JP2760646B2 - 電力変換装置の電流指令値演算装置 - Google Patents

電力変換装置の電流指令値演算装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、電力系統へ電力を供給する電力変換装置
に係り、特に、電力系統の負荷電流に基いて電力変換装
置の電力指令値を演算する電流指令値演算装置に関す
る。
（従来の技術） 第４図はこの種の従来の電流指令値演算装置の構成を
示すブロック図である。同図において、図示省略の変流
器によって検出された電力系統の負荷電流iLが、ベクト
ル電力演算回路としてのPQ演算回路３によって瞬時実電
力Ｐおよび瞬時虚電力Ｑに分けられる。電力演算回路４
は瞬時実電力Ｐの高調波成分Ph、瞬時虚電力Ｑの高調波
成分Qhおよび無効電力成分Q0を選択出力する。これらの
成分に基づき、逆ベクトル電力演算回路としての逆PQ演
算回路６が電流指令値ic ＊を演算する。絶対値リミッタ
７はこの電流指令値ic ＊を入力し、装置定格を超えない
大きさに制限して電力変換装置の電流指令値ic ＊′を出
力する。
第５図は従来のもう一つの電流指令値演算装置の構成
を示すブロック図で、絶対値リミッタ７の代わりに、ピ
ーク検出回路16、逆関数演算回路17cおよび乗算器19を
用いて、いわゆる、オートゲインコントロール回路を構
成したものである。ここで、リミッタ５から出力された
電流指令値ic ＊は乗算器19の一方入力として加えられる
と共に、ピーク検出回路16の入力として加えられる。こ
のピーク検出回路16は電流指令値ic ＊のピーク値を検出
して保持する。逆関数演算回路17cは保持されたピーク
値が装置定格を超える場合に、逆関数演算により電流指
令値が装置定格を超えないゲインを計算して乗算器19の
他方入力として加える。しかして、乗算器19は電流指令
値ic ＊にゲインｋを乗じて電力変換装置の電流指令値ic
＊′を出力する。
（発明が解決しようとする課題） 上述した二つの電流指令値演算装置のうち、第４図に
示した絶対値リミッタ７を用いたものは、これによって
電力変換器の出力電流が定格を超えないように電流指令
指令値ic ＊′を制限するため波形飽和を生じ、電流指令
値ic ＊′に高調波が含まれるという問題があった。
また、第５図に示したオートゲインコントロール回路
を用いたものは、電流指令値ic ＊に含まれる高調波や、
無効電力等が一様に制限されるため、どちらか一方が制
限を超えたときに、他方も影響を受けて装置の能力を有
効に利用できないという問題があった。
この発明は上記の問題点を解決するためになされたも
ので、高調波を発生することなく電力変換装置の出力電
流を定格以内に抑えると共に、電力変換装置の能力を有
効に利用することのできる電力変換装置の電流指令値演
算装置を得ることを目的とする。
〔発明の構成〕
（課題を解決するための手段） 本発明は、電力系統の負荷電流の検出値に基いて演算
された出力電流指令値に従って、前記電力系統へ供給す
る電流を制御する電力変換装置において、検出された前
記負荷電流を瞬時実電力と瞬時虚電力を演算するベクト
ル電力演算回路と、演算された瞬時実電力および瞬時虚
電力に基いてこれら各電力の高調波成分および無効電力
成分を弁別する電力演算回路と、弁別された高調波成分
および無効電力成分の大きさをそれぞれ設定値以下に制
限するリミッタと、大きさに制限を加えた高調波成分お
よび無効電力成分から出力電流指令値を演算する逆ベク
トル電力演算回路とを備えたことを特徴とするものであ
る。
（作 用） この発明においては、PQ軸上で分離された電力成分の
各々に制限をかけて電力変換装置の出力電流を定格以内
に抑えるようにしたので、出力電流指令値に波形飽和に
よる高調波を含むことがなくなり、また、高調波および
無効電力のどちらか一方が制限を超えたときに発生しや
すい他方への影響もなくなり、電力変換装置の能力を有
効に利用することができる。
（実施例） 第１図はこの発明の一実施例の構成を示すブロック図
で、図中、第４図と同一の符号を付したものはそれぞれ
同一の要素を示す。
ここで、電力系統母線11に変流器12が設けられ、この
変流器12によって検出された負荷電流iLに基づいて電流
指令値演算装置１が電流指令値ic ＊′を演算しインバー
タ２に加える。インバータ２はこの電流指令値ic ＊′に
従った電流icを、変圧器13を介して、電力系統母線11に
供給する。
このうち、電流指令値演算装置１は前述のPQ演算回路
３、電力演算回路４、逆PQ演算回路６および絶対値リミ
ッタ７を含んでなり、特に、電力演算回路４および逆PQ
演算回路６間にリミッタ５を設けた点が従来装置と異な
っている。このリミッタ５は、電力演算回路４によって
弁別された高調波成分Ph,Qhおよび無効電力成分Q0の大
きさをそれぞれ設定値以下に制限するもので、その詳細
な構成例を第２図に示す。
第２図において、ベクトル絶対値演算回路15aが高調
波成分Ph,Qhを取り込んで高調波電力が演算するように
なっている。このベクトル絶対値演算回路15aの出力側
にピーク値を検出してその値を保持するピーク検出回路
16が接続されている。また、ピーク検出回路16には高調
波成分の大きさが設定値を超える場合、高調波成分を設
定値に制限するためのゲインを演算する逆関数演算回路
17aが接続されている。一方、無効電力成分Q0を入力し
その値を設定値に制限するためのゲインを演算する絶対
値リミッタ18が設けられている。また、高調波成分Ph,Q
hおよび無効電力成分Q0をそれぞれ一方入力として、逆
関数演算回路17aや絶対値リミッタ18で演算されたゲイ
ンを他方入力とする３個の乗算器19が設けられ、これら
の乗算器19から出力される高調波成分Ph′,Qh′および
無効電力成分Q0′を逆PQ演算回路６に加えるようになっ
ている。
上記のように構成された本実施例の動作を、特に、従
来装置と構成を異にする点を中心にして以下に説明す
る。
電力演算回路４が高調波成分Ph,Qhおよび無効電力成
分Q0を演算する。ベクトル絶対値演算回路15aは高調波
電力の大きさを演算する。ピーク検出回路16はこの高調
波電力のピーク値を検出しこれを保持する。逆関数演算
回路17aはピーク検出回路16で保持された高調波成分の
ピーク値が設定値hmaxを超える場合、その大きさを設定
値hmaxになるような高調波成分Ph,Qhに対するゲインk1,
k2を演算する。また、絶対値リミッタ18は無効電力成分
Q0を入力し、その大きさが設定値Q0 maxを超える場合、
その大きさを設定値Q0 maxに制限するゲインk3を演算す
る。３個の乗算器19はそれぞれ高調波成分Phにゲインk1
を、高調波成分Qhにゲインk2を、無効電力成分Q0にゲイ
ンk3を乗算し、高調波成分Ph′,Qh′および無効電力成
分Q0′を逆PQ演算回路６に加える。この場合、高調波電
力の設定値hmaxおよび無効電力成分設定値Q0 maxは装置
定格あるいは負荷条件により適切に設定される。また、
これらの設定値は必ずしも一定にする必要はなく、負荷
条件や運転条件により適宜変更してもよい。これによ
り、高調波電力指令値としての高調波成分Ph′,Qh′お
よび無効電力指令値としての無効電力成分Q0′がそれぞ
れ設定値以下に保たれ、出力電流指令値ic ＊′も設定値
以下に保たれる。ここで、高調波電力指令値および無効
電力指令値の上限の総和を装置定格以内に設定しておけ
ば、出力電流が装置定格を上回ることはない。
第３図はリミッタ５のもう一つの構成例で、高調波電
力成分と無効電力成分とを区別せずに、ベクトル絶対値
演算回路15が高調波成分Ph,Qhおよび無効電力成分Q0に
基づいて電力を演算し、この電力のピーク値をピーク検
出回路16で検出保持する。そして、逆関数演算回路17b
が電力を設定値以下に制限する共通のゲインk1を演算
し、このゲインk1を乗算器19の他方入力としている。こ
れによっても、出力電流指令値ic ＊′を設定値以下に保
つことができる。
〔発明の効果〕
以上の説明によって明らかなように、この発明によれ
ば、波形飽和による高調波を含むことなく、電力変換装
置の出力電流を定格以内に抑えることができる。また、
高調波、無効電力を別々に制限することにより、装置の
能力を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第１図はこの発明の一実施例の構成を示すブロック図、
第２図および第３図はそれぞれ同実施例の主要素の詳細
な構成例を示すブロック図、第４図および第５図はそれ
ぞれ従来の電力変換装置の電流指令値演算装置の構成を
示すブロック図である。 １……電流指令値演算装置、２……インバータ、３……
PQ演算回路、４……電力演算回路、５……リミッタ、６
……逆PQ演算回路、７……絶対値リミッタ、15a,15b…
…ベクトル絶対値演算回路、16……ピーク検出回路、17
a,17b……逆関数演算回路、18……絶対値リミッタ、19
……乗算器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】電力系統の負荷電流の検出値に基いて演算
    された出力電流指令値に従って、前記電力系統へ供給す
    る電流を制御する電力変換装置において、検出された前
    記負荷電流を瞬時実電力と瞬時虚電力を演算するベクト
    ル電力演算回路と、演算された瞬時実電力および瞬時虚
    電力に基いてこれら各電力の高調波成分および無効電力
    成分を弁別する電力演算回路と、弁別された高調波成分
    および無効電力成分の大きさをそれぞれ設定値以下に制
    限するリミッタと、大きさに制限を加えた高調波成分お
    よび無効電力成分から出力電流指令値を演算する逆ベク
    トル電力演算回路とを備えたことを特徴とする電力変換
    装置の電流指令値演算装置。
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