JP2003321723A - 曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents
曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板Info
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Abstract
の曲げ加工性に優れ、他のプレス成形性や低温時効硬化
能などにも優れたAl-Mg-Si系Al合金板を提供することを
目的とする。 【解決手段】 Al-Mg-Si系アルミニウム合金板におい
て、製造された板の室温時効後の特性として、板の圧延
方向に対して平行方向の0.2%耐力が120 〜170MPaの範囲
であり、かつ、板の圧延方向に対して45度方向の伸びδ
1 が30% 以上であるとともに、このδ1 と板の圧延方向
に対して平行方向の伸びδ2 との比δ1 /δ2 が1.2 以
上であることである。
Description
効が進んだ場合でも、特にヘム加工などの曲げ加工性に
優れ、プレス成形性や低温時効硬化能などの、パネル化
に際して要求される他の諸特性にも優れたAl-Mg-Si系ア
ルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlとも言
う)に関するものである。
どの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用と
して、成形加工性 (以下、単に成形性と言う) に優れた
Al-Mg系のAA乃至JIS 規格に規定された (規格を満足す
る)5000 系や、成形性や焼付硬化性に優れたAl-Mg-Si系
のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に5000系乃至6000系と言
う) のAl合金材(圧延板材、押出形材、鍛造材などの各
アルミニウム合金展伸材を総称する)が使用されてい
る。
して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の
向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体
に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より
軽量なAl合金材の適用が増加しつつある。
フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネ
ル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内
板)等のパネルには、薄肉でかつ高強度Al合金板とし
て、過剰Si型の6000系のAl合金板の使用が検討されてい
る。
は、Si、Mgを必須として含み、かつSi/Mg が1 以上であ
るAl-Mg-Si系アルミニウム合金である。そして、この過
剰Si型6000系Al合金は優れた時効硬化能を有しているた
め、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性
を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理な
どの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬
化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる時効硬化
能がある。
Mg量などの合金量が多い、他の5000系のAl合金などに比
して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら60
00系Al合金材のスクラップを、Al合金溶解材 (溶解原
料) として再利用する際に、元の6000系Al合金鋳塊が得
やすく、リサイクル性にも優れている。
は、その優れた時効硬化能ゆえに、Al合金材自体の製造
後、前記各用途に使用されるまでの間に、室温 (常温)
時効が生じるという大きな問題がある。この室温時効の
傾向は、本発明が対象とする過剰Si型6000系Al合金材で
特に強い。
6000系Al合金材自体の製造後2 週間経過後でも、20% 程
度以上耐力が上昇するとともに、逆に伸びが10% 程度以
上低下するような現象も生じる。
合、製造直後には、過剰Si型6000系Al合金板が前記各用
途の要求特性を満足したとしても、一定時間の経過後
に、実際の用途に使用される際には、前記要求特性を満
足できない問題を生じる。即ち、特にヘム加工性などの
曲げ加工性を著しく低下させ、また、前記プレス成形性
や前記比較的低温での時効硬化性などの他の諸特性も低
下させ、パネルとしての必要な形状精度や強度が得られ
ないこととなる。
室温時効抑制と低温時効硬化能向上の課題に対しては、
6000系Al合金板材を溶体化および焼入れ処理した後に、
70〜150 ℃の低温で0.5 〜50時間程度保持する熱処理
(時効処理) を施して改善することが提案されている
(特許文献1、2参照) 。
含む6000系Al合金材の低温時効硬化能を阻害している要
因は、溶体化および焼入れ処理後の室温放置中に形成さ
れるMg-Si クラスターであるとしている。即ち、この形
成されたMg-Si クラスターが、塗装焼き付け時に再固溶
するために熱エネルギーが消費され、強度上昇に寄与す
るGPゾーンの側の析出を阻害することであるとしてい
る。そして、特許文献1では、低温時効硬化能を阻害す
るMg-Si クラスターの生成量を規制するために、また、
特許文献2では、成形性向上には寄与するMg-Si クラス
ターを低温時効硬化能を阻害しない範囲で一定量の存在
(活用) させるために、溶体化および室温まで焼入れ処
理した後に、前記70〜150 ℃で0.5 〜50時間程度保持す
る低温熱処理を施している。この結果、室温時効抑制効
果として、製造後100 日放置した後のAl合金パネル材の
伸びが30% 以上、エリクセン値が10mm以上をもって、成
形性が良く、室温時効が抑制されているとしている。
献1、2などの実際の低温時効硬化能は、170 ℃×30分
の塗装焼き付け条件でも、最大でも168MPa程度である。
したがって、これら特許文献では170 ℃×30分の人工時
効処理条件でも、170Pa 以下の過剰Si型6000系Al合金板
しか得られていない。
車パネルの塗装焼付処理は、170 ℃×20分や160 ℃×20
分などのより低温短時間となっているのが趨勢である。
そして、これら低温短時間の塗装焼付条件 (人工時効処
理条件) であっても、パネルとして、170MPa以上の高強
度であることが求められている。
件も、近年益々難しくなる傾向にあり、従来の成形加工
側からの改善や素材板側からの改善では、対応できない
場合が生じる。先ず、張出成形されるアウタパネル形状
は、張出高さや張出面積などが大型化し、しかも形状
が、伸びフランジ変形を伴うような湾曲部位を有するな
ど複雑化する傾向にある。このため、前記従来の成形加
工側や素材板側からの改善でも、割れ、肌荒れなどの成
形不良が生じ易い。
タパネルの端部形状も、直線的な単純形状ではなく、円
弧形状やあるいは角部を有するような複雑形状化する傾
向にある。また、アウタパネルのフラットヘム部 (縁曲
部) に挿入されるインナパネルも、軽量化のために、1.
0mm 以下の、例えば0.5mm 程度の板厚に益々薄肉化され
傾向にある。これらの条件は全て、フラットヘム加工条
件を厳しくしている。
いて、Al合金板の室温時効抑制と、プレス成形性および
ヘム加工性、更に低温時効硬化能などの向上は、相矛盾
する技術課題であって、両立させることは中々難しい。
例えば、Al合金板の耐力を下げてフラットヘム加工性を
改善した場合、プレス成形性が低下したり、低温での人
工時効硬化処理後の耐力が不足するなどの問題を生じ
る。
出物や析出物の制御技術や、Cuなどを多量に添加する技
術をもってしても、これらの特性を同時に達成すること
はかなり難しい技術課題となる。
ものであって、その目的は、室温時効したとしても、ヘ
ム加工などの曲げ加工性に特に優れ、プレス成形性や低
温時効硬化能などの、パネル化に際して要求される他の
諸特性にも優れた6000系Al合金板を提供しようとするも
のである。
に、本発明アルミニウム合金板の要旨は、Al-Mg-Si系ア
ルミニウム合金板において、製造された板の室温時効後
の特性として、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐
力が120 〜170MPaの範囲であり、かつ、板の圧延方向に
対して45度方向の伸びδ1 が30% 以上であるとともに、
このδ1 と板の圧延方向に対して平行方向の伸びδ2 と
の比δ1 / δ2 が1.2 以上であることとする。
延後、調質処理を施した後に室温時効した板 (圧延板)
を言う。したがって、上記各要件も、調質処理直後 (板
製造直後) ではなく、調質処理後 (板製造後) からプレ
ス成形乃至曲げ加工されるまでの任意の期間 (例えば板
製造後から 1カ月以上経過後) における、充分室温時効
したAl合金板の状態をさして言う。また、ここで言う調
質処理とは、主として溶体化および焼き入れ処理を言う
が、その後の任意の熱処理、例えば、後述する予備時効
処理や、更に必要により施す時効処理などの種々の調質
処理を含めたものを示す。
Al合金板を中心に行う。本発明は過剰Si型以外のAl-Mg-
Si系乃至6000系のAl合金板にも、課題としては過剰Si型
ほど厳しくないものの、効果はあるため、本発明範囲に
含みうる。また、同じく、以下の曲げ加工性の説明は、
特にフラットヘムなどのヘム加工を中心に行うが、ヘム
加工性が良好であれば、加工 (変形) の機構が共通す
る、他のハット型曲げ加工や90度曲げ加工などの曲げ加
工性も良好となる。したがって、本発明は、ヘム加工以
外の曲げ加工にも適用でき、本発明範囲に含みうる。
室温時効自体は抑制されることが好ましいが、例え、Al
合金板の製造後に室温時効したとしても、プレス成形性
およびフラットヘムなどの曲げ加工、更に低温時効硬化
能に優れた過剰Si型6000系Al合金板を得ることを課題と
した。このために、本発明者らは、プレス成形性および
ヘム加工性と過剰Si型6000系Al合金板の組織との関係に
ついて、改めて検討した。この結果、過剰Si型6000系Al
合金板の圧延方向に対して45度方向の伸びδ1の異方性
が、特に張出成形性とフラットヘム加工性との両方に密
接に相関することを知見した。
とともに、このδ1 をAl合金板の他の方向の伸び (板の
圧延方向に対して平行方向の伸びδ2)に対して高くする
ような異方性を持たせることによって、過剰Si型6000系
Al合金板が製造後に室温時効したとしても、相矛盾する
特性である、張出成形性とフラットヘム加工性の両者と
も改善されることを知見した。なお、この張出成形性と
フラットヘム加工の改善によって、更に、絞りなどの他
のプレス成形性やロープドヘムなどの他のヘム加工をも
改善しうる。
室温時効したとしても、170 ℃×20分や160 ℃×20分な
どの、より低温短時間の塗装焼付条件 (人工時効処理条
件)であっても、パネルとして170MPa以上の高強度を得
ることができる。
いて、Al合金板自体の伸び、r 値、n 値などを向上させ
ることで、プレス成形性やフラットヘムなどのヘム加工
性を改善することは従来からも公知である。
方向に対して特に45度方向の伸びの異方性を持たせるこ
とによって、Al合金板製造後に室温時効したとしても、
相矛盾する特性であるプレス成形性とヘム加工性の両者
とも向上させることは公知ではない。また、同じく、低
温短時間の人工時効処理条件で、170MPa以上の高強度を
得ることができることも公知ではない。
めたプレス成形向上のために、通常の過剰Si型6000系Al
合金板の伸びや耐力などの機械的性質は、本発明のよう
な異方性を有する組織を持たさずに、板の圧延方向に対
して平行方向、45度方向、90度方向の各々の各機械的性
質はできるだけ等方性なり均一性を持たせる、という方
が常識的であった。そして、機械的性質に異方性を持た
せることは、むしろ、プレス成形性などにとって有害で
あるというのも、常識的であった。
の過剰Si型6000系Al合金板の機械的性質は、製造上のバ
ラつきを除き、顕著な異方性を持たず、等方性なり均一
性を有していた。このため、Al合金板の伸びや耐力など
の機械的性質を言う場合、Al合金板の圧延方向に対し
て、平行方向または直角方向のいずれかの機械的性質で
代表するのが常であった。
るAl合金板組織を得るためには、後に詳述する製造方法
のように、特別な工程条件の付加が必要である。ただ、
本発明では、上記特別な工程条件の付加によっても、Al
合金板の製造自体が煩雑になったり、製造コストが著し
く高くなることはない。したがって、この点が本発明Al
合金板の利点でもある。
加工性、プレス成形性および低温時効硬化能などの板の
諸特性を最低限保証するために、伸びの規定の観点か
ら、前記δ1 とδ2 および板の圧延方向に対して直角方
向の伸びδ3 との平均値である(2 ×δ1 +δ2 +δ3 )
/4 が25% 以上であることが好ましい。
するために、過剰Si型6000系Al合金板の前記δ1 / δ2
を1.5 以上とすることが好ましい。
合金板の成分組成の観点から、Al合金板が、Si:0.4〜1.
3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01 〜0.65% 、Cu:0.001〜1.0%
を含み、かつSi/Mg が質量比で1 以上であり、残部がAl
および不可避的不純物である組成からなることが好まし
い。
させずに、フラットヘム加工性をより向上させるため
に、Al合金板の前記Si含有量を0.6 〜1.0%とし、前記Mg
含有量を0.2 〜0.8%とすることが好ましい。
能をより保証する目的から、Al合金板組織中の析出物量
を適量確保するために、更に、Al合金板の導電率を43〜
47IACS% の範囲とすることが好ましい。また、Al合金板
がプレス成形によってパネル化される際のオレンジピー
ル不良などの肌荒れを防止するためには、Al合金板の結
晶粒径を50μm 以下とすることが好ましい。
延方向に対して平行方向の0.2%耐力を140MPa以下の低強
度とせずとも、特にフラットヘムなどのヘム加工性や張
出成形性が優れる。この結果、室温時効後のAl合金板の
0.2%耐力を前記140MPaを越える高強度にすることがで
き、成形後のパネル塗装工程などにおける、160 ℃×20
分の低温人工時効硬化処理でも、170MPaを越えるような
高強度のパネルを得ることができる。
曲げ加工性に特に優れ、プレス成形性や低温時効硬化能
などの、パネル化に際して要求される他の諸特性にも優
れるので、Al合金板が張出成形後にヘム加工される場合
に適用されて好ましい。
ラットヘム加工である厳しい条件の場合に適用されて好
ましい。
張出成形後にヘム加工され、張出成形性とともに、フラ
ットヘム加工の要求が厳しい、特に自動車アウタパネル
に適用されて好適である。
件につき、以下に説明する。本発明では、過剰Si型6000
系Al合金板の圧延方向に対して45度方向の伸びδ1が30%
以上であるとともに、板の圧延方向に対して平行方向
の伸びδ2 との比δ 1 / δ2 が1.2 以上、より好ましく
は、1.5 以上とする。このような伸びの異方性を持たせ
ることによって、過剰Si型6000系Al合金板が、製造後に
室温時効したとしても、プレス成形性とヘム加工性の両
者とも向上させることができる。また、同じく室温時効
したとしても、170 ℃×20分や160 ℃×20分などの、よ
り低温短時間の塗装焼付条件 (人工時効処理条件) であ
っても、パネルとして170MPa以上の高強度を得ることが
できる。
が30% 未満では、製造後に室温時効した際の、特にフラ
ットヘムなどのヘム加工性と張出などのプレス成形性の
向上効果がない。
に対して平行方向の伸びδ2 との比δ1 / δ2 が1.5 未
満では、板の圧延方向に対して平行方向、45度方向、90
度方向の各々の各機械的性質をできるだけ均一とした、
従来乃至通常のAl合金板の等方性組織と大差がなくな
り、製造後に室温時効した際の、特にフラットヘムなど
のヘム加工性と張出などのプレス成形性の向上効果がな
い。また、製造後に室温時効した際の、低温短時間の人
工時効処理条件での高強度化が図れない。
きいほど良く、ヘム加工性と張出成形性の向上効果から
の上限はない。ただ、6000系Al合金板の化学成分組成と
製造工程の冶金的な制約によって、前記δ1 とδ1 / δ
2 とも、高くなし得る数値には自ずと限界がある。
性、プレス成形性および低温時効硬化能などの板の諸特
性を最低限保証するために、前記δ1 とδ2 および板の
圧延方向に対して直角方向の伸びδ3 との平均値である
(2 ×δ1 +δ2 +δ3 )/4 が25% 以上であることが好
ましい。この平均値が25% 未満では、δ2 かδ3 の伸び
の値が極端に低い場合を意味し、前記伸びの異方性を持
たせたとしても、板の圧延方向に対し、種々の方向から
加工されうるヘム加工やプレス成形に対して、各々良好
な加工性を発揮出来なくなる可能性が生じる。
を43〜47IACS% の範囲とすることが好ましい。この導電
率範囲とすることによって、人工時効処理時に形成され
る結晶粒内のGPゾーンなどの化合物相の量を確保し、前
記低温短時間での人工時効処理時に170MPa以上の必要強
度を得ることを保証する。なお、導電率測定対象Al合金
板は0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングし、そ
の表面の導電率を測定する。
トヘム加工性が低下する可能性がある。また、張出など
のプレス成形性も低下する可能性がある。したがって、
導電率の下限は43 IACS%と規定することが好ましい。
には、前記人工時効処理時に形成される結晶粒内のGPゾ
ーンなどの化合物相の量が少なくなる可能性がある。こ
のため、人工時効硬化能が低下し、特に、成形加工後の
パネルの前記低温短時間の人工時効処理によって、170M
Pa以上の耐力が得られなくなる可能性がある。したがっ
て、板厚が1.0mm 以下の薄板であっても、自動車用など
のパネル外板としての耐デント性などの剛性や強度を保
証するために、導電率の上限を47 IACS%と規定すること
が好ましい。
50μm 以下と規定することが好ましい。結晶粒径をこの
範囲に細かく乃至小さくすることによって、フラットヘ
ム加工性やプレス成形性が確保乃至向上される。結晶粒
径が50μm を越えて粗大化した場合、フラットヘム加工
性や張出などのプレス成形性が著しく低下し、ヘム部で
の割れなどの不良や、プレス成形時の肌荒れなどの不良
が生じ易い。
(L) 方向の結晶粒の最大径である。この結晶粒径を、Al
合金板を0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングし
た表面を、光学顕微鏡を用いて観察し、前記L 方向に、
ラインインターセプト法で測定する。1 測定ライン長さ
は0.95mmとし、1 視野当たり各3 本で合計5 視野を観察
することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとし
た。
た際の、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力を12
0 〜170MPaの範囲とする。従来、フラットヘム加工性が
特に重視されるパネル用の場合には、あるいは前記厳し
いフラットヘム加工条件用の場合には、溶体化処理温度
をより低温側とし、前記0.2%耐力をできるだけ低耐力と
するなどしていた。
も、製造後に室温時効した際の、特にフラットヘムなど
のヘム加工性や張出などのプレス成形性が優れる。この
ため、本発明では、室温時効後の板の圧延方向に対して
平行方向の0.2%耐力を120MPa以上に高めることができ
る。
を越えた場合、本発明Al合金板であっても強度が高過
ぎ、やはり、特にフラットヘムなどのヘム加工性が低下
する。一方、前記0.2%耐力が120MPa未満では、アウタパ
ネルのデント特性などに必要な前記低温短時間での人工
時効処理時で、170MPa以上の必要強度を得ることが難し
くなる。
施形態につき、以下に説明する。本発明Al合金板の基本
組成は、上記伸びや組織などの規定、また諸特性を確保
するために、Al-Mg-Si系(6000 系)Al 合金とする。Al-M
g-Si系(6000 系)Al 合金の範囲でなければ、本発明で規
定する上記伸びや組織などにならず、また、諸特性が発
揮されない。
としての必要諸特性を確保するために、Si:0.4〜1.3%、
Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01 〜0.65% 、Cu:0.001〜1.0%を含
み、かつSi/Mg が質量比で1 以上とした過剰Si型のAl-M
g-Si系Al合金とすることが好ましい。そして、上記組織
の規定や諸特性を確保するために、より厳密には、前記
規定各成分以外の残部を、Alおよび不可避的不純物とす
ることが好ましい。なお、本発明での化学成分組成の%
表示は、前記請求項の記載% 表示も含めて、全て質量%
の意味である。
e、Zn、Ni、V など、その他の合金元素は、基本的には
不純物元素である。しかし、リサイクルの観点から、溶
解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金や
その他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解
原料として使用して、本発明Al合金組成を溶製する場合
には、これら他の合金元素は必然的に含まれることとな
る。したがって、本発明では、目的とする本発明効果を
阻害しない範囲で、これら他の合金元素が含有されるこ
とを許容する。
は許容量について以下に説明する。 Si:0.4〜1.3%。 Siは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの、前記低温
短時間での人工時効処理時に、MgとともにGPゾーンなど
の化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルと
して170MPa以上の必要強度を得るための必須の元素であ
る。したがって、本発明過剰Si型6000系Al合金板にあっ
て、プレス成形性、ヘム加工性などの諸特性を兼備させ
るための最重要元素である。
(パネルへの成形後の塗装焼き付け処理、評価試験とし
ては2%ストレッチ付与後160 ℃×20分の低温時効処理)
時の耐力を170MPa以上という、優れた低温時効硬化能を
発揮させるためにも、Si/Mgを質量比で1.0 以上とし、S
iをMgに対し過剰に含有させた過剰Si型6000系Al合金組
成とすることが好ましい。
には、各用途に要求される、プレス成形性、ヘム加工性
などの諸特性を兼備することができない。一方、Siが1.
3%を越えて含有されると、特にヘム加工性や曲げ加工性
が著しく阻害される。更に、溶接性を著しく阻害する。
したがって、Siは0.4 〜1.3%の範囲とするのが好まし
い。なお、アウタパネルでは、ヘム加工性が特に重視さ
れるため、プレス成形性などの他の特性を低下させず
に、フラットヘム加工性をより向上させるために、Si含
有量を0.6 〜1.0%と、より低めの範囲とすることが好ま
しい。
効処理時に、SiとともにGPゾーンなどの化合物相を形成
して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての170MPa以上
の必要強度を得るための必須の元素である。
では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化
合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。この
ためパネルとして必要な前記必要強度が得られない。
レス成形性や曲げ加工性 (ヘム加工性) 等の成形性が著
しく阻害される。したがって、Mgの含有量は、0.2 〜1.
2%の範囲で、かつSi/Mg が1.0 以上となるような量とす
る。また、フラットヘム加工性をより向上させるため
に、Si含有量を前記0.6 〜1.0%のより低めの範囲とする
場合には、これに対応して過剰Si型6000系Al合金組成と
するために、Mg含有量も0.2 〜0.8%と低めの範囲とする
ことが好ましい。
で、Al合金材組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物
相の析出を促進させる効果がある。また、時効処理状態
で固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。Cu含有
量が0.001%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越え
ると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸
さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、耐
食性が重視される構造材用途などの場合には0.8%以下、
自動車外板用などのパネル用途などの場合には、耐糸さ
び性の発現が顕著となる0.1%以下の量とすることが好ま
しい。
し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる
効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果
がある。前記した通り、本発明Al合金板のプレス成形性
やヘム加工性はAl合金組織の結晶粒が微細なほど向上す
る。この点、Mn含有量が0.01% 未満ではこれらの効果が
無い。
鋳造時に粗大なAl-Fe-Si-(Mn、Cr、Zr) 系の金属間化合
物や晶析出物を生成しやすく、破壊の起点となり易いた
め、Al合金板の機械的性質を低下させる原因となる。ま
た、特に、前記複雑形状や薄肉化、あるいはインナパネ
ル端部とアウタパネル縁曲部内面との間の隙間の存在な
どによって、加工条件が厳しくなったフラットヘム加工
では、Mn含有量が0.25% を越えた場合、ヘム加工性が低
下する。このため、Mnは0.01〜0.65% の範囲とし、加工
条件が厳しくなったフラットヘム加工では、より好まし
くは0.01〜0.25% の範囲とする。
時に分散粒子 (分散相) を生成し、微細な結晶粒を得る
ことができる効果がある。しかし、Cr、Zrも、0.15% を
越える含有では、前記加工条件が厳しくなったフラット
ヘム加工ではヘム加工性が低下する。したがって、Cr、
Zrの含有量も0.15% 以下に規制することが好ましい。
と、粗大な晶出物を形成し、成形性を低下させる。但
し、Ti、B には微量の含有で、鋳塊の結晶粒を微細化
し、プレス成形性を向上させる効果もある。したがっ
て、Ti:0.1% 以下、B:300ppm以下までの含有は許容す
る。
7Cu2Fe、Al12(Fe,Mn)3Cu2 、(Fe,Mn)Al6などの晶出物を
生成する。これらの晶出物は再結晶粒の核となり、Feが
0.08% 以上含まれた場合に、結晶粒の粗大化を阻止し
て、結晶粒を50μm 以下の微細粒とする役割を果たす。
しかし、一方で、これらの晶出物は、破壊靱性および疲
労特性、更には、前記加工条件が厳しくなったフラット
ヘム加工性およびプレス成形性を著しく劣化させる。こ
れらの劣化特性は、Feの含有量が0.50% を越えると顕著
になる。このため、含有させる場合のFeの含有量は、0.
08〜0.50% とすることが好ましい。
る。したがって、Znの含有量は好ましくは0.5%以下とす
ることが好ましい。
ム加工は、特にフラットヘム加工を意図している。即
ち、アウタパネルの縁をポンチなどの工具により90°に
近い角度まで折り曲げるダウンフランジ工程、アウタパ
ネルの縁を更に約135 °まで内側に折り曲げるプリヘム
工程を経て、インナパネル端部をアウタパネルの折り曲
げ部内に収容 (挿入) し、アウタパネルの縁を工具によ
り更に180 °の角度まで内側に折り曲げてフラットヘム
が形成される。このフラットヘムでは、インナパネル
と、アウタパネルの180 °折り曲げ部とが接合、密着さ
れ、フラットな曲げ部形状を有する。
るフラットヘム加工性に優れるので、それよりも一段緩
い条件である、前記折り曲げ部が円弧状に膨らんだロー
プ状の断面形状を有しいるロープヘムなどの加工性にも
当然優れる。また、加工 (変形) の機構が共通する、前
記他のハット型曲げ加工や90度曲げ加工などの曲げ加工
性や、あるいは、一般的にV 曲げ、U 曲げ、端曲げ、波
曲げ、引張曲げなどと称される曲げ加工性にも優れる。
したがって、本発明は、他のロープヘムなどのヘム加工
も対象とし、ヘム加工以外の曲げ加工も対象とする。
ンジ工程、プリヘム工程、フラットヘム乃至ロープヘム
工程により行われる通常のヘム加工だけでなく、最終的
にヘムが形成されるものであれば、ローラーヘムなど、
工程や工程条件が異なるものもヘム加工として対象とす
るし、適用可能である。
発明Al合金板の4 周囲に対して全て行われるか、選択さ
れる辺 (側縁部) のみに対して行われか、また、ヘム加
工されるアウタパネルの端部形状が直線形状か、円弧形
状やあるいは角部を有するような複雑形状かは、アウタ
パネルなどの部材設計に応じて、適宜選択される。
時に、上記張出などのプレス成形を対象とする。そし
て、プレス成形の中でも、特に、アウタパネルなどにお
ける、前記した形状が大型化、複雑化した際の張出成形
を対象とする。ただ、これらの張出成形性に優れること
は、加工条件が比較的緩やかな、他の絞りなどの成形性
に優れることを意味する。したがって、本発明Al合金板
は、特に張出成形、また張出成形で代表できる他のプレ
ス成形をも対象とする。
法について説明する。前記した通り、過剰Si型6000系Al
合金板の圧延方向に対して45度方向の伸びδ 1 が30% 以
上であるとともに、板の圧延方向に対して平行方向の伸
びδ2 との比δ1 / δ2 が1.2 以上、より好ましくは、
1.5 以上とするような伸びの異方性を持つ組織を得るた
めには、上記成分組成などの他に下記の冷間圧延条件
と、必要により、冷間圧延後の焼鈍付加など、特別な工
程の付加や工程条件の付加が必要である。この点、常法
で得られる通常のAl合金板は、前記した通り、基本的に
本発明のような伸びの異方性はないし、伸びの異方性は
得られない。
には、先ず、圧下率を70% 以上のできるだけ高い圧下率
で冷間圧延する。冷間圧延での圧下率をこのように高く
することで、冷間圧延板に十分な歪みエネルギーを蓄積
できる。この結果、後述する焼鈍や溶体化を含む調質処
理で、前記伸びの異方性を有する組織を得ることができ
る。冷間圧延での圧下率が低いと、常法材と変わりなく
なり、後述する調質処理で、前記伸びの異方性を有する
組織が蓄積できない。一方、冷間圧延での圧下率が高く
なるほど、耳割れが生じるなど加工自体が困難となるの
で、圧下率の上限は95% 程度とするのが好ましい。
を有する組織を得るために、必要に応じて、300 ℃以
下、好ましくは150 〜250 ℃の温度で、例えば1 〜50時
間焼鈍されることが好ましい。この焼鈍によって、最終
の溶体化処理で、前記伸びの異方性を有する組織が発達
し易くなり、プレス成形性とともにヘム加工性が著しく
向上する。前記焼鈍温度が150 ℃未満では、この効果が
なく、前記伸びの異方性を有する組織とすることができ
ない。この結果、従来のAl合金板結晶粒組織と大差がな
くなり、プレス成形性とともにフラットヘムなどのヘム
加工性の向上効果がない。
0 ℃) を越えた場合、結晶粒が粗大化しやすく、プレス
成形やヘム加工時に肌荒れが生じ易くなり、Al合金板の
張出成形や絞り成形などのプレス成形性が著しく低下す
る。この焼鈍はバッチ炉、連続焼鈍炉を用いて行うこと
ができる。
ウタパネルなどとしての、フラットヘム加工性や他の特
性を向上させるための好ましい条件もあり、以下に説明
する。
格範囲内に溶解調整された、過剰Al合金溶湯を、連続鋳
造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳
造法を適宜選択して鋳造する。
施した後、熱間圧延、前記高い圧下率での冷間圧延を行
い、コイル状、板状などの板形状に加工する。その際、
必要により、前記した条件の焼鈍なども施す。
ず、必須に溶体化および焼入れ処理される。溶体化およ
び焼入れ処理は、後の塗装焼き付け硬化処理などの人工
時効硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内
に析出させるために重要な工程である。この効果を出す
ための溶体化処理条件は、500 〜560 ℃の温度範囲で行
うのが好ましい。
るパネル用の場合には、あるいは前記厳しいフラットヘ
ム加工条件用の場合には、前記溶体化処理温度を500 〜
530℃のより低温側としていた。しかし、本発明では、
前記した通り、従来のように、Al合金板の0.2%耐力を14
0MPa以下の低強度とせずとも、特にフラットヘムなどの
ヘム加工性やプレス成形性が優れる。
の範囲の高温側で行い、Al合金板の0.2%耐力を140MPaを
越える高強度にして、後の板成形後のパネルの人工時効
硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内に析
出させるようにし、成形後の塗装工程などにおける前記
低温短時間の人工時効硬化処理でも170MPaを越えるよう
な高強度のパネルとすることが好ましい。
℃/ 分以上の急冷とすることが好ましい。冷却速度が50
℃/ 分未満の遅い場合には、焼入れ後の強度が低くな
り、時効硬化能が不足し、前記低温短時間の低温での人
工時効処理により170MPa以上の高耐力を確保できない。
くなり、プレス成形やフラットヘム加工時の割れの起点
となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を
確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷でも
よいが冷却速度が遅くなる可能性が大きく、ミスト、ス
プレー、浸漬等の水冷手段から選択して行うことが好ま
しい。
は許容するものの、室温時効を抑制しても良い。即ち、
溶体化焼入れ処理後、室温時効の原因となるクラスター
の生成を抑制し、GPゾーンの析出を促進するために、予
備時効処理をしても良い。この予備時効処理は、50〜10
0 ℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲に、1 〜24時間の
必要時間保持することが好ましい。また、予備時効処理
後の冷却速度は、1 ℃/hr 以下であることが好ましい。
焼入れ終了温度を50〜100 ℃と高くした後に、直ちに再
加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理
後常温までの焼入れ処理の後に、直ちに50〜100 ℃に再
加熱して行う。
前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのま
まの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイ
ルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温して
も良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度
範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
効処理後に、時間的な遅滞無く、比較的低温での亜時効
処理を行い、GPゾーンを生成させても良い。前記時間的
な遅滞があった場合、予備時効処理後でも、時間の経過
とともに室温時効 (自然時効) が生じ、この室温時効が
生じた後では、亜時効処理による効果が発揮しにくくな
る。
前記組成範囲において、時効処理温度を80〜120 ℃の亜
時効処理範囲とし、時効処理時間は必要時間、好ましく
は1〜24時間の範囲とし、この範囲の中から、前記組成
に応じて、時効処理効果が得られる温度と時間を選択す
ることが好ましい。また、この亜時効処理後の冷却速度
は、1 ℃/hr 以下であることが好ましい。時効処理温度
が80℃未満では、また、保持時間が短過ぎると、GPゾー
ンを生成させることができない。このため、室温時効抑
制効果や低温時効硬化能が得られない。一方、120 ℃を
越える温度では通常の時効処理と大差なくなり、β" 相
も析出して時効が進み過ぎ、強度が高くなりすぎる。こ
の点は、時効処理の保持時間が長過ぎても同じである。
なお、前記予備時効処理温度を、後述する時効処理並に
高めとし、時効処理と合わせた乃至連続した熱処理とし
ても良い。
温の時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを
図ることなども勿論可能である。
す、各6000系組成範囲のAl合金板について、Al合金板の
圧延方向に対して45度方向の伸びδ1 が30% 以上である
とともに、板の圧延方向に対して平行方向の伸びδ2 と
の比δ1 / δ2 が1.2 以上とするような伸びの異方性を
持つ組織を得るために、表2 に示すように冷間圧延の圧
下率と冷間圧延後の焼鈍温度を変えて、厚さ1.0mm のAl
合金板を作成した。更には、溶体化処理温度を変えて、
導電率と結晶粒径も種々変えた。
更には溶体化処理温度以外のAl合金板の作製は、下記冷
間圧延の圧下率を変化させるための熱間圧延板の板厚を
除き、ほぼ同じ条件で行った。即ち、表1 に示す各組成
範囲の400mm 厚の鋳塊を、DC鋳造法により溶製後、540
℃×4 時間の均質化熱処理を施し、終了温度300 ℃で厚
さ2.3 〜8mmtまで板厚を種々変えて熱間圧延した。この
熱間圧延板を、更に、厚さ1.0mm まで、各圧下率を変え
て冷間圧延した。
た。先ず、各試験片サイズに切断後、570 ℃に保持した
空気炉に投入し、各試験片が550 ℃の溶体化処理温度に
到達した時点で (保持時間 0秒) 、70℃の温水に焼き入
れする処理を行った。前記焼入れ処理の際の冷却速度は
200 ℃/ 秒とし、焼入れ終了温度 (焼入れ温度) は共通
して70℃とし、焼入れ後にこの温度で2 時間保持する予
備時効処理 (保持後は冷却速度0.6 ℃/hr で徐冷) を行
った。各例の冷間圧延圧下率と冷間圧延後の焼鈍条件、
溶体化処理温度を表2 に示す。
長さ500mm の供試板 (ブランク) を複数枚切り出し、調
質処理直後のAl合金板の元のAl合金板の圧延方向に平行
な(L方向の) 引張強さ (σB ) 、耐力 (σ0.2)を測定し
た。また、伸び(%)は、Al合金板の圧延方向に対して45
度方向の伸びδ1 、板の圧延方向に対して平行方向の伸
びδ2 、板の圧延方向に対して直角方向の伸びδ3 とを
各々測定した。そして、45度方向の伸びの異方性を見る
ため、δ1 / δ2 を求めた。更に、δ1 とδ2およびδ
3 との平均値であるδ= (2×δ1 +δ2 +δ3 )/4 を求
めた。これらの結果を表3 に示す。
合金板がプレス成形およびヘム加工されることを想定お
よび考慮して、前記調質処理後 4カ月間 (120 日間) の
室温時効後の、各供試板の導電率(IACS%) 、結晶粒径、
更に、圧延方向に平行な引張強さ (σB ) および耐力
(σ0.2)と、Al合金板の伸びとして、δ1 、δ2 、δ3と
を各々測定した。そして、δ1 / δ2 と、δ1 、δ2 、
δ3 の平均値であるδ= (2×δ1 +δ2 +δ3 )/4 を求
めた。これらの結果を表4 に示す。
行うとともに、試験片形状はJIS 5号試験片で行った。
また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断する
まで一定の速度で行った。
ルとしてプレス成形やヘム加工されることを模擬して、
前記室温時効後の供試板を成形試験した。より具体的に
は、張出成形試験、張出成形後のフラットヘム加工試験
を行い、成形性を評価した。これらの結果を表4 に示
す。
効後のAl合金板から一辺が500mm の正方形の供試板 (ブ
ランク) を複数枚切り出し、中央部に一辺が300mm で、
高さが30mmと高い角筒状の張出部と、この張出部の四周
囲に平坦なフランジ部 (幅30mm) を有するハット型のパ
ネルに、メカプレスにより、ビード付き金型を用いて張
出成形した。
滑油は一般防錆油、成形速度は20mm/ 分の同じ条件で3
回行い、3 回とも成形ハット型パネルの張出部角部など
に割れがなく正常に成形できた例を〇、3 回とも全て割
れが生じて成形できなかったものを×として評価した。
面のオレンジピールの発生状況により行い、前記3 回の
成形ハット型パネル表面を観察し、3 回とも全て肌荒れ
が生じていないものを〇、1 回でも肌荒れが生じている
ものを×と評価した。
とした。前記プレス成形されたAl合金パネルを、アウタ
ーパネルとしてヘム加工されることを模擬して、パネル
の前記平坦なフランジ部の内、圧延方向と平行なフラン
ジ部の端部全面 (幅130mm)を以下の条件でフラットヘム
加工した。
(ヘム加工後のパネルの内側に折り曲げられた端部から
折り曲げ部の端部までの距離) を12mmとして、ダウンフ
ランジ工程を模擬し、Al合金パネルの縁を90度の角度と
なるまで折り曲げた。この際、Al合金パネルの90°曲げ
半径は0.8 とした。次に、プリヘム工程模擬して、Al合
金パネルの縁を更に135 °の角度まで内側に折り曲げ
た。
擬して、敢えてインナパネルを前記Al合金パネルの折り
曲げ部に挿入せずに、折り曲げ部を内側に180 度折り曲
げ、パネル面に密着させるフラットヘム加工を行った。
なお、フラットヘム加工方向は、元のAl合金板の圧延方
向と一致するようにした。
荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を
目視観察した。評価は、1;肌荒れや微小な割れも無く良
好、2;肌荒れが発生しているものの、微小なものを含め
た割れはない、3;微小な割れが発生、4;大きな割れが発
生、5;大きな割れが複数乃至多数発生、の5 段階の評価
をした。この評価として、ヘム加工性が良好 (使用可)
と判断されるのは1 〜2 段階までで、3 段階以上はヘム
加工性が劣る (使用不可) と判断される。
記プレス成形されたAl合金パネルから供試板を採取し
て、160 ℃×20分の低温短時間の人工時効硬化処理し、
処理後の各供試板の (元のAl合金板の) 圧延方向に平行
な(L方向の) 引張強さ (ABσB) と、耐力 (ABσ0.2)、
を測定した。これらの結果を表5 に示す。
かつSi/Mg が質量比で1 以上の過剰Si型6000系Al合金1
〜3(表1)を用いた発明例1 〜9 は、表3 、4 に示す通
り、Al合金板が45°方向の伸びについて所定の異方性を
有し、伸びの平均値(2×δ1 +δ2 +δ3 )/4 も25% 以
上である。この結果、表3 、4 との比較において、前記
4カ月間 (120 日間) の室温時効後で、調質直後に比し
て耐力が高くなり、成形性や時効硬化性に不利となった
条件でも、表5 から明らかな通り、フラットヘム加工
性、張出成形性、時効硬化性に優れている。
件と評価は、自動車アウタパネルなどの実際の厳しい加
工条件でのフラットヘム加工性の評価につながるもので
ある。したがって、発明例1 〜9 は、実際のフラットヘ
ムなどのヘム加工でも、十分加工できることを示してい
る。
自動車アウタパネルなどの実際の厳しい加工条件での張
出成形の評価につながるものである。したがって、発明
例1〜11は、実際の張出成形や絞り成形などのプレス成
形で、張出高さや張出面積などが大型化しても、張出成
形性が優れ、十分加工できることを示している。
温短時間の人工時効硬化処理であっても、AB耐力が170M
Pa以上ある。これは、自動車車体製造工程などで現在主
流の170 ℃×20分の塗装焼き付け工程では、200MPa以上
のAB耐力が得られることを意味する。
の焼鈍温度が高めである発明例6 は、結晶粒径が比較的
大きく、前記厳しい条件での張出成形が可能であるもの
の、表5 に示す通り、他の発明例に肌荒れが生じていな
いのに対し、若干の肌荒れ(オレンジピール) が生じて
いた。
に示す通り、上記発明例1 〜9 と同様に、Al合金板が45
°方向の伸びについて所定の異方性を有し、伸びの平均
値(2×δ1 +δ2 +δ3 )/4 も25% 以上である。したが
って発明例10、11、12、13は上記発明例1 〜9 と同様
に、フラットヘム加工性、張出成形性に優れている。
00系Al合金組成範囲内であっても、Si含有量とMg含有量
とがバランスしているAl合金4 、Mg含有量が0.2%未満と
比較的少ないAl合金5 、Si含有量が0.4%未満と比較的少
ないAl合金6 、Mg含有量が0.2%未満でSi含有量が0.4%未
満と比較的少ないAl合金7(いずれも表1)を、各々用いて
いる。
、4 との比較において、上記発明例1 〜9 に比して、
前記 4カ月間の室温時効後での耐力の経時増加は比較的
少ない。ただ、室温時効によって耐力が高くなって時効
硬化性に不利となった条件では、表5 から明らかな通
り、上記発明例1 〜9 に比して、低温短時間の人工時効
硬化処理後のAB耐力が170MPa未満と低い。特に、Si含有
量が0.4%未満と少ない発明例12、13は、AB耐力が160MPa
レベルとなっている。したがって、低温短時間の人工時
効硬化処理後のAB耐力を170MPa以上とするためには、Si
/Mg が質量比で1 以上の過剰Si型6000系Al合金とし、か
つ、Si含有量は0.4%以上、またMg含有量は0.2%以上とす
ることが好ましい。
る比較例14、15、16、17は、各々発明例と対応する同じ
合金組成であるにも関わらず、表4 において、4 カ月間
の室温時効後で、δ1 およびδ1 / δ2 が本発明範囲よ
りも低めに外れた結果となっている。このため比較例1
4、15、16、17は、表5 から明らかな通り、特にフラッ
トヘム加工性が、発明例に比して著しく低い。なお、比
較例の内、特に、常法により製造された板と言える比較
例14、15はδ1 / δ2 が1.0 であり、伸びの異方性が殆
ど無い。
δ2 やδ3 の値は、前記発明例のδ 2 やδ3 よりもむし
ろ高いにもかかわらず、比較例のフラットヘム加工性
は、前記発明例に比して著しく低い。したがって、これ
らの結果から、本発明における伸びの異方性の規定 (δ
1 およびδ1 / δ2)の臨界的な意義と、この伸びの異方
性の規定を満たす組織を作るための、冷間圧延率などの
製造条件の意義が分かる。
トヘム加工などの曲げ加工性に特に優れ、プレス成形性
や低温時効硬化能などの、パネル化に際して要求される
他の諸特性にも優れたAl-Mg-Si系Al合金板を提供するこ
とができる。したがって、Al合金板のパネル用途への拡
大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有す
るものである。
Claims (9)
- 【請求項1】 Al-Mg-Si系アルミニウム合金板におい
て、製造された板の室温時効後の特性として、板の圧延
方向に対して平行方向の0.2%耐力が120 〜170MPaの範囲
であり、かつ、板の圧延方向に対して45度方向の伸びδ
1 が30% 以上であるとともに、このδ1 と板の圧延方向
に対して平行方向の伸びδ2 との比δ1/ δ2 が1.2 以
上であることを特徴とする曲げ加工性に優れたアルミニ
ウム合金板。 - 【請求項2】 前記δ1 とδ2 および板の圧延方向に対
して直角方向の伸びδ3 との平均値である (2 ×δ1 +
δ2 +δ3 )/4 が25% 以上である請求項1に記載の曲げ
加工性に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項3】 前記δ1 / δ2 が1.5 以上である請求項
1または2に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合
金板。 - 【請求項4】 前記アルミニウム合金板が、Si:0.4〜1.
3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01 〜0.65% 、Cu:0.001〜1.0%
を含み、かつSi/Mg が質量比で1 以上であり、残部がAl
および不可避的不純物である組成からなる請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れたアルミニ
ウム合金板。 - 【請求項5】 前記Si含有量を0.6 〜1.0%とし、前記Mg
含有量を0.2 〜0.8%とした請求項4に記載の曲げ加工性
に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項6】 前記アルミニウム合金板の導電率が43〜
47IACS% の範囲であるとともに、結晶粒径が50μm 以下
である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の曲げ加工
性に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項7】 前記アルミニウム合金板が張出成形後に
ヘム加工される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項8】 前記ヘム加工がフラットヘム加工である
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優
れたアルミニウム合金板。 - 【請求項9】 前記アルミニウム合金板が自動車アウタ
パネル用である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
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