JP3668776B2 - X線顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
X線顕微鏡、特に、レーザ生成プラズマを用いてX線の照射を行う分野であり、試料周辺の溶媒のX線吸収によりX線像が影響を受けるような技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線発生用ターゲットにパルスレーザを照射することでプラズマを生成し、これにより生ずるX線で試料を露光するX線露光装置は、例えば半導体集積回路作製時において回路基板上のフォトレジストに微細回路パタンを転写するときや、電子顕微鏡では不可能な、生きた微小生物試料の瞬時の状態をX線フラッシュ撮像するとき等、多方面での応用が図られている。
【0003】
図1に、従来のX線フラッシュ撮像をなす装置、いわゆるX線顕微鏡に応用された場合におけるX線露光装置の代表的な構造例を示す。この構造は、本願発明者等が特開平8-338900号公報において開示しているX線露光装置である。
【0004】
該装置は、内部に所定容積の中空室、すなわち内部チェンバー12を画成する真空容器11を有する。真空容器11の内部チェンバー12は、排気管13を介し、図示しない排気装置により所望の真空度になるよう、真空引きをすることができる。真空容器11の壁構造の一部には、内部チェンバー12の真空を破ることのないようにレーザ光入射用ガラス窓15が設けられ、外部に備えられたレーザ光源(図示せず)からのパルスレーザ光14は、収束レンズを介する等して適宜収束されながら、このレーザ光入射用ガラス窓15を介して内部チェンバー12内に入射し、内部チェンバー12内に所定の姿勢で固定設置されているX線発生用ターゲット(標的)17を照射してプラズマを発生させる。
【0005】
このようなレーザ励起プラズマからはX線が発生し、パルスレーザ光14のパルス時間幅に応じた時間を単位照射時間として試料20を照射するが、例えば、当該試料20が微小生物試料20であるような場合、それを生きたまま観測するには、そのまま真空容器11の内部チェンバー12内に収めることはできない。微少生物試料20の周囲環境は一般に真空であってはならず、多くの場合、大気圧環境でなければならない。
【0006】
このため、真空容器11の一部を構成する内蓋30に、X線は、透過するが、真空を保持するX線透過窓16を形成する。この窓16は、シリコン基板に窒化シリコン膜を形成し、該膜とは反対面から所定の寸法でシリコン基板をエッチングにより削除する作成することにより、窒化シリコン膜で構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、密着型X線顕微鏡は、レーザパルス光を集光しプラズマを発生させるための真空チェンバーと、シリコン基板等の表面に形成されたPMMAなどのX線感光材の薄膜上に載せられた生物試料を入れた試料ホルダー、および上記真空チェンバーと試料設置個所とを隔て、圧力隔壁として働くとともに、X線透過能をもつ窒化シリコン薄膜などで構成されたX線透過窓から構成されている。
【0008】
しかしながら、図2に示すように、従来の技術においては、真空チェンバーと大気圧に保たれた試料ホルダーとの圧力差のためにX線窓がたわみ、X線窓の中央部分と周辺部分とを比較すると中央部分では微生物試料を収容する水の層の厚みが周辺部分よりも厚くなる。使用している軟X線は、酸素にも吸収されるので、水の層が厚いとX線照射を行って得られるX線像は、水分子を構成する酸素による吸収がバイアスとして背景に現れたものとなり、水の層の薄い周辺部分で得られたX線像と比較するとコントラストの低下したものとなるので、X線窓の内部全体で均一なX線像が得られない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
X線顕微鏡窓の内部でX線像が不均一になる原因となっている水層の厚みの不均衡を是正するために、プラズマ生成用真空チェンバー内部の圧力を上昇させ、X線窓にかかる圧力差を小さくして、X線窓のたわみを解消することにより、X線窓の下部の水の層の厚みを均一にする。このための方策として、真空チェンバー内部にヘリウムガスなど軟X線に対する吸収が少ない気体を導入し、圧力差を解消する。導入する気体は、X線窓にたわみが現れない程度の気圧差で試料のX像を得るために必要なX線量を確保できるものであれば種類を問わない。
【0010】
【実施例1】
(先に内蓋内に試料を収め外蓋をしたのち、真空容器に入れる方式)
装置の内蓋30に気密性を保持できるようにX線透過窓16を取り付けたのち、標的17(0.5mm厚のイットリウム板)を取り付けた。卓上に置いた試料台上部にX線感光膜21を載せ、次いで試料20(液体培地に懸濁した大腸菌)を適量とりX線感光膜上に乗せた。試料台とX線感光膜21及び試料20を、上述のX線透過窓16と標的17を取り付けた内蓋30の内部に納め、外蓋31を被せ、内蓋30と外蓋を図には表示されていないネジを用いてとめ一体化する。試料台固定ネジを用いてX線透過窓16と試料20及びX線感光膜21を密着させる。この状態を保持したまま、試料20を収め外蓋31と一体化された内蓋30を、真空容器11に装着したのち、図には表示されていない油回転型真空ポンプで真空容器内を排気した。
【0011】
このとき真空容器11の上部に設けた光学顕微鏡用試料観察窓を通して内蓋30に取り付けられたX線透過窓16の形状を観察すると真空容器11内外の圧力差により、X線透過窓16は真空容器の内部に向かって凸に撓んでいた。
【0012】
この状態において真空容器11の内部にヘリウムガスを導入し、真空容器11内の圧力をほぼ大気圧と等しくした。このときX線透過窓16の形状を観察すると撓みはなく平坦に保持されていた。
【0013】
その後、図には表示されていないヤグレーザから放射されたパルスレーザ光(第二高調波)14をレーザ光入射用ガラス窓15より導入し、厚さ0.1mmのイットリウム板でできた標的17に照射した。このレーザ照射により、プラズマが発生し、該プラズマの発生に伴って軟X線が発生した。この軟X線を、X線透過窓16を通して微生物試料(培養液中の大腸菌)20に照射した。
【0014】
試料を透過した透過X線をX線感光膜であるPMMA膜21により感光した。その結果、従来においては、露光されたX線窓の中心部と周辺部においてX線像を比較すると、周辺部ではレリーフ状に形成されるX線像の高さが高く、中央部ではX線像の高さが低くなり、X線像に濃淡差がみられたが、本願発明の装置によるX線像においては、こうした濃淡差が見られずX線像の高さはほぼ均一であった。
【0015】
【実施例2】
(先に真空容器に内蓋を取り付けておき、後から試料を挿入する方式で、試料をセットして直ちにX線露光ができるのが特徴である方式)
装置の内蓋30に気密性を保持できるようにX線透過窓16を取り付けた後、標的17(0.1mm厚のイットリウム板)を取り付け、内蓋30を真空容器11に装着しネジを用いて内蓋を真空容器に固定した。図には表示されていない油回転型真空ポンプで真空容器内を排気した。このとき真空容器11の上部に設けた光学顕微鏡用試料観察窓18を通して内蓋30に取り付けられたX線透過窓16の形状を観察すると真空容器11内外の圧力差により、X線透過窓16は真空容器の内部に向かって凸にたわんでいた。
【0016】
この状態で真空容器11の内部にヘリウムガスを導入し、真空容器11内の圧力をほぼ大気圧と等しくした。このときX線透過窓16の形状を観察するとたわみはなく平坦に保持されていた。
【0017】
X線感光膜(PMMA膜)21上に載せた試料20(PMMA膜上で培養した神経細胞)を試料台に載せ、ヘリウムの導入によりX線透過窓16が平坦に保持された状態の内蓋30の内部に入れた。外部から力を加えて試料台を保持することによりX線透過窓16と試料20とを密着させた。この状態で、図には示されていないYAGレーザから出されたレーザパルス光14(YAGレーザ第二高調波)をレーザ光入射用ガラス窓15から真空容器11内部に導入した。レーザパルス光14は、図には表示されていない光学レンズを用いてイットリウム板(厚み0.5mm)で作られたプラズマ発生用標的17上に集光され、プラズマがつくられた。このプラズマから発生したX線は、X線透過窓16を透過したのち試料20を露光し、X線透過窓16内部に存在した各元素の当該X線吸収率と存在密度を反映したX像がX線感光膜21上に記録される。
【0018】
X線露光を行ったPMMA膜から試料残滓を取り除いた後、有機溶媒で現像処理を行い、PMMA膜上にレリーフ状に形成されたX線像を得た。原子間力顕微鏡を用いてこのX線像を観察し、試料のX線像の拡大像を得た。
【0019】
この方法で得られたX線像を検討した結果、従来においては、X線を露光されたX線窓の中心部と周辺部において比較すると、周辺部ではレリーフ状に形成されるX線像の高さが高く、中央部ではX線像の高さが低くなり、X線像に濃淡差がみられたが、本願発明の装置によるX線像においては、こうした濃淡差が見られずX線像の高さはほぼ均一であった。
【0020】
上記実施例1及び2においては、生物試料は、水中にあるものについて説明したが、空気中の試料についても全く同様に観察することが出来る。
【0021】
【発明の効果】
この発明により、密着型X線顕微鏡の使用上問題となっていたX線窓の内部でのX線像の不均一さが解消される。従来は、200ミクロン角程度のX窓であっても中央部分と周辺部分とではX線像のコントラストにむらが生じたが、この方法によればX線窓を1ミリ角に広げてもX線窓内部の画像は均一であり、X線顕微鏡の利便性が改善される。同様な効果は、密着型X線顕微鏡のみならずX線窓を用いるX線顕微鏡一般で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 密着型X線顕微鏡の概念図
【図2】 従来の密着型X線顕微鏡におけるX線透過膜の状況概念図。X線源となるプラズマを発生させる真空チェンバー内を真空ポンプで排気しているので、大気圧に保たれた試料ホルダーとの間で圧力隔壁としても機能しているX線透過膜が圧力差のために歪んでいる。
【図3】 本願発明のX線顕微鏡におけるX線透過膜の状況概念図。プラズマを発生させる真空チェンバー内にヘリウムガスなどを導入し、チャンバ内外の圧力の平衡がはかられているために、X線透過膜は、平坦になっている。
【符号の説明】
11……真空容器
12……内部チャンバ
13……排気管
14……レーザ光
15……レーザ光入射用ガラス窓
16……X線透過窓
17……プラズマ発生用標的
18……光学顕微鏡用試料観察ガラス窓
20……試料
21……X線感光膜(PMMA膜)
30……内蓋
31……外蓋
Claims (6)
- 密閉容器内にX線源を有し、該容器外のX線被照射試料に該容器の一部に薄膜で形成されたX線照射用の窓を通してX線を照射するX線顕微鏡において、該容器内にX線吸収の低いガスを充填することにより、該容器内外の圧力を平衡させ、該薄膜が平坦に形成されていることを特徴とするX線顕微鏡。
- 上記窓は、窒化シリコン薄膜により形成されていることを特徴とする請求項1記載のX線顕微鏡。
- 上記X線は、レーザ生成プラズマにより発生するX線であることを特徴とする請求項1記載のX線顕微鏡。
- 上記容器には、該容器の一部にレーザ入射用の窓を設けると共に、レーザ照射によりプラズマを発生するターゲットを備えていることを特徴とする請求項3記載のX線顕微鏡。
- 大気圧に保持された生物試料をX線感光材料上に保持し、上記窓に対抗して配置してあることを特徴とする請求項1記載のX線顕微鏡。
- 上記窓と上記試料とは、上記窓の面に垂直方向に相対移動可能であることを特徴とする請求項5記載のX線顕微鏡。
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