JP2810943B2

JP2810943B2 - 防虫剤およびその製造方法

Info

Publication number: JP2810943B2
Application number: JP1024472A
Authority: JP
Inventors: 佳徳井下
Original assignee: エステー化学株式会社
Priority date: 1989-02-02
Filing date: 1989-02-02
Publication date: 1998-10-15
Anticipated expiration: 2013-10-15
Also published as: JPH02204402A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は衣類用の防虫剤及びその製造方法に関わり、
さらに詳しくは、昇華性固体状防黴剤、昇華性固体状殺
菌剤等の昇華性固体状活性薬剤が混合せられてなる衣類
用の防虫剤およびその製造方法に関する。

（従来技術およびその問題点）衣類等を繊維害虫の食害から防ぐために、常温で固体
であり、昇華してガスを発生し、そのガスにより衣類の
食害を抑制する薬剤としてナフタリン、パラジクロロベ
ンゼン、樟脳等（以下「昇華性固体状防虫薬剤」とい
う）が知られている。その、昇華性固体状防虫剤を適宜
の形状にして包装し、衣類とともに収納庫の収納するこ
とも、従来から行われていることである。

しかし、収納された衣類等に悪影響を及ぼす要因は食
害だけではなく、例えば衣類等に黴が生えたり、菌が繁
殖したり、悪臭が付着するという問題がある。

そこで、これらの問題点を解決すべく従来から種々検
討がなされてきているが、常温で固体であり、昇華して
ガスを発生し、そのガスが黴に対して活性を有する昇華
性固体状の防黴剤や、常温で固体であり、昇華してガス
を発生し、その蒸気が菌に対して活性を有する昇華性固
体状殺菌剤（以下これらを「昇華性固体状活性薬剤」と
いう）を前記昇華性固体状防虫剤に単に混合し昇華性固
体状防虫剤の昇華とともに昇華させて効力なさしめる方
法が採用されている。しかしこの方法においては、昇華
性固体状活性薬剤と昇華性固体状防虫剤が共に固体状で
あるため均一の混合されるのは非常に困難である。均一
に混合されない場合、昇華性固体状活性薬剤の粒子が昇
華性固体状防虫剤内に大きな塊状として偏在し、その結
果、昇華性固体状活性薬剤の表面積が充分に大きくはな
らない。したがって昇華性固体状活性薬剤の昇華速度が
小さく、充分な薬効が得られないという欠点を有する。
また、偏在する粒子の大きさにバラツキが生じるため、
長期間にわたって安定した薬効が得られないという欠点
も有する。

本発明は上気のような従来のもののもつ問題点を解決
したものであって、昇華性固体状活性薬剤の昇華速度を
大きくする、すなわち薬効を増強し且つ長期間にわたっ
て安定した薬効を得ることができる防虫剤およびその製
造方法を提供することを目的としている。

（問題を解決するための手段）上記目的を達成するために、本発明に係わる防虫剤
は、昇華性固体状活性薬剤を水または有機溶媒に溶解し
た水溶液または有機溶媒溶液を、表面層および内部に充
分な空隙部を有する多孔性材に含浸させ、水または有機
溶剤を実質的に揮散させることにより、該昇華性固体状
活性薬剤の微粒子を前記空隙の表面に付着させた多孔性
材と昇華性固体状防虫薬剤とを機械的に混合し、打錠成
形してなることを特徴とする防虫剤であり、また、昇華
性固体状活性薬剤を水または有機溶媒に溶解した水溶液
または有機溶媒溶液を、表面層および内部に充分な空隙
部を有する多孔性材に含浸させた後、水または有機溶剤
を実質的に揮散させることにより、該昇華性固体状活性
薬剤の微粒子を前記空隙の表面に付着させ、次に該多孔
性材と昇華性固体状防虫薬剤とを機械的に混合し、さら
に打錠成形することを特徴とする防虫剤の製造方法であ
る。

本発明において、多孔性材は、表面および内部に充分
な空隙を有するものであれば特に限定されることはない
が、例えば微粉状、粗紛状、顆粒状、破砕状等からなる
ゼオライト、シリカ、活性炭、セピオライト、木片、あ
るいはポリエチレンの焼結体等を用いることができる。

本発明に関わる防虫剤の製法方法において前記多孔性
材に昇華性固体状活性薬剤を付着させるためには、まず
水またはアルコールやアセトン等の揮散の速い溶剤に昇
華性固体状活性薬剤を均一に溶解し、この溶液をスプレ
ーガンやエアゾール缶あるいは霧吹き等を用いて直接多
孔性材に吹き付けるか、該溶液中に多孔性材を浸漬す
る。

付き付けた後は水または溶剤が揮散するので、結局、
多孔性材空隙部表面に均一に昇華性固体状活性薬剤の微
粒子が付着せられることになる。

尚、吹き付けの方法としては、たとえば多孔性材を回
転可能なように構成された容器内に収納し、該容器を回
転させながら吹き付けるようにすればよいが、それ以外
の従来公知の方法を用いることができる。

次に、昇華性固体状活性薬剤の微粒子が付着せられた
多孔性材と昇華性固体状防虫薬剤とを混合するには、溶
融等の化学的手段を用いず、混合機等により混合され
る。そして、前記混合物を適宜量打状成型用金型に充填
し、上部からシリンダーにより押圧して適宜形状に成形
する。

尚、本発明に関わる防虫剤において、前記溶剤中に、
昇華性固体状活性薬剤の他に色素を溶解させれば多孔性
材が着色せられ、その後に昇華性防虫薬剤と混合した時
には、着色せられた多孔性材が紛状もしくは粒状に点在
しているのが目視できるので美観を呈するともに、混合
忘れを防止できるので好ましい。

また、本発明に関わる防虫剤において、（ａ）昇華性
固体状活性薬剤、（ｂ）多孔性材及び（ｃ）昇華性防虫
薬剤の混合比率は、（ａ）0.0005重量％〜1.0重量％、
（ｂ）0.1重量％〜10重量％、（ｃ）99.8995重量％〜8
9.0重量％の範囲内で適宜決めることができる。

本発明に係わる防虫剤においては、まず表面の昇華性
防虫薬剤が昇華すると同時に、防虫剤表面に顕在してい
る多孔性材に付着せられた昇華性固体状活性薬剤が昇華
する。そして、昇華性防虫薬剤の昇華が進むにつれ、防
虫剤の内部に埋設していた多孔性材が表面に顕在し、付
着している昇華性固体状活性薬剤が昇華する。このよう
に防虫剤の開始直後から終了まで常に昇華性防虫薬剤の
昇華→多孔性材の顕在化→活性薬剤の昇華のプロセスが
順次あるいは同時に行われる。

（実施例）本発明に関わる防虫剤と従来公知の防虫剤とを防黴効
果、殺菌効果の二点から比較する。

下表において、サンプルＡは本発明の防虫剤の一実施
例に係わるものであり、昇華性固体状活性薬剤はPCMX
（パラクロロメタキシレノール）5mg、多孔性材は活性
アルミナ50mgおよび昇華性固体状防虫剤はナフタリン44
5mgから成る。サンプルＢは昇華性固体状活性薬剤はPCM
X5mgおよび昇華性固体状防虫剤はナフタリン495mgから
成る。

（実施例−１）（１）防黴効果の比較試験結果（試験方法）シャーレの蓋体に寒天培地を充填固化さ
せ、該培地上にAspergi11usnigerおよびPeaicillium Ci
trinumを画線法によりうえ付ける。一方、同じシャーレ
の容器体の底部にサンプルを載置して前記蓋体を被せ、
27℃の恒温槽内に21日間放置する。

（実施例−２）（２）殺菌効果の比較試験結果（試験方法）シャーレの蓋体にツァペックドックス培地
を充填固化させ、該培地上にE.coliおよびS.anreusを画
線法によりうえ付ける。一方、同じシャーレの容器体の
底部にサンプルを載置して前記蓋体を被せ、37℃の恒温
槽内に４日間放置する。

（本発明の効果）本発明に係わる防虫剤は、昇華性固体状活性薬剤の微
小粒子が付着せられた多孔性材と、昇華性防虫薬剤を機
会的混合したのもであるから、昇華性固体状活性薬剤の
微小粒子が多孔性材の空隙部表面に付着せられ、その結
果、従来のように単に直接混合したものに比べ同等量を
使用した場合でもその表面積ははるかに大きくすること
ができる。したがって、単位時間における揮散量が増大
し薬効が著しく改善されるという著効があるので、本発
明は実用に共して益するところが大である。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】昇華性固体状活性薬剤を水または有機溶媒
に溶解した水溶液または有機溶媒溶液を、表面層および
内部に充分な空隙部を有する多孔性材に含浸させ、水ま
たは有機溶剤を実質的に揮散させることにより、該昇華
性固体状活性薬剤の微粒子を前記空隙の表面に付着させ
た多孔性材と昇華性固体状防虫薬剤とを機械的に混合
し、打錠成形してなることを特徴とする防虫剤。
【請求項２】昇華性固体状活性薬剤を水または有機溶媒
に溶解した水溶液または有機溶媒溶液を、表面層および
内部に充分な空隙部を有する多孔性材に含浸させた後、
水または有機溶剤を実質的に揮散させることにより、該
昇華性固体状活性薬剤の微粒子を前記空隙の表面に付着
させ、次に該多孔性材と昇華性固体状防虫薬剤とを機械
的に混合し、さらに打錠成形することを特徴とする防虫
剤の製造方法。