JP2009161851A - 冷間プレス成形用アルミニウム合金板とその製造方法、およびアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法 - Google Patents

冷間プレス成形用アルミニウム合金板とその製造方法、およびアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 主に自動車ボディシートに用いるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の高成形性の確保と成形加工の高生産性維持の両立をはかる。
【解決手段】 溶体化処理後、常温時効した(もしくは亜時効状態にある)Al−Mg−Si系アルミニウム合金板について、そのプレス成形前に、部分的に150℃から350℃までの温度範囲で5分以内の加熱処理(部分的復元加熱処理)を行い、常温冷却後のその加熱部と非加熱部の強度差(0.2%耐力の差)を10MPa以上とし、強度の低い加熱部をシワ押さえ部分に、強度の高い非加熱部をパンチ肩部に当てて冷間プレス成形を行う。また昇温速度と100℃以下までの冷却速度は30℃/分以上とする。さらに部分的復元加熱処理後の冷間プレス成形までの材料の常温放置期間は30日以内とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、成形加工、特に冷間プレス成形や塗装焼付を施して使用されるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板とその製造方法、およびそれを用いた冷間プレス成形方法に関し、具体的には、自動車、船舶、航空機等の各種部材・部品、あるいは建築材料、構造材料、そのほか各種機械器具、家電製品やその部品等、特に自動車ボディシート、ボディパネルに好適に用いられるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板についてのものである。
従来自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では、地球温暖化抑制の視点からCO排出量の削減が求められ、そのため車体軽量化の重要性が広く認識された結果、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。ところでアルミニウム合金圧延板の成形加工性は、一般に冷延鋼板と比べて劣るため、その使用拡大の障害となっている。アルミニウム合金圧延板の成形加工性向上のためには、素材自身の成形性改善と成形加工方法の工夫が強く求められている。
またこの種の用途においては、通常は塗装焼付を施して使用されるため、塗装焼付後に高強度が得られる特性(焼付硬化性、すなわちBH性)が要求される。
ところで特許文献1、2では、アルミニウム合金板の成形性を向上させるために温間深絞り成形法を適用することが提案されている。確かに温間成形法は、アルミニウム合金板の深絞り成形性を向上させることが可能であるが、大規模な工業生産を前提にすれば、いくつかの問題点がある。
すなわち温間深絞り成形法の特徴として、フランジ部の加熱やパンチ部の冷却をしたままの状態で深絞り成形を行なうことが求められ、そのため、
1.プレス機械に、アルミニウム合金板の加熱、冷却機能を付与することが必要であって、冷間プレス成形と比べてトータルの成形時間に長時間を要して、生産効率が低下し、成形コストが増加する。
2.温間で成形を行なうため、通常の冷間成形用の潤滑油が使えず、そのため新たな潤滑油の開発が必要となる。
3.プレス機械の構成が複雑となり、高い設備コストを要する。
4.プレス機械の複雑化に伴い、品質管理上に不安が生じる。
などの問題がある。
ところで温間深絞り成形法は、成形時にアルミニウム合金板ブランクに対して加工度の大きい部分を局部的に加熱して軟化させ、成形するものであるから、成形時でとらえれば、アルミニウム合金板ブランクに部分的に強度差を付与して成形性の向上を図ろうとするもの、と言うことができるが、同様にアルミニウム合金板ブランクに強度差を付与して成形性の向上を図ろうとする他の方法として、ブランクにあらかじめ局部的な熱処理を施しておく方法が知られている(例えば特許文献3)。この方法は、自動車ボディシート用として主に用いられているAl−Mg−Si系合金の如く、熱処理によりマトリクス中で固溶析出が生じ、強度が大幅に変化する時効硬化型合金に対して特に有効と考えられる。
ここで、特許文献3で開示されている技術では、アルミ圧延メーカーで溶体化処理されて出荷されるAl−Mg−Si系合金板が室温で保持されている間に、常温時効によりMgとSiからなる極めて微細な析出物がマトリクス中に均一微細に析出することにより、溶体化処理直後と比較して強度が向上した状態になることを利用して、ブランク内に強度差を付与することを行っている。すなわちこの特許文献3の技術では、室温で形成された前述の析出物が、比較的低温の250℃以上の温度での短時間加熱により容易に再固溶して、加熱した部分の強度が低下することを利用することにより、比較的低コストかつ短時間の処理によってアルミニウム合金板に部分的な強度差を付与することができる、とされている。
ところでこの特許文献3で開示されている技術では、アルミニウム合金板のブランクを、その周囲をクランプして完全に周囲を固定した状態でプレス成形することを前提として成形性を向上させる技術であって、ブランク面内においてプレス成形時にパンチがあたるパンチ直下領域を、パンチの肩部があたる領域を除いて加熱して軟化させることによって成形性の向上を図っている。しかしながらこの場合、軟化したパンチ直下領域にひずみが集中するようになり、この部分での局所的な板厚減が著しくなって、成形品の剛性が不足するという問題があることが判明した。また周囲をクランプにより完全に固定してプレス成形を行うため、周囲のしわ押さえ部からの材料流入が全く許容されず、そのため成形性の向上幅が制限されるという欠点もあった。さらに自動車用ボディシートを対象とする場合、プレス成形後には、成形品の周辺部おいて曲げ加工(ヘム加工)が行われることが多いが、この特許文献3の技術は、板のパンチ直下領域、すなわち板中央部を加熱するものであって、板周辺部については、常温時効により時効析出した状態のままとなり、その部分では曲げ加工性が著しく悪くなって、曲げ加工部で割れが発生するという問題があった。
特開平4−351229号公報 特開2006−205244号公報 特開2000−117338号公報
前述のような従来の技術によるAl−Mg−Si系合金板の成形においては、最近の自動車用ボディシートに要求される成形性やそのほかの性能を充分に満足させることは困難であった。
すなわち最近では、自動車パネル形状について高い意匠性が求められるようになり、それに伴って材料に対しても従来よりもいっそう高い成形性が要求され、特に絞り性の高いものが要求されるようになっており、また勿論、絞り性のような成形性指標だけではなく、曲げ加工性(ヘム加工性)、強度などの劣化も防いだ上での絞り性の向上であることが求められ、さらには成形加工の生産性も高いことが要求されるが、これらの点で、従来のAl−Mg−Si系合金板の成形方法では未だ不充分であった。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の高成形性の確保と成形加工の高生産性維持の両立を図ることができ、かつ他の要求特性の劣化を伴なうことなく、材料の強度差を巧妙に利用できるようにした、成形性に優れたアルミニウム合金板とその製造方法、およびプレス成形方法を提供することを目的とするものである。
具体的には、アルミニウム合金板ブランクに対して、事前に部分的に熱処理(復元処理)を行うことにより面内に強度差を付与する技術を基本とし、冷間絞り成形における絞り周囲の押さえ部からの材料流入を許容するべく、部分的な復元加熱処理による加熱部位を適切に調整して強度分布を最適化したブランクについて冷間深絞り成形を行うことにより、ブランク周囲からの材料流入を促進して、板厚が均一でかつ深い絞りの成形品を製造することを可能とし、また同時に成形品の周辺部について行われる曲げ加工をも容易にするともに、加熱部における塗装焼付け硬化性を維持しつつ、事前に行う加熱処理を短時間の処理として、従来の冷間プレス成形の高い生産効率を損なわないようにすることを課題とする。
本発明者らは、前述の課題を解決するべく種々の実験・検討を重ねた結果、時効析出したアルミニウム合金板、すなわち溶体化処理後に常温時効や人工時効を施したアルミニウム合金板について、絞り成形性および曲げ加工性が向上するように部分的な復元加熱処理における加熱部を最適に選択することが重要であり、またこの部分的復元加熱処理における加熱到達温度、加熱の際の昇温速度、加熱終了後の冷却速度を最適化することによって、その部分を復元により極めて短時間で効率的に軟化させることができ、かつ曲げ性をも向上でき、さらには高い塗装焼付け硬化性を付与することが可能であることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
なおここで復元とは、時効硬化型のアルミニウム合金を溶体化処理後に急冷して、室温で合金元素を過飽和に固溶させた後に、室温もしくはこれより若干高い温度で保持することによりマトリクス中に非常に微細な析出物を析出させて強度を向上させた後、この保持温度より高い温度に短時間加熱することにより、微細析出物が再固溶されて強度が低下する現象を意味する。そしてそのような現象を生起させるために溶体化処理後の保持後の材料について加熱を行なう処理を、復元加熱処理と称している。またここで、部分的な復元加熱処理とは、成形性および曲げ性の向上を目的として、アルミニウム合金板ブランクの面内の予め定めた所定の部位(領域)についてのみ、選択的に加熱して復元させ、その所定部位のみを軟化させる処理を意味している。
具体的には、請求項1の発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板は、Al−Mg−Si系アルミニウム合金からなり、かつ部分的に復元加熱処理が施されて、その加熱部と非加熱部の常温冷却後の0.2%耐力の差が10MPa以上とされていることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板は、請求項1に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板において、冷間プレス成形時におけるシワ押さえに挟まれるべき領域が前記加熱部と定められ、パンチ肩部が押し当てられるべき部分が前記非加熱部と定められていることを特徴とするものである。
そしてまた請求項3の発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板は、Al−Mg−Si系アルミニウム合金からなり、かつ冷間プレス成形時におけるシワ押さえに挟まれるべき領域が加熱部、パンチ肩部が押し当てられるべき領域が非加熱部と定められて、部分的に復元加熱処理が施されて、加熱部の引張強さと非加熱部の0.2%耐力との差が、部分的復元処理前後で20MPa以上増大されていることを特徴とするものである。
さらに請求項4の発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法は、所定の板厚まで圧延されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金圧延板を素材とし、480〜590℃の範囲内の温度で溶体化処理を施した後、常温で1日以上放置してから、冷間プレス成形前に、加熱部と非加熱部の常温冷却後の0.2%耐力の差が10MPa以上となるように、部分的復元加熱処理を施すことを特徴とするものである。
また請求項5の発明は、請求項4に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、前記部分的復元加熱処理を、冷間プレス成形におけるシワ押さえに挟まれるべき領域を加熱部、パンチ肩部が押し当てられるべき領域を非加熱部と定めて行なうことを特徴とするものである。
そしてまた請求項6の発明は、請求項4、請求項5のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、前記部分的復元加熱処理として、30℃/分以上の昇温速度で150〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、30℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却することを特徴とするを特徴とするものである。
さらに請求項7の発明は、請求項4、請求項5のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、前記部分的復元加熱処理として、50℃/分以上の昇温速度で180〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、50℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却し、これにより加熱部の引張強さと非加熱部の0.2%耐力との差を、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させることを特徴とするものである。
また請求項8の発明は、請求項6、請求項7のいずれかの請求項に記載された方法により製造された冷間プレス成形加工用アルミニウム合金板を用いて冷間プレス成形を行なう方法であって、前記部分的復元加熱処理後、常温での放置期間が30日を経過する以前に冷間プレス成形を行なうことを特徴とするものである。
さらに請求項9の発明のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法は、常温時効により時効析出した状態にあるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板ブランクの端部を押さえて、パンチを用いて冷間プレス成形するプロセスを適用した冷間プレス成形方法において、そのアルミニウム合金板ブランクのうち、プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも外側の部分のうちの全部またはこれより小さい一部を加熱部として定めるとともに、その加熱部以外の部分を非加熱部と定め、加熱部を急速に加熱することにより時効析出物を一時的に固溶して軟化させるとともに、非加熱部を加熱しないことにより、加熱部の強度を非加熱部の強度に比べて低下させた後、加熱部の温度を室温まで急速に冷却するという部分的復元加熱処理を行ない、その後室温保持中の時効析出によって加熱部の強度が部分的復元加熱処理前の状態に戻るより前に、アルミニウム合金板ブランクを冷間プレス成形することを特徴とするものである。
一方、請求項10の発明のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法は、溶体化処理後に140℃以下の人工時効を施すか、または常温時効と140℃以下の人工時効とを組み合わせた時効処理を施すことにより亜時効状態にあり、かつ0.2%の耐力値が90MPa以上となっているAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を用い、そのアルミニウム合金板ブランクの端部を押さえて、パンチを用いて冷間プレス成形するプロセスを適用した冷間プレス成形方法において、そのアルミニウム合金板ブランクのうち、プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも外側の部分のうちの全部またはこれより小さい一部を加熱部として定めるとともに、その加熱部以外の部分を非加熱部と定め、加熱部を急速に加熱することにより時効析出物を一時的に固溶して軟化させるとともに、非加熱部を加熱しないことにより、加熱部の強度を非加熱部の強度に比べて低下させた後、加熱部の温度を室温まで急速に冷却するという部分的復元加熱処理を行ない、その後室温保持中の時効析出によって加熱部の強度が加熱前の状態に戻るより前に、アルミニウム合金板ブランクを冷間プレス成形することを特徴とするものである。
さらに請求項11の発明は、請求項9、請求項10のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、前記部分復元処理として、30℃/分以上の昇温速度で150〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、30℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却することを特徴とするものである。
また請求項12の発明は、請求項9、請求項10のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、前記部分的復元加熱処理として、50℃/分以上の昇温速度で180〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、50℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却し、これにより加熱部の引張強さと非加熱部の0.2%耐力との差を、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させることを特徴とするものである。
そしてまた請求項13の発明は、請求項9〜請求項12のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、部分的復元加熱処理における加熱部に、アルミニウム合金板ブランクのうち、プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域より外側の部分のうち、成形後に曲げ加工されることになる部分を含めることを特徴とするものである。
さらに請求項14の発明は、請求項9〜請求項12のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、部分的復元加熱処理における加熱部に、プレス成形時にアルミニウム合金板ブランクのうちパンチ肩部が接触することになる領域よりも内側の全ての領域またはこの領域内の任意形状の一領域もしくは二領域以上を含めることを特徴とするものである。
そしてまた請求項15の発明は、請求項9〜請求項14のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法により得られた成形品であって、部分的復元加熱処理後30日が経過しないうちに施される人工時効処理により加熱部の耐力値が20MPa以上向上することを特徴とするものである。
一方、請求項16の発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板は、請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板において、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板が用いられていることを特徴とするものである。
また請求項17の発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項4〜請求項7のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板を用いることを特徴とするものである。
そして請求項18の発明のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法は、請求項8〜請求項14のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板を用いることを特徴とするものである。
この発明によれば、溶体化処理後、常温時効したAl−Mg−Si系アルミニウム合金板、あるいは溶体化処理後、人工時効または常温時効と人工時効を組み合わせた時効処理により亜時効状態にあるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板のシワ押さえ部分を加熱(部分的復元加熱処理)して復元現象によりその部分を低強度部とし、非加熱部であるパンチ肩部との間で強度差を付与することによって、プレス成形性を向上させることが可能である。しかも、このような部分的復元加熱処理は、冷間プレス成形よりも前に、別の工程として行なわれるため、プレス成形自体は従来の冷間プレス機により高速で行なうことができ、そのため温間成形を適用した場合のような、プレス機械の設備コストの増大や生産効率の低下がなく、しかも特殊な潤滑油の必要性もなくなる。
またこの発明によれば、シワ押さえ部分の強度低下により、成形品の形状凍結性が向上し、また復元現象によって低強度となった部分は塗装焼付時の硬化速度が大きく、強度が急速に回復するため、高い塗装焼付硬化性(BH性)を得ることができ、そのため塗装焼付後の強度劣化を防止することができ、さらには、復元させる加熱領域を最適に選択することにより、成形品の曲げ加工性を向上させることも可能となる。
この発明で使用するアルミニウム合金板は、基本的には、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、高温で溶体化処理された後に常温時効により時効析出した状態にあるもの、あるいは高温で溶体化処理された後に人工時効または常温時効と人工時効を組み合わせた時効処理を施して、亜時効状態にあるものとする。そこで以下この発明について、主要な項目ごとに項を分けて詳細に説明する。
<冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法>
先ず冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法について説明すれば、基本的には、この発明の成形方法で成形されるアルミニウム合金ブランクの素材は、アルミニウム合金製造業で通常一般に採用されている方法により製造することが可能である。
すなわち、所定の成分に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで通常の溶解鋳造法としては、例えば半連続鋳造法(DC鋳造法)や薄板連続鋳造法(ロールキャスト法等)などを含む。次いでこのアルミニウム合金鋳塊に480℃以上の温度で均質化処理を施す。均質化処理は溶湯凝固時の合金元素のミクロ偏析を緩和し、併せてMn・Crをはじめとする各種の遷移元素を含む場合には、これらを主成分とする金属間化合物の分散粒子を、マトリクス中に均一かつ高密度に析出させるために必要な工程である。均質化処理の加熱時間は、通常は1時間以上とし、また経済的な理由から48時間以内に終了させるのが通常である。但しこの均質化処理における加熱温度は、熱延前に熱延開始温度まで加熱する加熱処理温度に近いことから、熱延前加熱処理を兼ねて均質化処理を行なうことも可能である。この均質化処理工程の前もしくは後に適宜面削を施した後、300〜590℃の温度範囲で熱間圧延を開始し、その後冷間圧延を施すことにより、所定の板厚のアルミニウム合金板を製造する。熱間圧延の途中、熱間圧延と冷間圧延の途中または冷間圧延の途中において、必要に応じて中間焼鈍を行ってもよい。
次に、冷間圧延後のアルミニウム合金板について、溶体化処理を行う。この溶体化処理は、MgSi、単体Si等をマトリックスに固溶させ、これにより焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上を図るために重要な工程である。またこの工程は、MgSi、単体Si粒子等の固溶により第2相粒子の分布密度を低下させて、延性と曲げ性を向上させるためにも寄与し、さらには再結晶により良好な成形性を得るためにも重要な工程である。これらの効果を発揮するためには480℃以上の処理が必要である。なお、溶体化処理温度が590℃を越えると共晶融解が生じる恐れがあるため590℃以下とする。
ここで、溶体化処理は、コイル状に巻き取った冷間圧延板を、加熱帯と冷却帯を有する連続焼鈍炉に連続的に通過させることによって、効率的に行うことができる。このような連続焼鈍炉による処理では、アルミニウム合金板は加熱帯を通過する際に480℃以上、590℃以下の高温に昇温され、その後冷却帯を通過する際に急冷される。このような一連の処理により、この発明で対象とする合金の主要合金元素であるMgとSiは、高温で一旦マトリクス中に固溶し、続いて急冷することによって、室温において過飽和に固溶した状態となる。
<溶体化処理から復元加熱処理までの間の時効>
部分的復元加熱処理によって板の加熱部と非加熱部とに強度差を付与するためには、溶体化処理後の常温放置期間中に常温時効(自然時効)によってある程度の量のクラスタあるいは微細析出物が生成されていることが必要であり、このようなクラスタあるいは微細析出物が生成されていなければ、その後の部分的復元加熱処理において加熱部でも復元現象が生じず、部分的復元加熱処理による加熱部の強度低下が実現されない。そこで溶体化処理後には、部分的復元加熱処理を行なうまでの間に、1日以上の常温放置が必要である。なお素材メーカーでの溶体化処理から成形メーカーでの成形までの間の常温放置期間は10日以上が一般的である。なおまたこの常温時効は、初期は早期に進行するが、半年程度経過すれば、それ以上は進行しにくくなるから、復元加熱処理前の常温放置期間の上限は特に規定しない。ここで常温とは、具体的には0〜40℃の範囲内の温度を意味する。
以上の説明では、溶体化処理後の時効について常温時効のみを記述したが、この発明では、溶体化処理された後に人工時効されたもの、および常温時効と人工時効が組み合わされて行われたものの場合でも、その後の部分的復元加熱処理により合金板ブランクに強度差を付与することができる。人工時効を行った場合には、常温時効のみの場合と比較して早期に部分的な復元加熱前の合金板ブランク全体の強度を高めることができる。ただし、人工時効の温度は140℃以下とし、かつ人工時効処理後にアルミニウム合金板が亜時効状態となっていなければならない。人工時効の温度が140℃を越える場合には、析出するMgとSiからなる析出物が粗大となるため、その後に行われる部分的復元加熱処理において析出物が短時間のうちに容易には固溶せず、そのため復元による軟化に長時間を要し、プレス成形の生産性を阻害することとなる。また140℃以下の条件であっても、長時間人工時効を行なってピーク時効またはこれを過ぎた過時効状態となった場合も、同様にMgとSiからなる析出物が粗大となって、部分的復元加熱処理において容易には固溶しなくなり、復元に長時間を要してしまう。このような観点から、より好ましい人工時効温度は100℃未満である。
この発明では、上述のような時効を行って、次の部分的復元加熱処理を行う直前における材料強度として、耐力値(0.2%耐力)が90MPa以上の範囲にあることが望ましく、強度がこの値未満の場合は、引続いて行われる部分的な復元加熱処理において加熱を受けて復元する部分での強度低下が不充分となるため、充分な強度差を付与することができず、成形性を充分に向上させることが困難となる。なおより好ましくは、耐力値が110MPa以上であることが望ましい。
<部分的復元加熱処理>
この発明における最も重要な特徴は、前述のようにして時効されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板について、冷間プレス成形加工を実施する前に、部分的(2次元的な面内の場所として部分的という意味であり、程度の意味ではない)に加熱(復元加熱処理)を行い、常温冷却後におけるその部分的復元加熱処理による加熱部と非加熱部との強度差(0.2%耐力の差)を10MPa以上とすることである。
ここで、深絞り成形限界は、パンチ肩部の破断強度とシワ押さえ部分(フランジ部)の流入抵抗との大小関係によって決まることが知られている。自動車ボディシート用アルミニウム合金板は、製造メーカーでの素材溶体化処理からユーザーでのプレス成形まで、通常は常温での放置となるが、Al−Mg−Si系合金は時効析出硬化型合金であるため、常温放置期間が長ければ、その常温放置期間中における常温時効によって、材料強度が高くなってしまう。これをそのまま冷間プレス成形しようとすれば、シワ押さえ部分の流入抵抗が大きいため、プレス成形性が低下してしまう。
しかしながら、冷間プレス成形前に部分的に短時間の熱処理を行なえば、常温時効(もしくは人工時効、あるいは常温時効と人工時効の組合せ)で形成されたクラスタや微細な析出物が分解し、再固溶されるため、加熱部分に強度低下という復元現象が生じる。この発明は、まさにこのような現象を利用したものであって、その場合の強度低下量として、10MPa以上が必要なのである。
すなわち、10MPa以上強度低下した加熱部をシワ押さえ部分に、また常温時効(もしくは人工時効、あるいは常温時効と人工時効の組合せ)により高強度のままの非加熱部をパンチ肩部に当てて、冷間プレス成形を行なうことにより、プレス成形性が向上するだけでなく、ヘム加工性や加熱部における塗装焼き付け後の強度低下も防げる。なお、プレス成形性を一層高めるためには、板の加熱部と非加熱部の強度差を20MPa以上とすることが好ましい。
またさらに本発明者等が詳細な検討を加えた結果、室温における非加熱部の引張強度と加熱部の耐力との差を、部分的な復元加熱前後で20MPa以上拡大させることが本質的に有効であることが明らかになった。これは、このような大きな強度差を付与することによって、絞り加工時に強度が相対的に低下したシワ押さえ部からの材料流入抵抗(シワ押さえ部の耐力)が低下することにより、相対的に高強度のパンチ肩部にあたる部分の材料強度(引張強さ)が、より大きな材料流入に耐えることができるようになり、その結果深い絞りが可能となるからである。このように、絞り成形性を向上する上でより本質的に重要な非加熱部における引張強さと加熱部における耐力値の差を指標として、これを部分的な復元加熱前後で拡大させることが、合金板の深絞り成形性の向上に有効であることを見出したのである。なお、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力の差の部分的復元加熱処理前後での増大分が20MPa未満の場合には、成形性の向上が充分に得られなくなる。
ここで、部分的復元加熱処理前の状態における引張強さと耐力については、通常合金ブランク内でほぼ均一とみなすことができ、そこで合金板ブランクの任意の位置から引張試験片をサンプリングして引張試験を行なって得られた引張強さと耐力とを、それぞれ部分的復元加熱処理前の非加熱部の引張強さおよび加熱部の耐力とみなすことができる。一方、部分的復元加熱処理後の状態においては、加熱部と非加熱部とで強度が異なるため、各部位から引張試験片を採取して、引張試験する必要がある。ここで非加熱部とは、あくまで部分的復元加熱処理による強度の低下を意図していない部位(領域)を意味するが、部分的復元加熱処理装置の性能や部分的復元加熱処理での到達温度によっては、加熱部からの伝熱・余熱により、非加熱部がある程度温度上昇することもあり得る。非加熱部において実質的に温度上昇しない理想的な態様で部分的復元加熱処理が行われた場合には、非加熱部の引張強さは部分的な復元加熱処理前と同等であり、したがってこの場合は加熱部における耐力の減少幅が、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理前後の増分となる。これに対し、部分的な復元加熱の方法および条件に依存して、部分的復元加熱処理において非加熱部の温度がある程度上昇して、わずかながらも復元が生じて、非加熱部の引張強さが若干低下する場合もある。しかしながらこのような場合でも、この発明で規定しているように、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力の差についての部分的復元加熱処理前後の増大分が20MPa以上であれば、部分的復元加熱処理により実質的に合金板ブランクのプレス成形性を向上させることができる。これがこの発明において室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力差の部分的復元加熱処理前後の増分を指標とした理由である。
<部分的復元加熱処理を行う部位についての詳細>
次に部分的復元加熱処理において加熱する部位、加熱しない部位について、より詳細に説明する。
基本的には、前述のように強度の低い加熱部をシワ押さえ部分に、強度の高い非加熱部をパンチ肩部に当たるように、加熱部位を選択するのであるが、深絞りのためのプレス成形の進行状況を図1に模式的に示し、この図1を参照して部分的復元加熱を行なう部位について説明する。なお図1において、符号1はダイ、2はパンチ、3はパンチ2の肩部、4はシワ押さえ、5はアルミニウム合金板ブランクである。図1において、部分的復元加熱処理においては、プレス成形の際にアルミニウム合金板ブランク5のうち、パンチ肩部3が接触することになる領域Bよりも外側の部分である領域A(シワ押さえ4側の領域)のうちの全部またはこれより小さい一部を加熱部として軟化させるのが効果的である。また特殊な場合として、パンチ肩部3が接触することになる領域Bよりも内側の領域Cの中に、部分的にさらに深く絞った形状が一つまたは二つ以上存在する場合(例えば後述する実施例4および図6参照)は、請求項14で規定しているように、その領域C内の形状に対応して最適化した任意形状の一領域または二領域以上を加熱部として加えることが、プレス成形で良好な成形品を得るために効果的である。
またこのこの発明では、常温時効した合金板ブランクについて部分的な加熱処理を適用して成形性向上を図った従来技術で問題となっていた成形品の曲げ加工性が低いという点についても同時に解決される。すなわち、これは成形後に曲げ加工が必要となるパネルにおいて問題となることであるが、プレス成形後の曲げ加工は、多くの場合、パンチ肩部が接触することになる領域Bよりも外側の部分である領域Aのうちの一部に施されることを利用して、プレス成形後に曲げ加工される部位を選択的に加熱部として加えておくことにより、解決可能となるのであり、これを請求項13において規定している。ここで、復元加熱処理は、常温時効で大幅に劣化した曲げ加工性を大幅に向上させる効果も合わせ持つため、上述の効果も得ることができるのである。
<部分的復元加熱処理の詳細な条件>
部分的復元加熱処理の条件としては、請求項6、請求項11においては、30℃/分以上の昇温速度で150〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、30℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却することと規定しており、このような条件を規定した理由を次に説明する。
部分的復元加熱処理によって前述のように加熱部位での強度低下量を10MPa以上とすることは、Al−Mg−Si系アルミニウム合金の場合、150℃から350℃の温度範囲で5分以内の加熱を施すことにより達成することができる。
また、部分的復元加熱処理による加熱部と非加熱部の強度差を10MPa以上にするためには、急速昇温、具体的には30℃/分以上の昇温速度が必要である。昇温速度が30℃/分以下になれば、復元による強度低下の割合が低下し、逆に時効による強度増加の割合が高まるため、加熱部と非加熱部とに強度差を付与することが困難となる。同じ理由で昇温速度は好ましくは50℃/分以上、さらに好ましくは100℃/分以上とする。
ここで、加熱到達温度が150℃より低い場合、復元による強度低下の割合が小さいため、加熱部と非加熱部とに強度差を付与することが困難となる。一方加熱到達温度が350℃を越えれば、粒界析出が激しくなり、延性の低下を招く。
到達温度での保持時間は5分以内(保持時間ゼロ=滞留させずに所定温度到達後直ちに冷却する場合を含む)とする。到達温度での保持時間が5分を越えれば、復元による強度低下の割合が低下し、逆に時効による強度増加の割合が高まるため、加熱部の強度を低下させることが困難となり、また生産性も阻害される。
さらに、部分的復元加熱処理後の冷却過程では、100℃までの冷却も急速にすることが必要である。具体的には、100℃までの冷却速度が30℃/分未満では、冷却中に粒界析出が起きやすく、材料の延性低下を招くため、30℃/分以上とすることが望ましい。同じ理由で、好ましくは50℃/分以上、更に好ましくは100℃/分以上の冷却速度とする。また冷却後の材料温度が100℃を越えれば、時効硬化が生じてしまい、加熱部の強度を低下させることが困難となる。そのため、部分的復元加熱処理後は100℃以下に冷却することとした。
一方、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力の差を、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させるための、部分的復元加熱処理の条件として、請求項7、請求項12においては、50℃/分以上の昇温速度で180〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、50℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却することとしている。このように規定した理由は次の通りである。
すなわち、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差を、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させるためには、部分的復元加熱処理により加熱する領域(加熱部)の温度を、180℃以上350℃以下の範囲とすることが望ましい。加熱到達温度が180℃未満の場合には、冷間プレスの生産性と比較した場合において、生産性を損なわないような短時間の加熱処理では復元が充分に生じず、加熱部の材料強度が充分に低下しない。このため、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力の差が、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大せず、部分的復元加熱処理による合金板の成形性の向上が不充分となる。また加熱到達温度が350℃より高い温度では、極めて短時間のうちにMgとSiからなる微細析出物が固溶し、引き続き直ちにMgとSiからなる微細析出物が析出する時効が進み、材料は再び硬化してしまう。この時効は、引続き行われる冷却中も継続して起こるため、部分的復元加熱処理時間を極短時間とした場合でも、冷却後の強度の低下幅が低くなる。またさらに復元現象と同時に粒界析出が生じることから、伸びが著しく低下して、プレス成形時に割れが発生しやすくなるため、実質的に成形性が向上しなくなる。これに対して加熱到達温度が180℃以上350℃未満の場合には、プレス成形の生産性を阻害しない高い効率で、効果的にブランクに強度差を付与することが可能となる。
ここで、部分的復元加熱処理における加熱到達温度は、さらにその加熱部における強度の経時変化の速度に応じて、二つの温度範囲に分けることが出来る。
すなわち、加熱到達温度が250℃以上350℃以下の場合は、数秒の短時間のうちにMgとSiからなる微細な析出物が固溶して復元が完了し、所定の冷却速度で室温まで冷却した直後においては、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力差が部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大する。しかしながらこの温度域で復元加熱を行った場合は、冷却後に多くの原子空孔が室温で残存する。この原子空孔は部分的復元加熱処理を行った部分における室温保持中のMgとSiの拡散を助長し、微細析出物の室温での生成を早め、この部分で一旦低下した耐力値は、室温にて数日間の放置で急速に復元加熱処理前の状態に戻ってしまう。この原子空孔密度は加熱到達温度の増大につれて増加し、原子空孔密度の増大とともに、室温での耐力値の増加が早まる。このような急速な強度分布の変化は、事前に最適化されたプレス成形条件との不適合の要因となり、プレス成形品において、形状不良や外観不良を生じる場合が多くなり、そこで安定して良好な成形品を製造するためには、部分的復元加熱処理後の室温保持をできるだけ短時間としてプレス成形することが好ましくなる。これに対して180℃以上250℃未満の温度範囲において復元加熱処理を行った場合には、冷間プレスの生産性と比較して、これを損なわないような短時間のうちに復元が完了し、かつ冷却後室温における原子空孔密度が充分に低く、部分的復元加熱処理後の室温保持期間での経時的な耐力値の増加が充分に小さくなる。そのため、このような温度範囲内で部分的復元加熱処理を行った場合には、数日間室温で保持した場合でも安定して良好な成形品を製造することが可能となる。したがって生産工程のスケジュールの融通性を重視する場合には、部分的復元加熱処理後にブランクを室温で適宜の数日間保持してからプレス成形を行うことが可能となるように、部分的復元加熱処理の到達温度を180℃以上250℃未満とすることが好ましい。ここで、良好な成形品を安定に生産するためには、部分的復元加熱処理における加熱部の耐力値の部分的復元加熱処理直後から5日目までの増加量を50MPa以下とし、より好ましくは30MPa以下とする。
また、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差を部分的復元加熱処理の前後で20MPa以上増大させるための到達温度での保持時間については、同じく5分以内(保持時間ゼロ=実質的に保持せずに直ちに冷却する場合を含む)とすることが望ましい。同様に、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力の差を、部分的復元加熱処理の前後で20MPa以上増大させるためには、部分的復元加熱処理における昇温速度を50℃/分以上とすることが望ましい。昇温速度が50℃/分未満であれば、昇温途中において復元による極微細析出物の再固溶が進展して、昇温途中または加熱保持中に復元が完了して、引き続き析出が生じて強度が向上してしまい、その結果、効果的に加熱部の耐力を減少させることが困難となり、そのため室温における非加熱部と加熱部の耐力差を部分的復元加熱処理前後で20MPa以上向上させることが困難となる。さらに、部分的復元加熱処理後の加熱部の冷却速度は50℃/分以上とすることが望ましい。冷却速度が50℃/分未満の場合には、冷却中に時効による強度向上が進行してしまい、効果的に加熱部の耐力を減少させることが困難となり、その結果、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差を部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させることが困難となる。
なお、部分的復元加熱処理として、ブランクを部分的に加熱するための具体的手段は特に限定されるものではないが、例えばプレス成形時のシワ押さえ部分に対応する部分に加熱した金属隗を接触させたり、その部分だけ熱風で加熱する等の方法を適用することができる。
ここで、前述のような部分的復元加熱処理を行なえば、シワ押さえ部分の強度低下により成形品の形状凍結性が向上し、また復元現象によって低強度となった部分は塗装焼付時の硬化速度が大きく、強度が急速に回復するため、高い塗装焼付硬化性(BH性)が得られ、塗装焼付後の強度劣化がなくなる。これは、常温時効により形成されたクラスタが部分的復元加熱処理による加熱で一旦固溶した後に、塗装焼付けを行うことにより、強度向上により効果的に寄与するより大きなサイズの析出物が高密度で形成されるためである。これに対して、常温時効により形成されたクラスタが残存する状態で塗装焼付けを行えば、このクラスタは通常180℃未満の加熱到達温度で一旦固溶した後に、強度向上により効果的に寄与するより大きなサイズの析出物の析出が始まるため、塗装焼付けのための20分程度の短時間の加熱保持では、硬化の程度が低くなってしまい、高い塗装焼付硬化性が得られない。一方、この発明の部分的復元加熱処理を行なって得られた成形品では、部分的復元加熱処理後の30日以内に行われる塗装焼付処理(人工時効に相当する)によって部分的復元加熱処理で加熱した部分の耐力が20MPa以上向上して、成形品にボディパネルとして必要な剛性を付与することが可能であり、これを規定したのが請求項15である。
<部分的復元加熱処理から冷間プレス成形加工までの常温放置>
部分的復元加熱処理から冷間プレス成形加工までは常温放置されるが、この常温放置期間は、請求項8で規定するように、30日以内とすることが望ましい。部分的復元処理後の常温放置時間が30日を越えれば、せっかく加熱、復元により低下させた部分の強度が新たな常温時効により高くなって、板の加熱部と非加熱部の強度差が縮まり、高いプレス成形性が得られなくなるおそれがある。この常温時効を確実に抑えるためには、好ましくは常温放置を72時間以内、可能ならば24時間以内とすることが望ましく、これは生産性の視点からも有利となる。
また、部分的復元加熱処理から冷間プレス成形までに常温放置される期間としては、より実質的には、部分的復元加熱処理によって軟化した部分の強度が、処理前のもとの強度まで戻らないうちの期間とする。さらに実質的に好ましい状態としては、室温での非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差が、部分的復元加熱処理後において20MPa以上増大した状態を保持している期間とする。なお通常プレス成形に必要な塗油工程は、この常温放置期間中かまたはプレス成形を行う直前に実施することが好ましい。
<アルミニウム合金板の成分組成>
この発明の成形加工用アルミニウム合金板は、基本的にはAl−Mg−Si系合金であれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではないが、通常は請求項16〜請求項18で規定するような成分組成の合金、すなわちMg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を素材とすることが好ましい。
このような請求項16〜請求項18で規定する素材合金の成分組成の限定理由について以下に説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するβ”相の生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。最終板の成形性、特に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。プレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.4%の範囲内が好ましい。
以上のMgおよびSiが、Al−Mg−Si系アルミニウム合金として基本となる合金元素であるが、それ以外にFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有させることとする。これらの添加理由およびその添加量限定理由はつぎのとおりである。
Ti、V:
Tiは鋳塊組織の微細化による強度向上や防食に有効な元素であり、またVは強度向上や防食に有効な元素である。Tiの含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.3%を越えればTi添加による鋳塊組織微細化と防食の効果が飽和する。Vは0.01%未満では充分な効果が得られず、一方0.4%を越えればV添加による防食の効果が飽和する。さらに上限を越えれば粗大なTiまたはV系金属間化合物が多くなり、成形性、ヘム加工性の低下を招く。
Mn、Cr、Zr:
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(焼付硬化性)の向上に有効である。Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCr、Zrの含有量がそれぞれ0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zr、の含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。
Fe:
Feは、一般のアルミニウム合金において通常は0.03%未満は不可避的不純物として含有される。一方、Feは強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であり、これらの効果を発揮させるためにFeを0.03%以上積極的に添加しても良い。但し、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方1.0%を越えれば、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFeを積極的に添加する場合のFe量は0.03〜1.0%の範囲内とした。
Zn:
Znは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性と耐食性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cu:
Cuは成形性向上および強度向上のために添加される元素であり、このような成形性向上および強度向上の目的から0.01%以上添加される。しかしながら、Cu量が1.5%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は1.5%以下に規制することとした。なお、強度向上を重視する場合は、Cu量は0.4%以上が好ましく、またより耐食性の改善を図りたい場合は、Cu量は1.0%以下が好ましい。さらに耐食性を重視する場合はCuを積極的に添加せず、Cu量を0.01%以下に規制することが好ましい。
また、一般のAl合金においては、鋳塊組織の微細化のために前述のTiと同時にBを添加することもあり、BをTiとともに添加することによって、鋳塊組織の微細化と安定化の効果が一層顕著となる。そしてこの発明の場合、Tiとともに500ppm以下のBを添加することは許容される。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。
[実施例1]
表1のA1〜A6に示す各アルミニウム合金を溶解し成分調整を行った後、DC鋳造法により鋳造して、アルミニウム合金鋳塊を作製した。鋳塊に530℃で10時間の均熱処理を行った後、常法に従って熱間圧延、冷間圧延を行い、板厚1mmの合金板とした。その後530℃で溶体化処理した後、室温まで急冷した。溶体化処理および急冷の後、60日常温放置をした。その後、表2に示す加熱条件で絞り成形のシワ押さえ部分に部分的復元加熱処理を施した。板全体を常温に冷却した後、常温放置24時間以内に板の非加熱部と加熱部の強度(引張強さおよび0.2%耐力)、限界絞り比(LDR)、加熱部の塗装焼付強度を計測した。さらに常温放置24時間以内に加熱部のヘム加工性も評価した。
LDR(限界絞り比)試験:
ポンチ径(P)32mmφ、シワ押さえ150kg、ブランク径サイズを種々変え、最大絞り可能ブランク径(D)として、LDR=D/Pで求めた。潤滑剤としてジョンソンワックス(商標)を板の両面に塗布した。
塗装焼付強度:
JIS5号試験片を用いて2%ストレッチ後、170℃、20分の塗装焼付(ベーク)処理を施し、引張試験を行なって、機械的強度として0.2%耐力値を測定した。
ヘム加工性の評価:
曲げ試験片を用いて5%ストレッチしてから、180°密着曲げを行ない、目視により割れの発生の有無を観察した。ここで○印は割れ無しを、また×印は割れ有りを示す。
Figure 2009161851
表1に示す各合金A1〜A6は、全て本発明の請求項16〜18で規定する成分組成範囲内のものである。
Figure 2009161851
表2の供試材No.1〜No.5はいずれも本発明例であり、供試材No.6〜No.9は比較例である。
本発明例はいずれも非加熱部と加熱部との強度差(0.2%耐力の差)が、+12以上であり、LDRが2.09以上と高いだけでなく、ヘム加工性も良好で、塗装焼付後の強度も高い。
一方、比較例では、特にLDRが劣った。そのうち、供試材No.6、No.7、No.8は部分的復元加熱処理の加熱条件がこの発明の範囲から外れたため、加熱部の強度が高く、非加熱部の強度が低くなり、発明例と比較して強度の逆転現象が起き、シワ押さえ部分の強度が高く、パンチ肩部の強度が低いということとなったため、LDRが大きく低下した。さらに供試材No.7、No.8ではヘム加工性も劣化した。供試材No.9は、部分的復元加熱処理なしの強度均一板を冷間プレスした比較例であり、この場合、同一合金組成の発明例No.1と比較して、LDRと塗装焼付け後の強度が劣った。
[実施例2]
この実施例2は、プロセス的には主として請求項7、請求項12に記載の方法による効果を説明するためのものである。但し、請求項7、請求項12で規定する条件からは外れるが、請求項6、請求項11で規定する条件範囲内に入る例も参考のため記載している。ここで、請求項7、請求項12で規定する条件を満たしている例については、「第2発明例」とし、請求項6、請求項11で規定する条件を満たしてはいるが、請求項7、請求項12で規定する条件を満たさない例を「第1発明例」とし、いずれをも満たさない例を「比較例」とした。
表3のB1〜B3に示すアルミニウム合金を溶解した後、DC鋳造法により鋳造して、表3に示す化学成分のアルミニウム合金鋳塊を作製した。鋳塊に530℃で10時間の均熱処理を行った後、常法に従って熱間圧延、冷間圧延を行い、板厚1mmの合金板とした。その後530℃で溶体化処理した後、室温まで急冷した。
その後表4、表5に示す条件で、常温時効または人工時効もしくはこれらの両方を組み合わせた時効処理を施した。この合金板より引張試験片(JIS5号試験片形状)を引張方向が圧延方向と直角となるように採取して、引張試験をおこなって、機械的性質(引張強さ、耐力、伸び)を調べ、結果を表4、表5に示した。またこの合金板に、以下に述べる方法による部分的復元加熱処理を施した後、成形性評価試験に供した。
まずこの合金板より所定サイズの成形性評価用の円板ブランクを作製した。図2に示すように、この円板サンプル(ブランク5)の中心部55.7mmφの領域を非加熱部Qとして、その周囲の領域を加熱部Pとし、部分的復元加熱処理を行った。この加熱部は、プレス成形時にパンチ2の肩部3が接触することになる領域より外側の部分の全てである。この部分的復元加熱処理の具体的な方法としては、図3に模式的に示す形状の部分的復元加熱処理装置の上盤6および下盤7の間に円板ブランク5を挟み込むことにより行った。図3において、上盤6および下盤7は、それぞれ中央部を水冷により冷却した非加熱部8とし、その周囲の部分をヒーターを組み込んだ加熱部9とした。このときの加熱部での加熱到達温度と加熱時間、昇温速度と冷却速度条件を表4、表5に示す。
これらの条件で部分的復元加熱処理を行った円板ブランクについて、以下に説明する成形性評価試験に供するとともに、各条件の円板ブランクについて、図4に示す形状の小型の引張試験片10を加熱部Pと非加熱部Qの両方から採取して(採取位置を図5に示す)引張試験に供し、非加熱部Qと加熱部Pの耐力を調べ、その結果を表6、表7に示した。この部分的復元加熱処理後の各部位の強度評価は、部分的復元加熱処理後の可能な限り速やかに、実質的には部分的復元加熱処理後5時間以内に行った。また、各条件で部分的復元加熱処理を行った円板ブランクの加熱部分における耐力値の経時変化を確認するため、部分的復元加熱処理後1日、5日間経過した円板ブランクの加熱部から同様に引張試験片を採取して直ちに引張試験を行い、各々の時間経過後の耐力値を調べて、結果を表6、表7に示した。またさらに部分的復元加熱処理を行った後、成形性評価試験を行うまでの時間と同じ時間だけ円板ブランクを室温に保持した後、加熱部および非加熱部の両方から小型の引張試験片を採取して(採取位置を図5に示す)、プレス成形を模擬して2%変形を予め付与した後に、塗装焼付け処理に相当する170℃で20分間の条件で人工時効を行った。これらの試験片について引張試験を行い、各部位の耐力値を測定し、塗装焼付け処理に相当する熱処理による各部位での耐力値の増分を表6、表7に示した。またさらには、部分的復元加熱処理を行った後、成形性評価試験を行うまでの時間に加えて3日間円板ブランクを室温に保持した後、円板ブランクの加熱部から小型の引張試験片を採取して、5%の引張変形を加えた後に試験片平行部を切り出し、以下の方法により曲げ性評価試験を行った。すなわち、まず試験片平行部の中央部に位置する引張方向と直角方向の線を折り曲げ線として、90°の角度となるまで、曲げ半径0.8mmで折り曲げ、さらに135°の角度まで折り曲げた後、内側にインナーパネル挿入することを想定して板厚1.0mmの板を挿入して、この板を挟み込むように180°の角度まで折り曲げて密着させた。曲げ加工部の外側をルーペで確認して、割れが発生していない場合に曲げ加工性が良好と判断し、割れが発生している場合に曲げ加工性が不良であると判断した。
成形性評価試験については、部分的復元加熱処理後に円板ブランクを表6、表7に示す時間だけ室温にて保持した後に、円筒深絞り試験により行った。本試験で用いたパンチの形状は、パンチの直径50mmおよびパンチ角半径5.0mmであり、ダイス形状はダイス内径53.64mm、ダイス肩半径13.0mmであった。深絞り試験の条件としては、パンチ速度は180mm/分とし、シワ押さえ力150kgとし、潤滑剤としてジョンソンワックス(商標)を使用した。部分的復元加熱処理を行った合金板ブランクについて深絞り試験を行い、5枚のうち3枚以上絞り成形が可能であった場合は円板の直径を0.5mm増して、再度深絞り試験を行った。これを繰り返して、絞り成形が可能である最大の円板の直径を求め、この数値をパンチ径50mmで割り算して、限界絞り比LDRを求めた。また、比較のため部分的復元加熱処理を行わない元板についてもLDRを求め、これらの円筒深絞り試験の結果を表5に示した。ここでは部分的復元加熱処理を行うことによって、この処理を行わない場合に比較してLDRが0.1以上増大した場合に、部分的復元加熱処理により実質的に成形性向上があったと判断した。
Figure 2009161851
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条件1〜4は、合金B1について、請求項7、請求項12の発明の範囲内の条件によって部分的復元加熱処理等を行ったもの(第2発明例)である。いずれの場合も、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差が部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大した。また、このため成形性評価試験でもLDRが部分的な復元加熱を行わない場合に比較して0.1以上向上しており、実用上有効な成形性の向上効果が認められた。また、塗装焼付け処理相当の熱処理後に、加熱部で20MPa以上の耐力向上があることも確認され、自動車ボディシートに必要な強度レベルが確保できることが判明した。さらに部分的復元加熱処理後における加熱部の耐力値の経時変化は緩やかであり、部分的復元加熱処理後5日目までの耐力値の増分は50MPa以下で安定しおり、プレス成形において形状不良または外観不良が無い良好な成形品を安定に製造することができることが確認された。さらには部分的復元加熱処理での加熱部の曲げ加工性が良好であり、プレス成形品の曲げ部を加熱部としておくことにより、曲げ加工も容易となることが確認された。
これに対して条件5は、部分的復元加熱処理における加熱到達温度が、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分を20MPa以上とするための請求項7、請求項12の発明の温度範囲よりも低い例(第1発明例)である。この場合、加熱部において充分な復元による軟化効果が得られず、その増分が20MPa未満となった。このため成形性評価試験で得られたLDRは、部分的復元加熱処理を行わない場合に比較して充分に向上しないことが判明した。
また条件6は、部分的復元加熱処理における加熱到達温度が本発明の範囲よりも高い比較例である。この場合、加熱部においてわずかな時間で復元が完了した直後に時効析出が直ちに進行することにより、加熱部の耐力が向上してしまい、その結果、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分が20MPa未満となり、そのため成形性評価試験で得られたLDRは、部分的復元加熱処理を行わない場合と同等となり、成形性が向上せず、さらには、この温度での加熱により粒界析出が生じるため、曲げ加工性は大幅に劣化して、成形品の曲げ加工を行うことができないことが判明した。そしてまたこの場合、加熱部において成形後の人工時効による耐力値の増分が20MPa以下となり、ボディパネルに必要な強度を確保することができなかった。
また条件7は、部分的な復元加熱における昇温速度が、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分を20MPa以上とするための請求項7、請求項12の発明の温度範囲よりも低い例(第1発明例)である。この場合、加熱部において緩やかな昇温の途中および加熱到達温度に保持している途中において、復元に引続いて時効析出が進行してしまい、その結果、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分が20MPa未満となった。したがって、0.1以上のLDRの向上は見られず、部分的復元加熱処理による成形性の充分な向上効果が認められなかった。
また条件8は、部分的復元加熱処理における冷却速度が、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分を20MPa以上とするための請求項7、請求項12の発明の範囲よりも低い例(第1発明例)である。この場合、加熱部においては、復元により一旦軟化するが、加熱後の緩やかな冷却途中において時効析出が進行して再び硬化してしまい、その結果、室温における非加熱部の引張強さ度と加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分が20MPa未満となった。そのため0.1以上のLDRの向上は見られず、部分的復元加熱処理による成形性の充分な向上効果が認められなかった。
また条件9および10は、常温時効と人工時効を組み合わせた時効処理後に、請求項7、請求項12の発明の範囲の条件にて部分的復元加熱処理等を行った例(第2発明例)である。いずれの場合も、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差が部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大し、このため成形性評価試験でもLDRが部分的復元加熱処理を行わない場合と比較して0.1以上向上し、実用上有効な成形性の向上効果が認められた。また、塗装焼付け処理相当の熱処理後に、加熱部で20MPa以上の耐力向上があることも確認され、自動車ボディシートに必要な強度レベルが確保できた。さらに部分的復元加熱処理後における加熱部の耐力値の経時変化は緩やかであり、部分的復元加熱処理後5日目までの耐力値の増分は50MPa以下で安定しており、プレス成形において形状不良または外観不良が無い良好な成形品を安定に製造することができることが判明した。さらには部分的復元加熱処理により加熱部の曲げ加工性が良好となり、プレス成形品に対する曲げ加工部分を加熱部としておくことにより、曲げ加工も可能となることが確認された。
一方、条件11は、常温時効を行なってはいるが、部分復元加熱処理を行う前の耐力が本発明の範囲未満の比較例である。この場合、以降に行われる部分的復元加熱処理等を本発明の範囲の条件で行っても、部分的復元加熱処理での加熱部において耐力の低下が充分に得られず、そのため室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分が20MPa未満となり、成形性評価試験で得られるLDRは部分的復元加熱処理を行わない場合からわずかに上昇するに過ぎず、部分的復元加熱処理による実質的な成形性向上効果は認められなかった。
これらの合金B1について得られた結果と同様の結果が、Al−Mg−Si−Cu系の合金である合金B2についても得られた。すなわち、合金B2について行った条件12〜15は全て請求項7、請求項12の発明の範囲内の条件にて部分的復元加熱処理等を行ったものであり、いずれの場合も、室温における非加熱部の引張強度と加熱部の耐力のと差が部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大した。またこのため、成形性評価試験でもLDRが部分的復元加熱処理を行わない場合に比較して0.1以上向上し、実用上有効な成形性の向上効果が認められた。またこの場合、塗装焼付け処理相当の熱処理後に、加熱部において20MPa以上の耐力向上があることも確認され、自動車ボディシートに必要な強度レベルが確保でき、さらに部分的復元加熱処理後における加熱部の耐力値の経時変化は緩やかであって、復元処理後5日目までの耐力値の増分は50MPa以下で安定しおり、プレス成形において形状不良または外観不良が無い良好な成形品を安定に製造することができることが判明した。さらにこの場合は、部分的復元加熱処理での加熱部の曲げ加工性が良好であり、プレス成形品の曲げ部を加熱部としておくことにより、成形品の曲げ加工も容易となることが確認された。
これに対し合金B2について行った条件16は、部分的復元加熱処理における加熱到達温度が、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分を20MPa以上とするための請求項7、請求項12の発明の温度範囲よりも低い例(第1発明例)である。この場合、加熱部において充分な復元による軟化効果が得られず、その増分が20MPa未満であり、そのため成形性評価試験で得られたLDRは部分的復元加熱処理を行わない場合と比較して充分に向上しないことが判明した。
また、合金B2について行った条件17および18は、部分的復元加熱処理における加熱到達温度が本発明の範囲よりも高い比較例である。この場合、加熱部においてわずかな時間で復元が完了した直後に時効析出が直ちに進行することにより、加熱部の耐力が向上してしまい、その結果、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分が20MPa未満となった。そのため成形性評価試験で得られたLDRは部分的復元加熱処理を行わない場合とほぼ同等に過ぎず、成形性は実質的に向上しないことが確認され、またこの温度での加熱により粒界析出が生じるため、曲げ加工性は大幅に劣化して、成形品の曲げ加工を行うことができないことが判明した。さらに、加熱部における成形後の人工時効による耐力値の増分が20MPa以下であり、ボディパネルに必要な強度を確保することができないことが判明した。
また合金B2について行った条件19は、部分的復元加熱処理における加熱時間が本発明の範囲よりも長い比較例である。この場合、加熱部においては加熱中に復元が完了して一旦軟化するが、その後時効析出が進むことにより徐々に硬化し、その結果、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理前後の増分が負の値となってしまった。そのため成形性評価試験で得られたLDRは部分的復元加熱処理を行わない場合よりも低下してしまった。またこの場合、加熱部の成形後の曲げ加工性は不良であり、成形品の曲げ加工を行うことができないことが判明した。
一方、合金B2について行った条件20は、常温時効を行なってはいるが、部分的復元加熱処理前の耐力および引張強さが本発明の範囲未満の比較例である。この場合、以降に行われる部分的復元加熱処理等を請求項7、請求項12の発明の範囲内の条件で行っても、部分的復元加熱処理での加熱部において耐力の低下が充分に得られず、そのため室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差の部分的復元加熱処理による増分が20MPa未満となり、成形性評価試験で得られるLDRは、部分的復元加熱処理を行わない場合からわずかに上昇する程度となり、部分的復元加熱処理による成形性向上効果が実質的に認められないことが判明した。
さらに合金B3について行った条件21および22は、本発明の範囲内の条件によって常温時効または人工時効をそれぞれ行った後に、請求項7、請求項12の発明の範囲内の条件で部分的復元加熱処理等を行った例(第2発明例)であり、室温における非加熱部の引張強さと加熱部の耐力との差が部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大した。またこのため、成形性評価試験瀬もLDRが部分的な復元加熱を行わない場合に比較して0.1以上向上しており、実用上有効な成形性の向上効果が認められた。また、塗装焼付け処理相当の熱処理後に、加熱部で20MPa以上の耐力向上があることも確認され、自動車ボディシートに必要な強度レベルが確保できた。さらに部分的復元加熱処理後5日目までの耐力値の増分は50MPa以下で安定しており、プレス成形において形状不良または外観不良がない良好な成形品を安定して製造することができることが確認された。さらには部分的復元加熱処理での加熱部の曲げ加工性が良好であり、プレス成形品の曲げ部を加熱部としておくことにより、曲げ加工も容易となることも確認された。
[実施例3]
実施例2で用いた合金B1の圧延板を供試材として用い、溶体化処理後の時効条件、部分的復元加熱処理における加熱到達温度・加熱時間・昇温速度・冷却速度条件を、表4に示した条件2と同じ条件として、溶体化処理、時効、部分的復元加熱処理を行った。但しこの実施例3では、部分的復元加熱処理における加熱部と非加熱部の各領域を、表8に示すように種々変化させて部分的復元加熱処理を行った。部分的復元処理を行なってから3日後に、各領域条件で部分的復元加熱処理したブランクについて、実施例1と同じ条件での円筒深絞り試験に供して、LDRを求め、その結果を表8中に示した。
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比較例である条件1は、加熱領域がない、すなわち実質的に部分的復元加熱処理を行わなかった例であり、この場合は、LDRは2.01であった。また比較例である条件2は、ブランクの全面を加熱部とした例であり、LDRは2.02へと微増するのみで、充分な成形性向上効果が得られなかった。
さらに比較例である条件3は、成形時にパンチ肩部に接触することになる部分の全部(図1の領域B)とその外側の部分全部(図1の領域A)を加熱部とした例であり、この場合、パンチ肩部の強度が低下して、この部分で破断が生じやすくなり、そのためLDRも2.01に過ぎず、成形性は向上しないことが判明した。
また比較例である条件4は、成形時にパンチ肩部に接触することになる部分(図1の領域B)の一部とその外側の部分全部(図1の領域A)を加熱部とした例であり、この場合、パンチ肩部の強度が低下して、この部分で破断が生じやすくなり、そのためLDRも2.02に過ぎず、成形性は向上しないことが確認された。
一方、本発明例である条件5は、成形時にパンチ肩部に接触することになる部分(図1の領域B)の外側部分全部(図1の領域A)を加熱部とした例であり、この場合、ブランクのパンチ肩部に接触することになる部分の強度は、その外側の部分に比べて高い。このためLDRは2.26となり、部分的復元加熱処理を行わない場合に比較して0.1以上効果的に増加して、成形性が向上することが確認された。
また本発明例である条件6と7は、成形時にパンチ肩部に接触することになる部分(図1の領域B)の外側部分のうちの一部を加熱部とした例であり、この場合、ブランクにおけるパンチ肩部に接触することになる部分の強度は、その外側部分の一部の領域に比べて高い。このためLDRは各々2.25、2.23となり、部分的復元加熱処理を行わない場合とに比較して、0.1以上効果的に増加して、成形性が向上することが確認された。
[実施例4]
実施例2で用いた合金B1の圧延板を供試材として用い、溶体化処理後時効条件、部分的復元加熱処理における加熱到達温度・加熱時間・昇温速度・冷却速度条件を、それぞれ表4に示した条件2と同じ条件として、溶体化処理、時効、部分的復元加熱処理行った。但し、この実施例4では、プレス成形に用いるパンチの形状を、前記各実施例とは異ならしめた。すなわち、図6に示すように、2段のパンチ肩部3A、3Bを有する2段の円筒パンチ2を用いることとした。ここで、パンチ2の一段目は、φ50mmの大きさで5mmRのパンチ肩部3Aを有し、パンチ2の二段目は、φ25mmの大きさで5mmRのパンチ肩部3Bを有する。さらにダイとしては、この2段パンチ2の形状に対応するものとし、円板ブランク5について、このような2段形状のパンチ2とダイでプレス成形することとした。
この際、本発明例としては、成形時に一段面のパンチ肩部3Aに接触することになる領域Bの外側の領域Aを部分的な復元加熱における加熱部とし、さらに領域Bの内側の領域Cのうち、パンチ肩部3Bに接触することになる領域B’の外側領域A’も加熱部として加えて部分的復元加熱処理を行った。一方、比較例としては、成形時に一段面のパンチ肩部3Aに接触することになる領域Bの外側の領域Aのみを部分的復元加熱処理における加熱部として、部分的復元加熱処理を行った。これら本発明例と比較例の2種の部分的復元加熱処理を施したブランクについて、部分的復元加熱処理後の3日後に、これらのパンチとダイを用いてプレス成形をおこなった。その結果、本発明例では、途中で破断することなく2段の円筒形状の成形品を作製することができたが、比較例では成形品のパンチ肩部3Bに相当する部位で破断が生じてしまった。
この発明により部分的復元加熱処理を行なう際の加熱部と非加熱部とを説明するために、アルミニウム合金板のプレス成形の状況を段階的に示す、模式的な断面図である。 実施例2における部分的復元処理時の加熱部と非加熱部を示すための模式図である。 実施例2において用いた部分的復元加熱処理装置の模式的な斜視図である。 実施例2において採取した引張試験片の形状、寸法を示す平面図である。 実施例2において、部分復元加熱処理を行なったブランクの加熱部および非加熱部からの引張試験片採取位置を示す平面図である。 実施例4において用いたプレスの2段形状のパンチおよびその場合のブランクに対する部分的復元処理における加熱部及び非加熱部の位置を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1 ダイ
2 パンチ
3、3A、3B パンチ肩部
4 シワ押さえ
5 ブランク
P 加熱部
Q 非加熱部

Claims (18)

  1. Al−Mg−Si系アルミニウム合金からなり、かつ部分的に復元加熱処理が施されて、その加熱部と非加熱部の常温冷却後の0.2%耐力の差が10MPa以上とされていることを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板において;
    冷間プレス成形時におけるシワ押さえに挟まれるべき領域が前記加熱部と定められ、パンチ肩部が押し当てられるべき部分が前記非加熱部と定められていることを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板。
  3. Al−Mg−Si系アルミニウム合金からなり、かつ冷間プレス成形時におけるシワ押さえに挟まれるべき領域が加熱部、パンチ肩部が押し当てられるべき領域が非加熱部と定められて、部分的に復元加熱処理が施されて、加熱部の引張強さと非加熱部の0.2%耐力との差が、部分的復元処理前後で20MPa以上増大されていることを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板。
  4. 所定の板厚まで圧延されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金圧延板を素材とし、480〜590℃の範囲内の温度で溶体化処理を施した後、常温で1日以上放置してから、冷間プレス成形前に、加熱部と非加熱部の常温冷却後の0.2%耐力の差が10MPa以上となるように、部分的復元加熱処理を施すことを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 請求項4に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、
    前記部分的復元加熱処理を、冷間プレス成形におけるシワ押さえに挟まれるべき領域を加熱部、パンチ肩部が押し当てられるべき領域を非加熱部と定めて行なうことを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法。
  6. 請求項4、請求項5のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、
    前記部分的復元加熱処理として、30℃/分以上の昇温速度で150〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、30℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却することを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法。
  7. 請求項4、請求項5のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、
    前記部分的復元加熱処理として、50℃/分以上の昇温速度で180〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、50℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却し、これにより加熱部の引張強さと非加熱部の0.2%耐力との差を、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させることを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法。
  8. 請求項6、請求項7のいずれかの請求項に記載された方法により製造された冷間プレス成形加工用アルミニウム合金板を用いて冷間プレス成形を行なう方法であって;
    前記部分的復元加熱処理後、常温での放置期間が30日を経過する以前に冷間プレス成形を行なうことを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  9. 常温時効により時効析出した状態にあるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板ブランクの端部を押さえて、パンチを用いて冷間プレス成形するプロセスを適用した冷間プレス成形方法において、そのアルミニウム合金板ブランクのうち、プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも外側の部分のうちの全部またはこれより小さい一部を加熱部として定めるとともに、その加熱部以外の部分を非加熱部と定め、加熱部を急速に加熱することにより時効析出物を一時的に固溶して軟化させるとともに、非加熱部を加熱しないことにより、加熱部の強度を非加熱部の強度に比べて低下させた後、加熱部の温度を室温まで急速に冷却するという部分的復元加熱処理を行ない、その後室温保持中の時効析出によって加熱部の強度が部分的復元加熱処理前の状態に戻るより前に、アルミニウム合金板ブランクを冷間プレス成形することを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  10. 溶体化処理後に140℃以下の人工時効を施すか、または常温時効と140℃以下の人工時効とを組み合わせた時効処理を施すことにより亜時効状態にあり、かつ0.2%の耐力値が90MPa以上となっているAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を用い、そのアルミニウム合金板ブランクの端部を押さえて、パンチを用いて冷間プレス成形するプロセスを適用した冷間プレス成形方法において、そのアルミニウム合金板ブランクのうち、プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも外側の部分のうちの全部またはこれより小さい一部を加熱部として定めるとともに、その加熱部以外の部分を非加熱部と定め、加熱部を急速に加熱することにより時効析出物を一時的に固溶して軟化させるとともに、非加熱部を加熱しないことにより、加熱部の強度を非加熱部の強度に比べて低下させた後、加熱部の温度を室温まで急速に冷却するという部分的復元加熱処理を行ない、その後室温保持中の時効析出によって加熱部の強度が加熱前の状態に戻るより前に、アルミニウム合金板ブランクを冷間プレス成形することを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  11. 請求項9、請求項10のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、
    前記部分復元処理として、30℃/分以上の昇温速度で150〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、30℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却することを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  12. 請求項9、請求項10のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、
    前記部分的復元加熱処理として、50℃/分以上の昇温速度で180〜350℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で5分以下(0秒を含む)の保持を行なった後、50℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度に冷却し、これにより加熱部の引張強さと非加熱部の0.2%耐力との差を、部分的復元加熱処理前後で20MPa以上増大させることを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  13. 請求項9〜請求項12のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、
    部分的復元加熱処理における加熱部に、アルミニウム合金板ブランクのうち、プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域より外側の部分のうち、成形後に曲げ加工されることになる部分を含めることを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  14. 請求項9〜請求項12のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、
    部分的復元加熱処理における加熱部に、プレス成形時にアルミニウム合金板ブランクのうちパンチ肩部が接触することになる領域よりも内側の全ての領域またはこの領域内の任意形状の一領域もしくは二領域以上を含めることを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
  15. 請求項9〜請求項14のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法により得られた成形品であって、
    部分的復元加熱処理後30日が経過しないうちに施される人工時効処理により加熱部の耐力値が20MPa以上向上することを特徴とする、アルミニウム合金冷間プレス成形品。
  16. 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板において、
    Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板が用いられていることを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板。
  17. 請求項4〜請求項7のいずれかの請求項に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法において、
    Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板を用いることを特徴とする、冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法。
  18. 請求項8〜請求項14のいずれかの請求項に記載のアルミニウム合金板の冷間プレス成形方法において、
    Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板を用いることを特徴とする、アルミニウム合金板の冷間プレス成形方法。
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