JP3978727B2 - 耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末および変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土 - Google Patents

耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末および変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末およびその銀粘土用金被覆銀粉末を含む変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀粉末を含んだ銀粘土が市販されており、この銀粘土を所定の形状に成形し、焼結して所定の形状を有する銀の宝飾品または美術工芸品を製造する方法が提案されている。この方法によると、銀粘土を通常の粘土細工と同じように自由に造形を行うことができ、造形して得られた造形体は、乾燥したのち、焼結炉を設置した場所に運び、そこで焼結することにより極めて簡単に銀の宝飾品または美術工芸品を製造することができる。
【0003】
前記従来の銀粘土は、純度:99.99質量%以上の高純度からなる平均粒径:3〜20μmの銀粉末:50〜95質量%、セルローズ系水溶性バインダー:0.8〜8質量%、油脂:0.1〜3質量%、界面活性剤:0.03〜3質量%を含有し、残りが水からなるものであることは知られている(特許文献1または特許文献2参照)。
【0004】
この銀粘土の焼結性は、そこに含まれる銀粉末の平均粒径および粒度分布に大きく依存し、一般には、平均粒径:0.5〜50μmのAg粉末が使用されているが、近年、平均粒径:2μm以下のAg微細粉末(好ましくは平均粒径:0.5〜1.5μmのAg微細粉末):15〜50質量%に、平均粒径:2μmを越え100μm以下のAg粉末(好ましくは平均粒径:3〜20μmのAg粉末):50%越え〜85質量%未満を混合して得られた混合銀粉末を銀粘土用の原料粉末として使用し、この混合銀粉末に水および有機系バインダーを添加して作製した銀粘土が提案されている。
この銀粘土用銀粉末は、平均粒径:2μm以下(好ましくは0.5〜1.5μm、一層好ましくは平均粒径:0.6〜1.2μm)のAg微細粉末と平均粒径:2μm越え100μm以下(好ましくは3〜20μm、一層好ましくは平均粒径:3〜8μm)のAg粉末とを混合した混合銀粉末で構成されており、この平均粒径:2μm以下のAg微細粉末はピークを少なくとも一つ持つ粒度分布を有し、さらに平均粒径:2μm越え100μm以下のAg粉末はピークを少なくとも一つ持つ粒度分布を有するところから、この銀粘土用銀粉末は少なくとも二つのピークを持つ粒度分布を有する混合粉末となっている。この少なくとも二つのピークを持つ粒度分布を有する混合粉末を含む銀粘土は、そこに含まれる混合銀粉末の低温焼結性が一層優れるところから、純銀の融点よりも250〜410℃低い温度(すなわち、550〜710℃未満の温度)で燒結しても十分な燒結がなされ、また所望の引張り強度および密度が得られることなどが知られている(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−26707号公報
【特許文献2】
特開2002−69506号公報
【特許文献3】
特開2002−241802号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
Ag粉末に水および有機バインダーを添加し混練して得られた従来の銀粘土は、Ag粉末が常に水などと接触している状態にあるので、銀粘土を長期間保存すると、Ag粉末の表面が酸化あるいは硫化して変色し、そのために銀粘土が変色することがあった。この変色により銀粘土の低温焼結性が劣化することはないが、商品としては好ましくない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、酸化あるいは硫化しにくくかつ低温焼結性にも優れた銀粉末を開発し、この銀粉末を用いて変色することがなくかつ低温焼結性に優れた銀粘土を製造すべく研究を行っていた。その結果、下記の知見が得られたのである。すなわち、
(イ)Ag粉末の表面にAu膜を形成して得られたAu被覆Ag粉末は、表面にAu膜が形成されているのでAg粉末の表面に酸化膜あるいは硫化膜が生成して変色し難くなるものの、AuはAgに比べて融点が高いところからAu膜を形成して得られたAu被覆Ag粉末は一般に低温焼結性を阻害すると考えられていた。しかし、Ag粉末の表面に形成するAu膜の厚さを極端に薄くすると、低温焼結性が損なわれることなく、酸化膜あるいは硫化膜が生成しないためにかえって低温焼結性が向上する。
(ロ)このAu被覆Ag粉末の表面に形成されているAu膜はその厚さが薄いほど低温焼結性が向上し、Au膜の厚さが0.01〜1μmの範囲内にあると従来の銀粘土用Ag粉末によりも低温焼結性が向上し、このAu被覆Ag粉末に水および有機バインダーを添加し混練して得られた銀粘土は低温焼結性が一層向上するとともにAg粉末の表面に酸化膜あるいは硫化膜が生成しないところから、長期間保存しても銀粘土が変色することはない。
(ハ)このAu被覆Ag粉末は、具体的には、平均粒径:0.5〜50μmのAg粉末に膜厚:0.01〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末であって、前記Au被覆Ag粉末を構成するAu膜の膜厚はAg粉末の半径よりも小さな値を有することが好ましい。
(ニ)平均粒径:0.5〜5μmのAg微細粉末に膜厚:0.01〜0.1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag微細粉末と平均粒径:5μmを越え50μm以下のAg粉末に膜厚:0.1越え〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末とを混合して得られた混合粉末を含む銀粘土は、低温焼結性が一層向上し、しかも長期間保存しても変色することがなく、この混合粉末の配合割合は、Au被覆Ag微細粉末:15〜50質量%、Au被覆Ag粉末:残部となるように配合することが一層好ましい。
【0008】
この発明は、かかる知見にもとづいてなされたものであって、
)平均粒径:0.5〜50μmのAg粉末に膜厚:0.01〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末であって、前記Ag粉末に被覆するAu膜の膜厚は前記Ag粉末の半径よりも小さな値を有する耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末、
)平均粒径:0.5〜5μmのAg微細粉末に膜厚:0.01〜0.1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag微細粉末:15〜50質量%、平均粒径:5μmを越え50μm以下のAg粉末に膜厚:0.1越え〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末:残部、となるように配合し混合してなるAu被覆Ag混合粉末で構成された耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末、に特徴を有するものである。
【0009】
この発明の銀粘土は、前記(1)または(2)記載の銀粘土用金被覆銀粉末に水および有機系バインダーまたは水および有機系バインダーに油脂、界面活性剤などを添加して作られた粘土であり、したがって、この発明は、
)前記(1)または(2)記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%を含有し、残りが水からなる変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土、
)前記(1)または(2)記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%、界面活性剤:0.03〜3質量%を含有し、残りが水からなる変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土、
)前記(1)または(2)記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%、油脂:0.1〜3質量%を含有し、残りが水からなる変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土、
)前記(1)または(2)記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%、油脂:0.1〜3質量%、界面活性剤:0.03〜3質量%を含有し、残りが水からなる変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土、に特徴を有するものである。
【0010】
この発明の銀粘土用金被覆銀粉末は、市販の平均粒径:0.5〜50μmのAg粉末に膜厚:0.01〜1μmのAu膜をAu膜の膜厚がAg粉末の半径よりも小さくなるように被覆してなるAu被覆Ag粉末であることが好ましい。Au膜の膜厚がAg粉末の半径よりも大きくなると、Au粉末の特性が顕著に現れるようになり、焼結温度が上昇し、Ag粉末の持つ低温焼結性が損なわれるからである。したがって、この発明の銀粘土用金被覆銀粉末は、Au膜の膜厚が薄いほど低温で燒結することができるので好ましい。
【0011】
次に、この発明の銀粘土用金被覆銀粉末が、平均粒径:0.5〜5μmのAg微細粉末に膜厚:0.01〜0.1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag微細粉末:15〜50質量%に対して、平均粒径:5μmを越え50μm以下のAg粉末に膜厚:0.1越え〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末:残部となるように配合し混合してなる混合粉末である場合における限定理由について説明する。
Au被覆Ag微細粉末:
平均粒径:0.5〜5μmのAg微細粉末は、化学還元法あるいはアトマイズ法により製造した球状のAg微細粉末であることが一層好ましい。この平均粒径:0.5〜5μmのAg微細粉末に膜厚:0.01〜0.1μmのAu膜を被覆したのは、Auの膜厚が0.01μm未満では厚さが薄すぎてAg酸化膜形成を十分に阻止することができないからであり、膜厚:0.1μmを越える厚さのAu膜を被覆すると、Au粉末を添加したのと同じ状態になり、焼結温度が上昇して低温焼結性が損なわれるようになるので好ましくないからである。
また、このAu被覆Ag微細粉末の含有量を15〜50質量%に限定した理由は、Au被覆Ag微細粉末の含有量が15質量%未満であると、得られる燒結体の機械的強度が弱くなるので好ましくなく、一方、Au被覆Ag微細粉末の含有量が50質量%を越えると、粘土状にするための有機系バインダー量が増加し、燒結時の収縮率が大きくなるので好ましくないことによるものである。Au被覆Ag微細粉末の含有量の一層好ましい範囲は20〜45質量%である。
【0012】
Au被覆Ag粉末:
さらに、この発明の銀粘土用金被覆銀粉末に含まれる残りのAu被覆Ag粉末を平均粒径:5μmを越え50μm以下のAg粉末に膜厚:0.1越え〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末に限定したのは、この平均粒径:5μmを越え50μm以下のAg粉末に膜厚:0.1μm以下のAu膜を被覆しても薄すぎてAg酸化膜形成を十分に阻止することができないからであり、一方、1μmを越える厚さのAu膜を形成すると焼結温度が上昇して十分な低温焼結性を確保することが難しくなるからである。
なお、この発明の変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末を構成するAg微細粉末およびAg粉末の平均粒径は、凝集した粉末塊を含まないAg微細粉末およびAg粉末の平均粒径である。
【0013】
この発明の変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土に含まれる前記(1)または(2)記載の銀粘土用金被覆銀粉末の量を70〜95質量%に限定したのは、70質量%未満では得られた焼成体の金属光沢を示すに十分な効果が得られず、一方、95質量%を越えて含有すると粘土としての伸びおよび強度が低下するようになるので好ましくないからである。
【0014】
この発明の変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土に含まれる有機系バインダーは、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉などいかなるバインダーを使用してもよいが、セルロース系バインダー、特に水溶性セルロースが最も好ましい。これらバインダーは、加熱すると速やかにゲル化して造形体の形状保持を容易にするために添加するが、その添加量は0.8質量%未満では効果がなく、一方、8質量%を越えて含有すると、得られた造形体に微細なひび割れが発生し、光沢も減少するので好ましくない。したがって、この発明の耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土に含まれるバインダーは、0.8〜8質量%に定めた。バインダー含有量の一層好ましい範囲は0.8〜5質量%である。
【0015】
前記界面活性剤は必要に応じて添加し、添加する場合の添加量は0.03〜3質量%が好ましい。また、添加する界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤を使用することができる。
【0016】
前記油脂も必要に応じて添加し、添加する場合の添加量は0.1〜3質量%が好ましい。添加する油脂は有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン、)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)などがある。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施例1
表1に示される平均粒径を有するアトマイズAg粉末を用意し、さらに、有機系バインダーとしてメチルセルローズ、界面活性剤、油脂としてオリーブ油および水を用意した。
【0018】
表1に示される平均粒径を有するアトマイズAg粉末に無電解メッキまたは電解メッキを施すことにより前記アトマイズAg粉末の表面に表1に示される厚さのAu膜を形成し、Au被覆Ag粉末を作製した。
これらAu被覆Ag粉末に、メチルセルローズ、界面活性剤、オリーブ油および水を添加し、Au被覆Ag粉末:85質量%、メチルセルローズ:4.5質量%、界面活性剤:1.0質量%、オリーブ油:0.3質量%、水:残部の配合組成を有する本発明銀粘土1〜12および比較銀粘土1〜2を作製した。
さらに、比較のために、平均粒径:20μmを有するアトマイズAg粉末に対して、メチルセルローズ、界面活性剤、オリーブ油および水を添加し、Au被覆Ag粉末:85質量%、メチルセルローズ:4.5質量%、界面活性剤:1.0質量%、オリーブ油:0.3質量%、水:残部の配合組成を有する従来銀粘土1を作製した。
【0019】
これら本発明銀粘土1〜12、比較銀粘土1〜2および従来銀粘土1で造形し、得られた造形体を600℃の低温度で30分間燒結することにより縦:3mm、横:4mm、長さ:65mmの寸法を有する試験片燒結体を作製し、得られた試験片燒結体の引張り強さおよび密度を測定し、その測定結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
Figure 0003978727
【0021】
表1に示される結果から、アトマイズAg粉末に膜厚:0.01〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末を含む本発明銀粘土1〜12は、平均粒径:20μmを有するAu膜被覆のない通常のアトマイズAg粉末を含む従来銀粘土1に比べて、試験片焼結体の引張強さおよび密度が大きいところから、低温焼結性が優れていることが分かる。しかし、この発明の範囲外の厚さのAu膜を形成したAu被覆Ag粉末を含む比較銀粘土1〜2はAg酸化膜や硫化膜の形成を十分に阻止することができないために変色したり、また、Au膜の厚さが厚すぎると低温焼結性が低下するので好ましくないことが分かった。
【0022】
実施例2
表2に示される平均粒径を有するアトマイズAg粉末を用意し、さらに表2に示される平均粒径を有する化学還元法により製造した球状のAg微細粉末を用意した。さらに、有機系バインダーとしてメチルセルローズ、界面活性剤、油脂としてオリーブ油および水を用意した。
【0023】
表2に示される平均粒径を有するアトマイズAg粉末に無電解メッキまたは電解メッキを施すことにより前記アトマイズAg粉末の表面に表2に示される厚さのAu膜を形成し、Au被覆Ag粉末A〜Uを作製した。
さらに、表2に示される平均粒径を有する化学還元法により製造した球状のAg微細粉末に無電解メッキまたは電解メッキを施すことにより前記Ag微細粉末の表面に表2に示される厚さのAu膜を形成し、Au被覆Ag微細粉末a〜uを作製した。
【0024】
【表2】
Figure 0003978727
【0025】
Au被覆Ag粉末A〜Uに対し、Au被覆Ag微細粉末a〜uを表3に示される割合で配合し混合してAu被覆Ag混合粉末を作製し、得られたAu被覆Ag混合粉末にメチルセルローズ、界面活性剤、オリーブ油および水を添加し、Au被覆Ag混合粉末:85質量%、メチルセルローズ:4.5質量%、界面活性剤:1.0質量%、オリーブ油:0.3質量%、水:残部となる配合組成を有する本発明銀粘土13〜28および比較銀粘土3〜6を作製した。
さらに、比較のために、平均粒径:1μmを有する化学還元法により製造した球状のAg微細粉末:40質量%、残部:平均粒径30μmのアトマイズAg粉末となるように配合し混合してAg混合粉末を作製し、このAg混合粉末にメチルセルローズ、界面活性剤、オリーブ油および水を添加し、Ag混合粉末:85質量%、メチルセルローズ:4.5質量%、界面活性剤:1.0質量%、オリーブ油:0.3質量%、水:残部となる配合組成を有する従来粘土2を作製した。
【0026】
これら本発明銀粘土13〜28、比較銀粘土3〜6および従来銀粘土2を常温で5年間保存したのち取り出して造形し、得られた造形体を600℃の低温度で30分間燒結することにより縦:3mm、横:4mm、長さ:65mmの寸法を有する試験片燒結体を作製し、得られた試験片燒結体の引張り強さおよび密度を測定し、その測定結果を表3に示した。
【0027】
【表3】
Figure 0003978727
【0028】
表2〜3に示される結果から、Au被覆Ag粉末A〜PとAu被覆Ag微細粉末a〜pを混合して得られたAu被覆Ag混合粉末を含む本発明銀粘土13〜28は、Au膜被覆のないAg混合粉末を含む従来銀粘土2に比べて、試験片焼結体の引張強さおよび密度が大きいところから、低温焼結性が優れていることが分かる。しかし、この発明の範囲外の厚さのAu膜を形成したAu被覆Ag粉末を含む比較銀粘土3〜6はAg酸化膜または硫化膜の形成を十分に阻止することができないために変色したりすることがあったり、また、Au膜の厚さが厚すぎると低温焼結性が低下するので好ましくないことが分かった。
【0029】
【発明の効果】
上述のように、この発明の銀粘土用金被覆銀粉末は金が被覆されているので耐食性に優れており、この金被覆銀粉末を含む銀粘土は、従来の銀粘土に比べて変色することがなく、また低温焼結性にも優れているので、無駄なく銀粘土を使用して簡単に美術工芸品や宝飾品をつくることができるなど優れた効果を奏するものである。

Claims (6)

  1. 平均粒径:0.5〜50μmのAg粉末に膜厚:0.01〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末であって、前記Ag粉末に被覆するAu膜の膜厚は前記Ag粉末の半径よりも小さな値を有することを特徴とする耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末。
  2. 平均粒径:0.5〜5μmのAg微細粉末に膜厚:0.01〜0.1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag微細粉末:15〜50質量%、平均粒径:5μmを越え50μm以下のAg粉末に膜厚:0.1越え〜1μmのAu膜を被覆してなるAu被覆Ag粉末:残部、
    となるように配合し混合してなるAu被覆Ag混合粉末で構成されたことを特徴とする耐食性および低温焼結性に優れた銀粘土用金被覆銀粉末。
  3. 請求項1または2記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、残りが有機系バインダーと水からなることを特徴とする変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土。
  4. 請求項1または2記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%、界面活性剤:0.03〜3質量%を含有し、残りが水からなることを特徴とする変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土。
  5. 請求項1または2記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%、油脂:0.1〜3質量%を含有し、残りが水からなることを特徴とする変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土。
  6. 請求項1または2記載の銀粘土用金被覆銀粉末:70〜95質量%、有機系バインダー:0.8〜8質量%、油脂:0.1〜3質量%、界面活性剤:0.03〜3質量%を含有し、残りが水からなることを特徴とする変色することのない低温焼結性に優れた銀粘土。
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