JP6111999B2 - 装飾被膜 - Google Patents

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Description

本発明は装飾被膜に関するものである。
通信機器やレーダなどの電波を送受信するアンテナは、その機能が優先されることから、アンテナ本体やその周囲の構造が意匠面で制約を受けることは少なく、たとえば、車両用のラジオなどのアンテナにはその形状をむき出しにしたロッドアンテナが使用されている。ところで、アンテナの取り付け位置によっては、アンテナを視認できない状態としたい場合もあり、たとえば、車両前方の障害物との距離や、前方車両との車間距離を測定するレーダなどにおいては、その性能を発揮するために車両前部の中心位置に設けるのが好ましい。このような場合には、たとえば車両のフロントグリル近傍にアンテナを取り付けることとなるが、意匠面からアンテナはなるべく外部から視認不可とするのが望ましい。
ところで、オートクルーズシステムは、車両前方に搭載されているセンサによって前方車両と自車との車間距離や相対速度を測定し、この情報に基づいてスロットルやブレーキを制御し、自車を加減速しながら車間距離をコントロールする技術であり、近年の渋滞緩和や事故減少を目指す高度道路交通システム(ITS)の技術の一つとして注目を集めている。そして、このオートクルーズシステムに使用されるセンサとしては一般に、ミリ波レーダなどの電波送受信装置が使用されている。
車両ボディの前方に装備されるレーダ装置は一般にフロントグリルの背後に配置されることとなるが、このフロントグリルの表面には、車両製造会社のエンブレムや該車両に特有な装飾品が装着されるのが一般的である。レーダ装置から照射されるミリ波はフロントグリルやエンブレムを介して前方に放射され、前方車両や前方障害物などの対象物で反射され、この反射波がフロントグリル等を介してレーダ装置に戻るようになっている。したがって、フロントグリルやエンブレムなどのレーダ装置のビーム経路に配置される箇所には、電波透過損失が少なく、しかも所望の美観を付与できる材料や塗料が用いられることが望ましい。
以上の理由から、電波送受信装置が配置される箇所に対応するフロントグリル箇所には電波が透過可能な窓部を設けることが一般的であり、この窓部を通して電波の出入りを可能としているが、その一方で、窓部が設けられることでフロントグリルの外観が連続性を失うこととなってしまい、この窓部から車両の内側の電波送受信装置やエンジンルームなどが視認可能となって車両の外観が損なわれる危険性が高くなってしまう。そのため、従来は、電波透過カバー(装飾被膜)をフロントグリルの窓部に挿入して、窓部とフロントグリル本体に一体感を持たせることがおこなわれている。
ところで、これらの装飾被膜において金属ナノ粒子として銀微粒子が適用される場合に、キセノン促進耐候光試験のような耐候性試験によって数nm程度の平均粒径の銀微粒子が凝集し、粗大化して変色し易いという課題を有している。数nm程度の平均粒径の銀微粒子は活性が高く、不安定なために、耐候性試験の際に熱や光で金属ナノ粒子が励起され、イオン化して層内を移動すること(膜の状態が変化する)によって金属色調が変化し易い(もしくは色目が変化し易い)というのがその理由である。
ここで、特許文献1には、還元反応することで着色されるエレクトロクロミック膜と、エレクトロクロミック膜の厚さ方向一方の側に形成されて銀を含む導電性反射膜と、導電性反射膜の厚さ方向一方の側でエレクトロクロミック膜とは反対側に設けられてビスマスを含む保護層とから構成されたエレクトロクロミックミラーが開示されている。このエレクトロクロミックミラーによれば、このような層構成によって、エレクトロクロミック膜への銀の拡散が抑制され、エレクトロクロミック膜の黄変を抑制することができるとしている。しかしながら、このエレクトロクロミックミラーを適用した場合でも、光エネルギーによって銀微粒子が凝集し、粗大化して色調変化を示すといった課題を効果的に解消するには至らない。
特許文献2には、貴金属又は銅のコロイド粒子及び高分子量顔料分散剤を含むことを特徴とする貴金属又は銅の固体ゾル及びその製造方法が記載されている。特許文献2によれば、特定の高分子量顔料分散剤が貴金属又は銅のコロイド粒子の保護コロイドとして機能し、当該高分子量顔料分散剤を使用することにより、彩度が高く、貴金属又は銅のコロイド粒子を高い濃度で含有しており、塗料や樹脂に添加しても凝集せず、充分な着色性を有する貴金属又は銅の固体ゾルが得られるとされている。
また特許文献3には、ビスマス及び/又はアンチモンを0.01〜10原子%含有する電磁波シールド用銀合金膜が開示されている。この電磁波シールド用銀合金膜によれば、銀の凝集が生じ難く、ひいては、銀の凝集に起因した導電性の消失による電磁波シールド特性の低下や白点の発生等が起こり難いとしている。しかしながら、このような数値範囲のビスマス及び/又はアンチモンを含有する銀合金膜であっても、耐候性試験の際に熱や光で金属ナノ粒子が励起され、イオン化して層内を移動することによって金属色調が変化し易いという課題を解消できるか否かは不明である。
また上記特許文献において、初期色彩において赤色を呈する装飾被膜は得られていない。
よって、初期色彩において赤色を呈し、かつ変色抑制効果の高い装飾被膜がなお望まれている。
特開2011−095406号公報 特開平11−76800号公報 特開2004−263290号公報
本発明は、初期色彩において赤色を呈し、かつ変色抑制効果の高い装飾被膜を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、銀銅合金の微粒子を含有する装飾被膜において、銀銅合金における銅の含有率を銀に対して0.3質量%以上とすることにより、初期色彩において赤色を呈し、かつ変色抑制効果の高い装飾被膜を形成させることが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)銀銅合金の微粒子が樹脂成分内に分散して形成された装飾被膜であって、
銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3質量%以上である、上記装飾被膜。
(2)銀銅合金の微粒子の結晶子径が2〜98nmである、上記(1)に記載の装飾被膜。
(3)装飾被膜を形成するための、銀銅合金の微粒子、樹脂成分及び溶剤を含む塗料組成物であって、
銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3質量%以上である、上記塗料組成物。
本発明の装飾被膜は、変色抑制効果に優れ、初期色彩において赤色を呈する。
図1(a)は、銀銅合金における銅の含有率(Cu/Ag)と初期b値との関係を示す図であり、図1(b)は、銀銅合金における銅の含有率(Cu/Ag)と初期a値との関係を示す図である。 銀銅合金における銅の含有率(Cu/Ag)と色差変化(ΔE)との関係を示す図である。
本発明の装飾被膜は、銀銅合金の微粒子が樹脂成分内に分散して形成されており、当該銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3質量%以上であることを特徴とする。当該銀銅合金における銅の含有率は、好ましくは0.5〜20.0質量%である。銀銅合金における銅の含有率を上記範囲とすることにより、本発明の装飾被膜は、初期色彩において赤色を呈し、かつ変色抑制効果に優れる。なお、銀微粒子自体は青色を呈しているが、銅を含有した銀合金は赤色を呈する。初期色彩において赤色を呈することは、例えばシンボルマークであるエンブレムに人の目を惹きつける、いわゆる誘目性を高める点で有利である。また、金属光沢を有する装飾被膜を形成する観点から、銀銅合金における銅の含有率は、0.3〜14.0質量%であることが好ましく、0.5〜13.0質量%であることが特に好ましく、0.8〜6.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明において、「装飾被膜」は、車両製造会社のエンブレムや該車両に特有な装飾品などを構成する構成要素であり、この装飾被膜からなる、もしくは装飾被膜を一部として含むエンブレム等が樹脂基材であるフロントグリルの表面に形成されるものである。本発明の装飾被膜は、レーダ装置経路内に位置する樹脂基材(たとえばフロントグリル)の表面に適用する場合、外観上は金属光沢を持ちつつ、電波透過性(電気的絶縁性)を有する被膜であることが好ましい。この装飾被膜は、金属光沢を有することから本来的には通電被膜となり得るが、金属ナノ粒子が層内で不連続に分散され、金属ナノ粒子であることから粒子間距離が極めて短いこと、そのために粒子が緻密に集合していることから、人間の視覚には金属光沢を提供する一方で、一つ一つのナノ粒子を電波が通過する際には電波のミリ波減衰が極めて少なく、結果として、外観上は金属光沢を持ちつつも、電気的絶縁性を有する被膜となり得るものである。なお、ここで、「ミリ波」とは、電磁波の中でもその周波数帯域が30GHz〜300GHz程度の電波のことであり、たとえば、該周波数帯域の76GHz程度を特定することができる。
装飾被膜を構成する層内における銀銅合金の微粒子の分散形態は、層を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)内で緻密に分散する形態や、他方の層に対して銀銅合金の微粒子が不連続に蒸着して分散する分散形態を挙げることができる。前者の形態は、エタノール等を溶媒とする銀銅合金の微粒子の分散液を樹脂基材の表面に塗工(スプレー塗布やバーコート法塗布などとその後の乾燥)することにより、銀銅合金の微粒子が樹脂成分からなる層内に分散された装飾被膜を形成することができる。一方、後者の形態は、銀銅合金の微粒子をPVD法に包含される真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングや、CVD法に包含される熱CVD、プラズマCVD、レーザCVDなどによって樹脂基材の表面に不連続に付着させ、溶剤をこの上に塗工することにより、銀銅合金の微粒子が樹脂基材の表面に不連続に蒸着等され、この上に樹脂成分からなる層が形成された装飾被膜を形成することができる。
本発明の装飾被膜において、銀銅合金の微粒子の結晶子径は2〜98nmであることが好ましく、2〜50nmであることが特に好ましい。特に装飾被膜が電波透過性を有することが望まれる場合、銀銅合金の微粒子の結晶子径を上記範囲とすることが好ましい。装飾被膜が電磁波特性を有するには、個々の金属微粒子のミリ波減衰性を抑制し、塗膜中に微粒子が分散した状態であってもミリ波減衰率が閾値である2dB以下であることが好ましい。また、金属光沢のある装飾被膜を得るために、結晶子径は2nm以上であることが好ましく、5〜95nmであることが特に好ましい。
ここで、銀銅合金の「微粒子」とは「ナノ粒子」のことを示称しており、「ナノ粒子」とは、その平均粒径(結晶子径)がナノオーダーの粒子のことであり、ナノ粒子の粒径測定方法としては、X線回折法、銀銅合金の微粒子のSEM画像やTEM画像の一定範囲内にある金属粒子を画像上で抽出し、その平均値を求めて平均粒径とする方法などを挙げることができる。
上記銀銅合金の微粒子を調製するために使用される化合物(以下、金属化合物ともいう)としては、例えば、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)等、塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記銀銅合金の微粒子調製法においては、上記化合物は、限外濾過処理前の溶液において金属(すなわち銀及び銅)のモル濃度が0.01mol/L以上となるように用いられることが好ましい。0.01mol/L未満であると、得られる金属の微粒子溶液の金属のモル濃度が低すぎて、効率的でない。上記観点より0.05mol/L以上であることがより好ましく、0.1mol/L以上であることがさらに好ましい。
上記銀銅合金の微粒子調製法において使用する溶媒としては、上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等を挙げることができる。上記溶媒としては1種又は2種以上を用いることができる。上記溶媒が水と有機溶媒との混合物である場合には、上記有機溶媒としては、水可溶性のものが好ましく、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール等を挙げることができる。本発明においては、後工程で行う限外濾過等の高分子顔料分散剤の一部を除去する方法に適する点から、水、アルコール並びに水及びアルコールの混合溶液が好ましい。
上記銀銅合金の微粒子調製法における金属化合物の還元においては、還元剤としてアミンを用いることが好ましく、例えば、上記金属化合物と、高分子顔料分散剤との溶液にアミンを添加して撹拌、混合することにより、金属イオンが常温付近で金属に還元される。上記アミンを使用することにより、危険性や有害性の高い還元剤を使用する必要も、加熱や特別な光照射装置を使用することもなしに、5〜100℃程度、好ましくは20〜80℃程度の反応温度で、金属化合物を還元することができる。
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示されているものを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、2−ジメチルアミノエタノールがより好ましい。
上記アミンの他の還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;ヒドロキシルアミン;クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を挙げることができる。これらの中で入手が容易であることから、クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸が好ましい。これらは、単独又は上記アミンと組み合わせて使用することが可能であるが、アミンとクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場合には、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、その還元性の向上を図ることができる。
上記還元性化合物の添加量は、上記金属化合物中の金属の還元に必要な量以上であることが好ましい。この量未満であると、還元が不十分となるおそれがある。また、上限は特に規定されないが、上記金属化合物中の金属の還元に必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。また、これらの還元性化合物の添加により化学的に還元する方法以外に、高圧水銀灯を用いて光照射する方法を使用することも可能である。
上記還元性化合物を添加する方法は特に限定されず、例えば、高分子顔料分散剤の添加後に行うことができ、この場合においては、例えば、まず溶媒に高分子顔料分散剤を溶解させ、さらに、上記還元性化合物又は金属化合物の何れかを溶解させて得られる溶液に、還元性化合物又は金属化合物の残った方を加えることで、還元を進行させることができる。また、上記還元性化合物を添加する方法としては、予め高分子顔料分散剤と上記還元性化合物とを混合しておき、この混合物を金属化合物の溶液に加える形態をとってもよい。
上記の還元処理により得られた金属の微粒子溶液を限外濾過処理することにより、本発明の塗料組成物調製用に適した高濃度かつ不純物(雑イオン、塩、アミン及び高分子顔料分散剤)の少ない銀銅合金の微粒子分散体が得られる。上記処理後の溶液の固形分中の金属の含有量は、83質量%以上99質量%未満であることが好ましく、90質量%以上98質量%未満であることがより好ましく、93質量%以上98質量%未満であることがさらに好ましい。83質量%未満の溶液を用いて本発明の塗料組成物を調製すると、塗膜形成時の加熱条件を穏やかにした場合の光沢性に問題が生じるおそれがある。また、99質量%以上であると、微粒子の分散安定性が損なわれるおそれがある。
本発明は、装飾被膜を形成するための塗料組成物にも関する(以下、本発明の塗料組成物ともいう)。本発明の塗料組成物は、銀銅合金の微粒子、樹脂成分及び溶剤を含み、銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3質量%以上である。本発明の塗料組成物は、上記の発明の装飾被膜を形成するために好適である。
本発明の装飾被膜又は塗料組成物に用いる樹脂成分は、エタノールに可溶であるか、又は式(1):
X ≧ 1.5 式(1)
[式中、Xは、上記樹脂成分0.5gをジエチレングリコールジエチルエーテル10mlに溶解したジエチレングリコールジエチルエーテル溶液に水を添加する場合における、該ジエチレングリコールジエチルエーテル溶液が白濁するまでの該水の添加量(ml)である。]
を満たすことが好ましい。上記Xは、1.5〜20であることが好ましく、1.5〜10であることが特に好ましい。上記樹脂成分が金属ナノ粒子表面や溶剤に対して親和性を有するためには、極性の観点からエタノールに可溶であるか、又は式(1)を満たすことが好ましい。なお、本明細書において溶解しているか白濁しているかは、23℃において、NDH2000(日本電色工業社製濁度計)を用いた積分球式光電光度法によって求められる数値によって判断されるものである。具体的には、5分間よく撹拌を行った後で測定し、得られる拡散透過率の値が、0〜10である場合は溶解していると判断し、10を超え100以下である場合は白濁していると判断した。
さらに、本発明の装飾被膜又は塗料組成物に用いる樹脂成分は、オキサゾリン基を含有する樹脂(a)及びカルボキシル基を含有する樹脂(b)を含むことが好ましい。そして、樹脂成分中、上記樹脂(a)及び樹脂(b)は、密着性を確保しつつ、光輝性を有する装飾被膜を得るために、樹脂(b)に由来するカルボキシル基が、樹脂(a)に由来するオキサゾリン基に対して、モル比で0.03〜50倍となるように配合される必要があり、好ましくは0.5〜1.5倍、特に好ましくは0.7〜1.5倍となるように配合される。
上記オキサゾリン基を含有する樹脂(a)としては、オキサゾリン基を含有する重合体を挙げることができる。オキサゾリン基を含有する重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有化合物を、単独で、又は、該付加重合性オキサゾリン基含有化合物と共重合可能なその他の単量体と共重合させることにより容易に得ることができる。
上記付加重合性オキサゾリン基含有化合物としては特に限定されず、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。なかでも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンは、工業的に入手しやすく、また、その他の単量体との反応性や重合性に優れているので好ましい。
上記その他の単量体は、オキサゾリン基と反応しない単量体であり、オキサゾリン基以外の官能基を含有する単量体であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等を挙げることができる。さらに、その他の単量体として、ヒドロキシル基を含有する不飽和化合物等を用いることもできる。上記付加重合性オキサゾリン基含有化合物及びその他の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のオキサゾリン基を含有する重合体の製造方法、即ち、付加重合性オキサゾリン基含有化合物とその他の単量体との反応方法は、特に限定されず、従来公知の種々の方法を用いることができる。
上記オキサゾリン基を含有する重合体としては、市販されているものを好適に使用することもできる。エタノールに可溶であるオキサゾリン基を含有する重合体としては、例えば、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700、エポクロスWS−300(以上、日本触媒社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記オキサゾリン基を含有する樹脂(a)は、反応性の観点から、オキサゾリン基を5mmol/g−solid以上含有することが好ましく、5〜10.3mmol/g−solid含有することが特に好ましい。このようなオキサゾリン基を含有する重合体としては、エポクロスWS−300を挙げることができる。
上記カルボキシル基を含有する樹脂(b)としては、カルボキシル基を含有する高分子顔料分散剤を挙げることができる。これらはナノ粒子に対する親和性の高い官能基とともに溶媒親和部分も含む両親媒性の高分子量の共重合体であり、通常は顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。上記高分子顔料分散剤は、金属のナノ粒子と共存しており、金属のナノ粒子が溶媒中で分散するのを安定化する働きをしていると考えられる。上記高分子顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が十分ではないことがあり、100万を超えると粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。上記観点より、数平均分子量は、2000〜50万であることがより好ましく、2500〜50万であることがさらに好ましい。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定値をポリスチレン標準で換算した値である。
上記カルボキシル基を含有する高分子顔料分散剤としては、市販されているものを好適に使用することもできる。エタノールに可溶であるカルボキシル基を含有する高分子顔料分散剤としては、例えば、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック180、ディスパービック200(以上、ビックケミー社製)、フローレンG−700(共栄社製)、アジスパーPA111(味の素社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記カルボキシル基を含有する樹脂(b)としては、カルボキシル基を含有する塗膜形成性樹脂を挙げることができる。エタノールに可溶であるカルボキシル基を含有する塗膜形成性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の一般的な樹脂を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに本発明の装飾被膜又は塗料組成物は、上記樹脂成分として、樹脂(a)及び樹脂(b)以外の樹脂成分を含むこともでき、例えば以下の高分子顔料分散剤を含むこともできる。該高分子顔料分散剤としては、上記樹脂(b)がカルボキシル基を含有する高分子顔料分散剤である場合に上述した数平均分子量を有するものであれば特に限定されず、また、市販品を使用することもできる。エタノールに可溶である高分子顔料分散剤としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース54000(以上、ルーブリゾール社製)、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック192(以上、ビックケミー社製)、EFKA-48、EFKA-4540、EFKA-4550(以上、エフカアディティブズ社製)等を挙げることができる。式(1)を満たす高分子顔料分散剤としては、例えば、ソルスパース32500、ディスパービック163、ディスパービック164等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記銀銅合金の微粒子調製法における上記高分子顔料分散剤の使用量は、金属化合物中の金属と高分子顔料分散剤との合計量に対して30質量%以下であることが好ましい。30質量%を超えると、後の濃縮工程で限外濾過処理を行っても、溶液における固形分中の金属の濃度を所望の濃度に高めることができないおそれがある。上記観点より、高分子顔料分散剤の使用量は金属の化合物中の金属と高分子顔料分散剤との合計量に対して20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の塗料組成物に用いる溶剤としては、上記樹脂成分に対して相溶性のあるものであれば特に限定されず、例えば、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系等の極性有機溶媒を挙げることができる。溶剤は塗布方法においてそれぞれ好適な溶剤を用いることが好ましい。これらの溶剤は単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよいが、2種類以上を混合して用いることが好ましい。
本発明の塗料組成物に用いる溶剤としては、上記樹脂成分に対して相溶性のあるものであれば特に限定されず、例えば、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系等の極性有機溶媒を挙げることができる。溶剤は塗布方法においてそれぞれ好適な溶剤を用いることが好ましい。これらの溶剤は単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよいが、2種類以上を混合して用いることが好ましい。
本発明の塗料組成物に用いる溶剤が2種類以上の溶剤を含む場合、塗布性の観点から、上記アルキレングリコールモノアルキルエーテル類と共に25℃における表面張力が33mN/m以上の溶剤を含む溶剤を用いることが好ましい。
上記25℃における表面張力が33mN/m以上の溶剤としては、炭酸プロピレン、γ−ブチルラクトン、水等を挙げることができる。また、25℃における表面張力が45mN/m以上の溶剤がさらに好ましく、このような溶剤としては、水を挙げることができる。上記溶剤は、塗出時の液滴の安定性及び付着性の観点から、溶剤100質量%中に、5質量%以下、好ましくは0.01〜2質量%、特に好ましくは0.01〜0.5質量%含まれる。
本発明の装飾被膜において、銀銅合金の微粒子の含有量は、装飾被膜100質量部に対して、83〜99質量部であることが好ましく、93〜98質量部であることが特に好ましい。本発明の塗料組成物において、銀銅合金の微粒子の含有量は、組成物100質量部に対して、0.9〜86.4質量部であることが好ましく、9〜81質量部であることが特に好ましい。
本発明の装飾被膜において、樹脂成分の含有量は、装飾被膜100質量部に対して、1〜17質量部であることが好ましく、2〜7質量部であることが特に好ましい。本発明の塗料組成物において、樹脂成分の含有量は、塗料組成物100質量部に対して、0.1〜9.6質量部であることが好ましく、1〜9質量部であることが特に好ましい。
本発明の塗料組成物において、溶剤の含有量は、当該塗料組成物を塗布する方法にとって、最適な粘性になるよう調整すればよく、特に限定されないが、塗料組成物100質量部に対して、4〜99質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることが特に好ましい。
本発明の装飾被膜は、さらに塗料を含んでいてもよい。塗料としては特に限定されず、水系のものであっても、溶剤系のものであってもよい。水系の塗料としては特に限定されず、例えば、水溶性アクリル/メラミン樹脂塗料、水溶性アルキド/メラミン樹脂塗料、アクリルエマルション塗料、ウレタンエマルション塗料等を挙げることができる。上記溶剤系の塗料としては特に限定されず、例えば、アクリルメラミン樹脂塗料、アルキドメラミン樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料等を挙げることができる。本発明の装飾被膜において、塗料の含有量は、装飾被膜100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることが特に好ましい。
本発明の装飾被膜又は塗料組成物は、本発明の効果を妨げない限りにおいて、上記成分の他に脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックスや酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体であるポリエチレンワックス、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコーンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等のその他の添加剤を適宜含有することができる。本発明の装飾被膜における上記その他の添加剤の合計配合量は、装飾被膜100質量%に対して、通常5質量%以下、好ましくは1質量%以下である。本発明の塗料組成物における上記その他の添加剤の合計配合量は、塗料組成物100質量%に対して、通常5質量%以下、好ましくは1質量%以下である。
上記塗料組成物の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法により製造することでき、例えば、上述の方法より得られた銀銅合金の微粒子分散体に、上記樹脂成分、上記溶剤、他の添加剤を加え、撹拌する方法等によって製造することができる。
本発明においては、上記塗料組成物を基材に塗布し、必要により加熱乾燥及び/又はエネルギー線照射処理により行うことで装飾被膜を形成する。上記塗料組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、シルクスクリーン、インクジェット等の塗装機具を用いたり、浸漬させたりすることができるほか、電気泳動によっても行うことが可能である。上記塗布方法の中では、スプレー塗装(噴霧塗装)、スピンコート塗装、インクジェット印刷が好ましく、薄く均一な装飾被膜形成に優れることから、スプレー塗装が特に好ましい。また、上記加熱の方法は特に限定されず、例えば、ガス炉、電気炉、IR炉等を、加熱炉として使用することができる。上記エネルギー線照射処理の方法は特に限定されず、例えば、電磁波による誘導加熱(IH)、近赤外線、遠赤外線等の照射処理が挙げられる。
上記塗料組成物の塗布量は、銀銅合金の微粒子の濃度、塗布方法等により、変化させることができ、用途に合わせて任意に設定することができる。装飾被膜の乾燥膜厚は特に限定されないが、通常0.01〜1μm、好ましくは0.02〜0.3μmである。
本発明においては、被塗基材は特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅又はこれらの合金等の金属類;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等のプラスチック材料;木材、紙や布等の繊維材料等の天然又は合成材料等を挙げることができる。被塗基材は透明なものであってもよい。好ましい被塗基材としては、鉄、アルミニウム、銅又はこれらの合金等の金属類が挙げられる。
本発明の装飾被膜は、自動車車体及び自動車部品、好ましくは電磁波透過性を有する自動車車体及び自動車部品の塗膜として好ましく適用できる。また、本発明の塗料組成物は、自動車車体及び自動車部品、好ましくは電磁波透過性を有する自動車車体及び自動車部品の塗装に好ましく適用できる。自動車外装用部品としては、ドアハンドル、サイドモール、バックパネル、ホイールカバー等が挙げられ、自動車内装用部品としては、各種スイッチ類、センサーカバー等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
[製造例1]銀/銅合金微粒子分散体の製造例
コルベンにディスパービック190(有効成分40%の水溶液、酸価0.178mmol/g−solid:ビッグケミー社製)26.55g、脱イオン水38.10gを採り、撹拌して溶解させた。上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)220.0gと脱イオン水200.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。
更に、別個の容器に硝酸銅(II)3水和物96.79gと1mol/Lの硝酸水溶液202.57gを採り、50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銅(II)3水和物を溶解した。
得られた硝酸銀水溶液と硝酸銅水溶液とをいずれも上記コルベンに撹拌しながら添加し、ディスパービック190、硝酸銀、硝酸銅の混合液を得た。
得られた混合水溶液を湯浴中で50℃となるように加熱した。上記コルベンに2−ジメチルアミノエタノール597.29gと脱イオン水179.19gの混合溶液を撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして褐色となり液温は60℃に上昇した。その後60℃となるように反応を調整し、黒青色を呈した。液温を60℃に保持して2時間撹拌を続け、灰色に変色した銀/銅合金微粒子含有ペースト液を得た。
得られたペースト液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数400本)、マグネットポンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのテフロン(登録商標)カップをシリコンチューブで繋いで、限外濾過装置とした。
先の反応液をステンレスカップに入れて、更に2リットルのイオン交換水を加えてから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。
約40分後にモジュールからの濾液が0.5リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルのエタノールを加えた。
この作業を繰り返し、その後、濾液の伝導度が5μS/cm以下になったことを確認し、母液の量が500mlになるまで濃縮を行った。
続いて母液を入れた500mlステンレスカップ、限外濾過モジュールAHP0013(旭化成社製:分画分子量50000、使用膜本数100本)、チューブポンプ、及び、アスピレーターからなる限外濾過装置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液を入れ、固形分濃度を高めるための濃縮を行った。
母液が約100mlになった時点でポンプを停止して、濃縮を終了することにより、銀/銅合金微粒子含有分散体を得た。
[製造例2]塗膜形成性樹脂の合成例
撹拌機、温度調整器、冷却管を備えたコルベンにプロピレングリコールモノエチルエーテル40質量部を仕込み、これにスチレン8.86質量部、エチルヘキシルアクリレート8.27質量部、ラウリルメタクリレート15.00質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート34.80質量部、メタクリル酸3.07質量部、アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート(城北化学社製JAMP−100N)30.00質量部の混合モノマー液100質量部、及びターシャリブチルパーオクトエート(カヤエステルO)3.0質量部、プロピレングリコールモノエチルエーテル40質量部の開始剤溶液43質量部を115℃で3時間かけて滴下した後、30分撹拌を継続し、その後ターシャリブチルパーオクトエート(カヤエステルO)0.3質量部、プロピレングリコールモノエチルエーテル20質量部の開始剤溶液20.3質量部を1時間で滴下した後、さらに、1.5時間撹拌を継続した。得られたものは酸価0.178mmol/g−solid、カルボキシル基からの酸価0.357mmol/g−solid、リン酸基からの酸価1.533mmol/g−solid、水酸基価150、数平均分子量3800の塗膜形成性樹脂で、不揮発分が49質量%であった。
[実施例1]塗料組成物の製造及びスピンコートによる装飾被膜の形成
製造例1で得られた金属含有率が30.0質量%の銀銅合金の微粒子分散体50質量部をナスフラスコに採り、さらに1−ブトキシ−2−プロパノール34.3質量部、1−エトキシー2−プロパノール43.75質量部を加え、エバポレーターに設置して、エタノールの除去を行った。エタノールが除去され、1−ブトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシー2−プロパノールを分散媒とした銀銅合金の微粒子分散体93.75質量部を得た。
これに、製造例2で得られた樹脂溶液0.465質量部、ディスパービック190(有効成分40%の水溶液:ビッグケミー社製)0.38質量部、エポクロスWS−300(有効成分10%の水溶液、オキサゾリン基7.7mmol/g−solid:日本触媒社製)0.23質量部、BYK−330(有効成分51%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液:ビッグケミー社製)0.09質量部を添加した。さらに、これに1−エトキシー2−プロパノールを、塗料全量が150質量部になるように加えた後に、よく撹拌し、塗料組成物を得た。
この塗料組成物をスピンコート(350〜500rpmにて1〜2分間)にて塗工後、80℃で30分間熱処理して、装飾被膜を形成した。
得られた装飾被膜に対して耐候性試験(キセノン試験)を実施した(100W×125MJ)。
表1に、銀に対する銅の含有量と、装飾被膜の初期色彩L及び金属光沢(金属感及び光沢感)を示す。
初期色彩L、彩度a及び色相b(すなわちL、a及びb)は以下のように測定した。分光反射率R(λ)を、物体から反射する波長λの分光放射束と完全拡散反射面から反射する波長λの分光放射束との比(JIS Z 8722)によって求めた。分光測色計として、村上色彩技術研究所製、CMS−35SPを用い、SCI方式(正反射光込み)にて測定を行った。
計算した分光反射率R(λ)を用いて、国際照明委員会(CIE)が規定するCIE1976(L,a,b)表色系の各指標値L,a,bを算出した。ここで、L値は色の明度を記述する指標である。L値が大きいほど色が明るいことを示す。a値は色の赤と緑の色相に対する強度を記述する指標である。a値が大きいほど(正の値)赤の色相を示し、a値が小さいほど(負の値)緑の色相を示す。b値は黄と青の色相に対する強度を記述する指標である。b値が大きいほど(正の値)黄の色相を示し、b値が小さいほど(負の値)青の色相を示す。
Figure 0006111999
表1より、銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3〜13.0質量%である場合に、得られる装飾被膜は金属光沢を有することがわかる。
図1(a)は、銀銅合金における銅の含有率(Cu/Ag)と初期b値との関係を示す図であり、図1(b)は、銀銅合金における銅の含有率(Cu/Ag)と初期a値との関係を示す図である。図1(a)より、Cu/Agが0.3質量%以上である場合に初期b値が増加することがわかる。また図1(b)より、Cu/Agが0.3質量%以上である場合に初期a値が増加することがわかる。特に、Cu/Agを0.3質量%から0.5質量%に増加させた場合にa値は顕著に増加する。
図2は、銀銅合金における銅の含有率(Cu/Ag)と、耐候性試験の色差変化(ΔE)との関係を示す図である。図2より、Cu/Agが0.3質量%以上である場合に変色抑制効果が生じることがわかる。
表2に、銀に対する銅の含有量(Cu/Ag)が0.8質量%の塗料組成物を用いて得られた装飾被膜についての、銀銅合金の微粒子の結晶子径と、色調及びミリ波減衰率との関係を示す。銀銅合金の微粒子の結晶子径は、RINT2500(リガク社製:Cu−Kα管球)を用い、X線回折法(JIS 7805)により測定した。
Figure 0006111999
表2より、銀銅合金の微粒子の結晶子径が2〜98nmである場合に、良好な金属光沢を有し、かつミリ波減衰率が低減された装飾被膜が得られることがわかる。
本発明の装飾被膜は、自動車車体及び自動車部品に好適に適用される。

Claims (4)

  1. 銀銅合金の微粒子が樹脂成分内に分散して形成された、初期色彩において赤色を呈し、かつ変色抑制効果を有する装飾被膜であって、
    銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3質量%〜0.8質量%であり、
    銀銅合金の微粒子の結晶子径が2〜98nmである、上記装飾被膜。
  2. 車両のエンブレム又はフロントグリルの構成要素として用いられる、請求項1に記載の装飾被膜。
  3. エンブレム又はフロントグリルがレーダ装置経路内に位置する、請求項2に記載の装飾被膜。
  4. 初期色彩において赤色を呈し、かつ変色抑制効果を有する装飾被膜を形成するための、銀銅合金の微粒子、樹脂成分及び溶剤を含む塗料組成物であって、
    銀銅合金における銅の含有率が、銀に対して0.3質量%〜0.8質量%であり、
    銀銅合金の微粒子の結晶子径が2〜98nmである、上記塗料組成物。
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