JP2642907B2 - X線露光装置 - Google Patents

X線露光装置

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JP2642907B2 JP7147760A JP14776095A JP2642907B2 JP 2642907 B2 JP2642907 B2 JP 2642907B2 JP 7147760 A JP7147760 A JP 7147760A JP 14776095 A JP14776095 A JP 14776095A JP 2642907 B2 JP2642907 B2 JP 2642907B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX線発生用ターゲットを
パルスレーザ光により照射することで生成されるレーザ
励起プラズマをX線源とするX線露光装置の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】X線発生用ターゲットにパルスレーザを
照射することでプラズマを生成し、これにより生ずるX
線で試料を露光するX線露光装置は、例えば半導体集積
回路作製時において回路基板上のフォトレジストに微細
回路パタンを転写するときや、電子顕微鏡では不可能
な、生きた微小生物試料の瞬時の状態をX線フラッシュ
撮像するとき等、多方面での応用が図られている。
【0003】その中、図3には、上記のX線フラッシュ
撮像をなす装置、いわゆるX線顕微鏡に応用された場合
における従来のX線露光装置の代表的な構造例が示され
ている。本構造は、本発明者等が既に特開平6-310394号
公報にて開示しているX線露光装置における静的装置構
造に準ずるもので、まずは内部に所定容積の中空室、す
なわち内部チェンバ12を画成する真空容器11がある。真
空容器11の内部チェンバ12は排気管13を介し、図示しな
い排気装置により所望の真空度になるよう、真空引きで
きる。真空容器11の壁構造の一部には、内部チェンバ12
の真空を破ることのないようにレーザ光入射窓部材15が
嵌め付けられ、外部に備えられたレーザ光源(図示せ
ず)からのパルスレーザ光14は収束レンズ16を介する等
して適宜収束されながらこのレーザ光入射窓部材15を介
して内部チェンバ12内に入射し、内部チェンバ12内に所
定の姿勢で固定設置されているX線発生用ターゲット17
を照射してプラズマ18を発生させる。
【0004】このようなレーザ励起プラズマ18からはX
線19が発生し、パルスレーザ光14のパルス時間幅に応じ
た時間を単位照射時間として試料20を照射するが、例え
ば当該試料20が微小生物試料20であるような場合、それ
を生きたまま観測するには、そのまま真空容器11の内部
チェンバ12内に収めることはできない。試料20の周囲環
境は一般に真空であってはならず、多くの場合、大気圧
環境でなければならない。そのため、試料20の保持に
は、蓋22を閉じると当該試料20を保持する内部空間が密
閉できる試料ホルダ21が用いられ、この試料ホルダ21の
一部に、上記のプラズマ18から発生したX線19をホルダ
内に透過するための透孔23が開けられる。しかし、この
透孔23を介し真空容器11の内部チェンバ12と試料ホルダ
21の内部空間とが連通してしまったのでは意味がないか
ら、この透孔23には、X線19は透過するが試料ホルダ21
内の密封性は維持できる気密部材として、X線透過部材
24が設けられる。
【0005】しかるに、X線顕微鏡を用いた手法とし
て、中でも本発明者が既に報告している密着型X線顕微
法(上記公報及び "Science" 252(1991)691 参照)によ
り、例えば生きている微小生物試料20の密着転写レプリ
カを得るには、シリコン基板とかガラス基板等の適当な
基板上に塗布されたX線感光用フォトレジスト25を試料
台としても使って、その上に微小生物試料20を適当な溶
液26内にて泳がせた状態にして載せ、これをX線透過部
材24に対しバネ27によって押し付けるようにして保持す
る。このようにすると、試料20とフォトレジスト25の密
着度は数μm 以下にまで高められ、その状態でパルスレ
ーザ光14の照射に伴うプラズマ18の生成により発生した
X線19が試料ホルダ21の透孔23、X線透過部材24を介し
て試料20をフラッシュ照射すると、当該試料20のX線透
過パタンがフォトレジスト25に高精度に転写される。そ
こで、これを現像すれば、一種のX線写真に相当するフ
ォトレジスト残存パタンとして、生きた試料20のある瞬
時における高精度な構造パタンを得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のX線露光装置
は、微小生物試料の観測のみならず、試料ホルダ内にフ
ォトレジスト層を有する半導体回路基板と回路パタンの
描かれたマスク層とを積層したものを試料20として収め
れば、半導体集積回路作製のための微細パタン露光装置
としても用い得るが、いずれにしても装置構造的な観点
からすると、以下に述べる種々の欠点があった。
【0007】まず、試料20を真空容器11内に装填してか
ら実際にX線露光を行なうまでにかなりな時間を要す
る。すなわち、真空環境に置けないか、真空容器11の内
部チェンバ12の真空度とは異なる真空度環境に置かねば
ならない試料20を取扱う場合、既述のように試料ホルダ
21内に試料20を収め、密封してから当該試料ホルダ21を
真空容器11の内部チェンバ12内の所定個所に設置せねば
ならない。換言すると、予め真空容器11の内部チェンバ
12を所定の真空度に引いて準備しておいてから、試料20
を入れた試料ホルダ21を挿入するということができな
い。真空引きは試料20を収めた試料ホルダ21の装填後で
なければならない。一方、真空容器11の中に試料ホルダ
21を収める,という概念に従っている限り、真空容器11
の内部チェンバ12の容積は小さくはできない。実際、こ
れまで用いられていた真空容器の内部チェンバ12は、直
径及び高さがそれぞれ50cm程の中空円筒形で、その容積
は 100リットル程もある。さらに、試料ホルダ21に開け
られているX線透過用の透孔23を塞ぐX線透過部材24
は、高いX線透過率とその両面側の大きな圧力差に絶え
得る機械的な強度が求められるが、後者の要求を満たす
ために、窒化シリコン薄膜等のX線透過薄膜をシリコン
基板等の適当な基板上に形成することで機械的強度を稼
いだにしても、前者の要求を満たすためには、中心部分
における少なくとも数百μm 角程度等、微小面積領域で
良いとは言え、X線を透過させるべき所定の面積部分は
基板をエッチング等により除去して薄膜のみを残すか、
少なくとも十分に薄くし、例えば 100nm程度にもせざる
を得ない。
【0008】そのため、試料ホルダ21を真空容器11の内
部チェンバ12内に収めた後、急いで真空引きすると、こ
のX線透過部材24(特にその薄膜部分)を破損すること
がある。実際にもこの理由から、真空引きは極めて緩や
かに行なう必要がある。ところが、上記したように、既
存の装置の内部チェンバ12は容積 100リットル以上もあ
るので、0.1Torr から数Torr程度と、余り高い真空度は
必要ない場合でさえ、内部チェンバ12を所望の真空度に
まで真空引きするには20分程も要していた。これは明ら
かに望ましくない。観測したい試料20には時々刻々その
形態を変化させるものや、直ちに活動性を失う試料もあ
り、そのような試料の観測には、試料の準備からX線照
射までの時間が短くて済むに越したことはない。
【0009】また、試料ホルダ21を真空容器内部チェン
バ12内に収めた後、外部から高倍率の光学顕微鏡により
試料ホルダ内の試料20を観察し、ある活動、ある形態を
取る瞬間の試料20のX線転写パタンを得たいとか、ある
いはX線透過部材24の破損の有無や位置等を観察、確認
したい等の要求があっても、従来の構造原理に従うX線
露光装置では、X線発生用ターゲット17の存在が邪魔に
なる等の理由により、不可能だった。しかし、このよう
な外部からの観察の要求は根強く、製品として市場に供
給する以上、これを満足することもまた、達成するに望
ましい課題の一つとなっている。
【0010】さらに、従来のX線露光装置では、やはり
構造的な制約から、試料ホルダ21内に収められた試料20
とプラズマ18との距離は、近くするにしても 1cm程度が
限界で、そのため、プラズマ発生に要するレーザエネル
ギは 10J以上も要していた。このような大きなエネルギ
は市販の小型レーザでは到底得られず、実際、その収納
に一つの建築物程度の大空間を要するNd-YAGレーザシス
テムとかエキシマレーザシステム等、取扱いも容易では
なく、汎用性にも乏しい、極めて高価な大出力レーザシ
ステムに頼られなばらなかった。
【0011】本発明は、このような従来のX線露光装置
における種々の問題点を解決ないし緩和し、構造原理的
に装置を小型化でき、内部チェンバのできるだけ急速な
真空引きをも可能にし、用いるレーザも小型で済む外、
外部からの試料観察やX線透過部材の観察も可能なX線
露光装置を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達
成するため、まず、排気管を介して内部チェンバを排気
できる真空容器の開口部に脱着可能に取り付くことで当
該内部チェンバを密封できる蓋板部材を設け、この蓋板
部材に当該蓋板部材を貫通する透孔により形成されるX
線照射窓を設ける。このX線照射窓形成用の透孔にはこ
れを塞いで真空容器の内部チェンバの密封性を保つがX
線は透過できるX線透過部材を設ける。そして、内部チ
ェンバ内においてX線照射窓を構成する透孔内または当
該透孔の近傍に位置するようにX線発生用ターゲットを
設け、外部で発生させたレーザ光を真空容器の内部チェ
ンバ内に導入してこのX線発生用ターゲットを照射し得
るように、真空容器の一部には内部チェンバの密封性を
破ることのないレーザ光入射窓部材を設ける。その上
で、X線露光を受けるべき試料の試料保持部は蓋板部材
の真空容器外部側でX線照射窓に臨む位置に設ける。
【0013】さらに、上記の基本構成要件群に付加する
と望ましい構成として、本発明の特定の下位態様では、
X線発生用ターゲットまたはX線透過部材、あるいは試
料を真空容器外部から視認観察するために、真空容器に
は内部チェンバの密封性を保ちながら観察用透明窓部材
を設ける。
【0014】してみるに、従来は試料ホルダの一部であ
ってX線透過用の透孔の設けられていた壁部に相当する
部材が、本発明では真空容器の壁構造そのものの一部を
なす蓋板部材となっているので、真空容器の中に試料ホ
ルダを収めるという概念ではなく、真空容器の蓋板部材
に開けられた透孔により形成されるX線照射窓に臨ませ
て真空容器の外部に試料を配置するという構成原理とな
るため、真空容器自体の内部チェンバの容積は極めて小
さくできる。そのため、真空引きに要する時間は大幅に
短縮できる。しかも、要すれば試料の準備よりも前に、
予め内部チェンバ内を真空引きしておくこともできる。
さらに、内部チェンバの容積を小さくするに合わせて蓋
板部材に対向する対向壁部の位置も蓋板部材に対し極め
て近付けることができるので、真空引きの際に従来は発
生し易かった乱流も良く抑えることができ、層流化し得
る。そのため、X線発生用ターゲットの破損の恐れが低
減し、従来よりも急速に真空引きしても大丈夫である。
【0015】しかし、例えば蓋板部材とその対向壁部と
の距離を余り狭めることができす、内部チェンバの真空
引きの際に乱流が発生し易いような状態にあり、かつ、
これを抑えることが必要な場合には、本発明のまた別な
下位態様の一つとして、当該蓋板部材とこれに対向する
対向壁部との間にあってX線発生用ターゲットを外部か
らのレーザ光により照射するのに妨げとならない位置
に、少なくともX線透過部材側に向いた面が内部チェン
バの真空引きの際のX線透過部材近傍の気流を層流化し
得るに十分な平滑な面となっている層流化用平板部材を
設ければ良い。ただし、上記した外部からの視認観察用
の観察用透明窓部材を蓋板部材に対向する対向壁部に設
ける時には、この層流化用平板部材はそうした外部から
の視認観察を妨げない透明性を有するか、当該視認観察
用の光路を通す透孔を有することが必要である。
【0016】逆に、蓋板部材とこれに対向する対向壁部
との距離を十分近接させ得るときには、既述のようにそ
れだけで乱流の発生は抑止し得ることも多いが、対向壁
部の内面が“荒れた”状態にあると抑止し切れない場合
もある。そのような場合にはもちろん、当該対向壁部の
内部チェンバ側を向いた面をX線透過部材と平行で、当
該内部チェンバの真空引きの際の該X線透過部材近傍の
気流を層流化し得るに十分な平滑な面とすれば良い。換
言すると、本発明のこの態様における対向壁部は、上記
した層流化用平板部材を兼ねているとも言える。そして
この場合には、当該対向壁部に上記した視認観察用の観
察用透明窓部材を設けても何等の差し仕えもない。な
お、層流化するために必要な“平滑性”という程度自体
は定量的なものではなく、実際に乱流の発生を抑圧でき
る程度であって良く、多少の凸凹があってもそれで良い
こともある。また、X線透過部材に対し“平行”という
という概念についても、完全なる平行関係である必要は
必ずしもなく、若干の曲率や歪み等は許容できることも
多い。
【0017】さらに、X線発生用ターゲットは、X線照
射窓形成用の透孔の内壁面に固定しても良いし、X線照
射窓内においてX線透過部材の上に固定しても良い外、
真空容器の内部チェンバの内面の一部に固定された専用
支持部材に固定しても良い。いずれの場合にも結局、従
来の装置構造に比し、X線発生用ターゲットは試料に対
して極めて近接して位置し得るので、これを照射してプ
ラズマを生成するレーザ光の出力も極めて小さくて済
む。この点は、以下に述べる本発明の実施例を通じて実
証される。
【0018】
【実施例】図1には、本発明に従って構成されたX線露
光装置の一実施例の概略的な断面端面図が示されてお
り、本露光装置は、既述した密着型X線顕微法を実践す
るX線顕微鏡の光源装置として用いられる。真空容器31
は全体として概ね中空円筒形をなし、その両端面の一方
が開口部32となり、この開口部32に対し脱着可能に蓋板
部材33が取り付けられる。材質には特に積極的に限定す
べき理由はなく、構造体としての使用に耐え得る限り適
宜のものを使用できるが、本出願人の試作例では真空容
器31にも蓋板部材33にもステンレスを用いた。
【0019】蓋板部材33は、この実施例では中空円筒形
のステンレス成形品である試料ホルダ34の底壁部として
構成されており、底壁部から軸方向に沿って立ち上がる
(図面上では軸方向下向きに)周壁部35の開口端部は半
径方向外側に折れてフランジ部36となっている。フラン
ジ部36の部分において真空容器31の側壁部37の軸方向端
面部分に対し仮想線38で示すネジ止め線に従い図示しな
いネジにより試料ホルダ34を真空容器31に止め付け、そ
の際、適宜個所にOリング39等のシール手段39を用いれ
ば、蓋板部材33によって真空容器31の開口部32を塞ぎ、
真空容器31内に密封された内部チェンバ40を画成するこ
とができる。もちろん、ネジ止め線38に沿ってのネジ止
めを外せば蓋板部材33は真空容器31から任意に取り外す
ことができる。
【0020】蓋板部材33には透孔41が開けられ、この透
孔41を塞いで内部チェンバ40内を密封するように、X線
透過部材42が設けられる。透孔41はX線照射窓を形成す
るもので、図示の場合はこの透孔41の内壁面であって蓋
板部材33のこの部分での肉厚に相当する軸方向長さを持
つ面部にX線発生用ターゲット43が固定されている。本
出願人の実験例ではX線発生用ターゲット43にイットリ
ウム板を用いたが、材料は限定的ではなく、そのほかに
もタングステン、金、アルミニウム、マグネシウムを始
め、レーザ光励起で適当なる真空度の真空環境下でプラ
ズマを生成し得る材料は既に多くが知られているので、
作業者の都合により、それら既知の材料の中から任意の
ものを選択すれば良い。
【0021】底壁部を本発明要旨構成中で言う蓋板部材
33とする試料ホルダ34の内部空間部分が、これも本発明
要旨構成中で言う試料保持部44を構成するが、この中に
収める試料20(詳しい保持例等は後述する)に対し真空
容器31の内部チェンバ40の密封性を維持しながら後述の
レーザ励起プラズマにより発生させたX線45のみを透過
させるため、X線照射窓を形成する透孔41を塞ぐX線透
過部材42は、図示の場合、試料ホルダ34の試料保持部44
の側(すなわち真空容器31の外側)において当該透孔41
を塞ぐように設けられている。
【0022】X線透過部材42は、その片面側が真空容器
31の内部チェンバ40に臨み、他面側が真空容器31の外側
に臨むので、これら両面の圧力差に耐え得るだけの機械
的強度と、なるべく低損失でX線45を透過させ得るX線
透過率を併せ持つ必要があるが、これは例えば、後述す
る図1(B) の要部改変実施例の方に併示してあるよう
に、シリコン基板等の適当な物理的支持基板42a 上に窒
化シリコン薄膜等のX線透過薄膜42b を例えばCVD
(化学気相成長法)により成膜し、中心部分の適当なる
面積領域42c の部分だけ、基板42a を除去した構造等に
より実現できる。窒化シリコン薄膜に代え、窒化ボロ
ン、炭化珪素等、適当なる強度とX線透過能力の見込ま
れる他の公知材料を用いても良い。ただし、完全に基板
42a を除去しなくても、十分薄くする程度であっても良
い場合もある。ちなみに本出願人の実験例では、基板42
a としてシリコン基板42a を用い、その大きさは 1cm角
程度、これに開ける透孔41の径は 2mm程度、そして透孔
41内に位置する部分での基板除去領域42c は 250μm 角
程度であって、X線透過薄膜42b としての窒化シリコン
薄膜の厚さは 100nm程度である。また、透孔41の径が上
記のように 2mm程度と結構小さいので、この内壁面に固
定するイットリウム板によるX線発生用ターゲット43は
両面接着テープにより取り付けた。もちろん、これに限
らず、適当なる接着剤を用いて良いし、さらには取り外
し可能なホルダ構造等も、この種の機械加工技術に慣れ
た当業者であれば種々開発可能と期待される。この点は
後に述べる他の実施例においても同様である。なお、X
線照射窓を形成する透孔41の内壁面の軸方向長さ、すな
わちこの部分での蓋板部材33の肉厚は約 1mmである。
【0023】X線発生用ターゲット43に対しては、内部
チェンバ40の密封性を保ちながら真空容器外部からパル
スレーザ光46を照射せねばならない。そこで、真空容器
31の壁構造の一部には、内部チェンバ40の密封性を損な
うことのないように、用いるレーザ波長に対して透明な
レーザ光入射窓部材47が水密性をもって嵌め付けられて
いる。これにより、外部のレーザ光源(図示せず)にて
発生させられたパルスレーザ光46が収束レンズ48を介し
て適宜収束された後、当該レーザ光入射窓部材47を通過
してX線発生用ターゲット43を照射すると、内部チェン
バ40内にプラズマ49(図面の簡単化のため、プラズマ自
体は図1(B) の方にのみ示し、図1(A)中には示してい
ない)が生成し、これがX線源となってX線45が生ず
る。
【0024】発生したX線45は蓋板部材33に開けられて
いるX線照射窓(透孔41)及びX線透過部材42を介し、
試料保持部44内に保持されている試料50を照射する。図
示実施例の場合、対比を分かり易くするため、当該試料
50は既に図3に即し説明した従来例装置における試料20
と同様のものが示されており、フォトレジスト55を試料
台としても使い、その上に一滴たらされた溶液56内に泳
がされている生きた微小生物である。フォトレジスト55
に関しても、既に従来装置におけるフォトレジスト25に
即して述べた通り、シリコン基板とかガラス基板等の適
当な基板上に塗布されたX線感光用フォトレジストであ
れば良く、本出願人の実験例ではポリメチルメタアクリ
レート(PMMA)膜を用いた。ただし、これもまた限定的な
ことではなく、他のフォトレジスト材料も選択的に使用
可能であるし、いわゆるX線写真におけると同様、フォ
トレジストに代えてX線フィルムであっても良い。
【0025】試料50は、これも従来装置におけると同
様、フォトレジスト55をX線透過部材42に対しバネ57に
よって押し付けるようにして保持されている。バネ57の
他端は試料ホルダ43の内部空間である試料保持部44を塞
ぐ蓋52に支持され、この蓋52を仮想線で示すネジ止め線
51に沿ってネジ止めするとバネ57が上記のバネ力を発揮
する。ただし、従来装置との大きな相違の一つは、本発
明では蓋板部材33が真空容器31の一部をなし、内部チェ
ンバ40を密封しているので、試料保持部44の方は真空容
器31の中ではなくて外側に位置する結果、従来装置にお
ける試料ホルダ21に認められるように、その中を特に大
気圧環境に密閉しなくても、試料50は自然に大気圧環境
に置けるということである。装置構造的な特徴として言
えば、従来装置では試料ホルダ21の蓋22を水密性を保っ
てホルダ本体に取り付けねばならなかったが、本発明の
装置ではそのような必要はなく、蓋52による試料保持部
44の密封度については何等神経を使う必要がない。ただ
し、必要に応じ、試料50の如何によっては大気圧以外の
特定の圧力環境下に置かねばならない場合も考えられ
る。そうした場合にも、本発明の構造は極めて有利で、
蓋板部材33により真空容器内部チェンバ40と真空容器外
部との分離が図られているため、当該真空容器外部に位
置する試料を内部チェンバ40内の圧力の影響を考慮する
ことなく、必要な任意の圧力環境下に置くことができ
る。
【0026】いずれにしても上記のようにして試料50を
所定位置に配すると、バネ57の付勢力により試料50とフ
ォトレジスト55の密着度は数μm 以下にまで高められ、
その状態で真空容器31の内部チェンバ40を排気管53を介
し例えば0.1Torr から数Torr程度にまで真空引きし、X
線発生用ターゲット43にパルスレーザ光46を照射してX
線45を発生させ、蓋板部材33の透孔41、X線透過部材42
を介し試料50をフラッシュ照射すると、当該試料50のX
線透過パタンがフォトレジスト55に高精度に転写され
る。そこで、これを現像すれば、生きた試料50のある瞬
時における高精度な構造パタンを得ることができる。な
お、試料50に対する単位露光時間はパルスレーザ光46の
パルス幅となる。
【0027】しかるに、このような本発明の構造原理に
従う装置では、試料50に対しX線を照射するためのX線
照射窓(透孔41)の開けられている蓋板部材33が真空容
器31の開口部32に水密性をもって嵌まり付くことで真空
容器31内の内部チェンバ40の実質的な容積領域を確定す
るが、当該内部チェンバ40内に試料50は位置しておら
ず、蓋板部材33の外側に位置する上に、X線発生用ター
ゲット43も少なくともその一部がX線照射窓形成用透孔
41内に位置し、試料50に極めて近い位置に設けられてい
るので、内部チェンバ40の容積は構造原理的に極めて小
型にすることができる。換言すれば、従来装置のよう
に、真空容器11の中に試料ホルダ21を収めねばならない
場合、内部チェンバ12の容積の縮小化には限界があった
のに対し、本願発明ではそのような理由による制限を撤
廃することができる。せいぜい排気管53を設ける余地を
設けたり、図示のように斜めの方向からパルスレーザ光
46を照射する関係上、そのための入射窓部材47を設ける
スペースを確保する必要からの制約が生まれるに過ぎな
い。もちろん、これら排気管53の径とかその配置位置等
は任意に工夫できるし、レーザ光入射窓部材37の大きさ
等も十分小さくできる。なお、本出願人の試作例では、
図1(A) 中のパルスレーザ光46の光路に沿って斜めに真
っ直ぐな排気管53を設け、当該排気管の外端部にレーザ
光入射窓部材47を設けてここにレーザ光源からのパルス
レーザ光46を入射させ、排気管内を通してX線発生用タ
ーゲット43を照射するようにし、一方で真空容器31の外
に出た部分で排気管53の途中に分岐管を設け、これを図
示しない排気装置に導いている。
【0028】実際、このような本出願人の実験装置で
は、蓋板部材33を取り付けた状態下での中空円盤形内部
チェンバ40の内寸法は直径 2cm程度、高さは 3mm程度に
まで縮小化するに成功しており、容積にするとたかだか
1ml程度である。これは、既述した従来装置における 1
00リットルを越える大きさに比し、その十万分の一程の
小ささである。この結果、従来と同じ真空度に引くのに
も、例えば既述のように従来は20分程も掛かっていた真
空引き時間も、本発明装置では何と 1秒以内の殆ど瞬時
に引けるようになった。
【0029】従って、生きた微小生物試料50を試料保持
部44内の所定位置に予め準備してから内部チェンバ40の
真空引きを行ない、パルスレーザ光46をX線発生用ター
ゲット43に照射してレーザ励起プラズマを生成させ、そ
れにより発生するX線45で試料照射を行なっても、試料
50が生きた状態を保っているには十分間に合うことが多
くなった。しかも、要すれば内部チェンバ40を先に真空
引きしてから試料44を準備することも可能である。蓋板
部材33さえ真空容器31の開口部32に予め組み付けておけ
ば、それで内部チェンバ40の容積が確定し、真空引きで
きる状態になるからである。試料50はその後、大気圧環
境であって良い蓋板部材33の外側に位置する試料保持部
44内に挿入すれば良い。図3に示したように、試料ホル
ダ内に収めた試料を試料ホルダごと、真空容器の内部チ
ェンバ内に収めねばならない従来装置では、このような
ことは全く不可能である。
【0030】さらに、本発明者の実験によると、内部チ
ェンバ40の真空引きの際、上記のように 1秒程度と急速
に引いてもX線透過部材42には破損が認められなかっ
た。そこでその理由を検証した所、もちろん、最大の理
由は内部チェンバ40自体が極めて小容積であるというこ
とがある。しかし、それだけではないようで、極めて小
型に形成された内部チェンバ40では、真空容器31を構成
する壁構造にあって蓋板部材33に対向する対向壁部54は
当該蓋板部材33に対し十分近接しながら平行に位置し、
かつその内面が、後述のように設けることが望ましい観
察用透明窓部材58の付される透孔59等による若干の凸凹
があるにしても、全体としては十分平滑であることも寄
与しているとの結論が得られた。むしろ観察用透明窓部
材58を対向壁部54の一部と考えると、この内面が概ね平
滑であるがためと言い換えることもできる。これに対
し、例えば蓋板部材33と対向壁部54との距離を広めに取
ると、場合により真空引き時に乱流が生じ得る。そこで
このような場合、X線透過部材42に近接させて平行に平
滑な対向面を有する平板部材を挿入すると乱流が抑えら
れ、気流は層流化した。
【0031】従って、こうした知見からして、上述の寸
法例のように、蓋板部材33に対し対向壁部54を蓋板部材
33に対し十分近接させ、かつ平行に位置させることがで
きれば、当該対向壁部の内面をある程度平滑にするだけ
で(もっとも、普通に作製すれば満足な平滑度が得ら
れ、特に厳密な研磨処理等は必要ないことが多い)乱流
の発生は抑止される。一方、個々の装置の作製上、こう
した条件を何等かの理由により満たし得ない場合には、
パルスレーザ光46によるX線発生用ターゲット43の照射
を邪魔しない位置に、X線発生用ターゲット42に平行か
つ近接し、そのX線発生用ターゲットに向いた面が乱流
を抑えて気流を層流化するに十分な程度の平滑性を有す
る層流化用平板部材を挿入すると良い。ただし、既述の
通り、平滑の程度は定量的なものではなく、ある程度凸
凹していても層流化するには十分なこともあり、また、
平板部材が完全な直線平面ではなく、若干の曲率を有し
ていたり、意図しない歪み等があっても効果が得られる
ことが多く、換言すれば何も設けない場合よりずっと良
い結果が得られる。従ってこれについては個々の装置ご
とに実験により確認すれば良い。なお、排気管の向き等
は、少なくともX線発生用ターゲット42の近傍において
真空引きの際の気流の層流化が図られている場合、殆ど
影響せず、任意方向に設けることができる。
【0032】繰返すが本発明の構造原理によると、上記
寸法例に認められる通り、蓋板部材33と対向壁部54との
距離は数mm程度以下にまで縮めることができる。そのた
め、また別の望ましい付加構造として、蓋板部材に開け
られているX線照射窓形成用の透孔41に対向する位置に
おいて対向壁部54に透孔59を開け、内部チェンバ40の密
封性を損なわないように当該透孔59を塞ぐ観察用透明窓
部材58を設ければ、例えば真空容器31の外部から光学顕
微鏡の対物レンズ部60を近付けることで、X線発生用タ
ーゲット43やX線透過部材42、あるいは試料50を真空容
器31の外部から視認観察することができる。その結果、
ある活動、ある形態を取る瞬間の試料20のX線転写パタ
ンを得たいとか、あるいはX線透過部材24の位置や破損
の有無、X線発生用ターゲット43の状態等を観察したい
等の要求に完全に応えることができる。
【0033】例えば試料50を光学顕微鏡で観察しながら
ある瞬間の姿勢になった時にレーザ光源を起動し、その
瞬間のX線露光を図るとか、内部チェンバ40を真空引き
するときのX線透過部材42の状態変化を光学顕微鏡で観
察し、破損の有無を確認したり、例えばまた、真空引き
に伴う内部チェンバ40側への膨らみの程度等をも観測で
きる。このような視認情報が得られれば、より一層丈夫
で、より一層X線透過率の高いX線透過部材42を開発す
るのにも役立つ。X線発生用ターゲット43の位置につい
ても、それが正しく位置付けられているか等につき、同
じく光学顕微鏡による観察によって知ることができる。
なお、既述したように、対向壁部54とは別途に層流化用
平板部材を設ける時には、これを透明部材で構成する
か、少なくとも観察光路の通る部分に透孔を設ける等
し、こうした視認観察を妨げないようにする。
【0034】もっとも、図示実施例のように、観察用透
明窓部材58の位置を蓋板部材33と平行にすることが望ま
しいが、そうではなく、図示しない内部チェンバ40内に
設けた反射鏡等で観察光路を転換し、真空容器31の別な
壁構造部分、例えば側壁部分に水密性をもって観察用透
明窓部材58を設けることも可能である。当然、この場合
には、層流化用平板部材を別途に設ける必要があるとき
にも、これが外部からの視認観察の邪魔にならない位置
にあれば、何も透明である必要はない。
【0035】上記の効果に加え、本発明のX線露光装置
では、やはりその構造原理上、X線発生用ターゲット43
を照射するに必要なパルスレーザ光46のパワーも大幅に
低減できる。X線発生用ターゲット43はX線照射窓を形
成する透孔41内に少なくともその一部が位置しており、
試料50に対し極めて近接して配置されている。真空容器
自体が極めて小型になるので、実際には内部チェンバ40
のどこに設けても、従来装置に比せば遥かに試料50に近
い位置に設け得るが、上記のように特に、少なくともそ
の一部が透孔41内に位置するように図ると、要すれば 1
mm程度以下の離間距離とすることができる。本出願人の
実験装置でも現にそうなっていて、この結果、出力0.5J
の市販の小型な Qスイッチ YAGレーザでも十分な露光パ
タンが得られている。図3に示した従来装置では、既述
したように極めて大型で10J もの大エネルギによるパル
スレーザ光照射をなしたにもかかわらず、MIBK:IPA=1:1
の現像液中でのPMMAフォトレジスト25の現像(厳密には
現像液に浸してから光学顕微鏡でフォトレジストに凸凹
パターンが視認されるまで)には数十秒を要していた
が、他の条件は同一でも本発明装置によると、その二十
分の一の僅か0.5Jのパルスレーザ光出力でありながら10
秒程度の短い時間で現像された。このように、市販の小
型なレーザ装置を用い得ることの効果は極めて大きく、
装置の大幅なる小型化、低廉化、汎用化を図ることがで
きる。
【0036】X線発生用ターゲット43は、上記のよう
に、本発明の装置構造原理によると基本的に内部チェン
バ40が極めて小容積にできるので、内部チェンバ40内の
どこかであれば試料50の近傍位置となり得るが、やはり
X線照射窓形成用の透孔41内に設けるのが望ましい。た
だし、図1(A) に示されているようにX線照射窓を形成
する透孔41の内壁面に固定せねばならないことはなく、
例えば図1(B) に示すようにX線透過部材42の表面上に
固定しても良いし、図示していないが透孔41の近傍であ
れば任意適当なる位置、例えば透孔41の近傍の蓋板部材
33の表面等に固定しても良い。
【0037】図2は、本発明に従って構成された、図1
に示した装置の改変構造例の一つを示している。図1中
におけると同一の符号は同一ないし同様で良い構成要素
を示しており、それらに関する説明は既述した所を援用
できる。図1に示されている装置との主たる相違点は下
記の通りである。
【0038】まず、蓋板部材33を底壁部とする試料ホル
ダ34は、その内部空間である試料保持部44が試料50を収
めた状態で予め蓋52により閉ざされ、その後、別体の上
蓋部材61に例えばネジ止め線62に沿ってネジ止め固定さ
れてから、上蓋部材61がネジ止め線38に沿って真空容器
31の例えば側壁部37の端面部にネジ止め固定されること
で真空容器31に取り付けられ、その際にOリング39等の
シール手段39を用いることで蓋板部材33が真空容器31内
の内部チェンバ40を密封的に閉ざす。ただし、シール手
段39の配置位置は、図示のように試料ホルダ31の周壁部
35の外面と真空容器31の側壁部37の内面との間にする
と、試料ホルダ31内の試料保持部44に対するシール機構
自体は特には不要となって望ましい。このような構造に
従うと、先の実施例装置とは異なり、予め内部チェンバ
40を真空に引いてから試料50を準備するということはで
きない。しかし、蓋板部材33によって内部チェンバ40を
確定し、蓋板部材33の外側に試料50を保持するという本
発明の装置構造原理は同じであるから内部チェンバ40自
体は既述のように極めて小型にできるし、要すれば層流
化用平板部材を採用したり、あるいは蓋板部材33に対向
する対向壁部54ないしはその一部をなすように組み付い
ている観察用透明窓部材58にその機能を兼ねさせること
ができるので、真空引きは極めて急速に行なうことがで
きる。従って従来装置におけるように、先に真空引きで
きないということが露光対象試料の種類に制約を及ぼす
等、致命的な欠点となることはない。
【0039】次に、この図2の実施例装置では、X線発
生用ターゲット43が蓋板部材33の方に固定されているの
ではなくて、真空容器31の例えば側壁部37の内面に一端
が固定され、内部チェンバ40内にて当該固定端から他端
自由端に向けて片持ち梁状に伸び出した専用の支持部材
63に固定(図示の場合はその自由端に固定)されながら
その一部がX線照射窓形成用の透孔41内に入るように保
持されている。これに見られる通り、任意形状の適当な
る専用支持部材によりX線発生用ターゲット43を保持し
て良いことももちろんである。
【0040】以上以外の相違点に関しては、図2に示さ
れる装置の場合にも図1に示した装置における種々の配
慮を同様に適用することができるし、その外にも、本発
明の趣旨に従う改変は当業者であれば様々考えることが
できる。もちろん、真空容器31ないし内部チェンバ40の
形状等は上記実施例におけるような円筒形に限らず、例
えば横断面において矩形形状等であっても良い。また、
図示実施例では、いわゆるX線顕微鏡用のX線露光装置
として本発明を展開したが、本発明の応用使途はこれに
限らず、例えば半導体基板上に形成されたフォトレジス
ト層に対しマスク層に描かれた微細な回路パタンを転写
するパタン転写装置のX線露光装置として等、種々の装
置に組み込むことができる。当然、試料50の保持に関し
ても、その試料に適当なる保持機構で良く、図示実施例
のものに限らない。
【0041】
【発明の効果】本発明によると、蓋板部材を閉じること
で真空容器の内部チェンバが画成される一方、この蓋板
部材に設けたX線照射窓を介し蓋板部材の外側に試料を
配置することができるので、内部チェンバ自体を原理的
に極めて小容積にすることができる。そのため、本発明
に独自かつ顕著なる効果として、下記のような種々重要
なる効果を得ることができる。 (a) 真空引きに要する時間は極めて短くすることがで
き、X線顕微鏡に応用した場合、寿命の短い微小生物試
料等も撮像することができる。 (b) 蓋板部材の外側の圧力環境は内部チェンバ内の圧力
環境とは無関係に独立に設定でき、従って当該蓋板部材
の外側に配される試料が例えば大気圧環境を要求するよ
うな試料であっても、特殊な工夫も要らず、その要求を
適えることができる。 (c) 蓋板部材に対向する対向壁部を当該蓋板部材に近付
けて配置でき、急速に真空引きしても乱流の発生を抑止
し、蓋板部材のX線照射窓に設けられているX線透過部
材を破損する恐れが低い(本発明の特定の態様に従い層
流化用の平板部材を設けてもこの効果は得られる)。 (d) X線発生用ターゲットを試料の近傍位置に配するこ
とができ、これを照射するレーザ光源の出力を大幅に低
下させ得るため、市販の小型、廉価なレーザ装置で十分
となる(本発明の特定の態様に従いX線発生用ターゲッ
トをX線照射窓の中に位置するように設けるとこの効果
はさらに高まる)。 (e) 本発明における望ましい下位態様に従い、真空容器
の壁構造の一部に外部から光学顕微鏡等による視認観察
のための観察用透明窓部材を設ける場合にも、これを蓋
板部材のX線照射窓に十分近付けて設けることが可能な
ので、X線発生用ターゲットやX線透過部材、試料の外
部からの視認観察が可能となる(本発明のさらなる特定
の態様に従い観察用透明窓部材を蓋板部材の対向壁部に
設けると視認観察用の光路が最も短くなってさらに好ま
しい)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明X線露光装置の第一の実施例及びその改
変構造に関する概略的な断面端面図である。
【図2】本発明X線露光装置の第二の実施例の概略的な
断面端面図である。
【図3】従来のX線露光装置の概略的な断面端面図であ
る。
【符号の説明】
31 真空容器, 32 真空容器の開口部, 33 蓋板部材, 34 試料ホルダ, 35 試料ホルダの周壁部, 36 試料ホルダのフランジ部, 37 真空容器の側壁部, 39 シール手段, 40 内部チェンバ, 41 X線照射窓形成用の透孔, 42 X線透過部材, 43 X線発生用ターゲット, 44 試料保持部, 45 X線, 46 パルスレーザ光, 47 レーザ光入射窓, 49 レーザ励起プラズマ, 50 試料, 54 蓋板部材に対向する対向壁部, 55 フォトレジスト, 58 観察用透明窓部材, 60 光学顕微鏡の対物レンズ部, 61 上蓋部材, 63 X線発生用ターゲットの支持部材.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05G 1/00 K

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気管を介して内部チェンバを排気でき
    る真空容器の開口部に脱着可能に取り付けられ、該内部
    チェンバを密封する蓋板部材と;該蓋板部材を貫通する
    透孔により形成されるX線照射窓と;該透孔を塞いで上
    記内部チェンバの密封性を保つがX線は透過するX線透
    過部材と;上記内部チェンバ内において上記X線照射窓
    を形成する上記透孔内、または該X線照射窓を形成する
    該透孔の近傍に位置するように設けられたX線発生用タ
    ーゲットと;上記真空容器の外部で発生させたレーザ光
    を該真空容器の上記内部チェンバ内に導入して上記X線
    発生用ターゲットを照射し得るように、該真空容器の一
    部に上記内部チェンバの密封性を破ることなく設けられ
    たレーザ光入射窓部材と;上記蓋板部材の上記真空容器
    外部側で上記X線照射窓に臨む位置に設けられ、上記X
    線の露光を受けるべき試料を保持する試料保持部と;を
    有して成るX線露光装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置であって;上記X線
    発生用ターゲットまたは上記X線透過部材、あるいは上
    記試料を上記真空容器の外部から視認観察するために、
    該真空容器の一部には、上記内部チェンバの密封性を保
    ちながら観察用透明窓部材が設けられていること;を特
    徴とする装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の装置であって;上記観察
    用透明窓部材は、上記真空容器を構成する壁構造の中、
    上記蓋板部材に対向する対向壁部に設けられているこ
    と;を特徴とする装置。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3記載の装置であっ
    て;上記真空容器を構成する壁構造の中、上記蓋板部材
    に対向する対向壁部の上記内部チェンバ側を向いた面
    が、上記X線透過部材と平行で、該内部チェンバの真空
    引きの際の該X線透過部材近傍の気流を層流化し得る平
    滑な面となっていること;を特徴とする装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の装置であって;上記真空
    容器を構成する壁構造の中、上記蓋板部材に対向する対
    向壁部と該蓋板部材との間にあって上記X線発生用ター
    ゲットを上記外部からのレーザ光により照射するのに妨
    げとならない位置に設けられ、少なくとも上記X線透過
    部材側に向いた面が上記内部チェンバの真空引きの際の
    該X線透過部材近傍の気流を層流化し得る平滑な面とな
    っている層流化用平板部材をさらに有すること;を特徴
    とする装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の装置であって;上記対向
    壁部には、上記X線発生用ターゲットまたは上記X線透
    過部材、あるいは上記試料を上記真空容器の外部から視
    認観察するために、上記内部チェンバの密封性を破るこ
    となく観察用透明窓部材が設けられ;上記層流化用平板
    部材は、該視認観察を妨げない透明性を有するか、また
    は該視認観察用の光路の通る部分に透孔を有すること;
    を特徴とする装置。
  7. 【請求項7】 請求項1,2,3,4,5または6記載
    の装置であって;上記X線発生用ターゲットは、上記X
    線照射窓形成用の上記透孔の内壁面に固定されているこ
    と;を特徴とする装置。
  8. 【請求項8】 請求項1,2,3,4,5または6記載
    の装置であって;上記X線発生用ターゲットは、上記X
    線照射窓内において上記X線透過部材の上に固定されて
    いること;を特徴とする装置。
  9. 【請求項9】 請求項1,2,3,4,5または6記載
    の装置であって;上記X線発生用ターゲットは、上記真
    空容器の上記内部チェンバの内面の一部に固定された専
    用の支持部材に固定されていること;を特徴とする装
    置。
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