JP2799420B2 - 醸造物中のカルバミド除去方法 - Google Patents
醸造物中のカルバミド除去方法Info
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Description
を除去する方法に関する。
在する成分である。微生物を用いて醸造された醸造物中
には発酵を行う微生物が尿素サイクルや核酸分解の代謝
からカルバミドを生成するので、醸造物中に含有される
ことになる。このカルバミドを多く含有した醸造物は、
味覚に苦味が感じられ、加熱処理や保存中に着色増加が
著しく、風味も低下することも知られ、醸造物の品質劣
化に及ぼす影響は大きい。
合には、このエチルアルコールとカルバミドが反応し、
カルバミン酸エチルを生ずる。この反応は、加熱殺菌の
工程や、貯蔵中にも非酵素的に増加し、食品衛生の上か
らも、このカルバミン酸エチルの生成は好ましくなく、
醸造物の品質上極めて危惧される問題である。
おいてカルバミドを分解除去することが必要となる。カ
ルバミドは、ウレアーゼで分解されることが知られ、醸
造物でもナタ豆起源のウレアーゼを著量用いて、低温で
分解作用させることでも除去できることが知られている
(特公昭56−20830号)。次いで、醸造物に対しての有
効な方法として乳酸菌起源の酸性ウレアーゼを用いる方
法が開発され(特開昭63−196261号)、また酸性ウレア
ーゼの製造法も知られている(特開昭63−196289号)。
の手間と使用後に酵素の除去等の工程が必要となる。
素剤使用に伴う経費と工程の問題点を解決した煩雑でな
いカルバミドを分解除去しうる方法を提供することにあ
る。
て、清酒中のカルバミド低減率が70%以上〜99%未満に
相当するウレアーゼ活性を有する麹及び/又は麹菌を酸
性下で用いることを特徴とする醸造物中のカルバミドを
除去する方法に関する。
に使用する上記の「清酒中のカルバミド低減率」とは、
下記の数式により算出される%を意味する: X:市販清酒用種もやしA又はBの麹を使用した清酒中の
カルバミド量(ppm) Y:本発明の麹及び/又は麹菌を使用した清酒中のカルバ
ミド量(ppm) 本発明方法の実施に当って使用される麹菌及び麹には
特に限定はないが、アスペルギルス(Aspergillus、以
下A.と略記する)属に属し酸性下、カルバミド分解能を
有する麹菌及びその麹菌を用いた麹であれば、好まし
い。カルバミドの分解能を有する麹菌としては、具体的
に好適な例として下記のものが挙げられる。
甘酒麹としてのA.オリーゼIFO 5238が醸造物中のカル
バミド除去に優れている理由から醸造物には適してい
る。
菌を穀物、例えば米、麦、ヒエ、アワ、コーリャン、ト
ウモロコシ等に繁殖させたものであればよい。醸造物と
は、例えば清酒、焼酎、白酒、味噌、醤油、酢、甘酒等
が挙げられ、それら醸造、熟成、精製ろ過工程等いずれ
においても使用できる。
カルバミドは顕著に分解除去され、カルバミドによる品
質劣化が防止できること、醸造物の風味には悪影響をも
たらさないことも見出した。
レアーゼ活性 各種の麹菌98株を用い常法に従い米麹を調製し、その
米麹1gを100ppmのカルバミドを含む7%(v/v)アルコ
ール・緩衝液(pH4.0)及び(pH7.0)のそれぞれ10mlに
混合し、15℃で20日間反応させ、カルバミドの減少を測
定した。
(株)製〕とアミノ酸自動分析計〔日本電子(株)製JL
C−300〕を用いた。
H4.0)及び中性(pH7.0)の両方で、カルバミド分解能
を有する麹菌は供試A.オリーゼ82株中、15株であり、そ
れらはpH4.0でも30%以上の分解能を示し、アミノ酸自
動分析計での解析からカルバミドの分解に起因するアン
モニアの増加も確認した。特に、A.オリーゼIFO 5238及
びIFO 30113はpH4.0の条件でも40%以上分解し、アルコ
ール存在下で酸性では、優れたカルバミド分解能を有す
る。A.オリーゼ以外には、A.タマリIFO 4358、A.ウサミ
IFO 8876、A.ウサミ ミュータントシロウサミIFO 608
2、A.ソーヤIFO 4200がpH4.0の条件で30%以上の分解能
を示した。
サミ ミュータント シロウサミIFO 6082及び市販清酒
用種もやしA、Bを麹汁培地〔黄麹菌を用いた米麹:水
=1:5(w/w)を55℃で24時間反応後ろ過したろ過液〕に
接種し、30℃で5日間静置し、菌蓋培養を行った。
その2gを100ppmのカルバミドを含むように調製した清酒
100ml(pH4.2)に添加し、15℃72時間、時々かくはんし
て反応させ、カルバミドの減少量を求めた。
14%(v/v)の清酒中でカルバミド分解能を有すること
が明らかであり、この条件下で70%以上の分解が行われ
る。
用種もやしAの菌蓋を用いてウレアーゼ活性の測定を行
った。すなわち、湿潤菌体5gを20%(w/v)グリセロー
ル、10-4M2−メルカプトエタノール、1mM EDTAを含む5m
Mリン酸緩衝液(pH5.5)45mlに混合し、ホモゲナイザー
で菌体を破砕した後、遠心(18,000rpm、10分間、5
℃)して残渣と抽出液に分離した。それぞれの菌体抽出
液と残渣中のウレアーゼ活性をpH4.0及びpH7.0で、37℃
で測定した。
30113のpH4.0における菌体ウレアーゼ活性は、pH7.0の
約1/10程度有り、この菌体を処理して菌体抽出液と残渣
に分けた場合には、菌体抽出液にpH7.0のウレアーゼ活
性が、残渣中にはpH4.0のウレアーゼ活性が認められ
た。また、前述のように市販清酒用種もやしAでは、本
発明の菌株に比べてpH4.0及びpH7.0のそれぞれのウレア
ーゼ活性が弱いことを確認した。
れた菌株を用いれば、醸造物中のカルバミドの減少につ
ながり、極めて有用である。
を有する麹及び/又は麹菌を用いて醸造するか、醸造後
に当該麹及び/又は麹菌で処理してカルバミドを除去し
てもよく、これら麹菌及び/又は麹と従来のウレアーゼ
酵素剤を併用してもよい。
が、本発明はこれらの実施例に限定されない。
で清酒醸造を行った。75%精白の掛米は通常の方法で処
理後蒸煮して用いた。米麹は75%精白米を常法に従って
処理した蒸米に、A.オリーゼIFO 5238及びIFO 30113の
胞子を蒸米当り0.1%(w/w)接種し、30℃で48時間培養
した。対照には市場清酒用種もやしA、Bを用い同様に
調製した。酵母は協会701号を用いた。
混合し、醪を調製した。24時間後、留添を行い15℃で発
酵を行い留添後18日目で醪を圧搾ろ過し、成分分析を行
った。その結果を第5表に示す。
IFO 30113を用いた麹を使用して醸造して清酒中のカル
バミド含量は、対照の市販清酒用もやしA、Bの場合に
比べ、顕著に低下し、酸性下、カルバミド高分解能を有
する麹菌により、カルバミドを分解除去できた。
既述の「清酒中のカルバミド低減率」は、約70.6%〜約
79.4%を示すものである。
酒及び市販清酒用種もやしBの清酒をそれぞれ300mlを
用意し、一方、前述の方法により、A.オリーゼIFO 4206
及びR.オリーゼIFO 5438を菌蓋培養して調製した湿潤菌
体を蒸留米で充分洗浄し、水切りした後、軽くほぐし、
それぞれの300ml清酒中へ、0.6gを添加して、15℃で7
日間反応させた後、ろ紙ろ過して菌体と清酒とに分離
し、ろ過した清酒中のカルバミド含量と官能検査を行っ
た。その結果を第6表に示す。
カルバミド高分解能を有する麹菌体との接触により、カ
ルバミドが分解され、酒質の向上した清酒が得られた。
ミド低減率」は、約77.0%〜約98.0%を示した。
清酒用種もやしB麹使用の清酒をそれぞれ300mlを用意
し、乳酸菌起源の市販ウレアーゼ製剤を、通常に使用す
る酵素活性7.5単位/添加した場合、並びに酵素活性
3.8単位/とA.オリーゼIFO 4206の湿潤菌体0.3gを併
用して添加した場合について、実施例2と同様にして反
応させた後、常法に従い火入れ滓下げして、ろ過後清酒
中のカルバミド含量測定と官能検査を行った。その結果
を第7表に示す。
起源のウレアーゼ単独での場合及びウレアーゼとA.オリ
ーゼIFO 4206併用の場合にも分解されて、実施例2と同
様酒質の向上した清酒が得られる。また、麹菌体を用い
ることでウレアーゼ製剤の使用も減少できる。なお、ウ
レアーゼ単独使用において、清酒中カルバミド含量は、
第6表に示すR.オリーゼ菌体処理の場合よりも低い値を
示したが、ウレアーゼの経費及び除去の操作等を加味し
て総合するとR.オリーゼの場合が有利である。
ルバミド高分解能を有する麹及び/又は麹菌を用いるこ
とにより、醸造物中の不都合成分であるカルバミドを分
解除去できると共に、元の醸造物に悪影響を与えないの
で、本発明は、極めて有用な醸造物中のカルバミド除去
方法である。
Claims (1)
- 【請求項1】醸造物の製造において、清酒中のカルバミ
ド低減率が70%以上〜99%未満に相当するウレアーゼ活
性を有する麹及び/又は麹菌を酸性下で用いることを特
徴とする醸造物中のカルバミドの除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22317489A JP2799420B2 (ja) | 1989-08-31 | 1989-08-31 | 醸造物中のカルバミド除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22317489A JP2799420B2 (ja) | 1989-08-31 | 1989-08-31 | 醸造物中のカルバミド除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0387170A JPH0387170A (ja) | 1991-04-11 |
JP2799420B2 true JP2799420B2 (ja) | 1998-09-17 |
Family
ID=16793965
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22317489A Expired - Lifetime JP2799420B2 (ja) | 1989-08-31 | 1989-08-31 | 醸造物中のカルバミド除去方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2799420B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018180187A1 (ja) * | 2017-03-30 | 2018-10-04 | 天野エンザイム株式会社 | カルバミン酸エチルの分解 |
CN108949418A (zh) * | 2018-07-12 | 2018-12-07 | 安徽省碧绿春生物科技有限公司 | 一种多粮白酒的生产方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63226274A (ja) * | 1987-03-16 | 1988-09-20 | Hakutsuru Syuzo Kk | 清酒の製造方法 |
-
1989
- 1989-08-31 JP JP22317489A patent/JP2799420B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0387170A (ja) | 1991-04-11 |
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