JP2750459B2 - 蛇腹管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は金属製の蛇腹管に関するものである。

（従来の技術） 金属製の蛇腹管は可撓性に富んでいて外部からの衝撃
を吸収し、また振動吸収の機能をも有するために、自動
車の排気装置の配管、船舶のエンジン廻りの配管、空調
関係のポンプ、コンプレッサの配管などに広く使用され
ている。

従来の金属製の蛇腹管１は、第５図に示すように軸方
向に管壁厚み（肉厚）が一定に形成されるている金属円
筒体を用いて波付け成形し、同一形状の山部２が等間隔
で形成されているものであった。

（発明が解決しようとする課題） 前述の従来の蛇腹管に曲げ変位が加えられると、第５
図の蛇腹管１の特に固定部４に近傍する蛇腹部３にかか
る曲げモーメントが大きくなるので、この部分に応力が
集中して発生し、前記蛇腹部３で蛇腹管１の折損事故の
発生が比較的多かった。

また従来の蛇腹管では、全体の壁厚（肉厚）が一定で
かつ等間隔で蛇腹が形成されているために、蛇腹管が全
長にわたって同一の共振周波数を有し、この共振周波数
では金属製の蛇腹管が全長で共振するため、容易に破損
事故の発生に至ることがあった。

本発明は前述したような金属製の蛇腹管の現状に鑑み
てなされたもので、その目的は蛇腹部分の可棚性を維持
しつつ曲げ変位が加えられても特に固定部近傍のような
箇所の剛性を高くして応力の集中を小さくして折損事故
を防止し、また軸方向の各部における蛇腹管の共振周波
数を異ならせることにより全体が共振振動して破損しな
いように耐振強度を向上させた蛇腹管を提供することに
ある。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために本発明の第１の実施態様
は、長手軸方向の中央部より両端部に向って内周面にお
ける肉厚が連続的に徐々に厚くなっている金属円筒部の
周面を波付け成形してなる蛇腹管を特徴とするものであ
る。

また本発明の第２の実施態様は、長手軸方向の中央部
の内周面に肉厚部を有し該厚肉部から一旦肉厚を減少し
ついで両端部に向って内周面における肉厚が連続的に徐
々に厚くなっている金属円筒体の周面を波付け成形して
なる蛇腹管を特徴とするものである。

（作用） 本発明の蛇腹管は長手軸方向の中央部より両端部に向
って内周面における肉厚が連続的に徐々に厚くなってい
る金属円筒体の周面を波付け成形することにより形成さ
れているので、可撓性を維持しつつ両端部附近の剛性が
他の部分のそれより大きいため変形しにくく、曲げ変位
が加えられても両端部附近での発生応力は小さくなる。
したがって、蛇腹管全長に亘る応力分布を肉厚の変化に
より均一化して、折損事故の発生を防止する。

また、蛇腹管の軸方向に亘って連続的に徐々に肉厚が
変化する部分を形成して軸方向の各部分における蛇腹管
の共振周波数を異ならせることにより、全体が共振振動
して破損しないように耐振強度を向上させることができ
る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。第
１図は第１の実施例の金属円筒障の断面図、第２図は第
１の実施例の蛇腹管の断面図である。

第１図に示すように、本発明の第１の実施例の金属円
筒体5aは、内周面において軸方向に肉厚が連続的に徐々
に異なり、両端部側で肉厚が厚くなっている。このよう
な形状の金属円筒体5aに対して公知の波付け成形機を使
用して波付け成形を施し、第２図に示すような蛇腹管6a
が形成されている。この第１の実施例に係る蛇腹管6a
は、固定部4a、4bに接続される両端部側の管壁が他部分
よりも厚く剛性が大となっているとともに、その他の蛇
腹部分での可撓性はそのまま維持されているのである。

このため。蛇腹管6aに曲げ変位が与えられても固定部
4a、4bの近傍における剛性を高くして、変形しにくくな
り発生応力が小さくなるため全体として応力分布を均一
化して蛇腹管6aが折損することがない。

また、第１の実施例では固定部4a、4b側の管壁の肉厚
がその他の部分よりも厚いため、蛇腹管6aが中央部と両
端部とで共振周波数が異なるため、蛇腹管6aが全体的に
共振状態となって破損することが防止される。

第３図は、本発明の第２の実施例の金属円筒体の断面
図、第４図は、第２の実施例の蛇腹管の断面図である。

第３図に示すように第２の実施例の金属円筒体5bは、
内周面において軸方向の両端部と中央部に肉厚部が形成
されている。すなわち、金属円筒体5bは、長手軸方向の
中央部の内周面に厚肉部を有し該厚肉部から一旦肉厚を
減少しついで両端部に向って内周面における肉厚が連続
的に徐々に厚くなるよう形成されている。このような形
状の金属円筒体5bに対して公知の波付け成形機による波
付けが行われ、第４図に示すような蛇腹管6bが形成され
ている。

この第２の実施例に係る蛇腹管6bは、固定部4a、4bに
接続される両端部側と中央部の管壁の肉厚が、他の蛇腹
部分の管壁の肉厚より厚く剛性が大となっている。

このため、蛇腹管6bに曲げ変位が与えられて、固定部
4a、4bの近傍の剛性が高まり薄肉部分に比べて変形しに
くく発生応力が小さくなる。従って全長に亘って応力分
布が均一化して蛇腹管6aの折損が防止されるとともに、
この実施例の蛇腹管6bでは、中央部と両端部の肉厚が他
部分よりも厚くなっているので、中央部と両端部とで蛇
腹管6bの共振周波数が異なり、蛇腹管6bが全体的に共振
状態となって破損することが防止される。

また、第１の実施例および第２の実施例においては、
内周面の軸方向にそれぞれ２個所あるいは３個所の厚肉
部が形成され、異なる共振周波数を有する音響通過域が
それぞれ形成されるので、騒音の減衰効果をも高めるこ
とができる。

なお、第２の実施例においては、軸方向の３個所にお
いて管壁の内周面側に厚肉部が形成され、蛇腹管の両端
部が固定部に接続される構成のものを示したが、例えば
軸方向の少くとも両端部を含めて５個所において管壁に
厚肉部を形成し、蛇腹管の中央部の厚肉部を固定部に接
続する構成とすることもできる。

（発明の効果） 以上詳細に説明したように、本発明によると、蛇腹部
分における可撓性を維持しつつ、固定部近傍での剛性が
高められ、曲げ変位が与えられても固定部近傍において
折損事故が発生することがなく、かつ高温側における応
力低下について効果があり、さらに耐振強度が向上し、
騒音の減衰効果も高められる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の第１の実施例を説明する
図で、第１図は金属円筒体の断面図、第２図は蛇腹管の
断面図、第３図および第４図は本発明の第２の実施例を
説明する図で、第３図は金属円筒体の断面図、第４図は
蛇腹管の断面図、第５図は従来例の一部破断側面図であ
る。 １……山部、４、4a、4b……固定部、5a、5b……金属円
筒体、6a、6b……蛇腹管

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】長手軸方向の中央部より両端部に向って内
   周面における肉厚が連続的に徐々に厚くなっている金属
   円筒体の周面を波付け成形してなることを特徴とする蛇
   腹管。
2. 【請求項２】長手軸方向の中央部の内周面に肉厚部を有
   し該厚肉部から一旦肉厚を減少しついで両端部に向って
   内周面における肉厚が連続的に徐々に厚くなっている金
   属円筒体の周面を波付け成形してなることを特徴とする
   蛇腹管。