JP2822093B2 - W/o/w型乳化化粧料 - Google Patents

W/o/w型乳化化粧料

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はコウジ酸及び/又はその誘導体が安定に配合
されており、しかも乳化安定性及び安全性に優れたW/O/
W型乳化化粧料に関する。
〔従来の技術〕 コウジ酸及びその誘導体はメラニン生成抑制作用を有
し、優れた美白効果を有することから、これを化粧料に
配合することが行われている(特開昭53−18739号、同5
6−7776号、同56−79616号、同59−33207号)。
しかし、コウジ酸及びその誘導体は非常に不安定な物
質で、光、空気、金属イオンの存在、アルカリ性pH等に
よって分解、着色を生ずる。従って、従来これを防止す
るために、紫外線吸収剤、キレート剤を配合する方法、
あるいはpHを酸性に調整する方法などがとられてきた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記のような従来の方法ではコウジ酸
及びその誘導体の分解、着色を充分に防止することがで
きないと共に、キレート剤の配合及び酸性pHへの調整
によって、特に乳化化粧料においては、使用しうる乳化
剤や水溶性高分子が制限され、処方的な制約を受ける、
コウジ酸及びその誘導体はpHが低いほど安定である
が、酸性が強くなると、安全性の点で問題があるという
欠点があった。
〔課題を解決するための手段〕
斯かる実情において、本発明者は、上記欠点を克服せ
んと鋭意研究を行った結果、特定の親油性界面活性剤を
使用すればコウジ酸及び/又はその誘導体を含む酸性pH
の水相を内相とする安定なW/O型乳化物が得られるこ
と、そしてこのW/O型乳化物を内相とするW/O/W型乳化物
とすれば、上記欠点を克服したコウジ酸及び/又はその
誘導体含有化粧料が得られることを見出し、本発明を完
成した。
すなわち、本発明は、(A)(i)コウジ酸及び/又
はその誘導体を含有するpH3.0〜5.5の内水相成分、(i
i)ジグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンヒマシ油及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選
ばれる親油性界面活性剤、及び(iii)油相成分からな
るW/O型乳化物、(B)親水性界面活性剤並びに(C)
外水相成分からなるW/O/W型乳化化粧料を提供するもの
である。
本発明で用いられるコウジ酸又はその誘導体は、次の
一般式(I) (式中、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、水素原
子又は炭素数3〜22のアシル基もしくはアルキル基を示
す) で表わされるものである。
コウジ酸は、アスペルギルス属、ペニシリウム属、ア
セトバクター属等の微生物などによる発酵生成物から抽
出、精製したものでも、精製工程を省いた抽出物のまま
のものでもよく、更に、合成によって得られるものでも
よい。
また、コウジ酸誘導体としては、上記コウジ酸から合
成されるものが使用でき、そのエステルとしては、例え
ばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、
コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸モノステアレー
ト、コウジ酸モノシンナメート、コウジ酸モノベンゾエ
ート等のモノエステル;コウジ酸ジブチレート、コウジ
酸ジパルミテート、コウジ酸ジステアレート、コウジ酸
ジオレエート等のジエステルなどが挙げられる。
これらコウジ酸及びその誘導体は、単独で、又は2種
以上を組み合わせて用いることができ、これらは、その
美白効果及び経時安定性を考慮して、本発明W/O/W型乳
化化粧料中に0.0001〜1.0重量%(以下、単に%で示
す)、特に0.01〜1.0%配合するのが好ましい。
これらのコウジ酸及び/又はその誘導体はW/O型乳化
物の内水相に溶解して配合される。この内水相はpH3.0
〜5.5、好ましくはpH3.5〜4.5に調整されるが、このpH
調整には、クエン酸、コハク酸、乳酸、dl−リンゴ酸、
ピロリドンカルボン酸等の有機酸又はその塩を用いるの
が好ましい。斯かるコウジ酸及び/又はその誘導体を含
有するpH3.0〜5.5の内水相成分(i)の配合量は、全組
成の0.1〜20%が好ましい。
(ii)の親油性界面活性剤は単独で、又は2種以上の
混合物として使用することができ、その配合量は全組成
の0.001〜10%が好ましい。
(iii)の油相成分としては、通常化粧品、医薬部外
品に使用されているものであれば何れのものでもよく、
例えばオリーブ油、ヒマシ油等の植物油;ミツロウ、ラ
ノリン、キャンデリラワックス、木ロウ等のワックス
類;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィ
ンワックス等の炭化水素;その他エステル油、シリコン
油等を挙げることができる。これらの油相成分の配合量
は全組成の1〜40%が好ましい。
W/O型乳化物は、上記(i)〜(iii)成分から常法に
よって調製される。次いで、このW/O型乳化物(A)を
親水性界面活性剤(B)及び外水相成分(C)からなる
溶液中に添加して分散させれば本発明のW/O/W型乳化化
粧料が得られる。
ここにおいて、(B)の親水性界面活性剤としては、
高級脂肪酸塩、N−長鎖アシルアミノ酸及びその塩、N
−長鎖アシルメチルタウリン塩等のアニオン性界面活性
剤;ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコ
ール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
等の非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらは単独
で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)〜(C)成分の配合料は、(A)4〜40%、
(B)0.01〜5%及び(C)55〜95%が好ましい。更
に、前記の必須成分の他に、通常の化粧料に用いられる
水性成分、保湿剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、色
素、酸化防止剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、香料、
キレート剤、美容成分等を必要に応じて適宜配合するこ
とができる。特に酸性の系には配合することができなか
ったポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリ
マー等の水溶性高分子を(C)の外水相成分に溶解して
配合することができる。
〔実施例〕
次に試験例及び実施例を挙げて説明する。
試験例1 第1表に示す組成のW/O型乳化物を調製し、その安定
性を調べた。その結果は第1表のとおりである。
<製 法> A.(1)〜(4)を均一に混合溶解する(pH3.9)。
B.(5)〜(10)を均一に混合溶解する。
C.AをBに添加してW/O型乳化物を得る。
<W/O型乳化物の安定性> 調製から1日経過後の状態を外観で評価した。
○:変化なく良好 ×:分離、凝集あり 第1表の結果から明らかな如く、内水相にコウジ酸を
配合してW/O型乳化物を調製した場合、親油性界面活性
剤としてジグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油又はソルビタン脂肪酸エステルを用い
た試料及びは安定性が良好であったのに対し、ポリ
エチレングリコール脂肪酸エステル又はエチレングリコ
ールモノエステルを用いた試料及びは油分の分離等
が生じ、安定なものは得られなかった。尚、このW/O型
乳化物の安定性はW/O/W型乳化化粧料の安定性に関係す
るものである。
実施例1 第2表に示す組成の乳液を調製し、外水相のpH、コウ
ジ酸の経時安定性及び乳化安定性を評価した。その結果
は第2表のとおりである。
<製 法> 本発明品1〜3: A.(1)〜(4)を均一に混合溶解する(pH3.9)。
B.(5)及び(6)を均一に混合溶解した中にAを添加
する。
C.(7)〜(12)を75℃にて混合溶解する。
D.CにBを添加して、W/O型乳化物を得る。
E.(13)〜(21)を75℃にて混合溶解する。
F.EにDを加えて乳化をし、冷却して乳液を得る。
比較品1: A.(1)〜(4)、(13)〜(21)を75℃にて混合溶解
する。
B.(7)〜(12)を75℃にて混合溶解する。
C.AにBを加えて乳化をし、冷却して乳液を得る。
<評価基準> コウジ酸の経時安定性: 調製後40℃で6カ月経過したもののコウジ酸の残存量
を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。
○:95%以上 △:90%以上95%未満 ×:90%未満 乳化安定性: 調製後5℃及び40℃で保管し、1カ月後の状態を外観
で評価した。
○:変化なく良好 ×:分離、凝集あり 実施例2 クリーム: (処方) (%) (1) 精製水 7.95 (2) クエン酸 0.1 (3) クエン酸ナトリウム 0.3 (4) コウジ酸 0.2 (5) ステアリン酸 2.5 (6) スクワラン 7.0 (7) ワセリン 5.0 (8) 硬化油 3.0 (9) セタノール 1.5 (10) セスキオレイン酸ソルビタン 0.5 (11) ジグリセリンジイソステアレート 2.0 (12) 親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0 (13) 香料 0.1 (14) N−ステアロイルメチル タウリンナトリウム 0.4 (15) モノオレイン酸ポリオキシ エチレンソルビタン(20E.O.) 0.3 (16) カルボキシビニルポリマー (1%水溶液) 8.0 (17) メチルセルロース 0.1 (18) 1,3−ブチレングリコール 10.0 (19) グリセリン 2.0 (20) 水酸化ナトリウム 0.03 (21) 防腐剤 0.2 (22) 精製水 残量 (製法) A.(1)〜(4)を75℃にて加熱溶解する。
B.(5)〜(13)を75℃にて加熱溶解する。
C.(14)〜(22)を75℃にて加熱溶解する。
D.AをBに加えて乳化する。
E.DをCに加えて乳化をし、冷却してクリームを得る。
〔発明の効果〕
本発明のW/O/W型乳化化粧料は、コウジ酸及び/又
はその誘導体を内水相中に安定に配合することができる
ので長期保存しても効力が低下したり、着色を生起する
ことはない、乳化安定性に優れている、従来コウジ
酸及びその誘導体を含む化粧料には配合困難であった水
溶性高分子等を外水相中に配合することができる。親
水性界面活性剤として広い範囲のものを使用できるの
で、その選択の幅が広がり、使用感の良いものを得るこ
とができる、化粧料全体としてのpHは極端に低くする
必要はなく、安全性の点からも問題がない等の種々の利
点を有する。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(i)コウジ酸及び/又はその誘導
    体を含有するpH3.0〜5.5の内水相成分、 (ii)ジグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
    エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
    レンヒマシ油及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から
    選ばれる親油性界面活性剤、及び(iii)油相成分から
    なるW/O型乳化物、(B)親水性界面活性剤並びに
    (C)外水相成分からなるW/O/W型乳化化粧料。
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