JP2000006979A - ポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂フィルム欠陥のない高耐食性、高品質な
樹脂被覆アルミニウムシームレス缶を歩留まりよく提供
する。 【解決手段】 板厚0.20〜0.32mmアルミニウ
ム板の両面に、厚み10〜50μm、融点(Tm)20
0〜260℃、極限粘度0.60以上、密度1.36未
満の熱可塑性ポリエステル樹脂フィルムが被覆されてい
ることを特徴とするポリエステル樹脂被覆アルミニウム
シームレス缶およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂被覆アルミニ
ウムシームレス缶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムやスチールを素材とした金
属缶・容器は、その形状からスリーピース缶とツーピー
ス缶とに大別される。スリーピース缶は、地蓋、缶胴、
天蓋からなるためスリーピース缶と呼ばれている。一方
ツーピース缶は、地蓋と缶胴とが一体となったもので、
それに天蓋とからなるためツーピース缶、または、缶胴
部に接合部がないことからシームレス缶とも呼ばれてい
る。
【0003】金属缶の場合、缶内面には耐食性を確保す
るため塗装が施されて使用されているが、近年、熱可塑
性樹脂フィルムを積層したラミネート缶が開発され、市
場に出回っている。ラミネート缶は、金属素材に樹脂フ
ィルムを積層させたものから、缶体成形加工を行うもの
が主であり、特にツーピース缶を得るには高度な成形加
工技術を必要とする。かかる意味においても、ツーピー
スのラミネート缶に関わる技術は、例えば特開平7−2
241号公報、特開平7−195619号公報、特開平
8−244750号公報等、数多く提案され、開示され
ている。
【0004】ラミネート缶のメリットは、消費者側から
見た場合、適用する有機樹脂フィルムにもよるが、耐内
容物性、特に内容物の味、風味と言ったフレーバー性に
優れている点が第一に挙げられている。一方、デメリッ
トとしては、今度は製缶メーカー側からであるが、前述
したようにツーピース缶の場合、熱可塑性樹脂フィルム
被覆金属板の加工度合(又は、変形度合)が大きいので
成形時に内面樹脂フィルムに傷が入ったりして、缶内面
の品質確保ができなくなるため、缶体の品質検査を厳重
に行う必要があることと、製品歩留りが現行の塗装缶に
比べて劣ると言った点が挙げられる。
【0005】特に、スチール素材を用いたツーピースラ
ミネート缶の場合、前記の傾向が大きいが、アルミニウ
ム素材のラミネート缶でも同様なことが起こる。こうし
たラミネート缶内面の樹脂フィルムの欠陥は、前述した
ように缶成形加工時に入るものであり、この欠陥を最小
限に押さえることは、品質、製品歩留まりの点から重要
な技術課題であることは言うまでもない。
【0006】一方、トータル缶コストの低減化から、使
用金属板の薄板化や缶蓋である開口容易缶蓋(イージー
オープンエンド、通称EOE)の径を小さくすることが
進められている。開口容易缶蓋について言えば、例え
ば、缶胴が350mlのビール缶の場合、通称311と
呼ばれ、缶胴直径は約93.7mm(3×11/16イ
ンチφ)であり、当然巻き締める缶蓋も311である
が、現在は206(直径約60.3mm即ち2×6/1
6インチφ)や204(直径約57.2mm即ち2×4
/16インチφ)となっており、更に202(直径約5
4.0mm即ち2×2/16インチφ)化が進められて
いる。このことは、必然的に缶胴の開口部をより小さい
径に絞る、いわゆる縮径化となり、従って缶胴に用いら
れている金属は勿論、その表面に被覆されている樹脂フ
ィルムに取っても厳しい加工を受けることになる。
【0007】しかし、しごき加工を伴うツーピース缶成
形法、特に高加工度の場合の内面の樹脂フィルムに傷そ
の他の欠陥を入れることなく成形する手段や、また高縮
径化のためのネック加工やフランジ加工で、樹脂フィル
ムに傷その他の欠陥を入れることなく成形する適切な方
法がないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした実
情に鑑みなされたもので、樹脂フィルムの欠陥のない高
耐食性、高品質な樹脂被覆アルミニウムシームレス缶を
歩留まりよく提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、板厚
0.20〜0.32mmアルミニウム板の両面に、厚み
10〜50μm、融点(Tm)200〜260℃、極限
粘度0.60以上、密度1.36未満の熱可塑性ポリエ
ステル樹脂フィルムが被覆されていることを特徴とする
ポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶に関す
る。なお、前記密度は、第4工程にかける前の段階のも
のを測定した値である。
【0010】前記ポリエステル樹脂フィルムを被覆する
前の前記アルミニウム板の表面には、皮膜C量として5
〜50mg/m2のリン酸またはリン酸ジルコニウムと
有機樹脂の複合型化成処理皮膜を形成しておくことが好
ましい。
【0011】本発明の第二は、皮膜C量として5〜50
mg/m2のリン酸またはリン酸ジルコニウムと有機樹
脂の複合型化成処理皮膜を有するか、または有しない板
厚0.20〜0.32mmアルミニウム板の両面に、厚
み10〜50μm、融点(Tm)200〜260℃、極
限粘度0.60以上、密度1.36未満の熱可塑性ポリ
エステル樹脂フィルムが被覆されているポリエステル樹
脂被覆アルミニウム板を、カップへの絞り加工(第1工
程)、カップの再絞り加工(第2工程)、再絞りカップ
のしごき加工(第3工程)、次いでネック加工・フラン
ジ加工(第4工程)を行ってシームレス缶を得るに際
し、第1工程のカップへの絞り加工を前記の被覆樹脂の
ガラス転移温度(Tg)から被覆樹脂の冷結晶化温度
(Tc)の範囲で、ストレッチ加工および/またはしご
き加工を付加した絞り加工を行い、次いで、第2工程の
カップの再絞り加工を前記の被覆樹脂のガラス転移温度
(Tg)から被覆樹脂の冷結晶化温度(Tc)の範囲
で、ストレッチ加工および/またはしごき加工を付加し
た再絞り加工を行い、次にカップの缶体温度を50℃以
下にした後、第3工程のしごき加工を、加工金型の温度
を120℃以下に保持して加工を行い、次いで第3工程
で得られた該缶体を加熱・冷却して、密度を1.36未
満にした後、ネック加工・フランジ加工(第4工程)を
行うことを特徴とするポリエステル樹脂被覆アルミニウ
ムシームレス缶の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法の実施形態に
ついて詳細に説明する。まず、本発明におけるアルミニ
ウム板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりな
る板である。本発明の方法に適用されるアルミニウム板
はとくに制限はないが、通常缶容器に用いられる300
4系アルミニウム合金や5052系アルミニウム合金、
5081系アルミニウム合金等種々のアルミニウム合金
が適用される。アルミニウム合金の板厚としては、0.
20〜0.32mmのものが適用される。板厚0.20
mm以下では、炭酸飲料やビール等を充填・密封する内
圧缶の場合、耐圧強度が十分でなく缶底部が張り出した
状態になる場合があり、好ましくない。一方、0.32
mmを超えた場合、缶の耐圧強度は十分確保されるが、
実質的には品質過剰であり、経済的ではない。
【0013】板厚の限定理由は、上述のような缶の耐圧
強度から限定したものである。従って適用するアルミニ
ウム板の機械的特性、特に耐力強度と関わりがある。即
ち、耐力強度が高い場合は板厚の薄手化が可能となる
が、実際に本発明を実施する際は、板厚は缶全体の強度
バランスを考慮し、適宜選択することが望ましい。
【0014】次に、本発明のアルミニウム板表面に有す
る表面処理皮膜について述べる。表面処理としては、通
常アルミニウム板の絞りしごき缶の成形加工後の表面処
理として使用されている、リン酸クロム酸処理やリン酸
ジルコニウム処理が適用されるが、特に、缶壁部の板厚
減少度が最終加工度60%を超えるような大きい加工度
の場合や前述したネック加工が厳しい高縮径の場合は、
リン酸またはリン酸ジルコニウムと有機樹脂との有機無
機複合型化成処理が有効である。有機無機複合型化成処
理の場合、付着量は皮膜中C量として5〜50mg/m
2が良く、5mg/m2以下では被覆性が劣り、防食作用
および密着性が共に不十分となり、缶体成形加工後に樹
脂フィルムが局部的に剥離する、いわゆるデラミが起こ
ったり局部的な腐食が起こったり、また、耐デント性も
劣り好ましくない。一方、50mg/m2を超えると、
被覆性は良好であるが、加工度が大きい缶体成形加工の
場合や、特にネック加工が厳しい高縮径の場合は、皮膜
が凝集破壊を起こし密着性が低下し、樹脂フィルムが剥
離するといった場合があるので好ましくない。表面処理
皮膜量としては、皮膜C量として10〜40mg/m2
が好適である。
【0015】このようなアルミニウム板表面処理の具体
的方法としては、リン酸またはリン酸とフッ化ジルコニ
ウムと水溶性有機樹脂、例えば水溶性フェノール樹脂、
水溶性アクリル樹脂等を含む水溶液に必要に応じて、反
応性を促進させるためにフッ酸、ポリリン酸を添加した
処理液を、アルミニウム板にロール塗布した後、水洗、
乾燥し硬化させる方法や、処理液をアルミニウム板にス
プレー塗布した後、水洗、乾燥し硬化させる方法、処理
液にアルミニウム板を浸漬した後、水洗、乾燥し硬化さ
せる方法、等が適宜適用できる。乾燥硬化方法としては
熱風での乾燥、電気炉での乾燥等の方法が適用でき、温
度は150〜250℃で乾燥時間は10秒〜2分程度で
ある。
【0016】次に、本発明の方法に適用される樹脂フィ
ルムについて説明する。本発明では樹脂フィルムは、熱
可塑性ポリエステル樹脂フィルムが適用される。本発明
において、被覆する樹脂フィルムを熱可塑性ポリエステ
ル樹脂フィルムに限定した理由は、耐熱性が良い、
内容物のフレーバーが確保される、と言った、例えばポ
リエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹
脂フィルムにない、缶用途に適した特性を有しているか
らである。熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えば
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレー
ト(PEI)のようなホモポリマーや、例えばポリエチ
レンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートとの
共重合樹脂であるコーポリマーや、またこうしたホモポ
リマーやコポリマーのブレンド樹脂等が適用される。
【0017】樹脂フィルムの厚みとしては、10〜50
μmである。缶の内面に当たる面に積層されるフィルム
厚みは、缶内面の耐食性の点から限定されるものであ
り、10μm未満では缶の成形加工後に充填する内容物
にもよるが、十分な耐食性を確保するのは難しい場合が
ある。一方、50μmを超えると、内容物に対し耐食性
は十分確保されるが、実質的に過剰品質となり、経済的
でない。フィルム厚みとしては、12〜40μmが品質
および経済性からは好ましい範囲である。
【0018】また、本発明の方法を実施する際フィルム
厚の選定は、後述する缶壁部の薄肉化の加工度との関係
があることも選定の際の重要な要素である。即ち、加工
度が高い場合は、当然その加工度に応じフィルム厚みも
薄くなるため、その結果として、缶内面の耐食性も低下
する。従ってあらかじめ厚手の樹脂フィルムを使用する
ことが望ましいし、一方、加工度が低い場合はそれに応
じてあらかじめ薄手のフィルムを適用することが可能と
なる。
【0019】本発明では熱可塑性ポリエステル樹脂フィ
ルムは、融点(Tm)が200〜260℃の樹脂フィル
ムとする。成形加工時には、金属の加工熱が発生し、缶
体はかなりの温度となる。特にしごき加工の際に発生す
る金属の加工熱は樹脂フィルムの特性を大きく変化させ
る。この熱による樹脂フィルムの特性変化の一つに樹脂
フィルムの軟化があり、樹脂フィルムが軟化すると、し
ごき加工時に缶内面側の樹脂フィルムがパンチに付着し
てしまい、パンチが缶体から抜け難くなる、いわゆる離
型性不良が起こり、内面の樹脂フィルムに傷を付ける原
因となる。
【0020】また、離型性不良がひどい場合は、缶体の
開口部近傍が座屈し、正規の缶体高さが得られない事態
が起こる場合もある。一方、缶外面側の樹脂フィルム
も、しごきダイスによる「かじり」と言われる缶高さ方
向への直線的な傷が入り易くなる。外面の「かじり」に
よる傷が入った場合は、その後施される印刷の仕上がり
外観を損ねる結果となる。
【0021】この樹脂フィルムの熱による軟化の程度
は、樹脂の融点(Tm)と関わっており、融点が下限値
の200℃以下では、離型性や耐かじり性が劣り、内外
面の樹脂フィルムの傷つき原因になったり、正規の缶体
高さが得られない場合が起こったりして好ましくない。
一方、上限値の260℃以上では、高融点化に伴う離型
性の更なる効果は期待できず飽和する。樹脂フィルムの
融点(Tm)は、前記の離型性や耐かじり性の観点から
限定したものであるが、しごき加工時の発熱量は後述す
る加工度との関係もあり、樹脂フィルムの融点だけで離
型性や耐かじり性の良否を決められるものではないが、
基本的には融点は高い方が有利であり、好ましくは21
0〜255℃、更に好ましくは220〜255℃が好適
である。
【0022】更に、本発明においては、樹脂フィルムの
極限粘度(通称IV)としては0.60以上である。極
限粘度(IV)は、樹脂の平均分子量を示す指標である
が、極限粘度が0.60未満では樹脂フィルムの衝撃強
度が小さく、内容物が充填された缶体を落とした場合、
その部位に衝撃が加わり材料が変形するばかりでなく、
同時にその衝撃と変形で樹脂フィルムにクラックが入
り、激しい場合はそこが缶体金属の腐食起点となる。こ
うした状況に対する特性を耐デント性と呼ぶが、腐食の
激しい内容物の場合穿孔缶となることもあり、耐デント
性が劣ることは、重大な問題となる要因を有しており好
ましくない。そこで、本発明では樹脂フィルムの極限粘
度としては0.60以上とする。極限粘度に関して言え
ば、好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.70
以上が良い。
【0023】本発明に適用されるポリエステル樹脂フィ
ルムの密度は1.36未満である。密度は樹脂の結晶状
態を示す指標となり、例えば、熱や延伸によって結晶化
が進み、密度は大きくなる。密度が1.36未満である
ということは、ポリエステル樹脂フィルムの結晶状態と
しては実質的に非晶質であることを示す。
【0024】ラミネート板に被覆されている樹脂フィル
ムを非晶質にする理由は、その後行うカップの絞り加
工、カップの再絞り加工、更にしごき加工において、樹
脂フィルムの加工性を十分に確保することを目的にした
もので、密度が1.36以上になると、結晶性の低いポ
リエステル樹脂フィルムでも成形加工にフィルムが耐え
られずフィルムに亀裂欠陥が激しく起こる場合があり好
ましくない。特に、加工度が大きい時は、しごき加工時
の発熱と併せて引き延ばし加工により、樹脂フィルムの
配向結晶化が一層進み、その結果加工に追随し難くな
り、前記の挙動が顕著に現れ、缶体の耐食性が十分に確
保できない場合がしばしば起こる。従って、密度が大き
い、結晶化した状態からの成形加工は、高加工度に対し
ては極めて難しく不適である。
【0025】更に本発明では、カップの絞り加工、カッ
プの再絞り加工、更にしごき加工の缶成形加工を施した
後、得られた缶体を加熱・冷却し再度樹脂フィルムの密
度を1.36未満にした後、ネック加工およびフランジ
加工を行う。カップの絞り加工、カップの再絞り加工、
更にしごき加工を経て得られる缶体は、この時の加工に
より、樹脂フィルムの密着性は著しく低下しており、こ
の状態でネック加工およびフランジ加工を行うと、樹脂
フィルムは剥離し易い。そこで、本発明では、缶体を加
熱・冷却し再度樹脂フィルムの密度を1.36未満にし
た後、ネック加工およびフランジ加工に供するものであ
る。樹脂フィルムの密度を1.36未満にすることで、
樹脂フィルムは剥離やクラックが発生することなくネッ
ク加工およびフランジ加工を行うことができる。特に、
ネック加工率が高い、高縮径化への対応については、樹
脂フィルムの高加工密着性が一層必要となり、この場合
樹脂フィルムの密度は低い方が非晶質化度が高いため、
良好となる。樹脂フィルムの密度を1.36未満に限定
した理由は、前記の理由からで、特に第1工程の絞り加
工の前の密度としては、1.35未満が最適である。
【0026】次に、本発明の缶体の成形加工方法につい
て述べる。本発明の方法では、ポリエステル樹脂フィル
ムを被覆したラミネートアルミニウム板を、絞り加工に
てカップ状に成形する第1工程と、次いで第1工程で得
たカップを更に再絞り加工し、第1工程で得たカップよ
り缶径が小さく缶高さの高いカップを成形する第2工程
と、次いでこのカップの缶壁部をパンチとしごきダイス
の間に通し、缶壁を薄くのばすいわゆるしごき加工を行
う第3工程と、第3工程で得た缶体を正規な缶高さに切
断するトリミングを行った後、缶開口部を縮径にするネ
ック加工と天蓋を巻き締めるのに必要なフランジ加工を
行う第4工程からなっている。
【0027】前記の成形加工方法における第1工程の絞
り加工、第2工程の再絞り加工、第3工程のしごき加工
は、いずれも缶壁部の板厚減少を伴った加工であるが、
第4工程のネック加工・フランジ加工は、事実上板厚減
少は伴わない加工である。従って、シームレス缶として
成形加工されたものは、第3工程後の缶体が最終缶体と
なる。
【0028】第1工程の絞り加工は、ラミネート板の温
度を被覆樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)から冷
結晶化温度(Tc)の範囲で、ストレッチ加工および/
またはしごき加工を付加し、加工度として式(1)から
求められる値として10%以内になるように行う。
【0029】また、第2工程の再絞り加工も、第1工程
で得たカップの温度を被覆樹脂フィルムのガラス転移温
度(Tg)から冷結晶化温度(Tc)の範囲で、ストレ
ッチ加工および/またはしごき加工を付加し、加工度と
して式(1)から求められる値として第1工程の加工度
と合わせて25%以内で行う。
【0030】第3工程のしごき加工は、再絞り加工で得
たカップの温度を50℃以下にした後、加工金型の温度
を120℃以下に保持し、しごき加工後の最終缶体の加
工度として式(1)で求められる値として、第1工程お
よび第2工程での加工度と合わせて50〜70%の範囲
で成形加工を行うものである。
【数3】 加工度=〔(Bt−Wt)/Bt〕×100 ・・・(1)
【0031】まず、本発明の缶体成形方法における加工
温度について述べる。本発明の方法における第1工程の
絞り加工および第2工程の再絞り加工を、被覆樹脂フィ
ルムのガラス転移温度(Tg)から冷結晶化温度(T
c)の範囲に限定した理由は絞り加工によるカップ缶底
コーナー部の樹脂フィルムの健全性を確保するためであ
る。
【0032】カップ缶底コーナー部の樹脂フィルムは、
パンチが最初に当たる個所であり、高い衝撃がかかる。
そして、この部位では樹脂フィルムにマイクロクラック
が生じやすい。特に、第1工程の絞り加工によるカップ
缶底コーナー部は、第2工程の再絞り加工後はカップの
缶壁部(側壁部)となり、更に第3工程のしごき加工で
延伸されるため、第1工程の絞り加工でカップ缶底コー
ナー部の樹脂フィルムにマイクロクラックが生じた場
合、その後の加工で、激しい樹脂フィルム欠陥となって
しまう危険性が高くなり好ましくない。従って、特に絞
り加工によるカップ缶底コーナー部の樹脂フィルムの健
全性確保は、缶体の内面品質の点で重要な要素となる。
かかる意味において、樹脂フィルムのガラス転移温度
(Tg)以下での絞り加工は、カップの缶底コーナー部
の樹脂フィルムにマイクロクラックが生じ易く、好まし
くない。
【0033】一方、冷結晶化温度(Tc)以上で絞り加
工を行なった場合は、樹脂の熱結晶化が起こり易くな
り、樹脂フィルムの衝撃強度が低下し、カップ缶底コー
ナー部の樹脂フィルムにマイクロクラックが生じ易いこ
と、更には、前述したように熱結晶化が起こり易くなる
ことはしごき加工で樹脂フィルムの欠陥の発生につなが
る危険性が高くなること等から、好ましくない。
【0034】第1工程の絞り加工および第2工程の再絞
り加工を、被覆樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)
から冷結晶化温度(Tc)の範囲に限定したのは、上記
の理由からで、好ましくはガラス転移温度(Tg)+5
℃から冷結晶化温度(Tc)−10℃の範囲が良い。
【0035】絞り加工および再絞り加工に供するラミネ
ート板やカップの温度とは、接触式温度計等で測定され
る表面温度を指し、ラミネート板やカップの温度を、被
覆樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)から冷結晶化
温度(Tc)の範囲に制御する手段としては、ラミネー
ト板やカップを電気炉中で加熱する方法や熱風で加熱す
る方法など、常用の手段が適用される。
【0036】また、絞り加工や再絞り加工を行なう金型
の表面温度をガラス転移温度(Tg)から冷結晶化温度
(Tc)の範囲に加熱して成形加工する加温加工方法
も、ラミネート板やカップを加熱した場合と同様な効果
が得られるが、この場合は、絞り加工や再絞り加工を行
なう前のラミネート板やカップの表面温度により、加工
金型の設定温度を決める必要があるが、ラミネート板や
カップの表面温度が、例えば常温の場合は、設定温度は
ガラス転移温度(Tg)より5〜10℃高めに設定する
と良い。
【0037】また、前記の常用の手段でラミネート板や
カップの加熱をガラス転移温度(Tg)から冷結晶化温
度(Tc)の範囲にして成形加工する方法と、加工を行
なう金型の表面温度をガラス転移温度(Tg)から冷結
晶化温度(Tc)の範囲に加熱して成形加工する加温加
工方法の併用も可能であり、設備にあった手段が採用で
きる。
【0038】第1工程の絞り加工、第2工程の再絞り加
工に次いで行なう第3工程のしごき加工は、再絞り加工
で得たカップの温度を50℃以下にした後、加工金型の
温度を120℃以下に保持して行なう。なお、ここでも
再絞り加工で得たカップの温度とは、カップの表面温度
を指し、加工金型の温度とは、金型の表面温度を指す。
【0039】前述したように、樹脂フィルムの欠陥は、
内外面とも、しごき加工で最も起こり易い。しごき加工
は前述したように、缶壁部のみをパンチとしごきダイス
の間のクリアランスを瞬時に通し薄肉化する加工である
ため、加工の際には金属の激しい加工熱が発生し、樹脂
フィルムの特性を大きく変化させる。熱による樹脂フィ
ルムの特性変化は、(1)樹脂フィルムの軟化、(2)
樹脂フィルムの結晶化等があるが、いずれの特性変化も
成形加工による樹脂フィルムの欠陥の発生原因となるこ
とは前述した通りである。従って、このしごき加工の温
度制御は樹脂フィルムの欠陥発生防止の点から重要であ
る。
【0040】そこで、本発明の方法では、第2工程の再
絞り加工で得たカップの温度を50℃以下にしてしごき
加工に供すると共に、合わせて加工金型の温度を120
℃以下に保持して成形加工を行う。
【0041】前述したように缶体内面の樹脂フィルムの
欠陥はしごき加工で最も起こり易い。その理由は、前述
したように成形加工の際に金属の加工熱が発生し、樹脂
フィルムの特性を大きく変化させるためである。
【0042】従って、しごき加工の温度制御は樹脂フィ
ルムの欠陥発生防止の点から重要な要素で、本発明の方
法では第2工程の再絞り加工で得たカップの缶体温度を
50℃以下にして、しごき加工を行なう。カップの缶体
温度が50℃を超えると、内面側の樹脂フィルムは加工
パンチとの離型性が劣り、又外面側の樹脂フィルムはか
じりが起こり易くなり、内外面とも、樹脂フィルムを傷
付ける原因となる。また、加工金型の温度は、120℃
以下でしごき加工を行なうが、120℃を超える温度で
は、樹脂フィルムと成形加工金型との離型性が悪く、樹
脂フィルムの傷つきが激しくなって、缶内面側は耐食性
確保が難しいと共に、場合によっては樹脂フィルムと成
形加工金型との離型の際に缶胴部が座屈し、正常な缶体
が得られないと言った事態が発生することがある。更
に、しごき加工における加工金型が120℃を超える温
度では、ポリエステル樹脂フィルムの、配向結晶化が急
激に進み、その結果、樹脂フィルムの亀裂欠陥が発生し
易くなる危険性が高くなる。また、外面側の樹脂フィル
ムはかじりが激しく起こり、その後行なわれる印刷での
外観性が劣るだけでなく、場合によってはかじり部を起
点とする缶胴破断が起こる。従って、しごき加工におけ
る加工温度は、缶体の内外面の品質確保の点から極めて
重要で、本発明のような樹脂フィルムを被覆したラミネ
ートアルミニウム板から、良好な品質を有する缶体を得
るには加工金型の温度を、120℃以下に保持すること
が必要である。
【0043】なお、しごき加工の際、加工金型全体の温
度を120℃以下に保持して行なうのが好ましいが、特
に加工度が低い場合は加工パンチの温度を120℃以下
に保持するだけでも、樹脂フィルムの欠陥防止効果は得
られる。しごき加工の際の加工金型の温度、また加工パ
ンチの温度は、基本的には低い方が良く、好適な温度と
しては100℃以下にするのが好ましい。
【0044】しごき加工はしごきダイス1枚で行なう1
段しごき加工や、2枚乃至3枚で行なう多段しごき加工
などが適用できる。
【0045】再絞り加工で得たカップの缶体温度を50
℃以下にする手段としては、絞り加工で得たカップが5
0℃を超えている場合は冷風を当てる等の手法が採用で
き、また、加工金型の温度を120℃以下にする手段と
しては、金型に冷却水を通す方法、水、または潤滑成分
を水に溶解または分散させたものを吹きかけて冷却する
方法、更にはこれらの併用と言った方法が採用できる。
どの手法を採用するかは、設備との関係で適宜選択する
ことが好ましい。
【0046】次に、本発明の缶体成形方法における加工
度について述べる。前述したように、第1工程の絞り加
工の加工度は、下記の式(1)から求められる値として
10%以内になるように行ない、第2工程の再絞り加工
の加工度は、式(1)から求められる値として第1工程
での加工度と合わせて25%以内になるように成形加工
を行ない、第3工程のしごき加工の加工度は、式(1)
から求められる加工度として第1工程および第2工程で
の加工度と合わせて50〜70%の範囲で成形加工を行
なうものである。
【数4】 加工度=〔(Bt−Wt)/Bt〕×100 ・・・(1) Bt:缶底部のアルミニウム板の板厚 Wt:缶壁部のアルミニウム板の最も薄い部位の板厚
【0047】式(1)から求められる値として、第1工
程の絞り加工の加工度が10%以内になるように、第2
工程の再絞り加工後の加工度が第1工程での加工度と合
わせて25%以内になるように行なう理由は、一度の加
工で高加工度の成形を行なうと、加工時の熱と伸ばし加
工により、樹脂フィルムが配向結晶化し、成形に耐えら
れずフィルムに亀裂が発生する場合があるからで、それ
を避けるためには、上記のように順次加工度を上げた加
工を行ない、最終のしごき加工の加工度をなるべく低く
抑える方が良い。かかる意味から本発明の方法によれ
ば、缶内外面の樹脂フィルムの健全性が確保される成形
加工が可能となる。
【0048】特に、第2工程の再絞りカップの段階で、
缶壁部の樹脂フィルムが完全に結晶化していない状態に
しておくことが、第3工程のしごき加工後の缶体内面の
樹脂フィルムの健全性を確保する上で重要であり、再絞
り加工後の加工度として25%以内であれば、しごき加
工後の内外面の樹脂フィルムの健全性は確保される。
【0049】なお、本発明の方法では、前記の第1工程
および第2工程で行なう、ストレッチ加工および/また
はしごき加工を付加した絞り加工および再絞り加工は、
ストレッチ加工のみを付加した方法でも、あるいはしご
き加工のみを付加した方法でも、又はストレッチ加工と
しごき加工の両方を付加した方法でも、いずれの方法で
も良く、適宜適用される。
【0050】また、本発明のポリエステル樹脂被覆アル
ミニウム板では、熱可塑性樹脂フィルムが被覆されてい
ない、アルミニウム板やSnメッキ鋼板(ぶりき)等の
金属の絞りしごき加工方法として現在行われている、絞
り加工にてカップ状にする第1工程と、次いで第1工程
で得たカップを更に再絞り加工し、第1工程で得たカッ
プより缶径が小さく缶高さの高いカップを成形すると同
時に、このカップの缶壁部をパンチとしごきダイスの間
に通し、缶壁を薄く伸ばししごき加工を同一成形加工機
にて行う第2工程と、第2工程で得た缶体を適当な缶高
さに切断するトリミングを行った後、缶開口部を縮径に
するネック加工と天蓋を巻き締めるのに必要なフランジ
加工を同一加工機で行う第3工程からなる方法でも適用
可能であるが、この成形方法においても前記の絞り加工
は被覆されたポリエステル樹脂のガラス転移温度(T
g)から冷結晶化温度(Tc)の範囲にして行い、再絞
り加工およびしごき加工は、加工金型全体の温度を12
0℃以下、もしくは加工度が低い場合は加工パンチの温
度を120℃以下で行うことが望ましい。
【0051】ポリエステル樹脂フィルム被覆ラミネート
アルミニウム板の製造方法としては、加熱されたアルミ
ニウム板の表面に樹脂フィルム供給してロール間で熱圧
着し積層させた後、直ちに急冷して、非晶質にする方法
や、溶融した樹脂を押し出し、アルミニウム板に供給し
積層させ、直ちに急冷して、非晶質にする方法や、例え
ば、二軸延伸されたフィルムを適用する場合は、一度積
層したポリエステル樹脂を、必要に応じ更に樹脂の融点
以上に加熱した後直ちに急冷して、非晶質にする方法等
が適用できる。
【0052】アルミニウム板の加熱方法としては、電気
炉中で加熱する方法、熱風による加熱方法、加熱ロール
に接触させて加熱する方法等の加熱方法が採用できる。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれにより何ら限定されるものではない。尚、
本実施例等で行った評価方法は以下のとおりである。
【0054】(1)樹脂フィルムの密度は、密度勾配管
法にて測定した。 (2)樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)、冷結晶
化温度(Tc)、融点(Tm)は示差走査熱量計(DS
C)で、10℃/分の昇温速度で測定し、ガラス転移温
度(Tg)は転移の始まる点をその温度とし、冷結晶化
温度(Tc)、融点(Tm)は、それぞれのピーク温度
を冷結晶化温度および融点とした。 (3)樹脂フィルムの極限粘度(IV)は、ウベローデ
粘度計でフェノールとテトラクロロエタンの重量比6:
4の溶液に樹脂フィルムを0.100±0.003g溶
解し、30.0±0.1℃で測定した。 (4)カップの絞り加工後の缶底コーナー部の樹脂フィ
ルムの健全性については、マイクロクラックを、光学顕
微鏡で観察しその程度を評価した。評価は次のように評
価基準を設定して行った。 〇:クラックなく良好 □:軽微なクラッ
ク発生 △:明確なクラック発生 ×:激しいクラッ
ク発生 (5)フィルムと加工パンチの離型性は、成形缶上部に
起こる缶体の座屈程度を観察し評価した。離型性の評価
は、次のように評価基準を設定し行った。 〇:缶開口部の座屈なく良好 □:缶開口部に軽
微な座屈あり △:開口部円周の1/3程度座屈 ×:開口部円周の
1/3以上座屈 (6)ネック加工およびフランジ加工での樹脂フィルム
の状態については、剥離状況やクラック発生状況を肉眼
観察や光学顕微鏡で観察し評価した。剥離状況やクラッ
ク発生状況の評価は、次のように評価基準を設定し行っ
た。 〇:剥離やクラックなく良好 □:軽微なクラッ
ク発生 △:一部剥離やクラック発生 ×:剥離発生 (7)缶内面の樹脂フィルムの傷付き程度については、
1.0wt%食塩水に界面活性剤0.1wt%を添加し
た電解液で、缶体を陽極、陰極を銅線とし、印加電圧6
Vで3秒後の電流値を測定し、樹脂フィルムの皮膜の健
全性の評価とした(以降、この評価法をQTV試験と称
する)。なお、本発明において、この数値の上限は2〜
3mA/缶である。 (8)缶外面の耐かじり性は、成形した缶体胴壁部外面
のかじり発生程度を観察して評価した。 〇:かじりなく良好 □:軽微なかじり
発生 △:外面の1/3未満にかじり発生 ×:外面の1/3
以上に激しいかじり発生 (9)耐デント性の評価については、350ml缶に水
を充填し、125℃で30分レトルト処理を行なった
後、5℃で1日冷やし、高さ80cmの位置から角度6
0°で缶底部を下に落下させ、開缶乾燥した後、衝撃変
形部以外を絶縁塗料でシールし、衝撃変形部の樹脂フィ
ルムの欠陥発生程度をQTV試験に用いる電解液で、サ
ンプルを陽極、陰極を銅線とし印加電圧6Vで3秒後の
電流値を測定し、樹脂フィルムの皮膜の健全性の評価と
した(以降、デント性はこの手法による評価結果を示
す)。 *1:第1工程 *2:第2工程 *3:第3工程 *4:第4工程 *5:比=比較例 *6:実=実施例
【0055】実験例1 表面に皮膜C量として16mg/m2のリン酸−フェノ
ール樹脂の複合化成処理皮膜を有する、板厚0.26m
mのアルミニウム板(3004系合金)の両面に、ガラ
ス転移温度(Tg)64℃、冷結晶化温度(Tc)12
3℃、融点(Tm)241℃、極限粘度0.65の厚み
20μmのポリエステル樹脂フィルムを熱圧着法で被覆
した後、加熱・急冷し非晶質化ポリエステル樹脂フィル
ムラミネート板を作成した。得られたラミネート板のポ
リエステル樹脂フィルムの密度は、表1〜2に示した。
こうして得られたラミネート板に成形用潤滑剤を塗油し
た後加熱し、温度50℃(テスト1)、70℃(テスト
2)、90℃(テスト3)、110℃(テスト4)、1
20℃(テスト5)、130℃(テスト6)にて加工度
が7%のストレッチ加工およびしごき加工を付加した絞
り加工を行った。この時得られたカップの、缶底コーナ
ー部の樹脂フィルムのマイクロクラック発生状況につい
て調べた。次いで、得られたカップの温度を70℃に
し、加工度(この加工度は、第1工程の絞り加工の加工
度と合わせた加工度を指し、以下同様とする。)が15
%のストレッチ加工およびしごき加工を付加した再絞り
加工を行った後、再絞り加工で得られたカップの温度2
5℃で、金型温度80℃に保持し最終加工度(この加工
度は、第1工程の絞り加工の加工度および第2工程の再
絞り加工の加工度と合わせた加工度を指し、以下同様と
する。)が60%のしごき加工を行い、350mlビー
ル缶サイズのシームレス缶を作成した。
【0056】また、前記テスト2で得られた再絞り加工
のカップ温度を30℃(テスト7)、40℃(テスト
8)、50℃(テスト9)、60℃(テスト10)にし
た後、金型温度80℃で最終加工度が60%の350m
lビール缶サイズのシームレス缶を作成した(表3〜4
参照)。尚、比較のため上記テスト6で得たカップを7
0℃に加熱し、加工度が15%のストレッチ加工および
しごき加工を付加した再絞り加工を行った後、カップ温
度を40℃(テスト11)、60℃(テスト12)にし
た後、金型温度80℃で最終加工度が60%のしごき加
工を行ない、350mlビール缶サイズのシームレス缶
を作成した。
【0057】こうして得た缶体について、樹脂フィルム
の金型離型性および外面樹脂フィルムの耐かじり程度を
調べると共に、缶内面の品質をQTV試験で調べた。そ
の評価結果を表5〜8に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】(考察)表1〜8から、比較例のテスト
1、6の絞り加工温度範囲が本発明の範囲外の場合は、
缶底コーナー部にクラックが発生し、実施例に比べて高
いQTV値を示すことが分かる。また、絞り加工および
しごき加工のいずれか一方、また両方が本発明の温度範
囲外のものである、比較例10、11、12は、缶底ク
ラックの発生があったり、離型性や耐かじり性が本発明
の実施例に比べて劣り、得られる缶体のQTV値は大き
いことが分かる。
【0067】実験例2 実験例1で用いた、複合化成処理皮膜を有する板厚0.
26mmのアルミニウム板の両面に、ガラス転移温度
(Tg)64℃、冷結晶化温度(Tc)123℃、融点
(Tm)241℃、極限粘度0.65の厚みが8μm
(テスト13)、15μm(テスト14)、20μm
(テスト15)、30μm(テスト16)、40μm
(テスト17)、50μm(テスト18)のポリエステ
ル樹脂フィルムを熱圧着法で被覆した後、加熱・急冷し
非晶質化ポリエステル樹脂フィルムラミネート材を作成
した。得られたラミネート板のポリエステル樹脂フィル
ムの密度は、表9〜10に示した。こうして得られたテ
スト13からテスト18で作成されたラミネート板に、
成形用潤滑剤を塗油した後加熱し、板温70℃にて、加
工度が5%のストレッチ加工およびしごき加工を付加し
た絞り加工を行った。この時得られたカップの、缶底コ
ーナー部の樹脂フィルムのマイクロクラック発生状況に
ついて観察した。次いで、得られたカップを温度70℃
に加熱し、加工度が22%のストレッチ加工およびしご
き加工を付加した再絞り加工を行った後、カップ温度を
40℃にした後、金型温度100℃で最終加工度が60
%のしごき加工を行い、350mlビール缶サイズのシ
ームレス缶を作成した。更に、前記で得られたシームレ
ス缶を再度加熱・急冷し樹脂フィルムを非晶質にした
後、缶径呼称202(直径約54.0mm)のネック加
工およびフランジ加工を行なった。ネック加工およびフ
ランジ加工にかける前の樹脂フィルムの密度は、表9〜
10に示した。こうして得た缶体について、樹脂フィル
ムと金型との離型性、外面樹脂フィルムの耐かじり性を
調べた。
【0068】更に、ネック加工およびフランジ加工部の
樹脂フィルムの剥離やクラック発生状況を調べると共
に、QTV試験およびデント性で缶内面の品質を調べ
た。その評価結果を表11〜12に示した。
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】
【表11】
【0072】
【表12】
【0073】(考察)表9〜12から、本発明実施例は
比較例のテスト13に比べて、絞り加工時に発生する缶
底コーナー部の樹脂フィルムのクラックが発生し難いこ
とが分かる。また得られる缶体のQTV値は小さく、優
れた樹脂フィルムの健全性を有していることが分かる。
金型離型性、外面の耐かじり性、耐デント性およびネッ
ク加工・フランジ加工での剥離状況については、本発明
実施例と比較例とでは差異は認められず、いずれも良好
であった。
【0074】実験例3 実験例1で用いた複合化成処理皮膜を有するアルミニウ
ム板の両面に、樹脂フィルムの融点が193℃のフィル
ム(テスト19)、融点が202℃のフィルム(テスト
20)、融点が215℃のフィルム(テスト21)、融
点が227℃のフィルム(テスト22)、融点が242
℃のフィルム(テスト23)、融点が253℃のフィル
ム(テスト24)、融点が262℃のフィルム(テスト
25)の、各厚み20μmのポリエステル樹脂フィルム
を熱圧着法で被覆した後、加熱・急冷し非晶質化ポリエ
ステル樹脂フィルムラミネート板を作成した。得られた
ラミネート板のポリエステル樹脂フィルムの密度は、表
13〜14に示した。こうして得られたテスト13から
17で作成されたラミネート板に、成形用潤滑剤を塗油
した後加熱し、板温75℃にて、加工度が7%のストレ
ッチ加工およびしごき加工を付加した絞り加工を行っ
た。この時得られたカップの、缶底コーナー部の樹脂フ
ィルムのマイクロクラック発生状況について観察した。
次いで、得られたカップの温度を75℃に加熱し、加工
度が22%のストレッチ加工およびしごき加工を付加し
た再絞り加工を行った後、カップ温度を40℃にした
後、金型温度100℃で最終加工度が60%のしごき加
工を行い、350mlビール缶サイズのシームレス缶を
作成した。こうして得られた缶体について、樹脂フィル
ムと金型との離型性、外面樹脂フィルムの耐かじり程度
を調べた。更に、前記で得られたシームレス缶を再度加
熱・急冷し樹脂フィルムを非晶質にした後、缶径呼称2
02(直径約54.0mm)のネック加工およびフラン
ジ加工を行なった。ネック加工およびフランジ加工にか
ける前の樹脂フィルムの密度は、表13〜14に示し
た。
【0075】こうして得た缶体について、ネック加工お
よびフランジ加工部の樹脂フィルムの剥離やクラック発
生状況を調べると共に、QTV試験およびデント性で缶
内面の品質を調べた。その評価結果を表15〜16に示
した。
【0076】
【表13】
【0077】
【表14】
【0078】
【表15】
【0079】
【表16】
【0080】(考察)表13〜16から、本発明実施例
は比較例のテスト19に比べて、しごき加工での内面の
金型離型性および外面の耐かじり性が良好であり、従っ
て、得られる缶体のQTV値およびデント性の値は小さ
く、優れた樹脂フィルムの健全性を有していることが分
かる。また、比較例のテスト25の場合は、金型離型性
や耐かじり性は良好であったが、内面の樹脂フィルムに
亀裂欠陥が起こっており、高いQTV値を示した。
【0081】実験例4 表面に皮膜C量として15mg/m2のリン酸−フェノ
ール樹脂の複合化成処理皮膜を有する、板厚0.26m
mのアルミニウム板(3004系合金)の両面に、フィ
ルムの厚みが20μmで、極限粘度が0.53(テスト
26)、0.63(テスト27)、0.78(テスト2
8)、0.86(テスト29)、0.95(テスト3
0)、1.04(テスト31)のポリエステル樹脂フィ
ルムを熱圧着法で被覆した後、加熱・急冷し非晶質化ポ
リエステル樹脂フィルムラミネート板を作成した。得ら
れたラミネート板の樹脂フィルムの密度は表17〜18
に示した。こうして得られたテスト26からテスト31
で作成されたラミネート板に、成形用潤滑剤を塗油した
後加熱し、板温を70℃にて、加工度が5%のしごき加
工を付加した絞り加工を行った。この時得られたカップ
の、缶底コーナー部の樹脂フィルムのマイクロクラック
発生状況について観察した。次いで、得られたカップの
板温を70℃にし、加工度が15%のストレッチ加工お
よびしごき加工を付加した再絞り加工を行った後、カッ
プ板温を40℃で、金型温度80℃で最終加工度が60
%のしごき加工を行い、350mlビール缶サイズのシ
ームレス缶を作成した。こうして得た缶体について、樹
脂フィルムと金型との離型性、外面樹脂フィルムの耐か
じり程度を調べた。更に、前記で得られたシームレス缶
を再度加熱・急冷し樹脂フィルムを非晶質にした後、缶
径呼称202(直径約54.0mm)のネック加工およ
びフランジ加工を行なった。ネック加工およびフランジ
加工にかける前の樹脂フィルムの密度は、表17〜18
に示した。
【0082】こうして得た缶体について、ネック加工お
よびフランジ加工部の樹脂フィルムの剥離やクラック発
生状況を調べると共に、QTV試験およびデント性で缶
内面の品質を調べた。その評価結果を表19〜20に示
した。
【0083】
【表17】
【0084】
【表18】
【0085】
【表19】
【0086】
【表20】
【0087】(考察)表17〜20から、本発明実施例
は比較例のテスト26に比べ、絞り加工時に発生する缶
底コーナー部の樹脂フィルムのクラックが発生し難く、
またデント性が格段に良好なのが分かる。またネック加
工およびフランジ加工に対しても良好で、優れた内面品
質の缶体が得られることが分かる。離型性および耐かじ
り性については、本発明実施例および比較例共に良好で
あった。
【0088】実験例5 表面に皮膜C量として15mg/m2のリン酸−フェノ
ール樹脂の複合化成処理皮膜を有する、板厚0.28m
mのアルミニウム板(3004系合金)の両面に、フィ
ルムの厚みが30μmのポリエステル樹脂フィルムを熱
圧着の温度を変えたり、また被覆した後の、加熱・冷却
条件を変えて、密度が1.347(テスト32)、1.
358(テスト33)、1.375(テスト34)、
1.389(テスト35)のラミネート板を作成した。
各テスト材のポリエステル樹脂フィルムのフィルム特性
は表21に示した。これら、テスト32からテスト35
で作成されたラミネート板に、成形用潤滑剤を塗布した
後加熱し、温度70℃にて加工度が5%のストレッチ加
工を付加した絞り加工を行った。この時得られたカップ
の、缶底コーナー部の樹脂フィルムのマイクロクラック
発生状況について観察した。次いで、得られたカップを
70℃に加熱し、加工度が15%のストレッチ加工およ
びしごき加工を付加した再絞り加工を行った後、カップ
の温度を40℃にした後、金型温度100℃に保持し最
終加工度が62%のしごき加工を行い、350mlビー
ル缶サイズのシームレス缶を作成した。
【0089】こうして得られた缶体について、実験例2
の手順同様、樹脂フィルムと金型との離型性、外面樹脂
フィルムの耐かじり程度を観察すると共に、缶内面の品
質についてはQTV試験で調べた。その評価結果を表2
2に示した。
【0090】
【表21】
【0091】
【表22】
【0092】(考察)表21〜22から、本発明実施例
は比較例のテスト34、35に比べ、絞り加工時に発生
する缶底コーナー部の樹脂フィルムクラックが発生し難
いことが分かる。また得られる缶体のQTV値は小さ
く、優れた樹脂フィルムの健全性を有していることが分
かる。金型との離型性については、本発明実施例と比較
例とでは差異は認められず、いずれも良好であった。
【0093】実験例6 実施例2のテスト15から得られた、最終加工度が60
%のシームレス缶を、再度加熱・冷却して、樹脂フィル
ムの密度が1.342(テスト36)、1.356(テ
スト37)、1.368(テスト38)、1.387
(テスト39)の缶体(表23参照)について缶径呼称
202(直径約54.0mm)のネック加工、フランジ
加工を行ない、ネック加工およびフランジ加工部の樹脂
フィルムの剥離状況およびクラックの発生状況を調査す
ると共に、QTV試験およびデント性で内面樹脂フィル
ムの健全性を調べた。その評価結果を表24に示した。
【0094】
【表23】
【0095】
【表24】
【0096】(考察)表23〜24から、本発明実施例
は比較例のテスト38、39に比べ、ネック加工および
フランジ加工時に発生する樹脂フィルムの剥離やクラッ
クが発生し難いことが分かる。また得られる缶体のQT
V値およびデント性の値は小さく、優れた樹脂フィルム
の健全性を有していることが分かる。
【0097】実験例7 表面に皮膜C量として3mg/m2(テスト40)、8
mg/m2(テスト41)、14mg/m2(テスト4
2)、31mg/m2(テスト43)、45mg/m
2(テスト44)、60mg/m2(テスト45)のリン
酸−フェノール樹脂の複合化成処理皮膜を有する、板厚
0.24mmのアルミニウム板(3004系合金)の両
面に、フィルム厚みが20μmのポリエステル樹脂フィ
ルムを熱圧着で被覆した後、加熱・急冷し非晶質化ポリ
エステル樹脂フィルムラミネート板を作成した。得られ
たラミネート板のポリエステル樹脂フィルムの密度は表
25〜26に示した。こうして得られたテスト40から
45で作成されたラミネート板に、成形用潤滑剤を塗油
した後、加熱し板温70℃にて、加工度が7%のストレ
ッチ加工およびしごき加工を付加した絞り加工を行っ
た。この時得られたカップの、缶底コーナー部の樹脂フ
ィルムのマイクロクラック発生状況について観察した。
次いで、得られたカップを温度70℃に加熱し、加工度
が22%のストレッチ加工およびしごき加工を付加した
再絞り加工を行った後、カップ温度を40℃にした後、
金型温度100℃で最終加工度が56%のしごき加工を
行い、350mlビール缶サイズのシームレス缶を作成
した。更に、前記で得られたシームレス缶を再度加熱・
急冷し樹脂フィルムを非晶質にした後、缶径呼称206
及び202のネック加工およびフランジ加工を行なっ
た。ネック加工およびフランジ加工にかける前の樹脂フ
ィルムの密度は、表25〜26に示した。
【0098】こうして得た缶体について、ネック加工お
よびフランジ加工部の樹脂フィルムの剥離やクラック発
生状況を調べると共に、QTV試験および耐デント性で
缶内面の品質を調べた。その評価結果は缶径呼称206
のネック加工およびフランジ加工を行った缶体について
は、ネック加工およびフランジ加工部の樹脂フィルムの
剥離は認められなかった。そこで、缶径呼称202のネ
ック加工およびフランジ加工を行った缶体の評価結果を
表27〜28に示した。
【0099】
【表25】
【0100】
【表26】
【0101】
【表27】
【0102】
【表28】
【0103】(考察)表25〜28から、本発明例は比
較例のテスト40、45に比べ、高縮径のネック加工お
よびフランジ加工時に発生する樹脂フィルムの剥離やク
ラックが発生し難いことが分かる。また得られる缶体の
QTV値は小さく、優れた樹脂フィルムの健全性を有し
ていることが分かる。
【0104】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明を実施す
ることで、得られる缶体内面のポリエステル樹脂フィル
ムは優れた樹脂フィルム健全性を有していることから、
高耐食性のアルミニウムシームレス缶が得られる。従っ
て、種々の内容物を充填することが可能であることか
ら、品種の統一化に安心して対応出来るので、経済的に
有利となり、その社会的意義は大きいものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 弘光 神奈川県相模原市西橋本5丁目5番1号 大和製罐株式会社内 (72)発明者 大森 教雄 神奈川県相模原市西橋本5丁目5番1号 大和製罐株式会社内 (72)発明者 松村 淳治 神奈川県相模原市西橋本5丁目5番1号 大和製罐株式会社内 (72)発明者 林 知彦 神奈川県相模原市西橋本5丁目5番1号 大和製罐株式会社内 Fターム(参考) 3E062 AA04 AB02 AC03 JA01 JA07 JA08 JB04 JC02 JD03 4D075 AC29 BB24Z BB26Z CA03 DA15 DB07 DC42 EB01 EB32 EB35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板厚0.20〜0.32mmアルミニウ
    ム板の両面に、厚み10〜50μm、融点(Tm)20
    0〜260℃、極限粘度0.60以上、密度1.36未
    満の熱可塑性ポリエステル樹脂フィルムが被覆されてい
    ることを特徴とするポリエステル樹脂被覆アルミニウム
    シームレス缶。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム板の表面があらかじめ
    皮膜C量として5〜50mg/m2のリン酸またはリン
    酸ジルコニウムと有機樹脂の複合型化成処理皮膜を有す
    るものである請求項1記載のポリエステル樹脂被覆アル
    ミニウムシームレス缶。
  3. 【請求項3】 シームレス缶の缶壁部における最も薄い
    部位のアルミニウム板の厚み(Wt)が、缶底部のアル
    ミニウム板の厚み(Bt)との関係において、 【数1】 〔(Bt−Wt)/Bt〕×100=50〜70% の範囲にあることを特徴とする、請求項1または2記載
    のポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶。
  4. 【請求項4】 皮膜C量として5〜50mg/m2のリ
    ン酸またはリン酸ジルコニウムと有機樹脂の複合型化成
    処理皮膜を有するか、または有しない板厚0.20〜
    0.32mmアルミニウム板の両面に、厚み10〜50
    μm、融点(Tm)200〜260℃、極限粘度0.6
    0以上、密度1.36未満の熱可塑性ポリエステル樹脂
    フィルムが被覆されているポリエステル樹脂被覆アルミ
    ニウム板を、カップへの絞り加工(第1工程)、カップ
    の再絞り加工(第2工程)、再絞りカップのしごき加工
    (第3工程)、次いでネック加工・フランジ加工(第4
    工程)を行ってシームレス缶を得るに際し、第1工程の
    カップへの絞り加工を前記の被覆樹脂のガラス転移温度
    (Tg)から被覆樹脂の冷結晶化温度(Tc)の範囲
    で、ストレッチ加工および/またはしごき加工を付加し
    た絞り加工を行い、次いで、第2工程のカップの再絞り
    加工を前記の被覆樹脂のガラス転移温度(Tg)から被
    覆樹脂の冷結晶化温度(Tc)の範囲で、ストレッチ加
    工および/またはしごき加工を付加した再絞り加工を行
    い、次にカップの缶体温度を50℃以下にした後、第3
    工程のしごき加工を、加工金型の温度を120℃以下に
    保持して加工を行い、次いで第3工程で得られた該缶体
    を加熱・冷却して、密度を1.36未満にした後、ネッ
    ク加工・フランジ加工(第4工程)を行うことを特徴と
    するポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 第1工程のストレッチ加工および/また
    はしごき加工を付加した絞り加工を、缶壁部における最
    も薄い部位のアルミニウム板の厚み(Wt)と、缶底部
    のアルミニウム板の厚み(Bt)との関係において、下
    記式(1) 【数2】 加工度=〔(Bt−Wt)/Bt〕×100 ・・・(1) から求められる加工度の値が10%以内になるように成
    形加工を行い、次いでストレッチ加工および/またはし
    ごき加工を付加した第2工程の再絞り加工を、第1工程
    の絞り加工の加工度と合わせて式(1)から求められる
    加工度の値が25%以内になるように成形加工を行い、
    次いで第3工程のしごき加工を、第1工程の絞り加工の
    加工度および第2工程の再絞り加工の加工度と合わせて
    式(1)で与えられる加工度が50〜70%になるよう
    に成形加工を行うことを特徴とする請求項4記載のポリ
    エステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶の製造方
    法。
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