JP2628432B2 - 酸浸漬による焼酎用穀類麹の製造法 - Google Patents

酸浸漬による焼酎用穀類麹の製造法

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JP2628432B2
JP2628432B2 JP4251976A JP25197692A JP2628432B2 JP 2628432 B2 JP2628432 B2 JP 2628432B2 JP 4251976 A JP4251976 A JP 4251976A JP 25197692 A JP25197692 A JP 25197692A JP 2628432 B2 JP2628432 B2 JP 2628432B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼酎用穀類麹の改善さ
れた製造法に関する。より詳しくは本発明は、焼酎用穀
類原料に対して、散水して温度処理を行うα化と酸浸漬
によるα化とを連続して行った後製麹する焼酎用穀類麹
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】穀類麹を使用した食品は清酒、焼酎、味
醂をはじめ、味噌、醤油、米酢など数多く存在し、穀物
麹は日本人の食文化に深く根ざしたものとなっている。
一口に麹といっても各食品に必要な条件が違うために、
使用される種麹は様々で例えば、清酒、味醂ではアスペ
ルギルス・オリゼー(A.oryzae)、焼酎ではア
スペルギルス・カワチ(A.kawachii)、アス
ペルギルス・アワモリ(A.awamori)、味噌で
はアスペルギルス・オリゼー(A.oryzae)、醤
油ではアルペルギルス・オリゼー(A.oryza
e)、アスペルギルス・ソージエ(A.sojae)が
一般的である。また、製造法に違いが見られ、清酒、焼
酎麹の場合40〜44時間、味醂麹の場合44〜47時
間、味噌麹の場合40〜48時間、醤油麹の場合4〜5
日でそれぞれ製造される。
【0003】そして当然のことながら各種麹として必要
な性質の条件にも違いが見られ、清酒麹や味醂麹は、糖
化力が強く、たんぱく分解力が弱いことが必要であり、
焼酎麹はこれらの条件に加え、クエン酸生成が多いこと
が必要である。焼酎麹においてクエン酸が必要とされる
のは、焼酎が九州、沖縄など微生物の活動の盛んな気温
の高い地域、または時期に開放発酵で製造される関係で
醪汚染防止のためである。焼酎麹の製麹は引き込みから
24時間程度までは麹菌の増殖とα−アミラーゼ生成の
ため比較的高温(35〜38℃)で培養した後、漸次製
麹温度を降下させクエン酸を生成させるのが一般的であ
る。つまり、麹菌にクエン酸を生成させるために従来の
方法では最低40時間の製麹時間を必要とされる。
【0004】有機酸による化学浸漬は掛原料米を対象と
して戦前に研究され、その後近年になって原料米中の窒
素成分を除去するための研究がなされている。しかし、
清酒麹については、酸を生成しない黄麹菌を使用すると
ころ、清酒麹に酸を付加させる必要がないために麹原料
について化学浸漬を行った例はない。焼酎製造に関して
は、出麹酸度が低い場合には一般に1次仕込の段階で市
販のクエン酸をもろみに添加することにより対処してい
ることから焼酎麹を対象に原料に化学浸漬を試みた例も
ない。ところで、佐々木ら(佐々木正治、加藤良樹、内
田一生:農化,60,5(1986))は、醤油麹中の
クエン酸が麹pHに及ぼす影響およびクエン酸代謝機構
解明を目的としてクエン酸浸漬を行っているが、これは
添加したクエン酸の醤油麹中の消長を調べるためのもの
であり、焼酎製造についての製麹に関するものではな
い。また、従来の浸漬方法(掛流法)では、バッチシス
テムで、大量の化学浸漬水に原料を浸漬させるため、浸
漬水温度、浸漬時間そして有機酸濃度の設定が非常に難
しく、加えて大量に酸廃水が生じ公害を招く問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】焼酎麹の従来の製麹に
おいては、上述したように、引き込みから24時間程度
までは麹菌の増殖とα−アミラーゼ生成のため比較的高
温(35〜38℃)で培養した後、漸次製麹温度を降下
させクエン酸を生成させるのが一般的であり、麹菌にク
エン酸を生成させるために最低40時間もの長い製麹時
間が必要とされるところ、このところの時間短縮が技術
的課題としてある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記技術
的課題を解決すべく実験を介して鋭意研究を重ねた結
果、穀類原料を蒸気でα化し、再度適当な濃度のクエン
酸、乳酸あるいはリンゴ酸を単独でか或いはこれら有機
酸の複数の組み合わせで含んだ水の所定量に浸漬させ、
α化を行うことにより製麹過程で麹菌の増殖が速くなり
クエン酸生成が促進され、上記技術的課題が解決される
知見を得た。
【0007】本発明は、上述した知見に基づいて完成に
至ったものであり、従来の製麹時間を大巾に短縮し且つ
所定量のクエン酸生成をもたらす焼酎用穀類麹の製造法
を提供することを目的とする。
【0008】上記目的を達成する本発明の焼酎用穀類麹
の製造法の骨子はつぎのとおりのものである。即ち、焼
酎用穀類原料に対し2〜10重量%量の水を散水して1
20乃至180℃の温度の蒸気と10乃至40分間接触
させて前記穀類原料をα化し、該α化した穀類原料に、
クエン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少
なくとも一種の有機酸の所定量を含有する酸水溶液を2
0〜60重量%(前記穀類原料に対して)の範囲の量加
水して該α化した穀類原料を再度α化し、得られた二度
α化処理された穀類原料にアスペルギルス・カワチ(A
spergillus kawachii)またはアス
ペルギルス・オリゼー(Aspergillus or
yzae)を植菌して繁殖させて製麹を行うことを特徴
とする。
【0009】本発明においていう、上記有機酸の量は、
浸漬したときに原料に完全に吸水させた時の濃度を意味
し、単純に浸漬水中の有機酸量を意味するものではな
い。
【0010】本発明において、第2段のα化に際して使
用する有機酸は、クエン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる
群から選ばれる一種、二種または三種であることができ
る。いずれの場合にあっても、使用されるこれら三者の
有機酸については、穀類原料に対しての使用量が重要で
ある。即ち、クエン酸及びリンゴ酸については、共に
0.025〜0.20重量%(穀類原料に対して)とさ
れ、乳酸については、0.05〜0.30重量%(穀類
原料に対して)とされる。本発明においては、これらの
有機酸の少なくとも一種を所定量含有する酸水溶液が第
2段のα化に際して使用されるが、第1段のα化でα化
された穀類原料に該酸水溶液を加水して更なるα化、即
ち第2段のα化を行う際の該酸水溶液の量がまた重要で
あり、穀類原料に対し20〜60重量%の範囲にされ
る。
【0011】本発明によれば、従来の製麹法で少なくと
も40時間もの長時間を要するところが、大巾に短縮さ
れて、良質の焼酎用麹を効率的に得ることができる。具
体的には、従来法で44時間かけて得られる麹の酵素力
価および酸度と同じ水準に達するまでの時間は、本発明
によれば、上述の有機酸として一種の有機酸、即ち、ク
エン酸、乳酸またはリンゴ酸を使用する場合であって
も、30時間又はそれ以下の製麹時間でよく、従来法に
より得られる麹より良質な麹が得られる。上記有機酸と
して、クエン酸、乳酸及びリンゴ酸の三者を同時に使用
する場合本発明の効果は特に顕著であり、製麹時間は2
5時間程度でよく、好ましい効果が得られる。
【0012】以下に、本発明を完成するについて本発明
者らが行った実験について詳述する。なお、以下の実験
において、麹菌の菌体量は、日本醸造協会誌62,
(9)1029(1967)に記載の方法に従って測定
した。また、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、酸性
プロテアーゼ活性および酸度は、国税庁所定分析法注解
に基づいて行った。なお、以下の記載における“%”は
“重量%”を示す。
【0013】
【有機酸の選択】
【0014】(1)クエン酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
1%のクエン酸を含んだ原料の35%量の水を加え全量
吸水させた後、常法により30分間蒸した。これに原料
1kg当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ(A.
kawachii))を接種し、製麹を行った。培養条
件は図1のパターンに従って実施した。
【0015】(2)乳酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
15%の乳酸を含んだ原料の35%量の水を加え全量吸
水させた後、常法により30分間蒸した。これに原料1
kg当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ(A.k
awachii))を接種し、製麹を行った。培養条件
は図1のパターンに従って実施した。
【0016】(3)リンゴ酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
1%のリンゴ酸を含んだ原料の35%量の水を加え全量
吸水させた後、常法により30分間蒸した。これに原料
1kg当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ(A.
kawachii))を接種し、製麹を行った。培養条
件は図1のパターンに従って実施した。
【0017】(4)酢酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
1%の酢酸を含んだ原料の35%量の水を加え全量吸水
させた後、常法により30分間蒸した。これに原料1k
g当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ(A.ka
wachii))を接種し、製麹を行った。培養条件は
図1のパターンに従って実施した。
【0018】(5)コハク酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
1%のコハク酸を含んだ原料の35%量の水を加え全量
吸水させた後、常法により30分間蒸した。これに原料
1kg当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ(A.
kawachii))を接種し、製麹を行った。培養条
件は図1のパターンに従って実施した。
【0019】(6)プロピオン酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
1%のプロピオン酸を含んだ原料の35%量の水を加え
全量吸水させた後、常法により30分間蒸した。これに
原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ
(A.kawachii))を接種し、製麹を行った。
培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0020】(7)塩酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
1%の塩酸を含んだ原料の35%量の水を加え全量吸水
させた後、常法により30分間蒸した。これに原料1k
g当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ(A.ka
wachii))を接種し、製麹を行った。培養条件は
図1のパターンに従って実施した。
【0021】(8)従来法 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料の35%量
の水を加え全量吸水させた後、常法により30分間蒸し
た。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス
・カワチ(A.kawachii))を接種し、製麹を
行った。培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0022】(9)まとめ 表1にそれぞれの有機酸の各濃度での菌体量、α−アミ
ラーゼ、グルコアミラーゼ、酸性プロテアーゼおよび酸
度を示した。この結果から使用した有機酸の内、クエン
酸、リンゴ酸、乳酸で麹菌増殖が速く、プラスに作用す
ることが判明した。つまり菌体量は0.15%乳酸が
9.7mg/g麹、0.10%クエン酸が13.0mg
/g麹、0.10%リンゴ酸が9.5mg/g麹であっ
た。0.10%塩酸は7.5mg/g麹で従来法7.3
mg/g麹よりも高く、0.10%酢酸は5.4mg/
g麹、プロピオン酸は5.8mg/g麹で従来法よりも
少なかった。またα−アミラーゼ活性はクエン酸、乳
酸、リンゴ酸が90units/g麹以上に対し、従来
法の麹は65units/g麹であった。酢酸、塩酸、
プロピオン酸は従来法と同程度かそれ以下であった。グ
ルコアミラーゼは0.15%乳酸153units/g
麹、0.10%クエン酸が148units/g麹、
0.10%リンゴ酸も133units/g麹を示し、
従来法とは明らかな違いがあった。塩酸、酢酸、プロピ
オン酸は従来法と顕著な違いは見られなかった。酸性プ
ロテアーゼは0.10%クエン酸、0.15%乳酸、
0.10%リンゴ酸が4,900以上を示し、従来法は
4,560units/g麹で顕著な違いが判明した。
酸度はクエン酸を含む水で浸漬した麹が最も多くて4.
3以上、乳酸で4.1以上、リンゴ酸は3.8以上であ
った。塩酸は従来法よりもやや高く、酢酸、プロピオン
酸は逆に低くなることが明らかになった。
【0023】
【クエン酸、乳酸、リンゴ酸を単独で使用した場合の最
適条件の選択】前項よりクエン酸、乳酸、リンゴ酸が麹
菌増殖を促進することが明らかとなったことから、各有
機酸の増殖促進作用に対する最適濃度を検討した。
【0024】(1)クエン酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
025〜0.20%のクエン酸を含んだ原料の35%量
の水を加え全量吸水させた後、常法により30分間蒸し
た。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス
・カワチ(A.kawachii))を接種し、製麹を
行った。培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0025】(2)乳酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
025〜0.30%のクエン酸を含んだ原料の35%量
の水を加え全量吸水させた後、常法により30分間蒸し
た。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス
・カワチ(A.kawachii))を接種し、製麹を
行った。培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0026】(3)リンゴ酸 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
025〜0.20%のクエン酸を含んだ原料の35%量
の水を加え全量吸水させた後、常法により30分間蒸し
た。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス
・カワチ(A.kawachii))を接種し、製麹を
行った。培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0027】(4)従来法 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料の35%量
の水を加え全量吸水させた後、常法により30分間蒸し
た。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス
・カワチ(A.kawachii))を接種し、製麹を
行った。培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0028】(5)まとめ 表2にそれぞれの有機酸の各濃度での菌体量、α−アミ
ラーゼ、グルコアミラーゼ、酸性プロテアーゼおよび酸
度を示した。表2の結果から次のことが判明した。すな
わちクエン酸は0.05〜0.15%、乳酸は0.07
5〜0.25%、リンゴ酸では0.05〜0.15%で
最も麹菌増殖が促進された。最適濃度ではクエン酸が最
も良く、乳酸、リンゴ酸は同程度であった。またクエン
0.025〜0.05%、0.15〜0.20%、乳
酸0.05〜0.075%、0.25〜0.30%、リ
ンゴ酸0.025〜0.05%、0.15〜0.20%
でも従来法よりも増殖が促進されることが判明した。次
に各有機酸の最適濃度(原料に対し0.1%クエン酸、
0.15%乳酸そして0.1%リンゴ酸)で製麹中の菌
体量、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、酸性プロテ
アーゼおよび酸度の経時的変化を検討した。その結果を
表3に示した。製麹30時間で各酵素活性、酸度とも従
来法で44時間製麹した時と同じ程度の値を示した。従
来法で44時間培養した麹の酵素力価および酸度と同じ
水準に達するまでの時間は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸
のそれぞれの使用で、30時間以下の短時間で従来法と
同じ麹が製造できることが判明した。
【0029】
【クエン酸、リンゴ酸、乳酸を複数組み合わせて使用した場合の最適条件】
【0030】前項で明らかにした各有機酸の最適濃度を
越えない範囲で各種有機酸を組み合わせて前項と同様の
試験を行った。
【0031】(1)複数組み合わせ法 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
025〜0.20%クエン酸、0.05〜0.30%の
乳酸、0.025〜0.20%リンゴ酸を様々な濃度で
組み合わせた原料に対し35%量の酸水溶液を加えて全
量吸水させた後、常法により30分間蒸した。これに原
料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス・カワチ
(A.kawachii))を接種し、製麹を行った。
培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0032】(2)従来法 精白した大麦に2〜10%量(原料に対し)の水を散布
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料の35%量
の水を加え全量吸水させた後、常法により30分間蒸し
た。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペルギルス
・カワチ(A.kawachii))を接種し、製麹を
行った。培養条件は図1のパターンに従って実施した。
【0033】(3)まとめ 表4及び表5に従来法と比較した結果を示した。クエン
酸0.025〜0.05%、乳酸0.05〜0.075
%、リンゴ酸0.025〜0.05%での複数組み合わ
せで使用した結果、単独で浸漬するよ効果が増大し
た。つまり、これら3種類の酸を組み合わせることによ
り製麹25時間で従来法で44時間製麹した時と同じ程
度のクエン酸量もしくは活性を示した。
【0034】
【アスペルギルス・オリゼー(A.oryzae)での
場合】アスペルギルス・オリゼー(A.oryzae)
を種麹として前項と同様の試験を行った。すなわち、ク
エン酸は0.05〜0.15%が最も良く、0.025
〜0.05%、0.15〜0.20%も酵母の増殖に好
ましい濃度であった。乳酸は0.075〜0.20%が
最も良く、0.05〜0.75%、0.20〜0.22
5%も好ましかった。リンゴ酸では0.05〜0.15
%が最も良く、0.025〜0.05%、0.15〜
0.175%も好ましかった。A.oryzaeでも従
来法で44時間培養した麹と同じ品質になるには25〜
30時間で達することが判明した。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の内容を説明す
るが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるもの
ではない。
【0036】
【比較例】大麦10kgに水1lを散水した後に150
℃の蒸気でα化し、水3.5lを加え、すべて吸水させ
た後、30分こしきで蒸した。放冷後、種麹(アスペル
ギルス・カワチ(A.kawachii))10gを加
え、図1の温度パターンに従って培養した。
【0037】
【実施例1】大麦10kgに水1lを散水した後に15
0℃の蒸気でα化し、クエン酸10gを含んだ水3.5
lを加えすべて吸水させた後、30分こしきで蒸した。
放冷後、種麹(アスペルギルス・カワチ(A.kawa
chii))10gを加え、図1の温度パターンに従っ
て培養した。その結果、24時間後麹菌は大麦表面全体
に増殖し、44時間培養したブランクよりも明らかに増
殖していた。酵素力価は、表6に示すように24時間培
養時点でブランクよりも高く、酸度も高かった。
【0038】
【実施例2】大麦10kgに水1lを散水した後に15
0℃の蒸気でα化し、乳酸10gを含んだ水3.5lを
加えすべて吸水させた後、30分こしきで蒸した。放冷
後、種麹(アスペルギルス・カワチ(A.kawach
ii))10gを加え、図1の温度パターンに従って培
養した。その結果、30時間後麹菌は大麦表面全体に増
殖し、44時間培養したブランクよりも明らかに増殖し
ていた。酵素力価は表6に示すようにブランクよりも高
く、酸度も高かった。
【0039】
【実施例3】大麦10kgに水1lを散水した後に15
0℃の蒸気でα化し、リンゴ酸10gを含んだ水3.5
lを加えすべて吸水させた後、30分こしきで蒸した。
放冷後、種麹(アスペルギルス・カワチ(A.kawa
chii))10gを加え、図1の温度パターンに従っ
て培養した。その結果、30時間後麹菌は大麦表面全体
に増殖し、44時間培養したブランクよりも明らかに増
殖していた。酵素力価は表6に示すようにブランクより
も高く、酸度も高かった。
【0040】
【実施例4】大麦10kgに水1lを散水した後に15
0℃の蒸気でα化し、クエン酸5g、乳酸5g、リンゴ
酸5gを含んだ水3.5lを加え、すべて吸水させた
後、30分こしきで蒸した。放冷後、種麹(アスペルギ
ルス・カワチ(A.kawachii))10gを加
え、図1の温度パターンに従って培養した。その結果、
28時間後麹菌は大麦表面全体に増殖し、44時間培養
したブランクよりも明らかに増殖していた。酵素力価
は、表6に示すようにブランクよりも高く、酸度も高か
った。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】 比較;○:従来法より良,×:従来法と同じまたは劣
【0045】
【表5】 比較;○:従来法より良,×:従来法と同じまたは劣
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果の概要】上述したように、殻類原料を蒸気
でα化し、α化した殻類原料にクエン酸、乳酸及びリン
ゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の有機酸の
所定量を含有する酸水溶液を20〜60重量%(前記殻
類原料に対して)の範囲の量加水して該α化した殻類原
料を再度α化し、得られた二度α化処理された殻類原料
に種麹を植菌して培養することにより、従来の製麹時間
は大巾に短縮でき、且つ従来法により得られる麹より良
質の麹が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明における製麹時の培養パターンを示すグ
ラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼酎用穀類原料に対し2〜10重量%量
    の水を散水して120乃至180℃の温度の蒸気と10
    乃至40分間接触させて前記穀類原料をα化し、該α化
    した穀類原料に、クエン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる
    群から選ばれる少なくとも一種の有機酸の所定量を含有
    する酸水溶液を20〜60重量%(前記穀類原料に対し
    て)の範囲の量加水して該α化した穀類原料を再度α化
    し、得られた二度α化処理された穀類原料にアスペルギ
    ルス・カワチ(Aspergillus kawach
    ii)またはアスペルギルス・オリゼー(Asperg
    illus oryzae)を植菌して繁殖させて製麹
    を行うことを特徴とする焼酎用穀類麹の製造法。
  2. 【請求項2】 前記酸水溶液が、0.025〜0.20
    重量%のクエン酸またはリンゴ酸、または0.05〜
    0.30重量%の乳酸(いずれも前記穀類原料に対し
    て)を含有するものである、請求項1に記載の焼酎用穀
    類麹の製造法。
  3. 【請求項3】 前記酸水溶液が、クエン酸0.025〜
    0.05重量%、乳酸0.05〜0.075重量%、リ
    ンゴ酸0.025〜0.05重量%(いずれも前記穀類
    原料に対して)を含有するものである、請求項1に記載
    の焼酎用穀類麹の製造法。
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