JP2705592B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置の製造方法
に関し、特に炉体を利用する熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5にNPN型バイポーラトランジスタ
の断面図を示す。図5に示すように、コレクタ領域とな
るN型エピタキシャル層(51)中に選択形成されたP
型ベース領域(52)上に、二酸化シリコンより成る絶
縁膜(53)を形成する。次に、二酸化シリコン膜(5
3)のP型ベース領域(52)上に、選択的にエミッタ
開孔(54)を形成し、このエミッタ開孔(54)を覆
うように多結晶シリコン電極(55)を選択形成する。
次に多結晶シリコン電極(55)に砒素等のN型不純物
を導入し、熱処理を行うことによりN型エミッタ領域
(57)をP型ベース領域(52)中に選択的に形成す
る。
【0003】多結晶シリコン電極(55)の形成は、公
知の減圧化学気相成長法により行われるが、この形成過
程で多結晶シリコン電極(55)とP型ベース領域(5
2)との間に通常15〜30Åの自然酸化膜と呼ばれる
二酸化シリコン膜(56)が形成される。この自然酸化
膜(56)の厚さにより、バイポーラトランジスタの電
流増幅率hFE(以下「hFE」と記す)が決定される
ため、バイポーラトランジスタの製造において、多結晶
シリコン電極(55)の形成方法は制御性が非常に要求
される。
【0004】図2は、従来の半導体装置製造の熱処理装
置の断面図で、従来の半導体装置の多結晶シリコン電極
(55)の形成工程に適用する炉体構成を示ものであ
る。図2において、炉は炉体(1)に装着された炉芯管
(2)と、半導体ウェハー(3)を並べたボート(4)
と、炉芯管(2)内を減圧状態にする真空ポンプ(5)
と、炉芯管(2)内にNガス等の不活性ガスを導入す
るガス導入口(6)と、原料ガスを導入する原料ガス導
入口(7)とから構成されている。半導体ウェハー
(3)の入炉時に、炉芯管(2)内にNガスを流して
大気の巻き込みを防止し、炉芯管(2)内の雰囲気が外
乱を受けることによる製造バラツキの防止をしている
(例えば特開昭59−35433号公報)。ここで、大
気の巻き込みとは、半導体ウェハー(3)が炉芯管
(2)内に入炉する際、クリーンルーム内の大気が半導
体ウェハー(3)とともに炉芯管(2)内に入り込むこ
とである。
【0005】次に、作業ステップについて説明する。一
般に、多結晶シリコンの減圧化学気相成長法では、炉芯
管(2)内にNガスを流しながら半導体ウェハー
(3)を入炉し、その後炉芯管(2)内を減圧状態(約
0.75Torr)にする。次に、原料ガスとしてシラ
ンガスを導入口(7)より導入することにより、多結晶
シリコンの成長を行い、その後、導入口(6)より導入
したNガスで炉芯管(2)内をパージし、Nガスを
流しながら半導体ウェハー(3)を出炉している。ま
た、微量に巻き込んだ酸素の影響を防止する例として、
炉内温度を低温に保った状態で半導体ウェハーを入炉
し、炉内を減圧状態にし、Nガスで炉内をパージし、
炉内温度を上げ熱処理を行う方法(特開昭59−354
33号公報)及び、炉芯管の開口部に予備真空排気室を
設け、前記予備真空排気内に不活性ガスを導入し、その
内部を不活性ガス雰囲気に置換してから入炉し熱処理を
行う方法(特開平2−20328)などが提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の半導体
装置の製造方法では、炉芯管(2)の径が大きくなる
と、入炉時に大気が巻き込みやすくなり、半導体ウェハ
ー(3)のボート(4)内の位置に依存して不均一な自
然酸化膜が形成されてしまう。例えば、エミッタ電極の
多結晶シリコンを減圧化学気相成長する場合において、
この大気の巻き込みによって、エミッタコンタクト部に
ウェハー内・ウェハー間・バッチ間でバラツキの大きい
自然酸化膜が形成され、その上にエミッタ電極となる多
結晶シリコンが成長することになる。その結果、バイポ
ーラトランジスタのhFEにバラツキが生じ、歩留低下
の要因となる。
【0007】また、その他の大気の巻き込みを防止する
方法においても、低温で入炉してから熱処理をすること
によって、プロセス時間が長くなったり、あるいは装置
が大型化してしまうなどの欠点がある。本発明は上記に
示した従来の課題を解決するもので、従来と同等の大き
さの装置を用いて、さらに、同等のプロセス時間で、エ
ミッタコンタクト部に均一な自然酸化膜を形成し、h
FEのウェハー内・ウェハー間・バッチ間でバラツキを
低減し、制御性を向上させる半導体装置の製造方法を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体ウェハ
ーの入炉に先立ち炉内をN75〜95vol%、O
5〜25vol%の雰囲気に保った後、半導体ウェハー
を前記炉内に入炉して多結晶シリコンの減圧気相成長す
ることを特徴とする半導体装置の製造方法である。また
本発明は、上記の半導体装置の製造方法において、多結
晶シリコンがバイポーラトランジスタのエミッタ電極を
構成する多結晶シリコンであることを特徴とする半導体
装置の製造方法である。
【0009】本発明において、半導体ウェハーの入炉に
先立ち炉内をN約80%、O約20%の雰囲気に保
つのは、半導体ウェハーの入炉時に、クリーンルーム内
の大気が半導体ウェハーとともに炉内に入り込んでも、
著しい濃度の不均一さを生じさせない、即ち大気の巻き
込みの影響をなくすように、酸素濃度を炉内とクリーン
ルーム内とを一定に保つためである。本発明者の実験で
はOガスの流量としては5〜25vol%で同様の効
果が得られており、したがってOガスの流量としては
5〜25vol%、好ましくは18〜22vol%と
し、残余をNガス等の不活性ガスとすることが適切で
ある。
【0010】
【作用】本発明においては、半導体ウェハーの入炉に先
立ち炉内をN75〜95vol%、O5〜25vo
l%の雰囲気に保ち、ウェハーを入炉するので、大気の
巻き込み、即ち半導体ウェハーが炉内に入炉する際、ク
リーンルーム内の大気が半導体ウェハーとともに炉内に
入り込んでも、著しい濃度の不均一さを生じさせないも
のである。また、多結晶シリコンの形成過程での自然酸
化膜の厚さを均一に形成することができるものであり、
エミッタコンタクト部に均一な自然酸化膜を形成できる
ことにより、hFEのウェハー内・ウェハー間・バッチ
間でバラツキを低減し、制御性を向上させることができ
るものである。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。図1は、本発明の一実施例の熱処理装置の断
面図である。図1に示すように、この熱処理装置は、炉
は炉体(1)に装着された炉芯管(2)と、半導体ウェ
ハー(3)を並べたボート(4)と、炉芯管(2)内を
減圧状態にする真空ポンプ(5)と、炉芯管(2)内に
ガスおよびOガスを導入するガス導入口(6)
と、原料ガスを導入する原料ガス導入口(7)とから構
成されている。
【0012】図3は、本発明の炉芯管内の酸素濃度変化
図、即ち、炉芯管(2)内における処理時間経過に対す
る酸素濃度の変化を示すグラフである。図3に示すよう
に、半導体装置の製造工程における入炉、Nパージ、
真空引き、ポリシリ成長(多結晶シリコン成長)、N
パージ、出炉の処理時間経過において、入炉時に、大気
とほぼ同じ成分であるN約80%、O約20%の混
合ガスをガス導入口(6)より流し、大気の巻き込みの
影響をなくするように、酸素濃度を一定に保つ。次に、
ガス導入口(6)よりNガスのみを流し、炉芯管
(2)内をNガスで置換し、その後、真空ポンプ
(5)により炉芯管(2)内を減圧状態にする。次に、
原料ガス導入口(7)よりシランガスを流し、半導体基
板上に多結晶シリコンを成長させ(約2000Å)、そ
の後再度ガス導入口(6)よりNガスを流し、炉芯管
(2)内をNガスで置換し出炉する。
【0013】図4(a)および(b)に、従来技術の炉
芯管内の酸素濃度変化図および炉芯管内の半導体ウェハ
ー位置関係図を示し、上述した本発明と従来例と比較し
てみる。図4(a)は、従来例の炉芯管(2)内におけ
る処理時間経過に対する酸素濃度の変化を示すグラフ
で、入炉、Nパージ、真空引き、ポリシリ成長(多結
晶シリコン成長)、Nパージ、出炉の工程において、
入炉時に、炉芯管(2)内にNガスを流しながら半導
体ウェハー(3)を入炉している。また図4(b)は、
ボート(4)に半導体ウェハー(3)を並べたもので、
ウェハー位置を示し、入炉方向のボート(4)の先頭位
置(A)と後部(B)を示したものである。従来例にお
いては、ボート(4)に並べられた半導体ウェハー
(3)の先頭位置(A)が、Nガスの入っている炉内
に入炉するので、大気中のOに晒されなくなる。後部
(B)の半導体ウェハー(3)は、先頭位置(A)より
遅れてNガスの入っている炉内に入炉するので、大気
中のOに晒される時間が異なることになる。
【0014】即ち、従来例では、図4(a)および
(b)に示すように、ボート(4)の先頭位置Aと後部
Bとでは大気中のOに晒される時間が異なるため、バ
ラツキを持った自然酸化膜が形成されてしまうことにな
る。本発明の方法では、大気の巻き込みの影響をなくす
ことができるため、図4(a)に見られるような、酸素
濃度の時間的な変化がウェハー内・ウェハー間・バッチ
間で異なるということがなくなり、エミッタコンタクト
部分にバラツキの少ない均一な自然酸化膜が形成され、
FEの制御性が向上する。また、炉体構成について実
施例として、図1の熱処理装置で説明を行ったが、常温
の大気圧状態から常温より高温の反応設備内へ半導体ウ
ェハーを導入する半導体装置、例えばランプアニーラ等
にも適用可能なことは当業者には明らかであろう。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大気の巻き込み、即ち半導体ウェハーが炉内に入炉する
際、クリーンルーム内の大気が半導体ウェハーとともに
炉内に入り込んでも、著しい濃度の不均一さを生じさせ
ることなく、また、多結晶シリコンの形成過程での自然
酸化膜の厚さを均一に形成することができるものであ
り、エミッタコンタクト部に均一な自然酸化膜を形成で
きることにより、hFEのウェハー内・ウェハー間・バ
ッチ間でバラツキを低減し、制御性を向上できるという
効果を奏する。具体的には本発明は、エミッタコンタク
ト部分に均一な自然酸化膜を形成することにより、従来
のhFEのバラツキ(最大値/最小値)が2〜3である
のに対し、1.5〜2に低減させることができる。さら
に、コストアップもほとんどなく、10%以上の歩留向
上が実現できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の熱処理装置の断面図であ
る。
【図2】 従来の半導体装置製造の熱処理装置の断面図
である。
【図3】 本発明の炉芯管内の酸素濃度変化図。
【図4】 従来技術の炉芯管内の酸素濃度変化図および
炉芯管内の半導体ウェハー位置関係図。
【図5】 NPN型バイポーラトランジスタのエミッタ
断面図。
【符号の説明】
1.炉体 2.炉芯管 3.半導体ウェハー 4.ボート 5.真空ポンプ 6.ガス導入口 7.原料ガス導入口 51.N型エピタキシャル層 52.P型ベース領域 53.二酸化シリコン 54.エミッタ開孔 55.多結晶シリコン電極 56.自然酸化膜 57.N型エミッタ領域

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウェハーの入炉に先立ち炉内をN
    75〜95vol%、O5〜25vol%の雰囲気
    に保った後、半導体ウェハーを前記炉内に入炉して多結
    晶シリコンの減圧気相成長することを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置の製造方法
    において、多結晶シリコンがバイポーラトランジスタの
    エミッタ電極を構成する多結晶シリコンであることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
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