JP2607920B2 - 磁気記録用板状複合フェライト微粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

磁気記録用板状複合フェライト微粒子粉末及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、大きな磁化値と適当な抗磁力とを有し、且
つ、0.1μm未満の微粒子であり、しかも、温度安定性
に優れた、殊に、温度安定性が−0.5 Oe/℃〜+0.5 Oe/
℃の範囲にある磁気記録用板状複合フェライト微粒子粉
末及びその製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、例えば、特開昭55−86103号公報にも述べられ
ている通り、強磁性の非針状粒子が記録用磁性材料、特
に垂直磁気記録用磁性材料として要望されつつある。
一般に、強磁性の非針状粒子としてはBaを含む板状フ
ェライト粒子がよく知られている。
従来から板状フェライトの製造法の一つとして、Baイ
オン又はSrイオンとFe(III)とが含まれたアルカリ性
懸濁液を反応装置としてオートクレーブを用いて水熱処
理をする方法(以下、これを単に水熱処理法という。)
が知られている。
磁気記録用板状フェライト微粒子粉末は、粒度が出来
るだけ微細であると共に、磁気特性について言えば、適
当な抗磁力と大きな磁化値を有し、しかも温度安定性に
優れていることが要求される。
この事実について以下に詳述する。
先ず、磁気記録用板状フェライト微粒子粉末の粒度に
ついて言えば、出来るだけ微細な粒子であることが要求
されている。
この事実は、例えば、電子通信学会技術研究報告MR81
−11第27頁23−9の「Fig.3」等に示されている通りで
ある。即ち、「Fig.3」は、Co被着針状晶マグヘマイト
粒子粉末における粒子の粒度とノイズレベルとの関係を
示す図であり、粒子の粒度が小さくなる程、ノイズレベ
ルは直線的に低下している。
この関係は、板状Baフェライト粒子粉末についても同
様に言えることである。
次に、磁気特性について言えば、磁気記録用板状フェ
ライト微粒子粉末の抗磁力は、一般に300〜2000 Oe程度
のものが要求されており、板状フェライト微粒子粉末の
抗磁力を低減させ適当な抗磁力とする為に前記水熱処理
法においてフェライトの中のFe(III)の一部をTi(I
V)及びCo(II)又はCo(II)並びにMn、Zn等の2価の
金属イオンM(II)で置換することが提案されている。
磁化値について言えば、出来るだけ大きいことが必要
であり、この事実は、例えば特開昭56−149328号公報の
「‥‥磁気記録媒体材料に使われるマグネトプランバイ
トフェライトについては可能な限り大きな飽和磁化‥‥
が要求される。」と記載されている通りである。
また、板状フェライト粒子粉末は、例えば、アイイー
イーイー トランザクション オン マグネティックス
(IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS)MAG−18 NO.6第11
23頁の「Fig.4」からも明らかな通り、温度が高くなる
程抗磁力が上昇する傾向にあり、温度に対する磁気的
(特に、抗磁力)安定性(以下、単に、温度安定性とい
う。)が劣る為、温度安定性が優れていることが要求さ
れている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
粒度が出来るだけ微細であり、大きな磁化値と適当な
抗磁力とを有し、しかも温度安定性に優れた板状フェラ
イト微粒子粉末は、現在最も要求されているところであ
るが、上述した通りの水熱処理法においては、反応条件
を選ぶことによって各種のフェライト粒子が沈澱してく
る。この沈澱粒子は通常六角板状を呈しており、生成条
件によってその粒度分布や平均径等の粉体的特性及び抗
磁力、磁化値、温度安定性等の磁気的特性が異なる。
例えば、抗磁力を低減させ適当な抗磁力とする為にフ
ェライト中のFe(III)の一部をCo(II)及びTi(IV)
で置換したCo(II)−Ti(IV)を含有する板状Baフェラ
イト微粒子を水熱処理法によって生成させ、当該粒子を
加熱焼成することにより得られたCo(II)−Ti(IV)を
含有する板状複合フェライト微粒子粉末は、Co(II)−
Ti(IV)の抗磁力低減効果が大きく、従って、少量の添
加量で適当な抗磁力に制御することができる為、添加物
による磁化値の低下は小さく、50〜60emu/g程度と比較
的大きな磁化値を有するものではあるが、温度安定性は
+2.5 Oe/℃〜6.0 Oe/℃と劣ったものであった。即ち、
Co(II)−Ti(IV)を含有する板状複合フェライト微粒
子粉末の抗磁力は温度が高くなる程向上する傾向にあ
る。この現象は、ジャーナル オブ マグネティズム
アンド マグネティック マテリアルス(Journal of M
agnetism and Magnetic Materials)15−18号(1980
年)第1459頁の「Fig.1」からも推定される。
また、抗磁力を低減させ適当な抗磁力とする為にフェ
ライト中のFe(III)の一部を等モルのNi(II)及びTi
(IV)で置換したNi(II)−Ti(IV)を含有する板状複
合フェライト微粒子を水熱処理法により生成させた場合
には、粒度が0.1μm以上の粒子しか得られず、また、
当該粒子を加熱焼成することにより得られた等モルのNi
(II)−Ti(IV)を含有する板状複合フェライト微粒子
粉末は、Ni(II)−Ti(IV)の抗磁力低減効果が小さ
く、従って、適当な抗磁力に制御する為には添加量を多
量にする必要があり、その結果、磁化値の低下は大き
く、高々47emu/g程度と磁化値が低いものであった。ま
た、温度安定性は、前出ジャーナル オブ マグネティ
ズム アンド マグネティック マテリアルスの「Fig.
1」から推定される通り、上記Co(II)−Ti(IV)を含
有する板状フェライト微粒子粉末に比べ比較的優れては
いるが、+1.0〜+3.0 Oe/℃程度であり、未だ十分なも
のとは言い難い。
従来、Co(II)−Ti(IV)等の抗磁力低減の為の元素
を含有する板状複合フェライト微粒子粉末の温度安定性
を改良する方法として、例えば、特開昭61−152003号公
報及び特開昭62−132732号公報に記載の方法がある。
前者に記載の方法は、Co(II)−Ti(IV)等の抗磁力
低減の為の元素を含有する板状複合フェライト微粒子粉
末を還元性雰囲気中300〜700℃で加熱処理するものであ
るが、当該加熱処理を施すことによって抗磁力が加熱処
理前の値の倍以上に増加し、適当な抗磁力に制御するこ
とが困難であるという欠点を有する。
後者に記載の方法は、板状複合フェライト微粒子粉末
の粒子形状を平均径1.0μm以下、c軸方向の厚み0.2μ
m以下、板状比(板面の平均径/c軸方向の厚み)を5以
上とするものであり、温度安定性を改良する為には、粒
子形態による制約を受けるという欠点がある。
そこで、粒度が出来るだけ微細であり、且つ、適当な
抗磁力と大きな磁化値を有し、しかも、粒子形態による
制約を受けることなく温度安定性に優れた板状Baフェラ
イト微粒子を得る方法の確立が強く要望されている。
〔問題を解決する為の手段〕
本発明者は、粒度が出来るだけ微細であり、適当な抗
磁力と大きな磁化値を有し、しかも、粒子形態による制
約を受けることなく温度安定性に優れた板状フェライト
微粒子粉末を得るべく種々研究を重ねた結果、本発明に
到達したものである。
即ち、本発明は、Fe(III)に対し3〜5原子%のTi
とモル比で1<Ni/Ti≦4の範囲内のNiとを含有するBa
を含む板状複合フェライト微粒子の粒子表面近傍に亜鉛
が固溶されており、且つ、平均径が0.01μm以上0.1μ
m未満であって、−20〜120℃の温度範囲における抗磁
力の変化が−0.5 Oe/℃〜+0.5 Oe/℃の範囲内であるBa
を含む板状複合フェライト微粒子からなる磁気記録用板
状複合フェライト微粒子粉末及びBaイオンを含むアルカ
リ性水酸化鉄(III)懸濁液を100〜300℃の温度範囲に
おいて水熱処理することによりBaを含む板状複合フェラ
イト微粒子を生成させるにあたり、前記アルカリ性水酸
化鉄(III)懸濁液にあらかじめFe(III)に対し3〜5
原子%のTi化合物とモル比で1<Ni/Ti≦4のNi化合物
とを添加し、且つ、前記Baイオンの添加量をFe(III)
1原子に対し0.125〜0.25原子の範囲内で選ぶことによ
って、平均径0.01μm以上0.1μm未満の範囲内で前記B
aイオンの添加量に対応した粒度を有するBaを含む板状
複合フェライト微粒子を生成させ、次いで、当該微粒子
を、pH4.0〜12.0の亜鉛を含む水溶液中に懸濁させ、粒
子表面に亜鉛の水酸化物が沈着している前記Baを含む板
状複合フェライト微粒子を得、当該微粒子を別、乾燥
した後、600〜900℃の温度範囲で加熱焼成することから
なる磁気記録用板状複合フェライト微粒子粉末の製造法
である。
〔作用〕
先ず、本発明において最も重要な点は、Baイオンを含
むアルカリ性水酸化鉄(III)懸濁液を100〜300℃の温
度範囲において水熱処理することによりBaを含む板状複
合フェライト微粒子を生成させるにあたり、前記アルカ
リ性水酸化鉄(III)懸濁液にあらかじめFe(III)に対
し3〜5原子%のTi化合物とモル比で1<Ni/Ti≦4のN
i化合物とを添加し、且つ、前記Baイオンの添加量をFe
(III)1原子に対し0.125〜0.25原子の範囲内とした場
合には、平均径0.01μm以上0.1μm未満の範囲内で前
記Baイオンの添加量に対応した粒度を有するBaを含む板
状複合フェライト微粒子を生成させることが出来、次い
で、当該微粒子をpH4.0〜12.0の亜鉛を含む水溶液中に
懸濁させ、粒子表面に亜鉛の水酸化物が沈着している前
記Baを含む板状複合フェライト微粒子を得、当該微粒子
を別、乾燥した後、600〜900℃の温度範囲で加熱焼成
した場合には、Ni及びTiを含有するBaを含む板状複合フ
ェライト微粒子の粒子表面近傍に亜鉛を固溶させること
ができ、その結果、前記0.1μm未満の粒度を保持して
おり、且つ、大きな磁化値と適当な抗磁力とを有し、し
かも、温度安定性の優れたBaを含む板状複合フェライト
微粒子が得られるという事実である。
本発明においては、温度安定性が−0.5 Oe/℃〜+0.5
Oe/℃の範囲にあるBaを含む板状複合フェライト微粒子
を得ている。
温度安定性が−0.5 Oe/℃〜+0.5 Oe/℃の範囲にある
Baを含む板状複合フェライト微粒子粉末が得られる理由
は、未だ明らかではないが本発明者は、後出比較例に示
す通り、Ni及びTiを含有するBaを含む板状複合フェライ
ト微粒子粉末の場合、または、粒子表面近傍に亜鉛が固
溶している前記Ni及びTiを含有しないBaを含む板状複合
フェライト微粒子粉末の場合のいずれの場合にも−0.5
Oe/℃〜+0.5 Oe/℃の範囲の温度安定性が得られないこ
とから、水溶液中から生成したBaを含む板状複合フェラ
イト中のFe(III)の一部を置換しているNi及びTiと粒
子表面近傍に固溶している亜鉛との相乗効果によるもの
と考えている。
本発明においては、粒子表面近傍に亜鉛を固溶させる
ことによって、Baを含む板状複合フェライト粒子の磁化
値を900℃以下の加熱焼成温度で効果的に大きくするこ
とができ、しかも抗磁力を低下させることができる。
その結果、Ni(II)−Ti(IV)のように抗磁力低減効
果が小さいものであっても、大きな磁化値を維持しなが
ら効果的に適当な抗磁力に制御することができる。
今、本発明者が行った数多くの実験例から、その一部
を抽出して説明すれば、次の通りである。
図1は、TiをFe(III)1原子に対し3原子%及びNi
をモル比でNi/Ti=3添加して、後出実施例1の条件に
従って反応を行った場合のFe(III)に対するBaの添加
割合(モル比)と生成したBaを含む板状複合フェライト
微粒子の粒度との関係を示したものである。図1から明
らかな通り、Fe(III)に対するBaの添加割合が0.125以
上の場合に、生成するBaを含む板状複合フェライト微粒
子は、0.1μm未満の微細粒子となり、Fe(III)に対す
るBaの添加割合が大きくなる程生成するBaを含む板状複
合フェライト微粒子は微細化する傾向にある。
従来、例えば、特開昭56−149328号公報に記載されて
いる通り、水熱処理法により板状Baフェライト粒子を生
成するにあたり、Ni化合物及びTi化合物を添加する方法
がある。
しかしながら、この方法による場合には、Fe(III)
イオンの価数と添加物の価数が等しくなるように価数を
調整することによって保磁力を低減させることを目的と
するものであるから、Ni(II)化合物とTi(IV)化合物
の添加量は当量であることが必要であり、従って、Ni化
合物とTi化合物の添加量が相違しており、生成板状Baフ
ェライト微粒子の粒度を制御することを目的とする本発
明とはその技術手段及び目的並びに効果が全く相違する
ものである。
次に、本発明実施にあたっての諸条件について述べ
る。
本発明におけるFe(III)塩としては、硝酸鉄、塩化
鉄等を使用することができる。
本発明におけるBaイオンとしては、水酸化バリウム、
塩化バリウム、硝酸バリウム等を使用することができ
る。
Baイオンの添加量は、Fe(III)1原子に対し0.125〜
0.25原子の割合である。0.125原子未満の場合には、生
成するBaを含む板状複合フェライト粒子の平均径が0.1
μm以上となる。0.25原子を越える場合にも、0.1μm
未満の微粒子が生成するが、当該微粒子を加熱焼成して
得られる粒子の磁化値が小さく、本発明の目的とする磁
気記録用磁性粒子粉末を得ることができない。
本発明におけるTi化合物としては、四塩化チタン、硫
化チタニル等を使用することができる。
Ti化合物の添加量は、Fe(III)に対し3〜5原子%
の範囲である。3原子%未満の場合には、得られるBaを
含む板状複合フェライト粒子の抗磁力を制御することが
困難である。5原子%を越える場合には、Baを含む板状
複合フェライト粒子中にBaTiO3が混在してくる。
本発明における反応温度は、100〜300℃である。100
℃未満の場合には、Baを含む板状複合フェライト粒子が
生成しない。300℃を越える場合には、生成するBaを含
む板状複合フェライト粒子の平均径が0.1μm以上とな
る。
本発明におけるNi化合物としては、塩化ニッケル、硝
酸ニッケル、酢酸ニッケル等を使用することができる。
Ni化合物の添加量は、モル比で1<Ni/Ti≦4の範囲
である。
モル比で1未満の場合には、生成するBaを含む板状複
合フェライト粒子の平均径が0.1μm以上となる。モル
比で4を越える場合でも、本発明の目的とする適度な抗
磁力を有するBaを含む板状複合フェライト粒子が得るこ
とができるが必要以上に添加する意味がない。
本発明における亜鉛の水酸化物の沈着は、Baを含む板
状複合フェライト微粒子をpH4.0〜12.0の亜鉛を含む水
溶液中に懸濁させればよい。
亜鉛を含む水溶液としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨ
ウ化亜鉛等のハロゲン化物、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸
亜鉛等を使用することができる。
pHが4未満又は12を越える場合には亜鉛の沈着が困難
となる。
本発明における加熱焼成温度は、600〜900℃である。
600℃未満である場合には、Baを含む板状複合フェラ
イト粒子の粒子表面への亜鉛の固溶が十分ではない。
900℃を越える場合には、粒子及び粒子相互間の焼結
が顕著となる。
本発明における加熱焼成にあたっては、Baを含む板状
複合フェライト微粒子の粒子表面をあらかじめ、焼結防
止効果を有するSi化合物、Al化合物、p化合物等により
被覆しておいてもよい。
加熱焼成に際しては、周知の融剤を使用してもよく、
融剤としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金
属のハロゲン化物及び硫酸塩等の一種又は二種以上を用
いることができる。
本件発明における粒子表面近傍に亜鉛が固溶している
Baを含む板状複合フェライト微粒子への亜鉛の固溶量は
Zn換算で0.2〜5.0重量%である。
0.2重量%未満である場合には、本発明の目的を十分
達成することができない。
5.0重量%を越える場合にも本発明の目的を達成する
ことはできるが必要以上に添加することは意味がない。
〔実施例〕
次に、実施例及び比較例により本発明を説明する。
尚、以下の実施例並びに比較例における粒子の平均径
は、電子顕微鏡写真により測定した値である。
また、磁化値及び抗磁力は粉末状態で10KOeの磁場に
おいて測定したものである。
温度安定性は、−20℃における抗磁力値と120℃にお
ける抗磁力値との差を120℃と−20℃との温度差(140
℃)で除した値をOe/℃で示した。
〈水溶液中からのBaを含む板状複合フェライト微粒子粉
末の製造〉 実施例1〜9、比較例1〜3; 実施例1 FeCl3 14mol、NiCl2 1.26mol(モル比でNi/Ti=3に
該当する。)、TiCl4 0.42mol(Fe(III)に対し3原子
%に該当する。)及びBaCl2 2.33mol(Fe(III)1原子
に対し0.166原子に該当する。)とNaOH 171molとのアル
カリ性懸濁液をオートクレーブ中で300℃まで加熱し、
機械的に撹拌しつつこの温度に3時間保持し、強磁性茶
褐色沈澱を生成させた。
室温にまで冷却後、強磁性茶褐色沈澱を別し、十分
水洗した後乾燥した。
得られた強磁性茶褐色粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.05μmの板状粒子であり、螢光X線分析及
びX線回折の結果、Fe(III)に対し9.0原子%のNi及び
3.0原子%のTiを含有するBaを含む複合フェライト粒子
であった。
実施例2〜9、比較例1、3 第二鉄塩水溶液の種類、Ba塩水溶液の種類並びに量、
Ni化合物の種類並びに量、Ti化合物の種類並びに量及び
反応温度並びに時間を種々変化させた以外は、実施例1
と同様にしてBaを含む板状複合フェライト微粒子粉末を
得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表1に示し
た。
実施例2、実施例3及び比較例3で得られたBaを含む
板状複合フェライト微粒子粉末の電子顕微鏡写真(×10
0,000)をそれぞれ図2乃至図4に示す。
比較例2 TiCl4の添加量をFe(III)に対し5.5原子%とした以
外は実施例1と同様にして粒子の生成反応を行った。
得られた粒子は図5に示す電子顕微鏡写真(×100,00
0)から明らかな通り、板状粒子と立方状粒子が混在し
ており、X線回折の結果、マグネトプランバイト構造を
示すピークとBaTiO3を示すピークが認められた。
〈加熱処理して得られるBaを含む板状複合フェライト微
粒子粉末の製造〉 実施例10〜18、比較例4〜6; 実施例10 実施例1で得られたNi及びTiを含有するBaを含む板状
複合フェライト粒子粉末100gを0.06molの塩化亜鉛水溶
液中に分散混合し、pH9において粒子表面に亜鉛の水酸
化物を沈着させた後、別、乾燥し、次いで850℃にお
いて1.5時間加熱焼成した。
加熱焼成して得られた微粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均径0.05μmの板状粒子であった。また、磁性
は、抗磁力Hcが1050 Oe、磁化値が57.0emu/gであり、温
度安定性は+0.4 Oe/℃であった。この微粒子は、螢光
X線分析の結果、Feに対し9.0原子%のNi及び3.0原子%
のTiと3.2重量%のZnを含有していた。
また、この微粒子は、化学分析の結果、アルカリ水溶
液中で加熱抽出される亜鉛酸化物、亜鉛水酸化物が検出
されないことから亜鉛が固溶したものと認められた。
実施例11〜18、比較例4〜6 Znの種類並びに添加量、加熱処理温度並びに時間及び
融剤の有無、種類並びに添加量を種々変化させた以外
は、実施例10と同様にしてBaを含む板状複合フェライト
微粒子粉末を得た。
この時の主要製造条件及び諸特性を表2に示す。
〔発明の効果〕 本発明に係るBaを含む板状複合フェライト微粒子粉末
は、0.1μm未満の微粒子であり、大きな磁化値と適当
な抗磁力とを有し、しかも、温度安定性に優れた、殊
に、温度安定性が−0.5 Oe/℃〜+0.5 Oe/℃の範囲にあ
る粒子粉末であるので、現在、最も要求されている磁気
記録用板状複合フェライト粒子粉末として最適である。
【図面の簡単な説明】
図1は、Fe(III)に対するBaの添加割合(モル比)と
生成したBaを含む板状複合フェライト微粒子の粒度との
関係を示したものである。 図2乃至図5は、いずれも電子顕微鏡写真(×100,00
0)である。図2乃至図4は、それぞれ実施例2、実施
例3及び比較例3で得られたBaを含む板状複合フェライ
ト微粒子末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真であり、図
5は比較例2で得られたBaを含む板状複合フェライト微
粒子粉末と立方状BaTiO3粒子粉末との混合粒子粉末の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe(III)に対し3〜5原子%のTiとモル
    比で1<Ni/Ti≦4のNiとを含有するBaを含む板状複合
    フェライト微粒子の粒子表面近傍に亜鉛が固溶されてお
    り、且つ、平均径が0.01μm以上0.1μm未満であっ
    て、−20〜120℃の温度範囲における抗磁力の変化が−
    0.5 Oe/℃〜+0.5 Oe/℃の範囲内であるBaを含む板状複
    合フェライト微粒子からなる磁気記録用板状複合フェラ
    イト微粒子粉末。
  2. 【請求項2】Baイオンを含むアルカリ性水酸化鉄(II
    I)懸濁液を100〜300℃の温度範囲において水熱処理す
    ることによりBaを含む板状複合フェライト微粒子を生成
    させるにあたり、前記アルカリ性水酸化鉄(III)懸濁
    液にあらかじめFe(III)に対し3〜5原子%のTi化合
    物とモル比で1<Ni/Ti≦4のNi化合物とを添加し、且
    つ、前記Baイオンの添加量をFe(III)1原子に対し0.1
    25〜0.25原子の範囲内で選ぶことによって、平均径0.01
    μm以上0.1μm未満の範囲内で前記Baイオンの添加量
    に対応した粒度を有するBaを含む板状複合フェライト微
    粒子を生成させ、次いで、当該微粒子を、pH4.0〜12.0
    の亜鉛を含む水溶液中に懸濁させ、粒子表面に亜鉛の水
    酸化物が沈着している前記Baを含む板状複合フェライト
    微粒子を得、当該微粒子を濾別、乾燥した後、600〜900
    ℃の温度範囲で加熱焼成することを特徴とする請求項1
    記載の磁気記録用板状複合フェライト微粒子粉末の製造
    法。
JP16177788A 1988-06-28 1988-06-28 磁気記録用板状複合フェライト微粒子粉末及びその製造法 Expired - Fee Related JP2607920B2 (ja)

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