JP4201745B2 - 塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車ボディパネル等において難しい成形加工が要求され、しかも焼付け塗装処理後に高強度が必要とされるような部材に適した超塑性成形用6000系アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
近年、自動車車体の軽量化手段の一つとして、アルミニウム合金のボディパネルへの適用が進みつつある。しかし、一般にアルミニウム合金は鋼板に比べて成形性が低く、様々な加工方法の検討が行われている。その一つに超塑性現象を活用した加工方法が挙げられる。
超塑性現象とは、伸びが通常の加工条件では得られない程大きく、かつ変形応力も小さいことが特徴とされている。そこで、これらの特徴を利用した超塑性合金実用化のための研究開発が盛んに行われている。特にアルミニウム合金に関しては、軽量という特徴を有するものの、加工性に問題があることから積極的に開発が行われており、なかでも5000系アルミニウム合金(Al−Mg系合金)は適当な強度とともに耐食性や表面処理性に優れていることから注目され、実用化されている合金もある。
超塑性現象を発現させるための条件としては、(1)安定で微細な等軸結晶粒(〜10μm)を有する合金を、(2)加熱温度TはT>0.5Tm(融点の絶対温度)、(3)低いひずみ速度(10-4/s〜)での加工などが適切であると一般的に言われている(非特許文献1参照)。そこで、これまでの合金開発は、結晶粒を微細化すること、高温での加工に際しても熱的に安定な組織にすること、延性を阻害するキャビティの発生を抑えること等を指針として行われ、特許文献1に開示されているような特殊な成分系の合金や、特許文献2に開示されているような特殊な製造条件を必要とするものが提案されているが、製造コスト面からは望ましいものではなかった。
また、加工条件でも、非特許文献2に記載されているような低ひずみ速度が必要であることから、生産性に対しても問題があった。
しかし、本発明者らは、超塑性成形を行うに際して、500%や1000%といったような非常に大きな伸びが要求されることはまれであり、150〜200%程度の伸びが達成できれば実用的には十分である場合が多いことに着目し、特殊な条件を採用せずに製造が容易で、かつ生産性に優れた超塑性成形を可能とする5000系アルミニウム合金板およびその成形方法に関する発明を提案した(特許文献3参照)。ただし、この発明は非熱処理型の5000系アルミニウム合金板をベースとしているために、強度が要求されるような部材への適用は困難であった。
そこで、本発明者らは、実用的な超塑性成形能は確保して、かつ適用部材の一層の軽量化を実現するために、伸び150%以上を有して実用的な超塑性成形が可能であり、さらに超塑性成形後にT6処理等の適切な熱処理を施すことによって引張強度300MPa以上の高い強度を得ることができる熱処理型の6000系アルミニウム合金板に関する発明を提案した(特許文献4参照)。ここで、T6処理とは、溶体化処理後人工時効硬化処理したものを意味する。しかし、この発明では、超塑性成形加工の後に溶体化処理を行い、人工時効硬化処理を行うことによって大幅な高強度化は可能であるが、工程が増えてしまい製造コスト面からは望ましいものではなかった。そこで、本発明者は、さらに超塑性成形後に別途溶体化処理および人工時効処理を行わなくても、自動車製造工程等において通常行われるような塗装焼き付け処理を活用して高強度化が図れる6000系アルミニウム合金製高強度部材の超塑性成形加工方法に関する発明を提案した(特許文献5参照)。
また、低コスト化という点では、板製造において溶体化処理が施されていない熱処理型アルミニウム系超塑性合金を用いた超塑性ブロー成形法に関する発明が提案されている(特許文献6参照)。
特開昭57−076145号公報 特開昭58−081957号公報 特開平08−199272号公報 特開平11−131165号公報 特開2003−301249号公報 特開2001−058221号公報 大澤、西村:軽金属、39−10(1989)、P.765〜775など 東:軽金属、39−11(1989)、P.751〜764 軽金属学会編、「アルミニウムの組織と性質」(1991)
一般的な結晶粒径のアルミニウム合金板を用いて超塑性成形を行う場合の問題点として、超塑性成形後に非常に粗大な再結晶粒が形成され(以下、異常粒成長と呼ぶ。)、成形後の製品外観を損なう場合があった。特に、生産性の観点から大きな歪み速度で超塑性成形する場合に異常粒成長は起き易い。従来の本発明者らの提案においても、この異常粒成長が稀ではあるが起きる場合があり、異常粒成長をさらに抑制する必要があった。
また、超塑性成形は、特許文献6に記載の発明のように、480〜530℃で10〜20分加圧して行われる場合が多く、通常のプレス成形に比べて生産性は低く、素材の一層の低コスト化が望まれていた。
そこで、本発明は、超塑性成形後の異常粒成長がほぼ完全に抑制され、一層の素材コスト低減が図れる塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、6000系アルミニウム合金板に対して超塑性成形を行う際の異常粒成長現象について種々検討を行った。その結果、460〜580℃の温度範囲において10-4〜10/sの歪み速度で行う超塑性成形ならば、MnまたはCrを適切な量添加することによって異常粒成長をほぼ完全に抑制し得ることを見出した。また、上記のような条件で超塑性成形を行う場合には、異常粒成長抑制の目的で本系アルミニウム合金の溶質原子の他にMnまたはCrを規定量含有させても、合金成分全体を適切に規定することによって150%以上の伸びが得られ、実用的な超塑性成形能を十分に有していることを実験的に明らかにした。
一方、6000系アルミニウム合金板の一般的な溶体化処理温度は480〜580℃の範囲であり、超塑性成形も上述のようにこのような温度範囲で行われることから、溶体化処理を省略することが可能と考えられる。ただし、塗装焼付け硬化性を得るためには超塑性成形後の冷却過程で溶質原子を過飽和に固溶させる必要があり、この際、大きな冷却速度で冷却しなくても効率的に溶質原子を固溶させる、すなわち、良好な焼入れ性を有していることも重要となる。塗装焼き付けの際に大きな強度上昇を得るためには、一般的にはMg2Si量や過剰Si量を増大させる必要があるが、非特許文献3で開示されているように、Mg2Si量や過剰Si量を増大させると逆に焼入れ性は低下するとされている。また、異常粒成長抑制のために添加するMnならびにCrは、塗装焼付け処理における強度上昇を小さくするといわれている。そこで、本発明者は塗装焼付け硬化性と焼き入れ性に及ぼす合金成分の影響について種々検討を行い、溶質原子MgおよびSiの成分範囲、ならびにMnまたはCrの異常粒成長抑制元素の添加量を適切に規定することによって、塗装焼付け硬化性と焼入れ性は両立し得ることを実験的に確認した。
また、塗装焼付け硬化性確保に必要な溶質原子の固溶量が増すと板の導電率が低下する現象を使って、種々の製法で製造した6000系アルミニウム合金板の溶体化処理前後の導電率を調査した。その結果、溶体化処理を施す前の状態での導電率が40〜60%IACSであれば、一般的な条件の超塑性成形を行うことによって溶体化処理を行うのと同等の溶質原子が固溶し、塗装焼付け硬化性が得られるようになることを見出した。なお、ここで用いた導電率の単位%IACSは、標準軟銅(比抵抗1.7241μΩ・cm/20℃)の導電率を100%とした時、同温同体積の物質の比で示したものであり、数値が大きいほど導伝性はよい。
さらに、導電率40〜60%IACSを確保するためには、熱間圧延温度を適切に制御することによって、最終の溶体化処理以外にも、溶質原子の固溶促進に関連した工程である均質化焼鈍を省略することが可能であり、さらに熱間圧延後に冷間圧延を行って板を製造する場合に冷間圧延途中に施すことがある中間焼鈍をも省略し得ることを見出した。
すなわち、超塑性成形用の6000系アルミニウム合金板は、溶解鋳造後、適切な条件において熱間圧延を施し、さらに冷間圧延を行うことで製造された、冷間圧延ままの加工組織を有した板を適用することができる。
本発明者らは、これらの知見をもとに超塑性成形後も粗大な異常粒が形成されない、一層の素材コスト低減が図れる塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板およびその製造方法を発明するに至った。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.6〜1.4%、Mn:0.4超〜1.0%を含有し、残部はAlおよび不可避不純物からなり、冷間圧延ままの加工組織を有し、導電率が40〜60%IACSであることを特徴とする、塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
(2) 質量%で、さらに、Cr:0.02〜0.5%を含有することを特徴とする、上記(1)記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
(3) 質量%で、さらに、Ti:0.005〜0.15%、B:0.0001〜0.05%、Fe:0.03〜0.4%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
(4) 質量%で、さらに、Cu:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする、上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
(5) 質量%で、さらに、Sn:0.01〜0.15%を含有することを特徴とする、上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
(6) 上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の成分を有する鋳塊を均質化焼鈍を行わずに加熱後、450〜550℃の温度範囲で熱間圧延を開始し、350℃以下の温度で熱間圧延を終了し、冷間圧延を行って製造することを特徴とする、塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板の製造方法。
本発明により、特に、自動車の超塑性成形用パネル材として好適な、超塑性成形後も異常粒成長が生じない、一層の素材コスト低減が図れる塗装焼付け硬化性に優れた6000系アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することが可能となり、産業上の貢献が極めて顕著である。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、合金成分の限定理由を以下に示す。
Mg、Siは、本発明の必須の基本成分であり、超塑性成形性の確保、ならびに成形加工後に塗装焼き付け処理を行った際の強度上昇、すなわち塗装焼付け硬化性を得るための基本合金成分である。Mgが0.4%未満、Siが0.6%未満では上述の効果に乏しく、またMgが1.0%超、Siが1.4%超では、超塑性成形性、加工後の冷却過程での焼き入れ性および塗装焼付け硬化性が両立できなくなる。そのため、Mg量を0.4〜1.0%、Si量を0.6〜1.4%の範囲とした。
Mnは、超塑性成形時に異常粒成長を抑制する効果を有する。Mn量の下限を0.4%超とするのは、0.4%以下では異常粒成長が十分に抑制できない場合があるためである。また、Mn量の上限を1.0%以下とする理由は、1.0%を超えると粗大な金属間化合物が多数形成され、超塑性成形中のキャビティの生成が著しく多くなり、超塑性成形性を損なうとともに成形後の機械的性質を損なってしまう恐れがあるためである。以上の理由から、Mn量は0.4超〜1.0%の範囲とした。
本発明は、必要に応じて以下に示す元素を含有させてもよい。
Crは、Mnと同様に超塑性成形時の異常粒成長抑制効果を有する元素である。Cr量が0.02%未満ではその効果が不十分であり、またCr量が0.5%を超えると粗大な金属間化合物が形成され、超塑性成形時にキャビティが多数形成されてしまい、超塑性成形性を損なうとともに成形後の機械的性質を損なう恐れがある。したがって、Cr量を0.02〜0.5%の範囲とした。
また、本発明では、Ti、B、Feの1種またはは2種以上を必要に応じて含有させても良い。Ti、Bは、微量添加により鋳塊の結晶粒を微細化し、肌荒れ等を改善する効果を有する。Tiが0.005%未満、Bが0.0001%未満では鋳塊の結晶粒を微細化する効果がやや不十分である。また、Tiが0.15%、Bが0.05%を超えると粗大な晶出物を形成し、超塑性成形性が劣化することがある。そのため、Ti量を0.005〜0.15%、B量を0.0001〜0.05%の範囲とした。
Feは、強度向上に寄与する元素であり、ならびに超塑性成形時の異常粒成長抑制に効果のある元素である。その効果は、Fe量が0.03%未満では不十分である。一方、Fe量が0.4%を超えると粗大な晶出物が生成し、超塑性成形性を低下させ、超塑性成形時のキャビティ形成による成形後の機械的性質を劣化させてしまう恐れがある。したがって、Feを含有させる場合にはFe量を0.03〜0.4%の範囲とすることが好ましい。
本発明ではCuを必要に応じて含有させてもよい。Cuは、超塑性成形後、塗装焼付けを行ったときの強度上昇に寄与する元素である。Cuが0.1%未満では強度上昇効果が十分に得られず、1.0%を超えてCuを添加すると、耐蝕性が大きく劣化してしまう。そのためにCu添加量は0.1〜1.0%の範囲とした。
さらに、本発明においてはSnを必要に応じて含有させてもよい。Snは、室温放置中の自然時効による強度上昇を抑制するとともに、焼入れ性を向上させる効果を有する。Snが0.01%未満ではその効果が小さく、また0.15%を超えると自然時効中の強度上昇抑制効果は飽和してしまうだけでなく、焼入れ性が大きく低下してしまう。そのため、Snの添加量を0.01〜0.15%とした。またSnの効果を有効に活用するためにはAl母相中にSnを均一に固溶させることが重要であり、そのためには溶解鋳造時にSnを、Al−Sn母合金として添加することが望ましい。なお、Al−Sn母合金中のSn含有量については特に規定する必要はない。
なお、上記元素の他、不可避的不純物が含有されるが、本発明の効果を損なわない範囲の量であれば許容される。
次ぎに、本発明の製造方法に関して詳細に説明する。
本6000系アルミニウム合金板の一般的な製造方法としては、溶解鋳造、均質化焼鈍、熱間圧延、冷間圧延、必要に応じて冷間圧延途中に焼鈍、溶体化処理を経るものである。これに対し、本発明では、溶質原子の固溶に関連した工程である溶体化処理、均質化焼鈍および冷間圧延の途中に施す中間焼鈍を省略することが可能であるため、本発明のアルミニウム合金板は、従来の一般的な方法にしたがって溶解鋳造された鋳塊を、本発明で規定した条件で熱間圧延を施し、冷間圧延を行うことにより製造される。
先ず、鋳塊を加熱し、熱間圧延を行う。冷間圧延ままの加工組織を有する最終製品板の導電率を40〜60%IACSとするためには、開始および終了温度範囲を適切に制御した熱間圧延を行う必要がある。熱間圧延における開始温度は、450〜550℃の範囲とする。熱間圧延開始温度が、450℃未満では溶質原子の固溶が不十分となる恐れがある。また、開始温度を550℃超とすると、熱間圧延前の加熱は加熱炉から熱間圧延機への鋳塊の搬送等による温度低下を考慮すると580℃以上で行うことになり、このような温度では共晶融解が起きる場合があり問題である。そこで、熱間圧延開始温度範囲を450〜550℃と規定した。一方、熱間圧延終了温度は350℃以下とする。350℃超では固溶量は多いものの、析出物は比較的大きくなり、超塑性成形時に再固溶し難くなってしまうためである。
なお、1パス毎の圧下率は特に規定はしないが、熱間圧延終了温度が上述の範囲となるように設定すればよい。
この条件となるように制御した熱間圧延を行った後、冷間圧延を行って製造した本発明合金板は、40〜60%IACSの導電率を有するようになり、超塑性成形用材料として十分な成形性を有するとともに、良好な塗装焼き付け硬化性を示す。
以下には本発明のアルミニウム合金板の性能を十分に発揮させるための超塑性成形から塗装焼付け処理までの好適な条件について説明する。
超塑性成形条件としては、480〜580℃の温度範囲で、ひずみ速度dε/dsが10-4〜10/sのような広範な条件範囲でも、本発明に係るアルミニウム合金板は、異常粒成長を抑制するとともに、150%程度以上の全伸びを示し、実用上十分な超塑性成形能を有する。また、十分な溶体化が施される。
本発明に係るアルミニウム合金板は優れた焼入れ性を有しているが、超塑性成形後200℃以下までは2℃/s以上で冷却することが好ましい。2℃/s未満では冷却過程でMg2Si相やSi相等が析出して過飽和固溶量が不足し、塗装焼付け硬化性が得られ難くなる場合がある。
また、塗装焼付け処理において大きく強度上昇させるためには、超塑性成形から塗装焼付け処理までの室温放置時間は短いほど好ましい。室温放置時間が長くなると、大きな塗装焼付け硬化性を得るためにはより高温で長時間の熱処理が必要となる。好ましくは、超塑性成形後12時間以内に塗装焼付け処理を行うことがよく、塗装焼付け条件も180℃以上で30分以上行うのが好ましい。
表1に示す成分組成を有する6000系アルミニウム合金を溶解し、DC鋳造法により鋳造した。得られた鋳塊を510℃で熱間圧延を開始し280℃で板厚を5mmとして熱間圧延を終了した。その後1mmまで冷間圧延を行って供試材とした。
これらのアルミニウム合金圧延板に対して、超塑性成形条件に相当する温度500℃、歪み速度10-2/sで高温引張試験を行った。150%以上を良好な超塑性伸びとした。
これらのアルミニウム合金板に対して小型の高温ブロー成形試験機を用いて超塑性成形を行った。金型は一辺250mmの角筒金型を使い、板を500℃に1分間予備加熱した後、平均の歪み速度が10-2/s程度となるように加圧して高さ60mmの成形を行った。また、成形後は3℃/sの速度で冷却した。また、冷却の後、室温で8時間放置してから180℃×60分の塗装焼付け相当の熱処理を行った。超塑性成形後の強度を調査するために、角筒成形品の上面中央から圧延方向にJIS5号引張試験片を採取して引張試験を行った。5000系アルミニウム合金超塑性材を用いた場合の耐力は140MPa程度が上限であることから、耐力150MPa以上を良好な塗装焼付け硬化性と判定した。
また、異常粒成長の有無を調査するために、角筒成形品の上面中央近傍から試験片を採取して、板断面に対してエッチングを施して結晶粒組織を板厚全面にわたって観察した。表2にその評価結果を示す。200μm以下の等軸再結晶粒であれば良好であるとし、表2に○で表記した。また、200μm超の粗大な結晶粒が部分的にでも認められた場合を異常粒成長が発生したとして、表2で×と表記した。
合金No.1〜12は、合金成分および製造条件が本発明の範囲内であり、150%以上の超塑性伸びを有し、また塗装焼付け硬化性に優れ、異常粒成長も認められなかった。
一方、合金No.13はMg、Si量が本発明範囲よりも少ないために塗装焼付け硬化性が低く、またMnも規定量に満たないため、異常粒成長を起こしてしまった。合金No.14は、Mg量が少なく、SiおよびCr量が本発明の範囲よりも多いために、塗装焼付け硬化性が低かった。合金No.15では、MgおよびSi量が本発明の範囲外であるために塗装焼付け硬化性が低く、また、Mnも規定量以下のために異常粒成長が生じた。合金No.16は、Mg、Si量は本発明内であるが、Mn、Cr、Fe添加量が本発明の範囲よりも多いために塗装焼付け硬化性が低かった。合金No.17は、Sn量が本発明の範囲よりも多かったために焼入れ性が低下して、塗装焼付け硬化性が不十分であった。
Figure 0004201745
Figure 0004201745
表1の本発明合金1および11の鋳塊を表3に示した条件で熱間圧延、冷間圧延を行って供試材とした。表3には熱間圧延開始温度および終了温度、またで熱間圧延終了板厚を記す。この熱間圧延板に対して冷間圧延を施して1mm厚として供試材とした。
このようにして製造された供試材を実施例1と同じ高温ブロー試験機を用いて表4に示す条件で超塑性成形および角筒成形品の冷却を行った。この際、金型も実施例1と同じものを用い、成形高さもまた同じ60mmとした。
なお、供試材の超塑性伸びは、超塑性成形温度において、超塑性成形と同等の歪み速度で高温引張試験を行って求めた。また、塗装焼付け硬化性および異常粒成長の有無の評価は実施例1と同様に行った。表5にその評価結果を示す。
合金No.1の成分を有する鋳塊を方法A〜Dで製造した本発明合金板に対して条件アで超塑性成形を行った場合は、150%以上の超塑性伸びを有し、また塗装焼付け硬化性に優れ、異常粒成長も認められなかった。一方、本発明外の方法E、Fで製造した場合は、同じ超塑性成形条件でも良好な塗装焼付け硬化性が得られなかった。
また、合金No.11の成分を有する鋳塊を本発明の製法A〜Dで製造した合金板に対して条件イで超塑性成形を行った場合も、150%以上の超塑性伸びを有し、また、塗装焼付け硬化性に優れ、異常粒成長も認められなかった。しかし、本発明外の方法E、Fで製造した場合には、同じ超塑性成形条件でも塗装焼付け硬化性が低くなってしまった。
Figure 0004201745
Figure 0004201745
Figure 0004201745

Claims (6)

  1. 質量%で、
    Mg:0.4〜1.0%、
    Si:0.6〜1.4%、
    Mn:0.4超〜1.0%
    を含有し、残部はAlおよび不可避不純物からなり、冷間圧延ままの加工組織を有し、導電率が40〜60%IACSであることを特徴とする、塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
  2. 質量%で、さらに、
    Cr:0.02〜0.5%
    を含有することを特徴とする、請求項1に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
  3. 質量%で、さらに、
    Ti:0.005〜0.15%、
    B :0.0001〜0.05%、
    Fe:0.03〜0.4%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
  4. 質量%で、さらに、
    Cu:0.1〜1.0%
    を含有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
  5. 質量%で、さらに、
    Sn:0.01〜0.15%
    を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の成分を有する鋳塊を均質化焼鈍を行わずに加熱後、450〜550℃の温度範囲で熱間圧延を開始し、350℃以下の温度で熱間圧延を終了し、冷間圧延を行って製造することを特徴とする、塗装焼付け硬化性に優れた超塑性成形用6000系アルミニウム合金板の製造方法。
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