を発生させるためのエネルギが無駄に消費されることになり、また、場合によっては、点火プラグに印加される電圧値が低下して火花放電が発生できない虞もある。
【0009】
このような問題に対しては、点火コイルと点火プラグとを直接に接続する構造を採用する(いわゆる、ダイレクトイグニッションタイププラグ)ことが有効である。しかし、この構造を採用するためには、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとで形成される内部空間に、点火コイルの配置スペースを確保する必要が生じることとなる。そして、前述したように、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとで形成される内部空間には、点火プラグの他に吸排気弁駆動機構等が備えられていることから、点火コイルを設置するための設置スペースをシリンダヘッドの内部に確保することは容易とはいえない。
【0010】
他方、近年の高効率化(燃費向上)やクリーン化の要求に応えるために、混合気の空燃比を高く(希薄空燃比に)設定した内燃機関が普及してきている。このような内燃機関においては、燃焼室内における混合気の乱流(スワール流やタンブル流)を考慮した構造を図り、点火プラグの火花放電ギャップ近傍に燃焼に適した混合気を生成することで、混合気への着火性を安定させている。
【0011】
しかし、混合気の乱流を発生させる場合には、点火プラグの接地電極の燃焼室内における配置位置が、混合気への着火性に影響することが知られており、接地電極の配置位置によっては着火性が低下することがある。つまり、混合気は、点火プラグの火花放電ギャップに発生する火花放電に触れることで着火されるが、例えば、混合気の乱流の方向に対し、接地電極が火花放電ギャップよりも風上に位置する場合には、接地電極が障害となって混合気が火花放電に触れ難くなるため、混合気への着火が行われ難く、また火炎伝播を妨げることになり、混合気への着火性が低下してしまう虞がある。
【0012】
具体的には、図8(b)のように、燃焼室55の内部において混合気流の流れ方向に対する接地電極Xの角度位置θ(すなわち接地電極Xと混合気流のなす角度θ)を設定したとき、エンジンの種類によっても異なるが一般的には、θ=90°、270°を満たすときに着火性が良好となり、一方混合気流に対して火花放電ギャップgが接地電極Xの陰になるθ=0°、360°では、着火性が低下することとなる。また、θ=180°でも接地電極Xが可変成長を妨げるような方向に位置するために、着火性が若干低下することになる。このように混合気流に対する接地電極Xの角度位置θは、エンジン性能(着火性)に影響を与えるものである。なお、図8(b)は、図8(a)に示すように点火プラグ11をシリンダヘッド51に取り付けたときに、点火プラグ11を燃焼室55側からみたときの図面に相当するものである。
【0013】
そして、螺合によりシリンダヘッドに装着する構造の点火プラグにおいては、接地電極の燃焼室内における配置位置は、点火プラグ毎に不確定であり、接地電極を燃焼室内の特定位置に配置することが困難である。また、螺合によりシリンダヘッドに装着する点火プラグでは、ネジ溝の僅かな寸法誤差や個体差によって、最終的な装着時における接地電極の位置が変化してしまうことからも、接地電極を特定位置に設定することは難しいという問題もある。
【0014】
そこで、本発明は、点火コイルと点火プラグとを直接に接続した構造を図りつつ、内燃機関における混合気への着火性を良好に得るために、シリンダヘッドに対する点火プラグの最終的な装着時において接地電極の燃焼室内おける配置位置を特定位置に容易に設定することができる内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、絶縁体の軸孔の先端側に挿設された中心電極と、絶縁体の外側に設けられた主体金具と、主体金具に結合されて中心電極との間で火花放電ギャップを形成する接地電極とを有すると共に、内燃機関のシリンダヘッドに形成されるプラグ配置孔に配置される点火プラグと、一次巻線、二次巻線およびコイルコアからなるコイル本体部を備えると共に、このコイル本体部を内部に収容する形態で当該コイル本体部と一体化された筒状の保護外筒とを備える点火コイルと、を直接に接続し、混合気への着火を行うための火花放電を点火プラグの火花放電ギャップに発生する内燃機関用点火装置であって、点火プラグの主体金具は、シリンダヘッドと直接または他部材を介して間接的に接触するプラグ座面を先端側に有する鍔部と、この鍔部のプラグ座面から軸方向先端側に延設された外周にネジ溝が設けられていない筒状の先端部を備えている一方、点火コイルの保護外筒が、主体金具のプラグ座面より後端側に配置される形態でシリンダヘッドに固定される筒状のプラグホールパイプであって、前記点火プラグを潤滑油から隔離するためのプラグホールパイプとして構成され、保護外筒によって、主体金具のプラグ座面がシリンダヘッドに対して押圧され、かつ点火プラグがシリンダヘッドに固定されており、シリンダヘッドの上部に設けられるシリンダヘッドカバーを備え、保護外筒は、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの間で挟持されることで当該シリンダヘッドに固定されること、を特徴とする。
【0016】
この内燃機関用点火装置においては、点火コイルと点火プラグとが直接に接続される構造(いわゆる、ダイレクトイグニッションタイププラグ)を有しており、配線ケーブルなどを介して両者を接続する構成でないことから、配線ケーブルでの電力損失が発生することがない。なお、このように点火コイルと点火プラグとを直接に接続できるのは、点火コイルの保護外筒を、プラグホールパイプにより構成することで、一次巻線、二次巻線およびコイルコアからなるコイル本体部をプラグホールパイプである保護外筒の内部に収納させたことにより、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとで形成される内部空間において、点火コイルの設置スペースを有効に確保可能となったからである。
【0017】
そして、この内燃機関用点火装置に備えられる点火プラグは、主体金具の先端部の外周表面にネジ溝が設けられておらず、螺合によりシリンダヘッドに装着される構造ではない。つまり、この点火プラグは、シリンダヘッド(プラグ配置孔)に対して遊嵌状に挿入しつつ装着することができる。したがって、シリンダヘッドに対する点火プラグの装着時において、主体金具への接地電極の結合部位置がプラグ配置孔の軸線を中心とした周方向の特定位置となる(換言すれば、接地電極の燃焼室内における配置位置が特定位置を満たす)ように設定がし易くなり、点火プラグを螺合させる構造のように接地電極の相対位置が不確定となる問題を抑えることができる。
【0018】
例えば、この点火プラグは、接地電極の燃焼室内における配置位置(狙い位置)を予め設定し、その狙い位置に対してシリンダヘッドに挿入、固定することで、最終的な装着時における接地電極の配置位置を狙い位置に設定することができる。つまり、燃焼室内における混合気流の流れ方向は、吸気管や燃焼室の構造により決定されることから、シリンダヘッドに対する方向が略一定である。このため、点火プラグの装着時において、混合気流の流れ方向を考慮して接地電極の配置位置を設定することで、混合気流の方向に対する配置位置を特定位置に設定することが容易となる。また、プラグ配置孔に従来のようにネジ溝を形成する必要が無くなり、少なくともネジ溝の厚さ分はプラグ配置孔の内径を縮小化することができるため、大面積の吸・排気弁をシリンダヘッド側に設置し易く、それらを設置するための設計がし易いといった利点も得られる。
【0019】
さらに、この内燃機関用点火装置では、外周にネジ溝を有さない筒状の先端部を有する主体金具にて構成される点火プラグをシリンダヘッドに対して固定するにあたり、プラグホールパイプとしても機能する点火コイルの保護外筒を利用することが注目すべき点であって、この保護外筒によって主体金具のプラグ座面をシリンダヘッドに対して押圧して点火プラグを固定することが注目すべき点である。
【0020】
つまり、本発明では、点火プラグを潤滑油から隔離するためのプラグホールパイプを、点火コイルの保護外筒として利用し、さらには主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに固定するための固定部材としても使用するようにしている。このようにシリンダヘッドに取り付けられる点火コイルの保護外筒であるプラグホールパイプを、点火プラグのシリンダヘッドに対する固定部材として用いることで、点火プラグを固定する固定部材を新たに追加する場合に比べて、部品点数の増加を抑えることができる。
【0021】
また、点火コイルの保護外筒がプラグホールパイプとして構成されていることから、保護外筒をシリンダヘッドに装着することで、点火コイルの装着作業およびプラグホールパイプの装着作業を同時に実施することができる。
そして、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに固定する場合は、従来のように点火プラグをシリンダヘッドに対し螺合により装着する構造とは異なり、燃焼室側から燃焼圧が印加された場合、または内燃機関の振動が大きく生じた場合でも安定して点火プラグをシリンダヘッドに固定することが重要である。そして、本発明では、主体金具のプラグ座面がシリンダヘッドに対して押圧されるようにして点火コイルの保護外筒をシリンダヘッドに固定し、この保護外筒により点火プラグの固定を行うようにしている。その結果、主体金具における鍔部のプラグ座面の略全体が均一に押圧されて、プラグ座面とシリンダヘッドとの間を安定して接触させることができる。それにより、燃焼室側から燃焼圧が印加された場合にも、安定して点火プラグを固定することができる。
【0022】
なお、点火コイルの保護外筒によって点火プラグを安定してシリンダヘッドに固定するには、混合気の燃焼により発生する燃焼圧よりも大きい押圧力以上、具体的には10〔MPa〕以上で主体金具のプラグ座面を押圧するようにすることが望ましい。
【0023】
よって、本発明(請求項1)の内燃機関用点火装置によれば、点火コイルと点火プラグとを直接に接続することから、点火用高電圧を通電するための通電経路における損失を低減でき、失火するのを防止することができる。また、プラグホールパイプを点火コイルの保護外筒として構成することにより、点火コイルの装着作業とプラグホールパイプの装着作業を同時に実行でき、組み立て作業工数を従来よりも削減させることができる。さらにこの点火コイルの保護外筒によって点火プラグをシリンダヘッド固定することで、新たな固定部材を用いることなく、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに対して安定して固定することができる。
【0024】
なお、点火コイルの保護外筒であるプラグホールパイプを、主体金具のプラグ座面がシリンダヘッドに対して押圧するように当該シリンダヘッドに固定させるには、主体金具のプラグ座面の後端側に配置される保護外筒を、主体金具の一部に当接させつつ押圧させるようにするとよい。具体的には、点火コイルの保護外筒を、点火プラグのうちで主体金具の鍔部におけるプラグ座面とは反対側に位置する後端面に当接させつつシリンダヘッドに固定することで、プラグ座面をシリンダヘッドに押圧させるとよい。また、主体金具が、自身の後端部周縁を絶縁体の外周部に向けて加締めてなる加締め部を形成している場合には、点火コイルの保護外筒を、この加締め部に当接させつつシリンダヘッドに固定することで、プラグ座面をシリンダヘッドに押圧させてもよい。
一方、プラグホールパイプは、従来より、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間に形成される内部空間に、吸排気弁駆動機構などの他の機器と共に配置されており、その上側端部がシリンダヘッドカバーと当接することで、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間の内部空間で循環する潤滑油が外部に漏れるのを防いでいる。
そして、本発明の内燃機関用点火装置においては、シリンダヘッドの上部に設けられるシリンダヘッドカバーを備え、保護外筒は、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの間で挟持されることで当該シリンダヘッドに固定されている。
つまり、シリンダヘッドカバーが、点火コイルの保護外筒としても機能するプラグホールパイプをシリンダヘッドに付勢することで、直接に接続される点火コイルと点火プラグとをシリンダヘッドに固定するのである。
なお、このとき、直接に接続される点火コイルおよび点火プラグが、シリンダヘッドに対して混合気の燃焼により発生する燃焼圧よりも大きな付勢力で付勢されるように、点火コイルの保護外筒(プラグホールパイプ)、点火プラグ、シリンダヘッドカバーおよびシリンダヘッドの各寸法を適切に設定すると良い。
【0025】
そして、点火コイルと点火プラグとを直接に接続させて、両者の電気的接続を図る接続構造は特に限定されないが、通常、点火プラグは、中心電極に電気的に接続される端子電極を有する一方、点火コイルは、二次巻線に電気的に接続される高電圧出力端子を有して構成されることから、この高電圧出力端子と端子電極とを組み合わせて電気的な接続が図れられる。ここで、この高電圧出力端子と端子電極とを組み合わせるにあたって、例えば、嵌合、ハンダ付け、加締めや溶接等による接続方法を採用することができる。しかし、高電圧出力端子と端子電極とを溶接等により固着した場合、固着した後に点火プラグを取り外すことが困難であるため、本内燃機関用点火装置を装着できる内燃機関が、点火プラグの定期的な交換が不要な内燃機関に限定される。
【0026】
そこで、点火プラグが、絶縁体の軸孔の後端側に挿設されると共に中心電極に電気的に接続される端子電極を有する一方、点火コイルがコイル本体部の二次巻線にて発生した点火用高電圧を点火プラグの端子電極に印加するための高電圧出力端子を有する場合には、請求項2に記載のように、点火コイルの高電圧出力端子と点火プラグの端子電極とが、着脱可能に接続されているとよい。
【0027】
つまり、点火コイルの高電圧出力端子と点火プラグの端子電極とが着脱可能に接続される(組み合わされる)ことで、点火プラグと点火コイルとを直接に接続した後、再び両者を分離することが可能となる。
なお、着脱可能な接続方法としては、例えば、高電圧出力端子を略円筒形状に形成すると共に中心軸方向に向かう弾性力を有する接触部を備えて形成し、端子電極を略円柱形状に形成して、高電圧出力端子の内部に端子電極を配置するように嵌合させる方法がある。また、このとき、高電圧出力端子の接触部は、中心軸を中心として放射状に複数配置することで、端子電極との接続面積を大きく確保することができ、また、内燃機関の振動が発生した場合でも、接触部が弾性変形することで端子電極との接触を確実に維持することができ、接触的の変化を抑制することができる。
【0028】
よって、本発明(請求項2)の内燃機関用点火装置によれば、高電圧出力端子と端子電極とが着脱可能に接続されることから、点火プラグを交換することが可能となり、点火プラグの定期的な交換が必要な内燃機関に対しても適用できるため、多くの種類の内燃機関に適用することが可能となる。
【0029】
そして、上述(請求項1または請求項2)の内燃機関用点火装置は、請求項3に記載のように、保護外筒が圧入によりシリンダヘッドに固定されるように構成すると良い。
つまり、圧入による固定方法は、点火コイルの保護外筒を強固にシリンダヘッドに固定することができ、燃焼室側から燃焼圧が印加された場合でも、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグを安定してシリンダヘッドに固定することができる。
【0030】
ところで、保護外筒を圧入でシリンダヘッドに固定した場合、固定後にこの保護外筒をシリンダヘッドから取り外すことが困難であり、点火プラグの交換が困難となることから、装着可能な内燃機関が点火プラグの定期的な交換が不要な内燃機関に限定される。
【0031】
そこで、上述(請求項1または請求項2)の内燃機関用点火装置においては、請求項4に記載のように、保護外筒が、その外周表面から外向きに突出して形成されたフランジ部を備え、このフランジ部を利用して、保護外筒がシリンダヘッドに固定されるとよい。
【0032】
つまり、フランジ部を利用してシリンダヘッドに固定することにより、点火コイルの保護外筒をシリンダヘッドに圧入する必要が無くなる。そして、固定後に取り外しが可能な方法でフランジ部をシリンダヘッドに固定することで、点火コイルの保護外筒を、固定後に再びシリンダヘッドから取り外すことが可能となる。
【0033】
このとき、フランジ部は、例えば、点火コイルの保護外筒であるプラグホールパイプの外側表面全周にわたり形成しても良く、あるいは、プラグホールパイプの外周表面のうち異なる箇所から延設して複数箇所に形成してもよい。
そして、フランジ部のシリンダヘッドへの固定方法としては、例えば、ボルト等を用いてシリンダヘッドに固定する方法や、シリンダヘッドに係合部を設けて、シリンダヘッドに点火プラグを挿入した後、保護外筒を自身の中心軸を中心に回転させることでフランジ部をこの係合部と係合させることで固定する方法などを用いると良い。
【0034】
また、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに固定するには、上述(請求項1または請求項2)の内燃機関用点火装置において、請求項5に記載のように、貫通孔を有し、外周表面にネジ溝が形成された筒状のナット部材を備えており、このナット部材が、貫通孔において保護外筒に対し後端側から外挿されて、螺合によりシリンダヘッドに固定されると共に、自身の一部を保護外筒に接触させることで、保護外筒をシリンダヘッドに固定するとよい。
【0035】
このようにナット部材を用いて点火コイルの保護外筒をシリンダヘッドに固定する場合についても、保護外筒を圧入する必要が無くなる。そして、ナット部材をシリンダヘッドに螺合して固定することで、保護外筒を固定後に再びシリンダヘッドから取り外すことが可能となる。
【0036】
なお、ナット部材は、自身の貫通孔において点火コイルの保護外筒に対し後端側から外挿され、螺合によりシリンダヘッドに固定されるものであるが、このナット部材の固定時において、ナット部材の一部が保護外筒に接触することによって当該保護外筒が点火プラグの主体金具のプラグ座面をシリンダヘッドに対して押圧することができるように、保護外筒及びナット部材を形成しておくことが重要である。これにより、混合気の燃焼により発生する燃焼圧が燃焼室側から印加された場合でも、ナット部材により固定される点火コイルの保護外筒によって、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに安定して固定することができる。
【0037】
また、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに固定するには、請求項6に記載のように、上述(請求項1または請求項2)の内燃機関用点火装置において、保護外筒が、その外周表面にネジ溝が形成され、シリンダヘッドに設けられたネジ溝との螺合により当該シリンダヘッドに固定されていてもよい。
【0038】
このように点火コイルの保護外筒を螺合によりシリンダヘッドに固定することにより、シリンダヘッドへの固定後に保護外筒を取り外すことができ、ボルトなどの他の部材を備えることが無い。また、保護外筒のシリンダヘッドへの締め込みトルクの管理によって、保護外筒であるプラグホールパイプによる点火プラグへの押圧力(印加荷重)を概略一定とすることができ、保護外筒によって、主体金具のプラグ座面をシリンダヘッドに対してばらつきなく安定して押圧させることができる。
【0042】
ところで、主体金具にネジ溝を有さない点火プラグでは、シリンダヘッドへの装着時において、主体金具への接地電極の結合部位置がプラグ配置孔の軸線を中心とした周方向の特定位置となる(換言すれば、接地電極の燃焼室内における配置位置が特定位置を満たす)ように設定し易くなるが、プラグ配置孔に点火プラグを挿入した後に回転を生じ、接地電極の燃焼室内における配置位置が変化する虞がある。
【0043】
そこで、上述(請求項1から請求項6のいずれか)の内燃機関用点火装置においては、請求項7に記載のように、点火プラグが、シリンダヘッドへの装着時であってプラグ配置孔の軸方向を中心に回転させたときに、シリンダヘッドと1または複数箇所にて嵌合し合う位置設定部を主体金具に備える一方、シリンダヘッドは、位置設定部に対応する設定対応部を備えており、点火プラグをプラグ配置孔に配置したときに、主体金具への接地電極の結合位置がプラグ配置孔の軸線を中心とした周方向の所定位置に設定されるとよい。
【0044】
ここで、主体金具に形成される位置設定部は、シリンダヘッドに形成される設定対応部に嵌合ないし係合して、点火プラグがその中心軸を中心として回転不可能とするためのものであり、点火プラグをシリンダヘッドに装着する際の接地電極の燃焼室内における配置位置を特定位置に設定するためのものである。
【0045】
そして、位置設定部は、例えば、主体金具の鍔部または先端部の外表面から外向きに突出する突条部や、点火プラグの主体金具の鍔部または先端部に設けた溝部等として備えると良い。また、主体金具の鍔部または先端部にて、軸方向に垂直な平面での断面形状が円以外の形状(多角形(六角形など)や楕円形等)となる特定断面部を形成し、この特定断面部を位置設定部として設けても良い。
【0046】
なお、このとき、シリンダヘッドには、接地電極の燃焼室内における配置位置が着火性の良好な位置となるように考慮して、位置設定部と嵌合可能な形状の嵌合部あるいは位置設定部と係合可能な係合部を設けるとよい。これにより、確実かつ容易に接地電極の相対位置を着火性が良好な位置に設定することができる。
【0047】
よって、本発明(請求項7)の内燃機関用点火装置によれば、シリンダヘッドへの点火プラグの装着時に予め設定している接地電極の燃焼室内における配置位置が回転により変化するのを防ぐことが出来ると共に、接地電極を容易かつ確実に特定位置に設定することができ、良好な着火性を得ることが出来る。
【0048】
また、上述(請求項1から請求項7のいずれか)の内燃機関用点火装置においては、請求項8に記載のように、点火プラグは、絶縁体の軸孔の後端側に挿設されると共に中心電極に電気的に接続される端子電極を有する一方、点火コイルは、コイル本体部の二次巻線にて発生した点火用高電圧を点火プラグの端子電極に印加するための高電圧出力端子を有しており、点火コイルの高電圧出力端子と点火プラグの端子電極との接続部分の周囲を覆う絶縁部材を備えるとよい。
【0049】
つまり、点火プラグは、端子電極に点火用高電圧が印加された時に、端子電極と主体金具との間でコロナ放電が発生する場合があり、このようなコロナ放電が発生すると、中心電極と接地電極との間に印加される電圧が低下することになり、火花放電ギャップにて火花放電を発生させることができなくなる。また、点火コイルの保護外筒が金属材料で形成されている場合には、高電圧出力端子と保護外筒、あるいは端子電極と保護外筒との間で放電が発生することがあり、このような放電が発生する場合にも、火花放電ギャップにて火花放電を発生させることができなくなる。
【0050】
これに対して、高電圧出力端子と端子電極との接続部分の周囲を絶縁性部材で覆うことで、端子電極と主体金具との間でのコロナ放電や、高電圧出力端子と保護外筒あるいは端子電極と保護外筒との間での放電の発生を防ぐことができる。
また、プラグホールパイプは、本来、点火プラグを潤滑油から隔離するためのものであるが、点火コイルの保護外筒をプラグホールパイプとして構成するため、寸法誤差などにより、プラグホールパイプである保護外筒とシリンダヘッドとの間に間隙が生じ、潤滑油が浸透し易くなる虞がある。
【0051】
そこで、上述(請求項1から請求項8のいずれか)の内燃機関用点火装置においては、請求項9に記載のように、保護外筒とシリンダヘッドとの間にオイルシール部材を備えるとよい。
つまり、オイルシール部材は、例えば弾性変形可能な材質(ゴムなど)で形成されており、プラグホールパイプである保護外筒とシリンダヘッドとの間に生じた間隙に応じて、その断面形状が変形することで、プラグホールパイプである保護外筒とシリンダヘッドとの間隙を封鎖し、潤滑油の浸透を好適に防止することが出来る。これにより、点火プラグのうち、特に端子電極、接地電極および中心電極などに潤滑油が付着するのを防止することができる。
【0052】
よって、本発明(請求項9)の内燃機関用点火装置によれば、点火プラグに潤滑油が付着するのを防止でき、潤滑油の影響により点火プラグで正常に火花放電が発生できなくなる等の異常の発生を防止することが出来る。
そして、上述(請求項1から請求項9のいずれか)の内燃機関用点火装置においては、請求項10に記載のように、点火プラグの主体金具の外側に環状のガスケットが備えられ、このガスケットを介して点火プラグとシリンダヘッドとが接触しているとよい。
【0053】
つまり、点火プラグとシリンダヘッドとが当接する箇所、例えば、点火プラグにおいては主体金具の鍔部のプラグ座面とシリンダヘッドとの間に、ガスケットを備えるのである。これにより、点火プラグとシリンダヘッドとの間に間隙が生じるのを防ぎ、燃焼室の気密性を確実に維持して、エンジンの性能(気密性)、点火プラグの性能(耐熱性)を良好に維持することが出来る。
【0054】
ところで、内燃機関の失火検知やノッキング検知等を行う一手法としてイオン電流を検出する方法が知られており、イオン電流の検出は、例えば、点火プラグの電極間(中心電極と接地電極との間)に点火用高電圧とは逆極性の検出用電圧を印加し、電極間に流れる電流を検出することで行う。そして、点火プラグの電極間への検出用電圧は、点火コイルと点火プラグとを接続する通電経路を介して印加するため、この通電経路を用いてイオン電流の検出を行う場合、通電経路の抵抗値が大きくなると、正確にイオン電流を検出することができない虞がある。これは、イオン電流が微小な電流であり、通電経路の抵抗値の僅かな変化が検出精度に大きく影響を与えることになるからである。
【0055】
そこで、上述(請求項1から請求項10のいずれか)の内燃機関用点火装置は、請求項11に記載のように、混合気の燃焼後において点火プラグの中心電極と接地電極との間に流れるイオン電流を検出するためのイオン電流検出手段を備えるとよい。
【0056】
つまり、上述(請求項1から請求項10のいずれか)の内燃機関用点火装置は、プラグホールパイプとコイル本体部とが一体化された点火コイルと点火プラグとが直接接続していることから、配線ケーブルを介していない。具体的には点火プラグの中心電極と電気的に接続する端子電極と、点火コイルの二次巻線と電気的に接続される高電圧出力端子との間の距離が近くなり、端子電極と高電圧出力端子の接触性が良好となることから、イオン電流の検出精度が低下するのを抑えることができる。
【0057】
よって、本発明(請求項11)の内燃機関用点火装置によれば、精度良くイオン電流を検出することができ、内燃機関の運転状態(失火やノッキング等)を好適に検知することが可能となる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1(a)は、第1実施例の内燃機関用点火装置1に備えられる点火コイル9および点火プラグ11が、シリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー53との間に装着される状態を表す説明図であり、図1(b)は、点火コイル9および点火プラグ11が装着された後のシリンダヘッド51およびシリンダヘッドカバー53の断面図である。
【0059】
また、点火コイル9および点火プラグ11は、図2に示すように、それぞれ別々に構成されているが、点火コイル9は、図1(b)に示すように、点火プラグ11と一体に結合可能に構成されている。そして、一体に結合された点火コイル9および点火プラグ11は、点火プラグ11が内燃機関のシリンダヘッド51に設けられたプラグ配置孔51aに配置される状態で、シリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー53との間に配置される。
【0060】
なお、シリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー53との間に形成される空間には、吸気弁、排気弁を駆動するためのカムシャフト等からなる吸排気弁駆動機構(図1(a)および図1(b)では図示省略)が備えられており、この吸排気弁駆動機構を円滑に動作させるための潤滑油が循環されている。
【0061】
また、シリンダヘッド51は、点火プラグ11を配置するためのプラグ配置孔51aを備えている。なお、プラグ配置孔51aは、点火プラグ11(詳細には、後述する鍔部23のプラグ座面23a)と当接する段差面51bと、段差面51bよりも燃焼室55に近い側(図1(b)における下側)に設けられた第1壁面51cと、段差面51bよりもシリンダヘッドカバー53に近い側(図1(b)における上側)に設けられた第2壁面51dおよび第3壁面51eと、を備えている。
【0062】
そして、内燃機関用点火装置1は、点火コイル9や点火プラグ11の他に、パワースイッチング素子を有するイグナイタ(図1(a)および図1(b)では図示省略)等を備えている。そして、イグナイタが一次巻線L1の通電・遮断制御を行うことにより、点火コイル9の二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、この点火用高電圧が点火プラグ11に印加されると、点火プラグ11の中心電極17と接地電極21との間に形成される火花放電ギャップgに火花放電が発生する。つまり、内燃機関用点火装置1は、点火プラグ11の火花放電ギャップgに火花放電を発生し、この火花放電によって混合気への着火を行うための装置である。
【0063】
次に、点火コイル9は、図1(b)または図2に示すように、長軸状の鉄芯であるコアCOと、コアCOの周囲に配置される二次巻線L2と、二次巻線L2の周囲に配置される一次巻線L1とからなるコイル本体部37を備えており、このコイル本体部37が略円筒形状の保護外筒31に収容されつつ一体化されて構成されている。
【0064】
また、コイル本体部37の後端部(図1(b)における上部)には、一次巻線L1と外部機器(バッテリなど)とを電気的に接続するためのコネクタ部39が備えられ、コイル本体部37の先端側には、二次巻線L2に発生する点火用高電圧の出力端子である高電圧出力端子41が備えられている。この点火コイル9においては、外部機器による一次巻線L1への通電電流の通電・遮断制御により、コイルコアCOの磁束密度が急峻に変化することで、二次巻線L2に点火用高電圧が発生する。なお、本明細書においては、点火プラグ11の軸方向端部のうち、点火プラグ11の火花放電ギャップgが形成される側を先端側、その軸方向に向かって反対側(後述する端子電極13が形成される側)を後端側とする。
【0065】
そして、点火コイル9の保護外筒31は、ステンレスやアルミニウム等の金属材料で形成され、後端31aおよび先端31bがそれぞれ開口した略円筒形状に形成されている。なお、保護外筒31のうち、後端31aは、外径が円筒部分よりも拡径して、シリンダヘッドカバー53の開口部53aに当接可能な形状に形成されている。また、保護外筒31のうち、先端31b近傍の内径は、主体金具19における鍔部23の外径よりも縮径して、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aの第2壁面51dに圧入可能な形状に形成されている。
【0066】
また、保護外筒31は、コネクタ部39を後端31aから突出させると共に高電圧出力端子41を内部に収容する状態で、コイル本体部37を内部に収容している。更に、保護外筒31の内部のうち、コイル本体部37の先端側には、高電圧出力端子41の周囲を覆うように形成された絶縁性部材43が配置されている。なお、絶縁性部材43は、ゴムや樹脂などの絶縁性材料で形成されており、後述する点火プラグ11の端子電極13、絶縁体15の周囲を覆うように形成されている。
【0067】
次に、点火プラグ11は、図1(b)または図2に示すように、絶縁体15の軸孔の先端側(図1(b)における下側)に挿設された中心電極17と、絶縁体15の外側に設けられた主体金具19と、一端が主体金具19に結合されて他端が中心電極17との間で火花放電ギャップgを形成する接地電極21と、絶縁体15の軸孔の後端側(図1(b)における上側)に挿設されると共に中心電極17と電気的に接続される端子電極13と、を備えて構成されている。
【0068】
このうち、主体金具19には、シリンダヘッド51(詳細には、プラグ配置孔51aの段差面51b)と直接または他部材(具体的にはガスケット71)を介して接触するプラグ座面23aを先端側に有する鍔部23と、この鍔部23のプラグ座面23aから軸方向先端側に延設された外周表面にネジ溝が設けられていない円筒状の先端部25と、が備えられている。また、鍔部23の後端側には、後端面23bが形成されている。なお、主体金具19は、自身の後端部周縁を絶縁体15の外周部に向けて加締めてなる加締め部27を形成しており、この加締め部27により、主体金具19の内部に形成された金具側係合部(図示せず)に係合される絶縁体15の抜き止めがなされ、絶縁体15は主体金具19に対して保持される。
【0069】
また、保護外筒31は、点火プラグ11のうち主体金具19における鍔部23の後端面23bよりも後端側部分を、先端31bから内部に収容可能に構成されている。そして、保護外筒31は、上述したように先端31bの内径が点火プラグ11の鍔部23の外径よりも小さく形成され、先端31bが点火プラグ11の鍔部23の後端面23bに当接するよう形成されている。
【0070】
そして、点火プラグ11を下先端31b側から保護外筒31の内部に挿入することで、高電圧出力端子41と端子電極13とが嵌合接続され、絶縁性部材43が点火プラグ11の絶縁体15を保持することとなり、点火コイル9と点火プラグ11とが一体に結合される(直接に接続される)。このとき、保護外筒31の先端31bは、点火プラグ11の主体金具19における鍔部23の後端面23bに当接する。
【0071】
なお、高電圧出力端子41は、略円柱形状に形成されると共に点火コイル9の径方向に弾性変形する複数の接触部を備えており、この接触部は、点火コイル9の中心軸を中心として放射状に配置されると共に中心軸に向かう弾性力を有している。そして、端子電極13が略円柱形状に形成されていることから、高電圧出力端子41と端子電極13とを嵌合接続する際には、端子電極13が高電圧出力端子41の内部において放射状に配置された複数の接触部の中心部分に配置され、複数の接触部が自身の弾性力によって端子電極13に当接する状態となる。
【0072】
このように、複数の接触部が端子電極13に接触することから、高電圧出力端子41と端子電極13との接触面積が大きくなり、接触抵抗を低く抑えることができる。また、複数の接触部が弾性変形することから、内燃機関の振動が発生した場合でも、弾性変形によりいずれかの接触部が端子電極13との接触を維持することができ、高電圧出力端子41と端子電極13との接触不良が起こり難くなり、接触抵抗の変化を抑制することができる。さらに、このような接続構造であれば、高電圧出力端子41と端子電極13とが着脱可能となり、点火コイル9と点火プラグ11とを直接に接続した後に、両者を分離することが可能となる。
【0073】
そして、点火コイル9および点火プラグ11が直接に接続された後、保護外筒31が先端31bからシリンダヘッド51のプラグ配置孔51aに対して締まり嵌め状態で挿入されることで、保護外筒31の先端31bに近い外側表面が、プラグ配置孔51aの第2壁面51dに圧入固定され、直接に接続された点火コイル9および点火プラグ11がシリンダヘッドに固定される。
【0074】
なお、保護外筒31をプラグ配置孔51aに圧入する際には、ガスケット71が、主体金具19の鍔部23のプラグ座面23aと段差面51bとの間に挟持され、オイルシール63が、保護外筒31とプラグ配置孔51aの第3壁面51eとの間に配置される。また、プラグ配置孔51aのうち第1壁面51cは、点火プラグ11の先端部25と対向することになる。
【0075】
ここで、オイルシール63は、耐熱性を有する弾性変形可能な材料からなる環状に形成された部材であり、保護外筒31と第3壁面51eとの間で挟持されて断面形状が変形することで、保護外筒31とシリンダヘッド51(詳細には、第3壁面51e)との間に生じる間隙を封鎖する。よって、オイルシール63により、保護外筒31とシリンダヘッド51との間を潤滑油が浸透するのを防ぐことができる。また、このオイルシール63は、保護外筒31の外周側面に周方向に形成された有底筒状の凹部(図示せず)に嵌め込まれた状態で配置されており、保護外筒31をプラグ配置孔51aに圧入する際に、プラグ配置孔51aの第3壁面51eとの間で弾性変形しつつ、第3壁面51eとの間に挟持される。なお、図1(a)では、オイルシール63の図示を省略している。
【0076】
このあと、シリンダヘッドカバー53がシリンダヘッド51の上部に固定されることにより、保護外筒31の後端31aの拡径した部分がシリンダヘッドカバー53の開口部53aの周囲部分と当接する状態となる。
この結果、直接に接続された点火コイル9および点火プラグ11は、図1(b)に示すように、点火プラグ11がシリンダヘッド51のプラグ配置孔51aに配置され、点火コイル9の保護外筒31がシリンダヘッドカバー53の内面と当接する状態で、シリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー53との間に挟持される。
【0077】
なお、このとき、保護外筒31の後端31aの拡径した部分とシリンダヘッドカバー53の開口部53aの周囲部分との間には、潤滑油の浸透を防止するための第2オイルシール64(図1(a)および図1(b)参照)が配置されている。この第2オイルシール64により、保護外筒31の後端31aとシリンダヘッドカバー53との間から潤滑油が漏洩するのを防ぎ、潤滑油が後端31aから侵入して点火プラグ11に付着するのを防止している。また、エンジン外部に潤滑油が漏洩するのを防いでいる。
【0078】
このようにして、プラグ配置孔51aに装着された点火プラグ11は、プラグ配置孔51aに圧入された保護外筒31の先端31bが主体金具19の鍔部23の後端面23bに当接して、この保護外筒31が主体金具19の鍔部23のプラグ座面23aをシリンダヘッド51に対して押圧することによって、混合気の燃焼により燃焼圧が発生した場合でも、主体金具19の先端部25の外周表面にネジ溝を有さない点火プラグ11を安定してシリンダヘッド51に固定することができる。
【0079】
また、点火プラグ11は、上述したように主体金具19の先端部25の外周表面にネジ溝が設けられておらず、シリンダヘッド51への固定方法が螺合による方法ではないことから、主体金具19への接地電極21の結合部位置がプラグ配置孔51aの軸線を中心とした周方向の特定位置(図8で示す接地電極Xと混合気流のなす角度(θ=90°、270°))となる(換言すれば、接地電極21の燃焼室55内における配置位置が特定位置を満たす)ように設定がし易くなる。そして、主体金具19の先端部25がネジ溝を備えることなく筒状に形成されていることから、この点火プラグ11は、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aに対して螺合することなく挿入することができ、螺合により点火プラグをシリンダヘッドに装着する場合と比べて容易に点火プラグを装着することができる。
【0080】
このため、シリンダヘッド51に対する接地電極21の燃焼室55内における配置位置を予め設定し、直接に接続された点火コイル9および点火プラグ11をプラグ配置孔51aに装着することで、点火プラグ11の最終的な装着時における接地電極21の燃焼室55内における配置位置を特定位置に設定することが容易となる。そして、この後、シリンダヘッドカバー53をシリンダヘッド51の上部に固定して、点火コイル9および点火プラグ11をシリンダヘッドカバー53とシリンダヘッド51との間で挟持することで、点火コイル9および点火プラグ11をより安定してシリンダヘッド51に固定することができる。
【0081】
なお、本実施例の内燃機関用点火装置1においては、燃焼室55における混合気の乱流の方向を考慮して、混合気への着火性が良好となるように(図8で示す接地電極Xと混合気流のなす角度(θ=90°、270°))、接地電極21の燃焼室55内における配置位置を設定しつつ、点火コイル9を構成する保護外筒31によって、点火プラグ11をシリンダヘッド51に固定している。
【0082】
以上、説明したように、第1実施例の内燃機関用点火装置においては、点火コイル9の保護外筒31をプラグホールパイプとして構成することから、点火コイルとプラグホールパイプとを別個に備える場合に比べて、プラグホールパイプ(保護外筒31)の外径寸法を縮小することができ、シリンダヘッド51に対するプラグホールパイプ(保護外筒31)の占有領域を従来より縮小化することができ、吸排気弁機構などの他の機器の設置スペースを広く確保することが可能となる。あるいは、プラグホールパイプ(保護外筒31)の外径及び内径寸法をあまり変更しない設計とした場合には、保護外筒31におけるコイル本体部37の配置スペースを大きくすることができ、巻線量の増加などにより点火コイル9の能力を高めることも可能となる。
【0083】
また、この内燃機関用点火装置においては、コイル本体部37を保護するための保護外筒31の機能を、プラグホールパイプを利用して達成させたことから、シリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー53とで形成される内部空間において、点火コイルを設置するための設置スペースが有効に確保され、それにより点火コイル9と点火プラグ11とを配線ケーブルなどを介さずに直接かつ確実に接続することができる。
【0084】
そして、第1実施例の内燃機関用点火装置では、保護外筒31がプラグホールパイプとして構成された点火コイル9を備えていることから、点火コイル9をシリンダヘッド51へ固定することで、プラグホールパイプ(本実施例では保護外筒31)のシリンダヘッド51への固定作業も同時に実施することとなる。つまり、点火コイルおよびプラグホールパイプ(本実施例では保護外筒31)のシリンダヘッドへの固定作業を1回の作業で済ませることができる。
【0085】
また、点火プラグ11を点火コイル9と直接に接続させた状態で、シリンダヘッド51への固定作業を行うことができることから、点火コイルおよびプラグホールパイプに加えて、点火プラグ11のシリンダヘッド51への固定作業も同時に行うことができる。
【0086】
そして、点火プラグ11は、主体金具19にネジ溝を有さない構造であることから、主体金具19の接地電極21の結合部位置がプラグ配置孔51aの軸線を中心とした周方向の特定位置となるように設定し易くなる。そして、本実施例の内燃機関用点火装置1は、特に混合気への着火性が良好となるように接地電極21の燃焼室55内における配置位置が設定されることから、混合気への着火性が良好に得られる。
【0087】
また、点火コイル9の保護外筒31が、プラグ配置孔51aへの圧入により第2壁面51dに挟持されると共に、さらにシリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー53との間で挟持され、かつシリンダヘッド51に固定されるこの保護外筒31によって、点火プラグ11をシリンダヘッド51に対して押圧することから、直接に接続された点火コイル9および点火プラグ11は、強固にシリンダヘッド51に固定されることになる。このため、主体金具19にネジ溝を有さない点火プラグ11は、混合気の燃焼により燃焼圧が発生した場合でも、確実にシリンダヘッド51に固定される。
【0088】
さらに、絶縁性部材43が、高電圧出力端子41と端子電極13との接続部分の周囲を覆うことから、端子電極13と主体金具19との間でのコロナ放電や、高電圧出力端子41と保護外筒31あるいは端子電極13と保護外筒31との間での放電の発生を防ぐことが可能となる。
【0089】
ここで、内燃機関用点火装置においては、主体金具19への接地電極21の結合部位置が、確実にプラグ配置孔51aの軸線を中心とした周方向の特定位置となるように、点火プラグ11の代わりに、図6に示す第2点火プラグ11a、第3点火プラグ11bおよび第4点火プラグ11cのいずれかを用いて構成しても良い。
【0090】
まず、第2点火プラグ11aは、主体金具19の鍔部23の外周側面に、軸方向に延びる位置設定部としての突条部65を備えており、図6(a)に側方から見た第2点火プラグ11aの外観図を示し、図6(b)に先端側から見た第2点火プラグ11aの外観図を示す。そして、この突条部65は、接地電極21との相対位置を図6(b)に示すように一定にして形成していることから、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aの第2壁面51d(図1参照)に、突条部65と嵌合可能な設定対応部としての嵌合溝を設けて、第2点火プラグ11aをプラグ配置孔51aに挿入しつつ、主体金具19に形成される突条部65をシリンダヘッド51に形成される上記嵌合溝に嵌合させるだけで、接地電極21の燃焼室55内における配置位置を一定に維持することができる。なお、このときシリンダヘッド51における嵌合溝の位置は、主体金具19への接地電極21の結合部位置がプラグ配置孔51aの軸線を中心とした周方向の特定位置となるように、さらに接地電極21と突条部65との相対関係を考慮して予め設定される。
【0091】
また、図6(b)から判るように、第2点火プラグ11aにおいては、主体金具19の鍔部23の外周表面における周方向位置のうち、突条部65の設置位置は、接地電極21の主体金具19への結合部位置と同一位置となっている。しかし、鍔部23の周方向位置における突条部65の設置位置は、接地電極21の主体金具19の結合部位置と同一位置に限定されることはない。但し、このときシリンダヘッド51側に形成される嵌合溝の位置は、上述したように、接地電極21と突条部65との相対位置関係、および燃焼室55内における接地電極21の特定位置関係を考慮して適宜設定する必要がある。なお、この突条部65は、第2点火プラグ11aでは主体金具19の鍔部23の外周側面に形成されるものであったが、主体金具19の先端部25の外周に形成してもよい。このとき、シリンダヘッド51側では、その先端部25に形成される突条部に対応するべく、プラグ配置孔51aの第1壁面51cに嵌合溝を適宜形成すればよい。
【0092】
また、第3点火プラグ11bは、主体金具19の鍔部23の側面に、軸方向に延びる位置設定部としての溝部67を備えており、図6(c)に側方から見た第3点火プラグ11bの外観図を示し、図6(d)に先端側から見た第3点火プラグ11bの外観図を示す。そして、この溝部67は、接地電極21との相対位置を図6(d)に示すように一定に形成していることから、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aに、溝部67と嵌合可能な設定対応部としての嵌合突部を設けて、第3点火プラグ11bをプラグ配置孔51aに挿入しつつ、主体金具19に形成される溝部67をシリンダヘッド51に形成される上記嵌合突部に嵌合させるだけで、接地電極21の燃焼室55内における配置位置を一定に維持することができる。なお、このときシリンダヘッド51における嵌合突部の位置は、主体金具19への接地電極21の結合部位置がプラグ配置孔51aの軸線を中心とした周方向の特定位置となるように、さらに接地電極21と突条部65との相対関係を考慮して予め設定される。
【0093】
また、図6(d)から判るように、第3点火プラグ11bにおいては、主体金具19の鍔部23の外周表面における周方向位置のうち、溝部67の設置位置は、接地電極21の主体金具19への結合部位置と同一位置となっている。しかし、鍔部23の周方向位置における溝部67の設置位置は、接地電極21の主体金具19への結合部位置と同一位置に限定されることはない。但し、このときシリンダヘッド51側に形成される嵌合突部の位置は、上述したように、接地電極21と溝部67との相対位置関係、および燃焼室55内における接地電極21の特定位置関係を考慮して適宜設定する必要がある。なお、この溝部67は、第3点火プラグ11bでは主体金具19の鍔部23の外周側面に形成されるものであったが、主体金具19の先端部25の外周に形成してもよい。このとき、シリンダヘッド51側では、その先端部25に形成される溝部に対応するべく、プラグ配置孔51aの第1壁面51cに嵌合突部を適宜形成すればよい。
【0094】
さらに、第4点火プラグ11cは、主体金具19の鍔部23の側面に位置設定部としての平面部69を備えており、図6(e)に側方から見た第4点火プラグ11cの外観図を示し、図6(f)に先端側から見た第4点火プラグ11cの外観図を示す。そして、この平面部69は、接地電極21との相対位置が図6(f)に示すように一定にして形成していることから、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aに、平面部69と嵌合可能となるように当該平面部69と対向する設定対応部としての対向平面部を設けて、第4点火プラグ11cをプラグ配置孔51aに挿入しつつ、主体金具19に形成される平面部69をシリンダヘッド51に形成される上記対向平面部に嵌合させるだけで、接地電極21の燃焼室55内における配置位置を一定に維持することができる。なお、このときシリンダヘッド51に形成される対向平面部の位置は、主体金具19への接地電極21の結合部位置がプラグ配置孔51aの軸線を中心とした周方向の特定位置となるように、さらに接地電極21と平面部69との相対関係を考慮して予め設定される。
【0095】
また、図6(f)から判るように、第4点火プラグ11cにおいては、主体金具19の鍔部23の外周表面における周方向位置のうち、平面部69の形成位置は、接地電極21の主体金具19への結合部位置と同一位置となっている。しかし、鍔部23の周方向位置における平面部69の設置位置は、接地電極21の主体金具19への結合部位置と同一位置に限定されることはない。
【0096】
但し、このときシリンダヘッド51側に形成される対向平面部の位置は、上述したように、接地電極21と平面部69との相対位置関係、および燃焼室55内における接地電極21の特定位置関係を考慮して適宜設定する必要がある。
また、第4点火プラグ11cは、主体金具19の鍔部23の断面形状(第4点火プラグ11cの軸方向に垂直な平面での断面形状)が、円の一部を切除した形状であるが、鍔部23の断面形状は、この他に多角形(六角形など)や楕円形等の円以外の形状に形成しても良い。そして、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aにおける対応部分の断面形状を、点火プラグの鍔部23が配置可能な形状とすることで、シリンダヘッド51に対する接地電極21の相対位置を、確実かつ容易に特定位置に設定できる。
【0097】
次に、第2実施例として、フランジ部75を有する第2保護外筒73を用いて形成された第2点火コイル9aを備える内燃機関用点火装置について説明する。なお、第2実施例の内燃機関用点火装置に備えられる点火プラグは、第1実施例の点火プラグ11と同様の構成である。
【0098】
そして、直接に接続された第2点火コイル9aおよび点火プラグ11が配置された状態のシリンダヘッド51の断面図を図3に示す。なお、第2点火コイル9aについては、第2保護外筒73の先端側部分の外表面を表しており、第2保護外筒73の内部には第1実施例と同様のコイル本体部(図3では図示省略)が備えられている。また、点火プラグ11については、鍔部23の後端面23bよりも後端側の部分(端子電極13や絶縁体15)が、第2保護外筒73の内部に配置されている。
【0099】
なお、図3に示すように、シリンダヘッド51には吸気弁57および排気弁59が備えられ、さらにシリンダヘッド51の上部には、吸気弁57および排気弁59を駆動するためのカムシャフト61などからなる吸排気弁駆動機構が備えられている。そして、シリンダヘッド51とシリンダヘッドカバー(図3では図示省略)との間の内部空間では、この吸排気弁駆動機構を円滑に動作させるための潤滑油が循環されている。
【0100】
図3に示すように、第2保護外筒73は、その外周表面から径方向外向きに突出して形成されたフランジ部75を備えており、フランジ部75にはボルト77を挿通可能な貫通孔75aが設けられている。なお、図3においては、フランジ部75とボルト77との位置関係を明確にするために、フランジ部75を透視した場合のボルト77を表している。また、このフランジ部75については、本実施例のように第2保護外筒73の外周の全周にわたって外向きに突出して形成されていてもよいし、外周の全周に対して断続的に1または複数外向きに突出して形成されていてもよい。そして、点火プラグ11が第2保護外筒73の先端73bから内部に収容されて、第2保護外筒73の先端73bと点火プラグ11における主体金具19の鍔部23の後端面23bとが当接しつつ、第2点火コイル9aと点火プラグ11とが直接に接続される。
【0101】
このとき、第2保護外筒73の先端73bからフランジ部75の先端側表面までの長さは、プラグ配置孔51aの第2壁面51dの軸方向長さから点火プラグ11の鍔部23の軸方向長さおよびガスケット71の弾性変形する前の軸方向長さ(厚さ)を差し引いた長さより長く設定されている。これにより、フランジ部75をボルト77によりシリンダヘッド51に固定した際に、第2保護外筒73の先端73bが主体金具19の鍔部23の後端面23bに当接可能となり、第2保護外筒73の先端73bにより、点火プラグ11(詳細には、プラグ座面23a)をシリンダヘッド51(詳細には、プラグ配置孔51aの段差面51b)に対して押圧することができる。
【0102】
なお、第2保護外筒73のフランジ部75は、貫通孔75aを通じてシリンダヘッド51に螺合固定されるボルト77によって、シリンダヘッド51に固定されるものであり、シリンダヘッド51には、ボルト77と螺合可能な雌ネジ部51gが形成されている。
【0103】
また、第2保護外筒73の外周表面のうちフランジ部75と先端73bとの間の外周表面と、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aの第2壁面51dとの間には、オイルシール63が配置されており、点火プラグ11への潤滑油の侵入を防いでいる。なお、第2実施例のシリンダヘッド51のプラグ配置孔51aは、段差面51b、第1壁面51cおよび第2壁面51dを備えているが、第1実施例のプラグ配置孔51aとは異なり第3壁面は備えていない。また、このオイルシール63は、第2保護外筒73の外周表面に周方向に形成された有底状の凹部73cに嵌めこまれた状態で配置されており、第2保護外筒73をシリンダヘッド51にフランジ部75により固定する際に、このオイルシール63は、プラグ配置孔51aの第2壁面51dとの間で弾性変形しつつ、第2壁面51dとの間に挟持される。
【0104】
以上説明したように、第2実施例の内燃機関用点火装置は、ボルト77でフランジ部75を固定することで、第2保護外筒73がシリンダヘッド51に固定されるよう構成されている。このため、ボルト77を取り外すことで、固定後の第2保護外筒73(第2点火コイル9a)および点火プラグ11をシリンダヘッド51から取り外すことが可能となる。
【0105】
したがって、第2実施例の内燃機関用点火装置によれば、第1実施例の内燃機関用点火装置と同様に、第2保護外筒73による点火プラグ11の装着時において、接地電極21の燃焼室55内における配置位置を点火プラグ11が最適な着火性をもたらす位置に設定することができる。また、第2保護外筒73をシリンダヘッドから取り外し、第2保護外筒73から点火プラグ11を取り外すことにより、点火プラグ11の交換が可能となるため、多くの種類の内燃機関に適用することが可能となる。
【0106】
続いて、第3実施例として、小型フランジ部91を有する第3保護外筒89を用いて形成された第3点火コイル9bと、第3保護外筒89をシリンダヘッド51に固定するためのナット部材としての円筒形固定部材87と、を備える内燃機関用点火装置について説明する。なお、第3実施例の内燃機関用点火装置に備えられる点火プラグは、第1実施例の点火プラグ11と同様の構成である。また、シリンダヘッド51に設けられる吸排気弁駆動機構については第2実施例と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0107】
そして、直接に接続された第3点火コイル9bおよび点火プラグ11が、円筒形固定部材87により固定された状態のシリンダヘッド51の断面図を図4に示す。なお、第3点火コイル9bについては、第3保護外筒89の先端側部分の外表面を表しており、第3保護外筒89の内部には第1実施例と同様のコイル本体部(図3では図示省略)が備えられている。また、点火プラグ11については、鍔部23の後端面23bよりも後端側の部分(端子電極13や絶縁体15)が、第3保護外筒89の内部に配置されている。
【0108】
まず、円筒形固定部材87は、内径が第3保護外筒89の円筒部分を挿通可能な大きさであり、外周表面にネジ溝87cを有する略円筒形状に形成されている。
また、第3保護外筒89は、図4に示すように先端89bの近傍に径方向外向きに突出する小型フランジ部91を備えている。そして、第3保護外筒89の後端89aは、外径寸法が円筒部分と同じ寸法に形成されており、円筒形固定部材87の内側に挿通可能な大きさに形成されている。なお、図4では、第3保護外筒89の軸方向の中間部分を省略して表している。
【0109】
さらに、シリンダヘッド51のプラグ配置孔51aの第2壁面51dには、円筒形固定部材87のネジ溝87cに対応して螺合可能なネジ溝51hが形成されている。
そして、第3点火コイル9bおよび点火プラグ11をシリンダヘッド51のプラグ配置孔51aに挿入した後、円筒形固定部材87を後端89aから第3保護外筒89に挿通し、ネジ溝87cとネジ溝51hとの螺合により円筒形固定部材87をシリンダヘッド51に固定する。このとき、円筒形固定部材87は、シリンダヘッド51に螺合により固定されると共に、自身の軸方向の先端87bで小型フランジ部91に当接して、第3保護外筒89をシリンダヘッド51の方向に押圧する。このように、第3保護外筒89が円筒形固定部材87により押圧されることで、主体金具19にネジ溝を有さない点火プラグ11についてもシリンダヘッド51に対して押圧されることになり、かつ、第3点火コイル9bおよび点火プラグ11がシリンダヘッド51に固定される。
【0110】
そして、このような円筒形固定部材87を用いる場合、小型フランジ部91は、円筒形固定部材87の先端87bと当接可能な大きさに形成されていれば、シリンダヘッド51に固定可能となる。このことから、例えば、ボルトを用いる場合に比べて、フランジ部の大きさ(詳細には、保護外筒の外側表面から径方向へ延設される部分の大きさ)を縮小することができる。
【0111】
よって、第3実施例の内燃機関用点火装置によれば、フランジ部を小型化できるため、シリンダヘッド51の上部における他の機器の設置スペースを広く確保することができる。また、第3保護外筒89および円筒形固定部材87による点火プラグ11の装着時において、接地電極21の燃焼室55内における配置位置を点火プラグ11が最適な着火性をもたらす位置に設定することができる。
【0112】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例に限定されることなく、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施例では、フランジ部を備える保護外筒として、第2保護外筒73および第3保護外筒89のように、外側全周にわたりフランジ部が形成された保護外筒について説明したが、図5に示すような2つの分割フランジ部93cが周方向に断続的に設けられた第4保護外筒93を用いてもよい。そして、第4保護外筒93を用いて構成した第4点火コイル9cが装着されたシリンダヘッド51の断面図を図5(a)に示す。
【0113】
図5(a)に示すように、第4保護外筒93は2つの分割フランジ部93cが設けられており、この第4保護外筒93を用いて形成された第4点火コイル9cは、係合部85を備えるシリンダヘッド51に対して固定される。なお、係合部85は、シリンダヘッド51の上面から上方向に延設されると共に、延設部分の上側部分から内側へ向かう横方向に延設された当接部分を備え、この当接部分が、分割フランジ部93cとの間に配置される挿入固定部材83と当接するように形成されている。
【0114】
ここで、第4点火コイル9cとシリンダヘッド51の係合部85との間に挿入固定部材83を挿入する状態を表す模式図を図5(b)に示す。なお、図5(b)は、シリンダヘッド51を上方から見下ろした場合における、第4点火コイル9c、シリンダヘッド51の係合部85および挿入固定部材83を模式的に表している。
【0115】
そして、直接に接続させた第4点火コイル9cおよび点火プラグ11をシリンダヘッド51に固定するには、まず、接地電極21の燃焼室内における配置位置を決定して、分割フランジ部93cが係合部85と干渉しないように、プラグ配置孔51aに挿入する。このとき、分割フランジ部93cと係合部85とが最も近接するように一体に結合された第4点火コイル9cおよび点火プラグ11の位置を定めた状態で、挿入作業を行う。そして、一体に結合された第4点火コイル9cおよび点火プラグ11がプラグ配置孔51aに挿入された後、分割フランジ部93cと係合部85との間に挿入固定部材83を挿入する。この結果、分割フランジ部93cがプラグ配置孔51aから抜け出るのを、係合部85および挿入固定部材83が阻止することになり、一体に結合された第4点火コイル9cおよび点火プラグ11を、シリンダヘッド51に固定することができる。
【0116】
また、別の態様として、係合部85および分割フランジ部93cを、挿入固定部材83が存在しない状態でも互いに当接可能な形状に構成してもよい。つまり、この場合、分割フランジ部93cと係合部85とが干渉しない状態で、一体に結合された第4点火コイル9cおよび点火プラグ11をプラグ配置孔51aに挿入した後、一体に結合された第4点火コイル9cおよび点火プラグ11を回転させることで、分割フランジ部93cと係合部85とが互いに当接し、第4点火コイルおよび点火プラグ11がシリンダヘッド51に固定されることになる。
【0117】
また、内燃機関用点火装置では、シリンダヘッドカバーのみで点火コイルおよび点火プラグをシリンダヘッドに固定してもよく、この場合には、保護外筒をシリンダヘッドに固定するための固定部材を新規に追加する必要がないことから、部品点数の増加を抑えることができ、製造コストの抑制を図ることができる。また、点火プラグの交換が可能であることから、この内燃機関用点火装置は、多くの種類の内燃機関に適用することができる。
【0118】
更に、内燃機関用点火装置は、イオン電流検出回路を備えて構成しても良い。ここで、イオン電流検出回路(イオン電流検出部)を備えた内燃機関用点火装置の電気回路図の一例を図7に示す。
図7に示すように、内燃機関用点火装置5は、一次巻線L1に電気エネルギ(例えば電圧12V)を供給する直流電源装置(バッテリ)111と、一次巻線L1と二次巻線L2とを備えた点火コイル9と、一次巻線L1と直列接続されたイグナイタとしてのnpn型トランジスタからなる主制御用トランジスタ115と、二次巻線L2とともに閉ループを形成して中心電極17と接地電極21との間に火花放電を発生する点火プラグ11と、二次巻線L2および点火プラグ11からなる閉ループ上に設けられて、イオン電流の大きさに比例した第1検出電圧Vioを出力するイオン電流検出回路129と、イオン電流検出回路129から出力される第1検出電圧Vioに基づきイオン電流信号Sioを出力するイオン電流変換回路141と、点火プラグ11に火花放電を発生させるために主制御用トランジスタ115に対して点火指令信号IGを内燃機関の運転状態に基づいて出力し、また、イオン電流変換回路141からのイオン電流信号Sioが入力される内燃機関制御用の電子制御装置(以下、ECUと呼ぶ)121と、を備えている。
【0119】
そして、ECU121が、主制御用トランジスタ115を駆動制御して、一次巻線L1への通電・遮断を行うことで、二次巻線L2の両端に点火用高電圧を発生させ、点火プラグ11の電極17−21間に火花放電を発生させる。
次に、イオン電流検出回路129は、一端が接地されたイオン電流検出抵抗131と、このイオン電流検出抵抗131の接地側とは反対側の端部に直列接続されたコンデンサ135と、カソードが接地されるとともにアノードがイオン電流検出抵抗131とコンデンサ135との接続点に接続されて、イオン電流検出抵抗131に並列接続されたダイオード133と、カソードがコンデンサ135におけるイオン電流検出抵抗131との接続側とは反対側の端部と接続され、アノードが接地されたツェナーダイオード137とを備えて構成されている。このように構成されたイオン電流検出回路129は、コンデンサ135とツェナーダイオード137との接続点が二次巻線L2に接続されており、イオン電流検出抵抗131とコンデンサ135との接続点がイオン電流変換回路141に接続されている。
【0120】
そして、イオン電流検出回路129では、火花放電が発生した直後においては、二次巻線L2から流れ込む二次電流i2(放電電流)は、コンデンサ135,ダイオード133を通過する経路を通って流れる。そして、二次電流i2の通電によりコンデンサ135が充電されて、コンデンサ135の両端電圧がツェナーダイオード137のツェナー電圧と等しくなると、ツェナーダイオード137がツェナー降伏して、二次電流i2はツェナーダイオード137を通じて流れることになる。この時、コンデンサ135は、充電状態を維持している。
【0121】
このあと、二次巻線L2における点火用高電圧が低下して火花放電が終了し、点火用高電圧による二次電流i2が流れなくなると、充電されたコンデンサ135の放電により、コンデンサ135,二次巻線L2,点火プラグ11,グランド、イオン電流検出抵抗131の順にイオン電流Iioが流れる。このとき、イオン電流検出抵抗131の両端電圧は、イオン電流Iioの大きさに比例することから、第1検出電圧Vioはイオン電流Iioに比例した値を示し、イオン電流変換回路141は、第1検出電圧Vioに基づきイオン電流信号SioをECU121に出力する。なお、ECU121は、イオン電流信号Sioの解析処理を行うことで、例えば、失火判定やノック判定などを行っている。
【0122】
そして、ECU121では、これらの判定結果に基づき、内燃機関の点火時期や燃料供給量などを総合的に制御する。
このように、イオン電流を検出する場合、二次巻線L2と点火プラグ11とを接続する通電経路における抵抗値の変化が検出精度に大きく影響を与えるが、本発明のように点火プラグと点火コイルとが直接接続されることで、通電経路の抵抗値の変化を抑えることができ、イオン電流の検出精度を向上させることができる。
【0123】
なお、イオン電流検出回路129は、特許請求の範囲に記載のイオン電流検出手段に相当するものである。
さらに、点火コイルを構成するプラグホールパイプとしての機能を併せ持つ保護外筒をシリンダヘッドに固定しつつ、保護外筒により主体金具にネジ溝を有さない点火プラグをシリンダヘッドに押圧する方法としては、上述の実施例に限定されることはない。例えば、点火コイルを構成する保護外筒の外周にネジ溝を設けると共に、シリンダヘッドにも上記ネジ溝に対応するネジ溝を設けて、プラグホールパイプとして構成される保護外筒を螺合によりシリンダヘッドに固定する。そして、保護外筒の一部を点火プラグに当接させて当該点火プラグの主体金具における鍔部のプラグ座面をシリンダヘッドに対して押圧しつつ、直接に接続される点火コイルと点火プラグとをシリンダヘッドに固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、点火コイルおよび点火プラグが、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間に装着される状態を表す説明図であり、(b)は、点火コイルおよび点火プラグが装着された後のシリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーの断面図である。
【図2】 点火コイルおよび点火プラグを分離した状態を表す説明図である。
【図3】 一体に結合された第2点火コイルおよび点火プラグが配置された状態のシリンダヘッドの断面図である。
【図4】 一体に結合された第3点火コイルおよび点火プラグが、円筒形固定部材により固定された状態のシリンダヘッドの断面図である。
【図5】 (a)は、一体に結合された第4点火コイルおよび点火プラグが装着された状態のシリンダヘッド51の断面図であり、(b)は、第4点火コイルとシリンダヘッドの係合部との間に挿入固定部材を挿入する状態を表す模式図である。
【図6】 (a)は側方から見た第2点火プラグの外観図であり、(b)は先端側から見た第2点火プラグの外観図であり、(c)は側方から見た第3点火プラグの外観図であり、(d)は先端側から見た第3点火プラグの外観図であり、(e)は側方から見た第4点火プラグの外観図であり、(f)は先端側から見た第4点火プラグの外観図である。
【図7】 イオン電流検出回路を備えた内燃機関用点火装置の電気回路図である。
【図8】 (a)は、点火プラグをシリンダヘッドに取り付ける際の状態を表す説明図であり、(b)は、(a)に示すようにシリンダヘッドに取り付けた時の点火プラグを燃焼室側から見たときの状態を表す説明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、9,9a,9b,9c…点火コイル、11,11a,11b,11c…点火プラグ、13…端子電極、15…絶縁体、17…中心電極、19…主体金具、21…接地電極、23…鍔部、23a…プラグ座面、31…保護外筒、41…高電圧出力端子、43…絶縁性部材、51…シリンダヘッド、51a…プラグ配置孔、53…シリンダヘッドカバー、63…オイルシール、65…突条部、67…溝部、69…平面部、71…ガスケット、73…第2保護外筒、75…フランジ部、87…円筒形固定部材、89…第3保護外筒、91…小型フランジ部、93…第4保護外筒、93c…分割フランジ部、129…イオン電流検出回路、CO…コア、L1…一次巻線、L2…二次巻線。

Claims (11)

  1. 絶縁体の軸孔の先端側に挿設された中心電極と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金具と、前記主体金具に結合されて前記中心電極との間で火花放電ギャップを形成する接地電極とを有すると共に、内燃機関のシリンダヘッドに形成されるプラグ配置孔に配置される点火プラグと、
    一次巻線、二次巻線およびコイルコアからなるコイル本体部を備えると共に、前記コイル本体部を内部に収容する形態で該コイル本体部と一体化された筒状の保護外筒とを備える点火コイルと、
    を直接に接続し、混合気への着火を行うための火花放電を前記点火プラグの前記火花放電ギャップに発生する内燃機関用点火装置であって、
    前記点火プラグの前記主体金具は、前記シリンダヘッドと直接または他部材を介して間接的に接触するプラグ座面を先端側に有する鍔部と、該鍔部の前記プラグ座面から軸方向先端側に延設された外周にネジ溝が設けられていない筒状の先端部とを備えている一方、
    前記点火コイルの前記保護外筒が、前記主体金具のプラグ座面より後端側に配置される形態で前記シリンダヘッドに固定される筒状のプラグホールパイプであって、前記点火プラグを潤滑油から隔離するためのプラグホールパイプとして構成され、
    前記保護外筒によって、前記主体金具のプラグ座面が前記シリンダヘッドに対して押圧され、かつ前記点火プラグが前記シリンダヘッドに固定されており、
    前記シリンダヘッドの上部に設けられるシリンダヘッドカバーを備え、
    前記保護外筒は、前記シリンダヘッドカバーと前記シリンダヘッドとの間で挟持されることで当該シリンダヘッドに固定されること、
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 前記点火プラグは、前記絶縁体の軸孔の後端側に挿設されると共に前記中心電極に電気的に接続される端子電極を有する一方、
    前記点火コイルは、前記コイル本体部の二次巻線にて発生した点火用高電圧を前記点火プラグの前記端子電極に印加するための高電圧出力端子を有しており、
    前記高電圧出力端子と前記端子電極とが、着脱可能に接続されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 前記保護外筒は、圧入により前記シリンダヘッドに固定されること、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 前記保護外筒は、その外周表面から外向きに突出して形成されたフランジ部を備え、
    該フランジ部を利用して、前記保護外筒が前記シリンダヘッドに固定されること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  5. 貫通孔を有し、外周表面にネジ溝が形成された筒状のナット部材を備えており、前記ナット部材が、前記貫通孔において前記保護外筒に対し後端側から外挿されて、螺合により前記シリンダヘッドに固定されると共に、自身の一部を前記保護外筒に接触させることで、前記保護外筒を前記シリンダヘッドに固定すること、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  6. 前記保護外筒は、その外周表面にネジ溝が形成されて、前記シリンダヘッドに設けられたネジ溝との螺合により当該シリンダヘッドに固定されること、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  7. 前記点火プラグは、前記シリンダヘッドへの装着時であって前記プラグ配置孔の軸方向を中心に回転させたときに、前記シリンダヘッドと1または複数箇所にて嵌合し合う位置設定部を前記主体金具に備える一方、
    前記シリンダヘッドは、前記位置設定部に対応する設定対応部を備えており、
    前記点火プラグを前記プラグ配置孔に配置したときに、前記主体金具への前記接地電極の結合位置が前記プラグ配置孔の軸線を中心とした周方向の所定位置に設定されること、
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
  8. 前記点火プラグは、前記絶縁体の軸孔の後端側に挿設されると共に前記中心電極に電気的に接続される端子電極を有する一方、
    前記点火コイルは、前記コイル本体部の二次巻線にて発生した点火用高電圧を前記点火プラグの前記端子電極に印加するための高電圧出力端子を有しており、
    前記点火コイルの前記高電圧出力端子と前記点火プラグの前記端子電極との接続部分の周囲を覆う絶縁部材を備えたこと
    を特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
  9. 前記保護外筒と前記シリンダヘッドとの間にオイルシール部材を備えること、
    を特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
  10. 前記点火プラグの主体金具の外側に環状のガスケットが備えられ、前記ガスケットを介して前記点火プラグと前記シリンダヘッドとが接触していること、
    を特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
  11. 混合気の燃焼後において前記点火プラグの前記中心電極と前記接地電極との間に流れるイオン電流を検出するためのイオン電流検出手段を備えたこと、
    を特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
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