JP2775923B2 - ゴム補強用ポリエステル繊維 - Google Patents

ゴム補強用ポリエステル繊維

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JP2775923B2 JP1296586A JP29658689A JP2775923B2 JP 2775923 B2 JP2775923 B2 JP 2775923B2 JP 1296586 A JP1296586 A JP 1296586A JP 29658689 A JP29658689 A JP 29658689A JP 2775923 B2 JP2775923 B2 JP 2775923B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はゴム補強用ポリエステル繊維に関する。さら
に詳しくは、寸法安定性が良好で、高強度であり耐久性
に優れたゴム補強用ポリエステル繊維に関するものであ
る。
[従来の技術] ポリエステル繊維は機械的性質、寸法安定性、耐久性
に優れ衣料用途のみでなく産業用途にも広く利用されて
いる。なかでもタイヤコードなどのゴム補強用途ではそ
の特徴を生かし多量に利用されている。タイヤコード用
途では従来低配向の未延伸糸を高倍率延伸した高強度原
糸が使用されていたが、近年は比較的高配向の未延伸糸
(いわゆるPOY)を延伸して得た原糸が使用されるよう
になった。これは強度を若干犠牲にしてもコードの寸法
安定性を良くしタイヤ性能、特に均一性を向上させよう
というニーズから生まれた技術である。
しかしながら近年タイヤの性能をより向上させるた
め、寸法安定性を保持しながら高強度、高タフネスを有
するタイヤコードの要求が高まっている。かかる要求に
対し例えば特開昭60−88120号公報にはPOYを低速延伸す
る例が記載されているが、かかる延伸技術では繊維自体
のタフネス(強伸度積)の向上巾は小さく、タイヤコー
ドとしての画期的な強度上昇には至らず、要求される強
度・タフネスのレベルを満足できない。タフネス向上の
ためには繊維中の欠陥を減少させることが有効であると
考えられる。すなわちタイヤコード中には種々の欠陥
(異物)が存在するが、この欠陥はポリマ中に存在する
粒子が主因であり、かかる粒子は重合触媒に起因するも
のが多く、かかる粒子を根本的に無くしていくことが必
要である。
これまでゴム補強用ポリエステル繊維を製造するため
に用いられた触媒については、例えば特公昭37−5821号
公報に酢酸マンガン、三酸化アンチモン、リン酸の触媒
系が、又特開昭55−12871号公報に酢酸カルシウム、三
酸化アンチモン、亜リン酸の例が、又特開昭51−134789
号公報には酢酸リチウム、三酸化アンチモン、亜リン酸
の例が記載されている。これらの触媒を用いて重合した
場合には触媒に起因した粒子が数多く生成し、繊維中で
欠陥となり、最近の近い強度、タフネスの要求レベルを
満たす繊維は得られない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは寸法安定性が良好でしかも強度・タフネ
スに優れるポリエステル繊維を得るべく、ポリマから根
本的に鋭意検討し、高タフネスで、寸法安定性および耐
熱性、耐久性の良好なゴム補強用ポリエステル繊維に到
達したものである。
[課題を解決するための手段] 前記した本発明の目的は、アンチモンとして30〜150p
pmの量のアンチモン化合物とゲルマニウムとして5〜12
0ppmの量ゲルマニウム化合物を重合触媒として用いたポ
リエステルから成り、下記の特性を有するゴム補強用ポ
リエステル繊維によって達成できる。
A.カルボキシル末端基量(COOH) COOH≦25eg/ton B.ジエチレングリコール含有量(DEG) DEG≦1.3wt% C.極限粘度(IV) IV≦0.85 D.寸法安定性(S)(中間伸度+乾熱収縮率) S≦12.0% E.ターミナルモジュラス(Mt) Mt≦50g/d 本発明のポリエステルとはエチレンテレフタレートを
主たる繰り返し単位とするポリエステルをいう。ポリエ
ステルとしては、寸法安定性、強度の向上のため、副生
ジエチレングリコール以外の第3成分の添加、共重合や
無機粒子等の添加剤を実質的に含有しないポリエチレン
テレフタレートであることが好ましい。
本発明者らは寸法安定性を良好に保ちつつ高強度、高
タフネス化を実現するため繊維の強度を低下させる要因
について鋭意検討を行なった。その結果高強度化を阻害
しているのは糸中の欠陥、特に触媒に起因する粒子であ
ることをつきとめた。さらにこれらの粒子のうちでも特
に重合触媒として利用するアンチモン化合物から還元に
より生成する金属アンチモンが強度、タフネスに悪影響
を与えることを見出したのである。そこでこの金属アン
チモンの減少について鋭意検討した結果、重合触媒とし
てアンチモン化合物とゲルマニウム化合物を併用するこ
とでカルボキシル末端基量、ジエチレングリコール含有
量などの他のポリマ特性を阻害することなく上記の異物
の減少が図れることを見出した。
従って、本発明では重合触媒としてアンチモン化合物
とゲルマニウム化合物を併用する必要がある。通常の重
縮合時間で目標の極限粘度のポリマを得るにはアンチモ
ン化合物のみでは使用量の減少には限界があり、そのた
め金属アンチモンの減少には自ずから限界がある。又、
ゲルマニウム化合物のみではDEG量が増加し、糸の寸法
安定性が悪化する。重合触媒として用いられるアンチモ
ン化合物としては三酸化アンチモン、五酸化アンチモン
が好ましく、ゲルマニウム化合物としては二酸化ゲルマ
ニウムが好ましく用いられる。本発明のポリエステル繊
維に含まれるアンチモン化合物の量はアンチモンとして
30〜150ppmである必要がある。アンチモン化合物の量が
30ppm未満では重合反応性を保つためには併用するゲル
マニウム化合物を多量に用いなくてはならずコストが高
くなるばかりでなく、DEG量が高くなり、寸法安定性が
低下する。アンチモン化合物の量が150ppmを越えるとゲ
ルマニウム化合物の併用によって金属アンチモンの減少
をはかることができず、糸の強度、タフネスの向上が図
れない。又ゲルマニウム化合物の量はゲルマニウムとし
て5〜120ppmである必要がある。ゲルマニウム化合物の
量が5ppm未満では、重合反応性を保つために使用するア
ンチモン化合物量のアンチモン量を150ppm以下とするこ
とはできない。又、ゲルマニウム化合物のゲルマニウム
量が120ppmを越えると製造コストが大巾にアップするだ
けでなく、DEG量が高くなり寸法安定性が悪化する。か
かる観点からアンチモン化合物のアンチモン量は40〜12
0ppmが好ましく、80〜120ppmがさらに好ましい。又、ゲ
ルマニウムの量は5〜80ppmが好ましく、6〜30ppmがさ
らに好ましい。本発明のポリマの製造方法は直接重合方
法によってもジメチルテレフタレートを介した製造方
法、いわゆるDMT法によっても得られる。DMT法によって
製造する場合には、そのエステル交換反応触媒としてマ
ンガン化合物を使用することが好ましい。なお、リチウ
ム化合物やマグネシウム化合物などはポリエステル中に
粒子を生成するので好ましくない。
本発明のポリエステル繊維のカルボキシル末端基量
(COOH)は25eg/ton以下である必要がある。COOH量が25
eg/tonを越えるとゴム中の劣化が早くゴム補強用資材と
して耐久性が不足する。かかる観点からCOOH量は21eg/t
on以下が好ましい。
さらに本発明のポリエステル繊維中のジエチレングリ
コール含有量(DEG)は1.3wt%以下である必要がある。
DEG量が1.3wt%を越えると繊維の寸法安定性が悪化する
だけでなくゴム中での耐熱性も低下する。かかる観点か
らDEG量は1.1wt%以下が好ましい。
本発明のポリエステル繊維の極限粘度(IV)は0.85以
上である必要がある。IVが0.85未満では耐疲労性が劣り
ゴム補強用資材として使用できない。かかる観点からIV
は0.9以上が好ましい。又、製糸性など操業面の安定性
からIVは1.3以下が好ましい。
本発明のポリエステル繊維の寸法安定性(S)(中間
伸度+乾熱収縮率)は12%以下である必要がある。寸法
安定性(S)が12%を越えるとタイヤ成型時のコードの
寸法安定性が劣り、タイヤのユニフォミィティが低下す
る。かかる観点から寸法安定性(S)は10%以下が好ま
しく。また、製法の容易さから寸法安定性(S)は8%
以上が好ましい。
さらに本発明のポリエステル繊維のターミナルモジュ
ラスは50g/d以下である必要がある。ターミナルモジュ
ラスが50g/dを越えると燃糸時強力保持率が低く、原糸
の強度を高くしてもタイヤコードとしての強度は高くで
きない。かかる観点からターミナルモジュラスは35g/d
以下とすることが好ましい。
以上の如く重合触媒としてアンチモン化合物とゲルマ
ニウム化合物を併用し、しかもその量を厳密に制御する
ことで触媒起因の粒子の生成が抑制でき、しかもCOOH
量、DEG量などのポリマ特性が良好なポリマが得られ
る。このようなポリマを利用して始めて従来にない高性
能のポリエステル繊維が製造できるのである。
すなわち、上述の如く本発明において重合触媒として
利用するアンチモン化合物の還元により生成するアンチ
モン金属の量を極力減少させることが、本発明の目的で
ある高タフネスでしかも耐久性良好なゴム補強用ポリエ
ステル繊維を得るために重要なのである。
本発明者らの研究によると重合触媒として用いたアン
チモン化合物の還元により生成したアンチモン金属の量
を5ppm以下とすることが更に耐久性、タフネスの向上が
図れるので好ましく、3ppm以下がさらに好ましい。かか
るアンチモン金属の減少のため重合条件(時間・温度)
を厳密に制御することが好ましく、さらに防糸時に異常
滞留ゾーンが極力無いよう配慮することや、配管、パッ
ク部品にクロムメッキやテフロンコーティング等を行な
い還元反応を抑制することが好ましい。さらにタイヤコ
ードの如きゴム補強用資材では寸法安定性を良好にしつ
つ(中間伸度+乾熱収縮率を低い値に保ちつつ)、タウ
ネスの向上を図ることが要求される。
発明者らは、かかる要求についても鋭意検討した結
果、重合時に使用するリン化合物の添加方法や量および
種類を厳密にコントロールすることが上記要求のため、
重要であることを見出した。リン化合物は一般にポリマ
の耐熱性向上のため使用されるがリン化合物が上記の如
く繊維の寸法安定性とタフネスの関係に影響するという
のは正に驚くべき事実であり、本発明者らの研究の結果
見出した新しい知見である。
本発明者らの研究の結果、リン化合物としてはリン酸
を使用し、残存量をリン元素として10〜40ppm、かつ添
加時期は重縮合初期に添加することが好ましいことを見
出した。かかるリン化合物のコントロールにより同一の
寸法安定性に対する繊維のタフネスを高くできる。
すなわち、 T:強度(g/d)、E:伸度(%)なる数式を満足する如
く同一の寸法安定性でも高タフネスの繊維が得られるの
で好ましい。
かかるリン化合物の効果の原因については明確でない
が本発明者らはリン酸の如き3官能リン化合物の増粘作
用により紡糸時の繊維構造形成が制御されるためと推定
されている。上述の如く を満足するポリエステル繊維を使用すると、従来に比較
して著しく耐疲労性の向上が図れる。
本発明のポリエステル繊維は具体的には以下の方法に
より製造できる。
重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合
物を併用し、重縮合反応を行なう。この際リン化合物と
してリン酸を用いリン酸を重縮合初期にアンチモン化合
物、ゲルマニウム化合物の添加以前に添加することが好
ましい。重縮合に際しては、仕込み量、重合温度、重合
時を適宜選択し、IV0.65以上、COOH≦26eg/ton、DEG≦
1.3wt%のポリエチレンテレフタレートチップを得る。
かくして得られたチップを常法に従がい固相重合しCO
OH≦16eg/ton、IV1.0以上のポリエチレンテレフタレー
トを得、次いで溶媒紡糸し、加熱帯で徐冷した後、チム
ニー風で冷却固化しつつ引取る。この際紡糸機中の配管
及びパック部品をクロムメッキし、アンチモン金属の析
出(還元)を抑制することが好ましい。又、過用のフ
ィルタとして絶対過径30μ以下の金属線(SUS)不織
布を用いることが好ましい。さらに固相重合に使用する
チッ素や紡糸機内のチッ素中のダスト量を極力減少する
とともにチムニー風に用いる空気の過を行ないダスト
量を減少することがより好ましい。かかる製糸方法によ
り糸中に存在する異物数800個/mg以下、より好ましくは
500個/mg以下のレベルに保つことがタフネス、耐久性向
上のため好ましい。
かくして口金から吐出した糸条を引取速度1000m/分以
上、より好ましくは2000m/分以上4000m/分以下で高配向
紡糸する。この未延伸糸を紡糸にひき続き、又は一度巻
取った後、ホットローラ延伸を行ない220℃以上の温度
で熱セットする。この際延伸倍率やリラックス率を適宜
安定してターミナルモジュラスを50g/d以下とする。
[実施例] 以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
なお実施例中の物性は次の様にして測定した。
A.ポリマ中及び繊維中の金属量(アンチモン、ゲルマニ
ウム、リン量など)は蛍光X線法により求めた。
B.COOH量 試料0.5gをo−クレゾール10mlに溶解し、完全溶解後
冷却してからクロロホルム3mlを加え、NaOHのメタール
溶液にて電位差滴定を行ない求めた。
C.ジエチレングリコール含有量(DEG) 試料をアルカリ分解した後、ガスクロマトグラフィを
用いて定量した。
D.強伸度、中間伸度、ターミナルモジュラス東洋ボール
ドウイン社製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、
引取速度30cm/分でS−S曲線を求め、強伸度を算出し
た。
また同じS−S曲線から強度4.5g/dに対応する伸度を
読みとり中間伸度を求めた。ターミナルモジュラスは切
断速度から2.4%を減じた点における応力と破断応力と
の差を2.4×10-2で除して求めた。
E.乾熱収縮率△Sd 試料をカセ状にとり20℃、65%RHの温調室に24時間以
上放置したのち、試料の0.1g/dに相当する荷重をかけて
測定した長さl0の試料を、無張力状態で150℃のオーブ
ン中に15分放置したのち、オーブンから取り出し前記温
調室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長
さl1から次式により算出した。
△Sd=〔(l0−l1)/l0〕×100(%) F.糸中異物数 試料を単糸1本ずつに分割し、スライドガラスにたる
まないように張ってサンプリングした試料(長さ6cm)
を、オリンパス製光学顕微鏡(位相差法)を用い、倍率
200倍でスキャンし、糸中異物の数をカウントする。測
定数5でくり返し行ない平均値X(個/6cm)を求め、こ
の値をmgあたりの異物数に換算する。
G.極限粘度(IV) 温度25℃においてオルソクロロフェノール(以下OCP
とする)10mlに対し試料0.8gを溶解し、オストワルド粘
度計を用いて相対粘度(ηγ)を下式により求め、更に
IVを算出する。
ηγ=η/η=t×d/t0×d0 IV =0.0242ηγ+0.2634 η :ポリマ溶液の粘度 η0 :OCPの粘度 t :溶液の落下時間(秒) d :溶液の密度(g/cm3) t0 :OCPの落下時間(秒) d0 :OCPの密度(g/cm3) H.アンチモン金属量 ポリマ40gをOCP500mlに溶解し延伸分離(12,000rpm×
2hr)後、洗浄、乾燥する。得られた延伸沈降粒のスペ
クトルをX線回折装置により測定し、スペクトルから金
属アンチモンを定量する。
I.ゴム中での耐熱性 コードをゴム中にうめ込み150℃で6時間加硫後の強
力保持率で評価した。強力保持率70%以上を◎、60〜70
%を○、60%未満を×として示した。
J.耐疲労性(GY寿命) ASTM−D885に準じチューブ内圧3.5kg/cm2、回転速度8
50rpm、チューブ角度90゜としてチューブの破裂時間を
求めた。
結果は、 ◎は従来品(東レ(株)製の市販タイヤコード1000−
240−703M)に比べ3割以上アップしたもの ○は従来比で1〜3割アップしたもの △は従来品レベルのもの で示した。
実施例1 テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール50.
2部に酢酸マンガン4水塩0.035部を添加し、常法により
エステル交換反応を行なった。次いで得られた生成物に
リン酸を0.009部加えた後(Pとして29ppm)、二酸化ゲ
ルマニウム0.0025部(Geとして17ppm)を加え、さらに
三酸化アンチモン0.0125部(Sbとして104ppm)加えて3
時間10分重縮合反応を行なった。
(重合温度285℃) 得られたポリマの極限粘度(IV)は0.72、COOH17.1eg
/ton、DEG0.7wt%であった。又、得られたポリマ中のア
ンチモン量は100ppm、ゲルマニウム量は10ppm、リン量
は20ppmであった。本ポリマ中のアンチモン金属量は0.3
ppmであった。
上述のポリマを160℃で5時間予備乾燥後225℃で固相
重合しIV1.35の固相重合チップを得た。
このチップをエクストルーダ型紡糸機で紡糸温度295
℃にて紡糸した。この際フィルターとして絶対過径15
μの金属不織布を用い、口金は0.6mmφの丸孔を用い
た。又ポリマ配管及びパック部品のポリマと接触する部
分にクロムメッキをほどこすとともに、チムニー用チッ
素は1μのフィルターにて過し使用した。口金から吐
出した糸を長さ25cm、内径25cmφ、温度300℃の加熱筒
で徐冷後チムニー冷却風をあて冷却固化させ、給油した
後、表−1に示す引取速度で引取った。得られた未延伸
糸を延伸温度90℃、熱処理温度240℃で倍率、リラック
ス率を変更し、延伸糸を得た。
こうして製造したポリエステル繊維の糸中の異物数は
150個/mg〜450個/mgであり、IV0.98〜1.01、COOHは14eg
/ton、DEGは0.7wt%であった。
次にこの延伸糸に下撚をS方向に49T/10cm、上撚りを
Z方向に49T/10cmかけ生コードとした。
次にこのコードをリッラー社製のコンピュートリータ
を用いて接着剤をデップして処理コードを作成した。処
理条件は乾燥温度160℃、定長処理、熱処理温度240℃の
緊張処理、後処理温度は240℃の弛緩処理であった。こ
の緊張率、弛緩率を調整することにより処理コードの中
間伸度を3〜4%とした。原糸、生コード、処理コード
物性を表−1に示す。
表−1から明らかな如く特定のポリマを使用し、厳密
な製糸条件をとることにより本発明で規定した強伸度積
を越える高タフネス原糸(より詳細には を満足する高タフネス原糸)が得られる。
しかしながら、引取速度が低くSが12を越えるNo.1は
タイヤユニフォミティが不満足である。又No.3と同一条
件で紡糸したが、延伸条件を変えターミナルモジュラス
が50を越えたNo.5は原糸の強伸度積は高くとも撚糸、デ
ィップ時に強力低下し処理コードのタフネスは従来と大
差ないレベルに低下してしまう。高タフネスでタイヤユ
ニフォミティも良好となるのは本発明の範囲を満たすN
o.2〜4の繊維のみであった。
実施例2 実施例1と同じポリマを用い紡糸温度と滞留時間を変
更してカルボキシル末端基の量を変更した未延伸糸を実
施例1No.3と同一の条件で得た。表−2から明らかな如
くカルボキシル末端基量が25eg/ton以上となるとゴム中
耐熱性が悪化する。又、 実施例1のポリマ製造時にジエチレングリコールを添加
し、DEG量を変更した。
表−3如くDEGが1.3wt%を越えると寸法安定性が悪化す
るとともにゴム中の耐熱性も低下する。
実施例3 実施例1のポリマの製造に際して、添加する三酸化ア
ンチモン及び二酸化ゲルマニウムの量を変更しIV0.7の
チップを得た。該チップから実施例1の実験NO.3に準じ
てポリエステル繊維を得た。結果を表−4にポリマ特性
と合せて示した。
表−4から明らかな如くアンチモン量が150ppmを越え
るNo.11、17ではSbメタル量が多く、糸中異物数も多量
となりタフネスが著しく低下するのがわかる。又、アン
チモン量が30ppm未満のNo.14はゲルマニウム量111ppmな
ので重合反応性が悪くIV0.7とするためには重合時間が
長くなりCOOHが増加した。このため糸中のCOOH量が28.5
eg/tonとなりゴム中の耐熱性が不満足である。一方、ア
ンチモン量は30ppm未満とし、それに伴ないゲルマニウ
ム量を180ppmと多く添加したNo.15はDEG量が増加し、ゴ
ム中耐熱性が不満足であった。又、ゲルマニウム量を5p
pm未満としたNo.16はアンチモン量が150ppm以下では重
合反応性が悪くCOOH量が増加する。このため糸中のCOOH
量が29.6eg/tonとなりゴム中の耐熱性が不満足であっ
た。
本発明の目的はSb量30〜150ppmのアンチモン化合物、
Ge量5〜120ppmゲルマニウム化合物を重合触媒して用い
たNo.12、13のみで達成された。
実施例4 重縮合反応に用いるリン成分としてリン酸の変わりに
リン酸トリメチルを同一モルとなるように用いる以外は
実施例1と同一の方法でポリマを得た。このポリマを実
施例1No.3と同一方法で紡糸延伸し表−6に示す物性の
延伸糸を得た。
表−6の如くリンの種類を変えると同一条件で紡糸し
た時の収縮率が約1%高くなる。No.3と同様高タフネス
の糸は出来るが同一の寸法安定性(S)に対するタフネ
スという見方で比較すると低下する。
を満さなくなる)No.3とNo.18の耐疲労性はどちらも従
来糸に比べ優れていたが特に を満足するNo.3がNo.18より優れていた。
実施例5 実施例1No.3と同一条件で紡糸を行なった紡糸機は通
常用いる紡糸機を用い、パック部品も通常使用するもの
を用いて過フィルターも使用しなかった。
又、チッ素の過等も特に配慮しなかった。物性値を
下記する。
表−7に示したように紡糸条件が通常であると糸中異物
が増加しタフネスも従来品よりは依然高いもののNo.3よ
りも低下する。
[発明の効果] 本発明においてはポリマの触媒組成を規定し、かつポ
リエステル繊維を特定することにより、始めて高タフネ
スで寸法安定性、ゴム中耐熱性、耐久性が良好なゴム補
強用原糸が得られる。この原糸はタイヤコード用に特に
好適に用いられ従来比レスエンズ、レスプライ化が可能
でありタイヤ軽量化が実現できる。又、寸法安定性が良
好でユニフォミティの良好なタイヤが得られる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−69842(JP,A) 特開 昭59−53736(JP,A) 特公 昭59−48104(JP,B2) 特公 昭48−38795(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/62 306 D01F 6/62 302 C08G 63/85 - 63/86

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アンチモンとして30〜150ppmの量のアンチ
    モン化合物とゲルマニウムとして5〜120ppmの量のゲル
    マニウム化合物を重合触媒として用いたポリエステルか
    ら成り、下記の特性を有するゴム補強用ポリエステル繊
    維。 A.カルボキシル末端基量(COOH) COOH≦25eg/ton B.ジエチレングリコール含有量(DEG) DEG≦1.3wt% C.極限粘度(IV) IV≧0.85 D.寸法安定性(S)(中間伸度+乾熱収縮率) S≦12.0% E.ターミナルモジュラス(Mt) Mt≦50g/d
  2. 【請求項2】光学顕微鏡により透過光法で測定される糸
    中異物数が800個/mg以下である請求項(1)記載のゴム
    補強用ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】繊維のタフネス と寸法安定性(S)が下記式(I) を満たすことを特徴とする請求項(1)又は請求項
    (2)記載のゴム補強用ポリエステル繊維。
JP1296586A 1989-11-15 1989-11-15 ゴム補強用ポリエステル繊維 Expired - Lifetime JP2775923B2 (ja)

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