JP2806249B2 - 大型角形缶およびその製造方法 - Google Patents

大型角形缶およびその製造方法

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JP2806249B2
JP2806249B2 JP6043100A JP4310094A JP2806249B2 JP 2806249 B2 JP2806249 B2 JP 2806249B2 JP 6043100 A JP6043100 A JP 6043100A JP 4310094 A JP4310094 A JP 4310094A JP 2806249 B2 JP2806249 B2 JP 2806249B2
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哲夫 塚本
義一 田中
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東洋製罐株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、醤油、洗剤、トマト・
ピューレ、香料、調味料、化学薬品等の比較的腐食性の
高い内容物の収納に適した所謂18リットル缶、すなわ
ち大型角形缶およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】18リットル缶、すなわち大型角形缶
で、醤油等の比較的腐食性の高い内容物を収納するもの
は、従来内面が焼付塗膜により二重コート、または三重
コートされたものであった。二重コート、または三重コ
ートは、製缶の際に発生する擦り傷等の塗膜欠陥を隠蔽
するため、シートの状態で塗装を行なった後、コート数
に応じて焼付処理することによって行なわれるため、工
程数の増加によるコスト高や、塗料が溶剤性塗料の場合
公害を招き易いという問題があった。またこれらの多重
コートによっても、内容物の種類によっては、長期間の
保存に耐える十分な耐食性を保持することが困難である
という問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、比較的低コ
ストで、かつ比較的低公害で、内容物に対する耐食性の
優れた大型角形缶、およびその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の大型角形缶は、
胴体と天蓋および地蓋が二重巻締により接合された大型
角形缶において、胴体内面が、補正塗膜で被覆された胴
体の高さ方向に延びる電気抵抗シーム溶接部を除いて、
二軸延伸ポリエステルフィルムにより被覆されており、
天蓋内面および地蓋内面が二軸延伸ポリエステルフィル
ムにより被覆されており、天蓋に、充填口および電気抵
抗溶接により接合された手環取付用座金が設けられてお
り、座金に対向する天蓋の内面側の二軸延伸ポリエステ
ルフィルムが焼付塗膜により被覆されていることを特徴
とする(請求項1)。
【0005】天蓋の座金に対向する内面側に被覆されて
いる焼付塗膜が、座金を電気抵抗溶接する前の工程で形
成されたものであることが好ましい(請求項2)。胴体
内面の二軸延伸ポリエステルフィルムの二軸配向率X
(%)の、製胴前のブランクの二軸延伸ポリエステルフ
ィルムの二軸配向率Y(%)に対する比X/Yが1.1
〜1.6であることが好ましい(請求項3)。
【0006】 本発明の大型角形缶の製造方法は、缶の
内面側となるべき面に対向する端縁部を残して、二軸延
伸ポリエステルフィルムを缶用金属板に被覆してなるブ
ランクを丸め、上記端縁部を電気抵抗シーム溶接して、
高さ方向に延びる溶接部を有する円筒形筒体を形成する
工程、円筒形筒体を延伸リフォームして断面角形形状の
角形胴体を形成する工程、溶接部内面に補正塗膜を形成
する工程、角形胴体の各面に額出し加工を行なう工程、
両開口端部にフランジ部を形成する工程、缶の内面側と
なるべき面に二軸延伸ポリエステルフィルム層を形成
、周縁シーム部に密封剤をライニングされた地蓋を
胴体に二重巻締する工程、缶の内面側となるべき面に
二軸延伸ポリエステルフィルム層を形成され、周縁シー
ム部に密封剤をライニングされ、外面側となるべき面に
手環取付用座金を雷気抵抗溶接され、座金に対向する内
面側の二軸延伸ポリエステルフィルム層が前記溶接前に
形成された焼付塗膜により被覆されており、かつ充填口
を形成された天蓋を角形胴体に二重巻締する工程、およ
天蓋と地蓋の二重巻締部を加熱して密封剤を硬化後、
急冷する工程を含むことを特徴とする(請求項4)。
【0007】天蓋の内面の二軸延伸ポリエステルフィル
ムの結晶融点が約230℃であって、座金に対向すべき
該フィルムの部分に、座金を電気抵抗溶接する前の工程
で塗布された塗料を、140〜180℃x4〜10分で
焼付けることが好ましい(請求項5)。額出し加工の際
に用いられる工具の、額部の内縁に対応する部分の曲率
半径が0.6mm以上であることが好ましい(請求項
6)。
【0008】
【作用】本発明の大型角形缶は、内面全体が、胴体の高
さ方向に延びる電気抵抗シーム溶接部を除いて、強靱
で、耐酸性、耐アルカリ性に優れた二軸延伸ポリエステ
ルフィルムにより被覆されており、かつ溶接部の内面が
補正塗膜により、また座金に対向する天蓋の内面側の二
軸延伸ポリエステルフィルムは焼付塗膜により被覆され
ているので、内容物に対する耐食性に優れている。製缶
工程におけるシート塗装、焼付が不要なので、工程数が
少なく、従って製造コストが比較的低く、また公害性も
比較的少ない。
【0009】天蓋の座金に対向する内面側に焼付補正塗
膜が被覆されていない場合は、内面に貼着された裸のポ
リエステルフィルムが熱可塑性樹脂であるので、座金を
電気抵抗溶接、例えばスポット溶接する際に溶融して孔
があく。従ってその後に塗装して補正塗膜を形成して
も、前記孔に塗料が十分に充填されず、耐食性の向上は
乏しい。しかし請求項2に示すように、天蓋の座金に対
向する内面側に被覆されている焼付塗膜が、座金を電気
抵抗溶接する前の工程で形成されていると、焼付塗膜は
スポット溶接等によって溶融しないので、金属板と焼付
塗膜の間にあるポリエステルフィルムは溶融はしても孔
があくことはなく、原形を保つ。従って天蓋の座金の溶
接部に対向する内面部分の耐食性が優れている。
【0010】請求項3に示すように、胴体内面の二軸延
伸ポリエステルフィルムの二軸配向率X(%)の、製胴
前のブランクの二軸延伸ポリエステルフィルムの二軸配
向率Y(%)に対する比X/Yが1.1〜1.6である
ので、胴体内面の二軸延伸ポリエステルフィルムの二軸
配向率が製胴工程において向上している。そのため缶内
面の耐食性が優れている。製胴工程においてフィルムの
二軸配向率が向上するのは、同工程において、円筒形筒
体を断面角形形状の角形胴体に延伸リフォームする(請
求項4)際に、フィルムが延伸されるためと推測され
る。
【0011】本発明の大型角形缶の製造方法は、缶の内
面側となるべき面に対向する端縁部を残して、二軸延伸
ポリエステルフィルム層を缶用金属板に被覆してなる胴
体用ブランク、缶の内面側となるべき面に二軸延伸ポリ
エステルフィルム層を形成した地蓋、および缶の内面側
となるべき面に二軸延伸ポリエステルフィルムを貼着
し、外面側となるべき面に手環取付用座金を電気抵抗溶
接し、かつ充填口を形成した天蓋を使用するので、比較
的低い製造コストで、公害性も比較的少ない状況で、内
面耐食性に優れた大型角形缶を製造することができる。
【0012】請求項5に示すように、天蓋の内面に貼着
される二軸延伸ポリエステルフィルムの結晶融点が約2
30℃であって、座金に対向する該フィルムの部分に塗
布された塗料を、140〜180℃x4〜10分で焼付
ける。このように焼付温度が二軸延伸ポリエステルフィ
ルムの結晶融点より遥かに低く、焼付時間も短いので、
フィルムの結晶化に基づく劣化によって、耐食性が損な
われるおそれがない。請求項6に示すように、額出し加
工の際に用いられる工具の、額部の内縁に対応する部分
の曲率半径が0.6mm以上と比較的大きいので、内縁
形成の際に伸び加工を受ける、内縁部の二軸延伸ポリエ
ステルフィルムに亀裂等の損傷が生ずるおそれがない。
【0013】
【実施例】図1は本発明の実施例である18リットル缶
1を示したものであって、2は胴体、3は天蓋、4は地
蓋を示す。胴体2は断面隅丸四角形状であって、電気抵
抗マッシュシーム溶接によって形成された、高さ方向に
延びる溶接部5によって一体化されている。胴体2の基
板2a(図2)は、錫めっき鋼板(所謂薄錫めっき鋼板
を含む)、ティンフリースチール、ニッケルめっき鋼板
等の缶用金属板よりなっており、その内面は、図2に示
すように、溶接部5を除いて、二軸延伸ポリエステルフ
ィルム6によって、プライマーまたは接着剤(図示され
ない;例えばエポキシフェノール系樹脂)を介して熱圧
着により被覆されている。なおプライマーまたは接着剤
を用いず、直接熱圧着してもよい。
【0014】本明細書においてポリエステルフィルムと
は、エチレンテレフタレートに共重合成分として、イソ
フタール酸、アジビン酸等の酸成分を約30mol%以
下を含むポリエステルフィルム、あるいはポリエチレン
テレフタレートと他の線状ポリエステル、例えばポリエ
チレンイソフタレートとのブレンド等を指称する。フィ
ルム6の厚さは、耐食性、加工性およびコスト等の観点
から約10〜30μmであることが好ましい。
【0015】基板2aである金属板の厚さは、0.25
〜0.40mm、より好ましくは0.30〜0.35m
mであることが望ましい。本実施例では、JIS規格に
基づいて0.32mmの金属板が採用される。その調質
度は、加工性の観点から、T4CA(連続焼鈍板)また
はT4BA(バッチ焼鈍板)であることが好ましい。錫
めっき鋼板の場合は、コストと溶接性の観点から、錫め
っき量が、両面とも、各1.00〜1.5g/m2であ
る、所謂薄錫めっき鋼板が好ましく用いられる。
【0016】溶接部5の内面は、図2に示すように、ポ
リエステル系粉体塗料またはポリアミド系スラリー塗料
等による補正塗膜7によって被覆されている。補正塗膜
7の厚さは、ポリエステル系粉体塗料の場合は75〜2
00μm、ポリアミド系スラリー塗料の場合は平均90
〜110μm、幅は何れの場合も10〜20mmである
ことが好ましい。胴体2の外面は溶接部5を含めて、ア
クリルアミノ系またはエポキシフェノール系塗料等の焼
付塗膜8,9によって被覆されている。焼付塗膜8,9
の厚さは、2〜10μmであることが好ましい。胴体2
の各面には、パネル強度を向上させるため、周縁の傾斜
部10aを介して僅かに凹んだ平面状の額部10が形成
されている(図1,図2)。
【0017】胴体2には、天蓋3および地蓋4がそれぞ
れ二重巻締部11および12を介して密封されている。
天蓋3は、その1隅に充填口13が設けられている。ま
た天蓋3の外面中央には、充填口13を形成後に手環1
5を取り付けるための座金14が、電気抵抗溶接、好ま
しくはスポット溶接によって着設されている。天蓋3お
よび地蓋4は、基板(例えば図3の3a)である缶用金
属板の内面全体が二軸延伸ポリエステルフィルム6によ
って、胴体2と同様に、プライマーまた接着剤を介して
熱圧着によって被覆されている。プライマーまた接着剤
を用いず、直接熱圧着してもよい。
【0018】座金14が接合された部分の内面には、電
気抵抗溶接前に、すなわちスポット溶接部16が形成さ
れる工程前に塗布焼付けされた焼付塗膜17(例えばエ
ポキシ系の)がフィルム6を被覆している(図3)。上
記の焼付は、フィルムの結晶化による劣化を防止するた
め、140〜180℃で4〜10分間行なわれるのが好
ましい。この条件での加熱は、充填口13の加工ひずみ
を緩和して、天蓋3内面のポリエステルフィルムの剥離
とストレスクラックの発生を防止するという利点も有す
る。天蓋3の基板3a(図3)である金属板の厚さは、
0.25〜0.40mm、より好ましくは0.30〜
0.35mmであることが望ましい。本実施例では0.
32mmである。その調質度は、充填口13の形成に絞
り加工等の苛酷な加工が行なわれるので、加工性の優れ
たT1BAまたはT2BAであることが好ましい。基板
3aとしては通常、ティンフリースチールや錫めっき鋼
板が採用される。
【0019】地蓋4の基板(図示されない)である金属
板(通常ティンフリースチール)の厚さは、0.25〜
0.40mm、より好ましくは0.30〜0.35mm
であることが望ましい。本実施例では0.32mmであ
る。その調質度は、T1BAまたはT2BAであること
が好ましい。天蓋3の外面は、アクリルアミノ系やエポ
キシフェノール系等の焼付塗膜18によって、座金14
近傍を除いて全面が被覆されている。地蓋4の外面も天
蓋3の場合と同様の焼付塗膜(図示されない)によっ
て、全面が被覆されている。
【0020】次に上記18リットル缶1の製造方法の実
施例を図4について述べる。胴体2の基板2aの内面側
となるべき面に対向する端縁部20a(幅約6〜7m
m)を残して、二軸延伸ポリエステルフィルム6を缶用
金属板に貼着され、次いで外面側となるべき面に対向す
る端縁部20a(幅約6〜7mm)を残して焼付塗膜8
(焼付温度はフィルム6の融点より約20〜50℃低い
温度)を形成し、必要に応じ印刷を更に施した長方形ブ
ランク20(図4,)をロールフォーミングマシーン
(図示されない)によって丸め(図4,)、対向する
両端縁部20aを常法により電気抵抗マッシュシーム溶
接して、高さ方向に延びる溶接部5を有する円筒形筒体
21を形成する(図4,)。本実施例では、フィルム
6の原反として、イソフタール酸12mol%を含有す
る、厚さ20μmの共重合ポリエステルフィルム(縦横
延伸倍率各3.0〜3.5、ヒートセット温度約200
℃、溶融開始点約210℃、結晶融点約230℃)が好
ましく用いられる。
【0021】次に円筒形筒体21を、筒体21の内面に
等間隔に接触するよう配設された、4本の延伸リフォー
ム用丸ロッド22を対角線方向(矢印方向)に移動させ
て、筒体21を隅丸正四角筒の胴体2にリフォームする
(図4,)。このリフォーム後のフィルム6の二軸配
向率Y%と、ブランク20のフィルム6の二軸配向率X
%の比Y/Xは1.1〜1.6となる。この二軸配向率
比は次のようにして測定される。 ブランク20と胴体
2から3cmx3cmのサンプルを切り出し、これらのサン
プルをX線回折装置によって、フィルムの二軸配向結晶
面({100}面)のピークである2θ(26度)のカ
ウント値を測定する。ブランク20のサンプルのカウン
ト値をI0、胴体2のサンプルのカウント値をI1とする
と、I1/I0が二軸配向率比となる。次いで溶接部5の
内面および外面にそれぞれ、補正塗料を塗布し(図4,
)、直ちにバーナ加熱等により溶融または焼付して補
正塗膜7および9を形成し(図4,)、冷却水,水ミ
ストまたは冷風等によって100℃以下に急冷する(図
4,))。これは前記焼付によって、胴体2の内面の
溶接部5近傍のポリエステルフィルムが結晶化して劣化
するのを防止するためである。
【0022】胴体2に額部10形成のための額出し加工
(図4,)、次いでフランジ加工を行なう。額出し加
工工具(図示されない)の、額部10の内縁10b(図
2参照)を形成する工具の、額部10bの内縁に対応す
る部分の曲率半径が0.6mm以上であることが好まし
い。0.6mmより小さいと、内縁10bに対向するフ
ィルム6の部分に亀裂が生じ易いからである。天蓋3お
よび地蓋4の額出し加工、例えば天蓋3の内縁3bを形
成する工具の曲率半径は0.4mm以上であることが望
ましい。次に胴体2に、予め内面側に二軸延伸ポリエス
テルフィルムを貼着し、外面側に焼付塗膜を形成し、周
縁シーム部内面にアクリル系エマルジョン,ウレタン系
等の密封剤をライニングした地蓋4を二重巻締する(図
4,)。
【0023】次いで胴体2を倒立して、予め内面側に二
軸延伸ポリエステルフィルム6を貼着し、座金14に対
向すべきフィルム6の部分に、座金14を電気抵抗溶接
する前の工程で塗布された塗料を、140〜180℃x
4〜10分で焼付けられ、外面側に座金14取付部近傍
を残して、焼付塗膜を形成し、かつ充填口13を形成
し、手環15付き座金14をスポット溶接し、周縁シー
ム部内面にアクリル系エマルジョン,ウレタン系等の密
封剤をライニングした天蓋3を、胴体2に二重巻締する
(図4,’)。次にエアテスターで漏洩テストを行な
う(図4,’)。その後二重巻締部11,12を、高
周波誘導加熱あるいはバーナ等により180〜210℃
に加熱して(図4,’,’)、密封剤を硬化させ
る。二重巻締部11,12の加熱温度が180℃より低
いと、天蓋3および地蓋4の巻締部内面、あるいはそれ
等近傍のポリエステルフィルムにクラックが生じ易く、
一方210℃を越えると、上記巻締部内面の金属とフィ
ルムの間に気泡が発生して、フィルムによる金属板の保
護が行なわれ難くなって、耐食性が劣化し易い。
【0024】その後、冷却水,水ミストまたは冷風等に
よって二重巻締部11,12を100℃以下に急冷する
(図4,’)。これは前記加熱によって、胴体2内面
の溶接部5、ならびに二重巻締部11,12およびその
近傍のポリエステルフィルムが結晶化によって劣化する
のを防止するためである。また溶接部5内面の補正塗膜
7として、ポリエステル系粉体塗料を用いた場合も、同
様に塗膜の劣化が防止される。その後、座金14および
二重巻締部11,12に錆止め塗料をスプレーした後、
風乾する(図4,’)。
【0025】以上の方法で作製した内面がポリエステル
系フィルムで被覆された18リットル缶Pと、従来の、
内面がエポキシフェノール塗膜で二重コートされ、天蓋
を、手環取付用座金をスポット溶接後に溶接部を補正塗
膜で補正した点以外は、缶Pと同様の18リットル缶Q
との腐食性の比較テストを行なった。
【0026】缶Pの内面被覆に用いられたフィルムは、
段落番号0020に記載のイソフタール酸12mol%
を含有する、厚さ20μmの共重合ポリエステルフィル
ム(結晶融点が約230℃:X/Y=1.5)であり、
胴体2の基板2aは厚さ0.32mmの薄錫めっき鋼板
(メッキ量は各面1.3g/m2:T4CA)、溶接部
5内面の補正塗膜7は、厚さ85μmで、ポリエステル
系粉体塗料を275℃で溶融後固化したものである。天
蓋3の座金14に対向する内面部分に、座金溶接工程前
に形成された焼付塗膜17(膜厚は2μm)は、エポキ
シ系塗料を165℃で4分間加熱することにより形成さ
れた。胴体2の額出し加工の際に用いられる工具の、額
部10の内縁10bに対応する部分の曲率半径は0.7
5mmであった。天蓋3および地蓋4の基板としては、
何れも厚さ0.32mmのティンフリースチール(T2
BA)を用いた。
【0027】腐食性のテストは、表1に示す4種の液体
合成洗剤を充填後、密封して、37℃で6月間保管した
後、缶内面の各部の状態を観察することによって行なっ
た。結果を表1に示す。表1において、パネル部とは、
天蓋3の充填口13と座金溶接部16を除いた内面の部
分をいう。腐食状態の欄において、○印は腐食無し、S
は腐食程度小、Mは腐食程度中、Lは腐食程度大を示
す。孔食は穿孔に至らない程度の腐食が進んだ状態を、
穿孔は孔あき状態をいう。なお孔食*1は孔の深さが
0.31mmで、穿孔に近い状態であったことを示す。
評価の欄において、○印は内容物に対する耐食性が優れ
ていて、18リットル缶としての耐内容物適正が有るこ
とを示し、X印は内容物に対する耐食性が劣っていて、
18リットル缶としての耐内容物適正が無いことを示
す。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の大型角形缶は、比較的低
コストで、かつ比較的低公害で、内容物に対する耐食性
に優れているという効果を奏する。請求項2記載の大型
角形缶は、天蓋の耐食性が一層優れているというメリッ
トを有する。請求項3記載の大型角形缶は、胴体の耐食
性が一層優れているというメリットを有する。請求項4
記載の大型角形缶の製造方法は、請求項1記載の大型角
形缶を確実に製造できるという効果を奏する。請求項5
記載の大型角形缶の製造方法は、天蓋の耐食性が一層優
れた大型角形缶を製造できるというメリットを有する。
請求項6記載の大型角形缶の製造方法は、胴体の耐食性
が一層優れた大型角形缶を製造できるというメリットを
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である大型角形缶の斜視図であ
る。
【図2】図1のII−II線に沿う横断面図である。
【図3】図1のIII−IIIに沿う縦断面図であっ
て、座金溶接部近傍の拡大図面である。
【図4】本発明の大型角形缶を製造する工程の要部を示
す説明用斜視図である。
【符号の説明】
1 18リットル缶(大型角形缶) 2 胴体 2a 基板(缶用金属板) 3 天蓋 3a 基板(缶用金属板) 4 地蓋 5 電気抵抗シーム溶接部 6 二軸延伸ポリエステルフィルム 7 補正塗膜 10 額部 10b 内縁 11 二重巻締部 12 二重巻締部 13 充填口 14 座金 15 手環 16 溶接部 17 焼付塗膜 20 ブランク 21 円筒形筒体 22 延伸リフォーム用丸ロッド
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65D 8/20 B65D 8/20 B (56)参考文献 特開 平5−97140(JP,A) 特開 平5−32256(JP,A) 特開 昭64−70352(JP,A) 特開 平5−104179(JP,A) 特開 平5−15934(JP,A) 特公 平1−60310(JP,B2) 実公 平3−7054(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 6/30 B21D 51/26 B21D 51/30 B21D 51/44 B23K 11/08 510 B65D 8/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 胴体と天蓋および地蓋が二重巻締により
    接合された大型角形缶において、胴体内面が、補正塗膜
    で被覆された胴体の高さ方向に延びる電気抵抗シーム溶
    接部を除いて、二軸延伸ポリエステルフィルムにより被
    覆されており、天蓋内面および地蓋内面が二軸延伸ポリ
    エステルフィルムにより被覆されており、天蓋に、充填
    口および電気抵抗溶接により接合された手環取付用座金
    が設けられており、座金に対向する天蓋の内面側の二軸
    延伸ポリエステルフィルムが焼付塗膜により被覆されて
    いることを特徴とする大型角形缶。
  2. 【請求項2】 天蓋の座金に対向する内面側に被覆され
    ている焼付塗膜が、座金を電気抵抗溶接する前の工程で
    形成されたものである請求項1記載の大型角形缶。
  3. 【請求項3】 胴体内面の二軸延伸ポリエステルフィル
    ムの二軸配向率X(%)の、製胴前のブランクの二軸延
    伸ポリエステルフィルムの二軸配向率Y(%)に対する
    比X/Yが1.1〜1.6である請求項1記載の大型角
    形缶。
  4. 【請求項4】 缶の内面側となるべき面に対向する端縁
    部を残して、二軸延伸ポリエステルフィルムを缶用金属
    板に被覆してなるブランクを丸め、上記端縁部を電気抵
    抗シーム溶接して、高さ方向に延びる溶接部を有する円
    筒形筒体を形成する工程、円筒形筒体を延伸リフォーム
    して断面角形形状の角形胴体を形成する工程、溶接部内
    面に補正塗膜を形成する工程、角形胴体の各面に額出し
    加工を行なう工程、両開口端部にフランジ部を形成する
    工程、缶の内面側となるべき面に二軸延伸ポリエステル
    フィルム層を形成され、周縁シーム部に密封剤をライニ
    ングされた地蓋を角形胴体に二重巻締する工程、缶の内
    面側となるべき面に二軸延伸ポリエステルフィルム層を
    形成され、周縁シーム部に密封剤をライニングされ、外
    面側となるべき面に手環取付用座金を電気抵抗溶接
    れ、座金に対向する内面側の二軸延伸ポリエステルフィ
    ルム層が前記溶接前に形成された焼付塗膜により被覆さ
    れており、かつ充填口を形成された天蓋を角形胴体に二
    重巻締する工程、および天蓋と地蓋の二重巻締部を加熱
    して密封剤を硬化後、急冷する工程を含むことを特徴と
    する大型角形缶の製造方法。
  5. 【請求項5】 天蓋の内面の二軸延伸ポリエステルフィ
    ルムの結晶融点が約230℃であって、座金に対向すべ
    き該フィルムの部分に、座金を電気抵抗溶接する前の工
    程で塗布された塗料を、140〜180℃x4〜10分
    で焼付ける請求項4記載の大型角形缶の製造方法。
  6. 【請求項6】 額出し加工の際に用いられる工具の、額
    部の内縁に対応する部分の曲率半径が0.6mm以上で
    ある、請求項4記載の大型角形缶の製造方法。
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