JP2940645B2 - 耐熱性プラスチック光ファイバ - Google Patents

耐熱性プラスチック光ファイバ

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JP2940645B2
JP2940645B2 JP3122988A JP12298891A JP2940645B2 JP 2940645 B2 JP2940645 B2 JP 2940645B2 JP 3122988 A JP3122988 A JP 3122988A JP 12298891 A JP12298891 A JP 12298891A JP 2940645 B2 JP2940645 B2 JP 2940645B2
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慎治 安藤
松浦  徹
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は近赤外光の中でも特に光
通信に使用される波長域(0.8〜1.7μm)におけ
る光透過性と耐熱性に優れたプラスチック光ファイバに
関する。
【0002】
【従来の技術】情報量の飛躍的な増大と情報の多様化に
対応できる通信技術として、現在光通信方式の研究開発
が活発に行われ、一部が実用化されている。この光通信
の伝送媒体としては極低損失石英光ファイバが、長距離
伝送用として既に実用化されている。一方、透明プラス
チックをコアとするプラスチック光ファイバ(以下、P
OFと略記する)もこれまで並行して検討されてきた。
ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート、ポリス
チレンといった可視光領域での透明性に優れたプラスチ
ック材料によるPOFが上市されている。POFは石英
系に比較すると、通信で用いられる近赤外域(波長1.
3μm,1.55μm)での光損失値が大きい、精密な
屈折率制御が難しいためシングルモードファイバの作製
が困難、耐熱性に劣る、吸水率が高いために環境安定性
や信頼性に問題がある、など欠点を有するため、長距離
の光通信には適さないとされてきた。特に耐熱性の欠如
(使用最高温度100℃以下)は信頼性の低下を意味す
るため、通信用途には敬遠されてきた。しかし、持続が
容易である、曲げに強い、低価格、などの長所を有して
いるため、光通信端末装置やコンピュータの光リンクな
ど極低光損失を必要としない短距離の光通信への適用が
進みつつある。またPOFの欠点とされてきた近赤外域
での高い光透過損失や耐熱性、吸水性などは、プラスチ
ックに本質なものではなく、非晶質の耐熱性高分子にで
きるだけ多くのフッ素原子を導入することで改善できる
ことが知られており、光通信に適用可能な光ファイバの
開発が望まれている。本発明者らは特願平2−4139
51号明細書において、耐熱性に優れるポリイミドにフ
ルオロアルキル基を導入したフッ素化ポリイミドを用い
ることによって、熱分解温度500℃以上、波長1.3
μmにおける光損失値0.2dB/cm以下となる耐熱性
POFが作成できることを示した。この耐熱性POF
は、波長1.3μm、1.55μmが共に光透過損失の
低い箇所に位置しているため、従来のPOFを大きく下
回る損失値を示している。しかし1.65μm、1.4
0μmにはフェニル環C−H結合の伸縮振動の第2次高
周波及び第2次高周波と変角振動の結合波に由来する大
きな吸収ピークが存在するため、1.55μm、1.3
μmにはそれらの「すそ」がわずかにかかって、損失の
増大を引起している。また光通信における試験光(プロ
ーブ光)として予定されている波長1.65μmの光は
上述の理由でほとんど透過しない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】すなわち光通信用の近
赤外光を伝送するPOFとして用いるプラスチック材料
には、炭素−水素結合の存在に基づく大きな光損失とい
う問題があった。本発明はこのような現状にかんがみて
なされたものであり、その目的は十分な耐熱性があり、
近赤外光に対して光透過損失の非常に少ないPOFを提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は耐熱性プラスチック光ファイバに関する発明であ
って、光ファイバのコア又はクラッドあるいはその両方
が、下記一般式(化1):
【化1】 〔式中R1 は下記式(化2):
【化2】 で表される基のうちのいずれかの基、R2 は下記式(化
3):
【化3】 で表される基のうちのいずれかの基であり、ここで式中
Rfはフッ素、又はパーフルオロアルキル基、Xは下記
式(化4):
【化4】 (ここで式中Rf′はパーフルオロアルキレン基、nは
1〜10の数を示す)で表される基のうちのいずれかの
基である〕で表される繰返し単位を含有するポリイミ
ド、ポリイミド共重合体又はポリイミド混合物を主構成
要素とするものであることを特徴とする。
【0005】本発明者らは、特願平2−256843号
明細書において、ポリイミド中の炭素に結合するすべて
の1価元素を水素以外の1価元素(重水素あるいはハロ
ゲン)とすることによって、近赤外域での最大の光損失
原因であるC−H結合に基づく振動吸収を無くし、十分
な耐熱性(熱分解開始温度400℃以上)を持たせるこ
とができると共に、置換する1価元素としてフッ素が特
に有効であることを示した。本発明者らは、引続き種々
のフッ素置換ポリイミドや重水素置換ポリイミドの近赤
外域における光吸収特性に検討を加えた結果、水素に代
る1価元素としてすべてフッ素を用いた場合には、重水
素の場合に残る近赤外域の吸収ピークがほとんど観測さ
れず、また吸水性も大きく低下して、環境安定性、経時
安定性が大幅に向上することを見出した。またこの全フ
ッ素化ポリイミドは極性溶媒に可溶となる場合が多いた
め、従来の耐熱性POFと同様の作製条件が適用できる
ことが合せて明らかとなった。
【0006】本発明の全フッ素化ポリイミドを製造する
時に使用するテトラカルボン酸又はその誘導体として
は、分子内のアルキル基、フェニル環等の炭素に結合す
るすべての1価元素をフッ素、又はパーフルオロアルキ
ル基としたものであればどのようなものでもよい。テト
ラカルボン酸並びにその誘導体としての酸無水物、酸塩
化物、エステル化物等としては次のようなものが挙げら
れる。ここではテトラカルボン酸としての例を挙げると
1,4−ジフルオロピロメリット酸、1−トリフルオロ
メチル−4−フルオロピロメリット酸、1,4−ジ(ト
リフルオロメチル)ピロメリット酸、1,4−ジ(ペン
タフルオロエチル)ピロメリット酸、ヘキサフルオロ−
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘ
キサフルオロ−3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
トリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,
3−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,4−
ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロ
ベンゼン、ヘキサフルオロ−3,3′(又は4,4′)
−オキシビスフタル酸等が挙げられる。この中でピロメ
リット酸二無水物のベンゼン環にフルオロアルキル基を
導入した含フッ素酸二無水物である1,4−ジ(トリフ
ルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,4−ジ
(ペンタフルオロエチル)ピロメリット酸二無水物等の
製造方法は特願昭63−165056号明細書に記載さ
れている。
【0007】また本発明に用いることのできるジアミン
の例としては、分子内のアミノ基を除くアルキル基、フ
ェニル環等の炭素に結合するすべての1価元素をフッ
素、又はパーフルオロアルキル基としたものであればど
のようなものでもよく、3,4,5,6−テトラフルオ
ロ−1,2−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テ
トラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,3,
5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンジアミ
ン、4,4′−ジアミノオクタフルオロビフェニル、ビ
ス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェ
ニル)エーテル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオ
ロ−4−アミノフェニル)スルホン、ヘキサフルオロ−
2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジ
アミノビフェニル等が挙げられる。
【0008】本発明に使用する全フッ素化ポリイミド前
駆体である全フッ素化ポリアミド酸の製造方法は、通常
のポリアミド酸の製造条件と同じでよく、一般的にはN
−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性有機溶
媒中で反応させる。本発明においてはジアミンまたテト
ラカルボン酸成分とも単一化合物で用いるばかりではな
く、複数のジアミン、テトラカルボン酸成分を混合して
用いる場合がある。その場合は、複数又は単一のジアミ
ンのモル数の合計と複数又は単一のテトラカルボン酸成
分のモル数の合計が等しいかほぼ等しくなるようにす
る。
【0009】本発明の耐熱性プラスチック光ファイバを
作製するためのドープ液としては、ポリアミド酸の溶液
でも、またポリイミドが溶媒に可溶な場合はポリイミド
溶液でもよい。このドープ液の濃度は5〜40重量%の
範囲で可能であるが、10〜25重量%であることが好
ましく、また前記ポリマー溶液の回転粘度(25℃)
は、50〜5000ポアズであることが好適である。ド
ープ液からのファイバの製造は通常の湿式紡糸法などを
用いることができる。すなわちノズルから吐出してファ
イバ状とされたドープ液は、一旦空気層を通過した後凝
固浴に導かれ、その後乾燥硬化させて、光ファイバを得
る。
【0010】
【実施例】以下、いくつかの実施例を用いて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0011】実施例1 セパラブルフラスコに以下の構造式(化5)を持つ1,
4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキ
シ)テトラフルオロベンゼン二無水物:
【化5】 11.644g(0.02mol )と以下の構造式(化
6)で示される2,4,5,6−テトラフルオロ−1,
3−フェニレンジアミン:
【化6】 3.602g(0.02mol )、及びm−クレゾール1
00gを加えた。この混合物を窒素雰囲気下、室温でか
くはんし溶解した後180℃で5時間反応させた。次い
で反応液をメタノール中に投入し、生成した固形物をミ
キサーで粉砕した。この固形物をメタノールで十分洗浄
した後、真空下100℃で一昼夜乾燥し、全フッ素化ポ
リイミドの粉末を得た。このポリイミドをN,N−ジメ
チルアセトアミド(DMAc)に溶かし、10wt%のド
ープ液を得た。この溶液の粘度は約80ポアズであっ
た。このドープ液を湿式紡糸装置のノズルホルダーに仕
込み、3kg/cm2 の窒素圧力でノズルよりフィラメント
状に押出した。次に空気層、メタノール凝固層を通過さ
せた後窒素雰囲気下で70℃で2時間、160℃で1時
間、250℃で30分加熱キュアし、コア層のみのファ
イバを得た。このファイバは500℃で2時間保持した
後も重量減少を起さず、直径は約50μm、波長1.3
μmでの光損失は0.1dB/cm以下であった。
【0012】実施例2 三角フラスコに1,4−ビス(3,4−ジカルボキシト
リフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水
物11.644g(0.02mol )と、以下の構造式
(化7)で示されるビス(2,3,5,6−テトラフル
オロ−4−アミノフェニル)エーテル:
【化7】 6.883g(0.02mol )、及びDMAc100g
を加えた。この混合物を窒素雰囲気下、室温で3日間か
くはんし、ポリアミック酸のDMAc溶液を得た。この
溶液の粘度は約90ポアズであった。このドープ液を湿
式紡糸装置のノズルホルダーに仕込み、3kg/cm2 の窒
素圧力でノズルよりフィラメント状に押出した。次に空
気層、メタノール凝固層を通過させた後窒素雰囲気下で
70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30
分、更に350℃で1時間加熱キュアし、コア層のみの
ファイバを得た。このファイバは500℃で2時間保持
した後も重量減少を起さず、直径は約10μm、波長
1.3μmでの光損失は0.1dB/cm以下であった。
【0013】実施例3 実施例2のビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4
−アミノフェニル)エーテルの代りに2,4,5,6−
テトラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン0.01
mol とビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ア
ミノフェニル)エーテル0.01mol を使用し、同様の
方法でコア層のみのファイバを作製した。このファイバ
は500℃で2時間保持した後も重量減少を起さず、直
径は約100μm、波長1.3μmでの光損失は0.1
dB/cm以下であった。
【0014】実施例4 実施例1で作製したファイバをコア層としてその外側に
実施例3で作製したポリアミド酸溶液を用いてクラッド
層を形成し、コア層、クラッド層とも全フッ素化ポリイ
ミドの光ファイバを作製した。コア層の直径は100μ
m、クラッド層を含めたファイバ全体の直径は700μ
mであった。また波長1.3μmでの光損失は0.1d
B/cm以下であった。
【0015】実施例5 実施例3で作製したファイバをコア層としてその外側に
実施例2で作製したポリアミド酸溶液を用いてクラッド
層を形成し、コア層、クラッド層とも全フッ素化ポリイ
ミドの光ファイバを作製した。コア層の直径は100μ
m、クラッド層を含めたファイバ全体の直径は700μ
mであった。また波長1.3μmでの光損失は0.1d
B/cm以下であった。
【0016】実施例6 実施例4のコア層とクラッド層を用いて、コア層の直径
は50μm、クラッド層を含めたファイバ全体の直径は
0.5mmの光ファイバを作製した。波長1.3μmでの
光損失は0.1dB/cm以下であった。
【0017】実施例7 実施例5においてコアの直径が0.5mm、クラッド層を
含めたファイバ全体の直径が1.0mmの光ファイバを作
製した。波長1.3μmでの光損失は0.1dB/cm以
下であった。
【0018】比較例1 セパラブルフラスコに、以下の構造式(化8)を持つ
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキ
サフルオロプロパン二無水物:
【化8】 8.885g(20.0mmol)と以下の構造式(化9)
で示される2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−
4,4′−ジアミノビフェニル:
【化9】 6.405g(20.0mmol)及びDMAc87gを加
え、以下実施例1と同様の方法でコア層のみのファイバ
を得た。このファイバは500℃で2時間保持した後も
重量減少を起さず、直径は約50μm、波長1.3μm
での光損失は0.1dB/cmであった。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明の耐熱性プラ
スチック光ファイバは近赤外域での光損失が小さくかつ
耐熱性に優れているため、従来のプラスチック光ファイ
バが使用できなかった高温状況下、あるいは高度の信頼
性が要求される条件下でも近赤外光領域での通信用に使
用できるという利点があるばかりでなく、これまで適用
困難とされてきた中距離の光通信用途へ光プラスチック
ファイバの適用範囲を広げる可能性を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−328504(JP,A) 特開 平4−328524(JP,A) 特許2737871(JP,B2) 特許2827059(JP,B2) 特許2851019(JP,B2) 欧州特許出願公開480266(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/00 391 C08G 73/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバのコア又はクラッドあるいは
    その両方が、下記一般式(化1): 【化1】 〔式中R1 は下記式(化2): 【化2】 で表される基のうちのいずれかの基、R2 は下記式(化
    3): 【化3】 で表される基のうちのいずれかの基であり、ここで式中
    Rfはフッ素、又はパーフルオロアルキル基、Xは下記
    式(化4): 【化4】 (ここで式中Rf′はパーフルオロアルキレン基、nは
    1〜10の数を示す)で表される基のうちのいずれかの
    基である〕で表される繰返し単位を含有するポリイミ
    ド、ポリイミド共重合体又はポリイミド混合物を主構成
    要素とするものであることを特徴とする耐熱性プラスチ
    ック光ファイバ。
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KR100319299B1 (ko) * 1999-04-14 2002-01-05 윤종용 광통신용 폴리이미드

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