JP2812804B2 - 正の筋収縮作用及び弛緩作用をもつピロロキノリノン誘導体 - Google Patents

正の筋収縮作用及び弛緩作用をもつピロロキノリノン誘導体

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Description

【発明の詳細な説明】 欧州特許第0406958号明細書は正の筋収縮作用及び弛
緩作用をもつイミダゾキナゾリノン誘導体につき記載し
ている。英国特許第2190676号及び欧州特許第0426180号
明細書は、c−AMPホスホジエステラーゼ阻害剤として
の数種のイミダゾキノリノン類につき公表している。米
国特許第5196428号明細書はヒトの血小板に富んだ血漿
中で、ADP誘導性血小板凝集に対して抑制効果をもつイ
ミダゾキノリノンにつき記載している。
パーキン及びロビンソン(Perkin and Robinson)は
J.Chem.Soc.,103,1973(1913)において、1,3−ジヒド
ロ−2−ピロロ[2,3−b]キノリン−2−オンの製
造につき記載している。しかし、田中(Tanaka)等によ
るJ.Het.Chem.,9,135(1972)によると、パーキン及び
ロビンソンの方法は前述のピロロキノリノン化合物を生
成させず、ある種の簡単なキノリン誘導体を生成させた
と述べられている。
ボーゲル(Vogel)等によるHelv.Chim.Acta.,52
(7),1929(1969)、及び米国特許第3974165号明細書
は、幾つかの、一部水素化されたピロロ[2,3−b]キ
ノリン−2−オン誘導体類の製造につき記載している。
本発明の化合物は、ピロロキノリノン部分の特定の置
換並びにそれらの好適な正の筋収縮作用及び弛緩作用に
おいて、引用された当該技術分野で既知の化合物と構造
的に異なる。
本発明は、式 式中、 Lは式−O−Alk−(NH)−C(=O)−R1の基であ
り、 ここで、 AlkはC1-6アルカンジイルであり; pは0又は1であり;そして R1はヒドロキシ、C1-4アルキルオキシ又は−NR2R3であ
り、 ここで、 R2は水素又はC1-4アルキルであり;そして R3はC3-7シクロアルキル又はピペリジニルであり、 それらは、場合によってはC1-4アルキル、フェニルメ
チル又はC3-7シクロアルキルメチルにより置換されても
よく; R2及びR3は又、一緒になってピペラジニルを形成するこ
とができ、 前記ピペラジニルは、場合によっては、C3-7シクロア
ルキル、C3-7シクロアルキルメチル、場合によって1個
又は2個のヒドロキシル基で置換されていてもよいC1-6
アルキル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニルメチ
ル、ベンジル、ハロフェニルメチル、(シクロペンチル
オキシ)(メトキシ)フェニルメチル、ジフェニルC1-4
アルキル、ピリジニル、ピリミジニル又は場合によって
C1-4アルキルオキシ又はハロで置換されていてもよいフ
ェニルで置換されてもよく;あるいは R2及びR3は一緒になってピペリジニルを形成し、 それは場合によってはイミダゾリルカルボニルで置換
されてもよい、で表される、新規な1,3−ジヒドロ−2
−ピロロ[2.3−b]−キノリン−2−オン誘導体
類、製薬学的に受容性のあるそれらの付加塩類及びそれ
らの立体化学的異性体形態に関する。
前記の定義において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロ
モ及びヨードの総称であり;C1-4アルキルの語は、例え
ばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチ
ル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル及び1,1
−ジメチルエチルのような、1から4個の炭素原子をも
つ直鎖状及び分枝状の飽和炭化水素基を意味し;C1-6
ルキルは、例えばペンチル、ヘキシル等の、C1-4アルキ
ル及びそれらより高級の同族体を意味し;C3-7シクロア
ルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを表し、C1-6
ルカンジイルは、例えばメチレン、1,2−エタンジイ
ル、1,3−プロパンジイル、1.4−ブタンジイル、1,5−
ペンタンジイル、1,6−ヘキサンジイル、1,1−エタンジ
イル、1,1−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル等の
ような、1から6個の炭素原子をもつ直鎖状及び分技鎖
状の2価の炭化水素基を意味する。
前記の製薬学的に受容性のある付加塩は、式(I)の
化合物が形成することができる、治療的に活性な無毒の
付加塩形態を含んでなる。前記の塩形態は、式(I)の
化合物の塩基形態を無機酸、例えばハロゲン化水素酸
(例えば塩化水素酸、臭化水素酸及びその他の酸)、硫
酸、硝酸、リン酸等;あるいは、例えば酢酸、プロパン
酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−
オキソプロパン酸、エタンジオン酸、プロパンジオン
酸、ブタンジオン酸、(Z)−2−ブテンジオン酸、
(E)−2−ブテンジオン酸、2−ヒドロキシブタンジ
オン酸、2,3−ジヒドロキシブタンジオン酸、2−ヒド
ロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスル
ホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−
メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミ
ン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒド
ロキシ安息香酸等のような有機酸、のような適当な酸で
処理することにより都合よく得ることができる。反対に
塩の形態は、アルカリで処理することにより遊離塩基の
形態に転化させることができる。
酸性のプロトンを含有する式(I)の化合物は又、適
当な有機及び無機塩基で処理することにより、それらの
治療的に活性な無毒性の金属又はアミン付加塩形態に転
化されることができる。適当な塩基塩形態は、例えばア
ンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩(例え
ば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム塩等)、有機塩基(例えば、ベンザチン、
−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩)との塩、
並びにアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン等のよう
な)との塩を含んでなる。
付加塩の語は又、式(I)の化合物が形成することが
できる水和物及び溶媒付加形態をも含んでなる。これら
の形態の例は例えば、水和物、アルコラート(例えば、
エタノラート)等である。
式(I)の化合物の、純粋な立体化学的異性体形態
は、当該技術分野で既知の方法を使用して得ることがで
きる。ジアステレオ異性体は、選択的結晶化及びクロマ
トグラフィー法、例えば向流分配法、液体クロマトグラ
フィー等、のような物理的方法により分割することがで
き;そしてエナンチオマーは、当該技術分野で既知の分
割法、例えばそれらのジアステレオマーの塩の、キラー
ルな酸による選択的結晶化により、互相に分割すること
ができる。純粋な立体化学的異性体形態は又、その反応
が立体特異的に起こるという条件で、適当な出発物質
の、対応する純粋な立体化学的異性体形態から誘導する
こともできる。その他の代替法として、エナンチオマー
は、キラールな固相を使用して液体クロマトグラフィー
により分割することができる。式(I)の化合物の立体
化学的異性体形態は、明らかに本発明の範囲内に含まれ
ることが意図されている。
更に、本発明の化合物は異なった互変異性体形態で存
在することができ、そしてすべてのこのような互変異性
体形態が、本発明の範囲内に含まれることが意図され
る。
式(I)の具体的な化合物は、式中 Lは式−O−Alk−C(=O)−R1の基であり、 ここで、 AlkはC1-6アルカンジイルであり;そして R1はヒドロキシ、C1-4アルキルオキシ又は−NR2R3であ
り、 ここで、 R2は水素又はC1-4アルキルであり;そして R3はC3-7シクロアルキル又はピペリジニルであり、 それらは、場合によってはC1-4アルキル又はフェニル
メチルにより置換されてもよく; R2及びR3は又、一緒になってピペラジニルを形成するこ
とができ、 前記ピペラジニルは、C3-7シクロアルキル、C3-7シク
ロアルキルメチル、C1-6アルキル、ベンジル、ジフェニ
ルC1-4アルキル、ピリジニル、ピリミジニル又は場合に
よってC1-4アルキルオキシ又はハロで置換されてもよい
フェニルで場合によって置換されていてもよく;あるい
は R2及びR3は一緒になってピペリジニルを形成し、 それは場合によってはイミダゾリルカルボニルで置換
されてもよい、の化合物である。
式(I)の好適な化合物は、式中R1が−NR2R3である
これらの化合物である。
より好適な化合物は、式中R2及びR3が一緒になって,C
3-7シクロアルキルメチルで置換されたピペラジニルを
形成する、これらの好適な化合物である。
更により好適な化合物は、式中R1が4−(シクロヘキ
シルメチル)ピペラジニルである、これらのより好適な
化合物である。
式(I)の最も好適な化合物は、 1−(シクロヘキシルメチル)−4−[4−〔(2,3−
ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]キノ
リン−6−イル)オキシ]−1−オキソブチル]ピペラ
ジン及び1−(シクロヘキシルメチル)−4−[5−
〔(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2.3−
b]キノリン−6−イル)オキシ]−1−オキソペンチ
ル]ピペラジン、製薬学的に許容性のあるその付加塩及
びその立体化学的異性体形態である。
式(I)の化合物は、反応不活性な溶媒中で、適切な
脱水素化剤の存在下で、式(II)の中間体を反応させる
ことにより製造することができる。
前記の反応は、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン又はこれらの溶媒の混合物中で、脱水素化剤として、
例えば4,5−ジクロロ−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘ
キサジエン−1,2−ジカルボニトリル等を使用して都合
良く実施することができる。また、前記反応は、適切な
触媒、例えば木炭上プラチナ、木炭上パラジウムの存在
下で、適切な溶媒、例えばトルエン、ジイソプロピルベ
ンゼン、キシレン、クメン等中で、場合によっては触媒
毒、例えばチオフェンを添加し、そして場合によっては
水素受容体、例えば2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエ
ン、シクロヘキセン等の存在下で実施することができ
る。前記のような触媒を使用する場合、(II)の(I)
への反応は、好適には高温及び/又は高圧下で実施され
る。
式(I)の化合物は又、適切な触媒、例えばビス(ト
リフェニルホスフィン)−塩化パラジウム(II)、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、
木炭上パラジウム等の存在下で、適切な溶媒、例えばメ
チルベンゼン、酢酸、プロパン酸、2−メチルプロパン
酸、2,2−ジメチルプロパン酸等の中で、式(III)の中
間体を反応させることにより製造することもできる。
代替的に、式(I)の化合物は、当該技術分野で既知
の方法により、対応する6−ヒドロキシピロロキノリノ
ン化合物又はそれらの保護された誘導体を−アルキル
化することにより製造することができる。
式(I)の化合物は又、官能基変換、例えば、エステ
ル変換反応、アミド交換反応及びその他の方法の、当該
技術分野で既知の方法により、互いに転化することがで
きる。
例えば、R1がヒドロキシである、式(I)の化合物
は、R1がC1-4アルキルオキシである、対応する化合物
を、当該技術分野で既知の方法により、例えば塩基又は
酸の存在下で、加水分解することにより製造することが
できる。
更に、R1が−NR2R3である式(I)の化合物は、アミ
ドを生成することができる適切な試薬、例えばジフェニ
ルホスホリルアジドの存在下で、対応するカルボン酸を
HNR2R3と反応させることにより製造することができる。
後者のアジド化合物を使用する場合、その反応は、適切
な塩基、例えば、−ジエチルエタンアミンの存在
下で、場合によっては、触媒作用をもつ量の−ジ
メチル−4−ピリジンアミンの存在下で、反応不活性の
溶媒、例えば、−ジメチルホルムアミド、1−メ
チルピロリジン−2−オン等の中で好適に実施される。
後者の方法は、高温(好適には180−200℃)で実施され
る場合、J.Med.Chem.1993,36,22,3252に記載のように、
クルチウス様転移反応をもたらし、それによりpが1で
ある式(1)の化合物が得られる。
代替的に、前記のカルボン酸は、アミンHNR2R3との反
応の前に、例えばハロゲン化アシル又は酸無水物のよう
な、それらの適切な反応性官能基誘導体に転化されるこ
とができる。前記の反応性官能基誘導体は、当該技術分
野で既知の方法、例えばそのカルボン酸を、例えば塩化
チオニル等のようなハロゲン化剤と反応させることによ
り製造することができる。酸無水物はハロゲン化アシル
誘導体をカルボン酸塩と反応させることにより製造する
ことができる。前記の官能基誘導体はR1がハロ又はC1-4
アルキルオキシカルボニルオキシであることにより特徴
付けられる。
式中R2及びR3がピペラジニル基を形成する式(I)の
化合物は、当該技術分野で既知の方法、例えば水素化に
よる、対応するフェニルメチルピペラジン化合物の脱ベ
ンジル化により製造することができる。式中R2及びR3
ピペラジニル基を形成する式(I)の化合物は次いで、
当該技術分野で既知の−アルキル化法、例えば還元的
−アルキル化により−アルキル化されることができ
る。式中R2及びR3が2,3−ジヒドロキシプロピルで置換
されたピペラジニル基を形成する式(I)の化合物は、
酸の存在下で、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニルメ
チルで置換された対応するピペラジン誘導体を反応させ
ることにより製造することができる。
すべての前記のそして以下の製造法において、反応生
成物は、当該技術分野で一般的に知られている方法によ
り反応混合物から単離し、そして必要な場合には更に精
製することができる。
式(II)の中間体は、適切な触媒、例えば木炭上パラ
ジウムの存在下での、反応不活性な溶媒、例えば2−メ
トキシエタノール、酢酸等の中での触媒水素化により、
式(III)の中間体を環状化することにより製造するこ
とができる。
また、式(II)の中間体は、適切な触媒、例えば木炭
上パラジウムの存在下の、反応不活性溶媒、例えばエタ
ノール、2−メトキシエタノール等の中で触媒水素化に
より、式(IV)の中間体を閉環することにより製造する
ことができる。
式(III)の中間体は、適切な触媒、例えば木炭上プ
ラチナの存在下での、反応不活性溶媒、例えば2−メト
キシエタノール等の中での、好適には触媒毒、例えばチ
オフェンの存在下での、式(IV)の中間体の触媒水素化
により製造することができる。
式(IV)の中間体は、反応不活性溶媒、例えばエタノ
ール等の中で、式(V)の中間体を式(VI)のリンイリ
ドと反応させる(ウィッティッヒ反応)ことにより製造
することができる。
式(I)の化合物、製薬学的に許容性のあるそれらの
付加塩及びそれらの立体化学的異性体形態、並びに式
(II)の中間体、製薬学的に許容性のあるそれらの付加
塩及びそれらの立体化学的異性体形態は、温血動物、特
にヒトのホスホジエステラーゼIII型(強心性感受性PDE
III)の強力な阻害剤である。PDE IIIの阻害は心筋のc
AMPの上昇を導き、次いでそれがCa2+の細胞中への筋繊
維膜を通る通過を高め、筋芽細胞細網によるCa2+の放出
及び再摂取を増加し、そして恐らく又Ca2+に対する収縮
蛋白の感受性を増加させる。その結果、心臓の収縮力の
増加(正の筋収縮作用)が、心臓のより早い弛緩(正の
筋弛緩作用)と同様に起こる。正の筋収縮作用及び筋弛
緩作用は一般的に、その他の、心拍数及び血圧のような
血液動力学変数の同時の増加と一致することがないとい
う事実は特に重要である。心拍数及び/又は血圧の同時
の上昇は実に心臓に余分な負担をかけ、そして有益な正
の心筋の収縮及び弛緩作用を差し引いてしまうであろ
う。式(1)の本発明の化合物を使用した生体内実験
は、穏やかな全身的血管拡張を、従って血圧の低下を示
す。心拍数は概括的に、大量投与においてのみ増加す
る。結論として、式(I)の本発明の化合物は心筋の正
の収縮及び弛緩により、そして、心拍数及び/又は血圧
に大きな影響をもたらさずに、心拍出力を有意に増加す
る。
従って、式(I)及び(II)の化合物は鬱血性心不全
を患う、温血動物、特にヒトの処置のための有用な治療
剤であると考えられる。鬱血性心不全とは、心臓が生体
の末梢部へ適量の血液を送り出すことが出来ないで、そ
の結果身体の代謝的要求を満たすことができない状態と
定義される病理生理学的状態である。前記の状態は心臓
発作、心臓感染症、慢性高血圧症、心臓弁の手術時の欠
損及び鬱血性心不全に導くその他の心臓障害からもたら
される。
本発明の化合物の幾つかは当該技術分野の化合物に比
較して、改善された水溶性をもつという利点を示す。
それらの正の筋収縮及び弛緩特性を考慮すると、本発
明の化合物は投与の目的のための種々の製薬学的形態に
調製することができる。本発明の製薬学的組成物を製造
するために、活性成分として、塩基又は酸付加塩の形態
の、有効量の具体的な化合物が、投与のために希望され
る製剤形態に応じて多種の形態をとることができる製薬
学的に許容性のあるキャリヤーと均質に混合される。こ
れらの製薬学的組成物は、好適には経口、直腸内、皮下
又は非経口注入による投与に適した単位投与形態にある
ことが望ましい。例えば、経口投与形態の組成物を製造
する際には、懸濁液、シロップ、エリキシル及び溶液の
ような経口液剤の場合には、例えば水、グリコール、
油、アルコール等の;あるいは、末剤、丸剤、カプセル
及び錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、潤滑
剤、結合剤、崩壊剤等のような固体のキャリヤー、のよ
うな通常の製薬学的媒体のいずれかを使用することがで
きる。それらの投与の容易性のため、固体の製薬学的キ
ャリヤーが明らかに使用される錠剤及びカプセルが、最
も好都合な経口投与単位形態を表す。非経口用組成物に
対しては、そのキャリヤーは通常、例えば溶解性を補助
するために、その他の成分が含まれることができるが、
少なくとも大部分は滅菌水を含んでなる。例えば注射用
溶液は、そのキャリヤーが生理食塩水、グルコース溶
液、又は生理食塩水及びグルコース溶液の混合液、を含
んでなるように製造される。注射用懸濁液は又、適切な
液体キャリヤー、懸濁剤等が使用され得るように製造さ
れることができる。皮下投与に適した組成物において
は、そのキャリヤーは、場合によって、皮膚に著しい有
害な効果を引き起こさない、あらゆる性状の、適切な添
加剤と少量の割合で混合された、浸透性増加剤及び/又
は適切な潤滑剤を場合によっては含んでなる。前記添加
剤は皮膚への投与を容易にし、そして/又は希望の組成
物を製造する助になるであろう。これらの組成物は種々
の方法で、例えば経皮的パッチとして、スポットオンと
して又は軟膏として投与することができる。対応する塩
基形態に比較して、水に対する溶解度が増加したため
に、式(I)の化合物の付加塩は、水性組成物の製造に
おいて明らかにより適切である。
投与の容易性及び投与量の均一性のために、前記の製
薬学的組成物を投与単位形態に調整することは特に好都
合である。投与単位形態とは、各単位が、必要な製薬学
的キャリヤーと混合して、希望の治療的効果をもたらす
と予測された、前以て計算された量の活性成分を含む、
単位投与量として適切な物理的に分離された単位を意味
する。このような投与単位形態の例は錠剤(割れ目錠又
は糖衣錠を含む)、カプセル、丸剤、粉末包、ウエファ
ース、注射溶液もしくは懸濁液等、及び分離されたそれ
らの複合剤である。
鬱血性心不全の処置における本化合物の有用性を考慮
すると、本発明は鬱血性心不全を患う温血動物の処置方
法を提供することは明らかであり、前記方法は、式
(I)又は(II)の化合物又はそれらの製薬学的に許容
性のある付加塩又はそれらの立体化学的異性体形態の製
薬学的に有効量を、製薬学的キャリヤーと混合して全身
投与することを含んでなる。一般的に1日の有効量は0.
01mg/1kg体重から4mg/kg体重、より好適には0.04mg/kg
体重から2mg/kg体重であると考えられる。
前記の1日の有効量は処置患者の反応により、そして
/又は本発明の化合物を処方する医師の評価によって、
減少又は増加されることができることは明白である。従
って前記の1日有効量は指針であるだけで、本発明の範
囲又は使用を些かでも限定することは意図されない。
下記の実施例は本発明の範囲を具体的に示すことを意
図したもので、それを限定することを意図されない。
実施例部門 A.中間体の製造 実施例1 a)エタノール(1500ml)中、5−(3−ホルミル−4
−ニトロフェノキシ)ペンタン酸エチル(0.60モル)及
び(4,5−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−5−オキソ−1
−ピロル−3−イル)トリフェニルホスホニウムと水
酸化物の内部塩(0.57モル)の混合物を1時間撹拌及び
還流した。その溶媒を除去した。残渣をメチルベンゼン
中で撹拌した。生成した沈澱物を濾取し、メチルベンゼ
ン、2,2′−オキシビスプロパンで洗浄し乾燥すると、
(E)−5−[3−[(2,5−ジオキソ−3−ピロリジ
ニリデン)メチル]−4−ニトロフェノキシ]−ペンタ
ン酸エチル;mp.112.4℃(中間体1) 137.3g(61%)が得られた。
同様な方法で以下の化合物が製造された: (E)−4−[3−[(2,5−ジオキソ−3−ピロリジ
ニリデン)メチル]−4−ニトロフェノキシ]ブタン酸
エチル(中間体2); (E)−3−[(2−ニトロフェニル)メチレン]−2,
5−ピロリジンジオン;mp.174.1℃(中間体3) (E)−[3−[(2,5−ジオキソ−3−ピロリジニリ
デン)メチル]−4−ニトロフェノキシ]−酢酸エチ
ル;mp.147.8℃(中間体9)及び (E)−6−[3−[(2,5−ジオキソ−3−ピロリジ
ニリデン)メチル]−4−ニトロフェノキシ]ヘキサン
酸メチル(中間体10)。
b)2−メトキシエタノール(600ml)中の中間体
(1) (0.179モル)及びチオフェンの4%溶液(4ml)の混合
物を、触媒として活性炭素上プラチナ(5%)(8g)に
より50℃で水素化させた。理論量の水素の取り込み後、
その触媒を濾去した。一晩に生成された沈澱物を濾取
し、酢酸エチル及び2,2′−オキシビスプロパンで洗浄
し真空乾燥すると、生成物42.7gが得られた。濾液を蒸
発させ、残渣を酢酸エチル中で撹拌した。沈澱物を濾取
し、酢酸エチル及び2,2′−オキシビスプロパンで洗浄
し真空乾燥すると、第2回目の生成物(13.8g)が得ら
れ、メトキシエタノールから結晶化すると8.3gが得られ
た。総生成物:(E)−5−[4−アミノ−3−[(2,
5−ジオキソ−3−ピロリジニリデン)メチル]フェノ
キシ]プンタン酸エチル;mp. 183.5℃(中間体4)51g(82.2%)。
同様な方法で以下の化合物も製造された: 4−[4−アミノ−3−[(2,5−ジオキソ−3−ピロ
リジニリデン)メチル]フェノキシ]ブタン酸エチル;m
p.176.5℃(中間体5); (E)−6−[4−アミノ−3−[(2,5−ジオキソ−
3−ピロリジニリデン)メチル]フェノキシ]ヘキサン
酸メチル;mp.178.4℃(中間体12);及び (E)−[4−アミノ−3−[(2,5−ジオキソ−3−
ピロリジニリデン)メチル]フェノキシ]酢酸エチル
(中間体13)。
c)酢酸(250ml)中、中間体(5)(0.06モル)を、
触媒として活性炭上パラジウム(10%)(4g)を使用し
て50℃で水素化させた。理論量の水素を取り込み後、触
媒を濾去し、酢酸で洗浄した。その濾液を蒸発させ、残
渣をエタノール中で沸騰させた。沈澱物を濾取し、エタ
ノール、2,2′−オキシビスプロパンで洗浄し、真空乾
燥すると、4−[(2,3,3a,4−テトラヒドロ−2−オキ
ソ−1−ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オ
キシ]ブタン酸エチル(中間体6)15.2g(80%)が得
られた。
実施例2 b)エタノール(150ml)中、中間体(1)(0.007モ
ル)の混合物を、触媒として活性炭素上パラジウム(10
%)(2g)を使用して、50℃、常圧で水素化させた。理
論量の水素の取り込み後、その触媒を濾去し、濾液を蒸
発させた。この画分を沸騰酢酸エチル中で撹拌し、濾取
し、酢酸エチル及び2,2′−オキシビスプロパンで洗浄
し、そして乾燥(真空)すると、5−[(2,3,3a,4−テ
トラヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]キ
ノリン−6−イル)オキシ]ペンタン酸エチル;mp.179.
7℃(中間体7)1.0g(45%)が得られた。
同様な方法で以下が製造された: 4−[(2,3,3a,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1
ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オキシ]ブタ
ン酸エチル;mp.177.1℃(中間体6); 6−[(2,3,3a,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1
ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オキシ]ヘキ
サン酸メチル;mp.199.3℃(中間体15);及び [(2,3,3a,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−ピロ
ロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オキシ]酢酸エチ
ル(中間体16)。
実施例3 酢酸(150ml)中、中間体(3)(0.0215モル)の溶
液を、触媒として活性炭素上パラジウム(10%)(2g)
を使用して、大気の状態下で水素化させた。理論量の水
素の取り込み後、反応混合物を4時間撹拌及び還流した
(H2除去)。次いで、触媒を濾去し、濾液を蒸発させ
た。残渣を2−プロパノール(40ml)で洗浄し、次いで
乾燥すると、1,3−ジヒドロ−2−ピロロ[2,3−b]
キノリン−2−オン;mp. 261.1℃(中間体8)2.53g(64%)が得られた。
B.最終化合物の製造 実施例4 a)テトラヒドロフラン(80ml)中、中間体(6)(0.
0064モル)の溶液を70℃(油浴)で撹拌した。4,5−ジ
クロロ−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1,
2−ジカルボニトリル(2.16g)を一度に添加し、その混
合物を5分間撹拌した。更に4,5−ジクロロ−3,6−ジオ
キソ−1,4−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボニトリ
ル (0.00158モル)を添加し、反応混合物を更に10分間撹
拌した。その溶媒を蒸発させた。残渣を、CH2Cl2/CH3OH
90/10の混合物中で撹拌し、そして水で洗浄した。不溶
性物質を濾取し、濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲル
によるカラムクラムトグラフィー(溶剤:CH2Cl2/CH3OH9
5/5)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸
発させた。残渣を沸騰エタノール(30ml)中で撹拌し
た。沈澱物を濾取し、エタノール及び2,2′−オキシビ
スプロパンで洗浄し、乾燥(真空;60−70℃)すると、
4−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3
−b]キノリン−6−イル]オキシ]ブタン酸エチル;m
p.181.4℃(化合物1)0.76g(38.1%)が得られた。
同様な方法で以下が製造された: 5−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3
−b]キノリン−6−イル]オキシ] ペンタン酸エチル;mp.180.9℃(化合物2)。
b)エタノール(40ml)中、1N水酸化ナトリウム(0.04
0モル)の混合物中、化合物(1)(0.0130モル)の溶
液を反応が終結するまで室温で撹拌した。次いで、1Nの
HCl(40ml)を添加し、生成した混合物を減圧下で濃縮
した。残渣を水中で撹拌し、生成した沈澱物を濾取し、
水で洗浄し、乾燥(真空;70℃)した。この画分を沸騰
エタノール中で撹拌し、濾取し、エタノール及び2,2′
−オキシビスプロパンで洗浄し、次いで乾燥(真空;60
−70℃)すると、4−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−
−ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル]オキ
シ]ブタン酸;mp.260℃(化合物3)3.22g(86.5%)が
得られた。
同様な方法で以下が製造された: 5−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3
−b]キノリン−6−イル]オキシ]ペンタン酸;mp.>
260℃(化合物4); 6−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3
−b]キノリン−6−イル]オキシ]ヘキサン酸(化合
物18);及び [2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ「2,3−
b]キノリン−6−イル]オキシ]酢酸(化合物19)。
実施例5 メチルベンゼン(400ml)中、中間体(6)(0.06モ
ル)、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン(40g)の混
合物を、触媒として活性炭素上プラチナ(10%)(3g)
及び4%チオフェン溶液(2ml)の存在下で、195℃で
(密閉容器)一晩加熱した。混合物を冷却し、ジカライ
トで濾過しそしてメチルベンゼンで洗浄した。沈澱物
を、ジクロロメタン及び酢酸の混合物(50/50)中で撹
拌し、ジカライトで濾過した。濾液を蒸発させ、残渣を
沸騰エタノール中で撹拌し、濾取し、洗浄しそして真空
乾燥すると、4−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1
−ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル]オキシ]ブ
タン酸エチル(化合物1) 14.5g(77%)が得られた。
同様の方法で以下が製造された: 5−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3
−b]キノリン−6−イル]オキシ]ペンタン酸エチル
(化合物2); 6−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3
−b]キノリン−6−イル]オキシ]ヘキサン酸メチル
(化合物20);及び [2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−
b]キノリン−6−イル]オキシ]酢酸エチル(化合物
21)。
実施例6 ジフェニルホスホリルアジド(0.0085モル)を、
−ジメチルホルムアミド(30ml)中、化合物(3)(0.
0059モル)、1−(シクロヘキサニルメチル)ピペラジ
ン(0.0072モル)、−ジエチルエタンアミン(0.
0124モル)及び−ジメチル−4−ピリジンアミン
(触媒量)の混合物に添加し、室温で撹拌した。反応混
合物を室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン(200ml)
を添加し、その混合物を水で洗浄した。有機層を乾燥
し、濾取し、そして溶媒を蒸発させた。残渣を沸騰メタ
ノール(20ml)中で撹拌した。沈澱物を濾取し、メタノ
ール及び2,2′−オキシビスプロパンで洗浄し、次いで
乾燥した。この画分(1.5g)をメタノール/メタノール
(NH3)/トリクロロメタン(5/5/90)の混合物に溶解
し、シリカゲルのカラムで濾過した。希望の画分を回収
し、溶媒を蒸発させた。残渣を沸騰メタノール(20ml)
中で撹拌し、濾取し、メタノール、2,2′−オキシビス
プロパンで洗浄し、60℃で真空乾燥すると、1−(シク
ロ ヘキシルメチル)−4−[4−[(2,3−ジヒドロ−2
−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イ
ル)オキシ]−1−オキソブチル]ピペラジン;mp.227.
2℃(化合物5) 1.36g(51.2%)が得られた。
同様な方法で下記が製造された: 及び4−[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロ
ロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オキシ]−−メ
チル−−(1−メチル−4−ピペリジニル)ブタンア
ミド;mp.212.4℃(化合物8)。
b)化合物(6)(0.0033モル)を沸騰エタノール(20
ml)中で撹拌した。この混合物をHC1/2−プロパノール
で酸性化させた。その混合物を冷却した。沈澱物を濾取
し、エタノール、2,2′−オキシビスプロパンで洗浄
し、そして乾燥(真空)すると、1−(シクロヘキシル
メチル)−4−[5−[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ
−1−ピロロ[2,3−b]−キノリン−6−イル)オ
キシ]−1−オキソペンチル]ピペラジン一酢酸;mp. 271.8℃(化合物15)1.40g(84.7%)が得られた。
同様な方法で以下が製造された: 1−(シクロヘキシルメチル)−4−[4−[(2,3−
ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]−キ
ノリン−6−イル]オキシ]−1−オキソブチル]ピペ
ラジン二塩酸エタノラート(1:1);mp.204.8℃(化合物
16)。
実施例7 塩化チオニル(0.00803モル)を、−ジメチル
ホルムアミド(25ml)中、化合物(3)(0.0073モル)
の懸濁液に滴加した。混合物を5分間撹拌した。次い
で、−メチルシクロヘキサンアミン(0.0438モル)を
一度に添加し、反応混合物を更に室温で撹拌した。溶媒
を蒸発させた。残渣をCH2Cl2/CH3OH(90/10)中に吸収
させ、水で洗浄した。分離有機層を乾燥し(MgSO4)、
濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルによるカ
ラムクロマトグラフィー[溶剤:CHCl3/(CH3OH/NH3)/
テトラヒドロフラン90/5/5]により精製した。希望の画
分の溶剤を蒸発させ、残渣(0.4g)をエタノールから結
晶化させた。沈澱物を濾取し、少量のエタノール、2,
2′−オキシビスプロパンで洗浄し、そして乾燥(真空;
60℃)させると、−シクロヘキシル−4−[(2,3−
ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]キノ
リン−6−イル)オキシ]−−メチルブタンアミド半
水和物;203.9℃(化合物17)0.150g(5.3%)が得られ
た。
実施例8 a)2−メトキシエタノール(250ml)中、化合物10 (0.0078モル)の混合物を、触媒としてパラジウム含量
10%(1g)の活性炭素上パラジウムを使用して、50℃で
水素化させた。H2(1当量)取り込み後、触媒を濾去
し、濾液を蒸発させた。残渣を沸騰酢酸エチル中で撹拌
し、濾取し、酢酸エチルで洗浄しそして乾燥(真空)さ
せると、1−[4−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1
−ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オキシ]
−1−オキソブチル]ピペラジン(化合物35)2.4g(87
%)が得られた。
b)2−メトキシエタノール(150ml)中、化合物35 (0.0067モル)及び3−シクロペンチルオキシ−4−メ
トキシベンズアルデヒド(0.0091モル)の混合物を、チ
オフェン4%溶液(1ml)の存在下で、触媒としてパラ
ジウム含量10%(2g)の活性炭素上パラジウムを使用し
て、50℃で水素化させた。H2(1当量)取り込み後、触
媒を濾去し、濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲルによ
るカラムクロマトグラフィー(溶剤:CH2Cl2/CH3OH94/
6)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発
させた。残渣を沸騰エタノール中で撹拌した。沈澱物を
濾取し、エタノール及びDIPEで洗浄し、次いで乾燥(真
空)すると、1−[[3−(シクロペンチルオキシ)−
4−メトキシフェニル]メチル]−4−[4−[(2,3
−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]キ
ノリン−6−イル)オキシ]−1−オキソブチル]ピペ
ラジン;mp.194.1℃(化合物36)0.62g(16.6%)が得ら
れた。
実施例9 酢酸(95ml)中、化合物32(0.0085モル)の混合物を
60℃で10時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。残渣を水中
で撹拌し、この混合物をアンモニア水溶液でアルカリ化
させた。水性層を分離し、CH2Cl2/CH3OH90/10で抽出し
た。分離された有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾取しそ
して溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルによるカラム
クロマトグラフィー(溶剤:CH2Cl2/(CH3OH/NH3)90/1
0)により精製した。純粋な画分を回収し溶媒を蒸発さ
せた。残渣をDIPE中で撹拌し、濾取し、洗浄しそして真
空乾燥すると、(±)−4−[4−[(2,3−ジヒドロ
−2−オキソ−1−ピロロ[2,3−b]キノリン−6
−イル)オキシ]−1−オキソブチル]−β−ヒドロキ
シ−1−ピペラジンプロパノール半水和物;219.7℃(化
合物37)1.05g(28.2%)が得られた。
C.薬物学的実施例 本化合物の正の筋収縮及び弛緩効果は、ホスホジエス
テラーゼIII型に対する阻害効果を調べるためのインビ
トロの測定法により、そして本化合物の静脈内瞬時注入
の心臓及び血液動力学効果をモニターすることにより、
胸部閉鎖麻酔犬における生体内実験において測定され
た。
実施例10:ホスホジエステラーゼIII型(PDE III)の阻
害作用 ホスホジエステラーゼ活性は、pH7.1の、トリス40mM、 MgCl25mM、2−メルカプトエタノール3.75mM、[3M]cA
MP及び[3H]cGMP(310mCi/mmol)を含有する培養基(2
00μl)中で測定された。各々の標本について、環状ヌ
クレオチドの加水分解における時間及び濃度に依存する
変化が測定された。これらのデータから、37℃で10分間
の培養期間中に、ホスホジエステラーゼ活性に直線的増
加を示した、蛋白濃度が選択された。その酵素活性は基
質の添加により開始され、その試験管が100℃の水浴に4
0秒間移動された10分後に終結された。該試験管が室温
まで冷却された後、アルカリホスファターゼ(0.25g/m
l)が添加され、そしてその混合物は37℃で20分間放置
された。次いで該混合物は1mlのDEAE−セファデックス
(Sephadex)A−25のカラムに充填され、pH7.4の20mM
のトリス−HC13mlで2回洗浄された。溶出液中の3H標識
された反応生成物は液体シンチレーション計測により測
定された。
犬の心臓のホスホジエステラーゼPDE IIIに対する本
化合物の阻害効果は、本化合物の異なった濃度で測定さ
れた。IC50値は、このようにして得られた阻害値のグラ
フから計算された。第1表は犬の心臓のDPE IIIに対す
る本化合物の有効なIC50値を示す。
実施例11: 犬における正の筋収縮及び弛緩効果、血圧及び心拍数 テスト化合物は1mg.ml-1の濃度でグルコース水溶液に
溶解された。実験は、どちらかの性別で、種々の年令に
渡る、11から18kg(平均13kg)の体重の3匹のビーグル
犬で実施された。それらの動物はスコポラミン0.015mg.
kg-1及びロフェンタニル0.05mg.kg-1の混合物で静脈麻
酔された。それらの動物は足首に巻かれた気管内チュー
ブを挿管された。容量制御性ベンチレーター(Siemens
Elema社)を用いて、圧力をかけた空気及び酸素の混合
物(60/40)により、間欠的に陽圧の通気が実施され
た。コントロール期間には、カプノグラフ(Gould Goda
rt社)で測定された、呼気(ET CO2)中のCO2濃度は、
呼吸量の調整(呼吸数=毎分呼吸20回)により、5容量
%に保持された。エトミダート0.5mg.kg-1.h-1の連続的
静脈注入は麻酔誘導直後に開始された。体温は肺動脈中
に置かれたサーミスターでモニターされた。血液凝固を
抑制するためにヘパリン1000IU.kg-1を静脈注入され
た。
心電図(EDG)は四肢誘導(標準誘導2)から取られ
た。左心室血圧(LVP)及び上行大動脈血圧(AoP)は忠
実性の高いカテーテルの尖端をもつミクロマノメーター
((Honeywell社)により、大腿動脈を通した逆行カテ
ーテル挿入により測定された。その他の大腿静脈には右
心房への室温の生理食塩水の注入のため及びテスト化合
物注入のためにカニューレを挿入された。最大上行大動
脈血流速度は、直角電磁波メーター(Janssen Scietifi
c Instruments社)に結合された電磁波カテーテル尖端
端子を使用して右頸動脈において測定された。以下の変
数−なかんずく−は、オンラインで、通常1分間隔で計
算された:心拍数(HR)、拡張期(AoPd)大動脈血圧、
左心室端−拡張期圧(LVEDP)、等容量LVPの最大の正
の、そして最大の負の変化率(各々、LVdp/dtmax及び
min)、左心室に実際に発達した血圧で割った最大の正
の1次導関数(LVdp/dtmax/Pd)。弛緩の時間定数
(T)は、漸近線をも予測した、指数関数分析の使用に
より測定された。安定期の後、動物は、30分間隔で0.00
05、0.001、0.004、0.016、0.064、0.125及び0.25mg/kg
の累積的投与量のテスト化合物の静脈瞬時注入により処
置された。
テスト化合物は、心臓動態に関連した変数(LVdp/dt
max、LVdp/dtmax/Pt)の、著しくそして有意な増加によ
り示されるように、正の筋収縮性をもつ。テスト化合物
は、弛緩の時間定数の有意な減少により示されるよう
に、正の筋弛緩性をもつ。テスト化合物を投与すると、
全身及び肺の末梢血管の抵抗が有意に減少する。このこ
とは、テスト化合物が、更にその他に全身及び肺の血管
拡張性をもつことを示す。この、心臓の負担を減少させ
る現象は、心拍数を変化させることなく、しかし心臓の
拍出量の増加を伴って起こる。本化合物のこれらの正の
筋収縮及び弛緩、並びに血管拡張効果は、変数の変化が
瞬時注入後30分を越えて継続するので、長時間持続性で
ある。
第2表は、ビーグル犬における、数種類の本化合物の
累積的静脈瞬時投与の5分後に測定された血液動力学変
数の変化を示す。変数AoPd(拡張期大動脈血圧)は血圧
の減少(血管拡張)を示し、HRは心拍数に対する本化合
物の影響、LVdp/dtmax(等容量の左心室圧の最大の正の
変化率)は正の筋収縮効果を示す。
表2 麻酔された、胸部閉鎖犬に対する静脈注射の5分後
に、投与前の値に対して、心筋収縮(LVdp/dtmax)を30
%増加、心拍数(HR)の30%増加、拡張期大動脈血圧
(AoPD)の15%減少及び全身の総血管抵抗(TSR)の15
%減少をもたらす計算投与量(mg/kgi.v.)(各化合物
につきn=3)。
D.組成物製造実施例 これらの実施例全体に使用された「活性成分」(A.
I.)は、式(I)又は式(II)の化合物、製薬学的に受
容性のあるその付加塩又はその立体化学的異性体形態に
関する。
実施例12:経口滴剤 A.I.を500グラムを60〜80℃で2−ヒドロキシプロパ
ン酸0.51及びポリエチレングリコール1.5l中に溶解し
た。30〜40℃に冷却後、ポリエチレングリコール35lを
添加し、その混合物を十分に撹拌した。次いで精製水2.
5l中でサッカリンナトリウム1750グラムの溶液を添加
し、そして撹拌しながら、ココアフレーバー2.5l及びポ
リエチレングリコールを全体が50lになるまで添加する
と、A.I.を10mg/mlを含んでなる経口滴剤溶液を提供す
る。生成された溶液を適当を容器に充填した。
実施例13:経口用溶液 4−ヒドロキシ安息香酸メチル9グラム及び4−ヒド
ロキシ安息香酸プロピル1グラムを沸騰精製水4lに溶解
した。この溶液3lに、最初に、2,3−ジヒドロキシブタ
ンジオン酸10グラム、そしてその後にA.I.20グラムを溶
解した。後者の溶液を前者の溶液の残りの部分に混合し
て、それに1,2,3−プロパントリオール12l及びソルビト
ール70%溶液3lを添加した。サッカリンナトリウム40グ
ラムを水0.5lに溶解しそしてラズベリーエッセンス2ml
及びグースベリーエッセンス2mlを添加した。後者の溶
液を前者と混合し、水を全体が20lの容量になるまで添
加すると、茶さじ1杯(5ml)当たり活性成分5mgを含ん
でなる経口用溶液をもたらした。生成された溶液を適当
な容器に充填した。
実施例14:カプセル A.I.を20グラム、硫酸ラウリルナトリウム6グラム、
デンプン56グラム、ラクトース56グラム、コロイド状二
酸化シリコン0.8グラム、及びステアリン酸マグネシウ
ム1.2グラムを混合して激しく撹拌した。次いで生成し
た混合物を1000個の適当な硬化ゼラチンカプセルに充填
すると、それぞれが活性成分を20mg含んでなる。
実施例15:フィルムコート錠剤 錠剤核の製造 A.I.を100グラム、ラクトース570グラム及びデンプン
200グラムの混合物を十分に混合し、次いで水約200ml
中、硫酸ドデシルナトリウム5グラム及びポリビニルピ
ロリドン(コリドン(Kollidon)−K90(商品名))10
グラムの溶液で湿潤化させた。その湿った粉末混合物を
ふるい、乾燥しそして再度ふるった。次いで微小結晶セ
ルロース(アビセル(Avicel)(商品名))100グラム
及び水素化植物油(ステロテックス(Sterotex)(商品
名))15グラムを添加した。全体を十分に混合し、錠剤
に圧縮すると、各々活性成分10mgを含んでなる10.000個
の錠剤を与えた。
コーティング 変性エタノール75ml中メチルセルロース(メトセル(Me
thocel)60HG(商品名))10グラムの溶液に、ジクロロ
メタン150ml中エチルセルロース(エトセル(Ethocel)
22cps(商品名))5グラムの溶液を添加した。次いで
ジクロロメタン75ml及び1,2,3−プロパントリオール2.5
mlを添加した。ポリエチレングリコール10グラムを融解
して、ジクロロメタン75mlに溶解した。後者の溶液を前
者に添加し、次いでオクタデカン酸マグネシウム2.5グ
ラム、ポリビニルピロリドン5グラム及び農厚色素懸濁
液(オパスプレイ(Opaspray)K−1−2109(商品
名))30mlを添加し、そして全体を均質化した。コーテ
ィング用容器内で、前記の錠剤の核を、こうして得られ
た混合物でコーティングした。
実施例16:注射溶液 4−ヒドロキシ安息香酸メチル1.8グラム及び4−ヒ
ドロキシ安息香酸プロピル0.2グラムを沸騰注射用水約
0.51に溶解した。約50℃に冷却後、乳酸4グラム、プロ
ピレングリコール0.05グラム及びA.I.4グラムを撹拌し
ながら添加した。その溶液を室温まで冷却し、そして全
体が11になるまで注射用水を補充すると、A.I.を4mg/ml
含んでなる溶液を与えた。その溶液を濾過により滅菌し
(アメリカ薬局方XV IIp.811)そして滅菌容器に充填し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 471/00 - 471/22 C07D 207/00 - 207/50 A61K 31/435 CA(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN) WPIDS(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 上記式中、 Lは式−O−Alk−(NH)−C(=O)−R1の基であ
    り、 ここで、 AlkはC1-6アルカンジイルであり; pは0又は1であり;そして R1はヒドロキシ、C1-4アルキルオキシ又は−NR2R3であ
    り、 ここで、 R2は水素又はC1-4アルキルであり;そして R3はC3-7シクロアルキル又はピペリジニルであり、 該ピペリジニルは、場合によってはC1-4アルキル又はフ
    ェニルメチル又はC3-7シクロアルキルメチルで置換され
    ていてもよく; R2及びR3は又、一緒になってピペラジニルを形成するこ
    とができ、該ピペラジニルは、場合によっては、C3-7
    クロアルキル、C3-7シクロアルキルメチル、場合によっ
    て1個又は2個のヒドロキシル基で置換されていてもよ
    いC1-6アルキル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル
    メチル、ベンジル、ハロフェニルメチル、(シクロペン
    チルオキシ)(メトキシ)フェニルメチル、ジフェニル
    C1-4アルキル、ピリジニル、ピリミジニル又は場合によ
    ってC1-4アルキルオキシ又はハロで置換されていてもよ
    いフェニルで置換されていてもよく;あるいは R2及びR3は一緒になってピリミジニルを形成し、 該ピリミジニルは場合によってはイミダゾリルカルボニ
    ルで置換されていてもよい) で表される化合物、製薬学的に許容性のあるその付加塩
    又はその立体化学的異性体形態。
  2. 【請求項2】式中R1が−NR2R3である請求項1に記載の
    化合物。
  3. 【請求項3】式中R2及びR3が一緒になって、C3-7シクロ
    アルキルメチルで置換されたピペラジニルを形成する、
    請求項2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】その化合物が1−(シクロヘキシルメチ
    ル)−4−[4−(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1
    −ピロロ[2,3−b]キノリン−6−イル)オキシ]−
    1−オキソブチル]ピペラジン又は1−(シクロヘキシ
    ルメチル)−4−[5−(2,3−ジヒドロ−2−オキソ
    −1−ピロロ[2.3−b]キノリン−6−イル)オキ
    シ]−1−オキソペンチル]ピペラジン、製薬学的に許
    容性のあるその付加塩又はその立体化学的異性体形態で
    ある、請求項3に記載の化合物。
  5. 【請求項5】製薬学的に許容されうるキャリヤー並び
    に、請求項1ないし4のいずれかに記載された化合物
    を、有効成分として含んでなる筋収縮及び弛緩剤。
  6. 【請求項6】請求項1ないし4のいずれかに記載され
    た、治療的に有効な量の式(I)の化合物が、製薬学的
    に許容されうるキャリヤーと均質に混合されることを特
    徴とする、請求項5に記載された筋収縮及び弛緩剤の製
    造方法。
  7. 【請求項7】医薬品としての使用のための、請求項1な
    いし4のいずれかに記載された化合物。
  8. 【請求項8】反応不活性な溶媒中で、脱水素化剤の存在
    下で式(II)の中間体を反応させること、 (上記式中、Lは請求項1で式(I)の化合物について
    定義した意味を有する) そして更に、必要な場合には、製薬学的に許容されうる
    酸もしくは塩基により処理することによって式(I)の
    化合物を塩の形態に転化するか、又は反対に、それぞれ
    アルカリ又は酸により処理することによりその塩の形態
    を遊離塩基又は遊離酸に転化し;そして/又はそれらの
    立体化学的異性体を製造する、 ことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載
    された化合物の製造方法。
  9. 【請求項9】反応不活性の溶媒中で、適切な触媒の存在
    下で、式(III)の中間体を反応させること (上記式中、Lは請求項1の式(I)の化合物について
    定義した意味を有する) そして更に、必要な場合には、製薬学的に許容されうる
    酸もしくは塩基により処理することによって式(I)の
    化合物を塩の形態に転化するか、又は反対に、それぞれ
    アルカリ又は酸により処理することによりその塩の形態
    を遊離塩基又は遊離酸に転化し;そして/又はそれらの
    立体化学的異性体を製造する、 ことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載
    された化合物の製造方法。
  10. 【請求項10】式 (上記式中、Lは請求項1で式(I)の化合物について
    定義した意味を有する) で表される化合物、その付加塩又はその立体化学的異性
    体。
  11. 【請求項11】式 (上記式中、 Lは請求項1で式(I)の化合物について定義した意味
    を有し、そして Zはニトロ又はアミノである) をもつ化合物、その付加塩又はその立体化学的異性体。
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