JP2640553B2 - フッ素化ポリイミド共重合体及びその製造方法 - Google Patents

フッ素化ポリイミド共重合体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は屈折率を自由に制御できるフッ素化ポリイミ
ド共重合体及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
ポリイミドは種々の有機ポリマーの中で耐熱性に優れ
ているため、宇宙、航空分野から電子通信分野まで幅広
く使われ始めている。特に最近では、単に耐熱性に優れ
ているだけでなく、用途に応じて種々の性能を合せ持つ
ことが期待されている。例えばプリント板や、LSI用の
層間絶縁膜などでは、熱膨張係数、誘電率が小さいこと
が期待され、光通信関係特に光導波路のクラッド材には
屈折率が小さいことが期待されている。また、安定な物
性値を保つには、吸水率の小さなことが必要である。し
かしながら、これらの性能に充分満足のいくポリイミド
は得られていない。これらのポリイミドを得るために
は、ポリイミドの主鎖をできる限り剛直構造にして低熱
膨張性を発現させ、更にモノマーであるテトラカルボン
酸二無水物又はジアミンに低誘電率性、低屈折率性を発
現する置換基を導入する方法が考えられる。例えばエポ
キシ樹脂においては、ジャーナル オブ ポリマー サ
イエンス(Journal of Polymer Science)のパート(Pa
rt)C、ポリマー レターズ(Polymer Letters)、第2
4巻、第249頁(1986)に示されているようにエポキシ樹
脂の硬化剤に多フッ素置換基を導入することにより、こ
れまでのエポキシ樹脂の中で最も低い誘電率を達成して
いる。また特開昭61−44969号公報で示されているよう
に、屈折率においても多フッ素置換基を導入することに
より、これまでのエポキシ樹脂の中で最も低い屈折率を
達成している。このようにポリイミド骨格を剛直構造に
し、フッ素置換基を導入することにより、熱膨張係数、
誘電率、屈折率の低減が期待できる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、これまでに剛直構造のポリイミドにフ
ッ素置換基を導入して、低誘電率、低屈折率、低熱膨張
係数を達成したという報告はない。
本発明者らは、特願平1−201170号においてジアミン
成分として2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′
−ジアミノビフェニルを用いたフッ素化ポリイミドが誘
電率、屈折率ともポリイミドとして非常に小さい値を持
つことを示した。このポリイミドの適用先の一つとして
光導波路が考えられるが光導波路に使用する場合は、芯
材とさや材の屈折率を自由に制御する必要がある。特願
平1−201170号明細書で示したフッ素化ポリイミドの屈
折率は1.49〜1.71の間に入るが、その間を細かく制御す
ることができない。
本発明の目的は屈折率を自由に制御できるポリイミド
材料を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は概説すれば、本発明の第1の発明は含フッ素
化ポリイミド共重合体に関する発明であって、下記一般
式I: で表される繰返し単位と下記一般式II: (式中R1はR2下記の構造式: で表される基よりなる群からR1とR2が同じにならないよ
うに選択した4価の有機基を示す)で表される繰返し単
位から成ることを特徴とする。
また、本発明の第2の発明は第1の発明の含フッ素化
ポリイミド共重合体の製造方法に関する発明であって、
下記構造式III: で表される2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′
−ジアミノビフェニルと、下記構造式IV: で表されるテトラカルボン酸二無水物よりなる群から2
種類のテトラカルボン酸二無水物とを反応させることを
特徴とする。
本発明者らは、これまでに得てきた低屈折率フッ素化
ポリイミドと比較的屈折率の大きいフッ素化ポリイミド
の分子設計技術、合成技術を駆使した屈折率制御法につ
いて種々検討した結果、上記式IIIのジアミンと2種類
の酸二無水物を用いてフッ素化ポリイミド共重合体を得
ることにより、屈折率を自由に制御できることを見出し
た。
本発明の構成要素の2,2′−ビス(トリフルオロメチ
ル)−4,4′−ジアミノビフェニルの構造方法は、例え
ば日本化学会誌、第1972巻第3号、675〜676頁(1972)
に記載されている。また、本発明に用いるテトラカルボ
ン酸二無水物の中でもピロメリット酸のベンゼン環にフ
ルオロアルキル基を導入した含フッ素酸二無水物である
トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、1,4−ジ
(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物の製造
方法は特願昭63−165056号明細書に記載されている。こ
れらのジアミンと2種類のテトラカルボン酸二無水物を
反応させることによりポリアミック酸の共重合体を製造
する。
反応条件は通常のポリアミック酸の重合条件と同じで
よく、一般的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの極
性有機溶媒中で反応させる。
次に得られたポリアミック酸のイミド化によるポリイ
ミドの合成であるが、これも通常のポリイミドの合成法
が使用できる。
〔実施例〕
以下実施例により本発明のフッ素化ポリイミド共重合
体及びその製造方法について詳細に説明するが、本発明
はこれら実施例に限定されない。イミド化の確認は赤外
吸収スペクトルにおけるカルボニル基の対称及び非対称
伸縮振動による特性吸収から行った。また、下記各例
中、屈折率はナトリウムD線の波長(589.6nm)での値
である。熱分解温度は窒素気流下10℃/分の昇温速度で
測定した。
参考例1 三角フラスコにピロメリット酸二無水物4.36g(20.0m
mol)と式IIIの構造式で表される2,2′−ビス(トリフ
ルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル6.40g(2
0.0mmol)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)100
gを加えた。この混合物を窒素雰囲気下、室温で3日間
かくはんし、ポリアミック酸のDMA溶液を得た。この溶
液の粘度は約80ポアズであった。このものをシリコン基
板にスピンコーティングし、窒素雰囲気下で70℃で2時
間、160℃で1時間、250℃で30分、更に350℃で1時間
で加熱キュアした。このシリコン基板をはく離してポリ
イミドフィルムが得られた。赤外吸収スペクトルを測定
するとイミド基に特有の吸収が1740及び1790cm-1に現
れ、イミド化が完全に進行したことが確認できた。この
ものの熱分解温度は610℃、屈折率は1.647であった。
参考例2 参考例1におけるピロメリット酸二無水物を2,2−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプ
ロパン二無水物8.88g(20.0mmol)に置き換えて、参考
例1と同様に行った。合成したポリイミドの特性を後記
表1に他の例と共に示す。
参考例3 参考例1におけるピロメリット酸二無水物を3,3′,4,
4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.44g
(20.0mmol)に置き換えて、参考例1と同様に行った。
合成したポリイミドの特性を表1に示す。
参考例4 参考例1におけるピロメリット酸二無水物を3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物5.88g(20.0
mmol)に置き換えて、参考例1と同様に行った。合成し
たポリイミドの特性を表1に示す。
参考例5 参考例1におけるピロメリット酸二無水物をトリフル
オロメチルピロメリット酸二無水物5.72g(20.0mmol)
に置き換えて、参考例1と同様に行った。合成したポリ
イミドの特性を表1に示す。
参考例6 参考例1におけるピロメリット酸二無水物を1,4−ジ
(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物7.08g
(20.0mmol)に置き換えて、参考例1と同様に行った。
合成したポリイミドの特性を表1に示す。
実施例1〜23 参考例1におけるピロメリット酸二無水物を表1に示
す酸無水物の混合物20.0mmolに置き換えて、参考例1と
同様に行った。合成したポリイミド共重合体の特性を表
1に示す。
これらの結果から、本発明のフッ素化ポリイミド共重
合体の屈折率は1.494から1.672まで自由に制御できるこ
とが明らかとなった。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明のフッ素化ポリイミド共
重合体は、屈折率を自由に制御できる利点があるため、
種々の形状、寸法、モードの光ファイバ又は光導波路用
のコア材、クラッド材として使用することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式I: で表される繰返し単位と下記一般式II: (式中R1、R2は下記の構造式: で表される基よりなる群からR1とR2が同じにならないよ
    うに選択した4価の有機基を示す) で表される繰返し単位から成ることを特徴とするフッ素
    化ポリイミド共重合体。
  2. 【請求項2】下記構造式III: で表される2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′
    −ジアミノビフェニルと、下記構造式 IV: で表されるテトラカルボン酸二無水物よりなる群から2
    種類のテトラカルボン酸二無水物とを反応させることを
    特徴とする請求項1記載のフッ素化ポリイミド共重合体
    の製造方法。
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