JP3613541B2 - インディカ粳米による酒類、甘味食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は酒類、甘味食品の製造方法に関し、更に詳細には、インディカ粳米の原料利用率を向上させ、インディカ粳米特有の雑味の低減及び臭いの除去を可能とした酒類、甘味食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、わが国の酒類や甘味食品の製造には、原料として主に穀物が用いられ、その一つに米が挙げられるが、主として日本で栽培されるジャポニカ米が用いられている。主として外国で栽培されるインディカ米は、通常は酒類に使用されることはなく、例外的に沖縄県の焼酎である泡盛ではタイ米(インディカ粳米)の破砕した米を蒸し、製麹して全量麹とし、それを用いて製品としているのみである。
インディカ粳米はジャポニカ粳米に比べて吸水し難く、同じ処理条件で蒸しを行ってもα化率が低く、酵素消化性の悪いことが知られている。そのため、蒸す前に乾燥(温度40〜60℃)させて米の水分を減少させ、吸水率の向上を図ったり、いわゆる二度蒸しを行ってα化率の向上を図っているが、操作に手間どること、ジャポニカ粳米に比べてデンプンの老化が進みやすいことから粕量が多くなり、原料利用率が低く、酒類の原料としては適性を欠いている。また、インディカ粳米は特有の臭いがあり、嗜好品である酒類とするには、香味の点でジャポニカ粳米を原料とする場合に比べて微妙に異なるものとなり、実用的には原料として利用されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
インディカ粳米は、アミロース含量が高く、窒素成分が比較的多い等の性質を有しており、前記従来の酒類の原料処理では、インディカ粳米の原料利用率は、ジャポニカ粳米に比べて低く、経済的見地よりインディカ粳米を原料とした醸造技術の確立が望まれている。また、製成した酒質は雑味が多いものとなり、インディカ粳米特有の臭いがする等、製品品質の面からも問題点を有していた。
本発明の目的は、インディカ粳米を原料として用いた場合に、ジャポニカ粳米を原料として用いた場合と同程度にまで原料利用率を向上させ、更に、インディカ粳米特有の雑味の低減及び臭いの除去を達成し、香味の優れた高品質の酒類、甘味食品の製造方法を提供することにある。
【0004】
本発明を概説すれば、本発明は、酒類又は甘味食品を製造する方法において、原料として少なくとも一部に温度200〜400℃、時間数秒から5分間で焙炒処理したインディカ粳米を用いることを特徴とする、インディカ粳米の原料利用率を向上させ、インディカ粳米特有の雑味の低減及び臭いの除去を可能とする酒類、甘味食品の製造方法に関する。
【0005】
本発明における酒類としては、清酒、焼酎、みりん等を挙げることができる。更に、本発明における甘味食品としては、甘酒等を挙げることができる。
清酒の製造は原料処理、仕込、糖化・発酵、上槽及び精製工程よりなる。焼酎は原料処理、仕込、糖化・発酵(糖化・発酵)、蒸留及び精製工程よりなる。みりんは原料処理、仕込、糖化・熟成、上槽及び精製工程よりなる。更に、甘酒は原料処理、仕込及び糖化工程よりなる。醸造の原料の一般的処理は、精白、洗浄、浸漬、水切り、蒸煮、放冷の工程があるが、前記した原料処理は、掛原料及び/又は麹原料の処理、製麹工程も含んでいる。糖化には液化を含んでいる。
【0006】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、清酒、焼酎、みりん、甘酒等の酒類又は甘味食品を製造する方法において、原料として少なくとも一部に焙炒処理したインディカ粳米を用いることにより、従来用いられていた、蒸す前にあらかじめ乾燥処理を行うことや二度蒸しの処理を行うことに比べて、原料利用率が向上し、著しく香味を改善することが可能であることを見出した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明におけるインディカ粳米は、分類上ジャポニカ米と対比されるインディカ米の粳米のことをいう。インディカ米としては、品種群の分類ではインド型、中国型等を挙げることができ、粒長の分類では極長粒型、長粒型等を挙げることができる〔1995年9月1日、(株)朝倉書店発行、竹生新治郎監修、石谷孝佑、大坪研一編「米の科学」(初版第1刷)、第3頁、第14頁〕。精白してもよいし、精白しなくてもよい。粒状でもよいし、粉体原料又はその粒状若しくはペレット状等の成形加工品でもよい。
インディカ粳米と併用して、インディカ粳米以外の原料穀物、例えば、インディカ粳米以外の米、麦、ヒエ、アワ、コウリャン、トウモロコシ等も原料として利用できる。これらの穀物は、精白してもよいし、精白しなくてもよい。また、粒状でもよいし、粉体原料又はその粒状若しくはペレット状等の成形加工品でもよい。
【0008】
本発明において原料は、そのまま用いてもよいし、あらかじめ加水して用いてもよい。加水の方法は、特に限定されないが、例えば限定吸水、洗米、浸漬、水切り、表面乾燥等を行い、所定の含水率とすることができる。含水率は好ましくは10〜50%、特に好ましくは25〜35%の範囲で適宜選択されるが、用いる原料や焙炒処理の条件により変更することができる。
【0009】
本発明の焙炒処理とは、乾燥熱風による加熱のことをいう。
焙炒処理の条件は、被処理物の種類及び形態や含水率により適宜選択され、処理温度は好ましくは120〜400℃、特に好ましくは200〜400℃、処理時間は好ましくは数秒から2時間未満、特に好ましくは数秒から5分間の範囲から選択すればよい。
【0010】
焙炒処理したインディカ粳米を用いての酒類、甘味食品の製造は常法に従って行うが、焙炒処理したインディカ粳米を原料として少なくとも一部に用い、水又は温水を加え、更に酵素剤及び/又は麹を加えて、混合し、液化する工程を包含することにより行える。
液化の方法に特に限定はなく、常法で行ってよく、例えば、装置は回分式及び/又は連続式を用いることができる。酵素剤は単独でも使用できるが、麹単独での使用でもよく、酵素剤と麹を併用することもできる。
焙炒処理したインディカ粳米は、そのまま用いてもよいし、粉砕して用いてもよい。
【0011】
酵素剤としては、動物、植物、微生物由来の酵素剤を用いればよいが、酒類、甘味食品の製造に使用する酵素剤として、液化酵素剤及び/又は糖化酵素剤が挙げられる。液化酵素剤としては、中温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化学工業(株)製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、クライスターゼ〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−800〔上田化学工業(株)製〕や、高温性のスピターゼHS〔ナガセ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ(株)製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)製〕、コクゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用できる。糖化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ(株)製〕、スミチームL〔新日本化学工業(株)製〕、ユニアーゼK〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビアーゼK−27〔ナガセ生化学工業(株)製〕、タカラチームPLS〔ナガセ生化学工業(株)製〕等が使用できる。液化酵素剤単独でもよいが、糖化酵素剤を併用してもよい。その他の酵素剤としてプロテアーゼ剤、リパーゼ剤、セルラーゼ剤、ヘミセルラーゼ剤を併用してもよい。
【0012】
酵素剤として生デンプン分解酵素を作用させることもできる。一般に、アミロース含量が高いと老化しやすいことが知られており、生デンプン分解酵素により老化してデンプンの糖化の促進が図れるので、生デンプン分解酵素を作用させることにより原料利用率を向上させることができる。醪の扱い易さも向上するので、作業性の面からも有効である。ここでいう生デンプン分解酵素は、動物、植物及び微生物の起源を問わないが、例えばリゾプスsp.、高温性アスペルギルスsp.、カララ パラドクサ由来酵素等が挙げられる。
【0013】
焙炒処理したインディカ粳米に、水又は温水を添加、混合し、種麹菌を接種し、常法に従って製麹することにより香りの良い麹を得ることができる。水又は温水を添加、混合する方法は、特に限定されないが、例えば散水、浸漬、加湿空気の通気等がある。含水率は好ましくは20〜50%、特に好ましくは25〜35%の範囲で適宜選択されるが、用いる原料や焙炒処理の条件により変更することができる。種麹菌として使用できる麹菌に特に限定はないが、例えば黄麹菌、黒麹菌、白麹菌、紅麹菌等醸造に用いられるものが挙げられる。
【0014】
上述したように、インディカ粳米を焙炒処理することにより、原料粒が多孔質となり、水が米の細部にまで浸透し、α化率の向上が認められ、難消化性デンプンのα化が可能となる。また、タンパク質の変性、脂質の揮散等の作用が生じ、インディカ粳米特有の雑味の低減及び臭いの除去が可能となる。したがって、インディカ粳米を原料とした場合に、従来の原料処理方法に比べて、原料利用率が向上し、また、例えば酒類では製成した酒質は香味の優れたものとなる。
【0015】
〔検討例〕
以下、本発明を検討例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれら検討例に限定されない。
【0016】
検討例1
精米歩合75%のインディカ粳米を用い、下記に示す各種処理方法で得られる米の酵素消化率の測定を行った。
蒸し処理は、洗米し、15℃で18時間浸漬した後、ザル上で15℃、3時間の水切りを行い、常圧、100℃で60分間蒸すことにより行った。約30℃まで放冷した後、酵素消化率の測定を行った。
二度蒸し処理は、前記蒸し処理を行って得られた蒸米に冷水を散水した後、再度常圧、100℃で、60分間蒸すことにより行った。約30℃まで放冷した後、酵素消化率の測定を行った。
液化処理は、脱イオン水1600mlを45℃まで昇温し、塩化ナトリウム714mg、硫酸カルシウム2水和物71mgを加え、溶解した後、精白した丸米又は焙炒処理米を1000gの一部と液化酵素S−400〔ナガセ生化学工業(株)製〕285mgを添加し、酵素剤が溶解した後、それぞれへ残りの丸米又は焙炒処理米を投入することにより行った。温度経過は45℃、30分間保持、85℃まで40分間かけて昇温、85℃、40分間保持、30℃まで30分間かけて冷却することとした。
直接焙炒処理は、精白した丸米を260℃、30秒間焙炒処理することにより行った。浸漬焙炒処理は、精白した丸米を洗米し、15℃で18時間浸漬した後、ザル上で15℃、3時間の水切りを行い、その後表面水分を熱風にて除去し、その浸漬表面乾燥米を、290℃、30秒間焙炒処理することにより行った。
直接焙炒処理した米に液化処理したものを直接焙炒液化処理とし、浸漬焙炒処理した米に液化処理したものを浸漬焙炒液化処理とした。それぞれの処理方法を行い、液化終了後の液化液について酵素消化率の測定を行った。
各種処理方法の違いによる酵素消化率を表1に示す。
【0017】
蒸し処理、二度蒸し処理した米の酵素消化率については、蒸米50gを0.4%コクラーゼSS〔三共(株)製〕200ml中に入れ、55℃、24時間消化後の消化液について以下の式(数1)で定義する。
【0018】
【数1】
〔(消化終了後の消化液中の全固形分重量)/(蒸米中の全固形分重量)〕×100=蒸米酵素消化率(%)
【0019】
液化終了後の液化液の酵素消化率は、以下の式(数2)で定義する。
【0020】
【数2】
〔(液化終了後の液化液中の全固形分重量)/(液化処理に用いた原料の全固形分重量)〕×100=液化液酵素消化率(%)
【0021】
【表1】
【0022】
表1に示すように、インディカ粳米を蒸し処理、二度蒸し処理、丸米液化処理したものは、それぞれ66.1%、75. 8%、74.9%と低い酵素消化率であった。それに対して、インディカ粳米を浸漬焙炒処理、直接焙炒液化処理、浸漬焙炒液化処理したものは、二度蒸し処理に比べ、酵素消化率が著しく向上し、香りも改善された。特に焙炒処理と液化処理を組合せることにより、酵素消化率が改善され、香りも良いという評価が得られた。
【0023】
検討例2
表1に示す各種処理方法の酵素消化率の測定を行った消化液又は液化終了後の液化液に生デンプン分解酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼM、リゾプスsp.起源〕を重量当り0.1%(w/w)添加し、更に防腐用にトルエンを0.5%(v/w)添加した後、30℃で48時間反応させ、酵素消化率の測定を行った。対照は生デンプン分解酵素を無添加として、酵素消化率の測定を行った。結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示すように、生デンプン分解酵素を添加することにより、更に酵素消化率が向上した。インディカ粳米を浸漬焙炒処理、直接焙炒液化処理、浸漬焙炒液化処理したものは、二度蒸し処理に比べ、酵素消化率が著しく向上した。特に焙炒処理と液化処理を組合せることにより、酵素消化率が顕著に向上するという結果が得られた。
【0026】
検討例3
精米歩合70%のインディカ粳米を用いて清酒麹の各種製麹試験を行った。
蒸し処理:検討例1と同様の条件で行った。
二度蒸し処理:検討例1と同様の条件で行った。
焙炒処理:加水後の水分含量が28%となるように加水し、290℃、30秒間焙炒処理した。
製麹条件:焙炒処理したインディカ粳米に、加水後の水分含量が32%となるように加水し、清酒用麹菌胞子を処理米重量当り0.1%接種し、引き込み温度30℃、最高品温41℃で常法により43時間の培養を行った。
麹を評価した結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
酵素活性は第四回改正国税庁所定分析法注解に記載の方法によった。
α−アミラーゼ活性:40℃で30分間に分解される1%可溶性デンプン量(ml)で表示し、1mlが1単位となる。
グルコアミラーゼ活性:可溶性デンプンから40℃で60分間に1mgのブドウ糖を生成する活性を1単位とする。
酸性プロテアーゼ活性(pH3.0):40℃で60分間に1μgのチロシン相当量の呈色を示す活性を1単位とする。
酸性カルボキシペプチダーゼ活性(pH3.0):カルボベンゾキシ−グルタミル−チロシンから30℃で60分間に1μgのチロシンを生成する活性を1単位とする。
【0029】
表3より、インディカ粳米を焙炒処理した米を用いた清酒麹は、蒸し処理した米を用いた麹や、二度蒸し処理した米を用いた麹に比べ、α−アミラーゼ活性、グルコアミラーゼ活性、酸性プロテアーゼ活性、酸性カルボキシペプチダーゼ活性において高い値を示し、麹の香りも良好であった。
【0030】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0031】
実施例1
精米歩合75%のインディカ粳米を用いて、各種処理方法を変えて清酒の試醸を行った。蒸米仕込は表4に示す仕込配合により行い、液化仕込は表5に示す仕込配合により行った。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
蒸し処理:洗米し、15℃で18時間浸漬した後、ザル上で15℃、3時間水切りを行い、常圧、100℃で60分間蒸すことにより行った。約30℃まで放冷した。
二度蒸し処理:前記蒸し処理を行って得られた蒸米に冷水を散水した後、再度常圧、100℃で60分間蒸すことにより行った。約30℃まで放冷した。
焙炒処理:加水後の水分含量が28%となるように加水し、290℃、30秒間焙炒した。
麹:精米歩合70%の日本晴を使用し、常法により蒸し、清酒用麹菌胞子を接種し、常法により培養した。
酵母:協会酵母701号、培養酵母
液化処理:脱イオン水1600mlを45℃まで昇温し、塩化ナトリウム714mg、硫酸カルシウム2水和物71mgを加え、溶解した後、精白した丸米又は焙炒処理米を1000gの一部と液化酵素S−400〔ナガセ生化学工業(株)製〕285mgを添加し、酵素剤が溶解した後、それぞれへ残りの丸米又は焙炒処理米を投入することにより行った。温度経過は45℃、30分間保持、85℃まで40分かけて昇温、85℃、40分間保持、30℃まで30分かけて冷却することとした。
蒸し処理、二度蒸し処理した米は蒸米仕込、丸米、焙炒処理した米は液化仕込とした。発酵は、留後5日目より、最高品温が15℃となるようにし、留後13日目より、降温し、留後18日目で上槽した。上槽液の分析結果を表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】
表6より、インディカ粳米を焙炒液化処理した場合の粕歩合は13.7%と、蒸し処理の粕歩合29.6%、二度蒸し処理の粕歩合25.0%に対して、著しく減少した。香りにおいてもインディカ粳米特有の臭いもなくなった。味の面でも、アミノ酸度は二度蒸し処理の場合より著しく低く、雑味の少ない酒質とすることができた。
【0037】
実施例2
精米歩合80%のインディカ粳米を、加水後の水分含量が30%となるようにし、300℃で30秒間焙炒処理したものを用いて、表7に示す仕込配合により焼酎の試醸を行った。麹は検討例3の方法に準じて焼酎用麹菌を用いて調製した。対照には、実施例1と同様に二度蒸し処理したインディカ粳米を用いた。スピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕1.6gをそれぞれの醪に添加した。一次仕込時に焼酎酵母1.0gを添加し、30℃で7日間発酵を行い、更に二次仕込で焙炒処理米を用いて常法に従い発酵を行った。焼酎の発酵醪の成分分析値、それらを減圧ポットスチルで蒸留した中留区分の香気エステル量及び官能検査結果を表8に示す。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【0041】
表8より、インディカ粳米を浸漬焙炒処理した場合は、二度蒸し処理の場合に比べて、生成するアルコール分が多く、原料利用率が向上した。香気成分である酢酸イソアミル、カプロン酸エチル含量も多く、留液の官能検査結果も、特に香りの項目において優れていた。
【0042】
実施例3
精米歩合85%のインディカ粳米を二度蒸し処理又は焙炒処理した米1890gを12リットル容の容器に予め細菌α−アミラーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼCP−3〕676mgを溶解した16%希釈アルコール溶液2780gへ混合した。この混合物へ米麹640gと糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、デナチームXP−353〕300mg、生デンプン分解酵素〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼM〕1000mgを投入し、第一次仕込醪とし、室温(25〜30℃)で30日間糖化・熟成してみりんを試醸した。仕込配合を表9に示す。
【0043】
【表9】
【0044】
糖化・熟成後の醪を圧搾し、浸漬焙炒処理では5700gの搾汁液と600gの粕を、二度蒸し処理では5500gの搾汁液と800gの粕を得た。得られた搾汁液の成分分析値を表10に示す。
【0045】
【表10】
【0046】
これらの搾汁に、その後37w/w%アルコール2290g及びデンプン部分加水分解物(水分22w/w%)を4210g添加した。
浸漬焙炒処理及び対照の二度蒸し処理について成分分析値及び官能検査結果を表11に示す。
【0047】
【表11】
【0048】
最終的に得られたみりんは、浸漬焙炒処理で12400g、対照の二度蒸し処理で12000gであり、浸漬焙炒処理のみりんは対照の二度蒸し処理のみりんに比べてみりん得量が多く、香りも良かった。したがって、収率及び品質、特に香りの面でインディカ粳米特有の臭いもなくなり、二度蒸し処理に比べて浸漬焙炒処理が優れていた。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に従ってインディカ粳米を処理することにより、酒類の製造においては、インディカ粳米の原料利用率を向上させ、また、香りにおいてインディカ粳米特有の臭いがなくなり、雑味の少ない酒質とすることができるので、本発明はインディカ粳米を用いる有用な酒類、甘味食品の製造方法である。
Claims (5)
- 酒類、甘味食品を製造する方法において、原料として少なくとも一部に温度200〜400℃、時間数秒から5分間で焙炒処理したインディカ粳米を用いることを特徴とする、インディカ粳米の原料利用率を向上させ、インディカ粳米特有の雑味の低減及び臭いの除去を可能とする酒類、甘味食品の製造方法。
- 焙炒処理において、インディカ粳米をそのまま又はあらかじめ加水して用いることを特徴とする請求項1に記載の酒類、甘味食品の製造方法。
- インディカ粳米を焙炒処理した後、水又は温水と酵素剤及び/又は麹を添加、混合し、液化する工程を包含することを特徴とする請求項1又は2に記載の酒類、甘味食品の製造方法。
- インディカ粳米を焙炒処理前又は焙炒処理後に粉砕することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の酒類、甘味食品の製造方法。
- 焙炒処理したインディカ粳米を製麹して得られる麹を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の酒類、甘味食品の製造方法。
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