JP2746647B2 - 嵩高織編物の製造方法 - Google Patents
嵩高織編物の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、芯鞘構造糸を撚糸し熱固定を行い織編後の
精練又はプレセットの熱処理にて嵩高性を付与した嵩高
織編物の製造方法に関するものである。
精練又はプレセットの熱処理にて嵩高性を付与した嵩高
織編物の製造方法に関するものである。
<従来技術> 従来、撚糸形態糸でさらに嵩高性を付与する方法は、
特開昭58−180637号で提案されている。その後、商品の
多様化が進み、この方法では不充分であることが判っ
た。すなわち、マルチフィラメントの合撚だけでは杢調
となって高級感が不足し、又風合ではドレープ性に欠け
ることが判った。
特開昭58−180637号で提案されている。その後、商品の
多様化が進み、この方法では不充分であることが判っ
た。すなわち、マルチフィラメントの合撚だけでは杢調
となって高級感が不足し、又風合ではドレープ性に欠け
ることが判った。
<解決しようとする問題点> 本発明は、従来の嵩高織編物の欠点を排除し、高級感
を表現出来且つ、ドレープ性に富んだ嵩高織編物を得ん
とするものである。
を表現出来且つ、ドレープ性に富んだ嵩高織編物を得ん
とするものである。
<問題を解決するための手段> 本発明らは、仮撚加工の技術を応用し最終商品におい
て、捲縮形態を全く有しないフラットヤーン形態を有す
る嵩高織編物の製造方法を見い出した。
て、捲縮形態を全く有しないフラットヤーン形態を有す
る嵩高織編物の製造方法を見い出した。
すなわち、本発明は切断伸度200%〜400%の未延伸ポ
リエステルマルチフィラメント糸と切断伸度60%〜180
%の半延伸ポリエステルマルチフィラメント糸とを引揃
えるか、交絡した後、120℃以上の仮撚温度で仮撚加工
を行うことにより、仮の捲縮形態を付与した、沸水収縮
率が20%以上の芯鞘構造糸とした後、60℃以上の湿熱も
しくは乾熱処理を行い該芯鞘構造糸の沸水収縮率を20%
〜3%としてから、150T/M〜2500T/Mの実撚を掛けた撚
糸状態で再び湿熱又は乾熱処理を施して、該撚糸形態糸
の段階での沸水収縮を10%以下としてから後、布帛とし
該布帛の精練工程もしくはプレセット工程での熱処理に
て撚糸形態糸の一構成糸である切断伸度大なる未延伸糸
にたるみを発生させることを特徴とする嵩高織編物の製
造方法である。
リエステルマルチフィラメント糸と切断伸度60%〜180
%の半延伸ポリエステルマルチフィラメント糸とを引揃
えるか、交絡した後、120℃以上の仮撚温度で仮撚加工
を行うことにより、仮の捲縮形態を付与した、沸水収縮
率が20%以上の芯鞘構造糸とした後、60℃以上の湿熱も
しくは乾熱処理を行い該芯鞘構造糸の沸水収縮率を20%
〜3%としてから、150T/M〜2500T/Mの実撚を掛けた撚
糸状態で再び湿熱又は乾熱処理を施して、該撚糸形態糸
の段階での沸水収縮を10%以下としてから後、布帛とし
該布帛の精練工程もしくはプレセット工程での熱処理に
て撚糸形態糸の一構成糸である切断伸度大なる未延伸糸
にたるみを発生させることを特徴とする嵩高織編物の製
造方法である。
以下、本発明を詳細に説明すると、第1図は仮撚後の
未延伸マルチフィラメント糸(1)が鞘部に捲縮形態で
位置し、半延伸マルチフィラメント糸(2)が芯部にあ
って低い捲縮形態で位置した芯鞘構造糸の糸側面拡大図
である。この芯鞘構造糸は切断伸度200%〜400%の未延
伸マルチフィラメント糸と切断伸度60%〜180%の半延
伸糸マルチフィラメント糸とを通常の仮撚装置を用い
て、延伸と仮撚を同時に行うことにより得られる。この
場合、仮撚温度を室温〜120℃程度とし、延伸倍率は芯
部を構成する半延伸糸マルチフィラメント糸の切断伸度
の0.6〜0.8倍で行い、仮撚は糸速に対しフリクションデ
ィスクの周速を2倍前後にするとよい。この方法は、一
般的に延伸仮撚法によるものであって、伸度差を有する
原糸をこの様な方法で延伸仮撚を行うと、伸度の大きい
延伸糸マルチフィラメント糸が外周につる巻状に旋回
し、伸度の小さい半延伸マルチフィラメント糸が中心部
に位置しつつ、仮撚される。
未延伸マルチフィラメント糸(1)が鞘部に捲縮形態で
位置し、半延伸マルチフィラメント糸(2)が芯部にあ
って低い捲縮形態で位置した芯鞘構造糸の糸側面拡大図
である。この芯鞘構造糸は切断伸度200%〜400%の未延
伸マルチフィラメント糸と切断伸度60%〜180%の半延
伸糸マルチフィラメント糸とを通常の仮撚装置を用い
て、延伸と仮撚を同時に行うことにより得られる。この
場合、仮撚温度を室温〜120℃程度とし、延伸倍率は芯
部を構成する半延伸糸マルチフィラメント糸の切断伸度
の0.6〜0.8倍で行い、仮撚は糸速に対しフリクションデ
ィスクの周速を2倍前後にするとよい。この方法は、一
般的に延伸仮撚法によるものであって、伸度差を有する
原糸をこの様な方法で延伸仮撚を行うと、伸度の大きい
延伸糸マルチフィラメント糸が外周につる巻状に旋回
し、伸度の小さい半延伸マルチフィラメント糸が中心部
に位置しつつ、仮撚される。
ここで、未延伸マルチフィラメント糸と半延伸マルチ
フィラメント糸は同じ供給長であって、未延伸マルチフ
ィラメント糸が外周を旋回する分だけ余分に伸長される
ことになる。従って、解撚されて取り出された糸は、芯
部に伸びの少ない半延伸マルチフィラメント糸が、鞘部
に伸びの多い未延伸マルチフィラメント糸が位置する芯
鞘構造糸となる。この際、安定した芯鞘構造糸を得よう
とすると、未延伸マルチフィラメント糸と半延伸マルチ
フィラメント糸の切断伸度のバランスを図ることが必要
で、未延伸マルチフィラメント糸の伸度が200%の場合
は、少なくとも芯部を構成する半延伸マルチフィラメン
ト糸の切断伸度として60%が必要となり、又未延伸マル
チフィラメント糸の切断伸度が400%では、半延伸マル
チフィラメント糸には180%の切断伸度が必要である。
好ましくは、未延伸及び半延伸マルチフィラメント糸の
切断伸度差を130〜210にするとき、安定した芯鞘構造糸
が得られる。又引揃える未延伸及び半延伸糸マルチフィ
ラメントの夫々の全デニールとしては、芯部が太くなる
と、せっかくの芯鞘構造であっても部分的に芯部が露出
することになる。又、反対に鞘部が太くなり過ぎても腰
の弱い糸になるので、両者のバランスをとることが必要
である。好ましくは、芯鞘比率(重量)は1:0.8〜1:2に
収めることにより芯鞘構造も安定し且つ、腰不足もない
良好な芯鞘構造糸が得られる。一方、フィラメント数は
多い方が好ましいが、芯部にあまり多くのフィラメント
数を用いると腰不足の原因と成るので、10〜72本程度、
単繊維デニールでは15De〜1.5Deが好ましい。鞘部につ
いては、芯部に比べてフィラメント数は多くした方が芯
部をカバーリングする意味からも好ましい。第1図に示
すように芯鞘構造糸はあたかも頑固な捲縮形態をしてい
るかに見えるが、本発明のポイントである加工条件、す
なわち仮撚温度120℃以下で仮撚加工を行っているた
め、熱固定の効果が殆んど無く単に見掛け上の捲縮形態
をしているだけである。言い換えれば、本発明では、強
固な捲縮形態は必要ではなく、仮にこの捲縮形態が最終
商品(織編仕上り品)で残留すると、表面タッチを仮撚
糸特有のゴアゴアしたゴム的タッチにするばかりか、ヌ
メリ感(スパン感の減少)を誘発することから本発明の
意図する所ではない。本発明はあくまでも捲縮形態によ
らない嵩高織編物を得るものであるから、仮撚温度は12
0℃以下にすることが重要である。仮撚に供給する未延
伸マルチフィラメント糸と半延伸マルチフィラメント糸
は同時に引揃えて供給しても良く、又交絡しておいても
良い。交絡の仕方としては、インタレースノズルと圧縮
空気を用いて交絡部を部分に作っても良く、又紡糸時に
同時に巻き取り、その際の繊維入り組みを強くし交絡さ
せても良い。勿論、仮撚加工にさしつかえない程度、例
えば10T/M〜120T/M程度の実撚を入れて仮撚しても良
い。
フィラメント糸は同じ供給長であって、未延伸マルチフ
ィラメント糸が外周を旋回する分だけ余分に伸長される
ことになる。従って、解撚されて取り出された糸は、芯
部に伸びの少ない半延伸マルチフィラメント糸が、鞘部
に伸びの多い未延伸マルチフィラメント糸が位置する芯
鞘構造糸となる。この際、安定した芯鞘構造糸を得よう
とすると、未延伸マルチフィラメント糸と半延伸マルチ
フィラメント糸の切断伸度のバランスを図ることが必要
で、未延伸マルチフィラメント糸の伸度が200%の場合
は、少なくとも芯部を構成する半延伸マルチフィラメン
ト糸の切断伸度として60%が必要となり、又未延伸マル
チフィラメント糸の切断伸度が400%では、半延伸マル
チフィラメント糸には180%の切断伸度が必要である。
好ましくは、未延伸及び半延伸マルチフィラメント糸の
切断伸度差を130〜210にするとき、安定した芯鞘構造糸
が得られる。又引揃える未延伸及び半延伸糸マルチフィ
ラメントの夫々の全デニールとしては、芯部が太くなる
と、せっかくの芯鞘構造であっても部分的に芯部が露出
することになる。又、反対に鞘部が太くなり過ぎても腰
の弱い糸になるので、両者のバランスをとることが必要
である。好ましくは、芯鞘比率(重量)は1:0.8〜1:2に
収めることにより芯鞘構造も安定し且つ、腰不足もない
良好な芯鞘構造糸が得られる。一方、フィラメント数は
多い方が好ましいが、芯部にあまり多くのフィラメント
数を用いると腰不足の原因と成るので、10〜72本程度、
単繊維デニールでは15De〜1.5Deが好ましい。鞘部につ
いては、芯部に比べてフィラメント数は多くした方が芯
部をカバーリングする意味からも好ましい。第1図に示
すように芯鞘構造糸はあたかも頑固な捲縮形態をしてい
るかに見えるが、本発明のポイントである加工条件、す
なわち仮撚温度120℃以下で仮撚加工を行っているた
め、熱固定の効果が殆んど無く単に見掛け上の捲縮形態
をしているだけである。言い換えれば、本発明では、強
固な捲縮形態は必要ではなく、仮にこの捲縮形態が最終
商品(織編仕上り品)で残留すると、表面タッチを仮撚
糸特有のゴアゴアしたゴム的タッチにするばかりか、ヌ
メリ感(スパン感の減少)を誘発することから本発明の
意図する所ではない。本発明はあくまでも捲縮形態によ
らない嵩高織編物を得るものであるから、仮撚温度は12
0℃以下にすることが重要である。仮撚に供給する未延
伸マルチフィラメント糸と半延伸マルチフィラメント糸
は同時に引揃えて供給しても良く、又交絡しておいても
良い。交絡の仕方としては、インタレースノズルと圧縮
空気を用いて交絡部を部分に作っても良く、又紡糸時に
同時に巻き取り、その際の繊維入り組みを強くし交絡さ
せても良い。勿論、仮撚加工にさしつかえない程度、例
えば10T/M〜120T/M程度の実撚を入れて仮撚しても良
い。
なお、“引揃え”加工の場合は、仮撚後の芯鞘構造が
くずれ易いので、糸導等を工夫してできるだけシゴキを
少なくする必要がある。この点、交絡することで芯鞘構
造が崩れにくく取り扱いが一段と向上するが、交絡のた
め設備追加、又コスト高になりかねないので、どちらに
するかは総合的に考えて実施すれば良い。次に、仮撚後
の芯鞘構造糸に60℃以上の湿熱か乾熱処理を施し、芯鞘
構造糸の沸水収縮率を20%〜3%にする必要がある。本
発明では、120℃以下と言う低い仮撚温度で仮撚を行う
ため、仮撚後の糸条の沸水収縮率が高く、このままでは
商品化が出来ない。そこで、60℃以上の湿熱又は乾熱処
理を行い、沸水収縮率を下げるか仮撚後巻き取って、温
水又は蒸気中を通温させるか、加熱空気中に通すか、又
加熱板に接触させて収縮率を下げる処理をすれば良い。
好ましくは、仮撚工程に加熱板を取り付けて仮撚後の糸
を巻き取ることなく連続して熱処理することがコスト的
にも安く、又品位も良いものが得られる。処理温度とし
ては、60℃以上が必要であって、60℃以下では収縮率を
下げるのに長時間を必要しコスト高となる。反対に、あ
まり高い温度すなわちポリエステルが溶融するほどの温
度下で収縮率を充分に下げたとしても、繊維は硬化し嵩
高性を得ることが出来ない。好ましくは、加熱板で160
℃で0.1秒程度処理すれば、繊維を硬化させることな
く、沸水収縮率も20%以下にすることが出来る。沸水収
縮率としては、20%以下であっても0%まで下げること
は好ましくない。0%にもなると精練及び染仕上げ工程
での幅入,幅出が困難となり、風合調整が殆ど不可能で
あるばかりか、嵩高性を得るための繊維内に物性差を残
留させることが困難になるからである。この点から、そ
の下限は少なくとも3%以上とすることが必要である。
この沸水収縮率の値は芯鞘構造糸全体としての収縮率で
あるが、鞘部である未延伸マルチフィラメント糸の沸水
収縮率とほぼ一致し、芯部の半延伸マルチフィラメント
糸は若干低めである。そして、この収縮率は好ましくは
3%〜8%の範囲である。次に、この様な熱処理により
低収縮率とした芯鞘構造糸に150T/M〜2500T/Mの実撚を
施す。ここで150T/M未満では製織工程から染仕上げ工程
でのシゴキやもみに対して芯部と鞘部の繊維乱れを起し
芯鞘構造が不安定となる。つまり、本発明では採用する
150T/M〜2500T/Mという実撚は芯鞘構造を布帛中まで維
持するために必要なものである。反対に、2500T/Mを越
えると繊維が剛直になり、ドレープ性が欠如するばかり
か、繊維間の摩擦力が増大し、後工程で発現するたるみ
繊維の発現が不足する。本発明では、第2図に示すよう
に、たるみ繊維3を発生させることにより、嵩高性を得
るものであるから、200デニールでは300T/M〜1200T/M又
100デニールでは500T/M〜1500T/Mの実撚を付与すること
が好ましい。そして、芯鞘構造糸に150T/〜2500T/Mの実
撚を掛けた撚糸形態糸に湿熱又は乾熱処理を行い収縮率
を10%以下にする。この時の湿熱温度は60℃〜130℃、
又乾熱では90℃〜150℃で処理を行う。これ以上の高温
でセットすると鞘部の未延伸糸はもとより、芯部の半延
伸糸も収縮率が下がり過ぎても双方とも低収縮糸とな
り、必要な収縮差が起こらない。一方これよりも低温で
あると、収縮率が10%以下とならず、必要なたるみ繊維
を発現させることが困難になる。従って、前記範囲の温
度で撚糸形態糸を熱処理することで、特に鞘部の未延伸
マルチフィラメント糸が急激に収縮低下をきたす反面、
芯部の半延伸糸マルチフィラメント糸は鞘部の未延伸マ
ルチフィラメント糸に比べて熱的に安定して先の熱処理
でほぼ収縮が止っているので、この湿熱,乾熱処理での
低下は微少にとどまる。この様な状態で織物又は編物と
した後、精練工程で糊落とし又はリラックス処理で90℃
〜100℃の温水で処理すると、撚糸形態糸の鞘部にある
未延伸マルチフィラメント糸(1′)の収縮率が0%に
低下するとともにさらに自己伸長し元の試長よりも長く
たるんで、たるみ繊維(3)を形成する。通常、このた
るみ繊維は鞘糸の全フィラメント数の20〜80%の範囲で
発生する。他方、残りの鞘糸中のフィラメントは芯糸
(2)に比較的緊締状態で巻付いている。一方、芯部の
半延伸マルチフィラメント糸(2′)は精練工程で熱に
より徐々に収縮するものの、自己伸長までに至らない状
態で収縮が止まる。この収縮差は更にプレセットでの高
い乾熱処理で、芯部に残留していた収縮が起こるのに対
し、鞘部は自己伸長が更に進みその収縮差が撚糸形態糸
のたるみ繊維(3)とそうでない芯部(2′)の差とな
ってより大きな嵩高織編物を得ることが出来る。なお、
精練工程での温水処理によらず、いきなり染色工程での
高温高圧(例えば130℃)で処理しても同じ様に鞘部未
延伸マルチフィラメント糸(1′)でたるみ、芯部の半
延伸糸マルチフィラメント糸(1′)が収縮し嵩高編織
物を得ることができる。
くずれ易いので、糸導等を工夫してできるだけシゴキを
少なくする必要がある。この点、交絡することで芯鞘構
造が崩れにくく取り扱いが一段と向上するが、交絡のた
め設備追加、又コスト高になりかねないので、どちらに
するかは総合的に考えて実施すれば良い。次に、仮撚後
の芯鞘構造糸に60℃以上の湿熱か乾熱処理を施し、芯鞘
構造糸の沸水収縮率を20%〜3%にする必要がある。本
発明では、120℃以下と言う低い仮撚温度で仮撚を行う
ため、仮撚後の糸条の沸水収縮率が高く、このままでは
商品化が出来ない。そこで、60℃以上の湿熱又は乾熱処
理を行い、沸水収縮率を下げるか仮撚後巻き取って、温
水又は蒸気中を通温させるか、加熱空気中に通すか、又
加熱板に接触させて収縮率を下げる処理をすれば良い。
好ましくは、仮撚工程に加熱板を取り付けて仮撚後の糸
を巻き取ることなく連続して熱処理することがコスト的
にも安く、又品位も良いものが得られる。処理温度とし
ては、60℃以上が必要であって、60℃以下では収縮率を
下げるのに長時間を必要しコスト高となる。反対に、あ
まり高い温度すなわちポリエステルが溶融するほどの温
度下で収縮率を充分に下げたとしても、繊維は硬化し嵩
高性を得ることが出来ない。好ましくは、加熱板で160
℃で0.1秒程度処理すれば、繊維を硬化させることな
く、沸水収縮率も20%以下にすることが出来る。沸水収
縮率としては、20%以下であっても0%まで下げること
は好ましくない。0%にもなると精練及び染仕上げ工程
での幅入,幅出が困難となり、風合調整が殆ど不可能で
あるばかりか、嵩高性を得るための繊維内に物性差を残
留させることが困難になるからである。この点から、そ
の下限は少なくとも3%以上とすることが必要である。
この沸水収縮率の値は芯鞘構造糸全体としての収縮率で
あるが、鞘部である未延伸マルチフィラメント糸の沸水
収縮率とほぼ一致し、芯部の半延伸マルチフィラメント
糸は若干低めである。そして、この収縮率は好ましくは
3%〜8%の範囲である。次に、この様な熱処理により
低収縮率とした芯鞘構造糸に150T/M〜2500T/Mの実撚を
施す。ここで150T/M未満では製織工程から染仕上げ工程
でのシゴキやもみに対して芯部と鞘部の繊維乱れを起し
芯鞘構造が不安定となる。つまり、本発明では採用する
150T/M〜2500T/Mという実撚は芯鞘構造を布帛中まで維
持するために必要なものである。反対に、2500T/Mを越
えると繊維が剛直になり、ドレープ性が欠如するばかり
か、繊維間の摩擦力が増大し、後工程で発現するたるみ
繊維の発現が不足する。本発明では、第2図に示すよう
に、たるみ繊維3を発生させることにより、嵩高性を得
るものであるから、200デニールでは300T/M〜1200T/M又
100デニールでは500T/M〜1500T/Mの実撚を付与すること
が好ましい。そして、芯鞘構造糸に150T/〜2500T/Mの実
撚を掛けた撚糸形態糸に湿熱又は乾熱処理を行い収縮率
を10%以下にする。この時の湿熱温度は60℃〜130℃、
又乾熱では90℃〜150℃で処理を行う。これ以上の高温
でセットすると鞘部の未延伸糸はもとより、芯部の半延
伸糸も収縮率が下がり過ぎても双方とも低収縮糸とな
り、必要な収縮差が起こらない。一方これよりも低温で
あると、収縮率が10%以下とならず、必要なたるみ繊維
を発現させることが困難になる。従って、前記範囲の温
度で撚糸形態糸を熱処理することで、特に鞘部の未延伸
マルチフィラメント糸が急激に収縮低下をきたす反面、
芯部の半延伸糸マルチフィラメント糸は鞘部の未延伸マ
ルチフィラメント糸に比べて熱的に安定して先の熱処理
でほぼ収縮が止っているので、この湿熱,乾熱処理での
低下は微少にとどまる。この様な状態で織物又は編物と
した後、精練工程で糊落とし又はリラックス処理で90℃
〜100℃の温水で処理すると、撚糸形態糸の鞘部にある
未延伸マルチフィラメント糸(1′)の収縮率が0%に
低下するとともにさらに自己伸長し元の試長よりも長く
たるんで、たるみ繊維(3)を形成する。通常、このた
るみ繊維は鞘糸の全フィラメント数の20〜80%の範囲で
発生する。他方、残りの鞘糸中のフィラメントは芯糸
(2)に比較的緊締状態で巻付いている。一方、芯部の
半延伸マルチフィラメント糸(2′)は精練工程で熱に
より徐々に収縮するものの、自己伸長までに至らない状
態で収縮が止まる。この収縮差は更にプレセットでの高
い乾熱処理で、芯部に残留していた収縮が起こるのに対
し、鞘部は自己伸長が更に進みその収縮差が撚糸形態糸
のたるみ繊維(3)とそうでない芯部(2′)の差とな
ってより大きな嵩高織編物を得ることが出来る。なお、
精練工程での温水処理によらず、いきなり染色工程での
高温高圧(例えば130℃)で処理しても同じ様に鞘部未
延伸マルチフィラメント糸(1′)でたるみ、芯部の半
延伸糸マルチフィラメント糸(1′)が収縮し嵩高編織
物を得ることができる。
<発明の効果> 本発明によれば、実質的に捲縮を有しない、フラット
ヤーンに近似した芯鞘構造糸のカバリング構造を布帛中
においても維持し、しかも鞘糸に更なるたるみ部分を発
生させるようにしたので、杢調の発生が回避され、高級
感に富んだスパンライク織物が提供される。
ヤーンに近似した芯鞘構造糸のカバリング構造を布帛中
においても維持し、しかも鞘糸に更なるたるみ部分を発
生させるようにしたので、杢調の発生が回避され、高級
感に富んだスパンライク織物が提供される。
<実施例> 紡速1200m/分で紡糸した未延伸マルチフィラメント糸
(伸度300%,沸水収縮率60%,150デニール36フィラメ
ント)と紡速3000m/分で紡糸した半延伸マルチフィラメ
ント糸(伸度120%,沸水収縮率35%,120デニール24フ
ィラメント)とをインタレースノズルに導き、圧空3.10
Kg/cm2,弛緩率1.5%で交絡処理を行った後、ディスク式
仮撚装置にて仮撚温度80℃,仮撚速度300m/分,ディス
ク周速度600m/分,延伸倍率1.5倍で仮撚を行い、第1図
に示す芯鞘構造糸(沸水収縮率40%)を得たのち、引き
続き加熱板170℃に接触させて熱処理(0.1秒)を用い、
沸水収縮率10%、170デニール60フィラメントの芯鞘構
造糸を得た。この芯鞘構造糸の沸水収縮率は10%であっ
た。この糸を800T/Mの実撚を入れた後、真空セッターで
80℃で30分湿熱処理を行った。この撚糸形態糸の沸水収
縮率は6%であった。その際、鞘部未延伸マルチフィラ
メント糸の沸水収縮率は6%、芯部半延伸マルチフィラ
メント糸の沸水収縮率は4%であった(糸全体としては
6%)。この撚糸形態糸を経糸密度30本/cm,緯糸密度25
本/cmで平織し精練工程で温水90℃で30分間処理した。
処理後の糸形態は第2図に示すように鞘部未延伸全フィ
ラメントの約そ半数がたるみ、嵩高性に富み且つドレー
プ性の高い織物が得られた。この織物をプレセットで18
0℃の乾熱を60秒した所、更に嵩高性が向上し、ドレー
プ性も益々向上した織物となった。次に、イーストマン
ポリエスターブル2GLの染料を用いてOWF4%で染色し、
温度130℃の高温高圧で45分処理し、その後ファイナル
セット(160℃で60秒)し仕上げた。得られた織物は、
杢調とは全く異なる、均一な染色仕上がりとなったばか
りか、嵩高性からくるスパンタッチ感が高級感をより一
層引立たせるものであった。
(伸度300%,沸水収縮率60%,150デニール36フィラメ
ント)と紡速3000m/分で紡糸した半延伸マルチフィラメ
ント糸(伸度120%,沸水収縮率35%,120デニール24フ
ィラメント)とをインタレースノズルに導き、圧空3.10
Kg/cm2,弛緩率1.5%で交絡処理を行った後、ディスク式
仮撚装置にて仮撚温度80℃,仮撚速度300m/分,ディス
ク周速度600m/分,延伸倍率1.5倍で仮撚を行い、第1図
に示す芯鞘構造糸(沸水収縮率40%)を得たのち、引き
続き加熱板170℃に接触させて熱処理(0.1秒)を用い、
沸水収縮率10%、170デニール60フィラメントの芯鞘構
造糸を得た。この芯鞘構造糸の沸水収縮率は10%であっ
た。この糸を800T/Mの実撚を入れた後、真空セッターで
80℃で30分湿熱処理を行った。この撚糸形態糸の沸水収
縮率は6%であった。その際、鞘部未延伸マルチフィラ
メント糸の沸水収縮率は6%、芯部半延伸マルチフィラ
メント糸の沸水収縮率は4%であった(糸全体としては
6%)。この撚糸形態糸を経糸密度30本/cm,緯糸密度25
本/cmで平織し精練工程で温水90℃で30分間処理した。
処理後の糸形態は第2図に示すように鞘部未延伸全フィ
ラメントの約そ半数がたるみ、嵩高性に富み且つドレー
プ性の高い織物が得られた。この織物をプレセットで18
0℃の乾熱を60秒した所、更に嵩高性が向上し、ドレー
プ性も益々向上した織物となった。次に、イーストマン
ポリエスターブル2GLの染料を用いてOWF4%で染色し、
温度130℃の高温高圧で45分処理し、その後ファイナル
セット(160℃で60秒)し仕上げた。得られた織物は、
杢調とは全く異なる、均一な染色仕上がりとなったばか
りか、嵩高性からくるスパンタッチ感が高級感をより一
層引立たせるものであった。
第1図は本発明の方法において、仮撚後の芯鞘構造糸の
糸側面拡大図、第2図は本発明の方法において、精練工
程上がりの撚糸形態糸の糸側面拡大図である。 (1),(1′)……鞘部を構成する未延伸マルチフィ
ラメント糸 (2),(2′)……芯部を構成する半延伸マルチフィ
ラメント糸 (3)……未延伸マルチフィラメント糸中のたるみ繊維
部分
糸側面拡大図、第2図は本発明の方法において、精練工
程上がりの撚糸形態糸の糸側面拡大図である。 (1),(1′)……鞘部を構成する未延伸マルチフィ
ラメント糸 (2),(2′)……芯部を構成する半延伸マルチフィ
ラメント糸 (3)……未延伸マルチフィラメント糸中のたるみ繊維
部分
Claims (1)
- 【請求項1】切断伸度200%〜400%の未延伸ポリエステ
ルマルチフィラメント糸と切断伸度60%〜180%の半延
伸ポリエステルマルチフィラメント糸とを引揃えるか、
交絡した後、120℃以下の仮撚温度で仮撚加工を行うこ
とにより、仮の捲縮形態を付与した、沸水収縮率が20%
以上の芯鞘構造糸とした後、60℃以上の湿熱もしくは乾
熱処理を行い該芯鞘構造糸の沸水収縮率を20%〜3%と
してから、150T/M〜2500T/Mの実撚を掛けた撚糸状態で
再び湿熱又は乾熱処理を施して、該撚糸形態糸の段階で
の沸水収縮を10%以下としてから、布帛とし該布練帛の
精練工程もしくはプレセット工程での熱処理にて撚糸形
態糸の一構成糸である切断伸度大なる未延伸糸にたるみ
を発生させることを特徴とする嵩高織編物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1109178A JP2746647B2 (ja) | 1989-05-01 | 1989-05-01 | 嵩高織編物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1109178A JP2746647B2 (ja) | 1989-05-01 | 1989-05-01 | 嵩高織編物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02293437A JPH02293437A (ja) | 1990-12-04 |
JP2746647B2 true JP2746647B2 (ja) | 1998-05-06 |
Family
ID=14503634
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1109178A Expired - Fee Related JP2746647B2 (ja) | 1989-05-01 | 1989-05-01 | 嵩高織編物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2746647B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100220644B1 (ko) * | 1997-03-17 | 1999-10-01 | 구광시 | 폴리에스테르 이수축 혼섬사의 제조방법 |
JP2000096378A (ja) * | 1998-09-22 | 2000-04-04 | Kanebo Ltd | 自己伸長糸の製造方法及び異収縮混繊糸の製造方法 |
-
1989
- 1989-05-01 JP JP1109178A patent/JP2746647B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02293437A (ja) | 1990-12-04 |
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