JP5741827B2 - 銀合金焼結体形成用の粘土状組成物、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、及び、銀合金焼結体の製造方法 - Google Patents

銀合金焼結体形成用の粘土状組成物、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、及び、銀合金焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、及び、銀合金焼結体の製造方法に関するものである。
従来から、例えば、指輪等に代表される銀製の宝飾品や美術工芸品等は、一般に、銀含有材料を鋳造又は鍛造することによって製造されている。しかしながら、近年、銀粉末を含んだ銀粘土(焼結体形成用の粘土状組成物)が市販されており、この銀粘土を任意の形状に成形した後に焼成することにより、任意の形状を有する銀の宝飾品や美術工芸品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような方法によれば、銀粘土を通常の粘土細工と同様に自由に造形を行うことができ、造形して得られた造形体を乾燥させた後、加熱炉を用いて焼成することにより、極めて簡単に銀製の宝飾品や美術工芸品等を製造することが可能となる。
特許文献1に記載のような銀粘土は、一般に、純銀(純Ag)の粉末に、さらに、バインダーや、必要に応じて界面活性剤や水等を加えて混練することによって得られる。しかしながら、純Agは強度が弱いことから、純Agの銀粉末を用いた銀粘土を成形した後に加熱して焼結体を製造した場合には、強度特性に劣るものとなるという問題がある。
上述のような強度特性の問題を解決するため、Agの成分比を92.5%とし、さらに、銅(Cu)等を含む銀合金として銀粉末を構成し、このような銀粉末にバインダー等を加えて混練することで得られる銀粘土を造形した後に焼成することで、所謂スターリングシルバーと呼ばれる銀合金焼結体を製造することも提案されている(例えば、特許文献2の実施例の欄等を参照)。
また、上記Cuに加えて0.5〜3%程度Geを含むAg−Cu−Geの3元合金から構成し、このような銀合金を溶解した後、鋳造等の加工を施すことにより、銀製品を得る方法も開示されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3によれば、上記組成の3元合金を用い、鋳造や鍛造加工等によって銀製品を製造することにより、表面の色調が白金(Pt)に近い美麗なものとなるという効果が得られる。
特許第4265127号公報 特許第3274960号公報 特表2007−535616号公報
しかしながら、特許文献2に記載されたように、Ag−Cu合金であるスターリングシルバーを原料粉とする銀粘土においては、純Agの銀粉末を用いた銀焼結体に比べて強度特性は向上するものの、銀粘土中に含まれるCuが変質し易いことから銀粘土の色調が劣化しやすいといった問題があった。詳述すると、スターリングシルバーを原料粉とする銀粘土においては、室温、大気雰囲気下で保管した場合、銀粘土を製出してから数日経過した時点で既に変色が認められ、表面のみでなくその内部にまでわたって変色することになる。
また、特許文献3に記載された発明のように、Ag−Cu−Ge合金の焼結体を形成するために、Cu及びGeを含む銀合金粉末を用いて銀粘土を構成した場合、強度特性を向上することができる。
しかしながら、このようなAg−Cu−Ge合金の銀粘土においても、銀粘土中にCuが含有されることから、銀粘土の色調が劣化してしまうおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、大気雰囲気下でも容易に変色せず、かつ、引張強度、曲げ強度、表面硬度(以下、機械的強度と総称することがある)や伸び等に優れた銀合金焼結体を形成可能な銀合金焼結体形成用の粘土状組成物、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、及び、銀合金焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等が上記問題を解決するために鋭意検討したところ、銀粘土(銀合金焼結体形成用の粘土状組成物)を構成する銀粘土用粉末(銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末)に関し、Agの粉末と、酸化銅及び酸化ゲルマニウム(GeO)の各粉末からなる混合粉末として構成することにより、従来のGeを含む銀合金とした場合に比べ、機械的強度と伸び性を両立できることを見出した。また、酸化銅を含有することにより、粘土状組成物の変色を防止可能であることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、以下に示す構成を有するものである。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物は、少なくとも、銀(Ag)、酸化銅及び酸化ゲルマニウム(GeO)の粉末を各々含有し、これら各粉末が混合された混合粉末と、バインダーと水とを含むバインダー剤と、を含有し、前記混合粉末は、前記混合粉末全体に対して質量%で、CuO粉:1.2〜11%、GeO 粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることを特徴としている。
この構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物においては、銀(Ag)、酸化銅及び酸化ゲルマニウム(GeO)の粉末が混合された混合粉末と、バインダーと水とを含むバインダー剤とを含有するものとされている。
ここで、酸化銅は、金属Cuに比べて化学的に安定していることから、大気雰囲気下において容易に変質(銅イオンの価数が変化)するおそれが少ない。このため、この銀合金焼結体形成用の粘土状組成物の変色を抑制することができるのである。
また、酸化銅は還元雰囲気での焼成中に、熱分解し、また還元されることにより銀との合金化と焼結とを進行させる。
また、上記構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物によれば、Ag、酸化銅の粉末に加え、さらに、GeOの粉末を含み、各粉末からなる混合粉末を含有しているので、この銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を焼成してなる銀合金焼結体は、Cuが固溶して固溶体強化されたマトリックス状のAg−Cu固溶体を形成するとともに、焼結後の冷却時において、このAg−Cu固溶体中に、さらに、Cu固溶体の析出による析出強化を発揮することにより、高強度化が達成できる。また、GeOは、焼結中においてCu−Ge金属間化合物を含むCu−Ge合金を形成し、Ag粒子間に生じる空隙を、前記Cu−Ge合金で結合することにより、さらなる高強度を付与する。また、マトリックス状の相はAg−Cu固溶体からなるので、高い曲げ強度を付与することができる。
ここで、本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物では、バインダーを燃焼除去するために大気雰囲気での仮焼成において、酸化銅と一部のGeOとが反応して複合酸化物CuGeOが生成する。
図3の酸化物エリンガム図によると、本発明の銀粘土用銀粉末に配合されるGeOの生成自由エネルギーは、COとOよりCOが生成される生成自由エネルギーを近いため、CO雰囲気中で単体のGeOを十分に還元するのは難しいと考えられる。
ところが、本発明の場合は、上述のように複合酸化物CuGeOが生成し、この複合酸化物は、図3の酸化物エリンガム図からもわかるように、CO雰囲気中で還元され得る。このため、複合酸化物CuGeOは、本焼成時の還元雰囲気によって還元され、Cu−Ge合金が形成される。このCu−Ge合金は、共晶点温度が低いことから、本焼成時に溶融状態となって成形体内部の空隙に入り込み、焼結体の密度向上に寄与するものと考えられる。
また、還元されなかったGeOは、上述の空隙に残存し、Cu−Ge合金に隣接して外部からの衝撃に対する衝撃緩衝相となることが考えられる。
ここで、本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物においては、前記混合粉末を、質量%で70〜95%の範囲で含有し、前記バインダー剤を、質量%で5〜30%の範囲で含有する構成としてもよい。
混合粉末とバインダー剤との混合比を、上述のように規定することにより、粘土状組成物の成形性を確保できる。
また、本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物においては、前記バインダーを、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉の内の、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成しても良い。また、上記の中でも、セルロース系バインダー、特に水溶性セルロースから構成することが最も好ましい。
さらに、本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物においては、バインダー剤の中に、必要に応じて界面添加剤や油脂が添加されていても良い。
前記界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤を使用することができる。
前記油脂としては、例えば、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)等を挙げることができる。
なお、バインダー剤は、上述のバインダーを11質量%以上17質量%以下、油脂を5質量%以下、界面活性剤を2質量%以下、残部を水とした配合で混合したものとすることが好ましい。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末は、少なくとも、銀(Ag)、酸化銅及び酸化ゲルマニウム(GeO)の粉末を各々含有し、これら各粉末が混合された混合粉末とされており、質量%で、CuO粉:1.2〜11%、GeO 粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることを特徴とする
上記構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末によれば、上述の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を構成することが可能となり、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物の変色を確実に防止することが可能となる。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を焼成することで得られる銀合金焼結体は、Ag−Cu固溶体中にCu−Ag固溶体が析出したAg合金相と、前記Ag合金相の粒界の一部に介在する介在相と、を備え、前記介在相は、Cu−Ge金属間化合物を含むCu−Ge合金相と、酸化ゲルマニウム相と、を有する。
上記構成の銀合金焼結体によれば、上述した構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を還元雰囲気中にて焼成した後の組織を上記構成とすることで、優れた機械的強度や伸び性が得られる。
なお、Cu成分として酸化銅を用いた場合であっても、酸化銅が熱分解及び還元反応によって金属Cuとなり、AgとCuとが相互拡散することによって、上述のAg合金相が形成されることになる。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を製造する際には、質量%で、前記銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末:95〜70%、バインダーと水とを含むバインダー剤:5〜30%の範囲で混練する。
上述した構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末を用い、さらに、規定範囲の添加物を加えて混練するので、上記の如く、加熱焼成した後の銀合金焼結体の組織が適正化され、焼成後に得られる銀合金焼結体の機械的強度や伸び性を確保することが可能な銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を製造することができる。
本発明の銀合金焼結体の製造方法は、上記銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を所定の形状に成形することで成形体とし、次いで、前記成形体を乾燥処理した後、大気中において、400〜600℃の温度で、15分以上の時間で仮焼成を行い、次いで、前記成形体を、750〜780℃の温度で、30〜120分の時間で活性炭還元焼成を行うことにより、銀合金焼結体とする。ここで、上記焼成を行う方法としては、例えば、陶器製の容器内に活性炭を充填し、前記成形体を活性炭中に埋め込み、その後加熱焼成処理する活性炭還元焼成を行う方法等が挙げられる。
上記構成の銀合金焼結体の製造方法によれば、上述した構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を用いて成形した後、規定条件で乾燥処理や加熱焼成処理を行うことにより、焼成後の組織が上述の如く適正化され、機械的強度や伸び性に優れた銀合金焼結体を製造することができる。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物によれば、上記構成及び作用により、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物の変色を抑制することができるとともに、成形後に加熱焼成して得られる銀合金焼結体の機械的強度や伸び等を向上させることが可能となる。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末によれば、上記構成及び作用により、この銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末を用いた銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を構成することで、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物の変色を抑制することができる。
本発明の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物から得られる銀合金焼結体によれば、純Ag粉末からなる銀粘土を焼成したものに比べて、機械的強度を向上させることができる。
また、本発明の銀合金焼結体の製造方法によれば、上記構成の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を用いて成形した後、規定条件で乾燥処理や焼成を行うことにより、機械的強度や伸び等に優れた銀合金焼結体を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る銀合金焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を用いた銀合金焼結体の製造方法を示す概略図である。 酸化物エリンガム図である。
以下に、本発明に係る銀合金焼結体形成用の粘土状組成物、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銀合金焼結体及び銀合金焼結体の製造方法の一実施形態について、図面を適宜参照しながら説明する。
なお、本実施形態では、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を銀粘土と、銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末を銀粘土用粉末と称して説明する。
[銀粘土用粉末]
本発明に係る銀粘土用粉末は、銀(Ag)、酸化銅(CuO、CuO)及び酸化ゲルマニウム(GeO)の粉末を各々含有し、これら各粉末が混合された混合粉末とされたものである。
このような銀粘土用粉末を用いて、後述する添加物を加えて混練して銀粘土を構成することにより、加熱焼成して得られた銀合金焼結体において、機械的強度や伸び等が向上するとともに、銀粘土の変色を抑制できるといった効果が得られるものである。
本発明に係る銀粘土用粉末においては、質量%で、CuO粉とCuO粉が合計で1.1〜11%、GeO粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることが好ましい。
また、質量%で、CuO粉:1.2〜11%、GeO粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることが好ましい。あるいは、質量%で、CuO粉:1.1〜10%、GeO粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることが好ましい。
本発明の銀粘土用粉末中に含有される酸化銅の含有量は銀合金焼結体中のCu分換算で1〜9質量%の範囲であることが好ましい。具体的には、CuO粉とCuO粉とを含む場合には、これらCuO粉とCuO粉が合計で1.1〜11質量%であることが好ましい。また、酸化銅としてCuO粉のみを含む場合には1.2〜11質量%であることが好ましい。さらに、酸化銅としてCuO粉のみを含む場合には1.1〜10質量%であることが好ましい。
Cuは、Agの中に広く拡散することによる強度向上効果を有する元素である。酸化銅の含有量がCu分換算で上記範囲内であれば、上述したような、銀粘土を焼成して得られる銀合金焼結体の機械的強度及び伸び性を向上させる効果が顕著に得られる。
酸化銅の含有量がCu分換算で1%未満だと、銀粘土を焼成して得られる銀合金焼結体の機械的強度を向上させる効果が得られ難くなる虞がある。また、酸化銅の含有量がCu分換算での含有量が9%を超えると、過剰な酸化物の影響で伸び性が低下する虞がある。
本発明の銀粘土用粉末中に含有される 酸化ゲルマニウム(GeO)粉の含有量は、1〜9%の範囲であることが好ましい。GeO粉の含有量がこの範囲内であれば、上述したような、銀粘土を焼成して得られる銀合金焼結体の機械的強度及び伸び性を向上させる効果が顕著に得られる。
GeO粉の含有量が1%未満だと、Ag粒子間に生じた空隙に対するCu−Ge合金の結合性が低下するとともに、Cu−Ge合金相に対する衝撃緩衝相としての機能が低下するため、機械的強度及び伸び性がともに低下する可能性がある。また、GeO粉の含有量が9%を超えて過剰な場合には、焼結性を低下させる虞がある。
なお、銀粘土を焼成して得られる銀合金焼結体の色調を考慮した場合、酸化銅の含有量のCu分換算と、GeO粉の含有量は、合計で5〜10%の範囲内であることがより好ましい。
以下、本発明に係る銀粘土用粉末に含有される、Ag、酸化銅及びGeOの各粉末の粒径について説明する。
本発明においては、Ag、酸化銅及びGeOの各粉末の粒径については、特に限定されるものではないが、添加物を加えて混練することで銀粘土とした場合の、成形性等の諸特性を考慮し、以下に示す範囲の粒径とすることが好適である。
Ag粉の平均粒径は、25μm以下であることが好ましい。Ag粉の平均粒径をこの範囲とすることにより、銀粘土を焼成して得られる銀合金焼結体の色調が良好となり、また、上述したような、銀合金焼結体の機械的強度及び伸び性を向上させる効果が安定して得られる。
Ag粉の平均粒径が25μmを超えると、銀合金焼結体の色調が劣化したり、機械的強度を向上させる効果が小さくなる虞がある。また、Ag粉の平均粒径が25μm超だと、粉末の焼結性が低下することから、粘土焼成時に時間を要してしまうとともに、銀合金焼結体の加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
なお、平均粒径の下限については特に定めないが、Ag粉の平均粒径を1μm以下とすることは工業生産的にコスト高となる虞があり、また、装置の限界等も考慮し、これを下限とすることが好ましい。
また、Ag粉の平均粒径は、1〜20μmの範囲であることがより好ましく、3〜10μmの範囲であることがさらに好ましい。
酸化銅粉の平均粒径は、25μm以下であることが好ましい。酸化銅粉の平均粒径をこの範囲とすることにより、上述したような、銀合金焼結体の機械的強度及び伸び等を向上させる効果が安定して得られる。
酸化銅粉の平均粒径が25μmを超えると、銀合金焼結体の機械的強度を向上させる効果が得られ難くなるおそれがある。また、酸化銅粉の平均粒径が25μmを超えると、上記Ag粉の場合と同様、粉末の焼結性が低下することから、長時間にわたる焼成時間を要してしまうとともに、銀合金焼結体の加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
なお、上記Ag粉と同様、平均粒径の下限は特に定めないが、装置の限界や工業生産的なコストの観点から、酸化銅粉の平均粒径は1μmを下限とすることが好ましい。
また、酸化銅粉の平均粒径は、1μm以上20μm以下の範囲であることがより好ましく、3μm以上10μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
GeO粉の平均粒径は、10μm以下であることが好ましい。GeOの平均粒径をこの範囲とすることにより、上述したような、銀合金焼結体の機械的強度及び伸び性を向上させる効果が安定して得られる。
GeO粉の平均粒径が10μmを超えると、焼結性が著しく低下する虞があるため、好ましくない。
なお、GeO粉の平均粒径の下限は特に限定されず、生産性や装置の限界等を考慮しながら適宜決定すれば良い。
また、本発明においては、銀粘土用粉末を構成する各材料粉末の平均粒径を、上記の如く所定粒径以下に制限することにより、銀粘土の成形体を焼成処理する際の焼結性が高められるので、後述の焼成における処理温度を低温にすることが可能となる。
なお、上述のような粉末の平均粒径を測定する方法としては、例えば、平均粒径が1μm程度よりも大きいものであれば、公知のマイクロトラック法を用いることができ、平均粒径が1μm以下の小さなものである場合には、電子顕微鏡観察(SEM)によって測定することが可能である。
[銀粘土]
次に、本発明の銀粘土について説明する。
本発明に係る銀粘土は、上記構成の銀粘土用粉末と、バインダー(本実施形態では有機バインダー)と、水とを含む。
本発明に係る銀粘土は、上記構成の銀粘土用粉末を70〜95%の範囲で含有するものであり、さらに、さらに、バインダーと水とを含むバインダー剤を、質量%で5〜30%の範囲で含有するものである。また、本発明に係る銀粘土は、必要に応じて界面添加剤や油脂が添加されていても良い。
本発明に係る銀粘土に用いられるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉の内の、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成して用いることが好ましい。また、上記の中でも、セルロース系バインダー、特に水溶性セルロースを用いることが最も好ましい。
界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤を使用することができる。
油脂としては、例えば、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)等を挙げることができる。
なお、本実施形態において、バインダー剤2は、上述のバインダーを11質量%以上17質量%以下、油脂を5質量%以下、界面活性剤を2質量%以下、残部を水とした配合で混合したものとすることが好ましい。
以下に、上述したような本発明に係る銀粘土を製造する方法の一例について、図1に示す模式図を参照しながら説明する。
本発明に係る銀粘土5の製造方法は、上記の銀粘土用粉末1を70〜95%、上記成分を有するバインダー剤2を5〜30%の範囲で混練する方法である。
図1に示すように、本実施形態で説明する銀粘土5の製造方法では、まず、Ag材料粉末1A、酸化銅粉末1B、GeO材料粉末1Cの各々を、規定分量で混合装置50の中に導入する。この際、例えば、Ag材料粉末1A(平均粒径5μm:マイクロトラック法にて測定;アトマイズ粉)を91.5%、酸化銅(CuO)粉末1B(平均粒径5μm:マイクロトラック法にて測定;キシダ化学株式会社製試薬・純度97%以上)を4.5%、GeO材料粉末1C(平均粒径1μm以下:SEM観察にて測定;高純度化学研究所製試薬・純度4N)を4%として導入する。
そして、混合装置50内で、上記各材料粉末を混練することにより、銀粘土用粉末1が得られる。
次いで、図1に示すように、混合装置50内の銀粘土用粉末1に対して、上記規定範囲量のバインダーと水とを混合したバインダー剤2を添加する。この際、例えば、バインダー剤2の添加量を、{銀粘土用粉末1の総重量:バインダー剤2=10:1}程度とすることができる。また、バインダー剤2には必要に応じて油脂や界面活性剤を添加することができる。
そして、混合装置50内において、銀粘土用粉末1とバインダー剤2と混合して混練することにより、銀粘土5が得られる。
[銀合金焼結体]
本発明に係る銀合金焼結体は、上記構成の銀粘土5を任意の形状に造形、成形した後、後述の条件で焼成することによって得られ、Ag−Cu固溶体中にCu−Ag固溶体が析出したAg合金相と、Ag合金相の粒界の一部に介在する介在相と、を備え、介在相は、Cu−Ge金属間化合物を含むCu−Ge合金相と、酸化ゲルマニウム相と、を有する組織であることを特徴とする。
本発明に係る銀合金焼結体は、優れた機械的強度を有しているので、例えば、大きな衝撃が加えられた場合であっても、割れや破断が生じたりするのを抑制することが可能となる。
また、本発明の銀合金焼結体は、優れた機械的強度とともに高い伸び性を有しているので、例えば、焼成後の銀合金焼結体に対して曲げを伴う追加加工を施した場合でも、亀裂や破断等が生じるのを抑制することが可能となる。
以下に、上述したような本発明に係る銀合金焼結体を製造する方法の一例について、図2(a)〜(e)の模式図を参照しながら説明する。
本発明に係る銀合金焼結体10の製造方法は、上記構成の銀粘土5を所定の形状に成形することで成形体51とし、次いで、この成形体51を、例えば、室温〜100℃の温度で、30〜720分の時間で乾燥処理した後、大気中において、400〜600℃の温度で、15分以上の時間で仮焼成を行い、次いで、成形体51を、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において、750〜780℃の温度で、30〜120分の時間で焼成を行うことによって銀合金焼結体10とする方法である。ここで、上記焼成を行う方法としては、例えば、成形体51を活性炭中に埋め込んだ状態とした後、750〜780℃の温度で、30〜120分の時間で活性炭還元焼成を行う方法を採用することができる。
まず、図2(a)に示すように、銀粘土5を、例えば、スタンパやプレス成形、押出成形等による機械加工、あるいは、作業者の手加工等、従来公知の方法により、所定の形状に造形、成形して成形体51とする。
次いで、図2(b)に示すように、電気炉80に成形体51を導入して乾燥処理を行うことにより、水分等を除去する。
この際の乾燥温度としては、効果的に乾燥処理を行う観点から、例えば、室温あるいは80℃程度の温度から、100℃までの範囲の温度とすることが好ましい。また、同様の観点から、乾燥処理を行う時間は、例えば、30〜720分、より好ましくは30〜90分の範囲の時間とし、一例として、乾燥温度:100℃程度で、乾燥時間:60分程度とした条件で乾燥処理を行うことができる(図2(b)に示す例)。
次いで、図2(c)に示すように、同じ電気炉80を用いて、大気雰囲気中において仮焼きを行うことにより、脱バインダー処理を施す。
この際の仮焼き温度としては、効果的に脱バインダー処理を行う観点から、上述したように、大気中において400〜600℃の範囲の温度とすることが好ましい。また、同様の観点から、仮焼き時間は15分以上の時間とすることが好ましく、例えば、仮焼き温度:500℃程度で、仮焼き時間:30分程度として仮焼きを行うことができる。
次いで、図2(d)に示すように、成形体51に対して焼成を施すことにより、銀合金焼結体10とする。また、本発明においては、図示例のような装置を用いることにより、成形体51に対して焼成を施すことで銀合金焼結体10を製造する方法を採用することができる。
この際、まず、成形体51を、陶器製の焼成容器60中に充填された活性炭61中に埋め込む。この際、成形体51を完全に埋め込むことと、活性炭が燃焼した場合に成形体51が外部に露出するのを防止するため、焼成容器60中の活性炭61の表面から成形体51までの距離を10mm程度確保することが好ましい。
そして、内部において成形体51が活性炭61中に埋め込まれた状態の焼成容器60を大気雰囲気中において電気炉80に導入し、上述したように、750〜780℃の範囲の温度で、30〜120分の時間で加熱することで、焼成を行う。
本発明においては、酸化銅粉及びGeO粉末を含む混合粉末とされた銀粘土用粉末1からなる銀粘土5を用いて成形した後、所定の条件で焼成を行う方法なので、優れた機械的強度と伸び性とを併せ持つ銀合金焼結体10を製造することが可能である。
そして、例えば、図2(e)に示すように、焼成によって得られた銀合金焼結体10に対し、表面研磨や装飾処理等、後加工を施して製品とすることができる。
なお、図2(a)〜(e)に示す例においては、図示並びに説明の都合上、銀粘土5を成形して得られる成形体51及び銀合金焼結体10を略ブロック状に形成しているが、美術性を兼ね備えた種々の形状とすることができることは言うまでも無い。
また、本実施形態においては、乾燥処理や焼成の各工程において、電気炉を用いる例を説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ガス加熱装置等、安定した加熱条件管理が可能なものであれば、何ら制限無く採用することができる。
以上説明したように、本発明の銀粘土用粉末1によれば、上記構成及び作用により、この銀粘土用粉末1を用いた銀粘土5を構成することで、成形後に加熱焼成して得られる銀合金焼結体10の機械的強度や伸び性を向上させることが可能となる。
また、本発明の銀粘土5の製造方法によれば、上記構成の銀粘土用粉末1を用いて混練する方法なので、上記同様、成形後に加熱焼成して得られる銀合金焼結体10の機械的強度や伸び性を向上させることが可能な銀粘土5を製造することができる。
また、本発明の銀合金焼結体10の製造方法によれば、上記構成の銀粘土5を用いて成形した後、規定条件で乾燥処理や焼成を行うことにより、機械的強度や伸び性に優れた銀合金焼結体10を製造することが可能となる。
以下、実施例を示して、本発明の銀粘土用粉末、銀粘土及び銀合金焼結体、並びに、銀粘土の製造方法及び銀合金焼結体の製造方法を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは無い。
[実施例]
本実施例では、まず、以下の手順で銀粘土用粉末を作製した。
銀粘土用粉末の作製にあたっては、Ag材料粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法にて測定;アトマイズ粉)、CuO粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法にて測定;キシダ化学株式会社製試薬・純度97%以上)、GeO材料粉末1C(平均粒径1μm以下:SEM観察にて測定;高純度化学研究所製試薬・純度4N)を、図1に示すような混合装置50に導入し、混合装置内において混練することによって、Ag−6%CuO−6%GeO、Ag−9.8%CuO−2.4%GeOとした混合粉末(銀粘土用粉末)を作製した。
次に、上記手順で得られた混合粉末(銀粘土用粉末)を装置内に残した状態で、さらに、バインダー剤(メチルセルロース、界面活性剤、オリーブ油および水)を添加して混練することによって銀粘土を作製した。
ここで、前記各銀粘土用粉末に対して、バインダーとしてメチルセルロース、油脂としてはオリーブ油を用い、銀粘土用粉末を85質量%、メチルセルロースを4.5質量%、界面活性剤(ポリエチレングリコール)を1.0質量%、オリーブ油を0.3質量%および水が残部となる配合として、銀粘土を作成した。
次に、上記手順で得られた銀粘土を成形することにより、直径1.2mm程度で長さ50mm程度の寸法を有するワイヤー状焼結体、並びに、長さ30mm、幅3mm、厚さ3mm程度の寸法を有する成形体51(焼成前)を作製した。
次いで、図2(b)に示すように、成形体51を電気炉(Orton:evenheat kiln inc.)80に導入し、乾燥温度を100℃とし、乾燥時間を60分とした条件で乾燥処理を行うことにより、成形体51に含まれる水分等を除去した。
次いで、図2(c)に示すように、同じ電気炉80を用いて、大気雰囲気中において500℃の温度で30分間の仮焼きを行うことにより、脱バインダー処理を行った。
次いで、成形体51に対して焼成を施すことにより、銀合金焼結体を作製した。
具体的には、図2(d)に示すように、内部に活性炭61が充填された陶器製の焼成容器60を用意し、成形体51を活性炭61中に埋め込んだ。この際、活性炭61の表面から成形体51までの距離を10mm程度とした。
そして、成形体51が活性炭61中に埋め込まれた状態の焼成容器60を電気炉80に導入し、下記の条件で焼成を行うことにより、実施例1〜5の銀合金焼結体10を作製した。実施例1では、加熱温度780℃、加熱時間60分とした。実施例2,5では、加熱温度760℃、加熱時間60分とした。実施例3,4では、加熱温度770℃、加熱時間60分とした。
本実施例では、得られた銀粘土の変色について、以下の手順で評価した。まず、所定量(10g)の銀粘土を採取し、この銀粘土を透明なポリエチレンフィルムで包んだ板材で挟み、厚さ3mmとなるように押し潰した。そして、室温、大気雰囲気下で保管して変色の有無を目視によって観察した。評価結果を表1に示す。
また、本実施例においては、作製した銀合金焼結体10を試験片として用い、以下に説明する条件で、機械的強度を示す指標として、曲げ強度、引張り強度、密度、表面硬度を測定するとともに、伸び性を示す指標として破断時伸びを測定した。
曲げ強度については、島津製作所製オートグラフ:AG−Xを用い、押し込み速度0.5mm/minの三点曲げ試験にて応力曲線を測定し、弾性領域の最大点応力を測定することで求めた。
また、引張り強度については、上記同様、島津製作所製オートグラフAG−Xを用い、引張り速度5mm/minで応力測定を行い、試験片が破断した瞬間の応力を測定することで求めた。
また、密度は、チョウバランス社製自動比重測定装置「アルキメデス(駆動部SA301、データ処理部SA601)」によって測定した。
また、表面硬度は、試験片の表面を研磨した後、アカシ微小硬度計を用い、荷重100g、荷重保持時間10秒という条件にてビッカース硬度を測定することによって求めた。
また、破断時伸びは、島津製作所製オートグラフAG−Xを用い、引張り速度5mm/minで応力測定を行い、試験片が破断した瞬間の試験片の伸びを測定することで求めた。
そして、表1に評価結果の一覧を示した。
[比較例1−3]
比較例1−3においては、Ag材料粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法にて測定;アトマイズ粉)、Cu材料粉末(平均粒径20μm:マイクロトラック法にて測定;福田金属箔粉工業社製還元粉)、GeO材料粉末1C(平均粒径1μm以下:SEM観察にて測定;高純度化学研究所製試薬・純度4N)を用いて、上述の実施例と同様の手順で、Ag−4.5%Cu−3%GeO、Ag−4.5%Cu−4%GeO、Ag−6%Cu−4%GeOとした混合粉末を作製した。
この混合粉末を用いて、実施例と同様の手順で銀粘土を製出した。なお、バインダー剤2の組成も実施例と同一とした。
得られた銀粘土を、実施例と同様の手順で、成形、乾燥、仮焼成、焼成を実施して、銀合金焼結体を製出した。なお、焼成時の条件は、Ag−4.5%Cu−3%GeO、Ag−4.5%Cu−4%GeOの場合には加熱温度:780℃、加熱時間:60分とし、Ag−6%Cu−4%GeOの場合には加熱温度:770℃、加熱時間:60分とした。
この比較例の銀粘土について、実施例と同様の手順で変色の評価を実施した。また、比較例の銀合金焼結体について、実施例と同様の手順で機械的特性を評価した。評価結果の一覧を表1に併せて示した。
[従来例(純銀粘土)]
従来例においては、銀粘土用粉末として、粒径1〜15μmであって純度99.9%の銀粉末を用いることで純銀粘土を作製し、仮焼きは行わず、大気中にて700℃10分焼成を行った点を除き、上記実施例と同様の手順及び条件によって銀合金焼結体を製造し、この銀合金焼結体について上記実施例と同様の方法で評価した。
表1に評価結果の一覧を示した。
Figure 0005741827
[評価結果]
表1に示すように、本発明の規定範囲内で作製した銀粘土用粉末からなる銀粘土においては、2週間経過後においても変色が認められなかった。
一方、酸化銅の代替として金属Cuを含有する比較例1−3の銀粘土においては、3日経過後には変色が確認された。
このことから、銅成分として酸化銅を用いることにより、銀粘土の変色が抑制されることが確認された。
また、機械的特性を評価した結果、実施例及び比較例1−3ともに、曲げ強度、引張り強度、表面硬度、密度の何れも高い値を示し、また、伸び性の指標となる破断時伸びも優れていることが明らかとなった。
また、銀粘土用粉末として純度99.9%の銀粉末を用いた銀焼結体と比較すると、表1に示す実施例は、従来例に比べて、機械的強度の指標となる曲げ強度、引張り強度、表面硬度及び密度が何れも優れていることが明らかであり、また、伸び性の指標となる破断時伸びについても、従来例と同等以上であることが明らかである。
以上説明した各評価試験の結果により、本発明の銀粘土用粉末を用いた銀粘土から、焼成によって銀合金焼結体を製造することにより、機械的強度や伸び性に優れる銀合金焼結体が得られることが明らかである。また。銀粘土の変色を抑制することが可能であることが確認された。
1 銀粘土用粉末(銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末)
2 バインダー剤
5 銀粘土(銀合金焼結体形成用の粘土状組成物)
10 銀合金焼結体

Claims (5)

  1. 少なくとも、銀(Ag)、酸化銅及び酸化ゲルマニウム(GeO)の粉末を各々含有し、これら各粉末が混合された混合粉末と、バインダーと水とを含むバインダー剤と、を含有し
    前記混合粉末は、前記混合粉末全体に対して質量%で、CuO粉:1.2〜11%、GeO 粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることを特徴とする銀合金焼結体形成用の粘土状組成物。
  2. 前記混合粉末を、質量%で70〜95%の範囲で含有し、前記バインダー剤を、質量%で5〜30%の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物。
  3. 前記バインダーが、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉の内の、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物。
  4. 少なくとも、銀(Ag)、酸化銅及び酸化ゲルマニウム(GeO)の粉末を各々含有し、これら各粉末が混合された混合粉末とされており、
    質量%で、CuO粉:1.2〜11%、GeO 粉:1〜9%を各々含有し、残部がAg粉及び不可避不純物からなることを特徴とする銀合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の銀合金焼結体形成用の粘土状組成物を所定の形状に成形することで成形体とし、
    次いで、前記成形体を乾燥処理した後、大気中において、400〜600℃の温度で、15分以上の時間で仮焼成を行い、
    次いで、前記成形体を750〜780℃の温度で、30〜120分の時間で活性炭還元焼成を行うことにより、銀合金焼結体とすることを特徴とする銀合金焼結体の製造方法。
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