JP2701587B2 - 金属物品の製造方法 - Google Patents

金属物品の製造方法

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JP2701587B2 JP14394391A JP14394391A JP2701587B2 JP 2701587 B2 JP2701587 B2 JP 2701587B2 JP 14394391 A JP14394391 A JP 14394391A JP 14394391 A JP14394391 A JP 14394391A JP 2701587 B2 JP2701587 B2 JP 2701587B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、材料として貴金属粉末
を含有した可塑性組成物を用いた金属物品の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、貴金属製の基材に凹部を形成しこ
の凹部に基材とは異なる貴金属材料からなる挿入金属を
ろう付けにより固定した金属物品がある。この金属物品
は主として装飾品として用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の金属物品におい
ては、基材に凹部を通常切削加工により形成するように
しているので、凹部形成のために加工時間が多くかか
る。特に凹部の形状が複雑になると、凹部形成の加工に
要する時間が非常に多くなる。
【0004】凹部に挿入される挿入金属の外形を凹部に
対応した形状に加工しておかなければならず、この加工
にも多くの時間がかかる。
【0005】基材に挿入金属をろう付けで固定するの
で、ろう付け加工に多くの時間がかかるとともに作業に
熟練を要する。さらに、基材と挿入金属とにより適宜の
ろう付け材料を選択しなければならない。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、凹部の加工を簡単に短時間で行うことができ、挿入
金属の外形加工が不要であり、ろう付け材料も不要であ
り、挿入金属の装着が簡単に行える金属物品の製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の金属製品の製造
方法は、貴金属粉末を含有する可塑性組成物を成形し、
この成形体の表面に凹所を形成し、この凹所内に前記貴
金属粉末よりも融点が低い挿入金属を配置し、前記成形
体を前記挿入金属の融点以上の温度で焼成することを特
徴とする。
【0008】
【作用】可塑性組成物は粘土状をしているので、成形体
の表面を押し型等で押圧することにより簡単に凹部が形
成される。
【0009】凹部内に成形体を構成する貴金属粉末より
も融点が低い挿入金属を配置して成形体を挿入金属の融
点以上の温度で焼成すると、成形体の焼成工程において
挿入金属が溶解して凹部内に広がり、これを冷却するこ
とによって凹部が挿入金属によって覆われた金属物品が
製造される。
【0010】
【実施例】以下に、図面を参照して本発明の一実施例に
ついて説明する。
【0011】本実施例の金属物品の製造方法は、貴金属
粉末を含有する可塑性組成物を原料として使用する。
【0012】この可塑性組成物は、 貴金属粉末 50〜90重量%、 セルローズ系水溶性バインダー 0.8〜8重量% 界面活性剤 0.03〜3重量% 油脂 0.1〜3重量% を含有し、残りが水及び不可避不純物からなる。
【0013】金属物品の製造方法の説明に先立ち、前記
可塑性組成物の製造手順について説明する。
【0014】まず、セルローズ系水溶性バインダーと水
とを混合し、しばらく放置して寒天状物質とする。次い
で、この寒天状物質に界面活性剤を添加して混合し、さ
らに所定の貴金属粉末を添加して混合する。そして、こ
の貴金属粉末混合体に油脂を添加して混合する。
【0015】次に、可塑性組成物の組成を上記のように
決めた理由を説明する。
【0016】(a)貴金属粉末 金、銀、銅、白金及びそれらの合金等の貴金属粉末は、
可塑性組成物を構成する主成分であり、製品の色を決定
する重要な要素であるが、その含有量が50重量%未満
ではその効果がなく、一方、90重量%以上を越えて含
有すると得られた可塑性組成物の伸び及び強度が低下す
るようになるので好ましくない。従って、上記の通り、
貴金属粉末の含有量は、50〜90重量%とした。
【0017】(b)セルローズ系水溶性バインダー セルローズ系水溶性バインダーは、加熱すると速やかに
ゲル化して固化し、成形体の形状の保持を容易にする。
しかし、その添加量が0.8重量%未満ではその効果が
得られず、一方、8重量%より多く添加すると粘性度が
大きくなりすぎて造形することができなくなってしま
う。従って、上記の通り、セルローズ系水溶性バインダ
ーの含有量は、0.8〜8重量%とした。セルローズ系
水溶性バインダーとしては、メチルセルローズ、エチル
セルローズ等が好ましい。
【0018】(c)界面活性剤 界面活性剤を添加して混合することにより、バインダー
と水との反応により生じた固形物が粉砕し、また、貴金
属粉末とバインダーとの混合性が良くなるという作用が
得られる。しかし、添加する界面活性剤の量が0.03
重量%未満ではその効果が充分でなく、一方、界面活性
剤を3重量%よりも多く添加すると、得られた可塑性組
成物の粘性度が低下し、流動性が増して造形することが
できなくなるので好ましくない。従って、上記の通り、
界面活性剤の添加量は、0.03〜3重量%とした。
【0019】(d)油脂 油脂を少量添加することにより、造形時、可塑性組成物
が手に付着しないようにすることができる。しかし、そ
の添加量が0.1重量%未満ではその効果が得られず、
一方、3重量%より多く添加すると、可塑性組成物が油
っぽくなり、滑り易くなって、造形時の作業性が悪くな
るので好ましくない。従って、上記の通り、油脂の含有
量は0.1〜3重量%とした。
【0020】油脂としては、高級有機酸(例えば、フタ
ル酸)、高級有機酸エステル(例えば、フタル酸−n−
ジオクチル、フタル酸−n−ジブチル)、高級アルコー
ル、高級多価アルコール(例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレングリコール、エーテル類)等が挙げら
れる。
【0021】次に、図面を参照して、この発明の一実施
例による金属物品の製造方法について説明する。
【0022】まず、上記可塑性組成物は小さな荷重によ
り容易に塑性変形させることができる。そこで、可塑性
組成物を一対の圧延ロール間に挟んで、図2に示すよう
な平板状の成形体1を成形する。この成形体1は幅50
mm 、奥行き50mm、厚さ2mmの形状をしてい
る。
【0023】上述したように、可塑性組成物は容易に塑
性変形することを利用して、成形体1の表面に端面が方
形状の押し型の端面を押しつけることにより、図2に示
すように、方形状の凹部2を形成する。この凹部2は幅
20mm 、奥行き20mm、深さ0.5mmの形状を
している。
【0024】このように、押し型を押しつけるといった
簡単な操作により凹部2を形成することができ、従来の
ように貴金属板に切削加工により凹部を形成する場合に
比べて加工時間を大幅に短縮することができる。
【0025】次に、可塑性組成物の主成分である貴金属
粉末の融点よりも融点が低い粉末材料からなる挿入金属
3を図3に示すように前記凹部2内に投入して配置す
る。ここで、可塑性組成物の貴金属と挿入金属との組合
せについて例を挙げる。貴金属粉末として純金を用いた
場合には、挿入金属として18K(75重量%Au−1
5重量%Ag−10重量%Cu)を用いることができ
る。また、貴金属粉末としてプラチナを用いた場合に
は、挿入金属として純金を用いることができる。
【0026】次に、挿入金属3が配置された成形体1を
加熱炉により加熱して焼成する。加熱条件は、貴金属粉
末と挿入金属3との組合せで異なる。上述したように、
貴金属粉末が純金で挿入金属が18Kの場合には、アル
ゴンガス中において850℃、1時間の加熱を行う。貴
金属粉末がプラチナで挿入金属が純金の場合には、大気
中において1100℃、1時間の加熱を行う。焼成のた
めの加熱により挿入金属3は溶解して図4に示すように
凹部2内に広がる。これを冷却することにより、凹部2
が挿入金属3によって覆われた金属物品を製造すること
ができる。
【0027】このように、焼成と同時に挿入金属3を溶
解させて凹部2内に流し込むので、挿入金属の外形を凹
部2の形状に合わせて加工する必要がなくなり、加工時
間を大幅に短縮することができる。さらに、溶解した挿
入金属3が凹部2内に流れて広がって固化するので、挿
入金属3と凹部2との結合強度を大きくすることがで
き、ろう付け作業を不要とすることができる。
【0028】なお、本実施例では、可塑性組成物を圧延
ロールにより挟んで板状の成形体を成形するようにして
いるが、プレスの上下型間に可塑性組成物を押圧させて
板状の成形体1を形成する等の適宜の方法を採用するこ
とができる。なお、上記実施例においては、板状の成形
体1を形成するようにしているが、特に形状は板状であ
る必要はない。
【0029】本実施例では、端面が方形状の押し型を用
いているが、端面が他の形状例えば星型や花形等の複雑
な形状をもった押し型を用いて複雑な形状の凹部を形成
することもできる。本実施例においては、押し型を用い
て成形体1の表面に凹部2を形成しているが、凹部2の
成形方法としては棒状の部材により成形体1の表面を引
っかいて形成する等の適宜の方法を採用することができ
る。
【0030】本実施例において挿入金属3を粉末状にし
たのは焼成工程で溶解が早く行われるように配慮したも
のであり、小片状の挿入金属を用いることもできる。こ
のように、小片状の挿入金属を用いた場合には、挿入金
属の安定性の面から凹部2内に突き刺して配置すること
が好ましい。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
貴金属粉末を含有する可塑性組成物を成形し、この成形
体の表面に凹所を形成し、この凹所内に前記貴金属粉末
よりも融点が低い挿入金属を配置し、前記成形体を前記
挿入金属の融点以上の温度で焼成するようにしたので、
凹部の加工を簡単に短時間で行うことができ、挿入金属
の外形加工が不要であり、ろう付け材料も不要であり、
挿入金属の装着が簡単に行えるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の金属物品の製造方法を示す
フローチャートである。
【図2】本発明の一実施例の金属物品の製造方法により
形成された中間生成物を示す断面図及び平面図である。
【図3】本発明の一実施例の金属物品の製造方法により
形成された中間生成物を示す断面図及び平面図である。
【図4】本発明の一実施例の金属物品の製造方法により
形成された中間生成物を示す断面図及び平面図である。
【符号の説明】
1 成形体 2 凹部 3 挿入金属

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属粉末を含有する可塑性組成物を成
    形し、この成形体の表面に凹所を形成し、この凹所内に
    前記貴金属粉末よりも融点が低い挿入金属を配置し、前
    記成形体を前記挿入金属の融点以上の温度で焼成するこ
    とを特徴とする金属物品の製造方法。
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