JP2709748B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JP2709748B2
JP2709748B2 JP3048622A JP4862291A JP2709748B2 JP 2709748 B2 JP2709748 B2 JP 2709748B2 JP 3048622 A JP3048622 A JP 3048622A JP 4862291 A JP4862291 A JP 4862291A JP 2709748 B2 JP2709748 B2 JP 2709748B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀写真感光
材料に関するもので、特に現像処理工程で写真性有用基
を利用可能にすることができる化合物と、該化合物の特
性を十分に生かす為の化合物を含有するハロゲン化銀写
真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、酸化還元反応を経て写真性有
用基を放出することができる一群の化合物が知られてい
る。最近の例を挙げれば、特開昭61−213847
号、同61−278852号および米国特許第4,68
4,604号に記載の化合物が挙げられる。上記特許に
記載されているようにこれまで知られている化合物はそ
れぞれの写真性有用基の種類によってさまざまの目的の
ために用いられる。例えば写真製版用ハロゲン化銀写真
材料の分野について説明すると、この分野においては、
印刷物の多様性、複雑性に対処するために、オリジナル
再現性の良好な写真感光材料、安定な処理液あるいは、
補充の簡易化などの要望がある。特に線画撮影工程にお
ける、原稿は写植文字、手書きの文字、イラスト、網点
化された写真などが貼り込まれて作られる。したがって
原稿には、濃度や、線巾の異なる画像が混在し、これら
の原稿を再現よく仕上げる製版カメラ、写真感光材料あ
るいは、画像形成方法が強く望まれている。一方、カタ
ログや、大型ポスターの製版には、網写真の拡大(目伸
し)あるいは縮小(目縮め)が広く行なわれ、網点を拡
大して用いる製版では、線数が粗くなりボケた点の撮影
となる。縮小では原稿よりさらに線数/インチが大きく
細い点の撮影になる。従って網階調の再現性を維持する
ためより一層広いラチチュードを有する画像形成方法が
要求されている。
【0003】製版用カメラの光源としては、ハロゲンラ
ンプあるいは、キセノンランプが用いられている。これ
らの光源に対して撮影感度を得るために、写真感光材料
は通常オルソ増感が施される。ところがオルソ増感した
写真感光材料はレンズの色収差の影響をより強く受け、
そのために画質が劣化しやすいことが判明した。またこ
の劣化はキセノンランプ光源に対してより顕著となる。
広いラチチュードの要望に応えるシステムとして塩臭化
銀(すくなくとも塩化銀含有率が50%以上)から成る
リス型ハロゲン化銀感光材料を、亜硫酸イオンの有効濃
度をきわめて低くした(通常0.1モル/l以下)ハイ
ドロキノン現像液で処理することにより、画像部と非画
像部が明瞭に区別された、高いコントラストと高い黒化
濃度をもつ線画あるいは網点画像を得る方法が知られて
いる。しかしこの方法では現像液中の亜硫酸濃度が低い
ため、現像は空気酸化に対して極めて不安定であり、液
活性を安定に保つためにさまざまな努力と工夫がなされ
て使用されていたり、処理スピードが著しく遅く、作業
効率を低下させているのが現状であった。
【0004】このため、上記のような現像方法(リス現
像システム)による画像形成の不安定さを解消し、良好
な保存安定性を有する処理液で現像し、超硬調な写真特
性が得られる画像形成システムが要望され、その1つと
して米国特許4,166,742号、同4,168,9
77号、同4,221,857号、同4,224,40
1号、同4,243,739号、同4,272,606
号、同4,311,781号にみられるように、特定の
アシルヒドラジン化合物を添加した表面潜像型ハロゲン
化銀写真感光材料を、pH11.0〜12.3で亜硫酸
保恒剤を0.15モル/l以上含み、良好な保存安定性
を有する現像液で処理して、γが10を越える超硬調の
ネガ画像を形成するシステムが提案された。この新しい
画像形成システムには、従来の超硬調画像形成では塩化
銀含有率の高い塩臭化銀しか使用できなかったのに対し
て、沃臭化銀や塩沃臭化銀でも使用できるという特徴が
ある。上記画像システムはシャープな網点品質、処理安
定性迅速性およびオリジナルの再現性という点ですぐれ
た性能を示すが、近年の印刷物の多様性に対処するため
にさらにオリジナル再現性の改良されたシステムが望ま
れている。
【0005】画質を改良する試みとしては、例えば特開
昭61−213847号などに開示されているカルボニ
ル基を有するレドックス化合物から銀画像様に現像抑制
剤を放出させる方法が知られている。しかしながらこれ
らの化合物を用いた場合でも網階調の伸びは不十分であ
る。従って、安定な現像液を用いて硬調な網点画像を形
成し、かつ画像の調子コントロールが広い感光材料の開
発が望まれていた。一方集版、かえし工程の作業におい
ては、より明るい環境下で作業を行なうことで作業能率
の向上がはかられてきており、このために実質的に明室
と呼びうる環境下で取りあつかうことのできる製版用感
光材料の開発および露光プリンターの開発がすすめられ
てきた。本特許で述べる明室用感光材料とは、紫外光成
分を含まない実質的に400nm以上の波長をもつ光をセ
ーフライト光として長時間安全に用いることのできる感
光材料のことである。
【0006】集版、かえし工程に用いられる明室用感光
材料は、文字あるいは網点画像の形成された現像処理ず
みフィルムを原稿として、これらの原稿とかえし用感光
材料とを密着露光して、ネガ像/ポジ像変換あるいはポ
ジ像/ポジ像変換を行なうのに利用される感光材料であ
るが、 網点画像および線画、文字画像が、おのおの
その網点面積および線巾、文字画像巾に従ってネガ像/
ポジ像変換される性能を有すること 網点画像のトー
ン調節性、文字線画像の線巾調節性が可能である性能を
有することが要望され、それに答える明室かえし用感光
材料が提供されてきた。しかるに、重ね返しによる抜文
字画像形成という高度な画像変換作業においては、明室
用感光材料を用いた明室かえし工程による従来の方法で
は、従来の暗室用かえし感光材料を用いた暗室かえし工
程による方法にくらべて、抜文字画像の品質が劣化して
しまうという欠点をもっていた。重ね返しによる抜文字
画像形成の方法について、もうすこし詳しく述べるなら
ば、特開平2−293736号公報の第1図に示すごと
く、透明もしくは半透明の貼りこみベース(イ)および
(ハ)(通常100μm程度の厚みを有するポリエチレ
ンテレフタレートフィルムが使用される)のそれぞれ
に、文字あるいは線画像の形成されたフィルム(線画原
稿)(ロ)および網点画像の形成されたフィルム(網点
原稿)(ニ)を貼り込んだものとを重ね合せて原稿と
し、(ニ)の網点原稿に返し用感光材料(ホ)の乳剤面
を密着させて露光を行なう。
【0007】露光後現像処理をほどこし、網点画像中に
線画の白ヌケ部分を形成させる。このような抜文字画像
の形成方法において重要な点は、網点原稿および線画原
稿おのおのの網点面積および画線巾に従ってネガ像/ポ
シ像変換が行なわれることが理想である。しかし、第一
図にてあきらかなごとく、網点原稿は返し用感光材料の
乳剤面に直接密着させて露光されるのに対して、線画原
稿は貼りこみベース(ハ)および網点原稿(ニ)を中間
に介して返し用感光材料に露光されることになる。この
ため網点画像を忠実にネガ像/ポシ像変換をする露光量
を与えると、線画原稿は貼りこみベース(ハ)および網
点原稿(ニ)によるスペーサーを介したピンボケ露光と
なるため、線画の白ヌケ部分の画線巾が狭くなってしま
う。これが抜文字画像の品質が劣化してしまう原因であ
る。上記問題点を解決するためにヒドラジンを用いたシ
ステムが特開昭62−80640号、同62−2359
38号、同62−235939号、同63−10404
6号、同63−103235号、同63−296031
号、同63−314541号、同64−13545号、
に開示されているが、充分とはいえずさらに改良が望ま
れている。
【0008】またカラー写真感光材料においては、鮮鋭
度の改良、粒状性の改良および色再現性の改良を目的と
して現像抑制剤を放出するレドックス化合物は有効な性
能を示す。しかしながら、近年、ますます高度でかつ多
岐にわたる写真性改良をしていくうえで従来の化合物で
は不満足であり、さらに改良が望まれている。すなわ
ち、最近開発された高感度カラー撮影感光材料では、感
度を上げるために鮮鋭度および粒状性を幾分かは犠牲に
しているのは否めない事実なのである。また、ディスク
サイズのフィルムではプリント時の拡大倍率が大きいの
で粒状性および鮮鋭度において見劣りするのが現状であ
る。さらに、Xレイ用黒白写真感光材料においては鮮鋭
度を向上させる素材が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鮮鋭
度、粒状性、解像力、色再現性などの画質に優れた、露
光ラチチュードが広く、あるいは高感度な写真感光材料
を提供することである。本発明の諸目的は、特に写真製
版用ハロゲン化銀写真感光材料の分野では、線画撮影に
おける露光ラチチュードが広く、超硬調(特にγ値が1
0以上)で、高い解像力を有した写真感光材料を提供す
ること、あるいは網点画撮影に於ける露光ラチチュード
が広くかつ濃度が高く網点の輪郭が明瞭で形状のそろっ
た網点品質に優れた超硬調な写真感光材料を提供するこ
とが、本発明の主要な目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
ハロゲン化銀感光材料によって達成された。即ち、支持
体上に少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有するハ
ロゲン化銀写真感光材料において、該乳剤層もしくはそ
の他の親水性コロイド層に、現像薬の酸化生成物により
酸化された後求核剤の攻撃により写真的に有用な化合物
に変化するか、あるいは写真的有用試薬を放出するヒド
ラジド化合物と、下記一般式(B)で表されるpKa値
が7.5以上の解離基を有する中性以下では水不溶性油
溶性化合物を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料。 一般式(B)
【0011】
【化3】 式中、R21〜R25は同一でも異なってもよく、それ
ぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ
基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイ
ル基、スルファモイル基、スルホニル基、スルフィニル
基、エステル基、置換基を有してもよいアミノ基、アシ
ル基および−X−Rを表す。ここでXは−O−または
−S−を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホ
ニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、エステル
基を表す。R20はアルキル基、アルケニル基、アリー
ル基またはヘテロ環基を表す。R21〜R25のうち互
いにオルト位にある基が結合して5〜7員環を形成して
もよく、R20とR21またはR25が互いに結合して
5〜7員環を形成してもよい。
【0012】本発明の、ヒドラジン構造を持ち、該ヒド
ラジン部分が酸化され、それに続く反応によって写真的
に有用な化合物に変化するか、あるいは写真的に有用な
化合物を放出するレドックス化合物について説明する。
ヒドラジン構造を持ち、該ヒドラジン部分が酸化され、
それに続く反応によって写真的に有用な化合物に変化す
るレドックス化合物の例は、例えば以下の一般式(N−
1)で表わされる。 一般式(N−1)
【0013】
【化4】
【0014】式中、Rは脂肪族基または芳香族基を表
わし、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジ
ノ基を表わし、Gは−CO−基、−SO−基、−S
O−基、−P(O)(G−R)−基、−COCO−
基、チオカルボニル基又はイミノメチレン基を表わし、
は単なる結合手、−O−基、−S−基、または−N
−基を表わす。A、Aはともに水素原子あるい
は一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキ
ルスルホニル基、又は置換もしくは無置換のアリールス
ルホニル基、又は置換もしくは無置換のアシル基を表わ
す。一般式(N−1)において、Rで表される脂肪族
基は好ましくは炭素数1〜30のものであって、特に炭
素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基であ
る。このアルキル基は置換基を有していてもよい。一般
式(N−1)においてRで表される芳香族基は単環ま
たは2環のアリール基たは不飽和ヘテロ環基である。こ
こで不飽和ヘテロ環基はアリール基と縮環していてもよ
い。Rとして好ましいものはアリール基であり、特に
好ましくはベンゼン環を含むものである。
【0015】R1 の脂肪族基または芳香族基は置換され
ていてもよく、代表的な置換基としては例えばアルキル
基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アル
コキシ基、アリール基、置換アミノ基、ウレイド基、ウ
レタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カル
バモイル基、アルキルまたはアリールチオ基、アルキル
またはアリールスルホニル基、アルキルまたはアリール
スルフィニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ
基、スルホ基、アリールオキシカルボニル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボ
ンアミド基、スルホンアミド基、カルボキシル基、リン
酸アミド基、ジアシルアミノ基、イミド基、R2 −NH
CON(R2 )CO−基(2つのR2 は異なっても良
い)などが挙げられ、好ましい置換基としてはアルキル
基(好ましくは炭素数1〜20のもの)、アラルキル基
(好ましくは炭素数7〜30のもの)、アルコキシ基
(好ましくは炭素数1〜20のもの)、置換アミノ基
(好ましくは炭素数1〜20のアルキル基で置換された
アミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜3
0を持つもの)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数
1〜30を持つもの)、ウレイド基(好ましくは炭素数
1〜30を持つもの)、リン酸アミド基(好ましくは炭
素数1〜30のもの)などである。これらの基はさらに
置換されていても良い。
【0016】一般式(N−1)においてR2 で表わされ
るアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜4のアル
キル基であり、アリール基としては単環または2環のア
リール基が好ましい(例えばベンゼン環を含むもの)。
1 が−CO−基の場合、R2 で表わされる基のうち好
ましいものは、水素原子、アルキル基(例えば、メチル
基、トリフルオロメチル基、3−ヒドロキシプロピル
基、3−メタンスルホンアミドプロピル基、フェニルス
ルホニルメチル基など)、アラルキル基(例えば、o−
ヒドロキシベンジル基など)、アリール基(例えば、フ
ェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、o−メタンス
ルホンアミドフェニル基、4−メタンスルホニルフェニ
ル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基など)などであ
り、特に水素原子が好ましい。R2 は置換されていても
良く、置換基としては、R1 に関して列挙した置換基が
適用できる。一般式(N−1)のG1 としては−CO−
基が最も好ましい。
【0017】又、R2 はG1 −R2 の部分を残余分子か
ら分裂させ、−G1 −R2 部分の原子を含む環式構造を
生成させる環化反応を生起するようなものであってもよ
く、その例としては例えば特開昭63−29751号な
どに記載のものが挙げられる。A1 、A2 としては水素
原子が最も好ましい。
【0018】一般式(N−1)のR1 またはR2 はその
中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用され
ているバラスト基またはポリマーが組み込まれているも
のでもよい。バラスト基は8以上の炭素数を有する写真
性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル
基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、
フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶ
ことができる。またポリマーとして例えば特開平1−1
00530号に記載のものが挙げられる。
【0019】一般式(N−1)のR1 またはR2 はその
中にハロゲン化銀粒子表面に対する吸着を強める基が組
み込まれているものでもよい。かかる吸着基としては、
チオ尿素基、複素環チオアミド基、メルカプト複素環
基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,10
8号、同4,459,347号、特開昭59−195,
233号、同59−200,231号、同59−20
1,045号、同59−201,046号、同59−2
01,047号、同59−201,048号、同59−
201,049号、同61−170,733号、同61
−270,744号、同62−948号、同63−23
4,244号、同63−234,245号、同63−2
34,246号に記載された基が挙げられる。
【0020】本発明のヒドラジン構造を持ち、該ヒドラ
ジン部分が酸化され、それに続く反応によって写真的に
有用な化合物を放出するレドックス化合物の例は、例え
ば以下の一般式(R−1)、一般式(R−2)、一般式
(R−3)で表わされる。
【0021】
【化5】
【0022】これらの式中、R1 、R2 、G1 、A1
2 の定義は一般式(N−1)と同じであり、A3 はA
1 と同義または−CH2CH(A4)-(Time)t -PUGを表わす。A
4 はニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基ま
たは−G1-G2-R1−を表わす。Timeは二価の連結基を
表わし、tは0または1を表わす。PUGは写真的に有
用な基を表わす。
【0023】さらに詳細に説明するが、R1 、G1 、A
1 、A2 については一般式(N−1)の所で示した説明
がそのままあてはまり、好ましい例、好ましい置換基な
ども同じである。
【0024】一般式(R−1)、(R−2)、(R−
3)において、R2 で表わされるアルキル基としては、
好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、アリール
基としては単環または2環のアリール基が好ましい(例
えばベンゼン環を含むもの)。R2 は置換されていても
良く、置換基としては、R1 に関して置換基が適用でき
る。A3 としては水素原子、−CH2CH(A4)-(Time)t -PUG
が好ましい。
【0025】一般式(R−1)、(R−2)、(R−
3)においてTimeは二価の連結基を表わし、タイミ
ング調節機能を有していてもよい。Timeで表わされ
る二価の連結基は、酸化還元母核の酸化体から放出され
るTime−PUGから一段階あるいはその以上の段階
の反応を経てPUGを放出せしめる基を表わす。
【0026】Timeで表わされる二価の連結基として
は、例えば米国特許第4,248,962号(特開昭5
4−145,135号)等に記載のp−ニトロフェノキ
シ誘導体の分子内閉環反応によってPUGを放出するも
の;米国特許第4,310,612号(特開昭55−5
3,330号)および同4,358,525号等に記載
の環開裂後の分子内閉環反応によってPUGを放出する
もの;米国特許第4,330,617号、同4,44
6,216号、同4,483,919号、特開昭59−
121,328号等に記載のコハク酸モノエステルまた
はその類縁体のカルボキシル基の分子内閉環反応による
酸無水物の生成を伴って、PUGを放出するもの;米国
特許第4,409,323号、同4,421,845
号、リサーチ・ディスクロージャー誌No. 21,228
(1981年12月)、米国特許第4,416,977
号(特開昭57−135,944号)、特開昭58−2
09,736号、同58−209,738号等に記載の
アリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基が共役した二
重結合を介した電子移動によりキノモノメタン、または
その類縁体を生成してPUGを放出するもの;米国特許
第4,420,554号(特開昭57−136,640
号)、特開昭57−135,945号、同57−18
8,035号、同58−98,728号および同58−
209,737号等に記載の含窒素ヘテロ環のエナミン
構造を有する部分の電子移動によりエナミンのγ位より
PUGを放出するもの;特開昭57−56,837号に
記載の含窒素ヘテロ環の窒素原子と共役したカルボニル
基への電子移動により生成したオキシ基の分子内閉環反
応によりPUGを放出するもの;米国特許第4,14
6,396号(特開昭52−90932号)、特開昭5
9−93,442号、特開昭59−75475号、特開
昭60−249148号、特開昭60−249149号
等に記載のアルデヒド類の生成を伴ってPUGを放出す
るもの;特開昭51−146,828号、同57−17
9,842号、同59−104,641号に記載のカル
ボキシル基の脱炭酸を伴ってPUGを放出するもの;−
O-COOCR a R b-PUG (Ra ,Rb は一価の基を表わ
す。)の構造を有し、脱炭酸と引き続くアルデヒド類の
生成を伴ってPUGを放出するもの;特開昭60−7,
429号に記載のイソシアナートの生成を伴ってPUG
を放出するもの;米国特許第4,438,193号等に
記載のカラー現像薬の酸化体とのカップリング反応によ
りPUGを放出するものなどを挙げることができる。
【0027】これら、Timeで表わされる二価の連結
基の具体例については特開昭61−236,549号、
特願昭63−98,803号等にも詳細に記載されてい
る。
【0028】PUGは(Time)t −PUGまたはP
UGとして写真的に有用な化合物を表わす。写真的に有
用な基としては例えば、現像抑制剤、現像促進剤、造核
剤、カプラー、拡散性あるいは非拡散性色素、脱銀促進
剤、脱銀抑制剤、ハロゲン化銀溶剤.競争化合物、現像
薬、補助現像薬、定着促進剤、定着抑制剤、画像安定化
剤、色調剤、処理依存性良化剤、網点良化剤、色像安定
化剤、写真用染料、界面活性剤、硬膜剤、減感剤、硬調
化剤、キレート剤、蛍光増白剤、酸、塩基など、あるい
はこれらの前駆体などが挙げられる。
【0029】PUGの具体的例としては、従来知られて
いるものが有用であり、例えば米国特許第424896
2号、同4409323号、同4438193号、同4
421845号、同4618571号、同465251
6号、同4861701号、同4782012号、同4
857440号、同4847185号、同447756
3号、同4438193号、同4628024号、同4
618571号、同4741994号、ヨーロッパ公開
特許第193389A号、同348139A号または同
272573A号に記載のものが用いられる。
【0030】PUGは好ましくは、漂白促進剤(脱銀促
進剤)、現像抑制剤、色素(開裂後色素となるものを含
む)、電子移動剤、またはカプラーである。
【0031】漂白促進剤としては下記のものが好ましい
例である。 −S−R11−COOH、−S−R11−OH、−S−R12
−COOH、−S−R11−NR1314 上記において、R11は炭素数1〜8、好ましくは1〜4
のアルキレン基を表わす。但し、アルキレン基の鎖中に
−O−、−CO−、−OCO−、−CONH−、−S
−、−SO2 −または−SO2 NH−の2価基を介在し
てもよい(例えば−S(CH2)2 −S−CH2 COOH
のような漂白促進剤)。R12は2価のヘテロ環基(炭素
数1〜5、ヘテロ原子として酸素原子、イオウ原子また
は窒素原子を1個以上含む5〜6員環。例えば2価のピ
リジン環、2価のトリアゾール環、2価のテトラゾール
環)を含む基、またはフェニレン基を表わす。R13、R
14は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基
を表わす。
【0032】PUGが色素を表わすとき、現像処理時P
UGとして開裂したとき目的とする色相となり、それが
色素(または染料)として利用されるもの、一般式(R
−1)、(R−2)または(R−3)で示される化合物
自体目的とする色相を有し、現像処理時PUGとして開
裂することにより写真層から流出するもののいずれであ
っても良い。
【0033】発色団もしくは助色団と結合している色素
の例として以下のものが挙げられる。 −X1 −R15−N=N−R16 式中、X1 は酸素原子、イオウ原子またはイミノ基を表
わし、R15はアリーレン基または不飽和複素環基を表わ
し、R16はアリール基または複素環基を表わす。ここで
1 がイミノ基を表わすときアルキル置換イミノ基(炭
素数1〜30、好ましくは1〜20、例えば−N(C2
5)−、−N(C1225) −)、アリール置換イミノ基
(炭素数6〜20、好ましくは6〜10。例えば−N(C
6H5)−)が好ましい例である。R15がアリーレン基を表
わすとき炭素数6〜20、好ましくは6〜10のアリー
レン基、例えば1,2−フェニレン、1,4−フェニレ
ンが挙げられる。R15が不飽和複素環基を表わすとき、
炭素数1〜10、好ましくは1〜6、複素原子として酸
素原子、イオウ原子または窒素原子の少なくとも1個以
上含む5〜8員環、好ましくは5〜6員環である。例え
ば2価のピラゾール、イミダゾール、ピロールまたはチ
オフェンが挙げられる。R15およびR16で示される基は
1個以上の置換基を有する場合が好ましく、それらの置
換基の少なくとも1個が、前記R1 について列挙した置
換基であるときが特に好ましい例である。
【0034】PUGが色素を表わし、一般式(R−
1)、(R−2)または(R−3)で示される化合物自
体が色素として利用され、現像処理時PUGが開裂後写
真層から流出(もしくは脱色)する場合、それらの色素
は例えば以下のようなものである。
【0035】
【化6】
【0036】式中、R16は、前記において説明したのと
同じ意味である。R17、R18およびR19は置換基または
水素原子を表わすが、3個とも水素原子であることはな
い。R20は、R16と同義である。X2 は酸素原子、イオ
ウ原子またはイミノ基を表わす。*印は上記式で表わさ
れる基の置換基において一般式(R−1)、(R−2)
または(R−3)の(Time)と結合することを表わ
している。上記において環状構造を形成する場合も包含
する。それらは、例えばR17とR18、R16とR19、R20
とR16がそれぞれ連結し環を形成する場合である。環構
造としては5または6員環が好ましい例である。R17
18およびR19が置換基であるとき電子吸引性置換基が
好ましい例である。例えばアシル基、シアノ基、アルコ
キシカルボニル基、スルホニル基、カルバモイル基、ニ
トロ基、スルファモイル基またはアリールオキシカルボ
ニル基が少なくとも1個用いられているものが好ましい
例である。これらの詳しい説明は前記R5 についての説
明と同じである。R17で示される基は、少なくとも一個
の電子供与性基を置換基として有する場合が好ましい例
である。電子供与性基としては、アミノ基(炭素数0〜
30、好ましくは0〜20。例えばジエチルアミノ、ビ
ス(メトキシカルボニルメチル)アミノ)、アルコキシ
基(炭素数1〜30、好ましくは1〜20。例えばメト
キシ、エトキシ)、ヒドロキシル基が代表的な例であ
る。
【0037】PUGが電子移動剤であるとき、3−ピラ
ゾリドン類が好ましい例である。特に好ましくは以下の
式で表わされる。
【0038】
【化7】
【0039】式中、R21およびR22は置換基を表わし、
aは0ないし4の整数、bは0ないし3の整数を表わ
す。R21として好ましくは、アルキル基(炭素数1〜1
0、好ましくは1〜5。例えばメチル、エチル)、アル
コキシ基(炭素数1〜10、好ましくは1〜5。例えば
メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例え
ばクロル、ブロム)、アルキルチオ基(炭素数1〜1
0、好ましくは1〜5、例えばメチルチオ、ブチルチ
オ)、アシルオキシ基(炭素数2〜10、好ましくは2
〜6。例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アミノ
基(炭素数0〜12、好ましくは0〜8。例えばジエチ
ルアミノ、ジブチルアミノ)、アシルアミノ基(炭素数
2〜12、好ましくは2〜8。例えばアセトアミド、ベ
ンズアミド)、スルホンアミド基(炭素数1〜12、好
ましくは1〜8。例えばメタンスルホンアミド、ベンゼ
ンスルホンアミド)、アリール基(炭素数6〜20、好
ましくは6〜10。例えばフェニル、ナフチル)または
アリールオキシ基(炭素数6〜10、例えばフェノキ
シ)が挙げられる。R22としてはアルキル基、アリール
基、が代表的な例であり、これらの説明は前記と同義で
ある。aおよびbが複数を表わすとき、複数個のR21
よびR22はそれぞれ同じものまたは異なるものを表わ
す。
【0040】PUGがカプラーであるとき、公知のカプ
ラーが有用である。例えばフェノール、ナフトール(酸
素原子で結合する)、ピラゾロン(エノール形での酸素
原子において結合する)、ピロラゾロトリアゾール(窒
素原子で結合する)、またはアシルアセトアニリド(エ
ノール形での酸素原子において結合する)が挙げられ
る。
【0041】PUGが現像抑制剤であるとき、公知の現
像制剤が有用である。一般的な公知の現像抑制剤の例は
たとえばテー・エッチ・ジェームズ(T.H.James)著
ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセ
ス(The Theory of thePhotographic Process) 」第4
版、1977年、マクミラン(Macmillan)社刊、396
頁〜399頁や特願平2−93487号明細書56頁〜
69頁などに記載されている。これらの現像抑制剤は置
換されていることが好ましく、置換基の例としては例え
ば一般式(N−1)におけるR1 の置換基として列挙し
たものが挙げられ、これらの基はさらに置換されていて
もよい。
【0042】また一般式(R−1)、(R−2)、(R
−3)において、R1 または−(Time)t −PUGは、そ
の中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用さ
れているバラスト基や一般式(R−1)、(R−2)、
(R−3)で表わされる化合物がハロゲン化銀に吸着す
ることを促進する基が組み込まれていてもよい。これら
のバラスト基、吸着促進基については一般式(N−1)
で示した説明がそのままあてはまる。以下に本発明に用
いられるヒドラジド化合物の具体例を列記するが本発明
はこれに限定されるものではない。
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
【化15】
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
【化25】
【0061】
【化26】
【0062】
【化27】
【0063】
【化28】
【0064】
【化29】
【0065】
【化30】
【0066】本発明に用いられるヒドラジド化合物とし
ては、上記のものの他に、例えばRESEARCH DISCLOSURE
Item 23516(1983年11月号、P.346)
およびそこに引用された文献、米国特許4,080,2
07号、同4,269,929号、同4,276,36
4号、同4,278,748号、同4,385,108
号、同4,459,347号、同4,560,638
号、同4,478,928号、英国特許2,011,3
91B、特開昭60−179,734号、同62−27
0,948号、同63−29,751号、同61−17
0,733号、同61−270,744号、同62−9
48号、EP217,310号、US4,686,16
7号、特開昭62−178,246号、同63−32,
538号、同63−104,047号、同63−12
1,838号、同63−129,337号、同63−2
23,744号、同63−234,244号、同63−
234,245号、同63−234,246号、同63
−294,552号、同63−306,438号、特開
平1−100,530号、同1−105,941号、同
1−105,943号、特開昭64−10,233号、
特開平1−90,439号、特開平1−276,128
号、同1−280,747号、同1−283,548
号、同1−283,549号、同1−285,940
号、63−147,339号、同63−179,760
号、同63−229,163号、特願平1−18,37
7号、同1−18,378号、同1−18,379号、
同1−15,755号、同1−16,814号、同1−
40,792号、同4−42,615号、同1−42,
616号、同1−123,693号、同1−126,2
84号、特開昭61−213,847号、同62−26
0,153号、特願平1−102,393号、同1−1
02,394号、同1−102,395号、同1−11
4,455号に記載されたものを用いることができる。
又、一般式(N−1)で表わされる化合物と、一般式
(R−1)、(R−2)又は(R−3)で表わされる化
合物とを併用することも出来る。
【0067】本発明に用いられるヒドラジド化合物の合
成法は例えば特開昭61−213,847号、同62−
260,153号、米国特許第4,684,604号、
特願昭63−98,803号、米国特許第3,379,
529号、同3,620,746号、同4,377,6
34号、同4,332,878号、特開昭49−12
9,536号、同56−153,336号、同56−1
53,342号などに記載されている。
【0068】本発明のヒドラジド化合物は、ハロゲン化
銀1モルあたり1×10-6〜5×10-1、より好ましく
は1×10-5〜1×10-1モルの範囲内で用いられる。
【0069】 本発明のヒドラジド化合物は、適当な水
混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エ
タノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケト
ン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブな
どに溶解して用いることができる。また、既に良く知ら
れている乳化分散方によって、ジブチルフタレート、ト
リクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテート
あるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチル
やシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機
械的に乳化分散物を作成して用いることもできる。ま
た、ポリtertブチルアクリルアミド、ポリメチルメ
タクリレート、ポリ酢酸ビニルなどのポリマー、上記の
補助溶媒、必要に応じて上記オイル等と共に溶解して、
機械的に乳化分散物を作成して用いることもできる。あ
るいは固体分散法として知られている方法によって、レ
ドックス化合物の粉末を水の中にボールミル、コロイド
ミル、あるいは超音波によって分散して用いることもで
きる。乳化分散物として用いる場合においては、必要に
応じて補助溶媒を除去(加熱減圧蒸溜、限外濾過、ヌー
デル水洗などによる。)して用いた方が好ましい場合も
ある。
【0070】本発明の水不溶性油溶解性化合物は、下記
の一般式(B)で表わされる。 一般式(B)
【0071】
【0072】一般式(B)
【0073】
【化32】
【0074】式中、R21〜R25は同一でも異なって
もよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン
原子、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル
基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル
基、スルフィニル基、エステル基、置換基を有してもよ
いアミノ基、アシル基および−X−Rを表わす。ここ
でXは−O−又は−S−を表わし、Rはアルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環
基、アシル基、スルホニル基、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基、エステル基を表わす。R20はアルキル
基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わ
す。R21〜R25のうち互いにオルト位にある基が結
合して5〜7員環を形成してもよく、R20とR21
たはR20とR25が互いに結合して5〜7員環を形成
してもよい。
【0075】一般式(B)で表わされる化合物をさらに
詳細に説明する。R21〜R25は同一でも異なっても
よく、それぞれ水素原子、アルキル基(直鎖、分岐また
は環状のアルキル基で例えばメチル、エチル、イソプロ
ピル、tert−ブチル、ベンジル、シクロヘキシル、
オクチル、デシル、ヘキサデシル、オクタデシル)、ア
ルケニル基(例えばビニル、アリル、オレイル、シクロ
ヘキセニル)、アルキニル基(例えばエチニル、2−プ
ロピニル、2−オクテニル、3−オクタデセニル)、ア
リール基(例えばフェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環
基(環構成原子として酸素原子、イオウ原子または窒素
原子を少なくとも一個有する5〜7員環状の基で例えば
フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジ
ル、ピラジル、インドリジル、3H−インドリル、キサ
ンテニル、プテリジル、フラゾリル、イミダゾリニル、
ピラゾリジニル、ピペリジル、イソチアゾリル)、ハロ
ゲン原子(例えば、フッソ原子、塩素原子、臭素原
子)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル
基、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、エ
チルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、スルファ
モイル基(例えばブチルスルファモイル、フェニルスル
ファモイル、ジエチルスルファモイル)、スルホニル基
(例えばメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、ス
ルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、ベンゼンス
ルフィニル)、エステル基(ここでは遊離の原子価がカ
ルボニル側にあるものを意味し、例えばブトキシカルボ
ニル、ヘキサデシルオキシカルボニル、フェニルオキシ
カルボニル)、置換基を有してよいアミノ基(例えばア
ミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、
アニリノ基、アシルアミノ基、イミド基、ウレイド基、
ウレタン基、スルホンアミド基)、アシル基(例えばア
セチル、ベンゾイル)および−X−Rを表わす。ここ
でXは−O−又は−S−を表わし、RはR21〜R
25と同じ意味でのアルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニ
ル基、カルバモイル基、スルファモイル基、エステル基
を表わす。R20は、R21〜R25と同じ意味でのア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基お
よびヘテロ環基を表わす。R21〜R25のうち互いに
オルト位にある基が結合して5〜7員環を形成してもよ
く、R20とR またはR20とR25が互いに結合
して5〜7員環を形成してもよい。R、R20
25の各基はさらに置換基で置換されているものをも含
む。
【0076】一般式(B)で表わされる化合物のうち好
ましいものはR20〜R25の炭素原子数の総和が6以
上、さらには8以上、最も好ましくは10以上である。
また、一般式(B)で表わされる化合物のうち好ましい
ものはハメットのσ値が−0.2以上、さらには0以
上、最も好ましくは0.2以上である。
【0077】
【0078】
【0079】以下に一般式(B)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【化45】
【0092】
【化46】
【0093】
【化47】
【0094】
【化48】
【0095】
【化49】
【0096】一般式(B)で表わされる化合物はS.
R.Sandler,W.Karo,“Organic
Functional Group Preparat
ion”,vol.1,Academic(′68),
p253,C.E.Rehberg,Org.Synt
h.,III,146(′55)、やM.Neeman
et.al.,J.Org.Chem.,21,667
(′56)に記載の方法に準じて容易に合成することが
できる。
【0097】本発明化合物のpKaは、以下の様にして
測定した。被測定化合物5×10-5mol を蒸留水10ml
及びエチルアルコール40mlの混合溶媒に溶解させ、こ
れに0.2N−NaOHを加えてゆく方法で測定した。
具体的化合物例のうち、測定例を表1に示す。
【0098】
【表1】 一般式(B)の化合物のpKa測定結果
【0099】本発明の化合物は、適当な水混和性有機溶
媒、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、
プロパノール、フッ素化アルコールなど)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブな
どに溶解して用いることが出来る。好ましくは、既に良
く知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレー
ト、トリクレジルフォスフェート、N,N,ジエチルラ
ウリルアミド、などのオイル、酢酸エチルやシクロヘキ
サノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分
散物を作成して用いることもできる。また、ポリtertブ
チルアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ
酢酸ビニルなどのポリマー及び必要に応じ、上記のオイ
ル、あるいは、固体分散法としてよく知られている方法
によって、本発明化合物の粉末を水の中にボールミル、
コロイドミル、あるいは超音波によって分散して用いる
こともできる。補助溶媒等と共に溶解し、乳化分散物を
作成して用いることもできる。更に好ましくは、本発明
のヒドラジド化合物と上記のオイル補助溶媒、必要に応
じ、上記のポリマー等と共に溶解し、ヒドラジド化合物
との共乳化物として用いるのがよい。乳化分散物として
用いる場合においては、必要に応じて、補助溶媒を除去
(加熱減圧蒸溜、限外濾過、ヌーデル水洗など)して用
いた方が好ましい場合もある。
【0100】本発明の化合物の添加量は、特に制限はな
いが、必要に応じて、前記ヒドラジド化合物に対して、
1〜300 mol%、好ましくは、2〜200 mol%、よ
り好ましくは、5〜150 mol%添加して用いることが
できる。本発明の化合物の添加層としては、特に制約は
ないが、前記ヒドラジド化合物を含む層、及び/又は、
その隣接層等に添加して用いることができる。好ましく
は、ヒドラジド化合物と同一層に用いるのが良い。
【0101】本発明のハロゲン化銀乳剤層に用いられる
ハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化
銀、沃塩臭化銀等どの組成でもかまわない。該乳剤は、
ロジウム塩を含有することが、超硬調画像を得る点で好
ましい。ロジウム塩含量は、該ハロゲン化銀乳剤の粒子
サイズ、化学増感の方法と程度等に応じて最適の量を選
択することが望ましく、その選択のための試験の方法は
当業者のよく知るところである。通常は、好ましくはハ
ロゲン化銀1モルに対して1×10-8モルないし1×1
-4モルの範囲で用いられる。本発明に好ましく用いら
れるロジウム塩としては、例えば二塩化ロジウム、三塩
化ロジウム、ヘキサ塩化ロジウムアンモニウムなどを挙
げることができる。
【0102】本発明に用いられるハロゲン化銀の平均粒
子サイズは微粒子(例えば0.7μ以下)の方が好まし
く、特に0.5μ以下が好ましい。粒子サイズ分布は基
本的には制限はないが、単分散である方が好ましい。こ
こでいう単分散とは重量もしくは粒子数で少なくともそ
の95%が平均粒子サイズの±40%以内の大きさを持
つ粒子群から構成されていることをいう。
【0103】写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は立方体、
八面体のような規則的(regular) な結晶形を有するもの
でもよく、また球状、板状などのような変則的(irregul
ar) な結晶を持つもの、あるいはこれらの結晶形の複合
形を持つものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は内部
と表層が均一な相から成っていても、異なる相からなっ
ていてもよい。別々に形成した2種以上のハロゲン化銀
乳剤を混合して使用してもよい。
【0104】本発明の乳剤層又は、その他の親水性コロ
イド層に、フィルター染料として、あるいはイラジェー
ション防止その他、種々の目的で、水溶性染料を含有し
てもよい。フィルター染料としては、写真感度をさらに
低めるための染料、好ましくは、ハロゲン化銀の固有感
度域に分光吸収極大を有する紫外線吸収剤や、明室感光
材料として取り扱われる際のセーフライト光に対する安
全性を高めるための、主として350nm〜600nm
の領域に実質的に光吸収をもつ染料が用いられる。染料
のモル吸光係数により異なるが、通常10-2g/m2〜1
g/m2の範囲で添加される。好ましくは50mg〜500
mg/m2である。染料の具体例は特開昭63−64039
号に詳しく記載されているが、いくつかを次にあげる。
【0105】
【化50】
【0106】
【化51】
【0107】上記染料は適当な溶媒〔例えば水、アルコ
ール(例えばメタノール、エタノール、プロパノールな
ど)、アセトン、メチルセロソルブ、など、あるいはこ
れらの混合溶媒〕に溶解して本発明の非感光性の親水性
コロイド層用塗布液中に添加される。これらの染料は2
種以上組合せて用いることもできる。本発明の染料は、
明室取扱いを可能にするに必要な量用いられる。具体的
な染料の使用量は、一般に10-3g/m2〜1g/m2、特
に10-3g/m2〜0.5g/m2の範囲に好ましい量を見
い出すことができる。
【0108】写真乳剤の結合剤または保護コロイドとし
ては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の
親水性コロイドも用いることができる。たとえばゼラチ
ン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマ
ー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロー
ス硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン
酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体、ポリビニルアル
コール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−
N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、
ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き
多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼ
ラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチ
ンを用いてもよく、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素
分解物も用いることができる。
【0109】本発明の方法で用いるハロゲン化銀乳剤は
化学増感されていなくてもよいが、化学増感されていて
もよい。ハロゲン化銀乳剤の化学増感の方法として、硫
黄増感、還元増感及び貴金属増感法が知られており、こ
れらのいずれをも単独で用いても、又併用して化学増感
してもよい。貴金属増感法のうち金増感法はその代表的
なもので金化合物、主として金錯塩を用いる。金以外の
貴金属、たとえば白金、パラジウム、イリジウム等の錯
塩を含有しても差支えない。その具体例は米国特許2,
448,060号、英国特許618,061号などに記
載されている。硫黄増感剤としては、ゼラチン中に含ま
れる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、たとえばチ
オ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等
を用いることができる。還元増感剤としては第一すず
塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化
合物などを用いることができる。
【0110】本発明で用いられるハロゲン化銀乳剤層に
は、公知の分光増感色素を添加してもよい。分光増感色
素の具体例は、特願平2−123683号49頁から8
5頁、特開昭62−215272号の77頁〜124頁
に記載のものなどがあげられる。
【0111】本発明の感光材料には、感光材料の製造工
程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止しあるい
は写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有
させることができる。すなわちアゾール類たとえばベン
ゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾール類、クロロベン
ズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メル
カプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、
メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、
ベンゾチアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、な
ど;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン
類;たとえばオキサゾリンチオンのようなチオケト化合
物;アザインデン類、たとえばトリアザインデン類、テ
トラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,
3,3a,7)テトラザインデン類)、ペンタアザイン
デン類など;ベンゼンチオスルフォン酸、ベンゼンスル
フィン酸、ベンゼンスルフォン酸アミド等のようなカブ
リ防止剤または安定剤として知られた多くの化合物を加
えることができる。これらのものの中で、好ましいのは
ベンゾトリアゾール類(例えば、5−メチル−ベンゾト
リアゾール)及びニトロインダゾール類(例えば5−ニ
トロインダゾール)である。また、これらの化合物を処
理液に含有させてもよい。
【0112】本発明の写真感光材料には、写真乳剤層そ
の他の親水性コロイド層に無機または有機の硬膜剤を含
有してよい。例えばクロム塩(クロムミョウバン、な
ど)、アルデヒド類、(グルタールアルデヒドなど)、
N−メチロール化合物(ジメチロール尿素、など)、ジ
オキサン誘導体、活性ビニル化合物(1,3,5−トリ
アクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3
−ビニルスルホニル−2−プロパノールなど)、活性ハ
ロゲン化合物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s
−トリアジンなど)、ムコハロゲン酸類、などを単独ま
たは組み合わせて用いることができる。
【0113】本発明に用いて作られる感光材料の写真乳
剤層または他の親水性コロイド層には塗布助剤、帯電防
止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止及び写真特性改
良(例えば、現像促進、硬調化、増感)等種々の目的
で、種々の界面活性剤を含んでもよい。例えばサポニン
(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例え
ばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/
ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコ
ールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールア
ルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエ
ステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル
類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミ
ド類、シリコーンのポリエチレンオキサイド付加物
類)、グリシドール誘導体(例えばアルケニルコハク酸
ポリグリセリド、アルキルフェノールポリグリセリ
ド)、多価アルコールの脂肪酸エステル類、等のアルキ
ルエステル類などの非イオン性界面活性剤;アルキルカ
ルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼ
ンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸
塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル
類、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハ
ク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルリン類エステル類などのような、カルボキシ基、スル
ホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等
の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類、アミ
ノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又はリン
酸エステル類、アルキルベタイン類、アミンオキシド類
などの両性界面活性剤;アルキルアミン塩類、脂肪族あ
るいは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、
イミダゾリウムなどの複素環第4級アンモニウム塩類、
及び脂肪族又は複素環を含むホスホニウム又はスルホニ
ウム塩類などのカチオン界面活性剤を用いることができ
る。又、特開昭62−215272号649頁から68
8頁に記載されている化合物等を用いることができる。
寸度安定性の為にポリアルキルアクリレートの如きポリ
マーラテックスを含有せしめることができる。
【0114】本発明に用いるのに適した現像促進剤ある
いは造核伝染現像の促進剤としては、特開昭53−77
616、同54−37732、同53−137,13
3、同60−140,340、同60−14959、な
どに開示されている化合物の他、N又はS原子を含む各
種の化合物が有効である。次に具体例を列挙する。
【0115】
【化52】
【0116】
【化53】
【0117】
【化54】
【0118】これらの促進剤は、化合物の種類によって
最適添加量が異なるが1.0×10-3〜0.5g/m2
好ましくは5.0×10-3〜0.1g/m2の範囲で用い
るのが望ましい。これらの促進剤は適当な溶媒(H
2 O) メタノールやエタノールなどのアルコール類、ア
セトン、ジメチルホルムアミド、メチルソルセルブな
ど)に溶解して塗布液に添加される。これらの添加剤を
複数の種類を併用してもよい。
【0119】本発明のハロゲン化銀感光材料を用いて超
硬調で高感度の写真特性を得るには、従来の伝染現像液
や米国特許2,419,975号に記載されたpH13
に近い高アルカリ現像液を用いる必要はなく、安定な現
像液を用いることができる。すなわち、本発明のハロゲ
ン化銀感光材料は、保恒剤としての亜硫酸イオンを0.
15モル/リットル以上含み、pH10.5〜12.
3、特にpH11.0〜12.0の現像液によって充分
に超硬調のネガ画像を得ることができる。本発明の方法
において用いうる現像主薬には特別な制限はなく、例え
ばジヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン)、
3−ピラゾリドン類(例えば1−フェニル−3−ピラゾ
リドン、4,4−ジメチル−1−フェニル−3−ピラゾ
リドン)、アミノフェノール類(例えばN−メチル−p
−アミノフェノール)などを単独あるいは組み合わせて
もちいることができる。本発明のハロゲン化銀感光材料
は特に、主現像主薬としてジヒドロキシベンゼン類を、
補助現像主薬として3−ピラゾリドン類またはアミノフ
ェノール類を含む現像液で処理されるのに適している。
好ましくはこの現像液においてジヒドロキシベンゼン類
は0.05〜0.5モル/リットル、3−ピラゾリドン
類またはアミノフェノール類は0.06モル/リットル
以下の範囲で併用される。また米国特許4269929
号に記載されているように、アミン類を現像液に添加す
ることによって現像速度を高め、現像時間の短縮化を実
現することもできる。本発明に用いる現像液としては、
特願平1−294185号に記載のアミノ化合物を用い
ることができる。現像液にはその他、アルカリ金属の亜
硫酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、及びリン酸塩の如きpH緩
衝剤、臭化物、沃化物、及び有機カブリ防止剤(特に好
ましくはニトロインダゾール類またはベンゾトリアゾー
ル類)の如き現像抑制剤ないし、カブリ防止剤などを含
むことができる。又必要に応じて、硬水軟化剤、溶解助
剤、色調剤、現像促進剤、界面活性剤(とくに好ましく
は前述のポリアルキレンオキサイド類)、消泡剤、硬膜
剤、フィルムの銀汚れ防止剤(例えば2−メルカプトベ
ンズイミダゾールスルホン酸類など)を含んでもよい。
定着液としては一般に用いられる組成のものを用いるこ
とができる。定着剤としてはチオ硫酸塩、チオシアン酸
塩のほか、定着剤としての効果が知られている有機硫黄
化合物を用いることができる。定着液には硬膜剤として
水溶性アルミニウム塩などを含んでもよい。
【0120】本発明の方法における処理温度は普通18
℃から50℃の間に選ばれる。写真処理には自動現像機
を用いるのが好ましいが、本発明の方法により、感光材
料を自動現像機に入れてから出てくるまでのトータルの
処理時間を60秒〜120秒に設定しても、充分に超硬
調のネガ階調の写真特性が得られる。本発明の現像液に
は銀汚れ防止剤として特開昭56−24,347号に記
載の化合物を用いることができる。現像液中に添加する
溶解助剤として特開昭61−267759号に記載の化
合物を用いることができる。さらに現像液に用いるpH
緩衝剤として特開昭60−93,433号に記載の化合
物あるいは特開昭62−186259に記載の化合物を
用いることができる。以下に実施例を示し、本発明の実
施態様を説明する。
【0121】
【実施例】実施例1<ハロゲン化銀乳剤の作り方> 乳剤−A 0.37モルの硝酸銀水溶液と、完成乳剤の銀1モルあ
たり1.0×10-7モルに相当する(NH4)3RhCl6 と2×
10-7モルのK3IrCl6 、0.11モルの臭化カリウムと
0.27モルの塩化ナトリウムを含むハロゲン塩水溶液
を、塩化ナトリウムと、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジンチオンを含有するゼラチン水溶液に、攪拌しな
がら45℃で12分間ダブルジェット法により添加し、
平均粒子サイズ0.20μm、塩化銀含有率70モル%
の塩臭化銀粒子を得ることにより核形成を行なった。続
いて同様に0.63モルの硝酸銀水溶液と、0.19モ
ルの臭化カリウムと、0.47モルの塩化ナトリウムを
含むハロゲン塩水溶液をダブルジェット法により、20
分間かけて添加した。その後銀1モル当たり1×10-3
モルのKI溶液を加えてコンバージョンを行ない常法に
従ってフロキュレーション法により水洗し、ゼラチン4
0gを加え、pH6.5、pAg7.5に調整し、さら
に銀1モルあたりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム7
mgおよびチオ硫酸ナトリウム5mg及び塩化金酸8mgを加
え、60℃で45分間加熱し、化学増感処理を施し、安
定剤として1,3,3a,7−テトラザインデン150
mgおよび防腐剤としてプロキセルを加えた。得られた粒
子は平均粒子サイズ0.28μm、塩化銀含量70モル
%の塩臭化銀立方体粒子であった。(変動係数9%) 乳剤−B 乳剤−Aの(NH4)3RhCl6 を完成乳剤の銀1モル当たり
1.8×10-7モルに変えた他は、乳剤−Aと全く同様
にして、調製した。
【0122】<ヒドラジド化合物乳化分散物の調製>表
2に示す組成の乳化処方で各液を調製し60℃で溶解さ
せた後、I 液、II液を混合し、高速攪拌機(ホモジナイ
ザー、日本精機製作所製)にて、微粒子乳化物を作成し
た後、水を加えて、up−to100gとした。平均粒子サ
イズは0.13〜0.16μであった。
【0123】
【表2】
【0124】(塗布試料の作成) 塩化ビニリデン共重合体からなる下塗層(0.5μ)を
有するポリエチレンテレフタレートフィルム(150
μ)支持体上に、支持体側から、順次に、UL、EM
U、ML、EMO、PCの層構成になるように、塗布し
試料No.101〜104を作成した。以下に各層の調
製法及び塗布量を示す。 (UL) ゼラチン10g、ゼラチンに対して20wt%のポリエ
チルアクリレート、化合物(イ)をゼラチンに対して2
wt%を添加し、完成量250mlになるように水を加
えて調製し、ゼラチン0.5g/mになるように塗布
した。 (EMU) 前記、乳剤−Aをゼラチンと共に40℃で溶解した後、
増感色素として下記化合物S−1を3.6×10−4
ル/モルAg、5−メチルベンズトリアゾール6.5m
g/m、4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラ
ザインデン1.3mg/m、1−フェニル,5−メル
カプトテトラゾール1mg/m、下記化合物(イ)5
0mg/m、ゼラチンに対して15wt%のポリエチ
ルアクリレート、ゼラチンに対して15wt%の下記化
合物(ホ)、ゼラチン硬化剤として、ゼラチンに対して
4wt%の下記化合物(ロ)、及び造核剤(ハ)1.6
×10−3mol/molAg造核剤(ニ)5.4×1
−6mol/molAg、を添加して、Ag3.6g
/mとなるように塗布した。
【0125】
【化55】
【0126】
【化56】
【0127】(ML)ゼラチン10g、ゼラチンに対し
て20wt%のポリエチルアクリレート、前記化合物
(イ)をゼラチンに対して2wt%を添加し、完成量2
50mlになるように水を加えて調製し、ゼラチン1.0
g/m2になるように塗布した。 (EMO)前記乳剤−Bをゼラチンと共に溶解した後、
増感色素として化合物S−1を3.6×10-4モル/モ
ルAg、4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザ
インデン1.0mg/m2、本発明のヒドラジド化合物乳化
分散物(ヒドラジド化合物として7.0×10-5mol/m2
となるように添加)、化合物(イ)20mg/m2、ゼラチ
ンに対して20wt%のポリエチルアクリレート、及び
ゼラチン硬化剤として、ゼラチンに対して4wt%の化
合物(ロ)を添加して、Ag0.4g/m2、ゼラチン
0.4g/m2となる様に塗布した。 (PC)ゼラチン溶液にポリメチルメタクリレート分散
物(平均粒子サイズ5μ)、更に次の界面活性剤(ヘ、
ト)を添加し、ゼラチン0.5g/m2、ポリメチルメタ
クリレートとして0.5g/m2となる様に塗布した。
【0128】
【化57】
【0129】またバック層は次に示す処方にて塗布し
た。 〔バック層処方〕 ゼラチン 4g/m2 マット剤 ポリメチルメタアクリレート(粒子径3.0〜4.0μ) 10mg/m2 ラテックス ポリエチルアクリレート 2g/m2 界面活性剤 p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 40mg/m2 フッ素系界面活性剤(チ) 5mg/m2 ゼラチン硬化剤;化合物(ロ) 110mg/m2 染料 染料〔a〕、〔b〕、〔c〕及び〔d〕の混合物 染料〔a〕 53mg/m2 染料〔b〕 14mg/m2 染料〔c〕 25mg/m2 染料〔d〕 18mg/m2
【0130】
【化58】
【0131】
【化59】
【0132】本実施例で用いた現像液処方を表3に示
す。
【0133】
【表3】
【0134】写真特性は、上記処方の現像液でFG−6
60F自動現像機(富士写真フイルム株式会社製)を用
いて34℃,30″現像後、定着、水洗、乾燥、処理を
行なった結果である。定着液は、富士写真フイルム
(株)製GR−F1を用いた。 〔画質〕1.目伸ばし画質の評価 (1) 原稿の作成 富士写真フイルム株式会社製モノクロスキャナーSCA
NART30及び専用感材SF−100を使って網点よ
りなる人物の透過画像及び網パーセントを段階的に変え
たステップウエッジを作成した。この時スクリーン線数
は150線/インチで行なった。 (2) 撮影大日本スクリーン(株)社製製版カメラC−4
40に上記原稿及び光学ウェッジを目伸ばし倍率が等倍
になる様にセットした後Xeランプを照射することによ
り評価サンプルに露光を与えた。この時原稿のステップ
ウェッジの90%の部分が10%となる様にして露光を
行なった。 (3) 評価(2) の様に露光量を調節して小点側(ハイライ
ト部)の網点%を合わせたシンプルのシャードウ部の階
調再現性(網点のつぶれ難さ)の良いものから順に5段
階評価(5〜1)を行なった。3〜5の中間性能につい
ては、更に0.5単位のランク付け評価を行なった。 2.線画の画質の評価反射濃度が0.5〜1.2の範囲
にある7級の明朝体、ゴジック体の写植文字からなる原
稿を、大日本スクリーン製カメラ(C−690)で撮影
後、写真特性と同一の条件で、現像処理(34℃3
0″)を行なった結果である。評価は、5段階で行な
い、「5」が最もよく「1」が最も悪い品質を表わす。
結果を表4に示す。
【0135】
【表4】
【0136】表4の結果から明らかな様に、EMO層に
ヒドラジド化合物を含有しない試料No.104に較べ
ヒドラジド化合物を添加した試料No.101では、目
伸し、線画画質共に良化しているがまだ十分ではない。
これらに対して、本発明の化合物を共乳化して用いた試
料No.102、103では、格段に画質が改良される
ことが分る。
【0137】実施例2実施例−1のEMOの乳化物を表
−5に示す様に変更し、ヒドラジド化合物の量として
1.0×10-4 mol/m2となるように添加した他は、実
施例−1と全く同様にして、試料No. 201〜213を
作成した。性能評価は、実施例−1と同様にして行っ
た。乳化物処方を表−5に、結果を表6に示す。
【0138】
【表5】
【0139】
【表6】
【0140】表6の結果から、試料No. 201に較べ2
02、208、210及び212で画質良化している
が、まだ不十分である。本発明の試料No. 203〜20
7、209、211、及び213では、ヒドラジド化合
物だけを含む比較試料に対して、はっきりと画質改良し
ていることが分かる。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】実施例3 <ヒドラジド化合物乳化物の調製> 表10に示す組成の乳化処方で各液を調製し、60℃で
溶解させた後、I液とII液を混合し、高速撹拌機(ホ
モジナイザー、日本精機製作所製)にて、微粒子乳化物
を作成した後、減圧蒸溜により、補助溶媒を除去し、水
を加えて、up−to100gとした。
【0162】
【表10】
【0163】<塗布試料の作成> 塩化ビニリデン共重合体からなる下塗層(0.5μ)を
有するポリエチレンテレフタレートフィルム(150
μ)支持体上に、支持体側から、順次に、EM、PCの
層構成になるように塗布し、試料No.401〜408
を作成した。以下に各層の調製法及び塗布量を示す。 (EM) 実施例−1の(EMU)の組成から、造核剤(ハ)及び
造核剤(ニ)を除去した他は、実施例−1の(EMU)
と全く同様にして調製し、Ag3.6g/mとなるよ
うに塗布した。 (PC) 実施例−1の(PC)と全く同様の処方で調製し塗布し
た。この様にして作成したサンプルを試料No.409
とした。試料No.409の(EM)層に表10に示す
乳化物を添加した他は、試料No.409と全く同様に
して試料No.401〜408を作成した。乳化物の添
加量はヒドラジド化合物として2.7×10−5mol
/mとなる量とした。又乳化物No.401、402
は、乳化物No.403、404と同重量を添加した。
【0164】これらの試料に3200゜Kの光源を用
い、光学ウェッジを通して露光を行った後に実施例−1
で用いた現像液を用い、実施例−1と全く同様にして、
現像処理を行った。現像処理した試料の透過濃度を測定
した。写真特性は、Dmin、Dmax、γ(ガン
マ)、相対感度で評価した。この結果を表11に示す。
【0165】
【表11】
【0166】表11の結果から、本発明の化合物(B)
のみを用いた試料No.402では、乳化物無添加の比
較試料No.409と全く同様で感度up.γupの効
果は全くない。又、ヒドラジド化合物を単独で用いた試
料No.403、405及び407では、著しく感度u
pしているが、Dmaxがまだ十分に出ていない。本発
明の試料では、いずれもヒドラジド化合物単独で用いた
場合に較べ感度が高く、階調も、極めて硬くなり、高い
Dmaxが得られることが分かる。
【0167】実施例4 実施例3の試料No.403、404の乳化物添加量
を、表12に示す様に変更した他は、実施例3と全く同
様にして、試料501〜504を作成し、実施例3と全
く同様の露光、現像処理を行った。結果を表12に示
す。
【0168】
【表12】
【0169】表12の結果から、本発明の試料No.5
02は、ヒドラジド化合物塗布量が、試料No.501
と同量では、硬調、高感及び高いDmaxが得られ、又
試料No.504の結果から試料No.501の半分の
ヒドラジド化合物量でも、試料No.501と同等以上
のDmax、γ、感度が得られる。
【0170】
【発明の効果】本発明は現像薬の酸化生成物により酸化
された後求核剤の攻撃により写真的に有用な化合物に変
化するかあるいは写真的有用試薬を放出するヒドラジド
化合物と、pKa値が7.5以上の解離基を有する中性
以下では水不溶性油溶化合物を含むハロゲン化銀感光材
料により、鮮鋭度、粒状性、解像力、網点品質などの画
質にすぐれ、露光ラチチュードの広い写真性能が得られ
た。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−1844(JP,A) 特開 昭64−72139(JP,A) 特開 平2−308156(JP,A) 特開 昭62−25754(JP,A) 特開 平2−171745(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に少なくとも一層のハロゲン化銀
    乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該
    乳剤層もしくはその他の親水性コロイド層に、現像薬の
    酸化生成物により酸化された後求核剤の攻撃により写真
    的に有用な化合物に変化するか、あるいは写真的有用試
    薬を放出するヒドラジド化合物と、下記一般式(B)で
    表されるpKa値が7.5以上の解離基を有する中性以
    下では水不溶性油溶性化合物を含むことを特徴とするハ
    ロゲン化銀写真感光材料。 一般式(B) 【化1】 式中、R21〜R25は同一でも異なってもよく、それ
    ぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
    基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ
    基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイ
    ル基、スルファモイル基、スルホニル基、スルフィニル
    基、エステル基、置換基を有してもよいアミノ基、アシ
    ル基および−X−Rを表す。ここでXは−O−または
    −S−を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アル
    キニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホ
    ニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、エステル
    基を表す。R20はアルキル基、アルケニル基、アリー
    ル基またはヘテロ環基を表す。R21〜R25のうち互
    いにオルト位にある基が結合して5〜7員環を形成して
    もよく、R20とR21またはR25が互いに結合して
    5〜7員環を形成してもよい。
  2. 【請求項2】ヒドラジド化合物が一般式(N−1)、一
    般式(R−1)、一般式(R−2)及び一般式(R−
    3)で表される化合物から選ばれることを特徴とする請
    求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【化2】 式中、Rは脂肪族基または芳香族基を表し、Rは水
    素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリ
    ールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表し、G
    は−CO−基、−SO−基、−SO−基、−P
    (O)(G−R)−基、−COCO−基、チオカル
    ボニル基またはイミノメチレン基を表し、Gは単なる
    結合手、−O−基、−S−基、または−NR−基を表
    す。A、Aはともに水素原子あるいは一方が水素原
    子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル
    基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル
    基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。A
    はAと同義、(Time)は2価の基、tは0または
    1を表す。Aはニトロ基、シアノ基、カルボキシル
    基、スルホ基または−G−G−Rを表す。 Timeは二価の連結基を表し、tは0または1を表
    す。 PUGは写真的に有用な基を表す。
  3. 【請求項3】一般式(N−1)、一般式(R−1)、一
    般式(R−2)及び一般式(R−3)の化合物のうち少
    なくとも一種と一般式(B)の化合物を共乳化して用い
    ることを特徴とする請求項2記載のハロゲン化銀写真感
    光材料。
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