JP2576278B2 - X線発生装置 - Google Patents

X線発生装置

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JP2576278B2 JP2231785A JP23178590A JP2576278B2 JP 2576278 B2 JP2576278 B2 JP 2576278B2 JP 2231785 A JP2231785 A JP 2231785A JP 23178590 A JP23178590 A JP 23178590A JP 2576278 B2 JP2576278 B2 JP 2576278B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、レーザビームを所定のターゲットに照射す
ることによってプラズマ化し、X線の発生を行う装置に
関し、X線レーザ、X線リソグラフィやX線顕微鏡、あ
るいはX線光電子分光顕微鏡等に利用することができ
る。
<従来の技術> この種のX線発生装置においては、例えばターゲット
として平板状あるいは円筒状の固体金属が用いられてお
り、これらの固体金属の表面上にレーザビームを集光さ
せることによって高密度プラズマを生成し、そしてこの
自由膨張したプラズマ中から発生するX線を装置外部へ
と導く構造のものがある。
<発明が解決しようとする課題> ところで、上述の従来の固体金属ターゲットによる
と、ターゲット表面上で生成された高密度プラズマが真
空中に瞬時に自由膨張・拡散するため、X線の発生効果
率を高めることができないとう問題が残されていた。
本発明の目的は、ターゲットへのレーザビーム照射に
より発生したプラズマを閉じ込め、もってX線の発生効
率を高めることが可能なX線発生装置を提供することに
ある。
<課題を解決するための手段> 上記の目的を達成するための構成を、実施例に対応す
る第1図、第2図を参照しつつ説明すると、本発明は、
真空雰囲気中でターゲット材料にレーザビームを照射す
ることによってX線を発生する装置において、金属膜2
の片面側にX線透過膜3を設けて、この両者の一部に空
間Aを介在させ、その空間Aの位置の金属膜2をターゲ
ットとしてレーザビームBを、当該金属膜2側から照射
するように構成したことによって特徴づけられる。
<作用> まず、金属膜2の表面にレーザビームBを照射すると
プラズマが生成され、そのプラズマ中からX線が発生す
る。このときレーザビーム照射によって生成されたプラ
ズマはX線透過膜3との間の空間Aに瞬時ではあるもの
の閉じ込められ、この閉じ込められたプラズマがレーザ
ビームにより加熱される。
ここで、X線の発生効率はプラズマの温度が高いほど
高くなることから、上記したように空間Aに閉じ込めた
プラズマをレーザビームで加熱することで、そのプラズ
マ中から発生するX線の発生効率が高くなる。
<実施例> 本発明の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。
第1図は本発明の実施例の構成図で、第2図はそのタ
ーゲットカセット5の中央部分の拡大図である。
真空容器1内の所定位置に、ターゲットカセット5が
配設されている。このカセット5内部にはAl,Auあるい
はTi等の金属テープ2と、X線の透過率が高いポリイミ
ドテープ3とを重ね合わせた二重構造のテープが、その
両端部のプーリ5cに巻き掛けられている。またカセット
5の中央部には、2本のスペーサ5aおよび4本のガイド
棒5bが適宜箇所に配設されており、この2本のスペーサ
5a間において金属テープ2とポリイミドテープ3との間
に、幅1mm程度の空間Aが形成される構造となってい
る。なお、金属テープ2の厚さは10〜100μm程度、幅5
mm程度とし、またポリイミドテープ3の厚さは1μm程
度、幅5mm程度とする。
一方、真空容器1の外部にパルスレーザ光源4が設置
されており、このレーザ光源4からのレーザビームBは
真空容器1壁体に設けられたレンズ8を通過して容器内
に入射し、金属テープ2の表面に集光される。またこの
レーザビーム照射位置に後方位置には、高速シャッタ6
およびX線光学素子7が順次配設されており、さらにX
線光学素子7と対向する真空容器1の壁体にはX線窓1a
が設けられている。
また、ターゲットカセット5の中央部近傍にX線セン
サ9が配設されており、このセンサ出力は開閉駆動装置
6aに入力される。開閉駆動装置6aは、センサ9からの入
力に信号に従って、後述する高速シャッタ6の駆動制御
を行うよう構成されている。
なお、ターゲットカセット5は、パルスモータ等を備
えた駆動装置(図示せず)に着脱自在に装着されてお
り、その駆動装置によって、レーザ光源4の1パルス発
振ごとに、金属およびX線透過テープ2および3の両者
をともに2〜3mm程度づつ送るよう構成されている。
次に、本発明実施例の作用を、第2図(a)および
(b)を参照しつつ説明する。
まず、(a)に示すように、金属テープ2の表面に集
光レーザビームBを照射すると、その照射位置の金属テ
ープ2が蒸発して高温・高密度のプラズマが生成され、
この生成プラズマ中から高輝度X線が放射状に発生す
る。そして発生したX線の一部は、シャッタ6およびX
線光学素子7を順次通過した後、X線窓1aを経て外部へ
と出射する。ここで、レーザビーム照射によって生成さ
れたプラズマは、(b)に示すように金属テープ2とポ
リイミドテープ3との間に形成された空間部Aに短時
間、例えばnsecオーダではあるものの閉じ込められ、そ
の閉じ込められたプラズマがレーザビームにより加熱さ
れる結果、プラズマ中からのX線の発生効率が高くな
る。また、プラズマ中の微粒子はポリイミドテープ3に
衝突して、その運動エネルギすなわち速度が減速され
る。これにより、微粒子の制御が容易になり、その結
果、真空ポンプ等による飛散微粒子の回収が容易になる
といった効果もある。
ところで、ポリイミドテープ3はX線を可能な限り多
く透過させる必要があるので、その厚さを例えば1μm
程度以下と薄くする必要がある。このため発生した高密
度プラズマの圧力によってポリイミドテープ3に、第2
図(c)に示すように穴が生じ、この穴から生成プラズ
マ中の微粒子がX線と同様に拡散され、X線光学素子7
やX線窓1aへと向かって進行し付着することがある。な
お、レーザビーム照射後、ポリイミドテープ3に穴が生
じるまでの時間は、プラズマをより長く閉じ込めるとい
う理由から、レーザ発振のパルス時間幅以上が望まし
い。
このような穴の発生による影響を軽減するために、本
発明実施例では、第1図に示すように、X線光学素子7
の前段に高速シャッタ6を設けている。このシャッタ6
は常時は開でX線センサ9によってX線の発生が検出さ
れた時点から例えば0.1msec経過した後に、所定時間だ
け閉となるよう駆動制御される。これは、高速シャッタ
6の設置位置が、X線発生位置から10cm離れた位置で、
かつ、発生プラズマ中の微粒子がポリイミドテープ3へ
の衝突により減速され104m/secの初速から103m/secにな
ったとすると、この微粒子が上記の穴から飛び出してシ
ャッタ6に到達するまでに約0.1msecの時間を要する。
従って、X線が発生した時点から0.1msec経過した時点
でシャッタ6を閉じることによって、X線はシャッタ6
を通過して進行するが、飛散微粒子はシャッタ6によっ
てその進行が遮られ、これにより、X線光学素子7やX
線窓1aに飛散微粒子が付着することを防ぐことができ
る。なお高速シャッタ6を閉じるタイミングは、例えば
レーザ発振時点から0.1msec経過した時点としてもよ
く、この場合も同様な効果が得られる。
以上の本発明実施例によると、レーザ発振の1パルス
で金属テープ2およびポリイミドテープ3にはそれぞれ
0.1〜1mm程度の孔が生じるが、その両者をレーザ発振の
各ショットごとに、2〜3mm程度づつ送ることにより、
レーザビームB照射位置には常に新しい表面を供給する
ことができ、これによりX線を長時間にわたって発生さ
せることが可能となる。また、金属テープ2およびポリ
イミドテープ3等をケース内に収納してカセット型とし
ているので、その交換をワンタッチで行え実用性にも富
んでいるといった利点もある。
ここで、以上の本発明実施例の構成に加えて、例えば
第3図(a)に示すように、金属テープ2の前面に、こ
のテープ2に空間部Aにおいて当接する石英板等の赤外
光透過板10を設けておけば、レーザビームB照射により
金属テープ2に穴が生じても、その穴は固定板10によっ
て短時間ではあるが塞がれ、これにより生成プラズマの
閉じ込め時間を先の実施例よりも長くすることができ
る。なお、赤外光透過板10は、その厚さを数mm程度と
し、かつ、テープ2および3の移動にかかわらず固定し
ておく。また、ターゲットとしては、第3図(b)に示
すように、金属テープ2の前面に、マイラー等の赤外光
透過率の高い材料による、厚さ1mm程度のテープ11をさ
らに重ね合わせた3重構造としたものを用いてもよく、
この場合も先と同様な作用によりプラズマの閉じ込め時
間を長くすることができる。
なお、金属テープ2としてはAl,AuやTi等の単体材料
による膜のほか、それらを複数種混合した複合材料によ
る単層の膜、あるいはそれらの単体材料による膜を複数
積層した多層膜等であってもよい。
また、以上の本発明実施例においては、金属テープ2
とポリイミドテープ3との間に、スペーサ5a等によっ
て、強制的に空間Aを形成しているが、第4図に示すに
ように、金属テープ2とポリイミドテープ3とを単に重
ね合わせた構造のターゲットにレーザビームBを照射し
てもよい。この場合、レーザビーム照射によって、2枚
のテープ2および3間に介在する気泡等が熱膨張して、
そのビーム照射位置に空間が形成され、これにより先の
実施例と同様なプラズマ閉じ込め効果を達成し得る。
さらに、以上の本発明実施例においては、真空容器1
に配置したX線光学素子7に生成プラズマからの飛散微
粒子が付着することを防止するために、その前段に高速
シャッタ6を配置しているが、X線光学素子7を必要せ
ず、かつX線窓1aの曇りも考慮する必要のない装置につ
いては、高速シャッタは必ずしも設ける必要はない。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明によれば、金属膜の片面
側にX線透過膜を設けて、その両者間の一部に空間を介
在させ、この空間位置の金属膜をターゲットとしてレー
ザビームを照射するよう構成したから、レーザビーム照
射により発生したプラズマを、短時間ではあるものの高
温・高密度で閉じ込めることが可能となって、これによ
り、X線の発生効率を高めることができる。また、プラ
ズマ中で発生した微粒子の制御を容易に行うことがで
き、その結果、真空ポンプ等による飛散微粒子の回収効
率が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例の構成図で、第2図はそのターゲ
ットカセット5の中央部の詳細図である。 第3図および第4図は、それぞれ本発明実施例の変形例
の説明図である。 1……真空容器 2……金属テープ 3……ポリイミドテープ(X線透過膜) 4……レーザ光源 5……ターゲットカセット 5a……スペーサ 5b……ガイド棒 A……空間 B……レーザビーム

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空雰囲気中でターゲット材料にレーザビ
    ームを照射することによってX線を発生する装置におい
    て、金属膜の片面側にX線透過膜を設けて、この両者の
    一部に空間を介在させ、その空間位置の上記金属膜をタ
    ーゲットとしてレーザビームを、当該金属膜側から照射
    するように構成したことを特徴とするX線発生装置。
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