JP2011111657A - 塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法、およびそのブランクを用いた冷間プレス成形方法および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】主に自動車ボデイシ−トに用いる冷間プレス成形用Al合金板として、高成形性の確保と塗装焼付け硬化性の向上との両立を図る。
【解決手段】溶体化処理後10日以上経過した状態において、2%の塑性変形後に170℃にて20分間の人工時効を行なった場合に耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性を有するAl−Mg−Si系合金板よりなるブランク(具体的には、Al−Mg−Si系合金圧延板に480℃以上で溶体化処理を行なって、100℃以下の温度域まで急冷した後、50℃以上、120℃以下の範囲内の温度に5分以上保持する予備的時効処理を行なって得られたブランク)を用い、ブランク内の所定の領域を部分的加熱領域と定めて、その領域について、加熱時の昇温速度20℃/sec以上、加熱到達温度180℃以上300℃以下の条件で部分的加熱処理を行なうことにより、その領域を復元軟化させる。
【選択図】図1
【解決手段】溶体化処理後10日以上経過した状態において、2%の塑性変形後に170℃にて20分間の人工時効を行なった場合に耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性を有するAl−Mg−Si系合金板よりなるブランク(具体的には、Al−Mg−Si系合金圧延板に480℃以上で溶体化処理を行なって、100℃以下の温度域まで急冷した後、50℃以上、120℃以下の範囲内の温度に5分以上保持する予備的時効処理を行なって得られたブランク)を用い、ブランク内の所定の領域を部分的加熱領域と定めて、その領域について、加熱時の昇温速度20℃/sec以上、加熱到達温度180℃以上300℃以下の条件で部分的加熱処理を行なうことにより、その領域を復元軟化させる。
【選択図】図1
Description
この発明は、冷間プレス成形を施して使用されるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板ブランク、特に冷間プレス成形後に塗装焼付けを施して使用されるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板ブランクの製造方法、およびそれにより得られたブランクを用いた冷間プレス成形方法と成形品に関し、具体的には、自動車、船舶、航空機等の各種部材・部品、あるいは建築材料、構造材料、そのほか各種機械器具、家電製品やその部品等、特に自動車ボディシート、ボディパネルに好適に用いられるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板ブランクについての製造方法および冷間プレス成形方法と成形品に関するものである。
従来自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では、地球温暖化抑制の視点からCO2排出量の削減が求められ、そのため車体軽量化の重要性が広く認識された結果、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。しかるにアルミニウム合金圧延板は、その成形加工性が冷延鋼板と比べて一般に劣るため、その使用拡大の障害となっている。アルミニウム合金圧延板の成形加工性向上のためには、素材自身の成形性改善と成形加工方法の工夫が強く求められている。
ところで特許文献1、2では、アルミニウム合金板の成形性を向上させるために温間深絞り成形法を適用することが提案されている。確かに温間成形法は、アルミニウム合金板の深絞り成形性を向上させることが可能であるが、大規模な工業生産を前提にすれば、いくつかの問題点がある。
すなわち温間深絞り成形法の特徴として、フランジ部の加熱やパンチ部の冷却をしたままの状態で深絞り成形を行なうことが求められ、そのため、
1.プレス機械に、アルミニウム合金板の加熱、冷却機能を付与することが必要であって、冷間プレス成形と比べてトータルの成形時間に長時間を要して、生産効率が低下し、成形コストが増加する。
2.温間で成形を行なうため、通常の冷間成形用の潤滑油が使えず、そのため新たな潤滑油の開発が必要となる。
3.プレス機械の構成が複雑となり、高い設備コストを要する。
4.プレス機械の複雑化に伴い、品質管理上に不安が生じる。
などの問題がある。
1.プレス機械に、アルミニウム合金板の加熱、冷却機能を付与することが必要であって、冷間プレス成形と比べてトータルの成形時間に長時間を要して、生産効率が低下し、成形コストが増加する。
2.温間で成形を行なうため、通常の冷間成形用の潤滑油が使えず、そのため新たな潤滑油の開発が必要となる。
3.プレス機械の構成が複雑となり、高い設備コストを要する。
4.プレス機械の複雑化に伴い、品質管理上に不安が生じる。
などの問題がある。
ここで温間深絞り成形法は、成形時にアルミニウム合金板ブランクに対して加工度の大きい部分を局部的に加熱して軟化させ、成形するものであるから、成形時でとらえれば、アルミニウム合金板ブランクに部分的に強度差を付与して成形性の向上を図ろうとするもの、と言うことができるが、同様にアルミニウム合金板ブランクに強度差を付与して成形性の向上を図ろうとする他の方法として、ブランクにあらかじめ局部的な熱処理を施しておく方法が知られている(例えば特許文献3)。この方法は、自動車ボディシート用として主に用いられているAl−Mg−Si系合金の如く、熱処理によりマトリクス中で固溶析出が生じ、強度が大幅に変化する時効硬化型合金に対して特に有効と考えられる。
特許文献3では、このAl−Mg−Si系合金板のブランク全体について時効硬化させた後に、ブランクの周辺部のみについて、加熱した金属片を接触させるなどして、500℃程度の高温に加熱し、その部分の析出物を完全に固溶させる溶体化処理を行なって軟化させることによりブランク内に強度差を付与し、その後冷間プレス成形することにより、成形性の向上を図っている。しかしながら、この方法では、ブランクのうち溶体化処理させた領域において、その後の室温保持中に室温時効が進行してしまい、通常の自動車製造工程にてプレス成形後に行われる塗装焼付け処理(170℃以上の温度において20〜30分加熱される処理)を行った場合に、この溶体化処理を行った部分の時効硬化が生じず、成形品の一部分において強度が不足するという問題があった。また溶体化処理に必要な加熱温度が500℃程度の高温のため、部分的な加熱処理に要するコストが大きいことも問題であった。
これに対し特許文献4では、溶体化処理後に室温時効したAl−Mg−Si系合金板について、同様に成形性を向上させることを目的として、ブランクの周辺部について150〜350℃の範囲内の温度に加熱して、復元軟化する技術が開示されている。この方法は、前記の特許文献3の方法に比べて、部分的な加熱処理における加熱温度が低いため、加熱処理に要するコストは比較的低い。但し、部分的加熱によって復元した領域については、その後の塗装焼付け処理において効果的に時効硬化が進んで強度が向上するが、部分的加熱時において加熱しなかった領域は、材料が室温時効しているため、塗装焼付け処理により時効硬化が進まず、そのため強度が向上せず、成形品の一部で強度が不足してしまうという、前述の特許文献3の技術と同様の問題の発生を避け得なかったのである。
一方、一般に使用されている自動車ボディシート用のAl−Mg−Si系合金板においては、塗装焼付け処理時に人工時効硬化を進ませることにより強度を効果的に増大させることを目的として、溶体化処理直後に予備時効処理が行われるのが通常である。ここで予備時効処理とは、溶体化処理後に急冷した後、直ちに材料を70〜90℃程度の温度に数時間加熱保持する処理である。このような予備時効処理により、材料のマトリクス中にはMgとSiからなる微細なクラスタが形成される。このように予備時効処理で形成されるクラスタは、一般に高温クラスタと称され、室温で形成させるクラスタ(低温クラスタと呼ばれる)とは性質が異なる。すなわちこの高温クラスタは、プレス成形後に行われる塗装焼付け処理で加熱された際に、硬化に効果的に寄与するβ’’相へと直接変化して成長することにより、人工時効硬化が効果的に進み、材料強度が高まる。したがって通常のブランクを用いる冷間プレス成形においては、塗装焼付け処理後に成形品全体において強度が高いプレス成形品を得ることが可能となっている。
したがって、上述のような予備時効処理によって高温クラスタが析出した状態にある材料から作製したブランクについて、成形性を向上させるために所定の領域を復元処理によって軟化することができれば、その後に行なわれる塗装焼付けの際に、部分的加熱によって復元軟化した領域と非加熱の領域との両者において効果的な時効硬化が期待でき、その結果、成形品全体について強度を高めた成形品を製造することが可能になると考えられる。
しかしながら、低温クラスタが析出した材料を復元軟化させる場合と同様の従来の処理方法では、高温クラスタが析出した材料は復元軟化せず、かえって時効が進んで硬化してしまい、成形性を向上させることができないのが実情である。
前述のように、従来提案されている技術では、冷間プレス成形における成形性を充分に向上させると同時に、冷間プレス成形後の塗装焼付け処理において成形品全体にわたって強度を充分に向上させるという、二つの要求を同時に満足させることは困難であった。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、冷間プレス成形における成形性の向上と、その後の塗装焼付け処理における充分な強度向上とを同時かつ確実に図り、しかも生産効率も損なわないようにした冷間プレス成形用のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板ブランクの製造方法、およびそれにより得られたブランクを用いての冷間プレス成形方法、冷間プレス成形品を提供することを課題としている。
本発明者らは、予備時効処理により高温クラスタが析出することによって塗装焼付け硬化性が付与された材料を素材とした場合において、冷間プレス成形における成形性を向上させるために所定部位を効果的に復元軟化させるための処理条件、特にブランクに強度差を付与することにより冷間プレス成形を向上させると同時に、その後の塗装焼付け処理の際に部分的加熱処理によって復元軟化した領域と非加熱の領域がともに効果的に時効硬化が進むような処理条件を見出し、これによって成形品全体にわたって強度を向上させて、高強度の成形品の製造を可能にし得ることを見出した。
具体的には、請求項1の発明の塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法は、溶体化処理後10日以上経過した状態において、2%の塑性変形後に170℃にて20分間の人工時効を行なった場合に耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性を有するAl−Mg−Si系合金板によりブランクを作製し、そのブランク内のうち所定の領域を部分的加熱領域と定めておき、その部分的加熱領域について、加熱時の昇温速度20℃/sec以上、加熱到達温度180℃以上300℃以下の条件で部分的加熱処理を行なうことにより、部分的加熱領域を復元軟化させることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法は、所定の板厚まで圧延されたAl−Mg−Si系合金板を素材とし、その素材に480℃以上の温度で溶体化処理を行なって、100℃以下の温度域まで急冷した後、50℃以上、120℃以下の範囲内の温度に5分以上保持する予備時効処理を行なって冷間プレス成形用ブランクを作製し、そのブランク内のうち所定の領域を部分的加熱領域と定めておき、その部分的加熱領域について、加熱時の昇温速度20℃/sec以上、加熱到達温度180℃以上300℃以下の条件で部分的加熱処理を行なうことにより、部分的加熱領域を復元軟化させることを特徴とするものである。
さらに請求項3の発明の塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法は、請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、その後の冷間プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも外側の部分のうち全部またはこれより小さい一部を、部分的加熱領域と定め、それ以外の領域を非加熱領域と定めておいて、前記部分的加熱処理を行なうことを特徴とするものである。
そして請求項4の発明の塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法は、請求項3に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、前記部分的加熱処理を行なうにあたり、その後の冷間プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも内側の領域のうちの全てまたは任意の1または2以上の領域を前記の部分的加熱領域に含めて、部分的加熱処理を行なうことを特徴とするものである。
また請求項5の発明の塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法は、請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、前記部分的加熱処理を行なった後のアルミニウム合金板ブランクの部分的加熱領域と非加熱領域の耐力差が20MPa以上であることを特徴とするものである。
さらに請求項6の発明の塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法は、請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板を用いることを特徴とするものである。
一方請求項7の発明の冷間プレス成形方法は、請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法により得られたブランクを用いて冷間プレス成形を行なうことを特徴とするものである。
また請求項8の発明の塗装焼付け処理されたアルミニウム合金成形品は、請求項7に記載の冷間プレス成形方法により製造されたアルミニウム合金成形品が、その後170℃において20分間行なわれる塗装焼付け処理工程において、前記部分的加熱処理における加熱領域であった部分と非加熱領域であった部分が、ともに部分的加熱処理前に比較して強度が50MPa以上向上していることを特徴とするものである。
さらに請求項9の発明の塗装焼付け処理されたアルミニウム合金成形品は、請求項8に記載の塗装焼付け処理されたアルミニウム合金成形品が、前記部分的加熱処理において加熱領域であった部分と非加熱領域であった部分がともに190MPa以上の耐力値を有していることを特徴とするものである。
この発明によれば、溶体化処理、急冷後の予備時効処理により高温クラスタが析出することによって高い塗装焼付け硬化性を示すAl−Mg−Si系アルミニウム合金板をブランクとし、そのブランク内の所定の領域、代表的にはその後の冷間プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域の外側の領域を部分的加熱領域として定めておき、冷間プレス成形前に特定の処理条件で部分的加熱処理を行ない、高温クラスタの一部をマトリクス中に再固溶させることによって、ブランク内に強度差を付与した後、そのブランクに冷間プレス成形を施すことにより、成形性を従来よりも大幅に向上させることができ、しかも冷間プレス成形後(通常は成形品を加工・組立てした後)に行なわれる塗装焼付け処理の際に、部分的加熱処理時において加熱領域と非加熱領域であった部分が、ともに効果的に時効硬化することにより、成形品の全体で強度が向上し、成形品全体において190MPa以上の耐力値を有する塗装焼付けした成形品を製造することが可能となる。
この発明の冷間プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法においては、アルミニウム合金板の素材として、任意の手法により所定の板厚まで圧延されたAl−Mg−Si系のアルミニウム合金圧延板を用いる。そして一般的には、所定の板厚まで圧延された素材板に対して溶体化処理を施して急冷した後に、所定の温度で予備時効処理を行なって、所定の寸法、形状のブランクとし、そのブランクに対して部分的加熱処理を施す。そこで以下この発明の方法の各プロセスについて、主要な項目ごとに項を分けて詳細に説明する。
<冷間プレス成形用アルミニウム合金素材板の製造方法>
先ず冷間プレス成形用アルミニウム合金素材板(圧延板)の製造方法について説明すれば、基本的には、アルミニウム合金製造業で通常一般に採用されている方法により製造することが可能である。
先ず冷間プレス成形用アルミニウム合金素材板(圧延板)の製造方法について説明すれば、基本的には、アルミニウム合金製造業で通常一般に採用されている方法により製造することが可能である。
すなわち、所定の成分に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで通常の溶解鋳造法としては、例えば半連続鋳造法(DC鋳造法)や薄板連続鋳造法(ロールキャスト法等)などを含む。次いでこのアルミニウム合金鋳塊に例えば480℃以上の温度で均質化処理を施す。均質化処理は溶湯凝固時の合金元素のミクロ偏析を緩和し、併せてMn・Crをはじめとする各種の遷移元素を含む場合には、これらを主成分とする金属間化合物の分散粒子を、マトリクス中に均一かつ高密度に析出させるための工程である。均質化処理の加熱時間は、通常は1時間以上とし、また経済的な理由から48時間以内に終了させるのが通常である。但しこの均質化処理における加熱温度は、熱延前に熱延開始温度まで加熱する加熱処理温度に近いことから、熱延前加熱処理を兼ねて均質化処理を行なうことも可能である。この均質化処理工程の前もしくは後に適宜面削を施した後、例えば300〜590℃程度の温度範囲内で熱間圧延を開始し、所定の板厚で熱間圧延を終了すれば良い。熱間圧延後は、さらに冷間圧延を行なって所定の最終板厚(ブランク製品板厚)とする。なお熱間圧延の中途、熱間圧延と冷間圧延の間、または冷間圧延の中途においては、必要に応じて中間焼鈍を行なっても良い。
<溶体化処理>
上述のようにして所定の板厚まで圧延された素材板(圧延板)については、その全体に対して溶体化処理を行う。この溶体化処理は、MgとSiよりなる析出物をマトリックスに固溶させるための工程である。この溶体化処理においては、480℃以上の高温に加熱する。溶体化処理温度が480℃未満では、固溶されるMg・Si量が不充分となり、未固溶のMgとSiが結晶粒界上に粗大な析出物を形成して、材料の延性を低下させ、プレス成形性を大幅に低下するおそれがある。溶体化処理温度の上限は特に限定しないが、590℃を越えれば共晶融解が生じる恐れがあるため、通常は590℃以下とする。そして加熱温度に到達後、保持なしもしくは5分程度以下の短時間保持の後に、100℃以下の温度域まで急冷する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が小さければ、冷却途中でMgとSiが結晶粒界上に粗大に析出して、材料の延性が低下してしまうため、冷却速度は、通常は50℃/min以上とすることが好ましい。
上述のようにして所定の板厚まで圧延された素材板(圧延板)については、その全体に対して溶体化処理を行う。この溶体化処理は、MgとSiよりなる析出物をマトリックスに固溶させるための工程である。この溶体化処理においては、480℃以上の高温に加熱する。溶体化処理温度が480℃未満では、固溶されるMg・Si量が不充分となり、未固溶のMgとSiが結晶粒界上に粗大な析出物を形成して、材料の延性を低下させ、プレス成形性を大幅に低下するおそれがある。溶体化処理温度の上限は特に限定しないが、590℃を越えれば共晶融解が生じる恐れがあるため、通常は590℃以下とする。そして加熱温度に到達後、保持なしもしくは5分程度以下の短時間保持の後に、100℃以下の温度域まで急冷する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が小さければ、冷却途中でMgとSiが結晶粒界上に粗大に析出して、材料の延性が低下してしまうため、冷却速度は、通常は50℃/min以上とすることが好ましい。
上述のような溶体化処理は、コイル状に巻き取った冷間圧延板を、加熱帯と冷却帯を有する焼鈍炉(連続焼鈍炉:CAL)に連続的に通過させた後、再びコイル状に巻き取ることによって、効率的に行うことができる。このような連続焼鈍炉による処理では、アルミニウム合金板は、加熱帯を連続的に通過する際に480℃以上、590℃以下の高温に昇温され、その後に冷却帯を連続的に通過する際に急冷される。このような一連の処理により、この発明で対象とする合金の主要合金元素であるMgとSiは、高温で一旦マトリクス中に固溶し、続いて100℃以下程度の温度まで急冷することによって、MgとSiが過飽和に固溶した状態となる。
<予備時効処理>
溶体化処理を行なって100℃以下の温度域まで急冷した後には、予備時効処理を行なう。この予備時効処理は、材料を50℃以上120℃以下程度の温度範囲内に5分以上保持することにより、過飽和に固溶した状態にあるMgとSiを、高温クラスタと呼ばれる微細な析出物の形でマトリクス中に析出させるための処理である。このような高温クラスタがマトリクス中に存在すれば、プレス成形後に行われる塗装焼付け処理において、170℃程度の温度に加熱された際に、高温クラスタが強度向上に対して効果的に寄与するβ’’相へと直接遷移して成長することにより、速やかに時効が進んで成形品の強度が大幅に向上する。よってこのような高温クラスタが析出した材料は塗装焼付け硬化性を有しているといえる。ここで50℃以上120℃以下の範囲内の温度での保持時間が5分以下では、高温クラスタを充分に析出、成長させる効果が得られない。なお保持時間の上限は特に定めないが、通常は30時間以下とすることが好ましい。
溶体化処理を行なって100℃以下の温度域まで急冷した後には、予備時効処理を行なう。この予備時効処理は、材料を50℃以上120℃以下程度の温度範囲内に5分以上保持することにより、過飽和に固溶した状態にあるMgとSiを、高温クラスタと呼ばれる微細な析出物の形でマトリクス中に析出させるための処理である。このような高温クラスタがマトリクス中に存在すれば、プレス成形後に行われる塗装焼付け処理において、170℃程度の温度に加熱された際に、高温クラスタが強度向上に対して効果的に寄与するβ’’相へと直接遷移して成長することにより、速やかに時効が進んで成形品の強度が大幅に向上する。よってこのような高温クラスタが析出した材料は塗装焼付け硬化性を有しているといえる。ここで50℃以上120℃以下の範囲内の温度での保持時間が5分以下では、高温クラスタを充分に析出、成長させる効果が得られない。なお保持時間の上限は特に定めないが、通常は30時間以下とすることが好ましい。
ちなみに、上述のような予備時効処理を行なわない場合、すなわち溶体化処理後に室温近傍まで急冷して、そのまま室温に材料を保持した場合には、このような高温クラスタではなく、低温クラスタが析出する。この低温クラスタもMgとSiからなる微細な析出物であるが、先に説明した高温クラスタとは性質が異なり、塗装焼付け処理の加熱の際に、強度向上に効果的に寄与するβ’’相へと直接成長することはなく、そのほとんどが、強度向上への寄与が小さい低温クラスタのまま存在するため、塗装焼付け処理の加熱の際に、強度はほとんど向上しない。よってこのような低温クラスタが析出した材料は塗装焼付け硬化性を有していないと言える。
なお、溶体化処理後に室温近傍まで急冷し、そのまま室温に材料を保持することによって、一旦材料中に低温クラスタが析出してしまえば、その後に予備時効処理(材料を50℃以上120℃以下の温度範囲内で5分以上保持する処理)を行っても、既にMgとSiは低温クラスタとして析出してしまっているため、高温クラスタは形成されない。したがって溶体化処理後に室温近傍の温度まで冷却した場合には、室温での保持時間をできるだけ短時間として(好ましくは室温での保持時間は5分以内として)、速やかに予備時効を行うことが望ましい。
<復元軟化させるための部分的加熱処理条件>
本発明では、上述のようにして溶体化処理−急冷後に予備時効処理を施すことにより高温クラスタを析出させて塗装焼付け硬化性を付与せしめたアルミニウム合金板より作製したブランクについて、部分的加熱処理を行う。すなわち、予備時効処理後の板を適宜の寸法に切り分けたりしてブランクとし、そのブランクについて部分的加熱処理を施す。
本発明では、上述のようにして溶体化処理−急冷後に予備時効処理を施すことにより高温クラスタを析出させて塗装焼付け硬化性を付与せしめたアルミニウム合金板より作製したブランクについて、部分的加熱処理を行う。すなわち、予備時効処理後の板を適宜の寸法に切り分けたりしてブランクとし、そのブランクについて部分的加熱処理を施す。
ここで、溶体化処理−急冷後に予備時効処理を施すことにより高温クラスタを析出させて塗装焼付け硬化性を付与したアルミニウム合金板とは、その特性面からは、請求項1において規定しているように、溶体化処理後10日以上経過した状態において、2%の塑性変形後に170℃にて20分間の人工時効を行なった場合に耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性を有するアルミニウム合金板と言い換えることができる。
そしてこの発明の方法では、上述のような塗装焼付け硬化性を有するアルミニウム合金板からなるブランクについて、成形性の向上を目的として、そのブランクのうちの所定の部分を予め加熱領域と定め、その領域について局部的に加熱処理、すなわち部分的加熱処理を行ない、その領域を復元軟化せしめて、ブランク内に強度差を付与するのである。
高温クラスタが析出した材料を復元軟化させるための加熱条件として最も重要な因子は、加熱時の昇温速度条件である。この発明では、高温クラスタが析出した材料を効果的に復元軟化させるために、昇温速度を特に20℃/sec以上の急速加熱とした。ここで材料をより効果的に復元軟化させて、さらに成形性を高めるためには、昇温速度を45℃/sec以上とすることがより好ましい。またこの発明では、加熱条件について次に重要な因子として、昇温後の加熱到達温度を180℃以上300℃以下の温度範囲内に定めた。ここで、材料をより効果的に復元軟化させて、さらに成形性を高めるためには、加熱到達温度の範囲を200℃以上300℃以下とすることがより好ましい。以下に、部分的加熱処理によって効果的に復元軟化させるための、これらの加熱条件の限定理由を説明する。
まず、昇温速度条件を20℃/sec以上とした理由について説明する。上述したように、この処理で復元軟化させようとする材料中には高温クラスタが析出しており、この高温クラスタはプレス成形に引続いて行われる塗装焼付け処理の加熱(通常170℃程度)の際に、強度向上に効果的に寄与するβ’’相へと直接遷移し、その後成長することによって、時効硬化を効果的に進ませるという性質を有している。ここで、部分的加熱処理時において比較的小さい昇温速度で材料を加熱した場合は、昇温の途中におけるこの170℃付近の温度域において、高温クラスタはβ’’相へと徐々に遷移・成長して、加熱到達温度(180℃以上300℃以下)に達する段階において、充分に成長したβ’’相となってしまい、この充分に成長したβ’’相は、加熱到達温度において安定に存在できるため、再固溶せず、そのため復元軟化を示さない。それどころか、この場合には、塗装焼付けを行った場合と同様に、β’’相の析出・成長によって時効硬化してしまうこととなる。一方、部分的加熱処理時に比較的大きい昇温速度で材料を加熱した場合は、比較的瞬時に加熱到達温度まで達するため、昇温の途中での170℃付近の温度域において高温クラスタがβ’’相へと遷移するための時間的な余裕が無く、高温クラスタの状態のまま加熱到達温度に達する。高温クラスタはこの温度域において安定に存在できないため、マトリクス中に再固溶して復元軟化を示すのである。そして本発明者が詳細な実験を繰返した結果、効果的な復元軟化を示す昇温速度条件として、20℃/sec以上が必要であることを見出したのである。なお昇温速度条件としては、45℃/sec以上がより好ましく、この条件では、より多くの高温クラスタが再固溶するため、復元軟化による強度低下が大きく、そのためより大きな成形性向上効果が得られる。一方、昇温速度が20℃/sec未満の場合は上記の理由により、効果的な復元軟化を示さず、昇温速度条件によっては、目的とは反対に時効硬化が生じてしまう。
ここで、従来技術としての、溶体化処理後に予備時効を行わずに室温で保持して、低温クラスタが析出した材料(塗装焼付け硬化性がない材料)に対して部分的加熱処理を行なう場合において復元軟化させるための昇温速度条件(代表的には2℃/sec前後)との違いを説明すれば、次の通りである。前述のように、低温クラスタは170℃程度の温度で行われる塗装焼付け処理の加熱の際には、高温クラスタのようにβ’’相に遷移することはなく、低温クラスタの状態で安定に存在するため、時効硬化は効果的に進まず、強度を向上させないという性質がある。したがって、2℃/sec程度の比較的小さい昇温速度条件で部分的加熱処理を行った場合、昇温の途中で低温クラスタのまま安定に存在し、最終的な加熱到達温度に達した段階で、再固溶して復元軟化を示すのである。
以上が、この発明において高温クラスタが析出した材料を復元軟化させるために、昇温速度を最適に制御する必要がある理由である。
次にこの発明において、部分的加熱処理における加熱到達温度を180℃以上300℃以下の範囲内とした理由を説明する。この温度範囲内においては、高温クラスタは熱的に安定に存在できず再固溶する性質を有するため、高温クラスタの状態で材料をこの温度範囲内に20℃/sec以上の昇温速度で急速加熱した場合に、高温クラスタが再固溶して効果的に復元軟化を示す。到達温度が180℃未満の温度においては、高温クラスタは熱的に安定に存在できるため、急速加熱した場合でも高温クラスタは再固溶せず、復元軟化を示さない。また到達温度が300℃以上の場合には高温クラスタは再固溶するが、処理温度が高いため、それとほぼ同時にβ’’相やβ’相が析出するため、結果として、材料は効果的に軟化しない。それどころか、析出温度が通常よりも高いため、粗大なβ’’相やβ’相が結晶粒界上に析出して、材料の延性が大幅に低下して、これにより成形性も大幅に低下してしまう。またここで、材料をより効果的に復元軟化させて、さらに成形性を高めるために、加熱到達温度の範囲を200℃以上300℃以下とすることがより好ましい理由は、200℃以上の加熱到達温度においては、高温クラスタがさらに熱的に不安定となり、比較的大きなサイズの高温クラスタまで容易に再固溶して、復元軟化量が増大するからである。
なおこの発明では、部分的加熱処理の際における、加熱到達温度での保持時間については特に規定はしていないが、30秒以下のできるだけ短時間とすることが好ましい。加熱到達温度での保持時間が30秒より長くなれば、生産効率が低下するばかりでなく、高温クラスタの再固溶にともなう復元軟化に引続いて、β’’相の析出が生じて、再び強度が上昇し始め、復元による軟化効果が減少してしまう。
また、部分的加熱処理の際における加熱終了後の冷却速度についても、この発明では特に規定はしないが、2℃/sec以上の冷却速度とすることが好ましい。冷却速度が2℃/secよりも小さい場合は、β’’相が再固溶したマトリクス中から、冷却途中の温度域において、再びβ’’相が析出して、強度が向上して、復元軟化の度合いが低下してしまう。
<部分的加熱処理において加熱領域と定める部位について>
次に部分的加熱処理において加熱する部位(加熱領域)、加熱しない部位(非加熱領域)について、より詳細に説明する。
次に部分的加熱処理において加熱する部位(加熱領域)、加熱しない部位(非加熱領域)について、より詳細に説明する。
基本的には、前述のように強度の低い加熱領域がシワ押さえ部分に、強度の高い非加熱領域がパンチ肩部に当たるように、加熱部位を選択するのであるが、深絞りのためのプレス成形の進行状況を図1に模式的に示し、この図1を参照して部分的加熱処理を行なう部位について説明する。なお図1において、符号1はダイ、2はパンチ、3はパンチ2の肩部、4はシワ押さえ、5はアルミニウム合金板ブランクである。
図1において、部分的加熱処理においては、プレス成形の際にアルミニウム合金板ブランク5のうち、パンチ肩部3が接触することになる領域Bよりも外側の部分である領域A(シワ押さえ4の側の領域)のうちの全部またはこれより小さい一部を加熱領域と定めて軟化させることが効果的である。また特殊な場合として、パンチ肩部3が接触することになる領域Bよりも内側の領域Cの中に、部分的にさらに深く絞った形状が一つまたは二つ以上存在する場合は、請求項4で規定しているように、その領域C内の形状に対応して最適化した任意形状の一領域または二領域以上を加熱領域として加えることが、プレス成形で良好な成形品を得るために効果的である。
また、フランジ部において縮み変形して材料の流入抵抗を増大させる領域がブランクのうちの限定された領域に偏在するような場合(例えば角筒状のパンチを用いての角筒成形の場合に、ブランクのコーナー部に縮み変形部が偏在している)には、ブランクのうち角筒のパンチ肩部にあたる領域の外側を全周にわたって全てを部分的加熱処理における加熱領域と定めて復元軟化しても良いが、この場合には、縮み変形部であるブランクコーナー部のみを加熱領域と定めて部分的加熱処理を行って復元軟化させても、同様の成形性向上効果が得られる。このように成形品の形状に応じて復元軟化させる領域を、本質的に効果がある領域に限定することによって、復元軟化処理の装置の小型化・簡素化が可能となり、また加熱処理に要する処理費用も節減でき、大幅にコストを削減することが可能である。
またさらに、この発明の成形方法では、一般に予備時効処理を施したAl−Mg−Si系合金では曲げ加工性が低いという問題についても、同時に解決することができる。すなわちこれは、成形後に曲げ加工が必要となるボディパネル等の製造において問題となることであるが、プレス成形後の曲げ加工は、多くの場合、パンチ肩部が接触することになる領域Bよりも外側の部分である領域Aのうちの一部に施されることから、この発明の場合、プレス成形後に曲げ加工される部位をも選択的に加熱領域として加えておいて、その部分を復元軟化させることにより、その部分の曲げ加工性を大幅に向上させることができるのである。
<部分的加熱処理の具体的な方法>
部分的加熱処理の具体的な方法について、図2に模式的に示した円筒絞り成形の場合を例にとって以下に説明する。
部分的加熱処理の具体的な方法について、図2に模式的に示した円筒絞り成形の場合を例にとって以下に説明する。
図2には、成形に用いるパンチ2の径が例えば50mm、パンチ肩部3の曲率半径が例えば5mmの場合に、円板ブランク5に行なうべき部分的加熱処理における各対象領域の位置を示す。基本的には、部分加熱処理の加熱領域として、パンチ肩部が接することになる55.7mm径の外側領域Aを定める。この領域Aについて部分的加熱処理を行う装置の模式図を図3に示す。部分的加熱処理装置は、上下とも金属製のプレート6、7で構成されており、これらのプレート6、7には、所定の温度にブランクを加熱できるようにヒータを組み込んだ加熱部9と、水冷式の冷却装置を組み込んだ非加熱部8が設けられている。円板ブランクをこの装置で挟んだ状態で所定時間保持してから取り出すことにより、部分的加熱処理を行うことができる。なお、この発明の部分的加熱処理で規定した昇温速度でブランクを加熱するためには、ヒータを組み込んだ金属製プレートの材質を熱伝導性に優れる銅合金またはアルミニウム合金とすることが好ましく、さらに金属製プレートの温度をブランク側の加熱到達温度に対し高めに設定することが望ましく、またさらにブランクを挟んで部分的加熱処理する際には、ブランクに対して1〜10kg/cm2程度の圧力を機械的に負荷することが好ましい。
前述のように、部分的加熱処理における加熱領域が、パンチ肩にあたる領域の外側領域のうちの一部である場合(例えば、加熱領域が縮み変形領域に限定される場合)は、前述のようなブランク全体を一度にプレスして部分的加熱処理を行うタイプの装置よりは、例えばロボットアームの先端に導電性に優れた金属性の加熱体を取り付け、その加熱体を、限定された加熱領域に所定の荷重で所定時間押し付けることにより局部的に復元軟化させ、これを同一ブランクのうちの一箇所または複数個所について連続的に行なって、部分的加熱処理を行なうことが、より効率的かつ経済的な場合がある。
なおここで述べた部分的加熱処理の方法はそれぞれ一例に過ぎず、部分的加熱処理における昇温速度条件および加熱到達温度条件を満足できれば、レーザー加熱や誘導加熱などの他の加熱方法を適宜用いても良いことはもちろんである。
<アルミニウム合金板の成分組成>
この発明の成形加工用アルミニウム合金板は、基本的にはAl−Mg−Si系合金であれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではないが、通常は請求項6で規定するような成分組成の合金、すなわちMg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を素材とすることが好ましい。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板は、基本的にはAl−Mg−Si系合金であれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではないが、通常は請求項6で規定するような成分組成の合金、すなわちMg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を素材とすることが好ましい。
このような請求項で規定する素材合金の成分組成の限定理由について以下に説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付け処理時に析出硬化によって強度向上に寄与するβ’’相の生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成されて、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。なお最終板の成形性、特に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付け処理時に析出硬化によって強度向上に寄与するβ’’相の生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成されて、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。なお最終板の成形性、特に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。なおプレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.4%の範囲内が好ましい。
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。なおプレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.4%の範囲内が好ましい。
以上のMgおよびSiが、Al−Mg−Si系アルミニウム合金として基本となる合金元素であるが、それ以外にFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有させることとする。これらの添加理由およびその添加量限定理由はつぎのとおりである。
Ti、V:
Tiは鋳塊組織の微細化による強度向上や防食に有効な元素であり、またVは強度向上や防食に有効な元素である。Tiの含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.3%を越えればTi添加による鋳塊組織微細化と防食の効果が飽和する。Vは0.01%未満では充分な効果が得られず、一方0.4%を越えればV添加による防食の効果が飽和する。さらに上限を越えれば粗大なTiまたはV系金属間化合物が多くなり、成形性、ヘム加工性の低下を招く。
Tiは鋳塊組織の微細化による強度向上や防食に有効な元素であり、またVは強度向上や防食に有効な元素である。Tiの含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.3%を越えればTi添加による鋳塊組織微細化と防食の効果が飽和する。Vは0.01%未満では充分な効果が得られず、一方0.4%を越えればV添加による防食の効果が飽和する。さらに上限を越えれば粗大なTiまたはV系金属間化合物が多くなり、成形性、ヘム加工性の低下を招く。
Mn、Cr、Zr:
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(塗装焼付け硬化性)の向上に有効である。Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCr、Zrの含有量がそれぞれ0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zr、の含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(塗装焼付け硬化性)の向上に有効である。Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCr、Zrの含有量がそれぞれ0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zr、の含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。
Fe:
Feは、一般のアルミニウム合金において通常は0.03%未満は不可避的不純物として含有される。一方、Feは強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であり、これらの効果を発揮させるためにFeを0.03%以上積極的に添加しても良い。但し、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方1.0%を越えれば、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFeを積極的に添加する場合のFe量は0.03〜1.0%の範囲内とした。
Feは、一般のアルミニウム合金において通常は0.03%未満は不可避的不純物として含有される。一方、Feは強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であり、これらの効果を発揮させるためにFeを0.03%以上積極的に添加しても良い。但し、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方1.0%を越えれば、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFeを積極的に添加する場合のFe量は0.03〜1.0%の範囲内とした。
Zn:
Znは、時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに、表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性と耐食性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Znは、時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに、表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性と耐食性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cu:
Cuは成形性向上および強度向上のために添加される元素であり、このような成形性向上および強度向上の目的から0.01%以上添加される。しかしながら、Cu量が1.5%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は1.5%以下に規制することとした。なお、強度向上を重視する場合は、Cu量は0.4%以上が好ましく、またより耐食性の改善を図りたい場合は、Cu量は1.0%以下が好ましい。
Cuは成形性向上および強度向上のために添加される元素であり、このような成形性向上および強度向上の目的から0.01%以上添加される。しかしながら、Cu量が1.5%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は1.5%以下に規制することとした。なお、強度向上を重視する場合は、Cu量は0.4%以上が好ましく、またより耐食性の改善を図りたい場合は、Cu量は1.0%以下が好ましい。
なお一般のAl合金においては、鋳塊組織の微細化のために前述のTiと同時にBを添加することもあり、BをTiとともに添加することによって、鋳塊組織の微細化と安定化の効果が一層顕著となる。そしてこの発明の場合、Tiとともに500ppm以下のBを添加することは許容される。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。
[実施例1]
アルミニウム合金を溶解して成分調整を行なった後、DC鋳造法により、表1の合金1〜合金4に示す化学成分のアルミニウム合金鋳塊を作製した。鋳塊に530℃で10時間の均質化処理を行なった後、常法にしたがって熱間圧延を行なって厚さ4mmの熱延板とし、さらに冷間圧延を行なって厚さ1mmの冷間圧延板とした。冷間圧延の途中の厚みにおいて一度中間焼鈍を行った。その後、連続焼鈍炉によって540℃に加熱して溶体化処理を行い、100℃以下の温度まで急冷した後、表2に示す条件にて予備時効処理を行うことにより高温クラスタを生成せしめ、これにより塗装焼付け硬化性を付与させたアルミニウム合金板を作製し、さらにこれを室温にて10日間保持してから、以下に示す条件での評価試験に供した。
アルミニウム合金を溶解して成分調整を行なった後、DC鋳造法により、表1の合金1〜合金4に示す化学成分のアルミニウム合金鋳塊を作製した。鋳塊に530℃で10時間の均質化処理を行なった後、常法にしたがって熱間圧延を行なって厚さ4mmの熱延板とし、さらに冷間圧延を行なって厚さ1mmの冷間圧延板とした。冷間圧延の途中の厚みにおいて一度中間焼鈍を行った。その後、連続焼鈍炉によって540℃に加熱して溶体化処理を行い、100℃以下の温度まで急冷した後、表2に示す条件にて予備時効処理を行うことにより高温クラスタを生成せしめ、これにより塗装焼付け硬化性を付与させたアルミニウム合金板を作製し、さらにこれを室温にて10日間保持してから、以下に示す条件での評価試験に供した。
まず、各供試合金板より、JIS5号引張試験片を引張方向が圧延直角方向となるように採取して、ブランク素材の耐力値を評価し、その結果を表2中に示した。また同様に採取した引張試験片にプレス成形でのひずみを模擬して2%の塑性ひずみを引張りによって付与した後、塗装焼付け処理を模擬して170℃、20分間の人工時効処理を行ってから、引張試験に供して耐力値を評価し、その結果を表2中に示した。また、先に評価した素材の耐力値からの増分をも表2中に示した。
一方、各供試合金板より所定サイズの成形性評価用の円板ブランクを作製した。この円板ブランクについて、図3に模式的に示した部分的加熱処理装置を用いて、部分的加熱処理を行なった。加熱領域は、後述のように成形性評価試験で使用するパンチ径がφ50mm、パンチ肩がR5mmであることから、図2に模式的に示したようにφ55.7mmの外側領域とした。表2中に、部分的加熱処理における昇温速度条件および加熱到達温度条件を示した。ちなみにいずれの場合も、加熱保持の時間は1秒、保持時間経過後の冷却速度は5℃/secとした。
このような部分的加熱処理の後、成形性評価試験を円筒深絞り試験により行なった。円筒深絞り試験の条件を以下に示す。本試験で用いたパンチの形状は、パンチの直径50mmおよびパンチ肩半径5.0mmであり、ダイス形状はダイス内径53.64mm、ダイス肩半径13.0mmであった。深絞り試験の条件としては、パンチ速度は180mm/minとし、シワ押さえ力150kgとし、潤滑剤としてジョンソンワックス(商標)をブランクの両面に塗布した。部分的加熱処理を行なった円板ブランクについて深絞り試験を行ない、5枚のうち3枚以上絞り成形が可能であった場合は、円板の直径を0.5mm増して、各条件で部分的加熱処理を行った後に、再度深絞り試験を行なった。これを繰り返して、絞り成形が可能である最大の円板の直径を求め、この数値をパンチ径50mmで割り算して、限界絞り比LDRを求め、その結果を表3中に示した。また比較のため、部分的加熱処理を行わない供試合金板についてもLDRを求め、これらの円筒深絞り試験の結果を表3中に示した。ここで、部分的加熱処理を行うことによって、この処理を行わない場合と比較してLDRが0.2以上増大した場合に、部分的加熱処理により実質的に成形性向上があったものと判定した。
また、各条件で部分的加熱処理を行った円板ブランクより、図4に示す形状の小型の引張試験片10を加熱領域Pと非加熱領域Qの両方から採取して(採取位置を図5に示す)、引張試験に供し、非加熱領域の引張強さと加熱領域の耐力と伸びを調べ、その結果を表3中に示した。またさらに、同様に部分的加熱処理を行った円板ブランクの加熱領域Pと非加熱領域Qの両方から小形の引張試験片を採取して、プレス成形を模擬して2%塑性変形を引張りによって付与した後、塗装焼付け処理を模擬して170℃、20分間の人工時効処理を行ってから、引張試験に供して、機械的性質を調べた結果を表3に示した。ここでは、部分加熱処理において加熱領域とした部位と非加熱領域とした部位が、ともにプレス成形を模擬した塑性変形と塗装焼付け処理を模擬した人工時効により、部分的加熱処理前と比較して耐力値で50MPa以上増大している場合に、成形品の塗装焼付け硬化性が充分であると判断した。また、部分的加熱処理において加熱領域とした部位と非加熱領域とした部位が、ともにプレス成形を模擬した塑性変形と塗装焼付け処理を模擬した人工時効により耐力値が190MPa以上となった場合に、塗装焼付け処理後の成形品が成形品全体にわたって充分に高い強度を有しているものと判断した。
条件1〜7は、この発明で規定する成分組成範囲内の合金1について、表2中に示す条件で予備時効処理を行なった供試合金について、表2中に示す条件で部分的加熱処理を行なったものである。この条件で予備時効処理を行った材料は、2%の塑性ひずみを加えた後に、170℃にて20分間の人工時効が行われることにより耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性に優れたAl−Mg−Si系合金板となっており、この発明で対象とする範囲内の素材である。このうち条件1、条件2、条件3、条件5については、部分的加熱処理をこの発明の範囲内の昇温速度条件および加熱到達温度条件で行った。したがってこれらの場合は、部分的加熱処理によって、加熱領域と非加熱領域の耐力差が20MPa以上となり、ブランクに対してこのような部分的加熱処理を行なわなかった場合と比較して、LDRが0.2以上向上しており、成形性の充分な向上効果が認められた。また、2%塑性変形を付与後に170℃にて20分間の人工時効を行うことにより、加熱領域と非加熱領域ともに部分加熱処理前の状態に比べて耐力が50MPa以上向上しており、また加熱領域と非加熱領域ともに190MPa以上の耐力値を示していることから、成形品全体において充分な塗装焼付け硬化性を有しており、かつ塗装焼付け処理後の成形品全体の強度が充分であるといえる。
また同じ素材についての条件4は、部分的加熱処理における加熱の昇温速度がこの発明の範囲よりも小さい例である。この場合は、昇温の途中で高温クラスタがβ’’相へと遷移、成長してしまい、加熱到達温度条件がこの発明の範囲内であっても、このβ’’相が再固溶せず、復元軟化を示さないばかりか、成長したβ’’相により時効硬化が生じ、加熱領域の耐力が増大してしまう。そしてこの場合、部分的加熱処理により加熱領域の耐力が非加熱領域の耐力より高くなってしまい、LDRは低下して成形性の向上が認められなかった。
また同じ素材についての条件6は、部分的加熱処理における加熱の速度はこの発明の範囲内であるが、加熱到達温度がこの発明の範囲よりも低い例である。この場合は、高温クラスタは昇温の途中でβ’’相へと遷移することなく、そのままの状態で加熱到達温度まで達するものの、到達温度は高温クラスタが再固溶するには不充分であるため、高温クラスタは固溶せず成長してしまう。したがってこの場合は、加熱領域の耐力が非加熱領域の耐力よりも高くなってしまい、LDRは低下し、成形性の向上が認められなかった。
さらに同じ素材についての条件7は、部分的加熱処理における加熱の速度はこの発明の範囲内であるが、加熱到達温度がこの発明の範囲よりも高い例である。この場合、高温クラスタは昇温の途中でβ’’相へと遷移することなく、そのままの状態で加熱到達温度まで達して再固溶するが、加熱到達温度が高すぎるため、ほぼ同時にβ’’相やβ’相が析出し、その結果材料は効果的に復元軟化しない。したがってこの場合は、加熱領域の耐力が非加熱領域の耐力よりも高くなってしまい、LDRは低下し、成形性の向上は認められなかった。
一方条件8は、この発明の範囲内にある合金1について、予備時効処理を行わなかった場合の例である。この素材には低温クラスタが析出しており、2%塑性変形後に170℃にて20分間の人工時効を行った場合の耐力値の増分は50MPa未満であり、素材としてこの発明の範囲外となっている。よってこの材料は、この発明の範囲より小さい速度の加熱速度で部分的加熱処理を行っても、加熱の途中で低温クラスタは安定であり、加熱到達温度にて低温クラスタは再固溶して復元軟化を示す。したがってこの場合は、加熱領域と非加熱領域の耐力差が20MPa以上となり、ブランクに対してこのような部分的加熱処理を行なわなかった場合と比較して、LDRが0.2以上向上し、成形性の充分な向上効果が認められた。しかしながら高温クラスタが存在しないため、2%塑性変形を付与後に170℃にて20分間の人工時効を行うことにより、加熱領域と非加熱領域ともに部分加熱処理前の状態に比べて耐力値の増分が50MPa以上とならず、また加熱領域と非加熱領域ともに190MPa未満の耐力値となってしまった。このため、成形品全体において充分な塗装焼付け硬化性を有しておらず、かつ塗装焼付け処理後の成形品全体の強度が不充分となった。
また一方、条件9は、この発明の範囲内の合金1について、条件1〜7とは異なる表2中に示す条件で予備時効処理を行った素材についてのものである。本素材も、2%の塑性ひずみを加えた後に、170℃にて20分間の人工時効が行われることにより耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性に優れたAl−Mg−Si系合金板であって、素材としてこの発明の範囲内のものであり、これについて部分的加熱処理をこの発明の範囲内の昇温速度条件および加熱到達温度条件で行った。この場合、部分的加熱処理によって加熱領域と非加熱領域の耐力差が20MPa以上となり、ブランクに対してこのような部分的加熱処理を行なわなかった場合と比較して、LDRが0.2以上向上し、成形性の充分な向上効果が認められた。また、2%塑性変形を付与後に170℃にて20分間の人工時効を行うことにより、加熱領域と非加熱領域ともに部分加熱処理前の状態に比べて耐力が50MPa以上向上しており、また加熱領域と非加熱領域ともに190MPa以上の耐力値を示していることから、成形品全体において充分な塗装焼付け硬化性を有しており、かつ塗装焼付け処理後の成形品全体の強度が充分であるといえる。
一方条件10、条件11、条件12は、それぞれこの発明の範囲内の合金である合金2、合金3、合金4について、表2中に示す各条件で予備時効処理を行なった素材について、表2中に示す各条件で部分的加熱処理を行なったものである。これらの条件で予備時効処理を行った材料は、2%の塑性ひずみを加えた後に、170℃にて20分間の人工時効が行われることにより、いずれも耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性に優れたAl−Mg−Si系合金板であり、素材としてこの発明の範囲内のものである。これらの素材について、部分的加熱処理をこの発明の範囲内の昇温速度条件および加熱到達温度条件で行った(表2中に各々示す)。これらの場合も、部分的加熱処理によって、加熱領域と非加熱領域の耐力差が20MPa以上となり、ブランクに対してこのような部分的加熱処理を行なわなかった場合と比較して、LDRが0.2以上向上し、成形性の充分な向上効果が認められた。また、2%塑性変形を付与後に170℃にて20分間の人工時効を行うことにより、加熱領域と非加熱領域ともに部分加熱処理前の状態に比べて耐力が50MPa以上向上しており、また加熱領域と非加熱領域ともに190MPa以上の耐力値を示していることから、成形品全体において充分な塗装焼付け硬化性を有しており、かつ塗装焼付け処理後の成形品全体の強度が充分であるといえる。
[実施例2]
実施例1で用いた表1の合金板のうち、合金1を72℃にて10時間の条件で予備時効処理した材料を供試材とした。本実施例2では、プレス成形に用いるパンチとして、図6に模式的に示すような2段のパンチ肩部3A、3Bを有する2段の円筒パンチ2を用いることとした。ここで、パンチ2の一段目は、φ50mmの大きさで5mmRのパンチ肩部3Aを有し、パンチ2の二段目は、φ25mmの大きさで5mmRのパンチ肩部3Bを有するものとした。さらにダイ(図示せず)としては、この2段パンチ2の形状に対応するものとし、円板ブランク5について、上述のような2段形状のパンチ2とダイでプレス成形することとした。
実施例1で用いた表1の合金板のうち、合金1を72℃にて10時間の条件で予備時効処理した材料を供試材とした。本実施例2では、プレス成形に用いるパンチとして、図6に模式的に示すような2段のパンチ肩部3A、3Bを有する2段の円筒パンチ2を用いることとした。ここで、パンチ2の一段目は、φ50mmの大きさで5mmRのパンチ肩部3Aを有し、パンチ2の二段目は、φ25mmの大きさで5mmRのパンチ肩部3Bを有するものとした。さらにダイ(図示せず)としては、この2段パンチ2の形状に対応するものとし、円板ブランク5について、上述のような2段形状のパンチ2とダイでプレス成形することとした。
この際、本発明例としては、図6中に示しているように、成形時に一段面のパンチ肩部3Aに接触することになる領域Bの外側の領域Aを部分的加熱処理における加熱領域とし、さらに領域Bの内側の領域Cのうち、パンチ肩部3Bに接触することになる領域B’の外側領域A’も加熱領域として加えて部分的加熱処理を行なった。一方、比較例としては、成形時に一段面のパンチ肩部3Aに接触することになる領域Bの外側の領域Aのみを部分的加熱処理における加熱領域として、部分的加熱処理を行なった。部分的加熱処理の条件は、上記の本発明例、比較例ともに加熱処理の昇温速度45℃/sec、加熱到達温度250℃とした。また加熱到達温度に達した後の保持時間は1secとし、保持終了後は5℃/secの冷却速度で室温まで冷却した。これらの本発明例と比較例の2種の部分的加熱処理を施したブランクについて、部分的加熱処理後速やかにブランクを取り外し、これらのパンチとダイを具備した成形試験にセットして、直ちにプレス成形をおこなった。その結果、本発明例では、途中で破断することなく2段の円筒形状の成形品を作製することができたが、比較例では成形品のパンチ肩部3Bに相当する部位で破断が生じてしまった。
[実施例3]
実施例1で用いた表1の合金板のうち、合金1を72℃にて10時間の条件で予備時効処理した材料を供試材とした。本実施例3では、プレス成形に用いるパンチ2として、図7に模式的に示す形状の角筒パンチを用いた。
実施例1で用いた表1の合金板のうち、合金1を72℃にて10時間の条件で予備時効処理した材料を供試材とした。本実施例3では、プレス成形に用いるパンチ2として、図7に模式的に示す形状の角筒パンチを用いた。
この角筒パンチ2を用いて成形を行おうとするブランク5については、本発明例1としては、図8に模式的に示すように、成形時にパンチ肩部が接触することになる領域の外側の領域のすべてを部分的加熱処理における加熱領域Pと定めた。また本発明例2としては、図9に模式的に示すように、成形時にパンチ肩部が接触することになる領域の外側領域のうちの一部分(角筒成形の際に縮み変形する領域)についてのみ限定的に、部分的加熱処理における加熱領域Pと定めた。これらの本発明例1と本発明例2における部分的加熱処理における加熱条件は、加熱処理の昇温速度45℃/sec、加熱到達温度250℃の条件とし、また加熱到達温度に達した後の保持時間は1secとし、保持終了後は5℃/secの冷却速度で室温まで冷却した。また比較例として、このような部分的加熱処理を行わないブランクについても以下の条件で角筒成形試験を行った。
角筒成形試験の条件は、防錆潤滑油を塗布した後に、しわ押さえ荷重を100kNとして、図7に示す形状のパンチで角筒絞り成形を行った。成形高さは最初20mmとして、成形後に成形品を取り出して、目視にて成形品を確認して、成形品が破断することなく成形できた場合に、成形高さを5mmずつ増やしていき、破断することなく成形できた成形品の最大高さにより成形性を評価した。
この結果、部分的加熱処理を行わない比較例の最大成形高さは25mmであった。これに対して、パンチ肩部が接触することなる部分の外側領域全体を加熱領域とした本発明例1の場合、最大成形高さは45mmであり、大幅な成形性向上効果が認められた。またパンチ肩部が接触することになる部分の外側領域のうちの一部(成形の際に縮み変形する部分)を限定的に加熱領域とした本発明例2の場合、最大成形高さは45mmであり、本発明例1の場合と同等の大幅な成形性向上効果が認められた。
1 ダイ
2 パンチ
3、3A、3B パンチ肩部
4 シワ押さえ
5 ブランク
P 加熱領域
Q 非加熱領域
2 パンチ
3、3A、3B パンチ肩部
4 シワ押さえ
5 ブランク
P 加熱領域
Q 非加熱領域
Claims (9)
- 溶体化処理後10日以上経過した状態において、2%の塑性変形後に170℃にて20分間の人工時効を行なった場合に耐力値が50MPa以上増大するような塗装焼付け硬化性を有するAl−Mg−Si系合金板によりブランクを作製し、そのブランク内のうち所定の領域を部分的加熱領域と定めておき、その部分的加熱領域について、加熱時の昇温速度20℃/sec以上、加熱到達温度180℃以上300℃以下の条件で部分的加熱処理を行なうことにより、部分的加熱領域を復元軟化させることを特徴とする、塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法。
- 所定の板厚まで圧延されたAl−Mg−Si系合金板を素材とし、その素材に480℃以上の温度で溶体化処理を行なって、100℃以下の温度域まで急冷した後、50℃以上、120℃以下の範囲内の温度に5分以上保持する予備時効処理を行なって冷間プレス成形用ブランクを作製し、そのブランク内のうち所定の領域を部分的加熱領域と定めておき、その部分的加熱領域について、加熱時の昇温速度20℃/sec以上、加熱到達温度180℃以上300℃以下の条件で部分的加熱処理を行なうことにより、部分的加熱領域を復元軟化させることを特徴とする、塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法。
- 請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、
その後の冷間プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも外側の部分のうち全部またはこれより小さい一部を、部分的加熱領域と定め、それ以外の領域を非加熱領域と定めておいて、前記部分的加熱処理を行なうことを特徴とする、塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法。 - 請求項3に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、
前記部分的加熱処理を行なうにあたり、その後の冷間プレス成形時にパンチ肩部が接触することになる領域よりも内側の領域のうちの全てまたは任意の1または2以上の領域を前記の部分的加熱領域に含めて、部分的加熱処理を行なうことを特徴とする、塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法。 - 請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、
前記部分的加熱処理を行なった後のアルミニウム合金板ブランクの部分的加熱領域と非加熱領域の耐力差が20MPa以上であることを特徴とする、塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法。 - 請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法において、
Al−Mg−Si系アルミニウム合金板として、Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつFe0.03〜1.0%、Mn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Ti0.005〜0.3%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.01〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金板を用いることを特徴とする、塗装焼付け硬化性を有する冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法。 - 請求項2に記載の冷間プレス成形用アルミニウム合金板ブランクの製造方法により得られたブランクを用いて冷間プレス成形を行なうことを特徴とする、冷間プレス成形方法。
- 請求項7に記載の冷間プレス成形方法により製造されたアルミニウム合金成形品が、その後170℃において20分間行なわれる塗装焼付け処理工程において、前記部分的加熱処理における加熱領域であった部分と非加熱領域であった部分が、ともに部分的加熱処理前に比較して強度が50MPa以上向上していることを特徴とする、塗装焼付け処理されたアルミニウム合金成形品。
- 請求項8に記載の塗装焼付け処理されたアルミニウム合金成形品が、前記部分的加熱処理において加熱領域であった部分と非加熱領域であった部分がともに190MPa以上の耐力値を有していることを特徴とする、塗装焼付け処理されたアルミニウム合金成形品。
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