JP4780600B2 - 深絞り性に優れたマグネシウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
Alは鋳造性と強度を付与するのに有効である。2.5%未満では十分な鋳造性と強度を得ることが出来ず、3.5%を超えると圧延性が悪化する。
Znは鋳造性と強度を付与するのに有効である。0.5%未満では十分な鋳造性と強度を得ることが出来ず、1.5%を超えると鋳造性と圧延性が悪化する。
Mnは、0.1〜0.5%の範囲内で添加されていることが好ましい。Mnは、耐食性を低下させる元素の影響を緩和する効果を有するものである。すなわち、Mnを添加することによって、耐食性を低下させる不純物元素であるFeの影響を緩和することができ、上記の範囲内で添加することによって、その効果を最も発揮することができ、0.5%を超えると連続鋳造圧延時に粗大な金属間化合物が生成し、圧延性が悪化する。
深絞り加工においては加工抵抗よりも加工力伝達部の強さが高いことが必要で、低い場合にはパンチ肩部で破断するが、この加工力伝達部の強さは引張強さに比例することから引張強さはある程度高い方が深絞り性に優れる。引張強さが300MPa未満では十分な深絞り性が得られず、340MPaを超えると加工抵抗が高くなり深絞り加工ができない。
なお、中間焼鈍の条件としては、300〜350℃の温度範囲で1〜8時間または350〜450℃の温度範囲で1分以下を例示することができる。中間焼鈍は、バッチ炉、連続炉のいずれであってもよい。
(実施例)
双ロール法により、表1に示す合金組成からなるマグネシウム合金溶湯から、厚さ5mmの帯状板を連続鋳造圧延した。得られた鋳造圧延板を450℃で8時間の均質化熱処理を施した後、一部は熱間圧延(圧延後板厚2.0mm)と温間圧延により厚さ0.64mmとし、最後に冷間圧延により厚さ0.60mmの本発明に係るマグネシウム合金板を得た(実施例1)。また、一部は厚さ2mmまで熱間圧延し、次いで350℃で1時間の中間焼鈍を行った後、温間圧延により厚さ0.64mmとし、最後に冷間圧延により厚さ0.60mmの本発明に係るマグネシウム合金板を得た(実施例2)。
実施例1に示した製造工程から最後の冷間圧延を省いた工程にて厚さ0.60mmのマグネシウム合金板を得た。
通常の溶解法により、表1に示す成分組成からなるマグネシウム合金板を溶製し、厚さ60mmのスラブを作製した。このスラブを460℃に加熱した後、1パス当たり5〜30%の圧下率で厚さ30mmになるまで熱間圧延を行った。このときの熱間圧延においては、材料温度が400℃以上になるように維持させた。次に、熱間圧延された板材を研削した後、パス間に設けた加熱炉により、その板厚を340〜380℃の温度に維持させつつ圧延を行い、厚さ3mmの板材に加工した。さらに、温度200〜230℃、1パス当たりの圧下率2〜5%の温間圧延を繰り返し行い、厚さ0.60mmのマグネシウム合金板を得た。こうして得られたマグネシウム合金板を、長さ87mm×幅84mm×コーナーR10mmのプレス成形用の試験片に加工した。
プレス成形性を評価するプレス成形型としては、0.2mmのコーナーRを有し且つその中心部分に深さ0.5mmのエンボス文字を成形品に形成できるエンボス成形部を有する、深さ7mmの角型のプレス成形型を用いた。
プレス成形については、上記のプレス成形型を使用し、上述の実施例および比較例で得られたプレス成形用の試験材料を、表2に示す温度で所定時間保持した状態で、120mm/分のプレス速度でプレス成形した。なお、プレス成形用の試験材料の加温は、プレス成形型に埋め込んだ1kW×4本のヒーターによって行い、試験材料の表面に最も近い側のプレス成形型に埋め込んだ熱電対によって測定した。
プレス成形性は、加工量が最も大きくなるコーナー部分に割れが発生するか否かによって評価した。割れが発生しない場合には○とし、割れが発生した場合には×とした。その結果を表2に示した。
表2の結果からも明らかなように、本発明のマグネシウム合金板の製造方法によって製造されたプレス成形用の試験試料(実施例1、2)は、加温した状態でプレス成形を行った際の割れの発生は見られなかった。一方、従来のマグネシウム合金板の製造方法によって製造されたプレス成形用の試験試料(比較例1、2)は、加温した状態でプレス成形を行った際の割れの発生が見られた。
Claims (3)
- 連続鋳造圧延および均質化処理ならびにその後の圧延を経て製造されたマグネシウム合金板であって、質量%で、Al:2.5〜3.5%、Zn:0.5〜1.5%、Mn:0.1〜0.5%を含有し、残部がMgおよび不可避不純物からなる組成を有し、引張強さが300〜340MPaであることを特徴とする深絞り性に優れたプレス成形加工用マグネシウム合金板。
- 質量%で、Al:2.5〜3.5%、Zn:0.5〜1.5%、Mn:0.1〜0.5%を含有し、残部がMgおよび不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金溶湯を板厚3〜10mmの帯状板に連続鋳造圧延した後、均質化熱処理を施し、その後、温間圧延または熱間および温間圧延をし、その後、冷間圧延をして、冷間圧延ままで引張強さ300〜340MPaを有するマグネシウム合金板を得ることを特徴とする深絞り性に優れたプレス成形加工用マグネシウム合金板の製造方法。
- 前記温間圧延または熱間および温間圧延工程途中に中間焼鈍工程を有することを特徴とする請求項2記載の深絞り性に優れたプレス成形加工用マグネシウム合金板の製造方法。
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