JP2629923B2 - 高タフネスポリエステル繊維、およびそれからなるコードおよびタイヤ - Google Patents

高タフネスポリエステル繊維、およびそれからなるコードおよびタイヤ

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はゴム補強用に適したポリエステル繊維に関す
る。更に詳しくは、糸中の特定の異物を極限まで減ずる
ことにより従来実現できなかった高いタフネスを有し、
さらに寸法安定性、高度な耐久性を有するゴム補強用の
ポリエステル繊維およびそれからなるコード、タイヤに
関するものである。
[従来の技術] ポリエステル繊維は優れた機械的性質、寸法安定性、
耐久性を有し衣料用のみならず産業資材用途にも巾広く
使用されている。特にタイヤコード、ベルト等のゴム資
材の補強用として近年その使用量が増加している。
タイヤコードなどのゴム補強用に利用する場合、機械
的性質が優れることが重要であり、かかる観点から高重
合度のポリエステルを低配向紡糸し、しかる後に高倍率
延伸し高強度の繊維を得る技術が従来の主流技術であっ
た。
しかしながらかかる繊維は乾熱収縮率が高くタイヤ成
型時に受ける熱により補強用繊維が収縮するためタイヤ
の均一性が悪化するので低収縮で高タフネスの繊維の要
求が強かった。かかる要求に答える技術として特開昭53
−58031号公報に代表されるように比較的高配向紡糸し
た未延伸糸(いわゆるPOY)を低倍率に延伸し、寸法安
定性を改良する技術が提案され近年上記技術による繊維
がタイヤコードの主流となりつつある。
かかる技術によれば確かに乾熱収縮率が低い繊維は得
られるが、強伸度に代表される機械的性質が低下する。
例えば特開昭53−58031号公報の実施例の記載からも明
らかなように強度(T)と伸度(E)の平方根の積 で表わされるタフネス係数が23〜25程度の繊維しか得ら
れていないのが実状である。
タイヤコードに使用する繊維の強伸度が高くなればそ
れだけタイヤの寿命が長くなるなどタイヤ性能が向上し
たり、タフネスが高くなった分だけ使用繊維の量が減少
できてタイヤの走行時の発熱が少なくなったり、軽量化
が図れたりするというメリットが大きく、タイヤコード
に対するタフネスの上昇の要求が近年強くなっている。
繊維の機械的性質を高くする手段としては一般的には
繊維の高配向化を図るアプローチ、繊維中の欠点を無く
すアプローチの2つが取られる。前者観点からの技術と
して特開昭61−89322号公報には、高配向紡糸した未延
伸糸を特定条件で延伸することにより高強度の繊維を得
る技術が開示されている。該公報の実施例に記載の内容
では、前述の が27〜29程度であり、確かに従来の技術(特開昭53−58
031号公報)よりは高強度、高タフネスの繊維が得られ
ている。しかし本技術でもタフネスが未だに不十分なレ
ベルであるばかりべなく、高度に繊維の配高を高めるた
め糸切れが多発し操業上の問題も大きい。
又特開昭60−88120号公報では高配向紡糸した未延伸
糸を低速度で延伸する技術が開示され、 も27程度の例が示されているが、上述のとおり未だ不十
分なレベルであるだけでなく、延伸速度が遅いため生産
性が劣り問題である。
さらに上述の如く繊維の高配向化を図るのみでは確か
に強度は高くなるが同時に繊維の伸度も低下する。伸度
が低下すると、後工程で撚糸したり接着剤処理(ディッ
プ)する際に強力が大きく低下し、実際にタイヤコード
としての強力は従来並かそれ以下の値になってしまい問
題がある。
従って高配向化を図るアプローチからは前述のタフネ
ス向上には限界がある。
一方、もうひとつのアプローチである繊維中の欠陥の
減少についてはゴム補強用ポリエステル繊維の如き高重
合度、高強度のゾーンについては従来ほとんど開示がな
い。通常衣料用のゾーンではかかる技術として例えば特
開昭50−156595号公報には金属化合物として酸化チタン
のみを使用して、ポリマ中の異物を無くし、製糸性を向
上する技術の開示がある。このようにエステル交換触
媒、重縮合触媒及びリン化合物などの金属化合物を全く
使用しない系では異物は減少しても他のポリマ特性(例
えば〔η〕やカルボキシル末端、DEGなど)がゴム補強
用材料としては好ましくない特性となり、総合的にゴム
補強用材としては例えば耐久性が劣り使用できない。
さらにポリマ中の異物を少なくする技術についても多
く開示があり、例えば特開昭61−85435号公報には、特
定の金属化合物を触媒として用いることでポリマ中の粗
大粒子が無くなり透明性に優れたポリエステルが得られ
ることが開示されている。該公報の実施例にはイメージ
アナライザーで定量したポリマ中の粒子数が300コ/mg程
度のものが得られることが示されている。しかしながら
このような方法で定量した異物の大きさや数と実際の繊
維のタフネスとは必ずしも一致せず、かかる観点で、従
来粒子数が少ないと記載されるポリマをそのまま適用し
ても高タフネスの繊維が得られない。
以上述べたように従来の技術ではタフネスが高く寸法
安定性が良好でしかも耐久性に優れたゴム補強用ポリエ
ステル繊維が得られていないのが実状である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は前記問題を解決し、高タフネス、良好
な寸法安定性、高い耐久性のゴム補強用ポリエステル繊
維を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記した本発明は、 エチレンテレフタートを主たる繰り返し単位とし、カ
ルボキシル末端量[COOH]≦25eq/ton、ジエチレングリ
コール含有量(DEG)≦1.3wt%、極限粘度([η])≧
0.85のポリエステルからなり、乾収(△Sd)と中間伸度
(S)の和Sd+S≦11.0(%)、ターミナルモジュラス
(TM)がTM≦50(g/d)、透過型顕微鏡(光顕(透過
光)で観測した糸中のキャッツアイ状の黒色異物が2000
ケ/mg以下であり、強度(T)と伸度(E)で定義され
るタフネス係数 が30以上である高タフネスポリエステル繊維。によって
達成できる。
本発明におけるポリエステルはエチレンテレフレター
トを主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維である
が5モル%以下の量の第3成分をブレンド又は共重合し
たポリエステルであっても良い。
本発明のポリエステル繊維は実質的に外部粒子を含有
しないものである。ポリエステルには通常ツヤ消し効
果、コロ作用による延伸性の向上などを狙って二酸化チ
タンに代表される不活性な無機粒子(外部粒子)が添加
されるが、かかる粒子が存在すると繊維のタフネスが低
下するばかりでなく、次工程(撚糸、ディップ)での強
力保持率も低下し、本発明の目的が達せられない。
本発明のポリエステル繊維のカルボキシル末端量
([COOH])は25eq/ton以下である必要がある。[COO
H]が25eq/tonを越えると耐加水分解性が悪化しゴム中
での強力保持率が低くタイヤコードとして使用できな
い。かかる観点から[COOH]は10〜20eq/tonが好まし
い。
本発明のポリエステル繊維のジエチレングリコール量
(DEG)は1.3wt%以下である必要がある。DEGが1.3wt%
を越えると繊維タフネスが低くなり、かつ寸法安定性も
悪化する。かかる観点からDEGは1.0wt%以下が好まし
い。
さらに本発明のポリエステル繊維の極限粘度
([η])は0.85以上である必要がある。[η]が0.85
未満では耐疲労性が悪くゴム補強用材料として使用でき
ない。かかる観点から[η]は0.9以上であることが好
ましい。又製糸のし易さ、原料コストの面から[η]は
1.2以下が好ましい。本発明のポリエステル繊維は繊維
中に存在するキャッツアイ状の異物数が2000ケ/mgであ
る必要がある。かかる異物は後述するが光顕(透過光)
で観測したとき、第1図の如く異物の周囲に微小なボイ
ドを伴なうキャッツアイ状の黒色(透過光下で黒色)の
異物をいう。前述の如く、ポリマ段階でチェックした異
物を少なくしても繊維のタフネスが向上しないことにつ
いて本発明者らは鋭意検討した結果、ポリマ中には種々
の大きさ、形状等が異なる黒色異物、透明異物、ゲル状
異物、その他の異物などが存在するが、これら種々の異
物のうちでも延伸過程で、製糸性に影響を与える異物
と、そう大きい影響を与えない異物が存在することがわ
かった。より詳細に研究した結果、異物の種類によって
は延伸時の変形において繊維中にボイドを形成し、製糸
性や糸物性(強伸度)に悪影響を与えるものが特異的に
存在することがわかった。従ってこのような異物は従来
まで行なわれて来たポリマ段階でイメージアナライザー
やポリマ溶液の透明度などで異物の総量をチェックする
方法では十分に見つけ出すことができないことがわかっ
たのである。
すなわち、繊維の物性向上のためには上記のとおり繊
維物性に影響を与える特異的な異物を取り除く必要があ
り、本発明者らの研究ではかかる異物は透過光顕で観察
した際にキャッツアイ状の黒色異物としてチェックで
き、この異物数を2000ケ/mg以下とすることではじめて
タフネスの高い繊維 が得られることがわかった。
かかる黒色異物が何に起因するものかは十分にはわか
っていないが本発明者らの研究では使用する触媒に起因
する異物が主体をなすものと考えられ、異物減少にはか
かる点の配慮が重要であることがわかった。
上述のキャッツアイ状の異物数が2000ケ/mgを越える
と工業的には高タフネス の繊維が得られないだけでなく、後工程(撚糸、ディッ
プ処理)での強力の低下も大きいし、さらには得られる
タイヤコードの疲労性も低下する。
かかる観点から本発明の繊維中のキャッツアイ状黒色
異物数は1000ケ/mg以下であることが好ましく、500ケ/m
g以下であることがさらに好ましい。(ちなみに異物数2
000ケ/mgは単糸デニール5デニールの繊維では大体10cm
あたりに約110個もの異物数に相当する値である) このように繊維中の特定の異物を厳密に制御して始め
て本発明のポリエステル繊維のタフネス(強度Tと伸度
Eから で定義される)を30以上とすることができる。本発明に
おけるポリエステル繊維のタフネス係数が30未満である
と、十分に、強度、耐久性が満足できるポリエステルタ
イヤコードが得られない。具体的にはタフネス係数30以
上、好ましくは32以上として始めて7.2g/d以上、好まし
い例では7.4g/d以上のディップコード強度が実現でき
る。
また、本発明のポリエステル繊維の中間伸度(S)と
感熱収縮(△Sd)の和(S+△Sd)は11.0以下である必
要がある。
S+△Sdが11.0%を越えるとタイヤコードとして必要
なモンジュラスを与えた場合のディップコードの収縮率
が高くなりタイヤ成型時にコードの縮みが大きく、タイ
ヤの均一性が低下する。かかる観点からS+△Sdは10%
以下が好ましい。また、S+△Sdがあまり小さすぎると
高タフネスの繊維が得られにくいのでS+△Sdは7.0%
以上であることが好ましい。さらに本発明のポリエステ
ル繊維のターミナルモジュラス(TM)は50g/d以下であ
る必要がある。ターミナルモジュラスが50g/dを越える
と、いかに強度を高めても撚糸やディップの時の強力保
持率が低下し、結果的に高強度のタイヤコードが得られ
なくなる。かかる観点からTMは30g/d以下が好ましく15g
/d以下とすることがより好ましい。
以下に本発明のポリエステル繊維の製造方法を例示す
る。
本発明に使用するポリエステル製法はテレフタル酸と
エチレングリコールを原料とする直接重合法あるいはテ
レフタル酸ジメチルとエチレングリコールを原料とする
DMT法のいづれの方法を採用しても良いが、使用する触
媒(エステル交換触媒、重縮合触媒)および耐熱性向上
のため使用するリン化合物の種類、量および添加時期を
適正化し、さらに原料の仕込み量、重合温度、時間、真
空度等をコントロールして[COOH]、DEG量を本発明の
範囲内にするとともに本発明で定義した異物が生成しな
いようにする必要がある。エステル交換触媒としてはマ
ンガン化合物、マグネシウム化合物、重縮合触媒として
はゲルマニウム化合物を用いることが好ましく、時にGe
化合物をGe量として10〜100ppm使用することが好ましい
が、これに限定されるものではない。なお、重縮合触媒
として一般に用いられるアンチモン化合物は極少数であ
っても上述の繊維中の異物が大巾に増加するもので使用
しないことが好ましい。このようにして得られたポリエ
ステルを固相重合により[η]0.95以上とした後、通常
の紡糸方法により口金孔径0.4〜0.8mmφの口金から吐出
し口金下に加熱筒を設けて徐冷した後、冷却風をあてて
冷却固化し引取速度1500m/分以上で引取って、配向度15
×10-3以上の高配向非晶質の未延伸糸を得る。この未延
伸糸を紡糸と連続してあるいは一旦巻取った後常法に従
って延伸し220〜250℃の温度0〜5%のリラックス率で
熱セットして巻取る。
この際固相重合は200〜230℃で行なうことが好まし
く、紡糸時には絶対過径15μより細かいフィルターを
用いて高度に過を行なうことが好ましい。さらに延伸
は2段以上の多段延伸とすることがボイドの発生を少な
くでき好ましい。
[実施例] 以下実施例により本発明をより詳細に説明する。なお
実施例中の特性値は以下の方法により測定した。
A.極限粘度([η]) オストワルド型粘度計を用いてオルソクロロフェノー
ル(OCP)10mlに対しサンプル0.1gを溶解した溶液の粘
度を25℃にて測定し求めた。
B.カルボキシル末端([COOH]) 試料0.5gをo−クレゾール10mlに溶解し、完全溶解後
冷却してからクロロホルム3mlを加え、NaOHのメタノー
ル溶液にて電位差滴定を行ない求めた。
C.DEG量 試料をアルカリ分解した後、ガスクロマトグラフィを
用いて定量した。
D.強伸度、中間伸度、ターミナルモンジュラス 東洋ボールドウイン社製テンシロン引張試験機を用
い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線を求め強
伸度を算出した。
また同じS−S曲線から強度4.5g/dに対応する伸度を
読みとり中間伸度(S)を求めた。ターミナルモンジュ
ラスは切断伸度より2.4%をひいた点における応力と破
断応力との差を2.4×10-2で除して求めた。
E.乾熱収縮率△Sd 試料をカセ状にとり20℃、65%RHの温調室に24時間以
上放置したのち、試料の0.1g/dに相当する荷重をかけて
測定した長さl0の試料を、無張力状態で150℃のオーブ
ン中に15分放置したのち、オーブンから取り出し前記温
調室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長
さl1から次式により算出した。
△Sd=(l0−l1)/l0×100(%) F.糸中異物数 試料を単糸1本ずつに分割しスライドガラスにたるま
ないように張ってサンプリングした試料(長さ6cm)
を、オリンパス製光学顕微鏡(位相差法)を用い、倍率
200倍でスキャンし、第1図(a)〜(c)に示すよう
なキャッツアイ状の黒色異物の数をカウントする。測定
をN数5で行ない平均値×(ケ/6cm)を求め、この値を
mgあたりの異物数に換算する。第1図(b)のように黒
色部分が2つに分れていてもボイドがつながっているも
のについては1として数えるが第1図(c)のように黒
色異物がつらなっていても、ボイドとして分かれている
場合は別々に数える(図1(c)では3ケ)。
G.GY疲労試験(グッドイヤー マローリーファテイーグ
テスト) ASTM−D885に準じ、チューブ内圧3.5kg/cm2、回転速
度850rpm、チューブ角度を80゜としてチューブの破裂時
間を求めた。
実施例1 (ポリマの調整) (ポリマA) テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール65
部に酢酸マンガン0.035部を添加し、常法によりエステ
ル交換反応を行なった。次いで得られた生成物にリン酸
0.015部、二酸化ゲルマニウムを0.020部添加した。ひき
続き常法により2時間重縮合反応を行ないポリエチレン
テレタレートを得た。
得られたポリマの極限粘度[η]は0.70、カルボキシ
ル末端量[COOH]は19ep/ton、DEGは1.03wt%であっ
た。
(ポリマB) 特開昭59−192712号公報の実施例1に従ってポリマB
を重合した。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコ
ールからなる反応率97.8%、 ユニットモル比1.20のビスヒドロキシエチルテレフタレ
ートおよびその低重合体を主体とする反応混合物(以下
BHTという)2050部を反応器に240℃で貯留し、常圧でテ
レフタル酸1660部とエチレングリコール744部(EG/TAモ
ル比1.20)のスラリーを一定速度で連続的に4時間15分
で供給した。スラリー供給中は230〜245℃にコントロー
ルし、スラリー供給終了後は240〜250℃にコントロール
して反応を実質的に完結させ、反応率98.1%のBHTを得
た。このBHTの50%を次の反応槽に移し、次の様に重縮
合せしめた。
リン酸85重量%の水溶液0.192部を攪拌下に反応系へ
添加した。このときの反応系の温度は250゜であった。
リン酸添加5分後に酢酸リチウム2水塩0.384部(M/P2.
26)、三酸化アンチモン0.53部、エチレングリコール30
部の混合物を反応系へ添加した。そして直ちに昇温減圧
を開始し、60分で真空度1mmHg以下、280℃まで到達せし
め、更にその後3時間を要して重縮合反応を継続した。
得られたポリマの極限粘度は0.75、[COOH]は23eq/to
n、DEGは1.05wt%であった。
(ポリマC) 特開昭61−85435号公報の実施例1に記載の方法に準
じてポリマCを得た。すなわち、テレフタル酸ジメチル
100部とエチレングリコール70部に酢酸マグネシウム0.0
6部、酢酸リチウム0.002部を添加し、常法によりエステ
ル交換反応を行なった。次いで得られた生成物にリン酸
トリメチル0.015部を添加し、20分後に三酸化アンチモ
ンを0.01部、二酸化ゲルマニウム0.002部を添加した。
(Ge/Sbモル比=0.278)引き続き常法により3.5時間の
重縮合反応を行ない極限粘度0.701のポリエステルを得
た。
ポリマA〜Cを160℃で5時間予備乾燥後、225℃で固
相重合を行ない極限粘度1.05〜1.1の固重チップを得
た。得られた固重チップを使いエクストルーダー型紡糸
機で紡糸温度300℃にて紡糸した。この際、過フィル
ターは絶対過後15μの金属不織布を用い口金は0.6mm
φの丸孔を用いた。口金から吐出した糸条群を内径25c
m、長さ30cm、温度300℃の加熱筒で徐冷後、チムニー冷
却風をあてて冷却し、給油した後、引取速度2200m/分で
引取った。得られた未延伸糸(POY)を1段無加熱1ホ
ットロール(HR)87℃、2HR110℃、3HR240℃、DR(室
温)で2段延伸した。さらに3HRとドローロール(DR)
間で1.5%リラックスして巻取り、1000Dデニール192フ
ィラメントの延伸糸とを得た。
得られた繊維物性を表−1に示した。
さらに各繊維の糸中異物を測定し異物数を合わせて表
−1に示した。
次にこの延伸糸に下撚をS方向に49T/10cm、上撚をZ
方向に49T/10cmの撚をかけ生コードとした。次にこのコ
ードをリッラー社製のコンピュートリータを用いて接着
剤をディップして処理コードを作成した。処理条件は乾
燥部160℃、定長処理、熱処理部240℃の緊張処理、後処
理部は240℃の弛緩処理であった。この緊張率、弛緩率
を調整することにより処理コードの中間伸度を3〜4%
とした。
得られたディップコードの物性およびGY寿命を合わせ
て表−2に示した。
表−1から明らかなように糸中異物が2000ケ/mg以下
であるNO.1でのみ が30をこえる高いタフネスの繊維が得られることがわか
る。そして表−2から明らかなように が30をこえるNO.1でのみ、強度7.2g/d以上のディップコ
ードが得られ、しかもGY寿命も著しく向上し、耐久性が
高くなることがわかる。
実施例2 実施例1のポリマAを用いて引取速度、延伸倍率、熱
処理後のリラックス率を変更する以外は実施例1と同じ
条件で1000デニール192フィラメントの延伸糸を得た。
表−3に物性を示す。
なお延伸糸の糸中異物は全水準130〜240ケ/mgの間で
あり、[COOH]は17eq/ton、DEG1.03wt%、[η]0.9〜
0.92であった。
表3から明らかなように引取速度を下げたNO.4ではS
+△Sdが11.0%を越え、タイヤユニホミティが悪くなり
問題であった。又延伸倍率を高くして強度を高くしたN
O.5ではターミナルモンジュラスが50g/dをこえ、強度は
高くなるもののディップ強度はNO.1より低くなり、強力
利用率が顕著に低下し目的が達せられないことがわか
る。
実施例3 本実施例では単に金属触媒量を少なくしただけでは本
発明の効果が得られないことを示す。
テレフタル酸86.5部、エチレングリコール37.1部に三
酸化アンチモン0.005部添加しただけで重合反応を行っ
た。重合時間、温度を表−4の如く設定しポリマを得、
実施例1と同じ条件で固相重合、紡糸、延伸し延伸糸を
得た。
表−4から明らかなように本例の如く触媒量を著しく
少なくして重合しても重合時間が長くなり異物レベルが
少なくならず本発明の目的である高タフネスの繊維が得
られないだけでなく、COOHなどのポリマ特性も本発明の
範囲のものが得られないことがわかる。NO.6の例はタフ
ネスが劣り、かつゴム中での強力保持率が低いものであ
った。
[発明の効果] 以上述べたように本発明のように糸中の特定の異物を
少なく抑制することで始めて高タフネスで、かつゴム補
強用に好ましい特性を有するポリエステル繊維が得られ
るのである。本発明の繊維は高タフネスに加え寸法安定
性が良好でかつ耐久性に著しく優れるものである。
本発明の繊維はタイヤの補強部材であるカーカス材に
好適に使用され、タイヤの軽量化、寿命の延長などの効
果を奏するものである。なお、カーカスとはケースまた
はケーシングとも呼ばれタイヤにとって高圧の空気を保
持する強度部材である。
【図面の簡単な説明】
第1図の(a)、(b)および(c)は糸中のキャッツ
アイ状異物の例を示した模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/22 D02J 1/22 J

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し
    単位とし、カルボキシル末端量[COOH]≦25ep/ton、ジ
    エチレングリコール含有量(DEG)≦1.3wt%、極限粘度
    ([η])≧0.85のポリエステルからなり、かつ乾収
    (△Sd)と中間伸度(S)の和△Sd+S≦11.0(%)、
    ターミナルモジュラス(TM)がTM≦50(g/d)、透過型
    顕微鏡で観測した糸中のキャッツアイ状の黒色異物が20
    00ケ/mg以下であり、強度(T)と伸度(E)で定義さ
    れるタフネ係数 が30以上である高タフネスポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】ゲルマニウム含有量(Ge)が10〜100ppmで
    ある請求項(1)記載の高タフネスポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】請求項(1)又は(2)記載のポリエステ
    ル繊維に接着剤処理を処して強度≧7g/dとなしたディッ
    プコード。
  4. 【請求項4】請求項(3)記載のポリエステル繊維をカ
    ーカス補強材として使用してなるタイヤ。
JP63332311A 1988-12-28 1988-12-28 高タフネスポリエステル繊維、およびそれからなるコードおよびタイヤ Expired - Fee Related JP2629923B2 (ja)

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