JP2001031926A - 樹脂被覆缶の継ぎ目被覆用樹脂材 - Google Patents

樹脂被覆缶の継ぎ目被覆用樹脂材

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JP2001031926A
JP2001031926A JP11205172A JP20517299A JP2001031926A JP 2001031926 A JP2001031926 A JP 2001031926A JP 11205172 A JP11205172 A JP 11205172A JP 20517299 A JP20517299 A JP 20517299A JP 2001031926 A JP2001031926 A JP 2001031926A
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seam
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JP11205172A
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Yoshio Wakayama
芳男 若山
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Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂被覆缶における溶接部の継ぎ目を確実に
密閉しかつ容易な手法で被覆できる樹脂材を提供するこ
とである。 【解決手段】 溶接された継ぎ目3に対応する缶内側を
被覆する樹脂材5は、少なくとも二層以上の樹脂層から
なるフィルム状、好ましくはテープ状の積層体であり、
溶接された継ぎ目3、その周辺の金属板2および合成樹
脂の被覆層1に対する接着面を、カルボキシル基を有す
る変性ポリオレフィン樹脂層(A)で形成し、この変性
ポリオレフィン樹脂の融点より15℃以上高い融点を有
する熱可塑性樹脂層(B)を変性ポリオレフィン樹脂層
(A)に重ねて設けたものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、樹脂被覆缶の溶
接された金属板の継ぎ目を被覆する継ぎ目被覆用樹脂材
および樹脂被覆缶の缶胴の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、腐食性の薬剤や工業材料などを
収容する耐食性缶として、ポリオレフィン系樹脂などの
合成樹脂を被覆した金属板を素材とし、その要所を溶接
して形成された樹脂被覆缶が知られている。
【0003】図3に示すように、樹脂被覆缶の缶胴を形
成する素材の金属板2は、長方形の金属板2の両端縁
(サイドシーム予定部分)を除く片面にポリオレフィン
系樹脂フィルムなどの樹脂からなる被覆層1をラミネー
トして一体に設けたティンフリースチール板などからな
り、図4に示すように被覆層1を内側にして湾曲するよ
うに曲げ成形し、その両端部を重ねてシーム溶接などの
溶接法によって缶胴の長手方向に延びる細幅の継ぎ目3
を形成して缶胴部になる。
【0004】図5に示すように、缶胴部4の内側のシー
ム溶接された継ぎ目3には、基材の金属が腐食性の内容
物に触れないようにするために合成樹脂の被覆6を設け
る。図示した缶胴部の製造方法は、特開昭57−800
45号公報に記載されているように、シーム部分にポリ
アミド系樹脂粉末を静電塗装法またはスラリー塗装法な
どによって塗布し、これを乾燥させた後に溶融し、溶接
された継ぎ目に跨がって缶内面と合成樹脂被覆とに密着
させるようにして約70μm程度の厚さ(中央部)の被
膜を形成していた。
【0005】従来の樹脂被覆缶の継ぎ目被覆用樹脂材と
しては、ポリアミド系樹脂粉末やポリエチレン樹脂粉末
などの溶融性樹脂粉末、またはエポキシ樹脂粉体を含有
する塗装材料であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の樹脂被覆缶の継ぎ目被覆用の樹脂材は、粉状の樹脂材
を用い、これを塗装して溶融し密着させるのであるか
ら、層の厚さが不均一となり、また溶融・冷却時にピン
ホールが発生する場合があり、缶内側の継ぎ目付近から
腐食が起こりやすいという問題点があった。
【0007】また、このような不完全な耐食性樹脂層を
有する樹脂被覆缶では、特に腐食性の強い塩酸、塩化ナ
トリウム、アルキルベンゼンスルホン酸などを収容した
場合に、確実に長期間密閉保存できる機能をもたせるこ
とが困難であった。
【0008】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、樹脂被覆缶における金属板の継ぎ目を確
実にかつ容易な手法で樹脂被覆できる樹脂材を提供する
ことである。
【0009】また、溶接部の金属板製の継ぎ目および樹
脂被覆に対する密着性がよく、均一な厚みでピンホール
のない耐食性に優れた耐食性被覆を形成できる樹脂材を
提供することである。
【0010】さらにまた、缶胴の製造方法に係る発明で
は、樹脂被覆缶における溶接部の継ぎ目を樹脂材で被覆
する際に、樹脂材が剥離することなく、確実に密着して
被覆できる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の樹脂材に関する課
題を解決するため、本願の樹脂材に係る発明は、合成樹
脂を被覆した金属板を溶接して缶胴部が形成された樹脂
被覆缶の前記溶接された継ぎ目を被覆する樹脂材におい
て、この樹脂材を二以上の樹脂層からなる積層体で形成
し、前記継ぎ目に対する積層体の接着面を、カルボキシ
ル基を有する変性ポリオレフィン樹脂層(A)で形成す
ると共に、この変性ポリオレフィン樹脂の融点より15
℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂層(B)を前記変
性ポリオレフィン樹脂層(A)に重ねて設けたことを特
徴とする樹脂被覆缶の継ぎ目被覆用樹脂材としたのであ
る。
【0012】樹脂被覆缶は、1以上の金属板同士または
曲げた金属板の両端部を重ねて溶接によってつなぎ合わ
せて缶胴部を有する。そして、上記した構成からなる樹
脂被覆缶の継ぎ目被覆用樹脂材は、合成樹脂被覆に跨が
って溶接された継ぎ目を被覆するように樹脂材を加熱圧
着するときに、カルボキシル基を有する変性ポリオレフ
ィン樹脂層(A)が溶接部および周囲の金属板によく接
着する。
【0013】この層(A)に重ねて設けられた熱可塑性
樹脂層(B)は、変性ポリオレフィン樹脂の融点より1
5℃以上高い融点(Tmb )を有するので、このように
変性ポリオレフィン樹脂層(A)が融点(Tma )より
若干高い温度(Tma +15℃未満)に加熱されたとき
でも、溶融せずに変性ポリオレフィン樹脂層(A)を保
持し、樹脂材を均一な圧力で継ぎ目に押し当てて密着さ
せることができ、また樹脂材の厚さ方向に貫通するよう
なピンホールを発生させない作用がある。
【0014】また、本願の製造方法に係る発明では、合
成樹脂を被覆した金属板を曲げて継ぎ目を溶接し、この
継ぎ目を樹脂材で被覆する樹脂被覆缶の缶胴部の製造方
法において、前記樹脂材を積層体で形成し、前記継ぎ目
に対する積層体の接着面を、カルボキシル基を有する変
性ポリオレフィン樹脂層(A)で形成すると共に、この
変性ポリオレフィン樹脂層(A)に重ねて変性ポリオレ
フィン樹脂の融点より15℃以上高い融点を有する熱可
塑性樹脂層(B)を設け、前記積層体の接着面を継ぎ目
に圧接して加熱融着する際、前記変性ポリオレフィン樹
脂の加熱減量(JIS K7120)5重量%となる温
度以下であってこの樹脂の融点を越えて樹脂材を加熱す
ることを特徴とする樹脂被覆缶の缶胴部の製造方法とし
たのである。
【0015】上記の製造方法では、樹脂材の発明におけ
る作用と同様に、合成樹脂被覆に跨がって溶接部を被覆
するように樹脂材を加熱融着するとき、カルボキシル基
を有する変性ポリオレフィン樹脂層(A)からなる接着
面が、缶胴部の溶接部、周囲の金属板および変成ポリオ
レフィン樹脂などからなる合成樹脂被覆によく接着する
ので、缶胴部と樹脂材の間に腐食を助長するようなすき
間を形成しない。
【0016】変性ポリオレフィン樹脂層(A)に重ねて
設けた熱可塑性樹脂層(B)は、変性ポリオレフィン樹
脂の融点より15℃以上高い融点(Tmb )を有するの
で、融点(Tma )より若干高い温度(Tma +15℃
未満)で変性ポリオレフィン樹脂層(A)が加熱溶融し
た際にも溶融せずに変性ポリオレフィン樹脂層(A)を
表面側から加圧するときに樹脂材を均一な圧力で継ぎ目
に押し当てて密着させ、樹脂材(積層体)の厚さ方向に
貫通するピンホールを発生させない。
【0017】また、加熱融着する温度を樹脂層(A)の
加熱減量5重量%の温度以下であって融点を越える温度
に加熱調整したので、樹脂層(A)が熱劣化せず、積層
体からなる樹脂材が反って剥離するような不具合はなく
なり、溶接部を樹脂材で確実に被覆できる。
【0018】因みに、この発明でいう加熱減量とは、J
IS K7120に準拠した熱天秤法(TGA)により
昇温速度10℃/分で昇温しながら測定した質量変化の
ことをいう。
【0019】
【発明の実施の形態】本願の各発明の実施形態を以下
に、添付図面を参照しながら説明する。図3および図4
に示すように、本願の各発明でいう樹脂被覆缶は、合成
樹脂の被覆層1を有する金属板2を曲げて両端を重ね、
その継ぎ目3をシーム溶接法などによって溶接した缶胴
部4を有する。缶胴部4の形状は、図示した円筒体形状
でなくてもよく、例えば角筒体、楕円筒体などの周知形
状からなる筒体状のものを採用することもできる。
【0020】缶胴部4の両端開口は、別途設けた樹脂被
覆板からなる蓋(図示せず。)を、常法に従って巻締、
またはハンダ付けなどによって取り付けると共に密閉
し、ペール缶、18リットル缶、その他の缶と呼ばれる
容器の主要部品となる。
【0021】金属板の材料は、鋼板を採用する場合が多
いが、缶に所要の機械的強度と加工性等の通常求められ
る条件を満足するならば、アルミニウム、ブリキ、金属
とセラミックスの複合材、金属と耐熱性プラスチックス
の複合材など、他に周知の金属材料または複合材料を選
択的に使用できる。なお、金属板には、耐食性の向上お
よび樹脂材の密着性向上のための表面処理を行なうこと
が好ましい。このような表面処理としては、鋼板に対す
るスズめっき処理、電解クロム酸処理などが代表的な処
理である。
【0022】金属板に対する合成樹脂の被覆は、金属板
表面に均一な厚さに形成された合成樹脂層であり、通
常、金属板の端部(縁)の一定幅は、金属板の両端同
士、または他の金属板の端部を重ねて溶接をしやすくす
るために、合成樹脂の被覆を設けないようにしている。
【0023】合成樹脂を金属板に被覆する方法は、塗布
またはラミネート法などを採用することができる。被覆
する合成樹脂の種類は、耐食性に優れたものであること
が好ましく、樹脂被覆缶の使用目的や内容物の種類に応
じて適宜に決定すればよい。耐食性の良好な合成樹脂と
しては、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオ
レフィン系のものが挙げられる。このような合成樹脂フ
ィルムをラミネートする方法としては、熱融着ラミネー
ト法または押し出しラミネート法などを例示できる。
【0024】図1および図2に示すように、溶接された
継ぎ目3に対応する缶内側を被覆する樹脂材5は、少な
くとも二層以上の樹脂層からなるフィルム状、好ましく
はテープ状の積層体であり、溶接された継ぎ目3および
その周辺の金属板2に対する接着面を、カルボキシル基
を有する変性ポリオレフィン樹脂層(A)で形成し、こ
の変性ポリオレフィン樹脂の融点より15℃以上高い融
点を有する熱可塑性樹脂層(B)を変性ポリオレフィン
樹脂層(A)に重ねて設けたものであり、通常、樹脂材
は、10〜500μm程度の厚さのテープ状であって共
押し出し法などの周知の積層フィルムの製造方法で製膜
化されたものを一定の細幅に裁断したものである。
【0025】カルボキシル基を有する変性ポリオレフィ
ン樹脂は、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレン
などと呼ばれるポリオレフィングラフトコポリマー(共
重合体)であり、ポリオレフィンからなる主鎖にマレイ
ン酸やアクリル酸などの極性を有するモノマー、すなわ
ちカルボキシル基含有のモノマーを側鎖として化学的に
結合させたもの、エチレン−アクリル酸共重合体やエチ
レン−メタアクリル酸共重合体をナトリウム(Na)、
亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)などでイオン化し
たアイオノマー樹脂などが挙げられる。カルボキシル基
を有する変性ポリオレフィン樹脂の市販品としては、三
井化学社製:アドマー、三菱化学社製:モッディックA
P、住友化学社製:ボンドファーストなどが挙げられ
る。
【0026】この発明でいう融点は、示差走査熱量計
(DSC)で10℃/分の加熱速度で加熱した際に、吸
熱ピークから求められる温度として計測することができ
るものである。
【0027】変性ポリオレフィン樹脂層(A)の融点T
aは、通常、50〜180℃程度であり、樹脂材の積層
体を構成する層の厚さは5〜100μm程度である。5
μm未満の層厚では、溶接部を補修する際の密着性が悪
くなり、100μmを越える層厚ではラミネート性(適
当な温度で均一な層厚に効率よくラミネートできるこ
と)が悪くなったり、経済的にも実用性が低くなる。ま
た、融点Taが50℃未満では、製缶工程の巻締め等で
加熱する際や、製缶後に内容物を充填する際の加熱によ
り、フィルム状の樹脂材が缶内面から剥がれやすくなっ
て好ましくない。また、融点Taが180℃を越えるも
のでは、ラミネートする際に缶が相当の高温に加熱され
るので、缶外面に通常、設けられる印刷面が変色(黄
変)する場合があって好ましくない。このような理由か
ら、より好ましい変性ポリオレフィン樹脂層(A)の融
点Taの範囲は、80〜150℃である。
【0028】また、変性ポリオレフィン樹脂層(A)に
重ねて設ける熱可塑性樹脂層(B)の材料は、変性ポリ
オレフィン樹脂の融点Taより15℃以上高い融点Tb
を有し、層同士の密着性が良ければポリオレフィン樹脂
などの周知の熱可塑性樹脂を選択的に採用することがで
きる。
【0029】Tb−Ta=ΔTで表した場合、ΔT<1
5℃では、変性ポリオレフィン樹脂層(A)を融点(T
a )より若干高い温度に加熱して溶融させる時に、熱
可塑性樹脂層(B)も軟化または溶融し、層の厚さ方向
に貫通するようなピンホールの発生を確実に防止するこ
とが困難になる。また、樹脂材で溶接部付近を被覆する
場合に、ラミネートロールを使用すると、樹脂材がラミ
ネートロールに巻きつくというトラブルが発生しやすく
なって好ましくない。なお、ΔT>15℃であれば、上
記したような不具合がないので、特にΔTの上限を設定
する必要性は通常ないが、熱可塑性樹脂層(B)も軟化
して溶接部付近の凹凸に追従して変形することは密着性
を向上させるために好ましいことから、15℃<ΔT<
100℃であることが好ましい。
【0030】また、前記接着面を溶接部付近の缶胴部の
金属面に圧接して加熱融着する際、A層の加熱減量(J
IS K7120)5重量%の温度以下に加熱して樹脂
被覆缶の缶胴部を製造することが好ましい。すなわち、
このような条件で加熱融着することにより、鋼板などの
金属板からなる缶胴の溶接部付近と、樹脂材との密着性
の改良を図ることができ、さらに缶胴形成過程で発生し
た樹脂材(ラミネートフィルム)のクラックやクレージ
ングなどの発生を防止することができる。そして、加熱
温度がTa未満では、樹脂材と金属面との密着性が不充
分になり、A層の加熱減量5重量%の温度を越える高温
に加熱すると、A層の熱劣化が甚だしくなり、金属面お
よび合成樹脂との接着性が低下するので好ましくない。
好ましい加熱温度Tは、Ta<T<Tbであり、より好
ましくは、Ta+5℃<T<Tbである。
【0031】上記の加熱融着に要する時間は、特に限定
されるものではなく、また加熱方法としては、プロパン
ガスなどの直火加熱や誘導加熱による方法などを採用す
ることができる。
【0032】缶胴部などの金属板が露出している溶接部
(継ぎ目)付近に対し、テープ状の樹脂材を被覆する方
法としては、缶胴部を胴軸方向に移動させながら胴軸方
向に帯状に延びる継ぎ目を局所的に加熱し、二本のロー
ルで缶胴部の内外を挟んでテープ状樹脂材を缶胴部内側
に圧着する方法が効率よく好ましい方法である。
【0033】
【実施例】〔実施例1〜4、比較例1〜6〕厚さ0.4
mm、幅910mmの長方形状のティンフリースチール
板の片面にポリエステル系のホワイトインクをコート
し、他面に厚さ50μmのカルボキシル基を有する変性
ポリオレフィン樹脂フィルム(三井化学社製:アドマ
ー)を熱融着法でラミネートした。なお、ティンフリー
スチール板の両端縁の10mmの幅はシーム溶接代と
し、変性ポリオレフィン樹脂フィルムのラミネートをせ
ず、金属面を露出させた。
【0034】得られたラミネート鋼板をペール缶の缶胴
部として適当な高さになるように裁断し、常法にしたが
って、筒状に曲げ加工し(ロールフォーミング)、さら
に鋼板の幅方向の両端を10mm未満だけ重ねてシーム
溶接を行ない、継ぎ目のある缶胴部を製造した。
【0035】一方、溶接された継ぎ目を被覆する樹脂材
については、製膜した二層の樹脂積層体を採用し、前記
継ぎ目に対する積層体の接着面側の層(A層)と、これ
に重ねる表面側の層(B層)に使用した材料を以下に列
挙し、また表1中に層の構成(A/B)等を簡略に示し
た。
【0036】(1)カルボキシル変性ポリプロピレン樹
脂〔酸変性PP1〕 三井化学社製:アドマー(融点:145℃、5%加熱減
量温度:270℃) (2)カルボキシル変性ポリプロピレン樹脂〔酸変性P
P2〕 三井化学社製:アドマー(融点:154℃) (3)ポリプロピレン樹脂〔PP〕 日本ポリオレフィン社製:ノバテックPP(融点:16
0℃) (4)ポリエチレン樹脂〔PE〕 日本ポリオレフィン社製:ノバテックPE(融点:12
3℃) (5)エチレン−アクリル酸共重合体〔EAA〕 日本ポリオレフィン社製:ノバテックEAA(融点:9
3℃) (6)ポリエステル系粉体塗料〔ポリエステル粉体塗
料〕 デクスターミドランド社製:VECODUR VP92 (7)ポリアミド系粉体塗料〔ポリアミド粉体塗料〕 デクスターミドランド社製:VECODUR VPPA
【0037】
【表1】
【0038】上記のように製造した缶胴部の溶接された
継ぎ目に対して同上の樹脂材(積層テープ)を被覆する
には、先ず缶胴部を胴長方向に搬送しながら継ぎ目を、
表1に示した所定温度までヒータで加熱し、継ぎ目の長
手方向に樹脂材(積層テープ)を重ねながら缶の内外を
2本のロールで挟圧し、ラミネート(被覆)した。
【0039】特に、実施例3、4および比較例6、7に
ついては、樹脂材を缶胴部にラミネート後、継ぎ目を表
1に示す温度に加熱するという工程を加えた。
【0040】次いで、得られた実施例および比較例の缶
胴部に対して、通常のペール缶製造工程に従って、エキ
スパンド、フランジ、ビード加工などの所定のプレス加
工をし、さらに天地板(樹脂被覆された鋼板)を取り付
け、密閉可能なペール缶を製造した。
【0041】以上の製造工程において、樹脂材(積層テ
ープ)の補修性、およびペール缶製造時の問題点の有無
についての評価を、以下のように行ない、その結果を表
2に示した。
【0042】(a)樹脂材(積層テープ)の補修性 溶接された継ぎ目を加熱すると共に樹脂材を重ねてロー
ルで圧着するときに、樹脂材またはロールに不具合が発
生しない場合を○印、樹脂材が継ぎ目に接着しない場合
やロールに樹脂材が粘着する場合を×印とする2段階評
価を行なった。
【0043】(b)ペール缶製造上の問題の有無 溶接された継ぎ目を補修した缶胴部をエキスパンド、フ
ランジ、ビード加工などのプレス加工を行なった際に、
問題なく作製できる場合を○印とし、これらの工程で成
形できなかったり、樹脂材が継ぎ目から剥離する場合を
×印とする2段階評価を行なった。
【0044】因みに、エキスパンド加工は、溶接した後
に缶の内面側から缶径を広げる加工であり、通常、缶胴
部に若干のテーパを形成して缶の強度を上げる加工であ
る。また、フランジ加工は、缶胴部の両端(天地側)を
一定の幅で90°外側に曲げる加工であり、またビード
加工は、前記のようにフランジ加工された部分を缶の外
側に曲げて中空リング状のビードを形成し、天板を取り
付けられるようにする加工である。このような加工は、
いずれも缶胴部の継ぎ目被覆部に曲げ、伸びなどの物理
的な負担をかけるので、その部分にダメージを生じやす
い加工である。
【0045】また、製造されたペール缶について、耐食
試験を以下の(1)、(2)、(3)の条件で行ない、
その評価を腐食のない場合を○印、点状の腐食がある場
合を△印、大きな腐食のある場合を×印とする3段階評
価とし、結果を表2中に示した。
【0046】(c)耐食性試験 (1)ペール缶内に30重量%のアルキルベンゼンスル
フォン酸ソーダを充填し、40℃で6ヵ月間保存し、そ
の後、開缶して溶接された継ぎ目部分の腐食状態を肉眼
で調べた。
【0047】(2)ペール缶内に5重量%の塩酸水溶液
を充填し、40℃で6ヵ月間保存し、その後、開缶して
溶接された継ぎ目部分の腐食状態を肉眼で調べた。
【0048】(3)ペール缶内に1.5重量%の塩化ナ
トリウムと1.5重量%のクエン酸を加えた水溶液を充
填し、40℃で6ヵ月間保存し、その後、開缶して溶接
された継ぎ目部分の腐食状態を肉眼で調べた。
【0049】
【表2】
【0050】表2の結果からも明らかなように、テープ
状の樹脂材がA層(酸変性PP2)/B層(PP)から
なる比較例1、2では、A/B層間の融点の差が4℃と
いう所定差の15℃未満であったので、テープ状樹脂材
が接着し難く、缶胴部をプレス加工する際に、加工でき
なかったり、樹脂材が継ぎ目から剥離するという問題が
あった。
【0051】また、A層に酸変性のポリオレフィン樹脂
を採用しなかったテープ状の樹脂材を使用した比較例3
では、缶胴部の金属に対する接着性が低くてペール缶を
製造できなかった。テープ状の樹脂材を使用せず、ポリ
エステル系粉体塗料またはポリアミド系粉体塗料を使用
した比較例4、5は、ペール缶の耐食性が悪く、長期間
確実に腐食を防止することができなかった。
【0052】さらにまた、加熱減量が5重量%を越える
温度で再加熱処理した比較例6は、製缶におけるビード
加工でテープ状樹脂材が剥離し、耐食性試験を行なえな
かった。
【0053】以上のような比較例の結果に対し、テープ
状の樹脂材のA・B層の融点差が15℃以上あり、ラミ
ネート温度がA層の融点+10℃以上である実施例1〜
4は、樹脂材の補修性およびペール缶製造時に問題が全
くなく、(1)〜(3)の耐食性試験においていずれも
優れた評価が得られた。
【0054】
【発明の効果】本願の樹脂材に係る発明は、以上説明し
たように、缶胴部の継ぎ目に対する樹脂材の接着面をカ
ルボキシル基を有する変性ポリオレフィン樹脂層(A)
で形成し、所定の融点を有する熱可塑性樹脂層(B)を
設けた積層体からなる継ぎ目被覆用樹脂材としたので、
樹脂層(A)が溶接部の金属板および樹脂被覆に密着し
た状態で確実に溶融して接着し、樹脂層(B)は樹脂層
(A)を支持すると共に樹脂材の厚さ方向に貫通するよ
うなピンホールを発生させないため、樹脂被覆缶におけ
る溶接部の継ぎ目を確実にかつ容易な手法で樹脂被覆で
きる樹脂材であるという利点がある。
【0055】また、本願の製造方法に係る発明は、上記
樹脂材を採用したことによる同様の利点があり、しかも
融着のための加熱温度を熱可塑性樹脂層(B)の所定の
温度以下に設定した製造方法であるので、熱可塑性樹脂
が熱変形せず、積層体からなる樹脂材が反って剥離する
ことがなく、溶接部は樹脂材で確実に被覆できるという
利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示す樹脂材の断面図
【図2】実施形態を示す樹脂材の使用状態の断面図
【図3】(a)合成樹脂を被覆した金属板を示す平面図 (b)合成樹脂を被覆した金属板を示す断面図
【図4】金属板を筒状に曲げて継ぎ目を溶接した状態を
示す缶胴部の断面図
【図5】従来例を示す樹脂材の使用状態の断面図
【符号の説明】
1 被覆層 2 金属板 3 継ぎ目 4 缶胴部 5 樹脂材 6 被覆 A 変性ポリオレフィン樹脂層 B 熱可塑性樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E061 AA16 AB04 AB13 AC09 BA02 DA06 DB04 4F100 AB01A AK01C AK03B AL07B BA03 BA07 BA10A BA10C BA26 DA15 EC032 EC171 EJ172 EJ422 GB16 GB23 JA04B JA04C JB16C JK14 4J004 AA07 AB03 CA04 CC02 FA04 FA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂を被覆した金属板を溶接して缶
    胴部が形成された樹脂被覆缶の前記溶接された継ぎ目を
    被覆する樹脂材において、 この樹脂材を二以上の樹脂層からなる積層体で形成し、
    前記継ぎ目に対する積層体の接着面を、カルボキシル基
    を有する変性ポリオレフィン樹脂層(A)で形成すると
    共に、この変性ポリオレフィン樹脂の融点より15℃以
    上高い融点を有する熱可塑性樹脂層(B)を前記変性ポ
    リオレフィン樹脂層(A)に重ねて設けたことを特徴と
    する樹脂被覆缶の継ぎ目被覆用樹脂材。
  2. 【請求項2】 合成樹脂を被覆した金属板を曲げて継ぎ
    目を溶接し、この継ぎ目を樹脂材で被覆する樹脂被覆缶
    の缶胴部の製造方法において、 前記樹脂材を積層体で形成し、前記継ぎ目に対する積層
    体の接着面を、カルボキシル基を有する変性ポリオレフ
    ィン樹脂層(A)で形成すると共に、この変性ポリオレ
    フィン樹脂層(A)に重ねて変性ポリオレフィン樹脂の
    融点より15℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂層
    (B)を設け、前記積層体の接着面を継ぎ目に圧接して
    加熱融着する際、前記変性ポリオレフィン樹脂の加熱減
    量(JISK7120)5重量%となる温度以下であっ
    てこの樹脂の融点を越えて樹脂材を加熱することを特徴
    とする樹脂被覆缶の缶胴部の製造方法。
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