JP5861321B2 - 銅化合物を用いた銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、粘土状組成物および粘土状組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであり、以下に示す構成を有するものである。
ここで、銅化合物粉末は、金属Cuに比べて化学的に安定していることから、大気雰囲気中において容易に変質(銅イオンの価数が変化)するおそれが少ない。このため、この銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末を用いて粘土状組成物を作成した場合、粘土状組成物の変色が抑制されるという効果を奏する。
さらに、この銅化合物粉末が、例えば、水酸化銅などのような少なくとも550℃以下で酸化銅に変化する銅化合物を含有していることによって、粘土状組成物を加熱してバインダーを除去する仮焼成の際に、加熱された銅化合物が酸化銅に変化する。そして、仮焼成の後に還元雰囲気で行われる本焼成で、酸化銅が金属Cuに還元され、生成した金属Cuと銀含有粉末が合金化、焼結する。
なお、塩基性炭酸銅(II)、ぎ酸銅(II)四水和物、については、大気中で550℃、30分の加熱を実施し、酸化銅になることを確認した。
酸化銅が3質量%を超えて銅化合物粉末中に含まれていると、酸化銅の黒色の色の影響が強く出て粘土状組成物の色調が悪くなるため好ましくない。したがって、銅化合物粉末中に酸化銅が含まれている場合は、粉末成分全体に対して3質量%以下とすることが好ましい。
前記粉末成分中の金属Cuの含有割合を2質量%以下とすることにより、銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物の変色を確実に防止することができる。なお、前記粉末成分中に含まれる金属Cuとしては、例えば、金属Cu粉末、AgとCuの合金粉末に含まれる金属Cu等が挙げられる。
この場合、銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を焼成して得られる銀銅合金焼結体の機械的強度および伸び等を向上させることが可能となる。
なお、銅化合物として水酸化銅を用いる場合には、その平均粒径は、20μm以上50μm以下とすることが好ましい。
さらに、本発明の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物は、必要に応じてさらに油脂および界面活性剤のうち少なくとも一方が添加されていても良い。
また、本発明の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物は、前記バインダーを、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉のうち、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成しても良い。また、前記の中でも、セルロース系バインダー、特に水溶性セルロースから構成することが最も好ましい。
前記界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤を使用することができる。
前記油脂としては、例えば、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)等を挙げることができる。
この構成の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法によれば、銅化合物粉末を有し、変色し難い銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を製造することが可能となる。
この構成の銀銅合金焼結体によれば、前述した構成の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を焼成したものであることから、純Ag粉末からなる銀粘土を焼成したものに比べて、機械的強度を向上させることができる。すなわち、前述の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を加熱焼成して得られた銀銅合金焼結体は、すぐれた機械的強度や伸び等を備えることになる。
前記構成の銀銅合金焼結体の製造方法によれば、前述の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を成形した後、乾燥処理や加熱焼成処理を行うことにより、機械的強度や伸び等にすぐれた銀銅合金焼結体を製造することができる。
この構成の銀銅合金焼結体の製造方法によれば、活性炭による還元により、成形体の焼結を促進することができる。
本発明の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物によれば、前記構成および作用により、銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物の変色を抑制することができるとともに、成形後に加熱焼成して得られる銀銅合金焼結体の機械的強度や伸び等を向上させることが可能となる。
本発明の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法によれば、前述の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を確実に製造することが可能となる。
本発明の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を用いた銀銅合金焼結体によれば、純Ag粉末からなる銀粘土を焼成したものに比べて、機械的強度を向上させることができる。
また、本発明の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を用いた銀銅合金焼結体の製造方法によれば、前記構成の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を用いて成形した後、規定条件で乾燥処理や焼成を行うことにより、機械的強度や伸び等にすぐれた銀銅合金焼結体を製造することができる。
なお、本実施形態では、銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物を銀粘土と、銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末を銀粘土用粉末と称して説明する。
本実施形態に係る銀粘土用粉末は、銀を含む銀含有粉末と、銅化合物粉末を含むものである。そして、銅化合物粉末は、少なくとも550℃以下で酸化銅に変化する化合物を含有している。少なくとも550℃以下で酸化銅に変化する化合物としては、後述する実施例においては水酸化銅を用いているが、水酸化銅の他に、塩基性炭酸銅(II)、ぎ酸銅(II)四水和物も水酸化銅と同様の作用を奏することが確認されている。さらに、アセチルアセトン銅(II)、ステアリン酸銅(II)、安息香酸銅(II)、酢酸銅(II)一水和物、臭化銅(I)、オレイン酸銅(II)、クエン酸銅(II)なども加熱により熱分解して酸化銅に変化する。
このような銀粘土用粉末を用いて、後述する添加物を加えて混練して銀粘土を構成することにより、加熱焼成して得られた銀銅合金焼結体において、機械的強度や伸び等が向上するとともに、銀粘土の変色を抑制できるといった効果が得られるものである。
そして、銅化合物粉末がすべて酸化銅に変化した際に、前記酸化銅の粉末成分全体に対する含有割合を4質量%以上35質量%以下とし、粉末成分中の全金属成分に対するAg元素の含有割合を46質量%以上97質量%以下とすることが好ましい。
ここで、Cuは、焼結中において銀銅合金焼結体のAgの中に拡散することにより強度向上効果を有する元素である。銅化合物粉末が分解してできた酸化銅の粉末成分全体に対する含有割合が4質量%以上35質量%以下である場合、銀銅合金焼結体中のCuの含有割合に換算すると3質量%以上30質量%以下となる。銀銅合金焼結体中のCuの含有割合が3質量%未満だと、銀粘土を焼成して得られる銀銅合金焼結体の機械的強度を向上させる効果が得られ難くなるおそれがある。また、銀銅合金焼結体中のCuの含有割合が30質量%を超えると、伸びが低下するおそれがある。このため、銀銅合金焼結体中のCuの含有割合が3質量%以上30質量%以下となるように、銅化合物粉末がすべて酸化銅に変化した際に、銀粘土用粉末中の酸化銅の含有割合を4質量%以上35質量%以下の範囲内に設定することが好ましいのである。なお、銀粘土を焼成して得られる銀銅合金焼結体の色調を考慮した場合、銅化合物粉末がすべて酸化銅に変化した際の酸化銅の含有割合は35質量%以下とすることが好ましい。
すなわち、銀銅合金焼結体中に含有されるCu量が前記範囲となるように、銀を含む銀含有粉末の成分、銅化合物粉末の成分を考慮し、これら銀含有粉末と銅化合物粉末との混合比率を調整して、銀粘土を構成することが好ましい。
以下、本実施形態に係る銀粘土用粉末に含有される、Ag粉および水酸化銅粉の粒径について説明する。
本実施形態においては、Ag粉および水酸化銅粉の粒径については、特に限定されるものではないが、添加物としてのバインダー剤を加えて混練することで銀粘土とした場合の成形性等の諸特性を考慮し、以下に示す範囲の粒径とすることが好適である。
Ag粉の平均粒径が25μmを超えると、銀銅合金焼結体の色調が劣化したり、機械的強度を向上させる効果が小さくなったりするおそれがある。また、Ag粉の平均粒径が25μm超だと、粉末の焼結性が低下することから、長時間にわたる焼成時間を要してしまうとともに、銀銅合金焼結体の加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
なお、平均粒径の下限については特に定めないが、Ag粉の平均粒径を1μm以下とすることは工業生産的にコスト高となるおそれがあり、また、装置の限界等も考慮し、これを下限とすることが好ましい。
また、Ag粉の平均粒径は、1μm以上20μm以下の範囲とすることがより好ましく、3μm以上10μm以下の範囲とすることがさらに好ましい。
水酸化銅粉の平均粒径が50μmを超えると、銀銅合金焼結体の機械的強度を向上させる効果が得られ難くなるおそれがある。また、水酸化銅粉の平均粒径が50μmを超えると、前記Ag粉の場合と同様、粉末の焼結性が低下することから、長時間にわたる焼成時間を要してしまうとともに、銀銅合金焼結体の加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
なお、前記Ag粉と同様、平均粒径の下限は特に定めないが、装置の限界や工業生産的なコストの観点から、水酸化銅粉の平均粒径は20μmを下限とすることが好ましい。
また、水酸化銅粉の平均粒径は、25μm以上45μm以下の範囲であることがより好ましく、30μm以上40μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
次に、本実施形態の銀粘土について説明する。
本実施形態に係る銀粘土は、前記構成の銀粘土用粉末と、バインダー(本実施形態では有機バインダー)と、水とを含む。
例えば、本実施形態に係る銀粘土は、前記構成の銀粘土用粉末を70質量%以上95質量%以下の範囲で含有し、さらに、有機バインダーと水とを含むバインダー剤を5質量%以上30質量%以下の範囲で含有するものである。ここで、バインダー剤には、有機バインダーおよび水の他に、必要に応じて界面活性剤や油脂が添加されていてもよい。
この銀粘土は、化学的に安定な水酸化銅粉と、Ag粉とを含有した粉末成分を含む銀粘土であることから、大気雰囲気下において変色が抑制されることになる。また、水酸化銅は、2価の銅イオンに由来する青色を呈する。銀含有粉末と酸化銅粉末とを用いて粘土状組成物を製造した場合、酸化銅が黒色であるため、粘土状組成物が灰色っぽい汚い感じの色になるが、酸化銅を減らして水酸化銅を入れることで、酸化銅の黒色を目立たないようにすることができる。
前記界面活性剤は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤(例えばポリエチレングリコール等)を使用することができる。
本実施形態に係る銀粘土5の製造方法は、前記の銀粘土用粉末1を70質量%以上95質量%以下、有機バインダーと水とを含むバインダー剤2を5質量%以上30質量%以下として混練する方法である。
そして、混合装置50内で、前記各材料粉末を混合することにより、銀粘土用粉末1が得られる。
ここで、バインダー剤2は、有機バインダーを11質量%以上17質量%以下、油脂を5質量%以下、界面活性剤を2質量%以下、残部を水とした配合で混合したものとされている。
本実施形態に係る銀銅合金焼結体は、前記構成の銀粘土5を任意の形状に造形、成形した後、後述の条件で焼成することによって得られるものである。
この銀銅合金焼結体は、すぐれた機械的強度を有しているので、例えば、大きな外力が加えられた場合であっても、変形や破断が生じたりするのを抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る銀銅合金焼結体は、すぐれた機械的強度とともに高い伸びを有しているので、例えば、焼成後の銀銅合金焼結体に対して曲げを伴う追加加工を施した場合でも、亀裂や破断等が生じるのを抑制することが可能となる。
本実施形態に係る銀銅合金焼結体10の製造方法は、前記構成の銀粘土5を任意の形状に成形することで成形体51とし、次いで、この成形体51を、例えば、室温〜150℃の温度で、30分〜24時間で乾燥処理し、次いで、この成形体51を350〜550℃の温度、5分〜6時間の時間で仮焼成を行った後、還元雰囲気において、700〜870℃の温度で、30分以上6時間以下の時間で焼成を行うことによって銀銅合金焼結体10とする方法である。
次いで、図2(b)に示すように、電気炉80に成形体51を投入して乾燥処理を行うことにより、水分等を除去する。
この際の乾燥温度としては、効果的に乾燥処理を行う観点から、例えば、室温あるいは80℃程度の温度から150℃までの範囲の温度とすることが好ましい。また、同様の観点から、乾燥処理を行う時間は、例えば、30〜720分、より好ましくは30〜90分の範囲の時間とし、一例として、乾燥温度:100℃程度で、乾燥時間:60分程度とした条件で乾燥処理を行うことにより、成形体51に含まれる水分等を除去する。
そして、内部において成形体51が活性炭61中に埋め込まれた状態の焼成容器60を電気炉80に投入し、前述したように、700〜870℃の範囲の温度で、30分以上6時間以下の時間で加熱することで、焼成を行う。
また、本実施形態においては、乾燥処理や焼成の各工程において、電気炉を用いる例を説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ガス加熱装置等、安定した加熱条件管理が可能なものであれば、何ら制限無く採用することができる。
また、本実施形態である銀粘土5によれば、前記構成の銀粘土用粉末1を用いて混練して得られるものであることから、前記同様、成形後に加熱焼成して得られる銀銅合金焼結体10の機械的強度や伸び等を向上させることができる。さらに、Cuを水酸化銅として含んでいるので、銀粘土5の変色を抑制することができる。
さらに、本実施形態である銀銅合金焼結体10の製造方法によれば、前記構成の銀粘土5を用いて成形した後、規定条件で乾燥処理や焼成を行うことにより、機械的強度や伸び等にすぐれた銀銅合金焼結体10を製造することが可能となる。
例えば、Ag粉末と水酸化銅粉末とからなる銀粘土用粉末として説明したが、これに限定されることはなく、Ag粉末に代えてAg−Cu合金粉末であってもよく、銅化合物粉末として水酸化銅粉に加えて酸化銅粉末を含有していても良い。あるいは、Ag粉末と水酸化銅粉末の他にCu粉末やAg−Cu合金粉末を加えたものであってもよい。この場合、Cu粉末、Ag−Cu合金粉末に含まれる金属Cuの含有割合は、銀粘土用粉末全体に対して2質量%以下とすることが好ましい。これにより、銀粘土の変色を確実に抑制することができる。
まず、以下の手順で銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末(以下、銀粘土用粉末と称す)を作製した。
銀粘土用粉末の作製にあたっては、Ag粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法;アトマイズ粉)と、水酸化銅粉末(平均粒径30μm:マイクロトラック法;キシダ化学株式会社製試薬)とを、図1に示すような混合装置によって混合した。
これにより、Ag−11.1質量%Cu(OH)2(CuO換算:9.2質量%、Cu換算:7.5質量%)とされた本発明例の銀粘土用粉末を得た。
ここで、CuO換算とは、水酸化銅が熱分解してすべてCuOに変化した際の、粉末成分全体に対する含有割合を意味している。また、Cu換算とは、粉末成分中の全金属成分に対するCuの含有割合を意味している。
そして、銀粘土用粉末を85質量%、前述のバインダー剤を15質量%として混練し、銀粘土とした。
一方、本発明例2においては、バインダー剤は、有機バインダーとして、水溶性セルロースエステル(信越化学工業株式会社 メトローズSM8000)と馬鈴薯澱粉(日澱化学株式会社 デリカM9)とを、水溶性セルロースエステル:馬鈴薯澱粉=4:3の割合で混合したものを13質量%、残部が水となる配合とした。
そして、銀粘土用粉末を85質量%、前述のバインダー剤を15質量%として混練し、銀粘土とした。
次いで、図2(b)に示すように、前記ワイヤー状成形体および角柱状成形体の各成形体51を発明例毎に同時に電気炉(Orton:evenheat kiln inc.)80に投入し、乾燥温度を100℃とし、乾燥時間を60分とした条件で乾燥処理を行うことにより、前記各成形体51に含まれる水分等を除去した。
なお、図2においては、成形体51として1個の角柱状成形体のみを図示しており、ワイヤー状成形体の図示は省略している。
具体的には、図2(c)に示すように、内部に活性炭61が充填されたステンレス製の焼成容器60を用意し、各成形体51を活性炭61中に埋め込んだ。この際、活性炭61の表面から各成形体51までの距離を約10mmとした。
そして、各成形体51が活性炭61中に埋め込まれた状態の焼成容器60を電気炉80に投入し、全ての発明例共通で常温から870℃の温度まで約30分昇温、870℃の温度で30分間キープする本焼成を行うことにより、ワイヤー状および角柱状の銀銅合金焼結体10を作製した。
比較例1においては、銀粘土用粉末としてAg−7.5質量%Cuの合金粉末(平均粒径33μm:マイクロトラック法;アトマイズ粉)を使用して、前述の本発明例と同様に銀粘土を製出した。
また、比較例2においては、銀粘土用粉末として、Ag粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法;アトマイズ粉)と、Cu粉末(平均粒径20μm:マイクロトラック法;福田金属箔粉工業社製還元粉)とを、用いて、Ag−7.5質量%Cuとなるように配合した銀粘土用粉末を使用して、前述の本発明例と同様に銀粘土を製出した。
さらに、比較例3においては、銀粘土用粉末として粒径1μm以上15μm以下であって純度99.9%の銀粉末を使用して、前述の本発明例と同様に銀粘土を製出した。
次いで、本発明例と同様の仮焼成工程および本焼成を実施した。ただし、温度と時間については表1に記載の通りとし、比較例3については仮焼成工程を省略した。
作製した銀粘土および銀銅合金焼結体について、以下のような評価試験を行った。
まず、銀粘土の変色については、所定量(10g)の銀粘土を採取し、この銀粘土を透明なポリエチレンフィルムで包んだ板材で挟み、厚さ3mmとなるように押し潰した。そして、室温、大気雰囲気下で保管して変色の有無を目視によって観察して評価した。
曲げ強度については、島津製作所製オートグラフ:AG−Xを用い、押し込み速度0.5mm/minで応力曲線を測定し、弾性領域の最大点応力を測定することで求めた。
また、引張強度については、前記同様、島津製作所製オートグラフAG−Xを用い、引張速度5mm/minで応力曲線を測定し、試験片が破断した瞬間の応力を測定することで求めた。
また、表面の硬さは、試験片の表面を研磨した後、アカシ微小硬度計を用い、荷重100g、荷重保持時間10秒という条件にてビッカース硬度を測定することによって求めた。
また、伸びは、島津製作所製オートグラフAG−Xを用い、引張速度5mm/minで応力曲線を測定し、試験片が破断した瞬間の試験片の伸びを測定することで求めた。
表1、2に示すように、本発明例の銀粘土は、室温、大気雰囲気中で1ヶ月保管した後であっても、変色は認められなかった。
また、純銀を使用した比較例3については、変色はないものの、本発明例に比べて、機械的強度の指標となる曲げ強度、引張強度、表面の硬さ、密度等が低い傾向であり、変形しやすいものであることが確認された。
1A Ag粉末
1B 水酸化銅粉末
5 銀粘土(銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物)
51 成形体
10 銀銅合金焼結体
Claims (6)
- 銀粉末と銅化合物粉末とからなる粉末成分であって、前記銅化合物粉末が、少なくとも550℃以下で酸化銅に変化する化合物であって、前記銅化合物粉末がすべて酸化銅に変化した際に、前記酸化銅の粉末成分全体に対する含有割合が4質量%以上35質量%以下であり、前記粉末成分中の金属成分に対するAg元素の含有割合が46質量%以上97質量%以下であることを特徴とする銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
- 前記粉末成分が、さらに金属Cuを含有し、
前記粉末成分中の金属Cuの含有割合が粉末成分全体に対して2質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。 - 前記銅化合物粉末が、さらに酸化銅を含有し、
前記酸化銅の含有割合が粉末成分全体に対して3質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。 - 前記銅化合物粉末の平均粒径が1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末と、バインダーと、水とを含むことを特徴とする銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物用粉末と、バインダーおよび水を混合したバインダー剤と、を混合して混練することを特徴とする銀銅合金焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法。
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