JP2791562B2 - Ba及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

Ba及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉末及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、温度安定性に優れた、殊に、−20〜70℃の
温度範囲内における抗磁力の変化が−2.0Oe/℃〜+2.0O
e/℃の範囲にあるBa及びFeを主成分として含む板状酸化
物微粒子粉末及びその製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、例えば、特開昭55−86103号公報にも述べられ
ている通り、適当な抗磁力と大きな磁化値を有し、且
つ、適当な平均粒度を有する温度安定性に優れた強磁性
の非針状粒子が記録用磁性材料、特に垂直磁気記録用磁
性材料として要望されつつある。
一般に、強磁性の非針状粒子としてはBaを含む板状フ
ェライト粒子がよく知られている。
従来からBaを含む板状フェライト微粒子の製造法の一
つとして、第二鉄塩及びBa塩とアルカリ性水溶液との共
沈物を加熱焼成する方法(以下、これを単に共沈法とい
う。)が知られている。
磁気記録用としてのBaを含む板状フェライト微粒子粉
末は、適当な粒度を有すると共に、磁気特性について言
えば、適当な抗磁力と大きな磁化値を有し、しかも温度
安定性に優れていることが要求される。
この事実について以下に詳述する。
先ず、磁気記録用としてのBaを含む板状フェライト微
粒子粉末の粒度について言えば、出来るだけ微細な粒
子、殊に0.3μm以下であることが要求されている。
この事実は、例えば、特開昭56−125219号公報の「・
・・・垂直磁化記録が面内記録に対して、その有為性が
明らかとなるのは、記録波長が1μm以下の領域であ
る。しかしてこの波長領域で十分な記録・再生を行うた
めには、上記フェライトの結晶粒径は、略0.3μm以下
が望ましい。しかし0.01μm程度になると、所望の強磁
性を呈しないため、適切な結晶粒径としては0.01〜03μ
m程度が要求される。」なる記載の通りである。
次に、磁気特性について言えば、磁気記録用としての
Baを含む板状フェライト微粒子粉末の抗磁力は、一般に
300〜2000Oe程度のものが要求されており、上記共沈法
において生成するBaを含む板状フェライト微粒子粉末の
抗磁力を低減させ適当な抗磁力とする為にフェライトの
中のFe(III)の一部をTi等の4価の金属イオンとCo、M
n、Zn等の2価の金属イオンとで置換してBaを含む板状
複合フェライト微粒子粉末とすることが提案されてい
る。
磁化値について言えば、出来るだけ大きいことが必要
であり、この事実は、例えば特開昭56−149328号公報の
「・・・・磁気記録媒体材料に使われるマグネトプラン
バイトフェライトについては可能な限り大きな飽和磁化
・・・・が要求される。」と記載されている通りであ
る。
また、Baを含む板状フェライト微粒子粉末は、例え
ば、アイイーイーイー トランザクション オン マグ
ネティックス(IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS)MAG
−18 NO.6 第1123頁の「Fig.4」からも明らかな通り、
温度が高くなる程抗磁力が上昇する傾向にあり、温度に
対する磁気的(特に、抗磁力)安定性(以下、単に、温
度安定性という。)が劣る為、温度安定性が優れている
ことが要求されている。
〔発明が解決しようとする課題〕 大きな磁化値と適当な抗磁力とを有し、しかも温度安
定性に優れたBaを含む板状複合フェライト微粒子粉末
は、現在最も要求されているところであるが、上述した
通りの共沈法においては、これら特性を共に兼ね備えた
Baを含む板状フェライト微粒子粉末は得られていない。
例えば、抗磁力を低減させ、適当な抗磁力とする為、
共沈物を生成するにあたりCo(II)及びTi(IV)を添加
し、次いで、加熱焼成することにより得られたCo(II)
及びTi(IV)を含有するBaを含む板状複合フェライト微
粒子粉末は、Co(II)及びTi(IV)の抗磁力低減効果が
大きく、従って、少量の添加量で適当な抗磁力に制御す
ることができる為、添加物による磁化値の低下は小さ
く、50〜60emu/g程度と比較的大きな磁化値を有するも
のではあるが、温度安定性は+2.5Oe/℃〜6.0Oe/℃と劣
ったものであった。即ち、Co(II)及びTi(IV)を含有
するBaを含む板状複合フェライト微粒子粉末の抗磁力は
温度が高くなる程上昇する傾向にある。この現象は、ジ
ャーナル オブ マグネティズム アンド マグネティ
ック マテリアルス(Journal of Magnetism and Magne
tic Materials)第15−18号(1980年)第1459頁の「Fi
g.1」からも推定される。
また、抗磁力を低減させ適当な抗磁力とする為、共沈
物を生成させるにあたりNi(II)又はZn(II)とTi(I
V)とを添加し、次いで、加熱焼成することにより得ら
れたNi(II)及びTi(IV)又はZn(II)及びTi(IV)を
含有するBaを含む板状複合フェライト微粒子粉末は、Ni
(II)及びTi(IV)又はZn(II)及びTi(IV)の抗磁力
低減効果が小さく、従って、適当な抗磁力に制御する為
には添加量を多量にする必要があり、その結果、磁化値
の低下は大きく、高々47emu/g程度と磁化値が低いもの
であった。また、温度安定性は、前出ジャーナル オブ
マグネティズム アンド マグネティック マテリア
ルスの「Fig.1」から推定される通り、上記Co(II)及
びTi(IV)を含有するBaを含む板状複合フェライト微粒
子粉末に比べ比較的優れてはいるが、+1.0〜+3.0Oe/
℃程度であり、未だ十分なものとは言い難い。
従来、Co(II)及びTi(IV)等の抗磁力低減の為の元
素を含有するBaを含む板状複合フェライト微粒子粉末の
温度安定性を改良する方法として、例えば、特開昭61−
152003号公報、特開昭62−132732号公報及び特開昭63−
164203号公報に記載の方法がある。
特開昭61−152003号公報に記載の方法は、Co(II)及
びTi(IV)等の抗磁力低減の為の元素を含有するBaを含
む板状複合フェライト微粒子粉末を還元性雰囲気中300
〜700℃で加熱処理するものであるが、当該加熱処理を
施すことによって抗磁力が加熱処理前の値の倍以上に上
昇し、適当な抗磁力に制御することが困難であるという
欠点を有する。
前出特開昭62−132732号公報に記載の方法は、Baを含
む板状複合フェライト微粒子粉末の粒子形状を平均径1.
0μm以下、c軸方向の厚み0.2μm以下、板状比(板面
の平均径/c軸方向の厚み)を5以上とするものであり、
温度安定性を改良する為には、粒子形態による制約を受
けるという欠点がある。
前出特開昭63−164203号公報に記載の方法は、Baを含
む板状複合フェライト微粒子の生成にあたり、抗磁力低
減の為の元素に加えて更に、Ni、Cu、Zn、Mg、から選ば
れる金属の1種又は2種以上を添加するものであり、添
加量が多量となる結果、磁化値の低下は避けられず、大
きな磁化値が得難いという欠点がある。
そこで、Baを含む板状複合フェライト微粒子の適当な
抗磁力と大きな磁化値をそのまま維持し、しかも、磁化
値、抗磁力等の磁気特性や粒子形態による制約を受ける
ことなく温度安定性のみを独立して改良することのでき
る方法の確立が強く要求されている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、Baを含む板状複合フェライト微粒子の適
当な抗磁力と大きな磁化値をそのまま維持し、しかも、
磁化値、抗磁力等の磁気特性や粒子形態による制約を受
けることなく温度安定性のみを独立して改良することの
できる方法について種々検討を重ねた結果、本発明に到
達したものである。
即ち、本発明は、Feをターゲットに用いた場合のX線
回折分析法による2θ43.4度のピーク強度が2θ45.2度
のピーク強度に対し1.25〜2.5の割合である結晶構造を
有しており、且つ、−20〜70℃における抗磁力変化が−
2.0Oe/℃〜+2.0Oe/℃の範囲であるBa及びFeを主成分と
して含む板状酸化物微粒子からなるBa及びFeを主成分と
して含む板状酸化物微粒子粉末及び第一鉄塩及び第二鉄
塩の総量に対する第一鉄塩の割合がFe2+/(Fe2++F
e3+)換算で5〜100%の範囲である第一鉄塩及び第二鉄
塩とBa塩及び金属M塩(但し、MはCo、Ni、Zn及びMgか
ら選ばれる金属(II)の1種又は2種以上とTi、Sn、Zr
及びGeから選ばれる金属(IV)の1種又は2種以上)と
アルカリ性水溶液とから生成させた共沈物を加熱焼成す
ることからなるFeをターゲットに用いた場合のX線回折
分析法による2θ43.4度のピーク強度が2θ45.2度のピ
ーク強度に対し1.25〜2.5の割合である結晶構造を有し
ており、且つ、−20〜70℃における抗磁力変化が−2.0O
e/℃〜+2.0Oe/℃の範囲であるBa及びFeを主成分として
含む板状酸化物微粒子からなるBa及びFeを主成分として
含む板状酸化物微粒子粉末の製造法である。
〔作用〕
先ず、本発明において最も重要な点は、第一鉄塩及び
第二鉄塩の総量に対する第一鉄塩の割合がFe2+/(Fe2+
+Fe3+)換算で5〜100%の範囲である第一鉄塩及び第
二鉄塩とBa塩及び金属M塩(但し、MはCo、Ni、Zn及び
Mgから選ばれる金属(II)の1種又は2種以上とTi、S
n、Zr及びGeから選ばれる金属(IV)の1種又は2種以
上)とアルカリ性水溶液とから生成させた共沈物を加熱
焼成した場合には、Feをターゲットに用いた場合のX線
回折分析法による2θ43.4度のピーク強度が2θ45.2度
のピーク強度に対し1.25〜2.5の割合である結晶構造を
有するBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子か
らなるBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉
末を得ることができ、該Ba及びFeを主成分として含む板
状酸化物微粒子粉末は、適当な抗磁力と大きな磁化値を
そのまま維持し、しかも磁化値、抗磁力等の磁気特性や
粒子形態による制約を受けることなく温度安定性が改良
された粒子粉末であるという事実である。
本発明に係るBa及びFeを主成分として含む板状酸化物
微粒子粉末の温度安定性は−20〜70℃の温度範囲におけ
る抗磁力の変化が−2.0Oe/℃〜+2.0Oe/℃の範囲内であ
る 今、本発明者が行った数多くの実験例から、その一部
を抽出して説明すれば、次の通りである。
図1は、共沈にあたり添加した第一鉄塩の添加量と得
られたBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉
末の温度安定性との関係を示したものである。図中、曲
線A、Bはそれぞれ加熱焼成温度が800℃、970℃の場合
である。
即ち、第一鉄塩及び第二鉄塩の総量に対する第一鉄塩
の添加量をFe2+/(Fe2++Fe3+)換算で0〜100%の範囲
で種々変化させ、且つ、加熱焼成温度を800℃及び970℃
の各温度に変化させた以外は、後出実施例1と同様にし
て得られたBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒
子粉末の温度安定性と第一鉄塩の添加量との関係を示し
たものである。図1から共沈にあたり添加する第一鉄塩
の添加量が第一鉄塩及び第二鉄塩の総量に対し5〜100
%の範囲で得られたBa及びFeを主成分として含む板状酸
化物微粒子粉末の温度安定性は2.0Oe/℃以下となり、加
熱焼成温度が低くなる程、温度安定性が改良される傾向
にあることがわかる。
図2は、図1の場合と同様にして得られたBa及びFeを
主成分として含む板状酸化物微粒子粉末のFeをターゲッ
トに用いた場合のX線回折分析法による2θ45.2度のピ
ーク強度に対する2θ43.4度のピーク強度の割合と共沈
にあたり添加した第一鉄塩の添加量との関係を示したも
のである。
図中、曲線A、Bはそれぞれ加熱焼成温度が800℃、9
70℃の場合である。
図2から、共沈にあたり、第一鉄塩を第一鉄塩及び第
二鉄塩の総量に対し5〜100%の範囲で添加することに
より得られた温度安定性の改良されたBa及びFeを主成分
として含む板状酸化物微粒子は、Feをターゲットに用い
た場合のX線回折分析法による2θ45.2度のピーク強度
に対する2θ43.4度のピーク強度の割合が1.25〜2.5の
範囲となっていることがわかる。
尚、共沈にあたり第一鉄塩を添加している発明が特公
昭49−23676号公報に開示されているが、この発明は、
温度安定性は問題とされない4000〜5300Oe程度の高抗磁
力が要求される焼結磁石用のBaを含むマグネトプランバ
イト型フェライト粒子粉末を得ることを目的として、共
沈にあたり、第一鉄塩及び第二鉄塩の総量に対する第一
鉄塩の割合がFe2+/(Fe2++Fe3+)換算で20〜23%程度
添加して微細粒子を得るものであり、抗磁力の低下が要
求され、温度安定性が問題となる磁気記録用のBaを含む
マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末を得ること
を目的として、抗磁力低減の為の置換元素を添加してお
り、第一鉄塩の添加量の範囲にも差異がある本発明と
は、その目的、構成及び効果が相違する。
また、水熱処理法において第一鉄塩を添加し、次い
で、生成物を不活性雰囲気中で加熱焼成することにより
Baを含む板状複合フェライト粒子の温度安定性を改良す
る発明が特開昭63−214914号公報に開示されているが、
この発明は、得られたBaを含む板状複合フェライト粒子
中にFe2+を含有するものであり、Fe2+を全く含まない本
発明に係るBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒
子とは相違するものである。
次に、本発明実施にあたっての諸条件について述べ
る。
本発明における第二鉄塩としては、硝酸塩、塩化物等
を使用することができる。
本発明におけるBa塩としては、水酸化物、塩化物、硝
酸塩等を使用することができる。
本発明における抗磁力低減の為の置換元素である金属
M塩は、Co、Ni、Zn及びMgから選ばれる金属(II)の1
種又は2種以上とTi、Sn、Zr及びGeから選ばれる金属
(IV)の1種又は2種以上である。
金属(II)としては、Co、Ni、Zn又はMgの塩化物、硝
酸塩、酢酸塩等を使用することができる。上記特定の金
属(II)塩の添加量は、Fe(II)及びFe(III)の総量
に対し4.0〜14.0原子%である。添加した金属(II)
は、略全量がBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微
粒子粉末に含有される。
4.0原子%未満の場合には、抗磁力が大きくなり適当
な抗磁力に制御することが困難である。14.0原子%を越
える場合には、磁化値が小さくなり、磁気記録用磁性粒
子粉末として好ましくない。本発明における金属(IV)
としては、四塩化チタン、硫酸チタニル等のTi、四塩化
スズ、スズ酸ソーダ等のSn、オキシ塩化ジルコニウム等
のZr、Na2GeO3等のGeを使用することができる。上記特
定金属(IV)の添加量は、Fe(II)及びFe(III)の総
量に対し4.0〜14.0原子%である。添加した金属(IV)
は、略全量がBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微
粒子粉末に含有される。
4.0原子%未満の場合には、抗磁力が大きくなり適当
な抗磁力に制御することが困難である。14.0原子%を越
える場合には、磁化値が小さくなり、磁気記録用磁性粒
子粉末として好ましくない。本発明における第一鉄塩と
しては、硝酸塩、塩化物等を使用することができる。第
一鉄塩の添加量は、第一鉄塩及び第二鉄塩の総量に対し
Fe+2/(Fe2++Fe3+)換算で5〜100%である。
5%未満の場合には、得られるBa及びFeを主成分とし
て含む板状酸化物微粒子の温度安定性が改良されず本発
明の目的を達成することができない。温度安定性を考慮
すれば、15%以上であることが好ましい。
また、得られるBa及びFeを主成分として含む板状酸化
物微粒子の粒子の大きさは、第一鉄塩の添加量が多くな
る程大きくなる傾向にあり、0.1μm以下の微細粒子を
得る為には70%以下であることが好ましい。温度安定性
と粒子の平均径を考慮すれば、20〜50%の範囲が最も好
ましい。
本発明におけるアルカリ性水溶液としては、NaOH、KO
H、NH4OH等を使用することができる。
本発明における加熱焼成は、融剤の存在下又は不存在
下であってもよく、いずれの場合にも本発明の目的を達
成することができる。融剤を存在させた場合には、微粒
子のBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉末
が得られやすい。
融剤としては、周知のNaCl、KCl、BaCl2、オルトケイ
酸ソーダ等を使用することができる。融剤の存在量は、
得られるBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子
粉末の平均径を考慮すれば、共沈物に対し5〜100重量
%が好ましい。100重量%を越える場合にもBa及びFeを
主成分として含む板状酸化物微粒子粉末が得られるが必
要以上に添加する意味がない。
本発明における加熱焼成温度は、好ましくは750〜950
℃である。
750℃未満の場合には、Ba及びFeを主成分として含む
板状酸化物微粒子の生成反応が困難となり、ヘマタイト
が混在する。950℃を越える場合には、本発明の目的と
する温度安定性の改良が困難になる。
〔実施例〕
次に、実施例及び比較例により本発明を説明する。
尚、以下の実施例並びに比較例における粒子の平均径
は、電子顕微鏡写真により測定した値である。
また、磁化値及び抗磁力は粉末状態で10KOeの磁場に
おいて測定したものである。
温度安定性は、−20℃における抗磁力値と70℃におけ
る抗磁力値との差を70℃と−20℃との温度差(90℃)で
除した値をOe/℃で示した。
実施例1 FeCl3 12.32mol、FeCl2 3.08mol(Fe2+とFe3+との総
量に対しFe2+換算で20%に該当する。)BaCl2 1.786mo
l、Co(NO32 1.23mol(Fe2+とFe3+との総量に対しCo
2+換算で7.99原子%に該当する。)、TiCl4 1.23mol(F
e2+とFe3+との総量に対しTi4+換算で7.99原子%に該当
する。)とNaOH 55.56molとを混合し、機械的に撹拌し
つつ2時間保持して、茶褐色共沈物を生成させた。
室温にまで冷却後、茶褐色共沈物を別し、十分水洗
した後乾燥した。
次いで、茶褐色粒子粉末500gにNaCl 75gとNa4SiO4 5g
(茶褐色粒子粉末に対してNaClが15重量%、Na4SiO4
1.0重量%に該当する。)を含む水溶液を添加し、水分
を蒸発後、850℃にて大気中1時間加熱焼成した。
加熱焼成して得られた微粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.06μmであり、抗磁力Hcが776Oe、磁化値
σsが53.1emu/gであって、温度安定性は−0.5Oe/℃で
あった。また、X線回折分析の結果は、図3に示す通り
であり、2θ45.2度のピーク強度に対する2θ43.4度の
ピーク強度は1.7であり、化学分析の結果、Fe2+は検出
されなかった。図3中、ピークAは2θ43.4度、ピーク
Bは2θ45.2度のピークである。
実施例2 Fe(NO33 10.3mol、FeCl2 5.1mol(Fe2+とFe3+との
総量に対しFe2+換算で33%に該当する。)BaCl2 1.786m
ol、CoCl2 1.23mol(Fe2+とFe3+との総量に対しCo2+
算で7.99原子%に該当する。)、TiCl4 1.23mol(Fe2+
とFe3+との総量に対しTi4+換算で7.99原子%に該当す
る。)とNaOH 53.34molとを混合し、機械的に撹拌しつ
つ2時間保持して、茶褐色共沈物を生成させた。
室温にまで冷却後、茶褐色共沈物を別し、十分水洗
した後乾燥した。
次いで、茶褐色粒子粉末500gにBaCl2 50gとNa4SiO4
2.5g(茶褐色粒子粉末に対してBaCl2が10重量%、Na4Si
O4が0.5重量%に該当する。)を含む水溶液を添加し、
水分を蒸発後、800℃にて大気中1時間加熱焼成した。
加熱焼成して得られた微粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.06μmであり、抗磁力Hcが758Oe、磁化値
σsが53.6emu/gであって、温度安定性は−0.7Oe/℃で
あった。また、X線回折分析の結果、2θ45.2度のピー
ク強度に対する2θ43.4度のピーク強度は1.4であり、
化学分析の結果、Fe2+は検出されなかった。
実施例3 FeCl3 14.0mol、FeCl2 1.4mol(Fe2+とFe3+との総量
に対しFe2+換算で9%に該当する。)Ba(OH)2 1.786m
ol、Co(NO32 1.23mol(Fe2+とFe3+との総量に対しCo
2+換算で7.99原子%に該当する。)、TiCl4 1.23mol(F
e2+とFe3+との総量に対しTi4+換算で7.99原子%に該当
する。)とNaOH 57.41molとを混合し、機械的に撹拌し
つつ2時間保持して、茶褐色共沈物を生成させた。
室温にまで冷却後、茶褐色共沈物を別し、十分水洗
した後乾燥した。
次いで、茶褐色粒子粉末500gにNaCl 50gとNa4SiO4 3.
75gの(茶褐色粒子粉末に対してNaClが10重量%、Na4Si
O4が0.75重量%に該当する。)を含む水溶液を添加し、
水分を蒸発後、800℃にて大気中1時間加熱焼成した。
加熱焼成して得られた微粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.06μmであり、抗磁力Hcが739Oe、磁化値
σsが54.1emu/gであって、温度安定性は0.9Oe/℃であ
った。また、X線回折分析の結果、2θ45.2度のピーク
強度に対する2θ43.4度のピーク強度は2.1であり、化
学分析の結果、Fe2+は検出されなかった。
実施例4 Fe(NO33 11.55mol、FeCl2 3.85mol(Fe2+とFe3+
の総量に対しFe2+換算で25%に該当する。)BaCl2 1.78
6mol、Co(NO32 1.23mol(Fe2+とFe3+との総量に対し
Co2+換算で7.99原子%に該当する。)、硫酸チタニル1.
23mol(Fe2+とFe3+との総量に対しTi4+換算で7.99原子
%に該当する。)とNaOH 54.72molとを混合し、機械的
に撹拌しつつ2時間保持して、茶褐色共沈物を生成させ
た。
室温にまで冷却後、茶褐色共沈物を別し、十分水洗
した後乾燥した。
次いで、茶褐色粒子粉末500gにBaCl2 75gとNa4SiO4 5
gの(茶褐色粒子粉末に対してBaCl2が15重量%、Na4SiO
4が1.0重量%に該当する。)を含む水溶液を添加し、水
分を蒸発後、850℃にて大気中1時間加熱焼成した。
加熱焼成して得られた微粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.07μmであり、抗磁力Hcが720Oe、磁化値
σsが52.0emu/gであって、温度安定性は0.3Oe/℃であ
った。また、X線回折分析の結果、2θ45.2度のピーク
強度に対する2θ43.4度のピーク強度は1.8であり、化
学分析の結果、Fe2+は検出されなかった。
実施例5 NaCl及びNa2SiO4を添加しなかった以外は、実施例1
と同様にして加熱焼成微粒子粉末を得た。
得られた加熱焼成微粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.1μmであり、抗磁力Hcが836Oe、磁化値σ
sが54.6emu/gであって、温度安定性は1.0Oe/℃であっ
た。また、X線回折分析の結果は、2θ45.2度のピーク
強度に対する2θ43.4度のピーク強度は1.7であり、化
学分析の結果、Fe2+は検出されなかった。
比較例1 FeCl2 3.08molを添加しなかった以外は、実施例1と
同様にして加熱焼成微粒子粉末を得た。
得られた加熱焼成微粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.06μmであり、抗磁力Hcが588Oe、磁化値
σsが53.9emu/gであって、温度安定性は3.9Oe/℃であ
った。また、X線回折分析の結果は、図4に示す通りで
あり、2θ45.2度のピーク強度に対する2θ43.4度のピ
ーク強度は4.7であり、化学分析の結果、Fe2+は検出さ
れなかった。
比較例2 730℃にて大気中1時間加熱焼成した以外は、実施例
2と同様にして加熱焼成微粒子粉末を得た。
得られた加熱焼成微粒子粉末は、X線回折分析の結
果、ヘマタイトのピークが認められた。
比較例3 970℃にて大気中1時間加熱焼成した以外は、実施例
1と同様にして加熱焼成微粒子粉末を得た。
得られた加熱焼成微粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.08μmであり、抗磁力Hcが934Oe、磁化値
σsが56.5emu/gであって、温度安定性は3.1Oe/℃であ
った。また、X線回折分析の結果、2θ45.2度のピーク
強度に対する2θ43.4度のピーク強度は2.6であり、化
学分析の結果、Fe2+は検出されなかった。
比較例4 970℃にて大気中1時間加熱焼成した以外は、実施例
2と同様にして加熱焼成微粒子粉末を得た。
得られた加熱焼成微粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.07μmであり、抗磁力Hcが885Oe、磁化値
σsが53.6emu/gであって、温度安定性は3.0Oe/℃であ
った。また、X線回折分析の結果、2θ45.2度のピーク
強度に対する2θ43.4度のピーク強度は2.8であり、化
学分析の結果、Fe2+は検出されなかった。
〔発明の効果〕
本発明に係るBa及びFeを主成分として含む板状酸化物
微粒子粉末は、前出実施例に示した通り、磁化値や抗磁
力等の磁気特性や粒子形態による制約を受けることなく
温度安定性のみを独立して改良できることに起因して、
適当な抗磁力と大きな磁化値を有し、且つ、温度安定性
に優れた、殊に、−20〜70℃の温度範囲における抗磁力
の変化が−2.0Oe/℃〜2.0Oe/℃の範囲にある粒子粉末で
あるので、現在、最も要求されている磁気記録用磁性酸
化物粒子粉末として最適である。
【図面の簡単な説明】
図1は、共沈にあたり添加した第一鉄塩の添加量とBa及
びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉末の温度安
定性との関係を示したものである。図中、曲線A、Bは
それぞれ加熱焼成温度が800℃、970℃の場合である。 図2は、Ba及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子
のX線回折分析法による2θ45.2度のピーク強度に対す
る2θ43.4度のピーク強度の割合と共沈にあたり添加し
た第一鉄塩の添加量との関係を示したものである。図
中、曲線A、Bはそれぞれ加熱焼成温度が800℃、970℃
の場合である。 図3及び図4は、いずれもX線回折図であり、それぞ
れ、実施例1及び比較例1で得られたBa及びFeを主成分
として含む板状酸化物微粒子粉末である。図3及び図4
中、ピークAは2θ43.4度、ピークBは2θ45.2度のピ
ークである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 49/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Feをターゲットに用いた場合のX線回折分
    析法による2θ43.4度のピーク強度が2θ45.2度のピー
    ク強度に対し1.25〜2.5の割合である結晶構造を有して
    おり、且つ、−20〜70℃における抗磁力変化が−2.0Oe/
    ℃〜+2.0Oe/℃の範囲であるBa及びFeを主成分として含
    む板状酸化物微粒子からなるBa及びFeを主成分として含
    む板状酸化物微粒子粉末。
  2. 【請求項2】第一鉄塩及び第二鉄塩の総量に対する第一
    鉄塩の割合がFe2+/(Fe2++Fe3+)換算で5〜100%の範
    囲である第一鉄塩及び第二鉄塩とBa塩及び金属M塩(但
    し、MはCo,Ni,Zn及びMgから選ばれる金属(II)の1種
    又は2種以上とTi,Sn,Zr及びGeから選ばれる金属(IV)
    の1種又は2種以上)とアルカリ性水溶液とから生成さ
    せた共沈物を加熱焼成することを特徴とするFeをターゲ
    ットに用いた場合のX線回折分析法による2θ43.4度の
    ピーク強度が2θ45.2度のピーク強度に対して1.25〜2.
    5の割合である結晶構造を有しており、且つ、−20〜70
    ℃における抗磁力変化が−2.0Oe/℃〜+2.0Oe/℃の範囲
    であるBa及Feを主成分として含む板状酸化物微粒子から
    なるBa及びFeを主成分として含む板状酸化物微粒子粉末
    の製造法。
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