JP2011020668A - アルミニウム合金板ブランクおよび自動車用エネルギ吸収部材 - Google Patents

アルミニウム合金板ブランクおよび自動車用エネルギ吸収部材 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車用エネルギ吸収部材への成形性を向上させた、アルミニウム合金板ブランクを提供することを目的とする。
【解決手段】硬質な定常部(2、5)に対して予め軟質部(4)を部分的に有して、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる自動車用エネルギ吸収部材にプレス成形されるアルミニウム合金板ブランクであって、前記自動車用エネルギ吸収部材の前記フランジ部に相当する斜線の周縁部位が、加熱および急冷処理によって、前記軟質部(4)とされていることである。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用エネルギ吸収部材に成形されるアルミニウム合金板ブランク、または、このアルミニウム合金板ブランクをプレス成形してなるエネルギ吸収部材に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、常法による圧延などによって板状に製造されたアルミニウム合金を言い、板ブランクとは、このアルミニウム合金板から切り出されたプレス成形用のブランクを言う。以下、アルミニウムをAlとも言う。
自動車部材であるバンパステイ、メンバ類、フレーム類、ビーム類は、自動車車体の構成部材あるいは補強部材であるとともに、自動車車体衝突時の乗員への衝撃を緩和する機能も求められる。即ち、自動車車体衝突時には、塑性変形可能なクラッシュボックス(衝撃エネルギ吸収体)として、衝突エネルギを吸収する効果も求められる。
これら自動車部材は、共通して、その長手方向に亙って、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる、同じ断面形状を有した形材形状をしている。したがって、これら自動車部材を、軽量化などのために、鋼製からアルミニウム合金製にする場合には、多くは、このような形状の形材製造が簡便にできる、アルミニウム合金押出形材が汎用されている。
ただ、前記自動車部材は、その形状や使用態様によっては、このような押出形材に替えて、アルミニウム合金板ブランクをプレス成形して製造することによって、製造コストより低減でき、特性も向上できる利点もある。
例えば、アルミニウム合金製ステイとして、素材であるアルミニウム合金板ブランクをプレス成形したステイが実用化できれば、このステイ取り付け用孔の設置のために、十分大きな幅や面積を持ったフランジの形成が容易となる利点も大きい。
因みに、アルミニウム合金押出形材製ステイとして、車体前後方向を押出方向とする縦圧壊型ステイは、バンパ後面あるいはサイドメンバと接合するための取付フランジを溶接などにより接合する必要がある。このため、取り付けコストが高くなるという問題がある。また、車体左右あるいは上下方向を押出方向とする横圧壊型ステイは、取り付け面に合わせたフランジを予め形成して押出することが可能であるが、強度が低くなるため、重量が重くなるという問題があり、重量、取り付け性、コスト全てを満足することは難しいといえる。
前記したようなアルミニウム合金板ブランクを成形したステイとして、例えば、特許文献1には、アルミニウム合金製のステイなどとして、衝突方向に対して高さ方向が平行となるように設置される円錐台形状の吸収部材からなるエネルギ吸収部材であって、吸収部材の、上面半径R、底面半径r、高さhが特定の関係を満たすようなエネルギ吸収部材が提案されている。
この特許文献1のアルミニウム合金製ステイは、円錐台形状の主要部分に対して、円錐台の底部開口部側から、平板(ステイの取付部材)を、円錐台底部として別途に設けている。このため、線からなる円錐台の底部側と、面からなる平板形状の取付部材との取り付け方が難しく、実用的な接合強度を得ることが困難である。したがって、円錐台形状部分の変形による衝撃エネルギの吸収を行なう以前に、この接合部分から破断し、実際にはエネルギ吸収ができない。
また、特許文献2には、素材として記載されているのは鋼板ではあるが、同様の深絞り成形により、長い筒状(カップ)形状とし、かつ、この底部に衝撃荷重によって塑性変形する折り込み式の変形部を設けたステイなどのクラッシュボックスが提案されている。
この特許文献2のステイは、元板である鋼板の深絞り成形により製作できる点は、ステイ製作コスト低減の利点が大きい。しかし、このような鋼製ではなく、鋼に比して局部伸びがほとんど無いアルミ材料への適用を想定した場合、この特許文献2のような前記形状のステイは、殆ど成形できない。また、例え成形できたとしても、衝撃荷重によって容易に破壊、破断されやすくなる。したがって、特許文献2のステイをアルミ材料化することは実際には困難である。
これに対して、特許文献3によって、衝突時のエネルギを吸収しうる、アルミニウム合金板をプレス成形して製造したステイが提案されている。これは、ステイをアルミニウム合金板を成形したカップ形状とし、このカップは、底部と、開口部と、これら底部と開口部とをつなぐ略円筒状の縦壁とからなり、底部はその周縁部に亙って円弧状のコ−ナRを有して縦壁に繋がり、開口部周縁部は外方に張出したフランジを一体に形成してなるものである。そして、このステイは、カップ底部をバンパ補強材の後面壁側に取り付けるとともに、カップ開口部を前記フランジを介してサイドフレーム先端部側に取り付けられる。
また、特許文献4では、このようなカップ形状アルミニウム合金ステイを更に改良して、ステイを、バンパ補強材の前面壁側(前面側)からの接合作業によって、サイドメンバ先端部側とバンパ補強材の後面壁側とに機械的に接合できるようにする構造が提案されている。
特開平8−207679号公報 特開2003−312400号公報 特開2006−347527号公報 特開2008−195224号公報
ただ、これらの特許文献3、4に示されるようなカップ形状アルミニウム合金ステイを、前記アルミニウム合金板ブランクからプレス成形にて製造する場合には、ステイ形状によってはプレス成形自体が難しいという新たな課題がある。
即ち、前記取り付け用のフランジ部の面積や幅を大きくする、あるいは前記筒状部の面積や幅を大きくする、前記筒状部の縦壁を高くするなど、自動車用エネルギ吸収部材(板ブランク)が大型化した場合には、これら各部の形状精度や平坦度を確保した上でのプレス成形が難しくなる。
この点に鑑み、本発明は、自動車用エネルギ吸収部材への成形性を向上させた、アルミニウム合金板ブランクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明アルミニウム合金板ブランクの要旨は、硬質な定常部に対して予め軟質部を部分的に有して、これら硬質な定常部と軟質部とを合わせてプレス成形されて、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる自動車用エネルギ吸収部材に成形されるアルミニウム合金板ブランクであって、前記自動車用エネルギ吸収部材の前記フランジ部に相当する部位が、加熱および急冷処理によって、前記軟質部とされていることである。
ここで、前記アルミニウム合金板ブランクが、少なくとも前記軟質部の領域に亙って形成されたビードによって、プレス成形可能な平坦度が全体に亙って確保されていることが好ましい。
また、上記目的を達成するための、本発明自動車用エネルギ吸収部材の要旨は、上記要旨や上記好ましい要旨のアルミニウム合金板ブランクをプレス成形されてなる、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる自動車用エネルギ吸収部材であって、前記フランジ部が前記筒状部に比して軟質化されていることである。ここで、前記自動車用エネルギ吸収部材は、バンパステイ、メンバ類、フレーム類,ビーム類から選択される自動車部材であることが好ましい。
本発明では、前提として、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる自動車用エネルギ吸収部材を、アルミニウム合金板ブランクの張出あるいは深絞りなどのプレス成形で作成する。
この際、ステイなどの自動車用エネルギ吸収部材形状によってはプレス成形自体が難しいという新たな課題を解決するために、アルミニウム合金板ブランクに、硬質な定常部に対して予め軟質部を部分的に有するようにする。そして、これら硬質な定常部と軟質部とを合わせてプレス成形することによって、硬質な定常部のみからなる従来のアルミニウム合金板ブランクに比して、プレス成形性を向上させる。
即ち、前記取り付け用のフランジ部の面積や幅を大きくする、あるいは前記筒状部の面積や幅を大きくする、前記筒状部の縦壁を高くするなど、自動車用エネルギ吸収部材(板ブランク)が大型化した場合でも、これら各部の形状精度や平坦度を確保した上でのプレス成形を可能とする。これによって、素材元板であるアルミニウム合金板ブランクの成形によって、ステイなどの自動車用エネルギ吸収部材を製作でき、接合コストや製作コストの低減を図ることができる。また、生産効率の良いプレス成形で製作可能であることから、自動車用エネルギ吸収部材の生産効率の向上などの利点も大きい。
しかも、これらのプレス成形性の向上が、自動車用エネルギ吸収部材本来のエネルギ吸収特性を低下させずに可能である。
本発明に係るバンパステイの一態様を示す斜視図である。 図1の成形素材である板ブランクの一態様を示す平面図である。 本発明に係るバンパステイの他の態様を示す斜視図である。 図3の成形素材である板ブランクの一態様を示す平面図である。 本発明に係るサイドメンバの一態様を示す斜視図である。 図5の成形素材である板ブランクの一態様を示す平面図である。 板ブランクの軟質部とビードとを形成する態様を示すプレス機の断面図である。 本発明アルミニウム合金板ブランクのプレス成形の一態様を示すプレス装置の断面図である。 図1のバンパステイの取り付け構造の一態様を示す斜視図である。 図9の取り付け後の態様を示す平面図である。 実施例におけるエネルギ吸収性の試験装置を示す外観図である。 実施例におけるエネルギ吸収特性を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。
(バンパステイ)
カップ型形状:
本発明の自動車用エネルギ吸収部材としてバンパステイを例にとって説明する。図1、3に示すバンパステイ1は、各々図2、4に示す板ブランクからのプレス成形品として、謂わばカップ(碗)型形状に構成されている。これらバンパステイのカップ型形状は、底壁である底部2と、この底部2の周縁部2aから立ち上がる縦壁5と、この縦壁5の周縁部によって形成された開口部3と、この縦壁の周縁部5aから外方に張出すとともに、この周縁部5aの周方向に亙って設けられたフランジ4とから、一体に形成されている。
ここで、自動車用エネルギ吸収部材としての、本発明で言う筒状部が底部2と縦壁5であり、その周囲のフランジ部がフランジ4である。このようなカップ型形状が、アルミニウム合金板ブランクをプレス成形してなるバンパステイ特有の形状であるとも言える。
底部形状:
ここで、図1のステイ1では、底部2は略円形で、この底部2の略円形周縁部2aから立ち上がる縦壁5も略円筒状、この縦壁1aの周縁部によって形成された開口部3も略円形、縦壁周縁部5aから外方に張出すとともに縦壁周縁部5aの周方向に亙って設けられたフランジ4も略円形となる。
ただ、底部2(あるいは開口部3)の平面形状は、必ずしも円形状である必要はなく、また、カップの形状(横断面形状)も必ずしも円筒状である必要はない。図3に示すステイ1は、底部2のうち、車体幅方向の内側部分(図の左側)は略半円状形状であり、車体幅方向の外側部分(図の右側)は略方形(角形)形状である。
アルミニウム合金板ブランク:
図2は前記した図1のバンパステイ、図4は前記した図3のバンパステイを、各々成形するためのアルミニウム合金板ブランク(成形素材)8である。図2の板ブランク8は、外縁が円形形状の図1のバンパステイ1に合わせて、その外縁形状が円形な形状をしている。また、図4の板ブランク8は、外縁が矩形形状の図3のバンパステイ1に合わせて、その外縁形状が矩形な形状をしている。
ただ、プレス成形においては、成形品の周縁部がトリミングにより必然的に除去される。このことを考慮すると、板ブランク8の形状(外縁の全体形状)は、必ずしも図2、4のように、バンパステイの外縁形状に合わせる必要はなく、円形、矩形、楕円形あるいは不定形など、成形される自動車用エネルギ吸収部材の形状やプレス成形条件に応じて、種々の形状が選択される。
図2、4の板ブランク8において、各々その中央部が、バンパステイ1の底部2や縦壁5に相当する部位(2、5)である。また、斜線を引いたその周縁部が、バンパステイ1のフランジ4に相当する部位(4)である。
本発明では、このような板ブランク8において、自動車用エネルギ吸収部材のフランジ部に相当する部位である、周縁部(4)が、加熱および急冷処理によって、前記軟質部とされている。この周縁部(4)のブランク軟質部は、元の素材アルミニウム合金板(圧延板)の耐力のままの硬質部分を、後述する図7のように、プレス成形前に予め部分的に加熱(あるいは局部的に加熱)して軟質化させる。
一方、自動車用エネルギ吸収部材としての筒状部(底部2と縦壁5)に相当する部位である、中央部(2、5)は、元のアルミニウム合金板(板ブランク)の硬質な定常部である。したがって、板ブランク8は、中央部(2、5)の硬質な定常部に対して、予め周縁部(4)の軟質部を部分的に有して、これら硬質な定常部と軟質部とを合わせてプレス成形されて、筒状部とその周囲のフランジ部とからなるバンパステイ1(自動車用エネルギ吸収部材)に成形されるものである。
(ドアインパクトビーム)
断面HAT(帽子)型形状:
次ぎに、本発明の自動車用エネルギ吸収部材としてドアインパクトビームを例にとって説明する。
図5(a)、(b)は、いずれもドアインパクトビームを例示しているが、図5(a)のドアインパクトビーム30は、軸方向(長手方向)の両端が閉じた筒状の形状をしている。また、図5(b)のドアインパクトビーム30は、軸方向(長手方向)の両端が開いた筒状の形状をしているが、その他の形状は、後述する通り、図5(a)、(b)とも同じである。ただ、5(a)の軸方向(長手方向)の両端が閉じた形状の形材31、32の方が成形が難しく、本発明のようなアルミニウム合金板ブランクあるいは自動車用エネルギ吸収部材が適用されると、大きな効果を発揮すると言える。
図5(a)、(b)のドアインパクトビーム30(プレス成形品、製品)を構成する形材31、32は、各々断面が長手方向に亙る謂わばHAT型形状に構成され、断面矩形の筒状部の両側方に延在するフランジ35と38同士を互いに接合されて、ドアインパクトビーム30として一体化されている。このようなHAT型形状が、アルミニウム合金板ブランクをプレス成形してなるドアインパクトビーム(ドアインパクトビームを構成する形材)特有の形状であるとも言える。なお、これらの図5では、ドアインパクトビームとして、HAT型形材31、32を互いに上下方向で接合しているが、左右方向でも良い。接合は溶接や機械的な接合が単独あるいは組み合わされて行われる。
このようなHAT型形材31、32は、頂部33あるいは底部36と、これらの頂部33あるいは底部36の両側面(両周縁)部から立ち上がる縦壁34、34あるいは37、37とからなる断面矩形の筒状部と、この縦壁34、34の両側面(両周縁)部から外方に張出すとともに、この周縁部5aの周方向に亙って設けられたフランジ35あるいは38とから構成されている。ここで、自動車用エネルギ吸収部材としての、本発明で言う筒状部が頂部33あるいは底部36と、縦壁34、34あるいは37、37であり、その周囲のフランジ部がフランジ35あるいは38である。なお、このようなHAT型形材31、32を互いに合わせて接合してなる構造(構成)は、図5のドアインパクトビームだけでなく、他のメンバ類やフレイム類でも同じ構造がある。
アルミニウム合金板ブランク:
図6に、このようなHAT型形材31、32を、プレス成形にて制作する成形素材としてのアルミニウム合金板ブランク8を示す。この板ブランク8は、外縁が矩形な形状の図5のHAT型形材31、32に合わせて、その外縁形状が矩形な形状をしている。ただ、前記して通り、プレス成形においては成形品周縁部がトリミングにより必然的に除去されるので、板ブランク8の形状(外縁の全体形状)は、必ずしも図6のように、HAT型形材31、32の外縁形状に合わせる必要はなく、円形、楕円形あるいは不定形など、成形される自動車用エネルギ吸収部材の形状に応じて、種々の形状が選択される。
図6の板ブランク8において、その中央部が、HAT型形材31、32の筒状部(頂部33あるいは底部36、縦壁34あるいは37)に相当する部位(33、34)あるいは(36、37)である。また、斜線を引いた周縁部が、HAT型形材31、32のフランジ35、38に相当する周縁部位(35、38)である。
そして、このような板ブランク8において、自動車用エネルギ吸収部材のフランジ部に相当する部位である、前記周縁部位(35、38)が、加熱および急冷処理によって、前記軟質部とされている。この周縁部(35、38)のブランク軟質部は、前記した通り、元の素材アルミニウム合金板(圧延板)の耐力のままの硬質部分を、後述する図7のように、プレス成形前に予め部分的に加熱(あるいは局部的に加熱)して軟質化させる。
一方、自動車用エネルギ吸収部材としての筒状部(頂部33あるいは底部36、縦壁34あるいは37)に相当する部位(33、34)あるいは(36、37)は、元のアルミニウム合金板(板ブランク)の硬質な定常部である。したがって、板ブランク8は、中央部(33、34)あるいは(36、37)の硬質な定常部に対して、予め周縁部(35、38)の軟質部を部分的に有して、これら硬質な定常部と軟質部とを合わせてプレス成形されて、筒状部とその周囲のフランジ部とからなるHAT型形材31、32に成形されるものである。
ブランク軟質部の共通事項:
以上説明した図2、4、6などのブランク軟質部は、前記したいずれの自動車用エネルギ吸収部材用途においても、各々、プレス成形の際の、板ブランク8の中央部(中心部)に対する、周辺部(周縁部)を前記軟質部とすることが好ましい。
前記成形が困難な自動車用エネルギ吸収部材のプレス成形では、通常の自動車パネル材のプレス成形と同様に、ブランクの周辺部(周縁部)(4)、(35、38)は、プレス成形の際に、一方では割れを生じず、他方ではしわを生じないような、金型への適切な材料の流入(量)が要求される。しかし、このような最適条件を満たすことは、元の素材アルミニウム合金板(圧延板)の耐力のままの硬質な状態では難しい。このため、上記板ブランク8の中央部(中心部)としての硬質部の0.2%耐力に比して、プレス成形の際の型内へのアルミニウム合金材料の流入箇所となる、上記周辺部(周縁部)のブランク軟質部を低耐力とする。
一方、板ブランク8における硬質部は、その中央部(2、5)、(33、34)あるいは(36、37)とすることが好ましい。これらの板ブランク8の中央部は、プレス成形の際に、板ブランク8の前記周辺部(周縁部)(4)、(35、38)に比して、十分な耐力および強度が必要となる。板ブランク8のこれら中央部の耐力および強度が低いと、プレス成形時のプレス荷重に耐えることが出来ず、割れの原因となる。
更に重要なことは、板ブランク8のうちの中央部中央部(2、5)、(33、34)あるいは(36、37)は、前記した通り、自動車用エネルギ吸収部材の筒状部となる部位である。これら自動車用エネルギ吸収部材の筒状部は、バンパステイにしても、インパクトビームにしても、自動車用エネルギ吸収部材としてのエネルギ吸収性能を発揮するために、周縁部の取り付けフランジに比して、高強度が要求される。これらの筒状部が、周縁部の取り付けフランジと同様に軟質化(低強度化)されると、自動車車体衝突時に圧壊しやすくなって、エネルギ吸収性能が低下する。
この点、軟質部を、上記板ブランクの周縁部の取り付けフランジ相当部位と、部分的に限定することによって、自動車用エネルギ吸収部材としての必要強度などを低下させずに、素材板ブランクのプレス成形性を向上させることができるものである。
なお、これらの板ブランクの中央部の硬質部や、ブランクの周縁部としての軟質部を設ける場合には、図2、4、6のように、きっちり2分して区分けせずとも良い。即ち、自動車用エネルギ吸収部材としてのエネルギ吸収性能やプレス成形性を低下させない範囲での変形は許容される。例えば、ブランク中央部内(硬質部内)に部分的に軟質部を設けても良く、反対に、ブランク周縁部内(軟質部内)に部分的に硬質部を設けても良い。
5000系板ブランク:
本発明では、板ブランクとして、常法で製造され、JISに規格化された、あるいはJIS規格に相当する乃至近似する、1000系、3000系、5000系、6000系などのアルミニウム合金板(圧延板)が使用できる。但し、前記したバンパステイやドアインパクトビーム等の成形が困難な自動車用エネルギ吸収部材として必要な基本的な強度や成形性を有するためには、Al−Mg系である5000系アルミニウム合金板とすることが好ましい。5000系アルミニウム合金は、加熱および急冷による軟質部を部分的に設けての、成形性改善効果が最も高い。
この5000系アルミニウム合金板ブランクの場合には、前記硬質な定常部である中央部としての硬質部3がH22からH28あるいはH12からH18、あるいはH32からH38程度の材質を有する一方、前記周縁部の軟質部2がO材の材質を有し、0.2%耐力の差が平均で40MPa以上、200MPa未満であることが好ましい。
上記0.2%耐力の差が40MPa未満では、耐力差が小さすぎて、軟質部を設けない板ブランクと大差なくなり、プレス成形時の割れの原因となる。また、200MPaより高い耐力差では、加熱前の素材板耐力(硬質部耐力)を320MPaを超えて大きくする必要が生じ、このような高耐力では、プレス成形時にこの硬質部3側で曲げ変形などで割れやすくなる。また、加熱前の素材板耐力(硬質部耐力)が比較的低い場合には、周縁部の軟質部2の耐力が小さくなりすぎて、プレス成形時に、周縁部の軟質部2からのダイスへの材料流入量が過多となってしわが発生しやすくなる。
上記ブランクの中央部としての硬質部の0.2%耐力、言い換えると元の素材板(圧延板)の0.2%耐力は150MPa以上であることが好ましい。この点、0.2%耐力が150MPa未満では、十分な耐力および強度が得られない。このため、上記した通り、プレス成形時に十分なしわ押さえ力の付加をかけることが出来ず、しわの発生や割れの原因となる。また、6000系アルミニウム合金に比してベークハード特性(人工時効硬化能)が低い5000系アルミニウム合金などでは、プレス成形後にベークハード処理されても、プレスされた前記自動車などの成形が困難なパネルとしての強度も不足する可能性がある。
一方、上記ブランクの中央部としての硬質部の0.2%耐力(元の素材板の耐力)が320MPaを超える高耐力では、前記した通り、プレス成形時に曲げ変形部がこの硬質部部位にあたると、硬質材は曲げ性に劣ることから割れが発生し、プレス成形品を取得できない。よって、上記硬質部の0.2%耐力(元の素材板の耐力)は、150MPa以上、320MPa以下の範囲とすることが好ましい。
これらの上記ブランクの中央部としての硬質部や、上記ブランクの周縁部としての軟質部の各面積や設ける部位、あるいは、これら各々の部位の耐力値を、前記成形が困難な自動車用エネルギ吸収部材に応じたプレス成形の種類や条件に対応して、プレス成形性が向上するように調整する。また、自動車用エネルギ吸収部材としてのエネルギ吸収性能を低下させない範囲で調整する。この場合、上記各最適条件の知見のためには、試験条件を色々振った上での成形試験過程も勿論必要である。
(板ブランク製造)
板ブランク用のアルミニウム合金板は、アルミニウム合金の溶解・鋳造−鋳塊の均質化熱処理−鋳塊の熱間圧延−(必要により中間焼鈍)−冷間圧延の通常の工程を経て、自動車パネルとしての0.5mm〜2.0mm程度の薄板として製造される。この薄板は、次いでバッチ式あるいは連続式の焼鈍炉により、溶体化および焼入れ処理あるいは焼鈍などの適宜の熱処理(調質)を行い、アルミニウム合金板のコイルあるいはシートの状態とされる。自動車用エネルギ吸収部材などにプレス成形される板ブランクは、これらのコイルあるいはシートの状態から、プレス製品(パネル)に適正な大きさにカットされて得られる。
(板ブランクの軟質部の形成方法)
図7を用いて、例えば図2のブランク8の軟質部を形成する方法を具体的に説明する。図7は、板ブランク1をセットした状態のプレス機の断面を示す。プレス機は上型40、40と、下型42、42とから基本的に構成される。これら上型41と下型42とには(どちらかのみでも可)加熱用のヒータ43が設けられており(内蔵されており)、前記した板ブランク8の周縁部(4)など、軟化が必要な部位(軟化部)を、前記した好ましい加熱温度に加熱できるよう構成されている。
この際、図示はしないが、水冷装置(冷却水配管等)が内蔵された冷却型を、上下方向からブランク8中央部に配して、ブランク8を挟持させ、これらの冷却型によって、ブランク8中央部の硬質部(2、5)のみを積極的に冷却し、周縁部(4)からの熱伝導によるブランク8中央部の硬質部(2、5)の加熱を積極的に防止しても良い。また、44は、これらの加熱された軟化部を急冷するための、水噴射用あるいは水のミスト噴射用の冷却ノズルであり、パンチ41とダイス42とに内蔵されていても良い。また、パンチ41とダイス42とを離間させて、開放状態のブランク8の前記加熱された軟化部を急冷処理するか、ブランク8をプレス機から取り外して、別途設置した冷却水槽への浸漬や冷却水の吹きかけによって急冷しても良い。
(ビードの形成)
このように、比較的耐力が高い硬質部(2、5)は元の素材板の部分とし、上記比較的耐力が低い軟質部(4)は、この図7のようなプレス機を用いて、プレス成形前に予め部分的に加熱および急冷して形成する。しかし、このような高温の加熱処理からの急冷処理を、加熱箇所に対して部分的に行うと、必然的に熱歪みが発生して、板ブランク全体に反りやシワなどが大きく発生する場合がある。
このような熱歪みによる板ブランク全体への反りやシワなどを抑制するために、高温加熱および室温までの急冷処理に伴って、熱歪みが負荷され、反りやシワが発生しやすい領域である、板ブランクの軟質部の領域に亙ってビードを形成することが好ましい。
プレス成形性を十分に向上させるために加熱処理する場合には、前記した通り、500℃程度の高温で、かつ数秒間程度の短時間で加熱する必要がある。この加熱温度が低く過ぎると、ブランクの目的箇所を十分に軟質化させることができず、加熱時間も長時間になって、熱伝導によって、板ブランク全体が加熱されてしまい、部分的に加熱することができない。また、加熱温度が高温となるほど、熱伝導によって、板ブランク全体が加熱されてしまう可能性が高くなり、短時間で加熱する必要性がある。
更に、この熱伝導を抑制して、板ブランク全体が加熱されるのを防止するためには、前記高温での加熱処理後に、時間的な遅滞無く、直ちに水焼入れや水のミスト冷却などの急冷処理を行うことが必要である。放冷や緩冷など、冷却速度が遅いと、前記熱伝導を抑制できず、部分的な軟質部を形成できなくなる。
しかし、このような高温からの急冷処理を、加熱箇所に対して部分的に行うと、必然的に熱歪みが発生して、板ブランク全体に反りやシワなどが大きく発生する。この傾向は板ブランクの板厚が薄いほど大きくなる。
これらの板ブランク全体の反りやシワは、大抵はプレス成形されれば、その多くは消すことができる。ただ、板ブランク同士を重ね合わせて保管する、板ブランクをプレス機に搬送する、板ブランクをプレス機に装着するなどのハンドリングが困難、煩雑となる。また、反りやシワが大きくなると、プレス機に板ブランクを装着できず、実質的にプレス成形できない場合も生じる。また、自動車パネル形状やプレス成形条件などによって、プレス成形しても、パネルの反りやシワを消すことができない場合も生じる。
したがって、部分的な軟質部を予め形成したアルミニウム合金板ブランクをプレス成形に用いるには、その実用化のために、このような部分的な軟質部形成に伴う(加熱および急冷処理に伴う)反りやシワを抑制する必要がある。
このため、このような熱歪みによる板ブランク全体に反りやシワなどを抑制するために、高温加熱および室温までの急冷処理に伴って、熱歪みが負荷され、反りやシワが発生しやすい領域である、軟質部の領域に亙ってビードを形成することが好ましい。これによって、前記熱歪みに伴う板の変形を抑制して、反りやシワなどの発生を抑制し、プレス成形可能な平坦度をアルミニウム合金板ブランクの全体に亙って確保する。
本発明で言う前記ビードとは、一定の長さを有して延在する畝状の突起を意味し、通常のプレス成形時に用いられるドロービードやビード(しわの発生につながる材料の過剰な型内への流入を抑えるためにダイフェースに設けられる突起、例えばプレス加工辞典136頁参照)と同じ概念である。また、この板ブランクに設けるビードは、前記通常のプレス成形時に用いられるドロービードやビード(以下、単にビードとも言う)と同じ断面形状であって良く、その設ける位置や長さ、高さも、プレス成形時に設けるビードと同じであって良く、これらビードと兼用できる。即ち、本発明のビードを、前記通常のプレス成形時に用いられるビードと同じ断面形状とすれば、このビードがプレス成形の際のブランクのセッティングの位置決めにもなり、ビードとしても機能することとなる。
但し、このビードは、あくまで、軟質部形成の際の加熱および急冷処理に伴う板ブランクの熱歪みを抑制するものである。したがって、プレス成形時に設けるビードとは違って、少なくとも軟質部形成の際の前記急冷処理の前であって、軟質部形成の際の前記加熱処理と同時か、それ以前に、予め板ブランクに形成しておくことが必要である。
(板ブランクの軟質部とビードの形成方法)
図7のプレス機を用いて、図1のステイ成形用の板ブランク8の軟質部(4)と、前記熱歪み抑制用のビード9とを形成する方法を具体的に説明する。
46は下型42の上面に設けられた凸型であり、上型40の下面に設けられた凹型41と協動して、前記した熱歪み抑制用のビード9を、少なくとも前記軟質部(4)の領域に亙って形成する。
このようなプレス機に板ブランク8をセットし、上型40と下型42とで板ブランク8を挟持した上で、ヒータ43によって板ブランク8の周縁部(4)を前記好ましい加熱温度に短時間で加熱処理し、軟化部(4)を形成する。この加熱処理と同時に、前記凸型46と凹型41とによって、ビード9を少なくとも前記軟質部の領域に亙って形成する。
図7に示すビード9の断面は半円形を有している。このビード9の断面形状は、必ずしも、このような半円形でなくとも、台形、矩形などの突起形状が適宜選択される。
例えば図2の板ブランク8であれば、点線で示すビード9を板ブランク8の周縁部(4)に中央部(2、5)を囲むような円環状に、合計1本以上形成する。図4の板ブランク8であれば、点線で示すビード9を板ブランク8の周縁部(4)に、中央部(2、5)を囲むような環状に、合計1本以上形成する。図6の板ブランク8であれば、点線で示すビード9を板ブランク8の周縁部(35、38)に亙って中央部(33,34)(36,37)を囲むように環状に合計1本以上形成する。これらビード9は、熱歪みを抑制する効果があるなら、連続させても断続的に設けても良い。
次いで、上記短時間の加熱処理後、直ちに、冷却ノズル44によって水あるいは水のミストを噴射して、加熱された軟化部を室温まで急冷処理する。この際、形成したビード9によって、急冷に伴い板ブランク8に生じる熱歪みが抑制されて、アルミニウム合金板ブランク8の平坦度がプレス成形可能に確保される。この加熱処理後の急冷処理は、板ブランク8の平坦度確保のためには、パンチ41とダイス42とで板ブランク8を挟持、拘束したまま行うことが好ましい。ただ、これらパンチとダイスとを離間させて、開放状態の板ブランク8の前記加熱された軟化部を急冷処理しても良い。
5000系アルミニウム合金板ブランクの前記硬質部3をH24の材質に、前記軟質部2をO材の材質にして、平均で40MPa以上、200MPa未満の0.2%耐力差を設けるためには、450〜550℃の温度に、0.5〜30秒間の短時間加熱した後に、直ちに室温まで、前記水あるいは水のミスト噴射などの水焼入れする急冷することが好ましい。
(プレス成形)
以上のような板ブランク8をプレス成形によって自動車用エネルギ吸収部材として製品化する態様を、図8を用いて説明する。図8はプレス装置を断面図で示している。
ここで、図8は通常のプレス装置を示し、本発明板ブランクは通常のプレス装置や、以下に説明する通常のプレス成形工程で、前記した種々の自動車用エネルギ吸収部材(形材)に成形できる点が利点でもある。言い換えると、本発明板ブランクやプレス成形方法は、室温でプレス成形できる点が利点であり、熱間成形や温間成形などブランクを高温状態の軟質化した状態でプレス成形する必要はない。
また、前記した図7のプレス機を図8のプレス装置に組み込んで、図8のプレス装置による一連のプレス成形工程の一貫として、図8のプレス装置によるプレス成形の前に、図7のプレス機を用いて、板ブランクの軟質部とビードとを形成しても良い。
図8のプレス装置を用いて、板ブランクを自動車用エネルギ吸収部材にするためには、絞り成形(ドロー)や張出成形を組み合わせ、リストライク、ピアシング等の3〜4回のプレス工程を経て、前記した種々の自動車用エネルギ吸収部材(形材)に成形する。
図8において、プレス装置は、パンチ50の周囲に取り付けられたブランクホルダー(板ブランク押さえ部材)52と、下型であるダイス51、カウンター55とを組み合わせた態様を示している。パンチ50やブランクホルダー52は、昇降装置に連結されたスライド(図示しない) に取り付けられ、昇降(進退)が自在である。
ブランクホルダー52の下面にはビード形成面(凹部)53が形成されている。この板押え52に対向して、下型(ダイス)51の上面(製品形成面)にはビード形成面(凸部)54が形成されている。そして、これら53と54とによって、成形される板ブランク8の周縁である軟質部(4)にドロービードが形成されて、ダイス51への材料流入を制御する。
前記した通り、板ブランク8に設けるビード9を、このドロービードに対応させて設けておけば、板ブランク8装着時に、ビード9をこのビード形成面53と54とに係合させることによって、プレス成形時に、このドロービードとして機能させることができる。また、ビード9を、このビード形成面53と54と同じ断面形状とすれば、前記した通り、このビードが板ブランク8をプレス装置に装着するの際の、ブランクのセッティングの位置決めにもなり、ビードとしても機能することとなる。
しかる後に、板ブランク8は通常の室温にてプレス成形される。即ち、パンチ50が、下型21に向けて下降する過程で、ブランクホルダー52も下降し、その下限位置(下死点位置) まで下降した状態で、自動車用エネルギ吸収部材用のアルミニウム合金形材の成形が完了する。
更に、その後、このアルミニウム合金形材(成形品)は、周縁である前記軟質部が、そのドロービードとともに除去されるトリミング加工されて、自動車用エネルギ吸収部材(形材)として製造される。
板ブランク8に設ける前記ビード9は、加熱された軟化部を室温まで急冷処理する際に生じる熱歪みの抑制用であって、自動車用エネルギ吸収部材形状自体とは関わりがない。したがって、ビード9を設ける板ブランクの位置は、通常のドロービード位置と同じく、上記トリミング加工によって除去される位置に設けることが好ましい。
(バンパステイの取り付け)
次ぎに、図9、10を用いて、前記図1に示すバンパステイの取り付けや取り付け構造の一態様を説明する。前記図3に示すバンパステイでも、取り付けや取り付け構造は同じである。
なお、この取り付けや取り付け構造は、前記した特許文献4に、より詳細に記載されている。図9、10は、自動車のフロント側のバンパ装置内において、バンパステイ1を、バンパ補強材10とサイドメンバ20との間に配置し、取り付けた態様を示している。勿論、図9、10の態様は、自動車のリア側のバンパ装置にも適用できる。
なお、図9、10は、図の上下方向が自動車車体の前後方向、図の左右方向が自動車車体の幅方向である。また、図9、10は、バンパステイの取り付け構造の右側部分のみを示している。即ち、この右側部分のバンパステイの取り付け構造と左右対称の形で、左側部分にも、同じバンパステイの取り付け構造が設けられている。これら図9、10に示すバンパ補強材10の態様は、長手方向(車体方向、図の左右方向)に亙って直線的ではない。即ち、直線的な中央部10aの両端に車体側へ曲げられた、直線的または曲線的な湾曲部 (屈曲部) 10bを有するか、全体が車体側へ湾曲しているバンパ補強材 (湾曲型バンパ補強材) の後面壁12に対して、ステイを取り付ける態様を示す。なお、この取り付け方は、前記した、図示しないバンパ補強材10の左側部分のバンパステイの取り付け型でも同じである。
図9、10に示すように、バンパ補強材10の湾曲部10bにおける後面壁12には、前面壁11に設けられた比較的大きな、接合作業用穴(貫通穴)13に対応して、比較的大きな接合作業用穴(貫通穴)14が設けられている。これらの接合作業用穴13、14を介して、バンパ補強材10の前面壁11側(作業穴14)からの、図9、10に矢印で各々示す、各接合作業によって、ステイ1のカップ底部2側がサイドメンバ先端部21側に接合されるとともに、ステイ1のカップフランジ4を介して、カップ開口部3側がバンパ補強材10の後面壁12側に接合される。
一方、ステイ1側には、各ステイ例とも共通して、カップ底部2にボルト穴(貫通穴)6、6が設けられている。バンパ補強材10の前面壁11側からの、接合作業用穴13と後面壁12の接合作業用穴14とを通じた、各接合作業によって、このボルト穴6、6と、サイドメンバ20先端部21側に設けたボルト穴22、22とを各々係合させる。次いで、これらボルト穴6、22同士に、ボルト23を各々貫通させ、図10に接合後を示すように、ステイ1のカップ底部2とサイドメンバ先端部21とをボルト接合する。
また、ステイ1のフランジ4には、選択的に、ボルト穴(貫通穴)7、7が設けられている。バンパ補強材10の前面壁11側からの、接合作業用穴13を通じた、各接合作業によって、このボルト穴7、7と、バンパ補強材の後面壁12に設けたボルト穴15、15とを各々係合させる。次いで、これらボルト穴7、15同士に、ボルト16を各々貫通させ、ステイ1のフランジ4とバンパ補強材の後面壁12とをボルト接合し、図10に接合後を示すように、カップ開口部3側がバンパ補強材10の後面壁12側に接合される。
なお、ステイ1のカップ底部2とサイドメンバとの接合は、ボルト接合(カップ底部2のボルト穴6、6)が必須であるが、このボルト接合に加えて、カップ底部2とサイドメンバ先端部21とを溶接接合しても良い。また、ステイ1のフランジ4とバンパ補強材10の後面壁12との接合では、ボルト接合(フランジ4のボルト穴7、7)が必須ではなく、このボルト接合に替えて、あるいはこのボルト接合に加えて、ステイ1のフランジ4とバンパ補強材10の後面壁12とを溶接接合しても良い。
これらの接合手段として、通常のボルトによる接合を示しているが、この他スタッドボルトなど、他の機械的な接合手段を用いる(置き換え、あるいは併用)ことも可能である。
このようにステイを配置することで、カップ底部2が衝突荷重に対する後面側(サイドメンバ側)、カップ開口部3側が衝突荷重に対する前面側(バンパ補強材側)となる。したがって、衝突荷重の負荷時に、カップ底部3とカップ開口部3とをつないで構成される筒状の縦壁5の外方への拡大変形や、カップ底部2の後面側への(凹み)変形などによる、ステイ(カップ)の全体変形により、衝突荷重を吸収することができる。
ここで、前記図3に示すステイの方が、図1の底部2が円形形状のステイ1よりも、底部2の面積を大きくすることができる。このため、ステイ1をサイドメンバ先端部側に接合する際の、底部2に設けるボルト穴6、6の数を多く設けることが可能であり、接合強度を増すことができる。また、図3に示すステイ1は、車体幅方向の内側部分(図の左側)方向に拡がる縦壁5の部分の長さを長くして、より車体幅方向の内側部分(図の左側)方向に拡がるようにしている。これによって、バンパ補強材10のより中央部10側(車体幅方向の内側部分)に、後面側から支持するステイ1が存在することとなり、バンパ補強材10の変形荷重が高くなり、衝突エネルギ吸収ストロークを短くできる利点がある。
(ステイの厚みと強度特性)
ステイ1の厚み(板ブランクの板厚)は、軽量化のためには4mm以下とすることが好ましい。板厚が4mmを超えた場合には、鋼製ステイに代わっての軽量化効果が薄くなる。また、板ブランクのステイへの成形も難しくなる。そして、このような薄肉条件下で、ステイ1の高エネルギ吸収量を保障するためには、ステイ1(板ブランク)の0.2%耐力が190MPa以上の高強度であることが好ましい。
これに対して、上記カップ状の筒状部は、前記した周縁のフランジ部の軟質部に対して、硬質部を構成している(軟質化されていない)。このため、エネルギ吸収部材として、従来の全部位が硬質化されている(部分的に軟質化されていない)カップ状ステイに比しても、遜色なくエネルギ吸収性能を発揮する。また、前記したような、衝突時に大きな曲げモーメントが加わる場合でも、ボルト接合部6、22(締結部)への荷重およびモーメント入力に対して変形が生じにくい。
次に、本発明の実施例を説明する。上記のように熱処理を施したアルミニウム合金ブランクを用いることで、自動車用エネルギ吸収部材であるバンパステイをアルミニウム合金で成形することが可能になるかプレス成形を行って評価した。また、このプレス成形によって得られたバンパステイの衝突時のエネルギ吸収性についても評価を行った。また、比較例として、本発明のような加熱を行わず、ブランク全体を硬質部として、従来通りブランク内の硬度を一定としたものも、同様の評価を行った。
前記プレス成形試験は、前記図1に示すバンパステイを模擬するため、金型にはφ50.0mmの円形パンチとφ52.4mmの円形ダイスを用いた。ブランクには、板厚1.0mmのJIS5182−H18、JIS5182−H24アルミニウム合金板を用い、前記図2のように、ブランク中央部(2、5)を加熱しない前記硬質部とし、周辺部(4)を加熱した前記軟質部とした。ブランク形状は、φ95.0mmからφ125.0mmの正円形とし、プレス成形において割れが生じなかった供試体(カップ成形品)の中での最大の縦壁高さを成形性の評価基準として求めた。測定した最大の縦壁高さを表1に示す。
前記エネルギ吸収性の評価試験の試験装置の外観を図11に示す。この図11の装置を用いて、前記最大縦壁高さを求めた供試体(カップ成形品)をフランジ部で下部の台座とボルト接合・固定し、ブランク底部と平行なパンチでブランクを圧壊し、圧壊中のパンチ荷重と変位とを測定した。これらの測定値から算出したエネルギ吸収量を表1に示す。また、これらの荷重−変位関係(エネルギ吸収特性)を、前記JIS5182−H18のアルミニウム合金板の発明例と比較例(表1の発明例2と比較例2)について、図12に示す。
表1に示す、発明例と比較例の各成形品縦壁高さとエネルギ吸収量および図12に示す荷重−変位関係から、発明例は、比較例に比して、縦壁高さ45mmまで成形可能であり、バンパステイに要求される設計要件を満たしていることが分かる。また、発明例は、圧壊時のエネルギ吸収量やエネルギ吸収特性も、比較例より格段に優れている。これに対して、比較例は、成形できる縦壁高さが発明例よりも低く、バンパステイに要求される設計要件を満たしていない。また、比較例は、圧壊時のエネルギ吸収量やエネルギ吸収特性も、発明例より格段に劣っている。これらの結果から本発明要件の臨界的な意義が裏付けられる。
Figure 2011020668
以上のように、本発明は、自動車用エネルギ吸収部材への成形性を向上させた、アルミニウム合金板ブランクおよび自動車用エネルギ吸収部材を提供することができる。したがって、取り付け作業性、軽量化、衝突時のエネルギ吸収性などを低下させずに、プレス成形性の向上の要求が高い、バンパステイなどの自動車用エネルギ吸収部材に好適である。
1:ステイ、2:ステイ底部(硬質部)、3:ステイ開口部、4:フランジ(軟質部)、5:縦壁(硬質部)、6、7:ボルト穴、8:板ブランク、9:ビード、10:バンパ補強材、11:前面壁、12:後面壁、13、14:接合作業用穴、15:ボルト穴、16:ボルト、20:サイドメンバ、21サイドメンバ先端部、22:ボルト穴、23:ボルト、30:サイドメンバ、31、32:HAT型形材、33:頂部、34、37:縦壁、35、38:フランジ、36:底部

Claims (5)

  1. 硬質な定常部に対して予め軟質部を部分的に有して、これら硬質な定常部と軟質部とを合わせてプレス成形されて、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる自動車用エネルギ吸収部材に成形されるアルミニウム合金板ブランクであって、前記自動車用エネルギ吸収部材の前記フランジ部に相当する部位が、加熱および急冷処理によって、前記軟質部とされていることを特徴とするアルミニウム合金板ブランク。
  2. 前記アルミニウム合金板ブランクの、少なくとも前記軟質部の領域に亙って形成されたビードによって、プレス成形可能な平坦度が全体に亙って確保されている請求項1に記載のアルミニウム合金板ブランク。
  3. 前記自動車用エネルギ吸収部材がバンパステイ、メンバ類、フレーム類、ドアインパクトビームから選択される自動車部材である請求項1または2に記載のアルミニウム合金板ブランク。
  4. 請求項1または2のアルミニウム合金板ブランクをプレス成形されてなる、筒状部とその周囲のフランジ部とからなる自動車用エネルギ吸収部材であって、前記フランジ部が前記筒状部に比して軟質化されていることを特徴とする自動車用エネルギ吸収部材。
  5. 前記自動車用エネルギ吸収部材がバンパステイ、メンバ類、フレーム類、ビーム類から選択される自動車部材である請求項4に記載の自動車用エネルギ吸収部材。
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