JP5148896B2 - プレス成形に優れたアルミニウム合金板ブランク - Google Patents

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Description

本発明は、プレス成形される、アルミニウム合金板から切り出されたブランクに関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、常法による圧延などによって板状に製造されたアルミニウム合金を言う。以下、アルミニウムをAlとも言う。
最近の自動車は、安全性向上への適用や快適装備の充実といった背景から、モデルチェンジ毎に車両重量が増加する傾向にあり、燃費劣化の原因となるため、さらなる軽量化が求められている。そのため、従来のボンネット等容易に成形可能なパネル部位から、成形が困難なパネル部位(例えば、ドア、トランクリッド、バックドア等)へのアルミニウム合金板材の材料置換が求められるようになっている。
従来から、前記ボンネットなどの自動車パネルの、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、Al−Mg系のAA乃至JIS規格に規定された(規格を満足する)5000系や、Al−Mg−Si系の6000系アルミニウム合金板(圧延板)が使用され始めている。
しかし、これらアルミニウム合金板は、鋼板に比べれば成形性が劣る。このため、鋼板と同じ条件でプレス成形を行っても、前記成形が困難なパネル部位(難成形部位)では、プレス加工時に割れが生じる。また、この割れを回避するために、しわ押さえ力を低くすると、逆にしわが発生するという不具合により、プレス製品化(パネル化)が困難であった。
より具体的に説明すると、自動車パネルにプレス成形されるアルミニウム合金板は、溶解・鋳造−熱間圧延−(中間焼鈍)−冷間圧延の工程を経たのち、バッチ式あるいは連続式の焼鈍炉による熱処理を行いコイルあるいはシートの状態とされる。
一般的な自動車パネル等のプレス成形では、これらアルミニウム合金板のコイルあるいはシートの状態から、プレス製品(パネル)に適正な大きさのブランクにカットする。そして、このブランクを、絞り成形(ドロー)、リストライク、ピアシング等の3〜4回のプレス工程を経て、製品化(パネル化)する。このとき、アルミニウム合金板の場合、成形が厳しい部品では、絞り成形時に割れやしわが生じ、製品を取ることができない。
これまでも、アルミニウム合金素材板側の成形性を改善するために、MgやSi以外の第三、四元素を添加し、或いは合金元素の添加に併せて、結晶粒径、晶析出物の分散状態、粒界析出物、などのミクロ組織を制御する冶金的な改善が種々方法が種々試みられてきた。
一方、プレス成形の加工側からも、アルミニウム合金板(成形用素材ブランク)の成形性を向上させる方法が提案されている。例えば、熱間成形や温間成形など、室温での成形に比して、ブランクを高温状態とした軟質化した状態でプレス成形する方法も従来から提案されている。この内、温間成形は、パンチ部分を室温に、ダイス部分を温間にして、板を成形する方法である。
このように、アルミニウム合金板を加熱することは、従来から、プレス成形性を向上させるための有力な方法である。例えば、室温(常温)時効硬化が生じた6000系アルミニウム合金材に対し、1%以上の加工歪みを予め与えた後に50〜150℃の温度に加熱する回復処理を行なって、ヘム加工などの成形を行うことも提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−240083号公報
しかし、前記素材側で成形性が改善されたアルミニウム合金板でも、また前記温間成形などのアルミニウム合金板を加熱する方法でも、前記成形が困難なパネル部位(ドア、トランクリッド、バックドア等)のプレス成形性を十分に向上させられなかった。
これに対して、熱間成形やブロー成形などの比較的高温の成形では、高温で板が軟質化するために成形は可能であるものの、板の軟質化による板の特性の変化が生じて、成形後のパネルのハンドリングが困難となったり、成型後のパネル強度が低下する(不足する)という不具合が生じる。
したがって、これまでの手段では、強度などのアルミニウム合金板の機械的な特性を低下させずに、アルミニウム合金板のプレス成形性を十分向上させることができなかった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は強度などのアルミニウム合金板の機械的な特性を低下させずに、プレス成形性を向上させた、アルミニウム合金板ブランクを提供することである。
この目的を達成するために、本発明のプレス成形性に優れたアルミニウム合金ブランクの要旨は、深絞り成形によって自動車パネルとして製品化するプレス成形により成形されるアルミニウム合金ブランクであって、同じ一枚のアルミニウム合金板ブランク中に、0.2%耐力が150MPa以上、250MPa未満である硬質部と、プレス成形前に予め部分的にヒータにより加熱した後に水に焼入れする加熱を行った、0.2%耐力が60MPa以上、150MPa未満である軟質部とを有し、前記硬質部と前記軟質部との0.2%耐力の差が50MPa以上、150MPa未満であることとする。
ここで、前記アルミニウム合金板ブランクにおいて、中央部を前記硬質部とし、周辺部を前記軟質部とすることが好ましい。また、前記硬質部と前記軟質部との0.2%耐力の差が50MPa以上、150MPa未満であることが好ましい。更に、前記硬質部と前記軟質部との伸びの差が5%以上、25%未満であることが好ましい。
前記アルミニウム合金板ブランクは、6000系か5000系アルミニウム合金組成からなることが好ましい。
本発明は、前記成形が困難なパネル部位(ドア、トランクリッド、バックドア等)のプレス成形性を十分に向上させるために、同じ一枚のアルミニウム合金板ブランク中において、比較的耐力が高い硬質部と、比較的耐力が低い軟質部とを混在させる。
ここで、上記比較的耐力が高い硬質部は元の素材板の部分とし、上記比較的耐力が低い軟質部はプレス成形前に予め部分的に加熱して形成する。本発明では、このように、同じ一枚のブランクにおいて、互いに耐力が異なる部位を存在させることによって、アルミニウム合金板ブランクのプレス成形性を向上させる。
この際、耐力が異なる部位の面積や設ける部位、あるいは各々の部位の耐力値などの調整によって、強度などの機械的な特性を低下させずに、プレス成形の種類や条件に応じて、前記成形が困難なパネル部位のプレス成形性を向上させることが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態につき、各要件ごとに具体的に説明する。
(ブランク)
本発明アルミニウム合金板ブランク(:成形素材、以下単にブランクとも言う)は、同じ一枚のブランク中に、0.2%耐力が150MPa以上、250MPa未満である硬質部と、プレス成形前に予め部分的に加熱された、0.2%耐力が60MPa以上、150MPa未満である軟質部とを有している。
(ブランク硬質部)
上記ブランク硬質部は、常法によって製造され、調質された、元の素材板(圧延板)のままの部分であることが好ましい。言い換えると、上記ブランク硬質部の0.2%耐力は、常法によって製造され、調質された、元の素材板(圧延板)のままの0.2%耐力であることが好ましい。例えば、上記軟質部の側を、元の素材板(圧延板)の耐力のままの部分とすると、上記硬質部(硬質部の耐力)にするために、上記軟質部の低耐力から耐力を上昇させること(処理)は非常に難しく、実質的にはできない。
また、ブランクにおける上記硬質部は、前記成形が困難なパネル部位の通常のプレス成形では、ブランクの中央部とすることが好ましい。ブランクの中央部は、プレス成形の際に、ブランクの周辺部(周辺フランジ部)に比して、十分な耐力および強度が必要となる。ブランクの中央部の耐力および強度が低いと、プレス成形時に十分なしわ押さえ力の付加をかけることが出来ず、しわの発生や割れの原因となる。
上記ブランクの中央部としての硬質部の0.2%耐力、言い換えると元の素材板(圧延板)の耐力が、150MPa未満では、十分な耐力および強度が得られない。このため、上記した通り、プレス成形時に十分なしわ押さえ力の付加をかけることが出来ず、しわの発生や割れの原因となる。また、6000系アルミニウム合金に比してベークハード特性(人工時効硬化能)が低い5000系アルミニウム合金などでは、プレス成形後にベークハード処理されても、プレスされた前記自動車などの成形が困難なパネルとしての強度も不足する可能性がある。
一方、上記ブランクの中央部としての硬質部の0.2%耐力(元の素材板の耐力)が、250MPa以上では、プレス成形時に応力集中部が、この硬質部部位にあたると、変形抵抗が大きくなり、割れが発生し、プレス成形品を取得できない。よって、上記硬質部の0.2%耐力(元の素材板の耐力)は、150MPa以上、250MPa未満の範囲とする。
(ブランク軟質部)
上記ブランク軟質部は、前記元の素材板(圧延板)の耐力のままの硬質部分を、プレス成形前に予め部分的に加熱して軟質させた部分(部分加熱部、局部加熱部)であることが好ましい。言い換えると、前記元の素材板(圧延板)の硬質部分の耐力を、プレス成形前に予め部分的に加熱して、耐力を低下させた軟質部とすることが好ましい。
また、ブランクにおける上記軟質部は、前記成形が困難なパネル部位の通常のプレス成形では、ブランクの周辺部(周辺フランジ部)とすることが好ましい。ブランクの周辺部は、プレス成形の際に、一方では割れを生じず、他方ではしわを生じないような、金型への適切な材料の流入(量)が要求される。このため、上記ブランクの中央部としての硬質部の0.2%耐力に比して、低耐力とすることが好ましい。
これらの上記ブランクの中央部としての硬質部や、上記ブランクの周辺部としての軟質部の各面積や設ける部位、あるいは各々の部位の耐力値を、前記成形が困難なパネル部位に応じたプレス成形の種類や条件に対応して、プレス成形性が向上するように調整する。この場合、上記各最適条件の知見のためには、試験条件を色々振った上での成形試験過程も勿論必要である。
ここで、上記ブランクの周辺部としての軟質部を、成形品部分ではなく、できるだけトリミングによって除去される周辺部(フランジ部)とすることによって、強度などのアルミニウム合金板の機械的な特性を低下させずに、プレス成形性を向上させることができる。
また、これらのブランクの中央部としての硬質部や、ブランクの周辺部としての軟質部を設ける場合には、ブランク中央部を硬質部、ブランク周辺部を軟質部として各々区分けして良い。ただ、このように画一的に区分けせずとも、ブランク中央部内(硬質部内)に部分的に軟質部を設けても良く、反対に、ブランク周辺部内(軟質部内)に部分的に硬質部を設けても良い。
上記ブランクの周辺部としての軟質部の0.2%耐力が60MPa未満では、耐力が低すぎ、フランジ割れの原因となる。また、150MPaより高い耐力では、加熱前の素材板耐力(硬質部耐力)が、上記硬質部の最大値の250MPaより高くなっている場合が多く、プレス成形時に硬質部側で割れる。よって、局所加熱部の耐力は、60MPa以上、150MPa未満の範囲とする。
(耐力差)
ここで、前記硬質部と前記軟質部との0.2%耐力の差が50MPa以上、150MPa未満であることが好ましい。前記硬質部と前記軟質部との0.2%耐力の差が小さいと、硬質部か軟質部かのいずれかの単一の性質を有する、従来の均一な特性のブランクと大差なく、前記成形が困難なパネル部位の成形性が向上できない。一方、前記硬質部と前記軟質部との各々の0.2%耐力を前記した最適範囲内に納めるために、両者の0.2%耐力の差を必要以上に大きくする必要はない。
(伸びの差)
以上説明した0.2%耐力の他に、更に、伸びの観点から、前記硬質部と前記軟質部とに、特定量の伸びの差を設けることが好ましい。前記硬質部と前記軟質部とに0.2%耐力の差を設ければ、前記硬質部が比較的低く、前記軟質部が比較的高い、伸びの差を必然的に設けることになる。しかし、前記硬質部と前記軟質部との伸びの差(軟質部伸び−硬質部伸び)を特定量である、5%以上、25%未満とすることによって、よりプレス成形の向上を保証することができる。
この伸びの差が5%未満では、前記成形が困難なパネル部位の優れたプレス成形性を得ることが出来ず、この伸びの差が25%未満では、硬質部側の伸びをほとんど得ることが出来ず、硬質部側で割れを生じて、プレス成形品を取得出来ない。よって、前記硬質部と前記軟質部との伸びの差は、5%以上、25%未満の範囲とする。
(適用アルミニウム合金板)
本発明では、プレス成形用のブランクとして、常法で製造された、JISに規格化された、あるいはJIS規格に相当する乃至近似する、1000系、3000系、5000系、6000系などのアルミニウム合金板(圧延板)が使用できる。但し、前記したドア、トランクリッド、バックドア等の成形が困難な自動車パネルとして必要な、基本的な強度、成形性、耐食性などの諸特性を有するためには、Al−Mg−Si系である6000系あるいはAl−Mg系である5000系アルミニウム合金板とすることが好ましい。これら6000系あるいは5000系アルミニウム合金板の好ましい組成を以下に示す。
(6000系Al合金板)
6000系Al合金板の成分組成は、自動車パネルとしての必要な上記基本的な諸特性を確保するために、質量%で、Mg:0.2〜2.5%、Si:0.3〜2.0%、Mn:0.01〜1.0%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとすることが好ましい。なお、本発明での化学成分組成の%表示は、前記請求項の%表示も含めて、全て質量%の意味である。
Mg、Si、Mn、Cu以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS 規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、不純物元素が混入される可能性が高い。そして、これら不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。また、実質量含有しても本発明目的や効果を阻害しない含有範囲があり、この範囲では各々の含有効果もある。したがって、各々以下に規定する量以下の範囲での含有を許容する。
その他の合金元素とは、具体的には、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下を含んでも良い。また、これらに加えて、あるいは、これらの代わりに、更に、Ag:0.2%以下、Zn:1.0%以下を含んでも良い。
(5000系Al合金板)
5000系Al合金板の成分組成は、自動車パネルとしての必要な上記基本的な諸特性を確保するために、質量%で、Mg:2.0〜6.0%を含み、更に、Fe、Mn、Cr、Zr及びCuの内から選ばれる一種また二種以上を合計で0.03〜2.5質量%含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなる化学成分組成とする。
(不純物)
これら記載元素以外の元素は基本的には不純物である。ただ、Al合金板のリサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、5000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用した場合には、これらの元素が混入される。そして、これら元素を例えば検出限界以下などに低減すること自体がコストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。したがって、本発明では、本発明の目的や効果を阻害しない範囲での記載元素以外の元素の含有を許容する。例えば、Si:0.5%以下、V:0.3%以下、Ti:0.5%以下、B:0.05%以下、Zn:0.5%以下の含有を各々許容する。
(ブランク製造)
本発明では、ブランク用のアルミニウム合金板は、溶解・鋳造−均質化熱処理−熱間圧延−(中間焼鈍)−冷間圧延の工程を経て、自動車パネルとしての0.5mm〜2.0mm程度の板厚の板として製造される。この板は、次いでバッチ式あるいは連続式の焼鈍炉により、溶体化あるいは焼鈍などの熱処理(調質)を行い、アルミニウム合金板のコイルあるいはシートの状態とされる。自動車パネルにプレス成形されるブランクは、これらコイルあるいはシートの状態から、プレス製品(パネル)に適正な大きさのブランクにカットされて得られる。
(プレス成形)
そして、このブランクを、絞り成形(ドロー)、リストライク、ピアシング等の3〜4回のプレス工程を経て、前記したボンネット、ドア、トランクリッド、バックドア等の自動車パネルとして製品化(パネル化)する。
次に、本発明の実施例を説明する。上記のように製造した板から切り出した、表1に示す組成の6000系アルミニウム合金板ブランクを用い、同じ一枚のブランクの中央部を前記硬質部とし、周辺部を加熱して前記軟質部とした上で、成形試験により、限界絞り比(LDR)の評価を行なった。
表2に、加熱前の素材であって、ブランク中央部の硬質部の機械的な特性と、加熱部であって、ブランク周辺部の軟質部の機械的な特性と、これらの機械的な特性の差を示す。また、表3に、表2に示す各ブランクの、円筒絞り成形試験による限界絞り比(LDR)の結果を各々示す。
使用ブランクは共通して、200mm×200mmの板とし、発明例全部と加熱した比較例は、下記ポンチの平面的な面積に見合うブランクの中央部の範囲である、直径140mmφの円範囲を前記硬質部(元の素材板)とした、また、この残りの周辺部の範囲を、ヒータにより部分的に500℃に5秒間加熱した後に水に焼入れする加熱を行って、前記軟質部とした。これに対して、加熱しない(加熱無しの)比較例は、この周辺部を加熱せずに、通常通り、そのまま成形試験した。
限界絞り比(LDR)は、上記ブランク周辺部の各角部を落とした円形ブランクとした上で、ポンチφ100mm−肩R4.5mm、ダイス:104.5〜106.0mmφ−肩R8〜10mm、日本工作油製の防錆洗浄油を用いて潤滑し、しわ押さえ荷重2トン、パンチ速度200mm/minの条件で深絞り試験を行った。そして、深絞り成形できない成形限界ブランク径を決定し、「限界絞り比=成形限界ブランク径/パンチ径」の式により限界絞り比を算出した。この限界絞り比が大きいほど、深絞り成形性に優れている事を意味し、成形が困難な自動車パネル部位(ドア、トランクリッド、バックドア等)の成形に要求される深絞り成形性を満足するためには1.9以上であればよい。
ここで、表1の6000系−1アルミニウム合金は表2、3の6000系−1アルミニウム合金、表1の6000系−2アルミニウム合金は表2、3の6000系−2アルミニウム合金である。
表2において、発明例は、同じ一枚のアルミニウム合金板ブランク中に、0.2%耐力が150MPa以上、250MPa未満である中央部の硬質部と、プレス成形前に予め部分的に加熱された、0.2%耐力が60MPa以上、150MPa未満である周辺部の軟質部とを有している。また、発明例は、前記硬質部と前記軟質部との0.2%耐力の差が50MPa以上、150MPa未満であり、前記硬質部と前記軟質部との伸びの差が5%以上、25%未満である。この結果、表3のように、各発明例はLDRが1.9以上であり、成形が困難な自動車パネル部位(ドア、トランクリッド、バックドア等)の成形に要求される深絞り成形性を満足する。
これに対して、比較例は、表2において、周辺部の軟質部とを有していないか、有していても、中央部の硬質部か周辺部の軟質部かの0.2%耐力の規定を外れている。この結果、表3のように、各比較例はLDRが1.9未満であり、成形が困難な自動車パネル部位(ドア、トランクリッド、バックドア等)の成形に要求される深絞り成形性を満足できない。
Figure 0005148896
Figure 0005148896
Figure 0005148896
なお、本実施例でも、プレス成形された前記角筒形状(硬質部)以外の残りの加熱されて耐力(強度)が低下した周辺部(フランジ部)は、成形品としては大部分がトリミングされる。このため、強度などのアルミニウム合金板の機械的な特性を低下させずに、プレス成形性を向上させることができる。
本発明によれば、強度などのアルミニウム合金板の機械的な特性を低下させずに、プレス成形性を向上させた、アルミニウム合金板ブランクを提供できる。この結果、自動車パネルなどのプレス成形用途にアルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (4)

  1. 深絞り成形によって自動車パネルとして製品化するプレス成形により成形されるアルミニウム合金ブランクであって、同じ一枚のアルミニウム合金板ブランク中に、0.2%耐力が150MPa以上、250MPa未満である硬質部と、プレス成形前に予め部分的にヒータにより加熱した後に水に焼入れする加熱を行った、0.2%耐力が60MPa以上、150MPa未満である軟質部とを有し、前記硬質部と前記軟質部との0.2%耐力の差が50MPa以上、150MPa未満であることを特徴とする、プレス成形に優れたアルミニウム合金板ブランク。
  2. 前記アルミニウム合金板ブランクにおいて、中央部を前記硬質部とし、周辺部を前記軟質部とした請求項1に記載のアルミニウム合金板ブランク。
  3. 前記硬質部と前記軟質部との伸びの差が5%以上、25%未満である請求項1または2に記載のアルミニウム合金板ブランク。
  4. 前記アルミニウム合金板ブランクが6000系か5000系アルミニウム合金組成からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金板ブランク。
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