JP3043193B2 - 開缶性、耐食性、フェザー性に優れた易開缶性蓋用ラミネート鋼板 - Google Patents

開缶性、耐食性、フェザー性に優れた易開缶性蓋用ラミネート鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属容器蓋、特に缶蓋
の一部あるいはほぼその全面を人手により容易に開口で
きる鋼板製易開缶蓋に関するものであり、飲料缶あるい
は一般食缶その他の幅広い用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】容器蓋の一部あるいはほぼその全面を人
手により容易に開口できる易開缶蓋は、取っ手と開口片
を引きちぎり缶本体と分離されるテアーオフ式と、取っ
手および開口片共に開缶後も缶本体に固着されたまま残
るステイオンタブ方式が実用化されている。いずれの方
式においても、殆どの易開缶蓋は製造技術上の理由から
アルミニウム板で製造されており、一部の限られた用途
に鋼板が使用されている現状にある。
【0003】従来技術の代表例としては、塗装されたア
ルミニウムあるいは鋼板を素材とし、基本的な蓋形状に
打抜き後、蓋本体を平らな下型上にのせ、その上面より
所要の輪郭形状を有する尖鋭刃を押圧して、その刃先を
蓋本体内へ食い込ませることにより、図6に示すよう
に、断面V字形の切断案内溝で囲まれる開口片形状を形
成していた。
【0004】鋼材そのものは強度が高い基本時特徴を有
しており、人手により容易に開口できる切断案内溝を形
成するには、加工前板厚の半分〜2/3程度に達する尖
鋭刃の激しい押圧が必要とされている。この切断案内溝
の深さは、浅すぎる場合には開缶性不良、深すぎる場合
には外部よりのショックに対する衝撃強度不足等をもた
らすため、相当の精度が必要とされていた。
【0005】従って、加工用工具にも相当の精度が要求
されるが、尖鋭刃の激しい押圧が必要な鋼板の場合、工
具寿命が保たない欠点があった。又、内容物に対する耐
食性の確保あるいは外面錆の発生防止のため、切断案内
溝部の加工により金属面が露出した部分には補修塗装が
必要とされている。
【0006】工具寿命の延長対策としては、特開昭55
−70434号、特開昭57−175034号等に見ら
れるごとく、複合押出し成形により切断案内溝を構成す
る方法が提案されている。この公知の方法は、鋼板の使
用を前提としてなされたものであり、工具寿命の延長に
は有効な方策であったが、切断案内溝部の断面構造が複
雑なため、通常のスプレー塗装法では切断案内溝内の全
ての部位に塗料が行き渡らず、補修塗装を行っても十分
な耐食性が得られない欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】尖鋭刃を使用する従来
技術には、その素材としてアルミニウムがその特性上好
ましいものとされ、鋼板を素材とするものは極めて限定
された用途にしか使用されていないのは前述の通りであ
る。その理由は、尖鋭刃の激しい押圧に対し鋼板の抵
抗力が強く、加工用工具寿命が非常に短い事、鋼板表
面の塗膜が加工により破壊され、切断案内溝全周あるい
は取っ手かしめ部等に対し、補修塗装を必要とする事、
耐食性面での不安がある事、等が主たる理由であっ
た。
【0008】一方、近年の地球環境問題に対する認識の
高まりに対応して、リサイクルに適した商品への指向が
必要とされており、金属缶においても、缶胴と缶蓋が同
一素材より形成された、いわゆる“モノメタル缶”化が
重要である。
【0009】現在、大半の金属缶には鋼板を素材とする
缶胴が使用されており、開缶性に優れ、内外面の補修塗
装不要な、耐食性の優れた鋼板製易開缶蓋を、生産性良
く製造可能な方策の出現が熱望されている所である。も
とより、鋼板そのものは経済性に優れた存在であり、缶
胴と缶蓋共に鋼板製とすることにより、経済性により優
れ、資源としての再利用を行いやすい商品となることが
期待される。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するために考案された易開缶蓋用のラミネート鋼板
素材であり、さらに詳細には、鋼板の両面に、厚み10
−100μ、伸び300%以上、結晶化度10%以下で
結晶融解熱10joul/g以上の結晶性飽和ポリエス
テル系樹脂皮膜を有することを特徴とする開缶性、耐食
性、フェザー性に優れた易開缶性蓋用ラミネート鋼板で
ある。
【0011】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に使用される鋼板は、通常、板厚t
0 :0.150〜0.300mmの範囲にあり、硬度
(HR30T)54〜68、伸び:10〜40%程度の機械
的性質を有するものが使用される。
【0013】この鋼板の表面に、Sn,Cr,Ni,A
l,Znの1種または2種以上の金属めっきを行い、ク
ロメート処理皮膜の上に、製蓋加工後の補修塗装を不要
にするために密着性・加工性・耐食性に優れる樹脂皮膜
が積層される。
【0014】具体的に用いられる鋼板としては、付着量
0.5〜3.0g/m2 の錫めっき後化成処理を施した
錫めっき鋼板、付着量0.3〜2.0g/m2 のニッケ
ルめっき後化成処理を施したニッケルめっき鋼板、Sn
及びNi付着量として各々0.5〜2.0g/m2
0.01〜0.5g/m2 をNi、Snの順にめっき後
化成処理を施したSn/Niめっき鋼板、金属Cr付着
量50〜200mg/m2 、酸化Cr5〜30mg/m
2 の通常TFS(Tin Free Steel)と呼
ばれているクロム・クロメート処理鋼板などがある。
【0015】上述の鋼板の両面に積層される樹脂は、厚
み10−100μ、伸び300%以上、結晶化度10%
以下で結晶融解熱10joul/g以上の結晶性飽和ポ
リエステル系樹脂皮膜である。この樹脂皮膜は、押圧成
形による切断案内溝の加工時に、密着性よく素地に追随
し皮膜自体も優れた加工性を有することにより、加工後
も素地を完全に被覆しており、従来必要であった補修塗
装を不要とする重要な存在である。又、開缶時に、切断
案内溝の切り口端面に、樹脂のみが局部的に残存(膜残
り現象、以下フェザーと称す)し、外観的な印象を損な
うことを防ぐために、特定の樹脂を使用する必要があ
る。
【0016】本発明での結晶性飽和ポリエステル系樹脂
とは、ジカルボン酸とジオールの縮重合で得られる線状
熱可塑性ポリエステルであり、ポリエチレンテレフタレ
ートで代表されるものである。ジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの単独または混合
物であり、ジオール成分としては、エチレングリコー
ル、ブタンジオール、デカンジオール、ヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール
などの単独あるいは混合物である。2種以上のジカルボ
ン酸成分やジオール成分による共重合体や、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコールなどの他のモノマ
ーやポリマーとの共重合体であっても良い。
【0017】本発明におけるラミネート鋼板の樹脂皮膜
の厚みを10−100μとした理由は、10μ未満では
樹脂皮膜のバリアー性(耐食性、耐錆性)が確保されな
いためであり、100μ超では、樹脂皮膜のバリアー性
に対して効果が飽和し、経済的に不利を招くためであ
る。性能の安定性・経済性等を考慮した場合16−60
μ範囲のものが特に有効である。
【0018】本発明に必要とされる樹脂皮膜物性とし
て、破断伸びが300%以上かつ結晶化度10%である
ことが重要である。300%未満あるいは結晶化度10
%超では、後述する押圧加工時の薄肉部成形に対し伸び
不足により、樹脂皮膜に多数の欠陥を生じることになり
好ましくない。さらに好ましくは45%以上の伸びを有
する皮膜が好ましい。
【0019】なお、積層樹脂皮膜の伸び特性は、素地よ
り樹脂皮膜を剥離し、JIS C2318に準じた方法
で測定される。
【0020】なお、本発明でいう結晶化度とは次の手順
で測定した値である。
【0021】樹脂層についてのX線回折強度を2θ=
5〜40の範囲で測定する。
【0022】2θ=10,2θ=35におけるX線回
折強度曲線を直線で結び、ベースラインとする。
【0023】樹脂層と同一樹脂を溶融後液体窒素中に
投入するなどの手段により、ほぼ完全非晶質と考えられ
る試料となし、これについてと同一条件でX線回折強
度を測定する。
【0024】で得た回折強度線の結晶回折ピークの
すそをなめらかな曲線で結ぶ。なお、その曲線の形状は
で測定した非晶質試料の回折強度曲線と相似形になる
ようにする。
【0025】のベースラインとの曲線に囲まれた
部分の面積をIa、の回折強度曲線に囲まれた部分の
面積をIcとする。
【0026】{Ic/Ia+Ic}×100を結晶化
度とする。
【0027】さらに、本発明に必要とされる樹脂皮膜物
性として、結晶融解熱が10joul/g以上であるこ
とが重要である。これまでの発明者の知見から、後述す
る押圧加工によって得られる易開缶性蓋においては、少
なくとも切断案内溝周辺の缶内外面の樹脂皮膜を、結晶
化度20%以上、伸び100%以下にしなければ、開缶
時のフェザーリング問題が発生する。即ち、開口片を引
きちぎり或いは押し込んで開缶した場合、切断案内溝周
辺の樹脂皮膜を、結晶化度20%未満或いは伸び100
%超では、切り口部に膜の破断片が目立ち、外観的な不
快感を与える。
【0028】即ち、押圧加工における加工性について
は、ラミネート鋼板皮膜は低結晶化度と高い伸び性とが
必要である。一方、フェザーリングに関しては、高結晶
化度と低い伸び性とが必要であり、矛盾を生じることに
なる。
【0029】そこで、押圧加工前では、低結晶化度と高
い伸び性とを有する皮膜を、押圧加工後に、少なくとも
切断案内溝周辺の缶内外面の樹脂皮膜物性を加熱、冷結
晶化させることにより、高結晶化度と低い伸び性へと変
えることにより、この矛盾を解決した。
【0030】種々検討を行った結果、破断伸びが300
%以上かつ結晶化度10%以下の物性を有するポリエス
テル樹脂系皮膜を加熱によって効率よく結晶化度20%
以上、伸び100%以下とするには、樹脂皮膜物性とし
て、結晶融解熱が10joul/g以上必要であること
を見いだした。
【0031】本発明における樹脂の結晶融解熱は、樹脂
を予め樹脂の融点+30℃まで加熱し、5分間保持溶融
した後、10℃/分の降温速度で30℃以下に冷却した
ものを試料として、示差走査熱量計(DSC)で10℃
/分の昇温速度で測定し、結晶の融解を示すピークの大
きさ(面積)が結晶融解熱(ΔHf)である。この結晶
融解熱はjoul/gで表され、これが大きいことは結
晶性の強い樹脂であることを示している。なお、ここで
の融点とは、示差走査熱量計(DSC)で10℃/分の
昇温速度で測定して得られる結晶融解を示す吸熱ピーク
の吸熱量が最大値をとなる温度を言う。
【0032】次に、以上詳述した樹脂皮膜を有する表面
処理鋼板を用いた易開缶性蓋の加工方法について説明す
る。
【0033】図6に示すように、代表的な従来技術であ
る尖鋭刃の押圧方式による切断案内溝の形成は、樹脂皮
膜をも破断させ成形後の補修塗装を必要とするため好ま
しくない。
【0034】樹脂皮膜を破断させることなく易開缶性を
保障する切断案内溝を形成する加工方法として、開口片
形状を構成する切断案内溝形成用上下金型の肩半径が、
0.1〜1.0mmである金型を用い、上下金型の該肩
半径部分にて、上述の両面樹脂被覆された鋼板を押圧加
工成形し、加工最薄部の金属厚みを加工前の金属厚みの
1/2以下に薄くすることにより切断案内溝を形成する
方法が最適である。
【0035】切断案内溝形成用上下金型の肩半径を、
0.1〜1.0mmとした理由について述べる。肩半径
0.1mmより小さい場合には、肩半径の部分が鋭いた
めに加工時に被加工素材のラミネート樹脂皮膜を疵付け
たりあるいは破断してしまう。また、1.0mm超の条
件で押圧加工を行うと、素材は、幅広い部分で押圧され
る。この押圧部分においては、加工により金属と樹脂と
の密着性が悪くなる。必要以上に、密着不良部分を形成
する事は、フェザーを招く原因となる。また、塗膜の密
着不良部は耐食性の面からも好ましくない。
【0036】加工の際、開口片周縁部は、望みの厚みに
到達するように上下金型の間にて押圧され、なだらかに
板厚変化の薄肉部を形成することとなる。最薄部金属厚
みは、開缶性の面より加工前の金属厚みの1/2以下、
更に望ましくは1/3以下とする必要がある。
【0037】この加工により、開缶時の破断位置は確定
されるが、開缶性の向上および開缶後の開口部の形状を
望ましいものとするため、上方あるいは下方に押出され
た開口片部を以前のレベルに近いところまで押戻し加工
を行う。押戻し加工に関しては、さまざまな加工法があ
る。その一例としては、前記の押圧加工により形成され
たなだらかな板厚変化を有する薄肉部を、断面V字状に
折曲げられ薄肉の切断案内溝を形成させる方法。さらに
は、前記の押圧加工により形成されたなだらかな板厚変
化を有する薄肉部の近傍にビード或いは段差を入れるこ
とによって開口部の形状を望ましいものとする方法があ
る。
【0038】この切断案内溝は、深さあるいは最薄部板
厚等は、加工条件を所要に設定することにより、材料の
加工性に応じた所望の値とすることが可能であり、素地
鋼板およびラミネート皮膜の加工性に応じて加工条件が
選定される。
【0039】本発明のラミネート鋼板のポリエステル樹
脂皮膜は、前述のごとく、結晶化度10%以下で、伸び
が300%以上あるため、易開缶性蓋は成形加工の工程
中あるいは終了後に、少なくとも切断案内溝周辺の缶内
外面の樹脂皮膜の結晶化度が20%以上、伸びが100
%以下となるように、熱可塑性樹脂皮膜が冷結晶を開始
する温度以上の温度で加熱処理される。この熱処理の条
件は、使用する熱可塑性樹脂によって冷結晶を開始する
温度が異なるため、使用する熱可塑性樹脂毎に選定しな
ければならない。冷結晶化開始温度は、示差走査熱量計
(DSC)にて、昇温速度10℃/分で、熱可塑性樹脂
皮膜について昇温測定をおこない、冷結晶化のピークか
らの求めることが可能である。
【0040】また、特に成形工程中での熱処理の場合に
は、その後の樹脂皮膜の加工性を考慮すると、切断案内
溝周辺部のみを加熱する事が望ましい。
【0041】これらの一連の加工工程において、前記特
性を有する樹脂皮膜は素地と共に均一に伸ばされ、全く
加工欠陥が発生しないため、加工後の補修塗装の必要は
なく、良好な耐食性を保障することができる。また、押
出しあるいは押戻し等のプレス加工を基本とした加工で
あるため、尖鋭刃の押圧方式に見られる工具寿命の問題
は皆無であり、優れた生産性が保障される。
【0042】本発明は開口片の周縁部に存在する切断案
内溝の最適化が主な特徴である易開缶性蓋用の樹脂積層
鋼板であり、取っ手と開口片を引きちぎり缶本体と分離
されるテアーオフ方式と、取っ手および開口片共に開缶
後も缶本体に固着されたまま残るステイオンタブ方式の
両方式に適用することが可能である。
【0043】以下、本発明の実施例を示す。
【0044】
【実施例】
実施例1 板厚0.250mm、硬度62(HR30-T )の薄鋼板の
表面に、付着量2.8g/m2 の電気錫めっきを施し
た。錫を加熱・溶融し、鏡面光沢を有する表面とした
後、クロム酸を主体とする処理浴中にて電解後処理を行
い、金属クロム12mg/m2 およびその上層に水和酸
化クロム12mg/m2 (Crとして)を有するクロメ
ート皮膜を形成させた。水洗・乾燥後、この鋼板を加熱
し、異なった融点を有する2層構造ポリエステル樹脂
で、上層が厚み35μで下層が厚み5μであり、下層樹
脂は上層樹脂より低融点でアイオノマーを含有する全厚
み40μの樹脂フィルムを該鋼板の両面に積層した。積
層された皮膜の結晶化度は4%であった。また、積層後
に剥離して測定した皮膜の伸びは450%であった。さ
らに、樹脂皮膜の結晶融解熱量は28joul/gであ
った。
【0045】この両面にポリエステル樹脂皮膜を有する
鋼板を、図1に示すような易開缶蓋を作成するに当た
り、図2に示すように、開口片の形状寸法と対応し、肩
半径が0.5mmである上下金型A5,6をもって蓋本
体の要所をプレスによって押圧加工することにより、開
口片2に相当する部分を上方に押出し成形した。
【0046】この際、開口片2と蓋本体1とを結ぶ連片
7は、押圧によりなだらかな板厚変化を有する薄肉部を
形成するように加工した。
【0047】次いで図3に示すように、開口片2の周縁
部に相当する部分に凸部13を有する下金型B11上
へ、蓋本体1を載せ、同図に示すように開口片2の周縁
部に相当する部分に凹溝12を有する上型B10で押圧
した。
【0048】この操作により、図4に示すようになだら
かな板厚変化を有する連片7は、概ね中間部からV字状
に下向きに折られて、凹溝12内へ突入する。かくし
て、蓋本体1の下面における開口片2の周縁には、断面
V字状をなす薄肉の切断案内線4が形成される。
【0049】このようにして成形加工された易開缶蓋
は、加熱炉において、樹脂皮膜温度140℃で2分間熱
処理された。なお、本実施例における最薄部の鋼板厚み
は48μであった。樹脂皮膜も鋼板同様に成形され、最
薄肉部表面に残留した膜厚は両面とも約8μであった。
熱処理後の樹脂皮膜の結晶化度は26%、伸びは87%
であった。この熱処理後の易開缶蓋は、開口片の引きち
ぎり力の測定による開缶性の評価と、缶内外面の樹脂皮
膜の破壊程度を調べる通電試験に供された。
【0050】開缶性(取っ手を引起こす力および開口片
を引きちぎる力)は1.7kg以下と優れ、樹脂皮膜の
通電値は内面側0.3mA、外面側0.4mAで実用的
に十分満足出来るものであった。又、破断された切断案
内溝の切り口周辺には肉眼的に目立ったフェザーは認め
られなかった。
【0051】実施例2 実施例1と同一のめっき鋼板上に、厚み10μのポリエ
ステル樹脂フィルムを、熱硬化性ポリエステル接着剤を
介して該鋼板の両面に積層した。樹脂皮膜の全厚みは1
3μであった。積層された皮膜の結晶化度は8%であっ
た。また、積層後に剥離して測定した皮膜の伸びは32
0%であった。さらに、樹脂皮膜の結晶融解熱量は13
joul/gであった。
【0052】この両面に樹脂皮膜を有する鋼板を、肩半
径が0.2mmである上下金型A5,6を用いて、図2
に示すように、押圧加工することにより、開口片2に相
当する部分を上方に押出し成形した。
【0053】この際、開口片2の周縁部と蓋本体1と連
片7は、押圧によりなだらかな板厚変化を有する薄肉部
を形成するように加工した。
【0054】次いで図5に示すように、開口片2の周縁
部に相当する部分の両側に凸部18を有する下型C15
上へ、蓋本体1を下向拡開傾斜の状態のまま載せ、下金
型C15の凸部18に対応する凹部17を有する上型C
14で押圧した。
【0055】この操作により、開口案内溝の内側と外側
にビードを形成し、このビード部を除いて蓋本体1と開
口片2が同一高さとなった。本体1の上面における開口
片2の周縁には、薄肉の切断案内線4が成形させる。
【0056】このようにして成形加工された易開缶蓋
は、熱風加熱によって、樹脂皮膜温度140℃で2分間
熱処理された。なお、本実施例では、最薄肉部の鋼板厚
みは55μになるように調整した。樹脂皮膜も鋼板同様
に成形され、最薄肉部表面に残留した膜厚は両面とも約
6μであった。熱処理後の樹脂皮膜の結晶化度は24
%、伸びは80%であった。この熱処理後の易開缶蓋
は、開口片の引きちぎり力の測定による開缶性の評価
と、缶内外面の樹脂皮膜の破壊程度を調べる通電試験に
供された。
【0057】開缶性は1.8kg以下で問題なく開缶さ
れ、樹脂皮膜の通電値は内面側0.8mA、外面側1.
2mAで実用的に十分満足出来るものであった。又、破
断された切断案内溝の切り口周辺には肉眼的に目立った
フェザーは認められなかった。
【0058】比較例1 実施例1と同一のめっき鋼板上に、厚み8μのポリエス
テル樹脂フィルムを、該鋼板の両面に積層した。積層さ
れた皮膜の結晶化度は3%であった。また、積層後に剥
離して測定した皮膜の伸びは310%であった。さら
に、樹脂皮膜の結晶融解熱量は16joul/gであっ
た。
【0059】この両面に樹脂皮膜を有する鋼板を、実施
例1と同じ金型を用い、実施例1と同様の加工及び熱処
理を行った。
【0060】本比較例では、最薄肉部の鋼板厚みは57
μになるように調整した。樹脂皮膜も鋼板同様に成形さ
れ、最薄肉部表面に残留した膜厚は約4μであった。熱
処理後の樹脂皮膜の結晶化度は28%、伸びは70%で
あった。
【0061】開缶性は1.8kg以下で問題なく開缶さ
れたが、皮膜の通電値は内面側54mA、外面側68m
Aを示し、皮膜にかなりの欠陥が存在し、実用性にかけ
るものと判断された。
【0062】比較例2 実施例1と同一のめっき鋼板上に、異なった融点を有す
る2層構造ポリエステル樹脂で、上層が厚み20μで、
下層が厚み20μの上層樹脂より低融点で、全厚み40
μの樹脂フィルムを該鋼板の両面に積層した。積層され
た皮膜の結晶化度は12%であった。また、積層後に剥
離して測定した皮膜の伸びは330%であった。さら
に、樹脂皮膜の結晶融解熱量は28joul/gであっ
た。
【0063】この両面に樹脂皮膜を有する鋼板を、実施
例1と同じ金型を用い、実施例1と同様の加工及び熱処
理を行った。
【0064】本比較例では、最薄肉部の鋼板厚みは57
μになるように調整した。樹脂皮膜も鋼板同様に成形さ
れ、最薄肉部表面に残留した膜厚は約12μであった。
熱処理後の樹脂皮膜の結晶化度は34%、伸びは70%
であった。
【0065】開缶性は1.8kg以下で問題なく開缶さ
れたが、皮膜の通電値は内面側54mA、外面側68m
Aを示し、皮膜にかなりの欠陥が存在し、実用性にかけ
るものと判断された。
【0066】比較例3 実施例1と同一のめっき鋼板上に、異なった融点を有す
る2層構造ポリエステル樹脂で、上層が厚み20μで、
下層が厚み20μの上層樹脂より低融点で、全厚み40
μの樹脂フィルムを該鋼板の両面に積層した。積層され
た皮膜の結晶化度は8%であった。また、積層後に剥離
して測定した皮膜の伸びは250%であった。さらに、
樹脂皮膜の結晶融解熱量は28joul/gであった。
【0067】この両面に樹脂皮膜を有する鋼板を、実施
例1と同じ金型を用い、実施例1と同様の加工及び熱処
理を行った。
【0068】本比較例では、最薄肉部の鋼板厚みは57
μになるように調整した。樹脂皮膜も鋼板同様に成形さ
れ、最薄肉部表面に残留した膜厚は約4μであった。熱
処理後の樹脂皮膜の結晶化度は28%、伸びは70%で
あった。
【0069】開缶性は1.8kg以下で問題なく開缶さ
れたが、皮膜の通電値は内面側54mA、外面側68m
Aを示し、皮膜にかなりの欠陥が存在し、実用性にかけ
るものと判断された。
【0070】比較例4 実施例1と同一のめっき鋼板上に、異なった融点を有す
る2層構造ポリエステル樹脂で、上層が厚み20μで、
下層が厚み20μの上層樹脂より低融点で、全厚み40
μの樹脂フィルムを該鋼板の両面に積層した。積層され
た皮膜の結晶化度は4%であった。また、積層後に剥離
して測定した皮膜の伸びは400%であった。さらに、
樹脂皮膜の結晶融解熱量は8joul/gであった。
【0071】この両面に樹脂皮膜を有する鋼板を、実施
例1と同じ金型を用い、実施例1と同様の加工及び熱処
理を行った。
【0072】本比較例では、最薄肉部の鋼板厚みは57
μになるように調整した。樹脂皮膜も鋼板同様に成形さ
れ、最薄肉部表面に残留した膜厚は約12μであった。
熱処理後の樹脂皮膜の結晶化度は8%、伸びは250%
であった。
【0073】開缶性は1.8kg以下で問題なく開缶さ
れ、皮膜の通電値は内外面とも0mAで全く皮膜欠陥は
認められなかったが、開口時に破断された切断案内溝の
切り口周辺には膜残りが激しく、外観的な不快感を与
え、実用性に問題が残った。
【0074】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明による易開缶
性蓋用のラミネート鋼板は、尖鋭刃を使用しない押圧に
よる薄肉部形成法により切断案内溝を形成する方法を採
用することによって、製造工程において、一切塗装を行
うこと無くして、フェザー性に優れた易開缶性蓋を得る
ことができ、従来技術の大きな問題であった加工用工具
寿命の問題、耐食性面での不安等を全く皆無にすること
が出来る。
【0075】さらには、スチール製易開缶蓋の実用化に
より、“モノメタル缶”化が可能となり近年の地球環境
問題に対応するリサイクルに適した商品を市場に提供す
ることが可能である。もとより、鋼板そのものは経済性
に優れた存在であるが、缶胴と缶蓋共に鋼板製とするこ
とにより、経済性により優れ、資源としての再利用を行
いやすい商品を提供することの社会的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により形成された引きちぎり式開口片を
有する缶蓋の斜視図。
【図2】本発明の実施要領を工程順に示す縦断面図。
【図3】本発明の実施要領を工程順に示す縦断面図。
【図4】本発明の実施要領を工程順に示す縦断面図。
【図5】切断案内溝の両側にビードを形成する状態を示
す縦断面図。
【図6】従来の尖鋭刃の押圧方式による断面V字型の切
断案内溝を示す図。
【符号の説明】
1…蓋本体 2…開口片 4…切断案内線 5…上金型A 6…下金型A 7…連片 8…上金型R部 9…下金型R部 10…上金型B 11…下金型B 12…凹溝 13…凸部 14…上金型C 15…下金型C 16…ビード 17…凹部 18…凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B65D 17/28 B21D 28/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の両面に、厚み10−100μ、伸
    び300%以上、結晶化度10%以下で結晶融解熱10
    joul/g以上の結晶性飽和ポリエステル系樹脂皮膜
    を有することを特徴とする開缶性、耐食性、フェザー性
    に優れた易開缶性蓋用ラミネート鋼板。
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